デッドプール邦訳奇譚~デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプール~

デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプール

デッドプール Vol.5ウェディング・オブ・デッドプール

あらすじ
デッドプールが遂に結婚!? 人生の墓場もとい分岐点を祝い、続々と駆けつけるヒーローやヴィラン。だが実は、俺ちゃんもう何回も結婚してるんだよね。過去にデッドプールを担当したライター&アーティストが大集結。過去のデッドプールの恋バナを描く、デッドプール結婚アンソロジーも収録! 他にも、デッドプールVS帰ってきたヒトラー。デッドプールの根源に迫る、もう一人の狂人ヒーローマッドキャップとの対峙。デッドプールはちゃめちゃ劇場、ここに開幕!

 

ふじい(以下F)「気づけばもう発売じゃん! ということでね、色々すっ飛ばして、デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプールの紹介だ」

サイレン(以下S)「まだ邦訳奇譚で紹介してない本、かなりありますよね……?」

F「はっはっは、毎月毎月デッドプール関連誌だけで数冊も出る状況じゃあ、そうそう追いつけねえよ。嬉しいけど無理! ありがたいけどキツい! だから、今回は色々すっ飛ばしてもう、ウェディングだ! 俺は開き直ったぞ!」

S「Vol.5のウェディングをこうして紹介するってことは、マーベルナウ!シリーズのナンバリングも、一冊づつちゃんと紹介するってことか?」

F「うっせー馬鹿! この間行った、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン! 子供向けのスヌーピーコースターでビビって、中々だったし二回目行こうぜ! と誘った瞬間、逃げ出しやがって!」

S「全くこの場に関係ない悪口と暴露のツープラトンだ!」

F「実際身長制限なしで子供向けだけど、速度とかかかってくるGはかなりマジだったよな、スヌーピーコースター。正直、身長制限のあるフライト・オブ・ザ・ヒッポグリフよりハードだったと思う……まあ、スヌーピーでビビリ倒したお前は、ヒッポグリフからも逃げ出して行方不明になったわけだが」

S「あれキツかったよねーとフォローするように見えて、更にディスってるよ!?」

F「ユニバーサル・ワンダーランドゾーン、子供にもウケがいいスヌーピーやセサミ・ストリートやキティちゃんをメインにした低年齢向けと見せかけて、たまにガチなモン、混ざってるよな。そしてデッドプールと言えば、キティちゃん好き。ほら、関係ないような話に見えて繋がった!」

S「脳細胞がトップギアどころか、エンストしてるような話の脱線っぷりだったな」

 

 

F「ウェディング・オブ・デッドプールにはウリがいくつもあるんだけど、まずは当然コレだな」

特徴その1:デッドプール結婚!

S「鉄板だ。わざわざ言わなくていいんじゃない?」

F「この間、邦訳が発売されたデッドプール:ドラキュラズ・ガントレットから連なる、一連のストーリー。結婚相手に関しても、ドラキュラズ・ガントレットを読もう! ネタバレは防止しないとな!」

S「このサイトに来ているような人は、みんな結婚相手既に知ってるんじゃないかな……」

F「シャラップ。ああ別に、ナンバリングどおりデッドプール Vol.4:デッドプール VS. シールドの次に読んでも問題ないぞ。元々、ドラキュラズ・ガントレットは非ナンバリング作。そりゃ、読まなくてもOKな作りにはなってるわな」

S「時系列的には、デッドプールVSシールド→ドラキュラズ・ガントレット→ウェディング・オブ・デッドプールなんだっけ?」

F「そうだな。ただぶっちゃけ、いきなりウェディングから読んでも、OKですよ? デッドプールの特徴として“あーわりと、何処から読んでも平気っすよ”ってのはあるからな。確かにデッドプール Vol.1から読むのが、ベストな形なのかもしれんが、ベストを求めたらキリがないし、せっかく興味を持ってくれた人への要求ハードルも高くなる。あんまり正しい形にこだわると、角を矯めて牛を殺すようなことになりかねんしな……」

