フューチャー・アベンジャーズなコラム~その7~&日本で触れ合えるデッドプール特集

 フューチャー・アベンジャーズ第7話!
 待ちに待ってた出番が来たぜ、ここはお任せデッドプール! 
 ……意外と早く来ちゃったかー。ちなみに、こんなに早い時期にデッドプールがゲスト出演するのは、たぶんマーベルアニメ初です。

 あと、今回ノリが若干おかしいけど、そこんとこは気にしないでください。当サイトでは、デッドプールと書いて特別仕様と読みます。

 

アイアンマン「ここでハッキリさせておきたいんだが……俺達の中で、まず始めにデッドプールのニセ情報に引っ掛かったのは、誰なんだ?」

キャプテン・アメリカ「デッドプールはああ見えて、優秀な兵士だからな。騙されたのは、仕方ないことだろう」

アイアンマン「わかってるさ。でも、世間は、“デッドプールに騙されベンチャーズ”みたいに好き勝手言ってくるんだ。ちゃんと事情を把握して、二度と起こらないようにしておかないとアベンジャーズが世論に殺されるぞ!?」

 アベンジャーズをハメて、スタークタワーにも容易に潜入するという、前人未到の離れ業。でも、デッドプールなんだよなあ。負けたり出し抜かれたら大恥、かと言って勝ってもそんなに評価は上がらない。それでいて、実力だけは一流。お前は、コスプレキャラが先行してた頃の、長島☆自演乙☆雄一郎か。

 

 偶然……というか、デッドプールの作戦にアベンジャーズがハメられた結果、留守番役となったマコトたち。排除すべき侵入者は、無法、自由、傾奇者、CV子安の四暗刻ことデッドプール! 映画で吹き替えした加瀬さんはソーのCVやってるし、そりゃディスクウォーズ以来のCV子安でもおかしかないわ。

 いやー、正直、レッド・スカルとかサノスとかドルマムゥの方が、デッドプールよりはマシですよ、ホント。絡めば絡むほど、混沌と困惑のデッドプールワールドに引きずり込まれていくという恐ろしさ。身体よりも精神、そして何よりキャラが食われてしまうというね。

 怪我しようが死のうがどうにかなるのがアメコミ。でも、人気を食われてしまったら、そのまま打ち切りやお蔵入りになって、どうにもならなくなるんだぜ? そりゃ、実質死刑みたいなもんよ。

 ほら、しれっとアイキャッチ持ってかれてるし!

 

ワスプ「クロエちゃんの変身能力で、デッドプールを騙すっていい作戦だと思うのよ」

ソー「ああ。正攻法でデッドプールに立ち向かっても、あしらわれるだけだからな。浮かない顔だが、何か問題が? 悩みがあるなら、相談に乗るぞ」

ワスプ「なんで色気で騙すのに、私じゃなくて、キャロルに変身したのかしらね……」

ソー「そういえば、エンチャントレスが暴れていることを、我が父オーディンに報告するため、アスガルドに帰ろうかと思う。では」

ワスプ「ソー?」

 あえて言うなら、キャプテン・マーベル(キャロル)の新キャラボーナス?
 そういやデッドプールがいじくっていたコンピューターに、ディスクウォーズで暴れたバロン・モルドやブリザードやサーペントソサエティの面々がいましたね。サンドマンやグレイガーゴイルらしきディスクウォーズ未登場のヴィランもいたけど、彼らの出番もあるのだろうか。

 実際、どうにもこうにもならない相手であるデッドプールに、諦めずに立ち向かい奇策を張り巡らそうとしたのは、高評価なフューチャー・アベンジャーズ。ベテランヒーローでもデッドプールの相手するのは、嫌がったり諦めたりしがちだからね!

 でも問題は、奇策で立ち向かおうとすること、それすなわちデッドプールのフィールドであること。いやねえ、確かに熱々のコーヒーはしんどいけど、デッドプールのコミックスでの経験を見るに、女性に飲み物を用意してもらったら、良くて睡眠薬、最悪致死量の毒がブラックコーヒー反対派の砂糖みたいな勢いで頻繁に入ってるからね! たとえ口の感覚があったとしても、熱々のコーヒーぐらいじゃあ、めげませんとも!

 ……苦労してるよな、デップーさんも。
 
 

 マコトたちの主人公補正も無視して、任務を達成したデッドプール。しかしそれは、クロスボーンズの巧妙な罠だった!

デッドプール「くやしい……! でも……感じちゃう!」

 なんで俺は児童向けアニメの感想で、クリムゾンネタをぶち込んでるんでしょうね。

 まあ、それはどうでもいいとして、今回の一件の黒幕は傭兵クロスボーンズ。しかし、デッドプールだけでなくクロスボーンズもあっさり入ってきたことで、アベンジャーズタワーの警備わりとザルなんじゃないか疑惑が。空飛べるヴィランなら、楽勝なんじゃねえかコレ。

 マコトたちを遺伝子改造された被害者と考えればデッドプールと被るけど、実はヒドラの元で鍛えられたという意味では、クロスボーンズもマコトたちと被っていたり。クロスボーンズはマコトたちがあのままヒドラにいた場合の、未来予想図ってことですね。三人共、クロスボーンズのことは知っていたようだけど、あんなドクロのマスクを被ったプロレスラーみたいなオッサン観た瞬間、この組織ヤバいともっと早く気づきそうなもんだが……あ。そもそも、首領が赤いドクロのオッサンだったわ、ヒドラ。

 ヒドラはアニメ制作してないけど、日本のニンジャ集団ことザ・ハンドなら、偽装で引越し業者やったり新宿のど真ん中に事務所あったりするから、アニメ会社の一つぐらい抑えてるんじゃね? 

