ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その50~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、50話。
 最終決戦開幕! 押し寄せる悪意、思いもよらぬ結末とは!

 大火力のウォーマシン。空を駆けまわるファルコンとノバ。久々のタッグで名を売ろうとするパワーマン&アイアンフィスト。ビブラニウムを誇るブラックパンサー。ハンク・ピムの知力と戦力としてのジャイアントマンの両立。光の結界でヘリキャリアーを包むドクター・ストレンジ。我らセカンドヒーロー、ここにあり!
 欠席期間が長かったウォーマシンやドクター・ストレンジだけでなく、他のヒーロー達の設定も補完。パワーマンとアイアンフィストと言えば、名を売らなければ食っていけねえ雇われヒーローチーム、ヒーローズ・フォー・ハイヤー! ワガンダ原産な不思議金属ビブラニウムをスーツにたんまり使っているのは、世界最高のビブラニウムの権威ブラックパンサー! 登場回や話の都合で入れられなかった設定を、話を壊すこと無くさらりと挿入。夕方6時半のアニメとしては、やはりこれぐらいのバランス感覚がベストなのではとは思うのですよ。程よいこだわりは元ネタへの敬意でもあり、くすぐられる物です。

 レッド・スカル、ウルトロン、ドルマムゥ……ディスクウォーズに出た大物ヴィランだけでなく、未出演の大物を含め比較してみても、このクラスで他人に腰を低くすることが出来るのはロキ様ぐらいだと思うのですよ。ひとまず同盟を組めたり、絶対的な力に従うヴィランは多いですが、「本気で従っているのかどうか分からず、黒幕どころか読者や視聴者ですら見抜ききれない」程、幅広く上手く従うことが出来るヴィランの極地ではないかと。本気で裏切らなかったり、あまりの自体にヒーロー側に転がる事もありますしねえ。
 ちなみに、腰が低いと言うのは貶し言葉ではなく、褒め言葉です。自分が嘘を付く存在であり、他人に従える存在であることの自覚って、これ一つの武器ですよ。まあロキの場合、自分が絶対的に優れている者であると確信しているからこそ、神でありながら他人の靴を舐めにかかれるワケですが。もう少しマシな理由で辛酸を嘗める事が出来るなら、ロキの不屈さと根気は、下手すりゃアベンジャーズ以上の主人公適正だろうに。

 ロキ様、人を騙す事への自覚はあっても、自分が騙される事には慣れてねえというか想定外なんだよ! そして、アキラ達はほぼ一年ロキとやり合うことで対ロキのエキスパートになっているというね! なんでお前、アイアンマンスーツしっかり着込んでるねん! 「卑怯者め!」小物の特大ブーメランか!という笑いどころはさておいて、真面目に考察すると……ロキの虚言は、相手が多数であればあるほど機能するので、組織であるSHIELDはむしろ得意な相手。かと言って、一人なら一人で、周りから孤立させられるハメになる。つまり、ロキのやり口を全員知っている上に、揺らがぬほどの信頼関係がある少人数の集団が対ロキには最良であり。うむ、アキラ達、完璧な対ロキ特化チームだ。つーかSHIELDって、ロキが属する魔法関係にゃあハナから弱いからなあ。それは、別部署の担当だ。
 しかし今回、本人なんもしてないどころかむしろ頑張っているのに「口出ししてきて邪魔」「絶対負けを認めない」「むしろテーブルをひっくり返す」と、トニー・スタークの株が落ちてきているのはなんでだろう。これはアレか、先週上げた株価が純正価格に戻ろうとしているだけか(酷

 お前ら、待たせたな! 現れたのはミラノ号、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー再登場! えーと、確か30回ばかし宇宙でダンスバトルしてきたとかどうとか……。頼れる援軍とヒーロー達の総力により、ダークディメンションを封じ、ドルマムゥを引きずり出すことにも成功! よし、次回最終回への布石は打たれた……からのロキ様下克上! まさかのラスボス化! ええ、リアルタイムでTwitterの実況を聞いていましたが「まさか!」「ロキやりやがったな!」とTLが驚愕まみれでしたね。一度ボスを務めていたこともありラスボス化は予想していなかった、見え隠れしていたドルマムゥへの不満も最後の最後で裏切ってヒーロー側に加勢する布石だと思われていたのではないでしょうか? ついに来週はディスクウォーズ最終回、小物の花道、最終決戦から目が放せませぬ。「勝ち目キター!」「あれ? ロキラスボス? 勝てるんじゃね」みたいな呟きもTLで乱舞していたのは内緒だ!

 今日の紹介は、マンダリンで。いや今回出てないじゃんとお思いでしょうが、既に最終回の紹介キャラは内定済み。今回の話は、基本新キャラ居なかったよね!?ということで自由枠状態。というわけで、今まで紹介していなかったキャラからマンダリンを選択。登場回をノバの紹介に使ってしまった結果、触れてなかったんですよねー……。
 そしてマンダリンの紹介を全文書いて、見直す段階で「あれ? 今日登場してセカンドヒーローなウォーマシンも書いたことなくない?」と気づくオチ。ええい、今日はもうマンダリンで行くぞ!

