アメコミカタツキ~マキジと学ぶブラックパンサー~ 改
※去年末の冬コミ(コミックマーケット91)にて配布したおまけペーパーを、加筆修正したものです。
蒔寺「道行く人が、ブラックパンサー、ブラックパンサーと口々に語っている。黒豹改めブラックパンサーの時代来ちゃったかー。まいったにゃー」
三枝「蒔ちゃん、それって、映画シビル・ウォーの……」
氷室「少し黙っていよう、由紀香。いけるトコまで調子に乗らせておいてから、ガーッと。人がフリーフォールのようにテンションが落ちる姿を見てみたい」
三枝「それ、結構定期的に蒔ちゃんやってるよね!? 調子に乗ってのズコー! だよね!?」
蒔寺「世界よ、これが黒豹だーっ!」
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蒔寺「……」
氷室「うむ。全てを知って予想通り、テンションが紐無しバンジーの如き勢いで落ちたな」
三枝「そう言えば、ブラックパンサーってどんな人なんだろう? 映画のCMだと、蒔ちゃんみたいにすっごく速く走ってたよ」
氷室「まさに黒豹だったな。どれ、コミックスでの設定を少し調べてみるとしようか」
本名、ティ・チャラ。アフリカの王国ワカンダの王であり、アフリカ系黒人ヒーローの魁。黒豹を模したスーツの各所や爪には希少にして超硬度、ワカンダ原産の金属ビブラニウムがふんだんに使われており、高い防御力と攻撃力を誇る。ティ・チャラ本人もオリンピック選手クラスの身体能力とノーベル賞級の頭脳を持っており、ビブラニウムの加工製造やクリーンエネルギーの開発など、彼に率いられた科学陣によりワカンダの技術力と軍事力は世界トップクラス。人格も品行方正で、市井でもごく自然に暮らせる柔軟性も持っている。王妃の座が空いていると知れば、アフリカ中から美女が押し寄せるモテ度であり――
氷室「いやはや、自国特有の鉱物の世界最高の権威が王自身というのは、実に隙が無い。貴重な資源を開拓者に騙し盗られてきたアフリカに、最も求められる能力と言えようぞ」
蒔寺「なんだこのチートは! パンサーなのにチーターってズルくねえ!? コマンド、上上下下右左AB!?」
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氷室「だがやはり、納得いかないな」
蒔寺「おう。言ったれ言ったれ、盛りすぎだって」
氷室「何故アメリカ人の考えたアフリカのヒーローという状況下で、ゴリラモチーフではないのかと!」
蒔寺「そこかよ!」
三枝「あれ? でもブラックパンサーのライバルに、マン・エイプっているよ?」
マン・エイプ
本名:エムバク。ブラックパンサーがアメリカでも活動するようになり、ワカンダを留守にする機会が増えたその時、部族の同胞エムバクの野心に火が点いた! エムバクは聖獣ホワイトゴリラを殺害。ゴリラの血肉を喰らい、ホワイトゴリラの毛皮を着ることでゴリラパワーに覚醒。禁教ホワイトゴリラ教団のゴリラ教祖となり、信者と共に、ワカンダの王座を虎視眈々と狙う。戦え、マン・エイプ!
三枝「この解説、さっきのブラックパンサーの時と、明らかにテンション違うヨ!?」
蒔寺「なるほど! 黒豹なブラックパンサーの対だから、白猿のホワイトゴリラか! 待て! パンサーのライバルってゴリラでいいのか!?」
氷室「あなたは一体何度―― 我々の前に立ちはだかってくるというのか! ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ!」
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蒔寺「それにしたって、黒豹のライバルはゴリラかー。アタシにも心当たりはあるぜ。なっ?」
美綴「いきなり肩抱いて、なっ? じゃねえよ、テメエ」
氷室「蒔の字よ、それは無礼というものだ。人間の皮を被ったゴリラとゴリラの皮を被った人間は同類ではなく、むしろアイデンティティを賭け対立する者同士ではなかろうか」
蒔寺「あっ……! ゴメンな、マユ・エイプ!」
美綴「はっはっは、お前ら、明日からすり潰したバナナしか食えない身体にしてやろうか?」
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美綴「何かと思えば、アメコミのゴリラの話か。アメコミのゴリラと言えば、DCコミックスのゴリラ・グロッド。最近では実写ドラマにも出たし、超高速ゴリラにもなった」
氷室「超高速ゴリラ……またアメリカ人は新たなゴリラ概念を生み出したのか……」
美綴「アニメのバットマン:ブレイブ&ボールドでは、あのジョーカー以上の出番で、ついにはジョーカーを押しのけて最終回の敵に。時には仲間と一緒に歌ったり踊ったりで大活躍だ」
蒔寺「ゴリラの熱いアイドル活動。略してゴリカツ……」
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沙条「ゴリラのコミックスと言えば、早撃ちとゴリラパワーで戦うゴリラのガンマンが西部劇の世界で生きる、Six-Gun Gorillaって作品があってね。これがなんと1939年の作品で、この間著作権が切れた結果、パブリックドメインになったんだ。きっとそろそろ、英霊扱いになるよ?」
氷室「公的なゴリラのガンマン。またも新しい概念だ。しかし、しれっと話に入ってきたな」
三枝「あれ……? わたしたち、最初からゴリラの話してたんだっけ……?」
アメコミカタツキ~氷室の天地で学ぶゴリラキャラ~ 完