S「やりすぎは、よくないってことか。で、肝心の結婚なんだけど」

F「結婚式といえば、様々な演者が集まる場所。最も多くキャラクターが描かれた表紙としてギネスブックに認定された表紙に負けず、本編もまたてんこ盛り。ケーブル、キャプテン・アメリカ、ウルヴァリン、タスクマスター、ボブなどなど。好敵手や友人ポジションのキャラだけでなく、アベンジャーズもX-MENやファンタスティック・フォーにクライムファイター勢も総出演な勢い。ヒーローとヴィランの間をフラフラしてたデッドプールの結婚式だけあって、ヒーローだけでなくヴィランもいるぞ!」

S「シビルウォーみたいな大戦争でなく、結婚式という平和なイベントでこんなにキャラクターが集まるのは、珍しいかもな」

F「更に忘れちゃいけない、デッドプール結婚記念アンソロジーも収録! デッドプール曰く、自分は初婚ではなくもう何度も結婚している。ならばその複数回の結婚とは。デッドプールの結婚に際し、かつてデッドプールを担当したライターやアーティストも一挙集結。デッドプール生誕期から現在までのレギュラーシーズン、ケーブル&デッドプール、数々の中短編などなど。デッドプールに関わってきたクリエーターが描く、デッドプールの知られざる恋愛譚! それすなわち、結婚をテーマにした短編集!」

S「知られざる恋愛譚って、後付ってことですよね?」

F「オフコース! でも、当時担当した人間がその当時の物語を描くこと。それはむしろ、結婚という節目に求められていたことだし、このメンバーを集めたのならば当然のこと。後付だったとしても、それは最高級になるんじゃないかな」

S「……確かに、全く関係ないライターやアーティストが過去話を書くよりは遥かにいいし、これだけのメンツを集めておいて、彼らが担当してきた過去を補強させないのは人材の無駄遣いか」

F「この恋愛譚自体も、笑いあり涙ありSFあり、話によって出てくる結婚相手も意外な有名キャラがいたり、その場限りのキャラもいたりで、実にバリエーションが豊富。そうだなあ、その中から注目作を上げるとしたら、やはり映画デッドプールでヒロインを務めたヴァネッサ(コピーキャット)が出てくる短編かな」

デッドプール&ヴァネッサ(コピーキャット)

F「コミックスにおける彼女はどんなキャラで、デッドプールとはどんな関係だったのか。それが一発で分る、まさに映画後に読むにふさわしい短編、どひゃあ! となる意外な結末も含めて、必見だ! あと地味に、デッドプールの好物に関する設定が、めっちゃ補強されているからな!

S「あとはやっぱ、ドクター・ベティが出てくる話? 彼女、デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスのキャラだよな」

デッドプール&ドクター・ベティ

F「デッドプール邦訳史上の魁となり、何度も重版するぐらい大ヒットしているデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスの描き下ろし新エピソードが収録。こりゃあ、おいしいぜ! セクシーなブロンド眼鏡っ娘に、また会える!」

S「欲望に忠実すぎる!」

F「眼鏡っ娘とは、美学なのさ。あと、結婚式の後といえば、ハネムーン。新婚旅行よ。その行き先は日本、さあ妖怪をウォッチして、ビルをキルするような人にも出会える、ドキワクな旅行の始まりだ!」

S「今、改めて読んだけどさ。俺達が住んでいる国って、こんなに物騒だったけか……?」

F「ニンジャスレイヤーなら日常茶飯事よ」

 

 

F「続いてのウリは、コレだな」

特徴その2:デッドプールVS帰ってきたヒトラー

S「映画の興行収入の話?」

F「違う違う! タイミング的にコイツ持ってるとしか思えねえ……な構図かつタイミングでの邦訳だけど、違うから! ベルリン陥落直前から50年代にタイムスリップしてきたヒトラーが、第二次世界大戦当時、兵士として大暴れしてたニック・フューリー(SHIELD就職前)に復讐しようとする話があるんだって!」

S「おいその説明、デッドプール要素が一切ないぞ」

F「ベルリン陥落直前から50年代にタイムスリップしてきたヒトラーが、第二次世界大戦当時、兵士として大暴れしてたニック・フューリー(SHIELD就職前)に復讐しようとする話があるんだって! なんでかそこにいた、デッドプールも巻き込んで!」

S「申し訳程度にデッドプール要素が付け加えられた!」

F「はっはっは、かの有名な総統閣下シリーズとその元ネタとなった映画「ヒトラー ~最期の12日間~」を髣髴とさせるシーンもあったり、ヒトラーの最期の謎も判明したりと、全力全開でナチスやヒトラーをからかい倒してるぞ」