マンダリン

マンダリンⅡ

 かつて、中華人民共和国にて巻き起こった粛清と破壊の嵐こと文化大革命。様々な人々が財産や命を奪われる中、とある過程の男児もまた、裕福な家庭に産まれながら全てを失ってしまった。行くあてもなく彷徨い成長した彼が辿り着いたのは、龍が棲まうと言われる深遠の秘境、精霊の谷であった。秘境に足を踏み入れた彼が見つけたのは、壊れた宇宙船。この地に住むと言われていた龍の正体は異星人マクルアン人、フィン・ファン・フームとその仲間たちであった。男は宇宙船よりマクルアン人の超科学を回収、その中でも最も不可思議な能力を持つ10の指輪。一つだけでも所有者に多大な能力を与える指輪を、全て自身で装着してしまう。
 謎の科学と10の特殊能力を持つ、自称チンギス・ハーン直系の子孫、怪人マンダリンが中国だけでなく、世界をも脅かすようになるのはその後の事である。中国で勢力を伸ばしつつ、テロリストを支援することで世界各地に食指を動かす。やがて優れたテクノロジーを持つ最強の男が、世界を征する。マンダリンの夢想を打ち砕いたのは、東洋でなく西欧の男。自身に負けぬテクノロジーを独力で開発した鉄の男、アイアンマンであった。

マンダリン 初登場

 トニー・スタークは、戦場にてテロにあうことにより武器商人たる自身の過ちを反省、正義のヒーローであるアイアンマンとしての活動を始めることになるが、実はこのテロリストの支援者はマンダリンであった。彼の野望を打ち砕いたのは、自身の策略が遠因だったのだ。マンダリンは以後、精霊の谷を本拠地とし、アイアンマンやアベンジャーズとの戦いを繰り広げることとなる。
 マンダリンが装備した指輪が彼から外れることは無かったが、死亡したと目されていた一時期はマンダリンの両手を切り落とすことにより、非嫡出子の息子テムジンが継承。テムジンもやがて自身の指に指輪をはめるが、テムジンの手もまた切り落とされてしまった。指輪は復活したマンダリンが回収。バイオアームで両手を取り戻すが、なんと彼は指輪を脊椎に融合させてしまう。

マンダリンⅠ

 指輪を体内に仕舞いこんだマンダリンは、憎きアイアンマンと再度対決するが敗北。指輪を引きぬかれ、結局元の形に戻ってしまう。その後も戦いは続き、再びマンダリンは死亡したが、今度は指輪を継承した10人の能力者、マンダリン10が出現。アイアンマンを別の形で苦しめることとなる。

 マンダリンの能力は、それぞれが能力者を作り出すほどの、10の指輪にある。以下がその能力の内訳である。

 絶対零度氷の力。アイスビームを発することが出来る。
 暗闇の力により、辺りを暗黒で包み込む。
 精神操作。他人の心をテレパシーで操る。
 分解光線で物質を原子レベルで崩壊させる。
 電撃を放ち、放電することも出来る。
 風の力。敵を吹き飛ばすだけでなく、自身の飛行も可能。
 火炎放射。その温度は、鉄をも溶かす。
 音波や電磁波、波のつく物なら大抵変換できる衝撃波。
 白熱の力と呼ばれるビームを放つ事が出来る。
 分子操作。形を変えるまでには至らないが、分子より物体を変質変換出来る。

 どの能力も、一つで天下が取れそうな能力である。マンダリンは瞑想や修行で、リングの効果を最大限発揮できるように鍛えており、孫子を始めとした兵法を熟知。超人には及ばないものの、武道家としても一線級である。なお、超硬度を持つ指輪つきパンチの威力は特殊能力として筆記されることもあるぐらいに強い。指輪の都合でパンチ攻撃を控えていた仮面ライダーもいるんですよ!?
 ここまで使っていた画像やディスクウォーズのマンダリンを見ていて気づいている人もいるだろうが、実はマンダリンの外見はアイアンマンスーツのアップグレード並にコロコロ変わっている。
 まずはフー・マンチューを連想させる妖しき東洋人デザイン。

初期マンダリン

東洋の怪人マンダリン

 近年のアニメでは、アイアンマンとの対立構造をくっきりさせるためもあってか、フルアーマーとしての洗練された姿を見せる機会も多い。

アニメ仕様マンダリン

 これに加え、上記のスーツ着用や武道家らしい上半身裸の姿。中国伝来の鎧を付けた姿などもある。鎧に関しては、一時期恐ろしく攻め気な時期もあったが。

マンダリン(攻めすぎ

 かの映画アイアンマンにも第一作のヴィラン候補として名前が挙がっていたが、いきなり魔術魔法の域に達しているヴィランというのは世界観的にどうなんだろうか?という事もあり、お蔵入りに。ただし、テロリストとしてテン・リングス(10の指輪)が登場。トニー・スタークを捕縛したテン・リングスの構成員は、前述したテムジンに似た男であった。
 映画アイアンマンへのマンダリン登場は、魔術魔法もある神の映画マイティ・ソーとアベンジャーズを経由したアイアンマン3まで待つことになる。

