正月企画:カウンシル・オブ・ゴッドヘッズについて語ろう

 マーベルで一番強いチームでございますか。アベンジャーズ……X-MEN……ファンタスティック・フォー……いろいろございますなァ………ただ、たった一つだけというのならやはり……カウンシル・オブ・ゴッドヘッズでございます。

 小芝居で始まる、2020年。あけましておめでとうございます。せっかくの正月なので、ここは神様の話をひとつ。
 いったい、Council of Godheads(カウンシル・オブ・ゴッドヘッズ)とはどんなチームかといいますと、その名の通り、神々の評議会です。正確にはチームと言うより、あくまで緩やかな集まり。必要に応じて集まる委員会や組合みたいなものですね。

 細々と説明するより先に、まずはこの評議会のメンバーを羅列してみます。

・オーディン
・ゼウス
・アフラ・マズダ
・アルトジア
・オシリス
・イザナギ
・アマテラス
・玉皇大帝
・ブッダ
・テスカポリトカ
・ケツァル・コアトル
・ヴィシュヌ
・アナンシ
・ヤハウェ(YHVH)
・ソー
・ヘラクレス

 ソーやヘラクレスですら霞むほどに豪華なメンバーが集結。というか、全員オーディンクラスの主神クラスばかり。ちなみに今挙げたメンバーは比較的日本でも知名度のあるメンバーをチョイスしたので、確認できるだけでも、まだメンバーは数十人ほどおります。そのメンバーも、ハワイにモンゴルにインディアンにアフリカにポリネシアにインカにケルト諸々、全員が神話の主役や大御所となるべき神。参加者の上下関係はあったらいろいろヤバいので無いですが、座長役はオーディン、ゼウス、ヴィシュヌの三神です。

 マーベルの神話において、旧神(Elder Gods)の一人であるガイアが様々な神話に関わり、メキシコではシワコアトル、日本ではイザナミと、各所で地母神としての役割を果たしているので、評議会のメンバーは全員ガイアに関わる者です。ほんと大雑把な関わりですが。大雑把ですが!

 よって若干この流れから外れた聖人や、この豪快な宗教統一劇とは相容れなさそうな神の名は、評議会からは外れております。いやまあ、じゃあなんでメガテンでもマズいのでは!?となった四文字の神を平然と入れてるんすか!?って話ですが。流石に目立つ位置にいるメンバーではないけど、入ってるんだよなあ……。

 導入の小芝居で一番強いチームと評しましたが、本気を出せば大抵どうにかしてしまうオーディン級がゴロゴロいる集団かつ、固定化された集団ではないので、表立って動くことはほぼありません。基本は何か危機が迫った時に集まり、方針を協議する評議会。そしてまあ、このメンツが集まる危機となると、だいたい地球がピンチです。

高次元の巨人たちセレスティアルズや、銀河を喰らう魔神ギャラクタスの襲来。インフィニティガントレットをサノスが手にしたなどの事件があって、はじめて評議会は集結することとなります。ほぼ全員が他の神を率いる立場なので、おいそれと動くわけにもいかず。ニューヨークでヴィランが暴れているぐらいだと、よっぽどそれが神殺し級の厄介者でないかぎり集まりません。でも、たまにマジでそのクラスの厄介者がポン!と暴れていたりするから、マーベルのニューヨークは怖い。

 おそらく宗教的な絡みもあり、映画やアニメやドラマなどに、カウンシル・オブ・ゴッドヘッズがそのまま出ることはほぼ無いと思います。これだけの神様を内包すると、どうしてもこちらを立ててればあちらを立たずが成立してしまうので。ひとまず、コミックスの方ではこれだけ自由にやっております。日本はすぐ神様や偉人を女体化するって言われるけど、思いっきり改変するってことなら、たぶん世界中どの国にも、日本と同じ大胆さがあるんじゃないかな!