 

 ただ日本のアニメの凄さを語るのではなく、そんな日本の作画スタッフに「戦闘シーンで苦労かけませんように」と気を使う優しさ。やはりデッドプールは一流ですね。そのぶん、声優さんへの負担がかかりそうな戦闘シーン(音声オンリー)だったけどな!?

 今回のデッドプールは、正義と悪の間でゆらぐ中庸プール……というか、悪寄り。でも、アレはアレで無法のわりに空気を読んでいるのです。マコトたちへの手加減もそうだけど、ちゃんとデッドプールはマコトたちの相手をしているのよね。今までの構図だと、どのヴィランもあくまでアベンジャーズを相手していて、マコトもクロエもアディも眼中にほぼ無かったから。ある意味デッドプールとの接触で、初めて一線級のヒーロー兼ヴィラン兼ちゃらんぽらんの凄さを、身で学べたのではないでしょうか。こんな童貞の筆おろしにシュマゴラスが触手を唸らしながら来たような初めてで、今後彼ら大丈夫なんだろうか。

 

マコト「なあ、トニー。この間デッドプールが来てからずっと、毎晩夢に車椅子に乗ったハゲのオッサンが出てきて、こちらの学校ならばアベンジャーズよりも正しい能力の使い方を効率よく教えてあげられるぞって誘ってくるんだけど。クロエもアディも、同じ夢を観てるって」

アイアンマン「よし、わかった。おいハルク、ちょっとスキンヘッドの教授がいる学校で、暴れてきてくれないか?」

 映像権利としてはX-MENに属しているデッドプールが出てくるのは、今後のフューチャー・アベンジャーズにX-MENが関わってくる可能性を残したということで世界観的には大事件なものの、デッドプール登場のインパクトのデカさに隠れてしまったというオチに。いや、最近X-MENやファンタスティック・フォーって、映像権利を20世紀フォックスに持って行かれているせいか、アニメでの出番やゲスト出演が本当に無いんですよ。デッドプールのフューチャー・アベンジャーズへの出演が、全世界単位で見てもディスク・ウォーズ以来3年ぶりのアニメ出演だというのもおそらくこの辺りの事情が絡んでいるのではないかなと。

 アニメ関係に関して本国では放置状態で、日本発のアニメで2連続出演という状況なら、デッドプールが日本製アニメにこだわるのもわからんではないわ……いや、デッドプールは来年あたり本国でTVアニメ化するって話があるんだけどさ。やっぱ人気者になると、いろいろ動き始めるねー。

 

 今日の紹介はデッドプールで……と言っても、ここ数年で散々書いた上に、ファンサイトだけでなく商業サイトでも取り上げられるような身分になって情報が反乱している今、もう書くことが無いですよ!? ネタ被りの心配というより、他所のネタを潰しちゃアカンよねというのが大きいです。

 例えば、最新シリーズの邦訳も決まっているのに、その最新シリーズのストーリーを解説してしまったら、面白さを損なって、邦訳の足を引っ張ってしまう可能性もあるので。流行りという水流にさらされ、デッドプールという水車が回り始めた以上、単に好きなように力を振るうのではなく、水車が上手く回るバランスも考えなくてはいかんわけでして。がむしゃらにやる時期は、ある意味過ぎ去ってしまったというのが、ちと寂しい感じではありますがね。

 前にクロスボーンズについて書いてなかったら、しれっとそっち書いてたんだけどなー……。まあいい、なんとか視点を変えてやってみよう!

 

 

デッドプール


※日本で流行りのアニメを積極的に学ぼうとする、デッドプールの図。

 キャラ紹介? デッドプールでググれ! 以上!

 

 

 

 

 というのもアレなので、ちょっとだけ補足というか筋道を作っておきます。名付けて「日本で触れ合えるデッドプール」特集。オリジンや能力や設定は、そもそもフューチャー・アベンジャーズでざっとやっちゃったしネ! あとはあそこにエドくんがいれば完璧だったんだが。
 2017年現在、デッドプールが登場している、アニメやゲームやコミックスをざっくり紹介。解説も大事だけど、まずは本物に触れるのが一番と……えーと……アレだ……誰かが言ってたよ?(ネタが思いつかなかったパターン

 

ゲーム

 日本でのデッドプール人気の始まりとも言えるMARVEL VS. CAPCOM 3(マブカプ3)。だが、それより5年ほど前にPS3やWiiで発売されたマーベル アルティメット アライアンスにもデッドプールは初期実装キャラとしてプレイアブル化している。

 アベンジャーズにX-MENにファンタスティック・フォーに属する著名でまっとうなヒーローに囲まれ、なんでお前いるの状態だったものの、ちゃんとストーリー中に会話イベントも用意されているので一安心。相棒のウィーゼルとの会話だけでなく、偉大なる魔術師エンシェント・ワンに「お爺ちゃん?」と話しかけたり、声が破壊音波になっているブラックボルトを喋らそうとしたりと、全然安心じゃなかった。キャラクター性能としては、遠距離攻撃と近距離攻撃をしっかり備えた上で、テレポートや自動回復のような便利な能力に、挑発技のような小技も完備と、無駄に万能型なのがなんかこうイラっとくる。

 近年の作品だと、多数のヒーローが参戦したLEGO®マーベル スーパー・ヒーローズ ザ・ゲームにもデッドプールは登場している。なお、このゲームの続編となるLEGO®マーベル アベンジャーズには参加していないのでご注意を。