劇場版マンダリン

 テン・リングスの首領として満を持して世界に宣戦布告をしたマンダリンだが、その正体はある意味とんでもない物であった。総集合映画はともかく、アイアンマンの映画に魔術魔法を持ち込むのはやはり難しかったのか、それとも全力で逆手に取ってくれたのか。余談ではあるが、ゲームレゴマーベルにて原作版のマンダリンと映画版のマンダリンがプレイアブルキャラとして同時に参戦。原作版は多彩な能力を持っているが、映画版はメイおばさんと並ぶ無能力者と、たんなるイメチェンでは終わらない分かっている仕様である。
 未だに本名すら分からない、謎の男マンダリン。ただ、自身がチンギス・ハーンの末裔であり、元々高貴な出自であることは普段より吹聴している。だがしかし、マンダリンの自伝映画を(無理やり)作るよう依頼された映画関係者が矛盾に気づき調べた所、阿片や魔窟に売春婦と言った、刺激的な単語が散乱する出自が浮き出てきてしまった。どうもマンダリンは自身に精神操作の指輪を使うことで、過去の記憶を塗り替えてしまったらしい。強大な力を持つヴィランの、人間らしい弱さを感じさせる逸話である。

日々雑談~1845~

 現在進行形でコミケットスペシャル用のディスクウォーズ本を作っているのですが、「ディスクウォーズに出てないキャラクターをディスクウォーズ仕様にする」が想像以上に楽しく。メインキャラクラスはともかく、B級やC級に属するヴィランには、やっぱ悪魔超人の如き愉快な笑い声が必要よね! 序盤のメインキャラ、キングコブラの如く!

 以前、一部界隈で大炎上していた有害都市の最新話を読んだものの……「ヒーローコミックス界隈にも本来の自分達を取り戻そうとした人達」が居たことには触れてほしいなと。あと正直本音としては「お前ら、あの派手な表紙(注:閲覧注意)でいつか目えつけられると思ってなかったんかい!?」というのもあり。つーか、絶対気づいてはいたよなあ……。それにしても、Twitter上で呟いたら寝た子を起こす事になるなーとなり軽くつぶやけないポジションの表現規制を扱った漫画って、なんか一言で言い表せない難しさがあるな。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その49~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、49話。
 現れた絶望、去りゆく希望、留めるのは絆。

 レッド・スカルが成し得なかった野望、数々の敗北や術策を重ねた結果ウルトロンがようやく辿り着いた一手。人の意思を容易に制圧してみせ、いつでも世界を飲み込めるという事実を知らしめたドルマムゥ。最後の大敵、アベンジャーズの100倍の力を持つとまで言われた魔人。最終決戦に相応しいだけの実力者として、今回思う存分振るってくれました。絶望と恐怖を糧とするドルマムゥにとって、怯える人類は最高級のごちそう。惑星食いの大魔神とは、別の形で星を喰らう男としての本領を……あれ? ロキが支配すべき物、そもそも残らなくね?

 アベンジャーズの完全開放により、ディスクウォーズ、終結。少なくとも、ディスクを巡る戦いには、終止符が打たれたと言ってしまってよいでしょう。元々の計画は、ディスクにヴィランのみを収容し、開放の権限となるバイオコードを責任者たるフューリー長官に与える流れだったのでしょう。これならば、ヴィラン収容のコストカットと安全性を同時に保てますしね。フューリーに全部預けるって、何らかの大爆発を起こすフラグですよね。予測規模としては、ディスクウォーズ本編以上な。
 そして開放された以上、あくまで非常手段として戦いに参加していたアキラ達はお役御免に。更には、記憶と共にバイオコードも奪われることに。非情に見えますが、元々今までの流れが偶然から始まる異常だったわけで、このような形となることはむしろ正しく。アカツキ博士の意見は、子を持つ親として当然でしょう。むしろ、ドルマムゥの洗脳に最終的に抗えるだけの強さを持ってないと、いくら親でも恨まれるのが分かっている非情は、口にできんよ……。

 必死で世界を救おうとするヒーローに懐疑的なだけでなく、ドルマムゥに捧げることすら考えるマーベル市民達。まあ、マニアの鉄板ネタとして“マーベル市民はクソだ!“というのがありますが……正直これ、クソというか普通じゃね?と。実際現実世界でも、一方的な見方から始まるデモはありますし、もっと悪くなれば、デマや嘘まで織り交ぜて他人を批難できる人間も居る。マーベル市民の遷ろいやすさは、ある種現実的ではあると思います。市民を導く者ではなく、市民を支える者。人の自由意志を尊重するというのも、キャプテン・アメリカを始めとする、マーベルヒーロー達のスタンスですしね……。

 例え記憶と繋がりを失おうとも、絆が途絶える訳ではない。理屈としては退くのが正しくても、乗り越えてしまう物がある。例え人の犠牲になることを厭わずとも、分かって欲しい心はある。子供達は思ったよりも強く、ヒーロー達は思ったよりも弱い。だから、支え合えばいい。
 ディスクウォーズ:アベンジャーズは、ヒーローの物語ではなく、ヒーローとパートナーの物語。だから、最後まで共にあって欲しい。これでいいし、これがいいんだ。全てを精算して、繋ぎ直しての最終決戦。次週、激戦必至。

