ディスクウォーズ:アベンジャーズ第39話。
今年最後の大決戦、オメガウルトロン登場!
先々週:自我に目覚める
先週:量産化
今週:巨大化
なんだこの恐ろしいまでのウルトロンの成長速度……しかもオメガウルトロンは単なる巨大化ではなく、巨大化した上での量産と、原作でもここまでの代物はいたっけ?な超強力ウルトロン。巨大化と量産化、それぞれの例はあるのですが。いやマジもう、来年まで戦いが続いていたら、主人公補正を考慮してもアベンジャーズ勝てなかったんじゃないか? だが、私にはアレが最後のウルトロンとは思えない。第二第三の……いやまあ、第二第三どころか、数えきれないくらい帰ってくるのがウルトロンなんですけどね!w
ウルトロンの正体は、ハンク・ピムの中に眠っていた怪物。妬みや恨みや諦め、己を苛むものが表面化した結果、今回の騒動につながってしまった。三話纏めてウルトロン編と呼ばれていますが、この三話はハンク・ピム編でもありましたね。ウルトロンの悪役としての格が肥大化した結果、ハンク・ピムのヴィランというよりアベンジャーズのヴィラン、全てのヒーローや人類にとってのヴィランとなっている昨今。一個人であるハンク・ピムとの対比図は逆に新鮮でした。
ただ、ウルトロンにとってハンク・ピムはどうでも良い存在なのではなく、自身の拭えぬ汚点にして最大の弱点。ハンク・ピムが居る限り、人類より優れた存在であるウルトロンが劣るはずの人類に造られたという矛盾と対峙することになりますからね。実際原作でも、ウルトロンにとってピムは殺したいし止めを刺したい存在であることは、揺らぎません。
仲間の献身とトラウマに隠れてしまっていた思い出により、ジャイアントマンでありヒーローである己を思い出したピム。最後のDセキュアは、いよいよピムがヒーローに戻ったからできたんだなとあと、なんとなく感じることができました。そういや、ジャイアントマン、エドが連れているってことはパワー属性なんですね。当たり前といえば当たり前なんですが、ワスプがアニマルでバチ魂のアントマンもアニマルだったので、てっきりアニマルの枠に入るのかなあと。ひょっとしたら別のアントマン、例えばスコットの参戦もありえるのか……?
今日の紹介は、委員会の押さえにピムの後押しと、裏MVPなニック・フューリーで! サブレギュラーの紹介と、なんか今年ラストっぽい!? 最後、サプライズ的な登場を果たしたジョカスタに関しては、先々週に紹介したウルトロンの文中で紹介しているのでこちらをどうぞ。まさか、このタイミングで出てくるとは……! 来年のロキ様(INディスク)と僕らのデッドプールさん、人気投票ナンバー・ワンコンビの再参戦! いやあ、読めん! 先が読めんですわ!
ニック・フューリー
ニューヨーク1、治安が悪い区域と呼ばれるヘルズ・キッチン。そんなヘルズ・キッチンで生まれ育った悪ガキの名が世に出たのは、二度に渡る世界大戦の最中。枢軸国の作戦、ナチス・ドイツの野望を幾度と無く打ち砕いた陸軍の精鋭部隊ハウリング・コマンドーズのリーダー、サージェント・フューリー。これが後に悠久の戦歴を重ねることになる男のデビューであった。
戦場にてフューリーは、単なる敵だけでなく、生まれ始めた超人たち。戦後秘密結社ヒドラを結成するバロン・フォン・ストライカーやナチス理想の結晶レッド・スカルをも打破。かのアドルフ・ヒトラーの脳裏に、キャプテン・アメリカをも越える憎き敵として刻まれることとなる。左目を失うという重症を負ったものの、フューリーは戦争終結まで戦い抜いてみせた。
戦後フューリーは、新薬インフィニティ・フォーミュラの実験に志願。薬品を摂取した結果、致命傷を受けてもおいそれとは死なない生命力と、非常に遅い老化速度を手に入れることに成功する。キャプテン・アメリカの超人血清並みの薬であり、作った博士も死亡しておらず精製も容易といい事ずくめに見えるが、インフィニティ・フォーミュラの期限は一年、毎年摂取しないと死んでしまうという最大の弱点がある。博士はフューリーの足元を見て、言い値で薬を販売。フューリーの安くはない稼ぎは、結構な額が博士に吸い取られている。