S「それにしたって、一昔前だと、海外でナチスやヒトラー関係をやるのは規制の関係で難しいって言われてたけど、結局どんな感じなんかねえ。ほら、キン肉マン マッスルタッグマッチの海外版でジェロニモとトマホークに差し替えられた、ブロッケンJrと毒ガス攻撃とかあったじゃん」

F「うーむ……時と場合によるんじゃないかなあ。例えばコミックスのヴィランだとナチス残党系のキャラなんてごまんといるし、映画でもさんざんネタになってる。ただ子供向けのキン肉マンのゲームでは、ブロッケンJrはちとマズいかなと判断したのかもしれん。ただ、今回のデッドプールのヒトラーに関しては、遠慮一切なしというか、下記画像を持ってくる域には達してるな」

もう少し手心というか……

 

 

特徴その3:?????

S「伏せ字!?」

F「コレに関しては、是非自分の目で確かめてほしいとしか言い様がないな。言えることは二つ、まずこの???はデッドプールというキャラの根幹に関わっているということ。ひょっとしたら、今現在出ている邦訳されたデッドプール関係のコミックスの中で、最もデッドプールの深層を描いているかもしれん」

S「その域なのか……」

F「そしてもう一つ、この???に深く関わっているのは、謎の男、マッドキャップであるということ」

マッドキャップ

S「あまり聞いたことのないヤツだが、どういうキャラなんだ」

F「事故により信仰も家族も友人も失ったある信心深い男は、信仰と正気を失い、途方も無い狂気と不死の身体を手に入れた。どんな怪我からも回復できる超再生能力と、他人の羞耻心や抑制心を壊す能力で、容易く他人の精神と人生を狂わす能力を持っている。かつてはキャプテン・アメリカやウルヴァリンも苦しめた、マーベル屈指のトリックスターだ」

マッドキャップVSウルヴァリン

S「不死の能力と、本人の狂気。トリックスターであること……似てるな」

F「ああ。マッドキャップは、デッドプールによく似ている。初出自体は1985年生まれのマッドキャップの方が早いんだがな。この二人の狂人が改めて出会った時、一体何が起こるのか。さっきも言ったが、これは是非自分の目で確かめてみて欲しい。ちょっとしたネタバレになってしまうが、この先マッドキャップは、デッドプールにとって欠かせぬキャラとなる。結婚、途絶えぬ因縁、マッドキャップ。ウェディング・オブ・デッドプールは、デッドプールの過去を知るアイテムでありながら、これからのデッドプールのスタート地点ともなる一冊。つまりは、デッドプールの逃れ得ぬターニングポイントってことよ」

マッドキャップ&デッドプール

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプール ~

デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプール

デッドプール・キラストレイテッドデッドプール・キルズ・デッドプール

キラスト・レイテッドあらすじ
デッドプール・キルズ・マーベルユニバースでの殺戮から幾星霜。多元世界を周り、アベンジャーズもX-MENもスパイダーマンも数万回殺し続けてきたデッドプール。この多元宇宙を支配する“創作者”からの開放を望むデッドプールは、マーベルユニバースの更なる根源、創作者のアイディアの源泉となった古典作品の集合体、アイディアバースの破壊を目論む。
巨大怪物の源泉、ギリシャ神話。吸血鬼の源泉、吸血鬼ドラキュラ。チーム物の源泉、三銃士。次々と殺されていく、古典作品の主人公たち。だがしかし、瀕死のマーベルユニバースからのメッセージを受け取った、探偵の源泉たる男。シャーロック・ホームズが多数の英雄を引き連れ、デッドプールの前に立ち塞がる!

キルズ・デッドプールあらすじ
愉快痛快、全次元のデッドプールさんが殺しあうよ!