ドルマムゥ(ドーマムゥ)

ドルマムゥ

 混沌の次元、カオス・ディメンション。神からして定からぬこの次元に棲む、精神体種族ファルティン族。身体を持たぬ不定形生命体として揺蕩う彼らの中に、信じられぬ程、強烈な意志を持つ個体が生まれた。個体は身体を欲し機械と融合、生みの親であり長である物も殺してしまう。前例のない罪を重ねた個体に対しファルティン族が出来るのは、件の個体を異次元ダーク・ディメンションに追放することだけだった。個体の名を、ドルマムゥと言う。
 ダーク・ディメンションに追放されたドルマムゥを保護したのは、当時ダーク・ディメンションの支配者の座にあったオルナーと言う者だった。住まう者がほぼ悠久に近い長寿であるダーク・ディメンションの王は、異次元より訪れたドルマムゥと積極的に技術や魔術の交流を図る。特にドルマムゥが興味を示したのは、他の次元を飲み込むことにより、今居る次元を成長拡大させる手法であった。
 ドルマムゥを保護して数十年後、突如ダーク・ディメンションに意思なき破壊種族マインドレス・ワンズが出現する。

マインドレス・ワンズ

 本来、別次元に居るはずのマインドレス・ワンズは、平穏であったダーク・ディメンションに大いなる災禍をもたらす。ようやくマインドレス・ワンズの破壊が止んだその時、ダーク・ディメンションは暗黒の名に相応しい世界に様変わりしていた。未だにマインドレス・ワン出現の理由は分かっていない。分かっているのは、数万年規模で次元を統治していたオルナーや、ドルマムゥの厚遇に反対していた部下は皆死に、ドルマムゥが支配者の座を継いだ事。ドルマムゥがマインドレス・ワンズを手駒として扱い始めた事だけである。

ドルマムゥ(旧コスチューム)

 ダーク・ディメンションの王となったドルマムゥは、他次元を吸収してのダーク・ディメンションの拡大を開始。やがて肥沃なる大地と様々な文明や奇跡と脆弱なる人で構成された世界、地球を発見する。早速地球を贄にしようとしたドルマムゥだが、至高の魔術師エンチェント・ワンの介入により失敗。エンチェント・ワンの死後も、至高の魔術師の座を継いだドクター・ストレンジの手により、何度も打ち破られる。自分より力の劣る者と蔑みつつも、ドルマムゥはドクター・ストレンジの名を怨敵として刻まざるを得なかった。

ドルマムゥVSストレンジ

 地球にはドクター・ストレンジだけではなく、強力な力を持つヒーローが多数居る。ドーマムゥは単純な力押しだけでなく、戦略的な知識を使うようになる。邪悪の神であるロキや同じ性質を持つメフィストら悪魔勢との同盟は、最もたる例だろう。ロキと手を組んだときは、ロキの義兄ソーの居るアベンジャーズとドクター・ストレンジ率いるディフェンダーズを仲違いさせ、同士討ち寸前の状況にまで追い込んでみせた。

ドルマムゥ&ロキ

 ヒーローを排他し、悪であるノーマン・オズボーン(グリーンゴブリン)が政権を奪取した暗黒時代、通称ダーク・レイン期。オズボーンと共にドクター・ドゥームやロキと言ったヴィランが暗黒会議カバルを開催する中、ドルマムゥが表立って動くことは無かった。しかし、オズボーンの腹心として一山いくらなヴィランの纏め役となった、新進気鋭のフィクサー、フッド。魔術を扱い悪魔にも変貌できる彼、本来ただのチンピラでしかない男に一流魔術師並みの力を与えていたのはドルマムゥだった。ドルマムゥはフッドを走狗とし、ドクター・ストレンジの抹殺も図る。彼もまた、違う形でオズボーンの暗黒世界の闇を深めていたのだ。

ドルマムゥ&フッド

 日本では無名に近いヴィランであったが、マブカプ3にてプレイヤーキャラ(ドーマムゥ名義)としてまさかの参戦。技は強力だがその分パターン化しやすいため、行動の単調化を防ぐロジックや激しいゲージ消費にあたっての管理が必要と、入りやすさと一緒に工夫も求められるキャラである。ストーリー面ではドクター・ストレンジだけでなく、オカルト勢として因縁のあるゴーストライダーや、カプコンにおける悪魔勢ことダンテやバージルにトリッシュとのやり取りがある。そして、出身地カオス・ディメンションに君臨する神シュマゴラスとも邂逅。互いに次元の支配者としてせめぎ合う事になる。
 対シュマゴラス戦におけるイントロ「Ancient One, what is thy will?」という台詞には、色々考えさせられる。エンシェント・ワンという言葉は、ストレンジの師匠の名以外にこういう意味もあるのだが……。元住人だけあって、不可解極まりないシュマゴラスの正体や本性を知る、一人なのかもしれない。

ドルマムゥ(マブカプ3)