※デッドプール参戦


※デッドプール未参戦

 レゴアベンジャーズは、マーベル・シネマティック・ユニバースを中心としたゲームとなっており、ファンタスティック・フォーやX-MENと共に、デッドプールは未参加となっている。同様の事情かスパイダーマンも未参加であったものの、シビル・ウォーやホームカミングの影響もあってか、DLCキャラとして無料配信されることとなった。

 レゴマーベルのデッドプールは、まずアクションステージのいたるところでウロウロしているのが目撃できる。これは、ムービーシーンでウロウロしているスタン・リーと対のカメオ出演となっている。そしてオープンフィールドステージでは、ナビゲーションを担当しており、目的地を指定すると、デッドプールが目印を残しつつ全力疾走。プレイヤーはデッドプールの後を追うことになる。嫌だなあ。

 このゲームにおけるデッドプールの使用条件は、様々なステージやニューヨークの街中に散らばっているゴールドブロックを使用し、全11ステージのデッドプールミッションを解禁。デッドプールミッション内にあるデッドプールレッドブロックをフリープレイで回収。こうすると、SHIELDのヘリキャリアでチートコードを販売しているデッドプールの隠し部屋に、レッドブロックが11個ほど売りに出るので購入。ここまですると、デッドプールがようやくプレイアブルキャラとして使用可能になる。クリア後のエンドコンテンツ寸前なキャラだが、更にデッドプール解禁後、ニューヨークの街中に出現するデッドプールのミッションを受けることで、解禁されるキャラがいるのだから奥深い。なお、そんな超エンドコンテンツキャラの一人はメイおばさんである。何故。

 新作となるマブカプ4にはウルヴァリンや他のX-MEN共々参戦の気配がなく、マーベルツムツムにも未登場なものの、MARVEL Future Fightでは遠い親戚のようにみえて他人なグウェンプールの参戦に加え、他のX-MENが続々参戦し始めており相棒の一人であるケーブルが参戦発表に名を連ねたことからも、デッドプールの近い参戦は噂されている。

 ついでにグウェンプールは、ツムツムや後述のオールスターバトルにも参戦済みと、最近の注目株なキャラなので今後に期待したい。

 なお、格闘系アプリゲーことMARVEL オールスターバトルには参戦済みなので、安心して欲しい。こちらだと、本家デッドプールだけでなくヴェノムプールなどの亜種も参戦している。

 いやまあ、キャラの獲得が基本ガチャなので、運が悪いと中々使用できないんだけど。

 そして日本未発売なものの、忘れてはいけないのがPS3や360で発売されたDeadpool

 デッドプールを主人公にした、据え置きアクションゲームであり、ケーブルやウルヴァリンやボスキャラのミスター・シニスターも全員デッドプールワールドに巻き込まれて大混乱な本作。感覚としては、ライトなデビルメイクライといった感じで、そこに残弾数が少ない代わりにガンガン敵から弾が拾えるトリガーハッピーさやデッドプールならではの人をナメきったギミックが加えられ、非常にらしいキャラゲーとなっている。現在、DLCも全部入りなHDリマスター版がPS4で出ているので、興味が在る方は洋ゲー専門店やアマゾンで探してみて欲しい。全編英語だけど、わりとフィーリングでどうにかなる操作感覚なので、やるぶんには英語ができなくてもなんとかなる!

 しかし、Deddpoolの日本でのローカライズ販売ホントどうにかなりませんかね……。デッドプールとゲームのファン層の合致率も高いので、まだ間に合いますって! 日本のゲーム会社様、どうかお願いします!

 

アニメ

 90年代やマッドハウス版のX-MENに参戦しているが、カメオ出演なのでひとまずスルー。現物が手に入りやすいマッドハウス版だけ補足しておくと、最終回でナイトクローラーと共にカメオ出演している。

 まずデッドプールが声付きで初登場となったのが、ウルヴァリン VS ハルク。 ウルヴァリンとハルクの死闘に介入する、謎の組織の一員として出演しております。今回の同僚は、セイバートゥースやオメガレッドやレディ・デスストライクと、デッドプール含めウルヴァリンとの因縁がある者たち。ただ、あれデップーさん一人だけ浮いてない? とのイメージ通りに、途中から好き勝手に暴れやがります。ウルヴァリン VS ハルク VS デッドプールくらいには。なお、オチも持って行く気満々な模様。

 続いてTVアニメへの初出演となった、アルティメット・スパイダーマン。デッドプールはシーズン2のシリーズ通算41話“アルティメット・デッドプール”に登場。数回のカメオ出演をこなしたあと、満を持して登場。第四の壁をぶっ壊し気味な、アルティメット・スパイダーマンのピーターすらドン引きレベルの大活躍。実は本作でも、アルティメットなヒーローを目指すスパイダーマンのある意味先達なので、フューチャー・アベンジャーズにおけるデッドプールとある意味被っている。なお、被害者共演者はタスクマスター。

 問題は、アルティメット・スパイダーマンはソフト化してない上、このあたりのシーズンは再放送をしてくれているディズニーXDでも流していないので、見る難易度がものすごく高くなってしまっていることか……。

 そして肝心要な、ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ! デッドプールは第27話 禁断のヒーロー登場?第30話 クリス 決断の時に登場。ついでに第40話 ヒカルとソーと謎の声にもちらっと出演。

 近年の作品かつ日本発なので、公式経由で観る手段が多いのもありがたいところ。27話はDVDだと7巻で30話は8巻。あんま期待してもらうと困る40話は10巻ですからね!