サイレン(以下S)「あらすじバランス悪!」

ふじい(以下F)「というわけで、デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプールの紹介だ。デッドプール・キルズ・マーベルユニバースと合わせての、デッドプールキルズ三部作の二作だな。それにしても、キラスト・レイテッドが邦訳されてよかったわー。キルズが出た日から、ずっと願ってた」

S「そんなに?」

F「前にも言ったけど、俺、起承転結のうち、キルズ・マーベルユニバースが起承で、キラスト・レイテッドが転結だと思ってるからね? そりゃあ、出てほしいよ。エンディング後のボーナストラックでありながら、真エンドでもある、キルズ・デッドプールも含めて」

S「ストレートに考えても、そりゃ3部作な以上、3本やってほしい!というのは人情だな」

F「まずはキラスト・レイテッドの紹介をするとして……一言で言うなら、デッドプールVS古典文学よね。もしくは、スーパー古典大戦withデッドプール」

参戦作品
ドン・キホーテ
白鯨
クリスマスキャロル
海底2万マイル
トム・ソーヤーの冒険
スリーピー・ホロウの伝説
若草物語
フランケンシュタイン
ジャングル・ブック
変身(カフカ著)
ベオウルフ
花木蘭(ムーラン)
シャーロック・ホームズシリーズ……extra

F「スパロボ風にざっと書くと、こんな感じ。全部書いたわけではなく、まだまだいるけど」

S「何作か、明らかに戦闘能力のない作品混じっているんだが」

F「馬鹿、オメエ、ナメてかかると痛い目見るぞ! VS若草物語なんか、デッドプールさん、マジ死にかけたんだからな!」

S「狂ってるな!」

F「狂ってるよ! スパロボのノリでこうやって紹介できる作品なものの、創作者とキャラクターの関係性、アイディアとは果たして何なのかという、メタを極めたテーマにも踏み込んでいる怪作です。頭脳明晰かつバリツを極めた最高の探偵シャーロック・ホームズと戦うのは、ホームズですら持ち得ない視点を持った怪人デッドプール。シャーロキアン(シャーロック・ホームズの熱狂的なファン)の方が読んでも、新鮮味がある対決なんじゃないかな」

S「で。すげえ簡単なあらすじで済まされたキルズ・デッドプールの話なんですけどね?」

F「キラスト・レイテッドの戦いも、終焉には至らなかった……ならば、根源とは何なのか。そう、俺ちゃんだ! そして始まる、スーパーデッドプール大戦! 既存ユニット、新規ユニット、大量参戦!」

S「きゃあ! じぶんごろし!」

F「今までの話の主人公は、俺達の知っているデッドプールとは別次元のデッドプール(通称:ドレッドプール)だったが……」

S「待った。ドレッドプール?」

F「ああ。俺もうっかり忘れていたところ、指摘されて気がついたんだが、今までキルズの主役を務めてきたデッドプールにはドレッドプールという個体名がつけられているんだよ」

S「ドレッド(Dread)……英単語の意味合いとしては、動詞としてなら~~への恐怖や、恐れること。名詞なら、恐怖や不安そのものか」

F「今作でのドレッドプールのポジションは、ヴィラン。キルズ・デッドプールの主人公は俺達の知るいつものデッドプールにして根源たるデッドプール……正史であるEarth616のデッドプールだな。つまりデッドプールがデッドプール皆殺しの計画を反対派のデッドプールたちと共に阻止しようとするものの、デッドプール皆殺し計画側にも多数のデッドプールが付いていて、デッドプールがデッドプールを殺す惨状になってデップーが」

S「待って。ゲシュタルト崩壊起こしてきたから待って」

F「簡単に済ませるなら、デッドプール一派VSドレッドプール一派の大戦争ってことだな。レディ・デッドプールやキッドプールにドッグプールにヘッドプールのような、デッドプール・コァの面々。デッドプールが捨ててきた身体のパーツをミックスして出来上がった、エビル・デッドプール。エイジ・オブ・アポカリプス版デッドプールこと、デッドマン・ウェイド。有名無名問わず、沢山のデッドプールが出ているな。デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスに出てくるデッドプールの亜種は、フルコンプしてるぞ!」

S「読んでから見ると、おもしろさにプラス?」

F「オフコース! あとデッド・ヘッド・リデンプション。コイツもちょっと関係有るぞ!」

S「短編集だっけか?」

F「この本に収録されている短編“デッドプールが多すぎる”。キングプールだの2頭身プールだのベッドプールだの尻プールだの、色々なデッドプールが湧いてくる作品だが、ここに出たデッドプールも、結構端役として出ていたりする。別の短編には、デッドプール・コァも勢揃いしているし、副読本ポジションぐらいにはあるかもしれんな」

