日々雑談~2441~

 Twitterで反応を見ながらの地上波シン・ゴジラは面白かったものの、シン・ゴジラが面白かったという人に、そのラインでオススメできるゴジラ作品が中々思い当たらないというのは難点かもしれんなあ。シン・ゴジラはゴジラ作品というカテゴリー内においては異端児だし……平成ガメラ三部作やウルトラマンのこっちよりなエピソードの方が、路線的には近いかも。前作となるファイナルウォーズの爽快感も俺大好きだけど、路線は全力で違うしな!

 アニメのGODZILLA 怪獣惑星は、はたしてどういう路線なんだろうね。懐かしき既知でもいいし、斬新な未知でもOK。

 

 大洗に出かけたり、色々バタバタしている間に、エラいことになっていた!
 というわけで、来週のフューチャー・アベンジャーズは二度目のデッドプール回です。またかよ!
 うむ。デッドプールの再登場は嬉しいものの、コラムのネタどうすっぺっていうのと、もはや夜空にいい笑顔で浮かんでいる状態な、X-MENの皆様が心配。アイツ一応、X-MEN関係者なんだけど……。このデッドプールが独立して動いている状態、ある意味、ミュータントというカテゴリー、アイデンティティが薄めなデッドプールだからこそ出来る荒業かもしれんね。

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その9~

 フューチャー・アベンジャーズ第9話!
 アベンジャーズがピンチとなれば、仲間たちが駆けつける……助っ人ホークアイ登場!

 俺が悪いんじゃない、コイツらの集中線とグラサンが被っているから並べたくなったんだ。

 

デッドプール「ふっ。ついにパープルアローが真の力を取り戻したようだな……それでこそ、俺ちゃんたちと並ぶに相応しい男よ」
ガンビット「ちょっと待て。なんで俺がここに呼ばれてるんだ?」

 ホークアイ、デッドプール、ガンビットでろくでなし親しみやすいヒーロー大三元でいいと思うんスよね。

 今回のホークアイは、仕事人ではなくホークアイ:マイ・ライフ・アズ・ア・ウェポンタイプな、近所の親しみやすい兄ちゃんみたいなキャラで参戦。マコトたちと同じヴィラン候補として育てられ、アベンジャーズでははみ出し者からリーダーまでなんでもこなし、数多くの恋愛やズッコケや悲劇や喜劇や死を経験……これら、酸いも甘いも噛み分けた生き様が、近年におけるホークアイの「隣りにいてくれるヒーロー」というスタイルを作ることに。世界を揺るがす大悪党と戦うこともあれば、街のチンピラに睨みをきかせてもくれる。一流なヒーローたちに比べ、かっちりとスタイルが固まらなかったことが、この親しみやすさの土壌にもなったのでしょう。この点似通っているデッドプールやガンビットも含め、彼らのことは超一流の二流と呼びたい。

 マーベル・シネマティック・ユニバースのホークアイも、家庭人たる顔が見えて、コミックスやアニメより歳上をイメージした親しみやすさはあるものの……演:ジェレミー・レナーな時点で、どうしても仕事人キャラが濃くなってるよネ!

 

 ヒーローは割に合わない仕事である。誰に頼まれたわけでもないのに、絶対感謝されるわけでもないのに、報われないかもしれないのに、ただ命をかける。むしろ、この点ではヴィランの方がわかりやすいのでしょう。ヴィランの原動力は、主に欲望。ならば、ヒーローはなんのために動くのか――これは、おそらく永遠の課題であり、絶対的な答えが出ることはないのでしょう。絶対と言い切ってしまった瞬間、輝かしいはずの答えは、欲望以下のおぞましい答えへと堕します。

 絶対的な答えが出ないのならば、求める続けるしかない。たとえ、アベンジャーズを全滅させた相手でも、戦うしかない。

 ストレートな熱血ではないものの、マスターズ・オブ・イーブル相手に挑むホークアイの姿は、まさしく答えを求め続け、他人にヒーローのあり方という疑問へのヒントを教えるヒーローの姿。キャプテン・マーベルやブラック・ウィドウは策略を練って動いていたものの、大筋危機的状況下にあったことは、ホークアイと変わりなく。今回はマコトたちがほぼお休みだった分、アベンジャーズはこちら(視聴者)に背中で語ってきましたね。言葉にならないならない何かを伝えようとする背中ってのは、いいもんです。