 

コミックス

 今回は日本メインということで、オール英語な原書の紹介はナシ……なものの、軽いアドバイスとしては、Kindle経由の電子書籍での購入、もしくはブリスターコミックスヴァースコミックスのような専門店経由での購入がおそらくベター。前者はある程度のネットリテラシーが必要な直接購入にしては安全、後者は直に専門家に聞けるというのが何より良いですね。わからなかったらしっかり調べるか、人に聞く。うろ覚えでの特攻はしちゃダメですよ。

 で、そうなると邦訳を紹介すればいいんじゃね……というわけですが、多いねホント! これを全部紹介したら、あと数万文字は必要。てーか、現在進行形でデッドプール邦訳奇譚という企画もおこなっているのですが、現在停止中。ゴメンナサイね。
 というわけで、個人的にコイツぁオススメだぜ! という本を数冊紹介。

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス

 局地的人気と思われていたデッドプールの本を出してみたら、その局地がとんでもないことになってたよ!? というのが判明した作品。336ページの厚さながらも、恐竜だらけのサベッジランドやゾンビだらけのゾンビバースを全ページノリノリで駆け抜けていく、僕らのデップーさん。デッドプールここにありというのを、日本に打ち立てた作品。(解説

デッドプールの兵法入門

 中国における伝説の軍師である孫武を殺っちまった結果、兵法書『孫子』をゲットしたデッドプール。コイツを出版して大儲けだ! でも、なんか話題性がないと出版社が出版してくれないらしい。じゃあ孫子を実際に使って、負け犬を勝たせてやろう。笑いの神じゃなかった悪戯の神ロキよ! 俺ちゃんがソーに勝たせてやるぞ! こんな、非常に頭の悪いショートストーリーです。価格も厚さもリーズナブルなものの、アスガルドだけでなく、アベンジャーズやX-MENやファンタスティック・フォーを巻き込んだシナリオやイラストは絢爛豪華。数多のビジネス書より、役に立つかもしれないぞ!(解説

デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド

 有名なコンビであり、実際この二人の名を冠した長期連載もあったデッドプールとケーブルのコンビ。だが、ケーブルがしばらく死んでたり、デッドプールが忙しいという事情もあり、彼らのコンビは(現実世界で)数年間休業状態だった。いったい、デッドプールとケーブルは、どんなコンビだったのか!? その答えとなるのが、このスプリット・セカンド。今のデッドプールと今のケーブルを、かつてデッドプールを創造し、ケーブル&デッドプールも担当したファビアン・ニシーザがライターを務めるというスキの無い構成。知っている人にとっては懐かしく、知らない人にとっては入門編。デッドプールとケーブルを知りたいなら、この一冊だ! このコンビをちゃんと1から追いたいのなら元祖ケーブル&デッドプールを訳したケーブル&デッドプール:青の洗礼に腰を据えて挑むのもアリだ!

スパイダーマン/デッドプール:プロローグ

 スパイダーマンとデッドプール。この二人のコンビは回数自体は少ないものの、多くのファンの興味を惹き、デプスパもしくはスパデプのカップリングは大人気となった。そんな人気を感じ取ったマーベルも、このウェーブに乗るっきゃ無いということで、本格的に二人のコンビを始動。スパイダーマン/デッドプールの本格連載開始に先駆けて、今までのデッドプールとスパイダーマンのコラボ作品を纏めてみたアンソロジー。ライトニング・ロッズ名義で、グレイト・レイクス・アベンジャーズも本格登場しているのは、このサイト的にオススメしたいポイント。9月20日には新シリーズとなるスパイダーマン/デッドプール:ブロマンスも発売されるので、要チェックだ!

デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント

 外伝も含め全9冊が日本でも刊行された、デッドプールシリーズの第三レギュラーシリーズの第1巻。ゾンビとして蘇った歴代アメリカ大統領VSデッドプールのカードは、新シリーズ開始で不安になるファンの心をがっしりと掴んだ。あと当たり前の話だが、第1巻や第1話に読みたくなる勢いや土台となる設定がだいたい組み込まれるのは古今東西の基本戦略。なので、基本シリーズ第1巻を訳せば、だいたい読みやすい話になっている。目当てのヒーローが決まっていて、読みたい邦訳を探す時の狙い目はそれぞれの第1巻だ! 続きとなる第四レギュラーシリーズも邦訳予定には入っているので、続報を待つべし!

 

 まあアレだ。こんだけ本含めてメディアがあるし、なにより大正義な映画デッドプールもあるんだから……心の赴くまま好きなトコから触っていけばいいんじゃないですかね。

 こだわるな! 自由に行け! デッドプールを楽しむには、自由気ままがよく似合う!

日々雑談~2400~

 ツイートした時間を観ると、かなりギリギリのところで更新したのがわかるかと(汗

 もう一歩で、再びの一周遅れになるトコだったぜ。あぶない、あぶない。と言いつつも、今日もちと別件があるので、即更新! 希望の未来へレディーゴー! というわけにはいかんのですが。ひとまず、Dlifeを家で見れない方や録画しそこねた方は、上記ツイートリンクに飛んで、見逃し配信を観ていただければ。まあ、せっかくなので、観た方もワンスモア。

 しかし、今回何を書けばいいのやら。クロスボーンズも既にやってるし、デッドプールに至ってはもう書くの何度目よ!? でもこうなったらもう、どうにかするしかない。既に退路は、随分前に焼け落ちた!