S「前半が既存デッドプールが多めで、後半が新規デッドプール多めかね……なあ、一つ聞きたいんだけど」

F「OK,OK。答えられることなら、なんでも答えるぞ」

S「172Pで殺されている、影で隠れて全身がよくわからないデッドプールなんだけどさ」

ノーコメント

F「彼が、何か?」

S「この人さ、ドラマのARROWとかに出てなかったっけ?」

F「おいおい。アレはDCコミックスのドラマだぜ? デッドプールは、マーベルの作品じゃないか」

デスストロークさん

S「装備とかさ、マスクについてるヒラヒラとかさ、スーツの鱗っぽさとかさ、このデスストロークさんにすげえ似ている気がするんだけど?」

F「うーむ。でも、色が違うしなあ……」

S「あくまで、別人だと言いはるんだな?」

F「いいか。勇気と蛮勇は違うんだ。俺にだって、危険を察知する能力くらいはあるぞ!」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール:モンキー・ビジネス~

デッドプール:モンキー・ビジネス

デッドプール:モンキー・ビジネス 表紙

あらすじ
「デッドプールは誰かの引き立て役なんかじゃない!」
まあ、本人はそう思ってる。でも、果たして本当にそうかな? ヒーローだろうとヴィランだろうと傭兵だろうと、スパイダーマンと共演して目立てるキャラクターは決して多くない。なにしろ彼はアメイジングだからね! さて今回、デッドプールはまるでラブラブな奥さんのようにスパイダーマンにベタベタくっつくことになる。史上かつてない強敵から身を守るためだ。強敵と言っても、サルだけどね。その名はヒット・モンキー。そいつがデッドプールの赤い尻を追いかけ回すのさ!(Amazon商品紹介より引用)

ふじい(以下F)「祝 映画デッドプール全米大ヒット! 日本に吹いてるデッドプール人気という風は、日本だけでなく世界中で吹いている風だったんだ! そしてちょうどこのタイミングで、日本におけるデッドプールのスタートとも言える、モンキー・ビジネスの紹介だ!」

サイレン(以下S)「ところで、なんで今回の商品紹介、ここまでアメリカンでノリノリなんだろう……」

F「いやこの、深夜のテレビショッピング的ノリは嫌いじゃないどころか、思わず口に出したくなるけど。アシスタントのキャサリンと共に、大袈裟なリアクションで紹介してみたい」

S「誰だよキャサリン。どこに居るんだよ、キャサリン」

F「キャサリンは、俺達のアメリカンを欲する心の中にいるのさ。それはそれとして、モンキー・ビジネスですよ。表紙にもなった、“メイド服のデッドプール”。ここから、日本におけるデッドプールの人気は火が点いたと思うのよ。正確には、MARVEL VS. CAPCOM 3との合わせ技」

S「あー、俺、マブカプ3で初めてデッドプールを観た時、アメリカにはすげえのがいるんだな! と思ったな」

F「俺もそんな感じだ。それで調べてみたら、バーン! と出てくるのが、メイド服キメてる姿だぜ? 言語がわからなくても、なんじゃコイツとなるインパクト。そりゃ当然みんな話題にもしたがるし、ガチムチマッチョで真面目なヒーローしか居ないとか、そういうアメコミへの固定観念にヒビが入るだけの一撃だったよなあと」

S「なんじゃこりゃ! と思って調べてみたら、予想以上のなんじゃこりゃ! が出てきたと。それは、調べがいがあるというか、クリティカルヒット感あるよな。でも実際さ、日本におけるデッドプール人気の入り口になっているのはわかるんだが……なんで、ここまで邦訳されなかったんだ?」

F「あくまで私見なんだけどさ。これ原書の原題“Deadpool, Vol. 4: Monkey Business”じゃん? ぶっちゃけ、シリーズにおける4巻じゃん? いきなり途中の巻出すのって、中々厳しくないか?」

S「あー……そういや、そうだったな」

F「ドラゴンボールで例えるならさ、ブルマのポロリシーンやアクマイト光線がめっちゃ話題になってる! よっしゃ! 占いババの試練のトコだけ復刊したろ! ぐらいに蛮勇だとは思うぞ」