 ある次元にてアスガルドに乗り込み、オーディンの座を奪って支配者となった全能たる父にして主神ウルトロン様のご尊顔。機械が人間になるを、あっさり通り越すのがウルトロンクオリティ。
 ウルトロン様のキンキラキンで正月っぽいビジュアルを拝みつつ、今年もこんな感じでよろしくおねがいします。

追跡、アントマン!~後編~

ふじい(以下F)「今となっては2年前に始まったこの企画、追跡、アントマン!~前編~では歴代三人のアントマンを通して、まずアントマンとは何かということを取り上げ、追跡、アントマン!~中編~では初代アントマンであり難しい経歴を持つハンク・ピムについて語ったわけだが」

サイレン(以下S)「始めた頃は、エドガー・ライトが監督に決まったよ! って段階だったんだよな。まさかその後、降板するとは……」

F「結果自体は残念なことになったものの、完成した映画アントマンにもエドガー・ライトが考えだしたアイディアが、結構残っていたらしいぜ? まあ、というわけで後編なんだが……もう、終わりでよくない?」

S「諦めるなよ! 頑張れよ!」

F「だってさー、実は後編の構想としては、映画アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロンの紹介も込みで、アントマン=ハンク・ピムに連なるキャラクターであるウルトロンを取り上げよう! と思ってたんだけど」

S「ああ。ウルトロンの紹介、別の機会にやっちゃったのか……」

F「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズなコラムの37回でな……エイジ・オブ・ウルトロン上映後、真面目に書いたテキストもあるし、この時一緒に取り上げようとしたジョカスタも、コラムの41回で紹介しちまったし」

結婚おめでとうございます

F「延ばし延ばしにしていた俺が悪いんだけど、これもう初期構想通りの後編はいらんかなあって」

S「しれっとジョカスタが可哀想すぎる画像を挟み込むなよ!? しかし、お前、自分で自分の首を絞めるどころか、一から首つり台を作っている感じだな」

F「首つり台からうたってあげるか!? 首つり台から笑ってみせるか!? 映画アントマンの感想も書いてしまったから、この方向性もアウトだ。でも幸い、当時はまだ無かったアントマンの邦訳ってもんが刊行されたからね」

S「えーと、アントマン誕生物語を再構築したアントマン:シーズンワン。スコット・ラングを主人公とした近年開始の新シリーズのアントマン:セカンド・チャンスマン。映画の前日譚や補足となるアントマン:プレリュードの三冊か」

アントマン・シーズンワン表紙

アントマン:セカンド・チャンスマン表紙

アントマン:プレリュード表紙

F「関連書籍としては映画のアート集となるアート・オブ・アントマンもあるけど、これはコミックスとは毛色が違うだろ。しかしアントマンの話題で取り上げているからとの贔屓目抜きで、この三冊のアントマンコミックスはレベル高いぞ。俺好みだ」

S「シーズンワンは、ハンク・ピムを主人公として誕生秘話を再編。アントマンだけでなく、ジャイアントマンやゴライアスのような後に繋がるネタをふんだんに盛り込み済み。アントマン:セカンド・チャンスマンは、正史で死んでいたスコット・ラングが、パッとしない自分自身と向き合いつつ第二の機会を模索する物語。アイアンマンやタスクマスターを筆頭に、色々なキャラが物語を彩る。プレリュードは映画における冷戦時代のアントマン、ハンク・ピムのエピソード。アベンジャーズが居ない時代、間隙のヒーローとなった男の活躍を描く……確かにお前、むっちゃ好きそうだわ」

F「ピリッと小ネタが効いた入門作、ボンクラが前に進もうとする物語、本編を厚くする前日譚やミニエピソード。みんな、大好物でごぜえますよ。それに、どの本にも詳細な解説が付いていたりするからね。そして本日、映画アントマンもソフト化されて発売……さあ、買うかレンタルにGOだ!」

映画アントマン パッケージ

S「あー、もう出たのか。気軽に楽しめる映画だから、多くの人に見てほしいな」

F「仕方ないこととはいえ、本家アベンジャーズも含めて連作しているヒーローは、どんどん前作や世界観に関する知識を求められる流れになるからね。まあ、アベンジャーズ系の映画は、かなりココに気を使って作られてはいるけど……そんな中、投じられた新たな一石、アントマン。新進気鋭の小さなビジュアル体験に、若き父親と老いた父親が失いかけていた物を取り戻すストーリー。もうちょっとしたら、アメコミ映画における地上波放送の鉄板な、アイアンマンに替わる存在になるかもしれん」