 

 キャプテン・マーベルとアイアンマンの作戦、そしてキャプテン・マーベルの能力により、アベンジャーズもマコトも無事かつ、リーダーからエメラルドレイン計画の情報も引き出せるという、最良の結果に。ヴィブラニウムが鍵で、次回の舞台はアフリカのワカンダ……このままリレーしていけば、そのうち宇宙に出ていきそうだな。

 さて、これにて大団円! といきたいものの、今回のタイトルは「W・ソルジャーの正体」。大事なのは、二人の神様の撃退でもリーダーの頭のいいバカっぷりでもなく、謎の傭兵ウィンター・ソルジャーの正体。そして、ウィンター・ソルジャーとキャプテン・アメリカの対峙――

 わかっていても、刷り込まれた記憶が和解を許さない。第二次世界大戦から現代にそのまま蘇ったのがキャプテン・アメリカなら、歪んで蘇ってしまったのがウィンター・ソルジャー。歪みを正す手段があるとすれば、必要なのは正義ではなく誠意。キャプテン・アメリカではなく、メットを取ったスティーブ・ロジャースとしてウィンター・ソルジャーと向き合う姿は、やけに新鮮。キャプテン・アメリカが、アニメでメットを取ること自体が珍しいからかね……?

 キャプテン・アメリカとウィンター・ソルジャーの和解は成されなかったものの、楔を打ち込んだ気配はあった。たとえ殺し合ったとしても、それは二度と言葉もかわせない死という状況に比べれば遥かにマシ、まだ何かが叶えられるかもしれない状況。だからこそ、キャプテン・アメリカは晴れ晴れとした顔で、友情を信じることが出来る。この救いこそ、同じ境遇であるマコトとブルーノに見せた、先行くキャプテン・アメリカの大きな背中なのでしょう。

 

 今日の紹介は、キャプテン・マーベル! とは言いつつも、サブレギュラーのキャプテン・マーベル(キャロル・ダンバース)ではなく、そもそも“キャプテン・マーベル”とはなんなのかというところを紹介。「キャプテン・マーベルって男じゃなかったっけ?」「キャロルってミズ・マーベルだったよな……?」という記憶のミッシングリンクを埋める感じで。

 おそらくフューチャー・アベンジャーズでは、キャプテン・マーベル=キャロルでミズ・マーベル=カマラとなりそうなので、男のキャプテン・マーベルに言及することは、アニメ連動のコラムとして微妙に的はずれな気がするものの……まあ、せっかくだしね!

 

 

キャプテン・マーベル(マー=ベル)

 列強の宇宙帝国クリー。クリーを支配する集合知性体スプリーム・インテリジェンスは、強大な科学力を持ちつつも進化の手を止めない地球人類を警戒するようになる。スプリーム・インテリジェンスは地球人の宇宙進出を妨害するため、幾多の戦争で多大な戦果を上げた英雄マー=ベルを地球に派遣する。地球における白人とよく似た肌と地球人同様の生理機能を持つ種族“ホワイト・クリー”であるマー=ベルは、潜入工作員としてもうってつけだった。

 地球に降り立ったマー=ベルは、身分を偽り地球人と接触。マー=ベルもスプリーム・インテリジェンス同様、地球人に秘められた多大な可能性を知る。だが実際に地球人と接触したマー=ベルはその可能性を肯定し、やがてその力で地球人を助け始める。彼の名はマー=ベル。その名を耳にした地球人は、彼はマーベル(MARVEL)と自称する新ヒーローだと、勘違いしてしまう。MARVELの単語が本来保つ意味は、驚異、そして驚くべき人。幸い、驚異の存在であるマー=ベルと意味はズレていなかった。

 なので、正確にはキャプテン・マーベルではなくキャプテン・マー=ベルであり、一部資料では書き分けの都合もあちキャプテン・マー=ベルとなっている。彼について英語でもいいので調べたい!という時はCaptain MAR-VELで検索すると、他のキャプテン・マーベルが引っかかりにくくなり、多少楽である。