S「そこだけポンと出されても、なんで占いババの試練を受けてるのかとか、悟空と養父な孫悟飯との再開とかを理解すんの、難しいだろうなあ」

F「だから、躊躇というか遅れたのは分からんでもないかなあって。ただ、他のデッドプール誌を先に刊行することで、デッドプールというキャラクターの地固めは出来たし、なおかつモンキー・ビジネスの頃のストーリーライン、自分探しの旅というのが元々途中からでも読みいいっていうのがあるので、この辺はもう大丈夫かなって」

S「この時期のデッドプールは、アメリカ中を旅してたんだっけ?」

F「このまま、鼻つまみ者として生きることはただ辛い。人々に愛されるヒーローになるにはいったいどうすればいいのか。そんなことを考えつつ、アメリカを巡っていた時期だな。モンキー・ビジネスの舞台はニューヨークだけど、この直前は、X-MEN入りを希望してカリフォルニアで一騒動おこしているからな。この後の巻では、映画デッドプールにも出てくる情報屋兼技術者のウィーゼルとラスベガスで一騒動起こしてるけど」

S「あの、すいません。毎回各地で一騒動起こしている上に、目標と結果があまり合致していないような気がするんですけど!?」

F「デッドプールだしねえ(悟り モンキー・ビジネスの舞台はニューヨークなだけあって、ヒーローが多いニューヨークでもその象徴となるヒーロー。スパイダーマンが一騒動の相手となってる。現状邦訳でも、アイデンティティ・ウォーデッドプール:スーサイド・キングスで読めるコンビだけど、なんだかんだで面白さのあるコンビだよ」

S「いやでもまさか、本国でもSpider-Man/Deadpoolとして、二人の絡みをメインにした本が出るとは思わんかったな」

スパイダーマン&デッドプール

 

F「日本でも人気のある組み合わせだったけど、本国でもやっぱ人気あったんだなあ。モンキー・ビジネスのスパイダーマンは、デッドプールがなりたい“人々に愛されるヒーロー”の見本的存在というのもあって、デッドプールに迷惑をかけられつつも、完全には見捨てず、諭しもする……」

S「先輩ヒーローとしての顔が強い?」

F「そう、それよ。あと今回、忘れちゃならないのが、暗殺者専門の暗殺者こと、日本猿の殺し屋ヒットモンキーの登場よ」

 

ヒットモンキー

 

S「猿とデッドプールの争いに巻き込まれるって、スパイダーマンやっぱ不幸だよな……」

F「人類史上、稀に見る理不尽な不幸だ。でも俺、この本に同時収録された、伝説の殺し屋ヒットモンキー誕生秘話なヒットモンキー・オリジンが大好きでなあ。瀕死の名も無き殺し屋が猿の群れに出会い助けられ、生命を繋ぐ。群れの中で唯一殺し屋を警戒していた若い雄猿は、奇しくも殺し屋の技を覚えてしまい、そして……伝説の誕生と呼ばれる、ラストの哀しさ。日本猿の殺し屋という、字面だけ見ると面白さだけを求めたような設定が、しっかりと根付いている」

S「別冊漫画ゴラク辺りで連載してもいい設定と雰囲気だよなあ……」

F「もう一本の短編、“アホンダラは電気馬鹿の夢を見るか?”も、田舎の小規模な事件簿として面白いと思うぞ。強敵や大敵相手の話だけでなく、こういう緩い話も箸休めにはいい。それに、ちょっと良いことをして、良い気分になる。スパイダーマンとの出会いで、デッドプールが学んだようで……なんか心地いいじゃないか、うん」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプールの兵法入門~

デッドプールの兵法入門

デッドプールの兵法入門 表紙

あらすじ
『孫子』とは古代中国の思想家、孫武の作とされる、古今東西の兵法書のなかでももっとも著名なものの一つである……が、ひょんなことからタイムスリップしたデッドプールは『孫子』のテキストを盗み出し、ベストセラー作家になって大もうけしようと企む。しかし、21世紀の厳しい出版界では、売れるためには話題性が必要だと言われてしまう。そこでデップーは考えた……だったら『孫子』は本当に使える本だと証明すればいい! こうして人間界とアスガルドを巻き込んだ一大戦争が始まった。果たしてデップー先生の作家デビューは成功するのか?(Amazon商品紹介より抜粋)

 