 一昔前と今で違うのは、映画デッドプールのヒットの影響もあり、商業や個人サイト問わずデッドプールに関するテキストの絶対量が増えたことです。少数よりも多数で挑んだほうが当然良いのでこの流れ自体はウェルカムなものの、なら自分は新たな状況下で何をすべきかという課題がポン! と。まったく、何時までたっても挑戦者だし、小慣れて楽にはならねえな。

 もっとも、それでいいんだろうけどさ。

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その6~

 フューチャー・アベンジャーズ第6話!
 アディを押しつぶしそうになる後悔。だがアベンジャーズには、同じように後悔を背負い続ける男がいた――

 

 マコトが無邪気にヒーローになりたがりアーマーを欲しがるのは、本人の性格に加えてヴィランとしての活動期間が無いというのも大きいのでしょう。ヴィランとして育てられつつも、ヴィランとしての経験や悪しき心を宿らせる洗脳がなければ、それはヒーローにも成り得る無垢な力。妖刀だって、打たれてから何も切らなければ単なる名刀です。

 そうはいかないのが、ヴィラン“テクノプリースト”としての活動期間があるアディ。特に何をしたのかは語られなかったものの、斡旋がヒドラで、当人の能力が機械を自在に操れるテクニカルアクト。この近代化社会で機械を操るということは、ある意味万能にも等しい力です。

 その力をヒドラの指示通りに振るえば―― きっと、少年が背負うにはあまりに重すぎる荷が、容易く生まれてしまうでしょう。

 

 ヒーローとは正しくあろうとする者であったとしても、誰もが生まれてから今まで清廉潔白とは限らない。
 アイアンマンとなる前の、武器商人トニー・スターク。未だトニーが作った武器が世界中にあり、数々の悲劇を起こしているのは映画でも描かれたこと。それに、戦場で死にかけるという事故が無ければ、トニー・スタークは武器商人として今でも活動していたかもしれない。

 トニー・スタークは、ヒーローとして活動をするには汚れすぎているし、信頼できる過程でヒーローになった人物ではない。これもまた、一つの正しい指摘です。

 

 そんなトニーの過去を知り、それを認めぬと同時に恨みの炎を燃やす男、エゼキエル・ステイン!

 映画アイアンマンでもトニーの殺害を目論見、コミックスでも強大な敵として立ちはだかったオバディア・ステインの息子。死亡した映画や、自殺したコミックスとは違い、フューチャー・アベンジャーズの世界ではオバディアも生きて収監されているようですが、まあ十中八九、ロクでもないことをやらかしたのでしょう。つーか、キレイなオバディアって想像できねえ。

 エゼキエルが使用するのは、オバディアの遺産とも言えるアイアンモンガー。そして自ら強化改造を重ねたアイアンモンガー2。アイアンモンガー2のスーツは、エゼキエルがコミックスで装着したスーツに酷似してますね……ただ、アイアンモンガーとビジュアルが違いすぎる上に、元祖と2を作る間に技術が進歩しすぎてて、これ同型機扱いでいいのかな? とファンの間でも議論を読んでいますが、それはさておき。ガンダムで言うなら、一年戦争と∨ガンダムのMSぐらいの差があると言ってもおかしくないもんな。

 

 アイアンマンの罪を糾弾しつつ、過去のデーターより完璧な対策を打ち立てたエゼキエルの二段構えな作戦。罪をただ黙殺すればヒーローとしての資格が疑われ、単に敗北すればそこでオシマイ。非常に狡猾です。そしてエゼキエルは知らないことですが、トニーが罪との向き合い方を誤れば、アディもおそらく潰れてしまっていたでしょう。

「過去は変えられない。だが、未来を選ぶことはできる」

 トニー・スタークのあり方は、エゼキエルからすれば不条理で、厚顔無恥な答えなのかもしれません。でも、トニーは世界中で少なくない人間が向けている自身への恨みと、武器商人としての罪を自覚している。自覚しつつも、自分ができることをやり続け、ヒーローに相応しい人間として振る舞い続ける。厚顔であったとしても、その内では恥も罪も渦巻いている。それでも、前に歩み続ける。

 トニーの過去のデーターを分析することで満足してしまい、過去の恨みが原動力であるエゼキエル。とどまったまま追いつこうとする人間が、先ゆく人間に勝てるものか。この辺、エゼキエルは、足を引っ張ることに頑張りすぎた、どこかの魔女にも似てますね。せっかくノベライズでヒロイン力上げたんだから、笑顔で幼女の爪とか剥がしてんじゃないよ、もう。

 トニーの生き方は、過去を忘れ去るよりも辛く、一方誠実な生き方。実際アディもトニーのあり方に救われましたし、この生き方はメイン視聴者層である子供にとっても、早く知っておくべきことではないですかね。子供や若者はやってしまったという後悔を背負いがちで、処理の仕方を知らないまま、潰れてしまうこともあるので。忘れるのもいいけど、こうやって重荷と付き合い続ける生き方もあるんだよと。ある意味キツい生き方ですが、知らぬまま潰されるよりかはナンボかマシでしょう。

 ヒーローが、強き背で一つの生き様を見せるのって、古今東西大事なことだと思うよ。

 

 アディという新キャラクターの悩みに、己の生き様で答える既存かつ人気キャラのトニー・スターク。敵は、未来を生きようとする彼らと相反し、過去を力とするエゼキエル・ステイン。

 新キャラ、既存キャラ、そしてヴィランと、ものすごいカッチリとハマってます。後述してますが、後から追う者であるエゼキエルの造形もフューチャー・アベンジャーズ独自ではなく、元々の彼のキャラ造形なんですよ。当然、作品に適した形にはいじってますが、根本的には同じ。つまり在るものを理解した上で新しいものを組み合わせて、見事な造形を成し得たということです。

 実際、今回のエピソードのハマり具合は、原作付きアニメ全般にまで話を広げてもスマッシュヒット級ですね……。いやあ、楽しみつつも勉強になりました。

 