S「キャプテン・アメリカ:シビル・ウォーへの出演や、次回作アントマン2となるアントマン&ワスプの製作決定と、アントマン自体の見通しも明るいな!」

F「まさか、アントマンやスコット・ラングがここまでの存在になるとは。コミックスはともかく、現実では間違いなくセカンド・チャンスをゲットしてるぜ……」

日々雑談~2044~

 そうか……もう日付的にはクリスマスイブなのか。今年は仕事や冬コミ作業や体調不良で、こ
こに至るまでの自覚がホント無かったなあ。冬コミ、参加日である三日目まで一週間か……。
 去年のこの時期、何してたんだろうと思ってサイトを調べてみたら、ちょうどディスク・ウォーズ:アベンジャーズのウルトロン回感想を書いていた模様。なおこの時取り上げたキャラは、ニック・フューリーでした。もうアレから一年経ってたのか……ハンク・ピムはファンどころか本国の公式も結構アレな扱いをした結果、クズとかDVとかそういうイメージが先行していましたが、ディスク・ウォーズと映画アントマンでの描き方や登場の仕方で、だいぶその辺払拭されたのではないでしょうか。双方のピムは、気難しく完璧でもなく弱点もあるものの、正義の味方足りえる素質を持っていることからは逸脱してなかったですからね。
 あと、当時書かなかった小ネタとしては……ディスク・ウォーズのハンク・ピムのCVは増谷康紀さんで、ウルトロンのCVは山崎たくみさん。この二人をちょっとキン肉マンフィルターに通してみると、ガゼルマン(CV増谷さん)とセイウチン(CV山崎さん)に。……超人とロボットを二人の超人に変換してみただけなのに、微妙に牧歌的になるのはなんでだろうか。
 それとクリスマス当日には間に合いませんでしたが、去年はクリスマスSSとして「やさしいサンタさん」をアップしてますね。そりゃ“やさしい”と書いてあるんだから、ほのぼのSSじゃないですかね! たぶん! きっと!
 今年のクリスマスは、何かできるかなあ……ひとまず、目の前にあるものを、順繰りに片付けていかないと。なんにせよ、去年から今年、五体満足で新しい方向性に踏み出しつつ一年を過ごせたのは、まずありがたいことです。

ウルトロンについて本気出して考えてみた

 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンのキーワードとなれば、まず出てくるのは“ウルトロン“。アベンジャーズ最大の敵の一人であり、ヒーローが生み出してしまった災厄。だいたいこんな感じですが、果たしてウルトロンという敵は、それだけしか無い存在なのか。答えはNO。
 ウルトロンとは何か。映画を観て改めて考えてみたので、ここに書いてみます。ウルトロンのざっとしたスペックやキャラ付けに関しては、まずコチラを参照に。
 映画におけるウルトロンとトニー・スタークの話にも触れているので、此処から先は映画のネタバレが若干入っております。

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ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その39~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第39話。
 今年最後の大決戦、オメガウルトロン登場!

 先々週:自我に目覚める
 先週:量産化
 今週:巨大化
 なんだこの恐ろしいまでのウルトロンの成長速度……しかもオメガウルトロンは単なる巨大化ではなく、巨大化した上での量産と、原作でもここまでの代物はいたっけ?な超強力ウルトロン。巨大化と量産化、それぞれの例はあるのですが。いやマジもう、来年まで戦いが続いていたら、主人公補正を考慮してもアベンジャーズ勝てなかったんじゃないか? だが、私にはアレが最後のウルトロンとは思えない。第二第三の……いやまあ、第二第三どころか、数えきれないくらい帰ってくるのがウルトロンなんですけどね!w