F「2015年中に終わらせるつもりでいたけど、年が明けちゃったよ! それでもめげずに続ける邦訳レビュー。今年一発目はデッドプールの兵法入門で」

S「もう終わりは見えてる感じではあるな。まあ、そっちが更新できない内に、また新刊が出る可能性も大きいけど」

F「やめて! それはそれで嬉しいけどやめて! とりあえず、この作品のポイントとしては……読んでて楽しいよな、やっぱ」

S「タイムスリップして孫武をぶっ殺して、兵法書の『孫子』奪ってきたぜ! これビジネスにも流用出来そうだし、俺ちゃんが翻訳して出版したら、めっちゃ売れるんじゃね?」

F「孫武を殺すの流れが丸々無けりゃあ、数多くの出版社でありそうなやり取りだけど。織田信長や豊臣秀吉に学ぶビジネス書を出す系の」

S「大河ドラマにかこつけての、黒田官兵衛から学ぶとかな! 今年だと、真田幸村?」

F「父親の昌幸も弟の幸村も徳川に逆らっている状況で、家を保ちつつ拡大させた真田信之の方がビジネス書的にゃあ学ぶことがあると思うんだが……でも実際このデッドプールの兵法入門、世界の兵法の根幹とも呼べる“孫子”を知るには、結構いい本だと思うのよね。歴史に名を残す多くの軍師が、孫子を基礎教養にしているからな。奇策を得意とする軍師だって、まず孫子で基本を学ぶんだぜ?」

S「アスガルドでロキの軍師となったデッドプールの兵法は、普通に孫子に則ろうとしているよな。そして、いやそれアカンから!という事をやらかして反面教師になるロキ様……」

F「この本のロキはビジュアルはレトロなオッサンロキであるものの、策略家でありながらわりと隙があって高転びもする、映画のロキ(演:トム・ヒドルストン)にキャラ造形が近い気がする。ここ数年、映画で出番の無いロキ。ロキファンのタモロスならぬロキロスを埋めてくれる作品として、このデッドプールの兵法入門とディスク・ウォーズ:アベンジャーズを薦めてみてもいいんじゃないかな!?」

S「ディスク・ウォーズのロキは、面白愉快だったからなあ……例えばこのWIKIのディスク・ウォーズの項目、かなりのリソースが“ロキ様ウォッチング”に割かれてるし」

F「ロキ様のおもしろシーン、全部で57項目! 書いた人の努力に、頭を垂れるしかないぜ。あんまりに語ると、この記事もロキ様ウォッチングになりかねないので話を兵法入門に戻すぞ。デッドプールがロキを炊きつけた結果、アスガルドで戦争が始まり、あれよあれよと言う間にニューヨークも巻き込んだロキVSヒーローの戦争が始まるわけだが……」

S「メンツがめっちゃ豪華だよな。アベンジャーズにX-MENにファンタスティック・フォーと、メジャーなチームのメンバーが勢揃いだ」

F「ナレーションで名将と称される、二人の超大物ヴィランとかもな! いやとにかく、豪華。全四話の中編で、ここまで多種多様なキャラクターが揃って、なおかつ戦争というバトルに挑む作品って、早々無いんじゃないかな。この当時本誌では色々あった(例:死亡、闇堕ち)キャラも、“こまけえことはいいんだよ!”精神で普通に参戦! これまた、アーティストのスコット・コブリッシュによるアートも良くてなあ。紙上に大戦を描ききるこの筆もまた、海外コミックスへのイメージを変える新風として紹介してもいいんじゃないかな!」

S「ふうむ、この作品、結構気に入ってる感じ?」

F「タイトルはデッドプールの兵法入門だけど、アメコミやデッドプールの入門書にしてもいいんじゃないかな。比較的安価な1400円(税別)という価格かつ、一冊で完結。多くの人が抱くデッドプールへのイメージを、全四話でまとめ切った巧みさ。入門書に求められるポイントは、抑えられている感じだな。まあ、デッドプールは元々……」

S「元々?」

F「短編や中編、読み切りが多いからな。単発的な作品は、その単体で完結するように作るのは、古今東西の創作出版物における鉄則だ。元々そうやって作られた作品を邦訳すれば数多くの人が読める作品になるのは、当然だろ? 若干形は違うものの、長編の第一話もわかりやすいな。なにせ、そこから始まるんだから」