 ドルマムゥの強さや能力は、想像を絶している。テレポートは次元をも越え、タイムトラベルも可能、テレパシーでどんな生物の思考をも蝕むと、これ一つで一流ヴィランになれる能力を複数所持している。身体自体が魔力の塊であるファルティン族としての素養は、ドルマムゥに無限に近い魔力を供給し、本人の魔術に対する知識も膨大。本来不定形である身体は、縮小から拡大に変貌まで、なんでも可能。地球最強のヒーローであるハルクですら、一人真正面からかかってくるなら歯牙にもかけない。

ドルマムゥVSハルク

 ハッキリ言ってしまえば、ドルマムゥを何度も退けたドクター・ストレンジであっても、単純なスペック比べでドルマムゥに勝てる部分は無い。それどころか、200人近いキャラクターを能力値と共に記録したマーベル・アベンジャーズ事典内にてドルマムゥの数値を凌駕しているのは、全数値カンストな星を喰らう者ギャラクタスぐらいである。総合値に長けたソーや、肉体面はハルクで知力はブルース・バナーという反則ギリギリなハルク。ウルトロンロナンのような、ディスクウォーズ出演済みの強豪ヴィランですら追い付いていない。ディスクウォーズの最終決戦の相手に選ばれたのも納得である。
 では何故、これだけ強いドルマムゥが未だに地球を喰らうことが出来ていないのか。それはまずドクター・ストレンジが人としての全てを振り絞り、能力値をも覆す結果を出してきたからに他ならない。更には、ドクター・ストレンジの力が及ばずとも、ディフェンダーズやアベンジャーズの仲間たちが支えてきた。彼らは協力してドルマムゥに立ち向かい、不利を何度も覆して見せた。

ドルマムゥVSアベンジャーズ

ドルマムゥ撃沈

 ディスクウォーズにおける「アベンジャーズの戦力が100だとしたら、ドルマムゥの力は1万」というドクター・ストレンジの見立ては、原作を初めとした様々なユニバースと比較しても、強烈すぎるどころか平均的な評価である。それどころか、もっとれっきとした形で不利であった戦いも多々ある。だがしかし、ヒーロー達は、勝ち目が無いほどに強大なドルマムゥを何度も退けてきた。ディスクウォーズでも繰り返される光景であることは、きっと疑いようもない――。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その48~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、48話。
 押し寄せる闇、防げるかどうかの水際作戦! 

 ハルク&ワスプ&キャプテン・アメリカ、数の不利を物ともしないバイビースト&アイアンモンガー。巨体かつパワフルな戦艦クラスの二人とはいえ、相手に大和型戦艦クラスのハルク+超優秀な軽巡と駆逐艦なキャプテン・アメリカとワスプがいる状態で、よく頑張った! そもそも数的に最初から不利だし! 後述する通り、アイアンモンガーは最近出番が増えておりますが、バイビーストはホントにね! 昔はダンジョンの奥に居るそこらのボスより上の強敵扱いだったのに、最近は何処でもエンカウントする、パーティー構成ではめんどくさい敵レベルに。アニメとか他所のメディアでも、殆ど出番ないし! ディスクウォーズ参戦キャラに賞か何か上げるとしたら、バイビーストは努力賞の有力候補にしてもいいんじゃないかと!
 ここまで褒めておいて努力賞なのかよ!?とお思いでしょうが、結局支援艦隊来て負けましたしね? 優秀賞やとうどうグループとくべつ賞は、流石にもっと別の候補がいますし……。でも、耐え切ってセカンドヒーローを引き出したことは、評価的にプラスだな、うん。

 いやだなあ、ウォーマシンの事を忘れてませんよ! 本来、セカンドヒーロー一番乗りポジションだったじゃないですか! コイツ、モードック撤退させてマイアミの話したこと以外何もしてねえななんて思ってませんよ!
 ウォーマシンはともかく、多分みんな忘れてたのはロキ様。ドルマムゥが来る!の話題性に、持って行かれていた感はあり。そしてロキ様が輝くのは、こういう人の思考の隙間ができた瞬間。ダークゲート発生装置の破壊とドルマムゥ出現の危機に焦っていたアイアンマンやアキラの隙を突く大活躍。一期ボスの時みたいにデカい力を手に入れて調子乗るのもロキっぽいけど、嫌な所に陣取る敵として出てくるのもまたロキらしさ。強敵や大敵よりも、嫌な敵という評価が似合うのがロキ様の個性にして強み。

 掴めなかったその手を、今度は掴んでみせる。ロキ城での決戦、父親に「息子のために手を離す」という選択肢を選ばせてしまったアキラの後悔。その後悔の精算となったのが、今回の話でした。
 直接戦闘に挑むポジションではないため、戦闘力や攻撃力のような分かりやすい成長度合いは無くとも、バイオコードの進化やパートナーの絆の強化と、アキラ達は確実に成長を重ねてきました。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとの邂逅、ビルドアッププレートの開発、強敵レッド・スカルとの死闘、ウルトロンとの大決戦、デッドプールとの……必要ない、消せ(ロキ談)。
 ローニンとの攻防も含め、成長しなければ乗り越えられない困難を越えてきたことは、成長の証と言ってよいかと。その成長の結果が、ローニンの手を手放さなかった事、逆転の一手となった事。こういう前に進むことで得た物が分かる瞬間は、自分の大好物です。これこそ、長期ドラマの華よね!