 今回紹介するのは、エゼキエル・ステイン!
 実は、以前マッドハウスにて制作されたアイアンマン ライズ・オブ・テクノヴォアにも出ていたりするのですが、こちらでは美少年キャラ。フューチャー・アベンジャーズのエゼキエルも路線は違うとは言え、中々に精悍な顔立ち。エゼキエル、マッドハウスのアニメだとイケメン化する地形効果でもあるんだろうか。

 

 

エゼキエル・ステイン

 自身の財力と知力でトニー・スタークを心身共に限界寸前まで追い詰めたアイアンマン最大の敵の一人、オバディア・ステイン。
だがトニーは、オバディアの策謀を乗り越え再起。オバディアは部下の科学者に作らせていたアイアンモンガーのスーツを装着し、アイアンマンとの直接対決に望むものの、敗北。敗北者となったオバディアが自殺したことで、オバディア・ステインの野望は幕を閉じた。

 しかし、オバディア・ステインの野望は終われども、彼の計画は終わっていなかった。人の心理を知り尽くすオバディアにより、トニー・スタークへの憎しみを思う存分注ぎ込まれた、復讐の申し子。その名は、エゼキエル・ステイン。オバディアが持つ財産と悪意を受け継いだ、オバディアの息子である。だが、オバディアが死んだ時、エゼキエルはまだ子供だった。エゼキエルはトニーへの恨みを煮えたぎらせながら、自身の成長を待つこととなる。

 オバディア・ステインは優れた知性を持つものの、彼はあくまで“一流の企業家”だった。オバディアが装着したアイアンモンガーの制作は部下が担当しており、オバディア自身も平均的な男性の身体能力以上の力は持っていなかった。自分の知性と企業家としての力でトニーを追い詰めたオバディアだったが、一方で自身が持つことのできなかったトニーの科学者や装着者としての才能も認めていた。

 だからこそ、オバディアはエゼキエルに一流の科学者や装着者になれるような教育を施した。エゼキエルは幼少時から類まれなる才能を発揮し、オバディアの手にあるヴィラン用の装備や超兵器を設計製作したとも噂されている。

 

 オバディアの死からしばらく後、表舞台に立ったエゼキエルは、自身の天才性を証明するがごとく、トニーの技術を模倣かつ一般化し、闇市場に流してしまう。

 エゼキエルは先ゆくトニーに勝つための手段として、アーマーではなく自分自身を改造することに思い至る。手術の結果、エゼキエルはアーマーを装着せずともアイアンマンと戦えるだけの力や治癒能力を手に入れる。エゼキエルもアーマを装着するタイプのヴィランだが、彼のアーマーは優れた身体能力や手術の代償に高熱を発するようになった身体の補助と、若干違うコンセプトである。

 

 エゼキエルは優秀な科学者であり装着者であり、父譲りのビジネスセンスも持っているが、弱点も多い。

 まず一つは、自身の身体にメスを入れてしまったこと。前述したとおり、エゼキエルの身体は常に高熱を発しており、特性のインナースーツを脱ぐことができない。身体の新陳代謝もおかしくなっており、エゼキエルは常人の10倍以上のカロリーを欲する。これは全て、手術の代償である。

 第二に、エゼキエルはオバディアから知性と恨みだけではなく、彼の傲慢な性格まで引き継いでしまったことだ。エゼキエルは、人々とは自分にかしずく存在だと思っており、その傲慢さにより多くの敵を作ってしまっている。

 そして第三に、オバディアの天才性に革新的要素が無いことである。アイアンマンスーツを1から作り上げたトニーや、広く宇宙や次元を旅し数多の理論を打ち立てたリード・リチャーズ(Mrファンタスティック)とは違い、オバディアの製作物や理論には斬新さがない。トニーにも優れた知性は認められているが、エゼキエルのあり方は分析や応用に特化した模倣に近い。先行く思考を持たない限り、エゼキエルはトニーの後塵を拝するしかないだろう。

 エゼキエルは、様々な手段を講じてトニーを追い詰めるが、とどめを刺すには至らず、敗北を積み重ねてきた。オバディアのように企業家としてアイアンマンに立ち向かったジャスティン・ハマーの後継者であるサシャ・ハマー。似た境遇にある彼女と手を組み、自身の技術を販路に乗せることで、スーパーヴィランの持つ装備は、アイアンマンに近い域まで進歩してしまった。科学で先行くアイアンマンが、同じ分野に属する敵に苦戦するのは、模倣者エゼキエルの成果の一つである。

 

 エゼキエルはある時、爆発事故に巻き込まれ、頭部の毛を全て失ってしまう。スキンヘッドとなった彼の姿は、同じスキンヘッドであった父オバディアに不気味なほど似ていた。


※オバディア


※エゼキエル

 オバディアに似た顔と精神性、他人の技術を模倣することに長けた知性。トニー・スタークが未来を生きようとする男ならば、エゼキエルは過去で生きる男なのだ。

日々雑談~2395~

 昨日、フューチャー・アベンジャーズなコラム~その5~を更新しました。

 エンチャントレスといえば、下僕のエクスキューショナー(スカージ)のこともきっちり書こうかなと思ったものの、尺の都合+今後エクスキューショナーが出てくる可能性も考えて、ひとまずブレーキを。マイティ・ソー:バトルロイヤルに登場することはプラス、アレスと若干ポジションが被っているという点ではマイナス。エクスキューショナーの出番に関しては、まったく読めん……。

 それにしても、今回のテキストを書いてて、改めて気づいたというか……空間認識能力と一流のパイロットとしての腕前を持つサイクロップスって、ロボット物の主役パイロットになれるスキル持ちだよなあと。ハイメガキャノンを自分自身が装備したエースパイロットとか、頼もしすぎる。聖杯戦争に参加したら、裏の一手でライダーでの召喚もあり得るぜ! いや、普通に考えたら遠距離攻撃主体のアーチャー……もしくは、カルナさんと一緒にビームの英霊としてランチャー……やはり真のヒーローや英霊は眼で殺す……?