 ウルトロンの正体は、ハンク・ピムの中に眠っていた怪物。妬みや恨みや諦め、己を苛むものが表面化した結果、今回の騒動につながってしまった。三話纏めてウルトロン編と呼ばれていますが、この三話はハンク・ピム編でもありましたね。ウルトロンの悪役としての格が肥大化した結果、ハンク・ピムのヴィランというよりアベンジャーズのヴィラン、全てのヒーローや人類にとってのヴィランとなっている昨今。一個人であるハンク・ピムとの対比図は逆に新鮮でした。
 ただ、ウルトロンにとってハンク・ピムはどうでも良い存在なのではなく、自身の拭えぬ汚点にして最大の弱点。ハンク・ピムが居る限り、人類より優れた存在であるウルトロンが劣るはずの人類に造られたという矛盾と対峙することになりますからね。実際原作でも、ウルトロンにとってピムは殺したいし止めを刺したい存在であることは、揺らぎません。
 仲間の献身とトラウマに隠れてしまっていた思い出により、ジャイアントマンでありヒーローである己を思い出したピム。最後のDセキュアは、いよいよピムがヒーローに戻ったからできたんだなとあと、なんとなく感じることができました。そういや、ジャイアントマン、エドが連れているってことはパワー属性なんですね。当たり前といえば当たり前なんですが、ワスプがアニマルでバチ魂のアントマンもアニマルだったので、てっきりアニマルの枠に入るのかなあと。ひょっとしたら別のアントマン、例えばスコットの参戦もありえるのか……?

 今日の紹介は、委員会の押さえにピムの後押しと、裏MVPなニック・フューリーで! サブレギュラーの紹介と、なんか今年ラストっぽい!? 最後、サプライズ的な登場を果たしたジョカスタに関しては、先々週に紹介したウルトロンの文中で紹介しているのでこちらをどうぞ。まさか、このタイミングで出てくるとは……! 来年のロキ様(INディスク)と僕らのデッドプールさん、人気投票ナンバー・ワンコンビの再参戦! いやあ、読めん! 先が読めんですわ! 

 
ニック・フューリー

ニック・フューリーニック・フューリーJr

 ニューヨーク1、治安が悪い区域と呼ばれるヘルズ・キッチン。そんなヘルズ・キッチンで生まれ育った悪ガキの名が世に出たのは、二度に渡る世界大戦の最中。枢軸国の作戦、ナチス・ドイツの野望を幾度と無く打ち砕いた陸軍の精鋭部隊ハウリング・コマンドーズのリーダー、サージェント・フューリー。これが後に悠久の戦歴を重ねることになる男のデビューであった。

サージェント・フューリー&ハウリングコマンダーズ

 戦場にてフューリーは、単なる敵だけでなく、生まれ始めた超人たち。戦後秘密結社ヒドラを結成するバロン・フォン・ストライカーやナチス理想の結晶レッド・スカルをも打破。かのアドルフ・ヒトラーの脳裏に、キャプテン・アメリカをも越える憎き敵として刻まれることとなる。左目を失うという重症を負ったものの、フューリーは戦争終結まで戦い抜いてみせた。
戦後フューリーは、新薬インフィニティ・フォーミュラの実験に志願。薬品を摂取した結果、致命傷を受けてもおいそれとは死なない生命力と、非常に遅い老化速度を手に入れることに成功する。キャプテン・アメリカの超人血清並みの薬であり、作った博士も死亡しておらず精製も容易といい事ずくめに見えるが、インフィニティ・フォーミュラの期限は一年、毎年摂取しないと死んでしまうという最大の弱点がある。博士はフューリーの足元を見て、言い値で薬を販売。フューリーの安くはない稼ぎは、結構な額が博士に吸い取られている。
 戦わなければ(金銭的に)生き残れない。フューリーはCIAを始めとした数々の諜報機関に参加、功績を上げ続け大佐に昇進する。なおこの頃、ベルリン陥落直前からタイムスリップしてきたアドルフ・ヒトラー本人に命を狙われるが、謎の不死身の傭兵と未来傭兵の助けを得て、ヒトラーとの戦いに終止符をうった。蜂の巣になったヒトラーの死体は、傭兵たちがベルリンに送り返して、自殺の偽装工作まで請け負ってくれた結果、歴史的にも問題なし。謎の二人組が親切でなによりでした(棒