 こうして地球に、キャプテン・マーベルと呼ばれる存在が誕生した。最初は下記のような緑のコスチュームだったが、後に赤を基調としたスーツに変更となる。

 マー=ベルが能力として持っているのは、まずクリー人としての能力。腕力、耐久性、俊敏性、反応共に地球人より優れているクリー人だが、マー=ベルはクリー人の中でも特級クラス。この時点で地球における超人レベルのスペックを持っており、素の状態でも1トン程度なら持ち上げることが可能で、銃弾程度なら軽くさばける。更にマー=ベルはネガバンドという自身の力を倍増させる装備も持っており、優れた身体能力は更に倍増。例えばネガバンドを装備した状態ならば、倍増した腕力で10トン以上の物体を持ち上げることが出来る。

 そしてヒーローとしてキャリアを重ね、様々なアクシデントに見舞われた結果、マー=ベルのスキルと能力はより一層の成長を見せる。腕力は数十トンクラス、飛行速度は光速。手から太陽光エネルギーを集積したファイヤー・ボルトを放つことが可能に。更に、相手の攻撃を広範囲で察知するだけでなく状況と弱点の分析までしてしまうコズミック・アウェアネス(宇宙意識)と呼ばれるレーダー能力も追加。優れた身体能力に、遠距離攻撃やレーダーが追加され、更に死角は無くなった。

 なおマー=ベルを地球に派遣した大本であり、クリー人の統治者と信仰の対象を務めている、クリー人の天才たちの脳と知識を融合した知性の怪物ことスプリーム・インテリジェンス。クリー人の天才たちの脳と知識を融合した知性の怪物である彼はキャプテン・マーベル誕生後も地球人を警戒し続け、ついには地球人の進化の可能性を自身に取り込んだ上での滅亡計画を画策する。

 だが、キャプテン・マーベルをも巻き込むスプリーム・インテリジェンスの計画はことごとく阻止され、やがて地球最強のヒーローチームであるアベンジャーズとも対立。幾度もの戦いの結果、クリー帝国は多大なダメージを負い、スプリーム・インテリジェンス自身も敗北を喫することになった。原因はクリー側にあるものの、ある意味、スプリーム・インテリジェンスの地球人への警戒は間違っていなかったのかもしれない。

 

 晴れてキャプテン・マーベルとなったマー=ベルは、地球を護るため、やがて宇宙全体を護るための戦いに挑む。クリー帝国の障害と反逆者を裁く告発人、ロナン・ジ・アキューザー。クリー帝国所属時からの敵でもある、地球を狙う変身種族、スクラル人。そして全宇宙の生命撲滅を企む巨悪、サノス。数々の強敵相手に勝利を重ねてきたキャプテン・マーベルは、地球の枠を飛び越え、宇宙の守護者と呼ばれるようになる。

 だが、マー=ベルの戦いは、思わぬ形で潰えることとなる。宇宙人による犯罪組織ルナティック・リージョンとの戦いで、マー=ベルは神経性のガスを浴びてしまう。ガスにより、クリー人でブラックエンドと呼ばれる病に冒されたマー=ベル。最初は体力で病を押さえつけていたものの、やがて身体も心も限界を迎える。ブラックエンドと呼ばれる病、それは地球における大病“ガン”であった。

 病による苦しみはマー=ベルを精神錯乱状態に追い込んだが、マー=ベルの精神は病の苦しみに耐え抜き、彼は最後までヒーローのまま、死んだ。クリーから見れば裏切り者であるマー=ベルだが、死を迎えようとする彼の周りには、地球での生活やキャプテン・マーベルとして得た友人や仲間たちが集い、更に死の女神デスと共に彼を死の世界へと導いたのは、宿敵であるはずのサノスだった。
 マー=ベルの生き様は、きっと間違っていなかったのだ。

 

 マー=ベル死後、マー=ベルの遺伝子を受け継ぐ息子、ジェニス=ベル。後にクェーサーという別のヒーローになるウェンデル・ボーン。ダークアベンジャーズ政権下にてキャプテン・マーベルを名乗ったクリー人、マーベルボーイことノー=バー。キャプテン・マーベルの名を名乗る人間は複数現れたものの、全員長期的な定着には至っていない。
 