 今日の紹介は、鋼鉄の門番アイアンモンガーで! 原作や映画における搭乗者オバディア・ステインにも言及! 巨大な体躯と大火力! 軍事兵器色、非常に強し!

アイアンモンガー

アイアンマンVSアイアンモンガー

 映画にも登場した、アイアンマンをベースにした巨大アーマー。着用者に並外れた身体能力を与え、リパルサー・ビームやレーザーブラストを放つことが出来、ブーツからのジェットで飛行も可能。登場してからしばらくは、オリジナルより複製されたスーツを纏う人間が居たが、ブリザードウィップラッシュのような特化型や特殊装備型でもなく、あくまで大きなアイアンマンでしか無いせいか、スーツとしての出番はインパクトの割に少ない。
 アイアンモンガーをスーツとして解説した場合、本当にこれだけで終わってしまう。だがしかし、アイアンモンガーは今後に繋がる予定の映画アイアンマン、その第一作のヴィランに選ばれたキャラクターである。彼の真価は、アイアンモンガーを纏った男、オバディア・ステインと共に在ることで発揮される。
 企業家オバディア・ステイン。経営学を学び、修得の証であるMBA(経営学修士)を取得。心理戦に長け、非常かつ効率的なビジネス戦略を好む一流の企業家。心理戦や戦略は、得意とするチェスで鍛えあげられており、チェス自体の腕前もチャンピオンクラス。完璧なロジックで磨き上げられた人生こそ、オバディアが歩んできた道である。
 だがしかし、その本質にあるのは物事を勝ち負けでしか、むしろ自分が勝って当たり前の物としか考えられないどす黒い本性であった。子供の頃、チェスでオバディアと互角であった少年は、その結果オバディアに愛犬を殺されてしまった。つまりこの常軌を逸した精神は、幼年期より持ち合わせていた物である。

オバディア・ステイン

 非常に、並べてみたら分からないレベルで、他所の出版社で活躍する超有名アメリカンヒーローのライバルに似ているが、ひとまずそこはスルーして欲しい。多国籍軍需企業、ステイン・インターナショナルの社長となった彼にとってのライバル、勝つべき相手はスターク・インダストリーズの社長であり企業家のハワード・スタークであった。だが、ハワードは事故死。会社は父以上の才覚を持つと言われているトニー・スターク(アイアンマン)が引き継ぐこととなる。表向きは友好関係を保っていたオバディアだが、付き合いつつもトニー・スタークの情報を収集。トニー・スタークがアイアンマンとしての重責に耐えかね、アルコール依存症となった事。友人の力にて立ち直った事を知る。オバディアにとって、このトニーが見せた弱さは、チェックメイトに繋がる一手であった。

アイアンマン:デーモン イン ア ボトル

 オバディアは、得意の心理戦と権謀術数を駆使することでトニーを再びアルコール依存症に陥らせてしまう。スターク・インダストリーズはステインに買収されてしまい、地位も名誉も財産もアイアンマンとしての立場も酒で失ったトニー・スタークはホームレスにまで落ちぶれてしまう。先のアルコール依存症以上の没落。オバディアの完全勝利であった。彼にとってはトニーですら、自分の人生を彩る敗北者の一人に過ぎなかったのだ。
 オバディアに負け、浮浪者となり全てを諦めかけていたトニーだが、偶然出会った女性ホームレスが自身の命と引き換えに子供を産んだ瞬間、生命の誕生と死に立ち会ったことにより、人としての現実と希望を取り戻す。周囲を見てみれば、空位となったアイアンマンの座は親友ジム・ローズが必死で守り続け、アベンジャーズの仲間たちも変わらず居る。全てを失ったわけではない、奮起したトニーはアルコールと決別、赤と銀の2色が特徴的な新型アイアンマンスーツ、通称シルバーセンチュリオンと新会社スターク・エンタープライズ社を作り上げオバディアに挑んだ。

アイアンアーマー マークⅧ(シルバーセンチュリオン)

 なお余談ではあるが、浮浪者となった時に女性ホームレスと出会わず、代わりに変な赤タイツと出会った結果、モードックが首領を務める秘密結社AIMに売っぱらわれてしまった平行世界もあったりする。なんてバッドエンドだ。

トニー・スターク売るよ!

 一方、オバディアだが、負かしたと思ったトニー・スタークの再起に動揺。再起した敗北者により追い詰められた結果、遂にトニーが直接アイアンマンとしてステイン・インターナショナルに乗り込んでくる事態となる。だが、オバディアの手元には最終兵器があった。スターク・インダストリーズを乗っ取った際に見つけた、アイアンマンスーツのデーターと実物。彼は部下に命じ、アイアンマン以上のスーツを制作させていた。
 オバディアの元に乗り込んだアイアンマンが目撃したのは、自分のスーツ以上の大きさと性能を持つ鉄の巨人アイアンモンガーだった。アイアンモンガーとなったオバディアと、アイアンマンであるトニー・スターク。二人の企業家の最終決戦は、肉弾戦となった。