 

 というわけで、今週は真面目にアイアンマンだと思ってたら、来週はいい話の余韻をぶち壊す男! デッドプール!の登場ですよ。リツイート数も中々の勢いだけど、何より引用リプやRTしたアカウント名が英語、アラビア語、ロシア語、ハングルと国際色豊かなのがね!
 そりゃあまあ、ディスク・ウォーズ以来&映画後初のアニメ出演だから、世界的にも注目を浴びるわなあ……。もう、なんで人気があるのかわからない異端児じゃなくて、確固たる人気を持つヒーローなわけで。戦国時代、海外よりもたらされた、たった一丁の鉄砲が世界を震わす数の火縄銃になったように、現代では海の向こうからやってきたデッドプールが日本的な改造を施されて世界を揺らすのか。デッドプールは、現代の火縄銃なのか。バーン!

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その5~

 フューチャー・アベンジャーズ第5話!
 鉄拳の武道家VS神界の魔女in秘境都市! この異種格闘技感が、たまらんよな!

 

 グーグルマップに秘境都市クン・ルン(崑崙)っていれたら一発で場所出てきたらヤだよな。でも、完璧主義のトニー・スタークなら、ヴィスコに登録しているかと思ったけど。……待て、ひょっとしてヴィスコにも赤ちゃんモードという名のセーフモードがかかっているのか? セーフモードを解除したら、瞬殺モードとか推してくるの?

 いやしかし、崑崙が神秘的な都市である以上、川口浩や藤岡弘、に頑張ってもらって、やっぱ見つからなかったってオチがベストだと思うのですよ。いや、見つからなかったらダメだけど。それはそれとして藤岡弘、には探しに行ってほしいけど。

 

 崑崙に受け入れられるソー。歴代のアイアンフィストを知っている口ぶりから見て、ソーがこの街に来たのは昨日今日じゃあないな。なるほど。台詞一つで想像力を膨らませるっていうのは、こうやるのか……これならば、知っている人はピンと来て、知らない人にも「先代がいるの?」と、過分に尺をとることなく興味をもたせることができるってワケか。そして、後に不死竜シャオ・ラオの設定をアイアンフィストに語らせ、想像力と知識を更に補強と。ううむ、勉強になる。

 

 アイアンフィストの元で、修行するフューチャーアベンジャーズの面々。どんな凄い能力者であろうと、基礎訓練がなっていなければ、ただのカモネギだからな。パニッシャーやデッドプールやスパイダーマンのように、能力とは関係ない前歴や、実戦で鍛えたヒーローも多々いるものの、こうして鍛えるのが正当なやりかた。

 能力一辺倒と思われがちなX-MENも、能力抜きの地道な鍛錬や能力を活かすためのスキル取得に、相当な時間をさいているしねえ。例えば目からビームを出せるだけと思われているサイクロップスも、ビームを敵に当てるための空間認識能力やリーダーとしての指揮能力に柔道や合気道は黒帯級と、ビーム以外の能力もハンパないわけで。目を瞑ったり、能力を封じられていても、素手で複数人の兵士をぶちのめすぐらいは、容易にできる腕前。パイロットとしても一流で精神攻撃への耐性もアリと、サイクさん、ビーム以外も凄いのよ?

 ヒドラでしっかり基礎訓練をしていたせいか、マコトたちの身体能力はなかなか。ただ、さっき言ったように、ヒーローとして活動するならなかなか以上が求められるわけで。まだまだ、弱き光。そう言った意味では、人の身から神の拳を手に入れたアイアンフィストは、コーチ役として適任。フューチャー・アベンジャーズの正メンバーは、フィジカルが違いすぎるソーやハルク、コーチ役というよりコーチ雇用も含めたプロジェクト責任者向けのアイアンマンと、普通の師匠向きがあまり居ないイメージがあるからなあ。

 もっとも、トップクラスで師匠向きなキャプテン・アメリカがいるのですが、まだキャップはマコトたちと若干距離があるので。もう少し何か、屋上で一緒に弁当を食べるとか、運動会の二人三脚でコンビを組むみたいなイベントがないと、「一緒に帰って、ホークアイに噂とかされると恥ずかしいし……」って断られちまう距離感だぜ。まったく、しょうがねえな、ホークアイは!(流れ弾

 

 トンファーキック! トンファーキックじゃないか! 
 うむ。若干デザインに統一感がありすぎるものの、流石にトニーのスーツは性能が高いな。きっとクロエがトンファーキックを繰り出すことを見越して、彼女のスーツにトンファーを装備させておいたに違いない。ゴメン、たぶん違う。

 まだまだ、ソーやアイアンフィストに比べれば、フューチャー・アベンジャーズの面々は何もできないレベル。でも、考え方を変えることにより、できる可能性が生まれてくる。前回は子どもたちを救い、今回はクン・ルンの人々を救う。心身ともに鍛えていけば、その手の大きさはきっと広がっていくはず。