 変わり種としては、スクラル人のクン・ナーが変身したキャプテン・マーベルがいる。クン・ナーはマー=ベルに変身し、実は生きていたキャプテン・マーベルとして登場する。やがて、スクラル人による地球侵略作戦シークレット・インベージョンが始まり、クン・ナーもまたスクラル側の戦力となる予定だった。だが、マー=ベルの記憶と精神もコピーしていた彼は、キャプテン・マーベルそのものとしてスクラル人と戦うことになる。多数の戦艦を道連れにクン・ナーは死亡するものの、彼の奮闘により、地球側は反撃の一手を打つことができた。

 自勢力を裏切り、地球のために戦うクン・ナーの姿は、奇しくもマー=ベルそのものだった。カテゴリー的には、偽キャプテン・マーベルと呼ぶのが正しいのだろうが、個人的に彼のことはキャプテン・マーベルの一人と数えたい。

 現在キャプテン・マーベルの名を名乗っているのは、フューチャー・アベンジャーズにおけるキャプテン・マーベルこと、キャロル・ダンバースである。生前のマー=ベルと接触し、偶然その力の影響により超人ミズ・マーベルとなり、宇宙人のマー=ベルに地球人の善き可能性を教えた者の一人である。黒いハイレグコスチュームがトレードマークな彼女だが、キャプテン・マーベルの女性版と言える、繋がりがわかりやすいデザインのコスチュームを着ていた。

 キャロルは長年、ミズ・マーベルとして活動してきたが、近年ついにキャプテン・マーベルの名を名乗ることとなり、フューチャー・アベンジャーズと同デザインのスーツに着替えた。

 複数人がキャプテン・マーベルの後継者になろうとしたが、今までのところ、初代の英雄精神に比肩した者はいない。ここまで言わしめる、キャプテン・マーベルの名を継いだキャロル。ここ数年の安定や扱いを見る限り、キャプテン・マーベルの名はキャロルに定着しようとしている。その座が、永く続くことを祈りたい。

 

 これは余談だが、DCコミックスのキャプテン・マーベル(現:シャザム!)とマーベル・コミックのキャプテン・マーベルの間に直接の関係はない。前述した通り、MARVEL自体が驚異的という意味を持っている単語かつ、そもそも現在シャザム!なキャプテン・マーベルの方が誕生自体は早い。

 最もこの辺りの事情は、元々シャザム!が所属していたのは別の出版社のフォーセット・コミックスだとか、フォーセット・コミックスとDCコミックスの間で色々あった末にDCコミックスがシャザム!の版権を得たとか、非常にややこしい。物語の枠を超え、アメコミ史全体に関わる学術的な話にまで及ぶので、また別の機会にでも。これは、本気で腰を据えて挑むべきテーマの一つである。

 それぞれ別の出版社に所属する、二人のキャプテン・マーベル。特別なクロスオーバー企画であるJLA/Avengers内、しかも一コマだけの光景であるものの、互いのライバルを入れ替え共闘する姿には、ややこしいからこそ生じた爽快感と面白さがあったことは伝えておきたい。 
 

 

日々雑談~2434~

マーベル フューチャー・アベンジャーズ もう一人の変身少女

 フューチャー・アベンジャーズ最新話を改めて視聴。新たなるヒーロー、ミズ・マーベル(カマラ)の初登場回。当人の能力やオリジンや人となりを30分にまとめた、素晴らしいオリジン回でしたね。設定を沢山書くよりも、こうして沢山有るものを研鑽して、シュッとさせるほうが難しい。コミックスにおけるミズ・マーベル誕生エピソードはMs.マーベル:もうフツーじゃないのをどうぞ。読み比べると、今回のフューチャー・アベンジャーズがどうシュっとしているのかがわかると思います。シュっと。

 今回の話では語られなかったものの、カマラが能力を得た謎の霧の正体はおそらくアレなので、アレが出るとなると、彼らも……。ディスク・ウォーズでは出番のなかった、かの種族。メディア化も計画されている今、フューチャー・アベンジャーズ登場は果たして! あと、インベンターどうしようか! 今回、アイツの正体は語られなかったものの、今後出番あったり言及されるのかなあ。ある意味、大ネタすぎて扱いに困るというか。さて、コラムの時、どうすっか。

 インベンターのことよりも、やるべきは前のこと。現在、遅れに遅れたコラムの作業中です。感想部分はどの話もほぼ書き上がっているので、まだきっと、追いつけないほど差は広がっていない! と思いたい! 