S「なるほど。道理だ」

F「何回か口にしている道理だけどねー。でもまあ、こうしてちゃんと書いて残すのも大事よ」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプールVS.カーネイジ~

デッドプールVS.カーネイジ

デッドプールvsカーネイジ

あらすじ

いまやマーベル・ユニバースきっての人気者になった“饒舌な傭兵”デッドプール。今度のお相手はカーネイジ……スパイダーマンから生まれたヴェノムから、さらに生まれた“最悪のスパイダーマン”である。殺戮を繰り返すカーネイジがデッドプールと出会い、血を血で洗う凄惨な戦いが始まった。デッドプールがカーネイジの口に手榴弾を突っ込んだかと思うと、カーネイジはデッドプールをバラバラに引き裂く……。常軌を逸した真紅の2狂の凶演、果たして勝利はどちらの手に……!?
(Amazon 商品説明より抜粋)

サイレン(以下S)「久々の更新の前に……色々あったようですが、改めておめでとうございます」

ふじい(以下F)「ありがとうございます。これからも初心を忘れず、勇往邁進の精神で、日々精進し続ける所存です」

S「なんかお前、力士の昇進時の口上みたいなこと言ってるぞ。大関とか横綱に上がる時のアレ」

F「俺のことはどうでもいいとして、まずはデッドプールとカーネイジの話をしようよ! と言いつつも、デッドプールVS.カーネイジの話は前にしているからなあ

S「ああ、結構がっつりとしてるよな」

F「読者が一度見てみたかった、赤い危険人物同士のカードをこうして実現。互いのなんでもアリな不死性から、“殺し合い”という本来ハイリスクな要素をお手軽スナック感覚で使っていて……しかし、互いの性根やあり方を否定しあうトコロまで達しても、結果的に両方の商品価値を落としてない、むしろ上がってるのがスゴいな。人気キャラや一流になればなるほど、刺激的でリスクの高いことがし難いアメコミキャラクター界隈でも、このクラスでこれほどのリスクを乗りこなせるキャラ、そうはおるめえよ」

S「それに、殺し合いに至る過程も非常にシンプルだしな。女優へのインタビューとかそういうのがなく、いきなり本番が始まるアダルトビデオのように!」

F「過程がシンプルなぶん、本番の充実度、もとい作者が書きたいものやテーマに割ける部分が大きいというのもあるねえ。狂人であるカーネイジですら理解できぬ狂気を振りまくデッドプール、やがてカーネイジが気づいてはならぬデッドプールの狂気に足を踏み入れようとした瞬間……。殺傷性と狂気、互いが持つ特徴をどうやって伸ばしていくか、真摯に取り組んでる作品だ。デッドプールとカーネイジの名前が並んで、多くの人が期待するような光景。そのリクエストにはきっちり応えていると思うのよね」

S「ところでこれ、短編のスペーリア・カーネイジ・アニュアルも収録されてるよな?」

F「ああ。凶悪な犯罪者クレタス・カサディ(原文ママ)と、カーネイジの能力を担う共生体。この“相棒”同士が一つになることで、凶悪無比なヴィラン、カーネイジはカーネイジとして存在できる。カーネイジとは何者なのかという基本骨子に焦点を合わせた短編だな。カーネイジはスパイダーマンのヤバい敵として知られてはいるものの、カーネイジ自身が主役な作品はあんま日本には無いからなあ。デッドプールとの相乗りとはいえ、こうしてカーネイジが主人公な作品が邦訳されるのは、いいことじゃないかな」

 

 

S「しかし、今までほとんど没交渉だったデッドプールとカーネイジにこうして因縁が出来たワケだよな。次もし、どっかで再開したら、大変なことになるんじゃないか……?」

F「再開は当分無いだろうと思っていたが、今度はミニシリーズどころか、メインストリームなアベンジャーズ&X-MEN:AXIS(アクシス)と呼ばれるシリーズで再開することになったからな。まったく、アベンジャーズもX-MENも、ビックリだぜ」

二人はマブダチ!

S「あれ!? すっげえ仲良くなってるよ!?」

F「まあ。このフレンドリーさすら前菜レベル、それぐらい混沌極まりなかったAXISでの再開だからな! AXISも本編やタイインしたデッドプール誌が邦訳されますように!(祈り」