 ディスク・ウォーズは、アキラとアイアンマンのように少年少女がヒーローの力をどう引き出すかがポイントだったけど、フューチャー・アベンジャーズの場合は、マコトたち少年少女自身がどうなるかがポイントに。枷と思われていたものが、絆の力でやがて大きな力になっていったのがディスク・ウォーズなら、未熟が大きな力を目指しているのが現状のフューチャー・アベンジャーズ。ヒーローと少年少女という構図は一緒なものの、切り口はだいぶ変わってきたねえ……。

 

 今日の紹介は、アスガルドの魔女エンチャントレス。DCコミックスに同名のキャラがいる上に、あっちは映画スーサイドスクワッドで大暴れして目立ってると、中々に押されている状況。マーベルのエンチャントレスも、フューチャー・アベンジャーズでの活躍で、盛り返してほしいねえ。

 

 

エンチャントレス

 ソーの故郷である、神々の国アスガルドに名を馳せていた美女アモラ。その美しさで多くの異性を惑わせていたアモラは、大魔術師カーニラの元で魅惑の魔術を学ぶことで、男たちへの絶対命令権にも等しい“美”を手に入れた。自らの美しさでアスガルドをも手中に収めようとしたアモラだったが、主神オーディンの息子であるソーは、アモラの魅力を撥ね付ける。

生まれ持った魅力も魔術もコケにされたアモラは、屈辱を抱いたまま、オーディンに地上へと追放されてしまう。地上に降り立ったアモラは、バロン・ジモが結成したアベンジャーズに対抗するための悪役連合マスターズ・オブ・イーブルに加入。彼女は再び、アベンジャーズの一員である憎きソーと対峙することになる。
 魅惑の妖女アモラ……エンチャントレスは、こうして地上のヒーローと敵対する道を選んだ。

 

 エンチャントレスは一流の魔術師であり、特に魅惑や魅了の魔術に関して右に出る者はいない。彼女に惑わされ、何人ものヒーローやヴィランが道を踏み外してきた。人を惑わし、他者を戦わせることを好むエンチャントレスだが、当人の魔術師としての実力も超一線級である。炎や雷の魔術を操り、あえて美しい姿形を変えることも自由自在。幻覚とテレポートを使いこなす彼女を捕らえることは非常に難しい。更にその口づけには人を木や石に変える力があり、自身が魅惑したものの用済みとなった男たちはこの最後の甘美により処分されてきた。

 女性をも惑わす魅力を持つエンチャントレスだが、その本領はやはり対男性である。もっとも、ソーのような勇者や、地上の魔術師であるドクター・ストレンジやドクター・ドゥームのように、彼女に惑わされない骨のある男もいるのだが。

 エンチャントレスの裏の一手としては、アスガルド神族としての身体能力がある。神の一族であるエンチャントレスは、スピードもスタミナも寿命も超級であり、細腕でありながらも25トンを持ち上げられる。簡単に言うと、72年TV版のマジンガーZ(20トン)なら持ち上げられる。これには初代ガンダム(43トン)と較べても、マジンガーZがやけに軽いというのもあるのだが、それにしても中々のインパクトである。

 

 もっとも、エンチャントレスの身体能力はアスガルド神族の中では平均的であり、ソーやウォリアーズ・スリーのような戦士たる神族には及ばない。むしろ、神々同士の戦いでは、一般基準では優れた身体能力も弱点となる。だが、そんな弱点を補うため、エンチャントレスは対抗策を用意していた。エンチャントレスを慕い付き従う、エクスキューショナー(処刑人)の異名を持つ男、巨人殺しのスカージだ。

 ソーやアレスやヘラクレスと並ぶ強靭な身体にエネルギーブラストに魔力の斧、戦闘的な能力を持つスカージを付き従えることで、補助タイプであるエンチャントレスの弱点は完全に補われた。この二人は初登場も一緒であり、前衛スカージ後衛エンチャントレスのパーティーは、長年ソーや数多のヒーローを苦しめてきた。スカージと手切れとなった後も、エンチャントレスはこの構図を再現するような、自身の弱点をカバーできる下僕を好んで調達してきている。

 その一方、エンチャントレスは同じアスガルド神族でありソーとの因縁も深い知力派ロキとの付き合いも長い。双方、ソーの昔からの敵なので、ある意味当然だが。

北欧神話が元ネタであるソーやロキとは違い、エンチャントレス(アモラ)の名と存在は北欧神話とは関係ないオリジナルである。ただこれに関しては、エンチャントレスはフレイアやイドゥンのような北欧神話の女神たちをベースに創作した、との話もある。
 それにしても、美女エンチャントレスに知恵の神ロキに武神スカージ……お色気にずる賢さに馬鹿力……なんだかこのソーの敵である三人を並べると、何かを思い出してしまうような……それは日本古来の、もはや伝統の三人組の姿が……。

 

 男性を惑わし、心を奪うエンチャントレスであるが、かつて彼女の心を奪い取った神がいる。その神の名は、何を隠そうソーである。

 ソーをオーディンの代わりにアスガルドの王として、自身は王妃に収まるという計画の存在。ソーの恋人であるジェーン・フォスターへの敵意。アスガルドから追放されたソーの元に、いち早く駆けつけ面倒を見ようとする。エンチャントレスの心の中には、ソーを思う真心が確かにあった。

 だが前述したように、ソーはエンチャントレスの誘惑を跳ね除けている。ソーがエンチャントレスの誘惑を跳ね除けられた理由は、神としての力ではなく、彼が持つ人間らしさだった。この結果、エンチャントレスの憎しみはソーだけでなく、地上の人間にも向けられることとなった。ソーとエンチャントレスの間には、愛憎という言葉でも足りぬ複雑さがある。
 愛されることが当たり前だった女神が、愛されなかったことにより、そのあり方を狂わせる。なんとも、皮肉な話である。