日々雑談~2420~

 COMIC1の新刊、FGOコピー本「多重螺旋のウロボロス」の原稿が完成……いやー、今回も余裕のないスケジュールだった。同人イベントに挑む時は、毎回余裕を持つよう頑張っているんだけど、いろいろあって上手くいかんねえ。それでも、こうしてギリギリで仕上がっただけでも、まだ行幸。本気でヤバい時は、落ちてるし。さあ、次は冬だ……そしてその前に、まだ製本作業が残ってたわ。なんてこったい。

 

 それでもとりあえず本文は片付いたので、Dies iraeの第一話と、フューチャー・アベンジャーズの最新話をイッキ見。うむ、いいものを見たな!という、ゲップが出る状態。予兆であった第0話とは趣を変え、地固め+メインルート持ちヒロインが一気に登場となったDies irae。超人規制法という、ドツボにはまりがちなテーマを、しっかりとライトかつ食いごたえあるように料理しているフューチャー・アベンジャーズ。どちらも、匠の技。実に勉強になるなあ……。フューチャー・アベンジャーズはギリギリの視聴となったものの、朝となれば即続きがみれるのは、ありがたいねい。

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その8~

 フューチャー・アベンジャーズ第8話!
 親友であったはずの男たちの戦い、それは身を削る痛みのある戦い。 

 

 キャプテン・アメリカの年齢も(あの世界の)アメリカ史に関わってきそうだけど、ソーの年齢も神代の謎を解き明かす上で一回ハッキリさせておいた方がいいと思うよ! つーか、キャップの年齢って、凍結期間があるから1918年ってハッキリ設定しても調整効くのよね。トニーなんか、時代ごとにアイアンマンになるきっかけの戦争が変わってるし……コミックスの第一話だと、敵は赤軍ゲリラで場所はベトナム戦争だったぞ。

 俺、映画キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーのラストシーン、数十年の時を経て復活したキャプテン・アメリカが変わってしまったニューヨークに戸惑う所と、その後戸惑いつつもトレーニングを重ね今を生きようとする姿が大好きなんだ。だって想像してみてくださいよ、ある日起きたら、自分の周りの物も人も大半が無いか大きく様変わりしているんですよ? 自決を選んでもおかしくない孤独な浦島太郎が、勇敢に現代を生きる姿。それでも時折見せる疎外感が、キャプテン・アメリカの大きな魅力の一つかと。

 

 ヒドラ島は壊滅し、レッド・スカルは捕らえられ、ブルーノは死亡同然に姿を消した。だがまだ、全てが終わったわけではない。それどころか、何も始まっていなかったのかもしれない――

 謎のエメラルド・レイン計画とブルーノの復活とマコトの発作。全ての答えはザ・リーダーの頭脳の中に。これからフューチャー・アベンジャーズが終わるまで、俺は「マスターズ・オブ・イーブルのリーダーのリーダー」とややこしいことをわざわざ書きたくなる衝動と戦わなければいけないのか。そして正直、ハルクからレギュラーヴィランが来るとしたらアボミネーションかレッドハルク辺りだと思っていたので、ガンマ線の頭脳派ザ・リーダーの参戦は今でもビックリよ。

 組織はあるものの(単独では)不確かな知識しか無かったレッド・スカル。知識はあっても資金と工程の面で不安があったザ・リーダー。エメラルド・レイン計画が不安定な形でマコトやブルーノの中で育ってしまった理由はコレか。そして、ザ・リーダーという製作者で、レッド・スカルが使っていたナノマシンの謎も解けた。トニー・スタークも舌を巻く技術を持っている頭脳派ヴィラン、ザ・リーダーのデビューとしては上々よ。

 あと、ザ・リーダーのテレポート技術にトニーが驚いてましたが、何気にテレポート技術は様々な超人や超技術に溢れているマーベルユニバースでも希少なものです。自由自在となると、どうしてもねー。デッドプールのテレポート装置みたいに、安定性や信頼性がマイナス評価なシロモノを入れても、あんま無いね。多彩な能力者を抱えているミュータントでも少数、魔術だと人数や距離規模に応じて術者への負担が多大なものになる、科学で再現するならトニーがつきっきりで徹夜してなんとかなる域。

 これもザ・リーダーの能力の高さに含めてもいいんだけど……ひょっとして、別の協力者がいるのかもしれん。同程度の科学者や、別の視点を持つ技術者がいる可能性を考えたほうが、色々と面白いからな!