アイアンモンガー

 アイアンマンを超えるアーマーの名に恥じぬ性能を見せ、アイアンマンを圧倒するアイアンモンガーだが、やがて最大の弱点が露となる。トニー・スタークとは違い、スーツを着た経験が無いオバディア。その経験を埋めるため、アイアンモンガーは外部PCの遠隔操作による補助を受けていたのだ。遠隔操作の妨害より、活路を見出したアイアンマンは、アイアンモンガーを遂に撃破する。
 自らの敗北を悟ったオバディアは、トニーに自らの父親の死について語り始める。自分の父親はギャンブラーであり、ロシアンルーレットに失敗して死亡した。父の死を目の当たりにした恐怖で、自分の頭の毛は抜け落ち、敗北とは死である事を学んだ。オバディアの勝つことへの病的なまでの執着は、この一件が原因だったのだ。
 そして敗者となってしまった自分に、生きる資格はない。気づいたトニーは制止するものの、オバディアは自らのリパルサーにて頭部を撃ち抜き死亡する。敗北とは死であると身を持って教えてくれた、自らの父と同じように。勝者であるトニーは全てを取り戻し、敗北者であるオバディアは死亡した。再起したヒーローと再起を選ばなかったヴィランの戦いは、こうして終了した。

オバディアの死

 アメコミのキャラクターは死亡や蘇りが激しいが、オバディア・ステインは蘇っていないキャラクターの一人である。あの世に居ることの確認や短期間の復活はあるが、本格的な復活には至っていない。そもそも、初登場が82年で自殺したのが85年と、映画ヴィランに選出された割に、非常に活動期間が短い。他の映画第一作のヴィラン、レッド・スカルやロキの活動期間数十年+継続中と比べれば、その短さは更に際立つ。
 だがしかし、アイアンモンガーとオバディア・ステインは立派に映画ヴィランを務め上げてみせた。

映画版アイアンモンガー&オバディア

 他所のハゲで企業家な有名ヴィランと差別化するために髭を生やしてみよう! 技術の未熟さによる巨大化とリアクターの窃盗。こうすれば、トニー・スタークの天才性が揺らがぬまま強敵になれる! 非常に細かな気遣いにより、アイアンモンガーとオバディア・ステインはアイアンマンの強敵として再生を果たした。以後、オバディアとアイアンモンガーは、アイアンマン・ザ・アドベンチャーズやディスク・ウォーズ:アベンジャーズのような世界観を再構築したアニメ作品にて、ラスボスや強敵として存在感を示す。ディスクウォーズのアイアンモンガーの中身については明言されていないが、ビジネスパートナーや技術の窃盗といった評価からして、オバディアのルートからおそらく外れていないだろう。

アイアンモンガー(アイアンマン アドベンチャーズ)

 原作での、トニー・スタークを浮浪者にまで追い詰めた数年間。この濃い数年の結果、トニー・スタークは未だにアルコールに脅かされ、様々な世界にてアイアンモンガーはアイアンマンの前に立ちはだかっている。だがある意味これは、敗北は死であり終焉と考えていたオバディアにとって、皮肉的な今なのかもしれない。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その47~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、47話。
 ローニンの中でせめぎ合う光と闇。そして遂に姿を表した、大いなる闇の主!

 ダークディメンションの名称、数話前ロキと共に現れた謎の影、出現や存在は匂わせていた最大最強の敵……ダークディメンションの主、邪悪なる魔術の極み、混沌からの追放者、ドルマムゥ! マブカプ3ではドーマムゥ名義での参戦でしたが、今回はドルマムゥとして参戦。この違いは、DORMAMMUをどう日本語読みするかで。ドーマムゥもドルマムゥも、どっちも合っています。ソーの持っているムジョルニアだって、ミョルニルやムニョムニョとか色々ありますしねえ。
 マブカプ3では、プレイアブルとして参戦したものの、実際のポジションはかの宇宙魔神ギャラクタスや主神オーディンやサノス(ガントレット付き)に比肩するドルマムゥ。ボスとしての格は、神であるロキや邪悪の結晶レッド・スカルを越えかねない存在と言えましょう。つーか今のロキ様、辞書に、
ロキ:強者の腰巾着の意
と書かれても、文句言えないぐらいのアレですし! 笑いの神は追撃の手を緩めないぜ……。
 ただまあ、神でありながらその立場を享受できることは、ロキの強さの一つではあるのですが。今でも、所々、何らかの意図が見え隠れしている気もしますしね。一人勝ちするのは、誰だ?