ケーブル「いやもういいから」

 やがて世界には超人があふれるようになり、様々な組織が彼らとの付き合いを模索することになる。CIAが架け橋役として選んだのは、フューリーだった。これらの仕事もそつなくこなしたフューリーは、世界平和維持組織SHIELDのリーダーとしてスカウトされる。SHIELD長官ニック・フューリーはこうして誕生した。
 長い間長官として働き、ヒーロー達ともそれなりに円滑な関係を築いていたフューリーだが、ドクター・ドゥームの国であるラトヴェリア。ドゥーム不在時の女首相ルシアがアメリカでのテロを画策。テロを察知したものの、政治の壁に阻まれたフューリーは、スパイダーマンやルーク・ケイジらヒーローを率いラトヴェリアを急襲、ルシアを暗殺した。だが、生きていたルシアは計画より遅れたもののテロを実行。更には、ヒーローの作戦に関する記憶を消去していたことも判明。フューリーは長官を辞任し、地下に潜伏した。この作戦から辞任までの一件を、シークレット・ウォーと呼ぶ。
 以後、SHIELD長官はマリア・ヒルにアイアンマンにキャプテン・アメリカと様々な人間が務めることになる。スパイダーマンの敵であるグリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンも任命されたが、SHIELDとフューリーを嫌う彼は組織を解体、自分の意のままになる組織HAMMERを後釜に据えた。
 行方不明になったニック・フューリーは、組織に属するものではなく、一人のエージェントとしての活動を開始。自ら動きつつ、影よりヒーローを支援する。やがてSHIELDの敵であったはずのヒドラがSHIELDを影より動かしていたことが判明、その際にフューリーは新組織シークレット・ウォーリアーズを結成。情報秘匿のため、メンバーは全員新人ヒーローと、中々に思い切った編成となった。この思い切りの良さは、良くも悪くもニック・フューリーの長所である。このような高い戦略的な思考だけでなく、兵士としての格闘術や戦闘術も超一流。二次大戦のレトロな武器から、SFめいた最新兵器まで使いこなせる人間は、そうそう居ない。ベルトスクロールアクション、パニッシャーの2Pキャラでもあった彼に、ゲーセンでお世話になった人も多いだろう。

完全武装ニック・フューリー

 ここまで紹介してきたニック・フューリーは、白人。現在の映画やディスクウォーズにおける黒人スキンヘッドのニック・フューリーは何処から来たのか。答えは従来の設定を再構築した新ユニバース、アルティメットユニバースの誕生まで遡る。様々なヒーローが改変を受ける中、アルティメット世界のニック・フューリーは黒人として登場した。

ニック・フューリー(アルティメット)

 以後、サミュエル・ジャクソンが演じた映画版でもこのフューリーのデザインがモデルとされ、スキンヘッドのフューリーは知名度を上げていく。厳密には映画より前、アルティメットシリーズのフューリーをデザインする際に、サミュエル・ジャクソンをモデルにしたとの話もあるので、むしろサミュエル・ジャクソンが根源なのかもしれない。ファンサイトでは二人のフューリーを、ホワイト・フューリーやブラック・フューリーなんて呼び方をしている時も。ふたりはフューリーマックスハート。

ニック・フューリー(映画版)

 あくまで、黒人のフューリーは別の作品であるアルティメットシリーズと映画やアニメに属しており、正史世界には存在しない風貌と思われていたが……。何者かに雇われた傭兵たちに襲われる、ごく普通の黒人兵士。戦いの末、重症を負った彼に告げられる真実。彼の父親はニック・フューリーだったのだ。失った片目に眼帯をかけ、剃髪した彼はニック・フューリー・ジュニアとして、SHIELD入りする。

フューリーの息子

 つまり、外伝的作品から映画を経由しての正史世界への輸入。非常にややこしい経路で、黒人のフューリーもメインストーリーに登場することとなった。ちなみにこのフューリー(ジュニア)登場の際、映画発の人気キャラにしてアベンジャーズの要となったエージェント・コールソンもコミックスに登場するようになっている。この辺、ややこしくはあるものの、映画とコミックスの相互理解を目指している一例と言えよう。