 

 雷神VS戦神! 科学VS魔法! アベンジャーズとマスターズ・オブ・イーブルの対決。だが、今回の戦いの本質は、旧友同士の戦いに有り!

 エメラルド・レイン計画の「進化」が引き起こした、マコトVSブルーノ。死んだはずの男という「過去」が交錯するキャプテン・アメリカVSウィンター・ソルジャー。新キャラ同士が進化で、既存のキャラ同士が過去。見事な好対照ね。途方もない進化の真実、過去を失った理由。これらが明かされるのは、おそらく先の話なものの、そこにはまず間違いなく、親友同士が戦わねばならない重みがあるはず。絆が濃いぶん、戦いは熾烈に、そして悲しいものになってしまうのです。

 次回は、キャプテン・マーベルだけでなく、助っ人ホークアイとブラック・ウィドウも参戦。敵も多いが味方も多い、それが広大な世界観を持つアメコミの強みよ。

 

 今回紹介するのは、ザ・リーダー! ガンマ線を浴びた者でありながら、その力は体力ではなく全て頭脳に。マーベルユニバース屈指の頭脳派ヴィランの危険度とは!?

 

 

ザ・リーダー

 サミュエル・スターンズという男が居た。高校は中退、身体能力も平均以下、優秀な実兄に比べ、頭脳体力ともに見るべきところのないサミュエルは家族にも見捨てられ、鬱屈とした思いを抱えたまま大人になった。サミュエルは、政府の研究施設に掃除夫として就職。ただただ、掃除と雑用の繰り返す日々を過ごす。

 だがある日、サミュエルの間近でコンテナがひび割れたことにより、彼の運命は一転する。コンテナから放たれた放射線を致死量まで浴びたサミュエルだったが、奇跡的な生存を果たし五体も無事だった。意識を取り戻したサミュエルは、ただただ貪欲に本を読み始める。難解な本を読むたびに、サミュエルの知能はどんどんと上がっていき、あっという間に学者すらおののく知識レベルに達してしまった。

 だが、サミュエルが知性を深めていくたびに、彼の肌は緑に染まり、頭蓋骨と頭脳が急激な膨張を繰り返した結果、その頭は長細い異形となってしまった。サミュエルは自身が浴びた放射線がガンマ線であることも理解し、知性の急激な成長はガンマ線の影響であることも理解する。そして何より理解したのは、自身が惰弱な全人類を支配下に収めるに相応しい知性を持つ存在であることだ。彼の鬱屈とした精神は、類まれなる知性を手に入れることで、傲慢そのものに変貌してしまった。

 全てを理解した日、サミュエル・スターンズは消えた。代わりに産まれたのは、人類の支配者(leader)を自認する、知性の怪物ザ・リーダーであった。

 

 ザ・リーダーは自身の頭脳を持って早速世界征服の計画を練るが、すぐに障害にぶつかった。

 自身と同じガンマ線で変貌した人間でありながら、全てを力に注ぎ込んだ男。後天的な天才であるザ・リーダーとは違い、元々優れた知性を持っていた天才。障害の名はハルク、そしてブルース・バナーである。

 ザ・リーダーは己の知性の全てを使い、強大な力を持つハルクと何度も対決。時には自らの身体を強化改造し、肉弾戦で。時にはリーダーらしく、様々なヴィランを率いて挑んだものの、結局緑の巨人を倒すことはできなかった。

 ハルクとの戦いにより、ザ・リーダーの知性はますます強化されていき、頭部の変貌現象などもあったものの、ハルクも戦いにより成長してしまったため、戦いが優位になることはなかった。

 

 ハルクと戦うには、パワーやスピード、何かずば抜けていないと勝負にならない。そんなハルクに頭脳で立ち向かうザ・リーダーの知性は、専門分野でありよく悪事に利用する遺伝子工学や放射線研究だけでなく、物理学やロボティクス、新兵器やアンドロイドの発明制作、制作からハッキングまでコンピュターを熟知と、実に多才である。肥大化した頭脳は恐ろしいまでの直感力と記憶力を有しており、その直感はもはや確定予測に等しく、無限に等しい容量を持つ記憶力は、地球上の図書館全ての蔵書を脳内に収めかねない。もはや、ザ・リーダーに知性に関わることで出来ないことはないとまで言われている。