 先週に引き続き、「もう、あいつ一人でいいんじゃないかな」街道驀進中な、ドクター・ストレンジ。ただし、ディスクウォーズでは一人の力ではなく、アキラ達の力があってこその活躍が多く。トニー・スタークの帰還も、ローニンの居場所の発見も、今までアキラ達が培ってきた絆の力があってこそ。チートではなく、最後のひと押し、触媒としての手段がディスクウォーズにおけるストレンジのポジションかと。戦隊メカにおける、全員集合な最終合体に必要となるロボ的なポジションと言いますか。
 強すぎるドクター・ストレンジは作り手側のさじ加減が難しく、「よく分からない弱体化」「いくらなんでも油断しすぎだろ!」のツッコまざるを得ない不自然さで強さが削られるシーンもコミックスで多々あり。その点、ディスクウォーズは参戦時期や物語の成熟に加えることで、ストレンジの格を落とさず尚且つ物語も維持するという、良い落とし所を作り上げたのではないかと。個人的な話となりますが、自分もアメコミカタツキ4にストレンジを出した時、このさじ加減に苦心した記憶がありますし。ううむ、勉強になる。

 ローニンの暗躍の裏側、闇の力に追いやられても、ローニンの心中にて人としての抵抗を続けていたアカツキ博士。流石トニー・スタークの相棒であり友であり、流石アキラとヒカルの父親であるとしか言いようのない強さ。だからこそ、走狗としての価値を見出されてしまったのでしょう。今週、その意志は潰えたと言われましたが、ロキの算段を幾度も越えてきたヒーローや息子の友であり親であるアカツキ博士なら、きっとまだ……。

 今日の紹介は、下手するとディスクウォーズ史上屈指の「誰!?」なリアクションがあった、バイビーストで! アイアンモンガーは映画に出てるけど、コイツは正直なあ!w

バイビースト

バイビースト

 秘境スカイ・アイランドに住む、鳥人種族アビアン族。超人種族インヒューマンズの亜種と言われ、高度な知性と文明を持つアビアン族だったが、彼らは生存のため冬眠を選択。眠りにつく自分たちの守護者となり、アビアン族が築いた文明のデーターベースともなる存在、二頭のアンドロイド、バイビーストを作り上げる。二つの頭部と二つの頭脳と二つの人格、上の頭脳には戦争や戦闘といった争いに関わる知識を詰め込み、下の頭脳には歴史や文化のような文明に関わる知識を。アビアン族の全てを記すに、一つの頭脳では足りなかったのだ。
 バイビーストはスカイ・アイランドにて一人で二人の守り人となり数年の時を過ごすが、遂に二人きりの孤独に耐えられず暴走。翼を持つ怪物ハーピーを発見した彼らは、アビアン族に似た彼女を捕らえてしまう。だが、とある目的により、ハーピーを追跡していたハルクがスカイ・アイランドに到達。スカイ・アイランドの守護者として、ハーピーを求める者として、バイビーストはハルクと一進一退の攻防を繰り広げる。

バイビースト 登場

 激戦の後、ハルクは正体であるブルース・バナーへと戻り、優れた頭脳を持ってしてスカイ・アイランドを探索。アビアン族の超科学を使い、ハーピーを治療する。ハーピーの正体はAIMの首領モードックにより過剰なガンマ線を浴びせられた女性、ハルク(ブルース・バナー)にとって最愛の女性であるベティ・ロスであった。ハルクとハーピーを追跡し、AIMとモードックもスカイ・アイランドに襲来。モードックの手に落ちるよりはと、バイビーストはスカイ・アイランドと共に自爆してしまう。
 消滅したと思われていたバイビーストだが、海に落ちたバイビースト二号機をSHIELDがヘリキャリアーで回収する。先代のデーターを取得したバイビーストは、スカイ・アイランドとアビアン族が吹き飛んだのは人類のせいだと判断。ヘリキャリアーを占拠し報復を目論む。バイビーストの前に再び立ちふさがったのは、人類の切り札であるハルク。死闘の末、バイビーストは海に落下し、溺死したと思われていた。

ハルクVSバイビースト

 だが、生きていたのか別の機体か、バイビーストは三度活動を開始。スカイ・アイランドの再生と人類への復讐軍の結成を阻んだのは、ソーとアイアンマンだった。以後、バイビーストは様々な場所に顔を出すヴィランとなる。対スパイダーマンチームである、シニスター・シックスの発展形、シニスター・シックスティーンへの加入。カナダの魔獣ウェンディゴや巨竜フィン・ファン・フームと共に、ハルクとの決戦に臨むこともあった。

バイビースト&ウェンディゴ

 あとまあ、下の頭がシー・ハルクに恋したがフラれたり、ファンタスティック・フォーのシングと戦っていたら、ヤバいリスと遭遇したりと、人間味や面白ポイントも結構あったり。

バイビースト&シング&リス

 能力は、怪力とタフネスと言った、シンプルかつ強力な物である。ハルクに匹敵している時点でかなりの物を持っているのが窺い知れるが、アンドロイドである彼の体力は無尽蔵であり、痛覚も無いため、殴り合いに関しては他の追従を許さない。応用力に欠けているものの、アビアン族の知識がつめ込まれた二つの頭の知力も相当な物がある。自身の身体スペックだけで、ハルクやソーのような強力なヒーローと相まみえているのだからシンプル・イズ・ベストの体現者と呼んでも過言ではない。
 ただし、自他共に認める弱点として、二つの人格を持っている事がある。二つの人格に一つの身体、戦闘中互いに主導権を握ろうとしての失敗や失策も多い。
 ディスクウォーズに出たキャラの中でも非常にマイナー側に属するキャラだが、特徴的な外見のせいか背景に居るとそれなりに目立つキャラではある。見かけたら「おっ!?」と驚いてあげて欲しい。

楽しき人生