戦わなければ(金銭的に)生き残れない。フューリーはCIAを始めとした数々の諜報機関に参加、功績を上げ続け大佐に昇進する。なおこの頃、ベルリン陥落直前からタイムスリップしてきたアドルフ・ヒトラー本人に命を狙われるが、謎の不死身の傭兵と未来傭兵の助けを得て、ヒトラーとの戦いに終止符をうった。蜂の巣になったヒトラーの死体は、傭兵たちがベルリンに送り返して、自殺の偽装工作まで請け負ってくれた結果、歴史的にも問題なし。謎の二人組が親切でなによりでした(棒
やがて世界には超人があふれるようになり、様々な組織が彼らとの付き合いを模索することになる。CIAが架け橋役として選んだのは、フューリーだった。これらの仕事もそつなくこなしたフューリーは、世界平和維持組織SHIELDのリーダーとしてスカウトされる。SHIELD長官ニック・フューリーはこうして誕生した。
長い間長官として働き、ヒーロー達ともそれなりに円滑な関係を築いていたフューリーだが、ドクター・ドゥームの国であるラトヴェリア。ドゥーム不在時の女首相ルシアがアメリカでのテロを画策。テロを察知したものの、政治の壁に阻まれたフューリーは、スパイダーマンやルーク・ケイジらヒーローを率いラトヴェリアを急襲、ルシアを暗殺した。だが、生きていたルシアは計画より遅れたもののテロを実行。更には、ヒーローの作戦に関する記憶を消去していたことも判明。フューリーは長官を辞任し、地下に潜伏した。この作戦から辞任までの一件を、シークレット・ウォーと呼ぶ。
以後、SHIELD長官はマリア・ヒルにアイアンマンにキャプテン・アメリカと様々な人間が務めることになる。スパイダーマンの敵であるグリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンも任命されたが、SHIELDとフューリーを嫌う彼は組織を解体、自分の意のままになる組織HAMMERを後釜に据えた。
行方不明になったニック・フューリーは、組織に属するものではなく、一人のエージェントとしての活動を開始。自ら動きつつ、影よりヒーローを支援する。やがてSHIELDの敵であったはずのヒドラがSHIELDを影より動かしていたことが判明、その際にフューリーは新組織シークレット・ウォーリアーズを結成。情報秘匿のため、メンバーは全員新人ヒーローと、中々に思い切った編成となった。この思い切りの良さは、良くも悪くもニック・フューリーの長所である。このような高い戦略的な思考だけでなく、兵士としての格闘術や戦闘術も超一流。二次大戦のレトロな武器から、SFめいた最新兵器まで使いこなせる人間は、そうそう居ない。ベルトスクロールアクション、パニッシャーの2Pキャラでもあった彼に、ゲーセンでお世話になった人も多いだろう。
ここまで紹介してきたニック・フューリーは、白人。現在の映画やディスクウォーズにおける黒人スキンヘッドのニック・フューリーは何処から来たのか。答えは従来の設定を再構築した新ユニバース、アルティメットユニバースの誕生まで遡る。様々なヒーローが改変を受ける中、アルティメット世界のニック・フューリーは黒人として登場した。
以後、サミュエル・ジャクソンが演じた映画版でもこのフューリーのデザインがモデルとされ、スキンヘッドのフューリーは知名度を上げていく。厳密には映画より前、アルティメットシリーズのフューリーをデザインする際に、サミュエル・ジャクソンをモデルにしたとの話もあるので、むしろサミュエル・ジャクソンが根源なのかもしれない。ファンサイトでは二人のフューリーを、ホワイト・フューリーやブラック・フューリーなんて呼び方をしている時も。ふたりはフューリーマックスハート。
あくまで、黒人のフューリーは別の作品であるアルティメットシリーズと映画やアニメに属しており、正史世界には存在しない風貌と思われていたが……。何者かに雇われた傭兵たちに襲われる、ごく普通の黒人兵士。戦いの末、重症を負った彼に告げられる真実。彼の父親はニック・フューリーだったのだ。失った片目に眼帯をかけ、剃髪した彼はニック・フューリー・ジュニアとして、SHIELD入りする。
つまり、外伝的作品から映画を経由しての正史世界への輸入。非常にややこしい経路で、黒人のフューリーもメインストーリーに登場することとなった。ちなみにこのフューリー(ジュニア)登場の際、映画発の人気キャラにしてアベンジャーズの要となったエージェント・コールソンもコミックスに登場するようになっている。この辺、ややこしくはあるものの、映画とコミックスの相互理解を目指している一例と言えよう。