 知性とは若干方向性の違うザ・リーダーの脳が持つ力としては、様々なサイキック能力がある。人を操るテレパシー能力や、機械の遠距離操作や直接攻撃もこなすテレキネシス能力は、ザ・リーダーの知性の可能性を広げ、弱点である身体能力の低さを補っている。リーダーで、高い知性を持っていて、サイキック能力が使えて、身体能力はそれほどでもない。特徴だけ抜き出すと、X-MENの創始者ことプロフェッサーX(チャールズ・エグゼビア)に似ている。最も、ザ・リーダーのリーダは自称なので、統率面に関しては、有名ヒーローチームの大きな要であるプロフェッサーXに大差をつけられているが。

 

 ザ・リーダーは何度か能力を失い、ただのサミュエル・スターンズに戻ったものの、そのたびにしつこく復活を果たしている。その中でも、目立った変化があった時期は、肌の色が赤かった時期だろう。ある時力を失ったサミュエルは、赤いガンマ線を浴びせられレッドハルクやレッドシーハルクのような、赤い肌のレッドリーダーになった。

 なんとこの時期は、ヒーローチームであるサンダーボルツにも所属している……だが、元々がヴィランにより結成された偽のヒーローチームであり、更生後や再編成後もどうにもクセがあるのがサンダーボルツというチーム。レッドリーダーが所属した時期のサンダーボルツは、レッドハルクをトップとし、パニッシャーやエレクトラやゴーストライダーやヴェノム(フラッシュ・トンプソン)やデッドプールがメンバーに名を連ねる、究極のシングルプレイヤーたちのチームだった。

 正直、レッドリーダーでもあまり目立たないぐらいに、全員キャラ立ちしていた。

 

 ガンマ線を浴びた結果、肉体が強化されたハルクやアボミネーションとは違い、何故ザ・リーダーは頭脳のみが強化されたのか。様々な説があるが、興味深いのは、子供の頃からずっと比べられてきた賢くて優秀な兄へのコンプレックスが原因で頭脳が強化されたという説だ。複雑な精神性を持ったブルース・バナーが強力無比のハルクとなったように、ガンマ線によるパワーは当人の精神構造が大きく影響している傾向もある。サミュエルの精神構造が、ザ・リーダーへの変貌に大きく関わっているというのも、有り得る話だ。

 なお、サミュエルが幼年の頃からコンプレックスを抱いてきた、天才たる実兄フィリップ・スターンズ。彼は高校大学と順調に進学し、大学院に入学するものの、そこでクラスの最下位という屈辱を味わうことになった。卒業後はガンマ線の研究者になるが、政府の期待も支援も、全て大学院時代クラス1位だった男、ブルース・バナーに注がれた。

 クラス1位の立場も期待の研究者の身分も、ブルース・バナーがハルクとなって手に入れた強大な力も、全部自分の物になるはずだったのに。見当違いの嫉妬に燃えるフィリップは、自分もハルクの力を手に入れるため、ブルース・バナーがガンマ線を浴びた状況を再現。ハルクにはなれなかったが、身体を自由自在に変化縮小出来る能力を手に入れる。だが、フィリップの精神は分裂してしまい、その心中には途方もない狂気が住み着いていた。ハルクを付け狙う狂気の男マッドマンは、こうして誕生した。

 フィリップとサミュエル。兄弟二人は、同じ男により、野望や夢を粉砕されたこととなる。ハルクという共通の敵を得たことで、兄弟二人の距離が縮まったのは、なんとも皮肉な話と言えよう。

 
 
 サミュエル・スターンズはマーベル・シネマティック・ユニバースに属する映画、インクレディブル・ハルクにも登場。頭部が不気味に膨張し、次回作でのザ・リーダーへの変貌を予感させるシーンがあるものの……今のところ、インクレディブル・ハルクの続編同様、ザ・リーダーとしての彼の登場予定は無い。

 映画のサイドストーリーとなるコミックスであるアベンジャーズ:プレリュードでその後のサミュエルがフォローされているものの……それはSHIELDに捕獲され、実験動物同様の扱いを受けている姿だった。映画でのサミュエルは、ブルース・バナーとハルクを実験動物として見ている面があったが、それがカウンターで返ってきたことになる。運命の移ろいを感じる、哀しい話だ。