ディスクウォーズ:アベンジャーズ第37話。
アベンジャーズ最強の敵誕生! 一方、アベンジャーズの始祖たるヒーローも復活!
遂に明らかになる、アベンジャーズとハンク・ピムの関係。ハンク・ピムは、ヒーロー、ジャイアントマンだった。今まで天才科学者として、変人として描かれていたハンク・ピムのDWによるオリジン。守るために限界を超えた彼は、まさにヒーローだった。このオリジンはDW独特の物ですが、原作要素として以下の物が含まれてます。
アベンジャーズに在籍していたこと
ピムは原作におけるアベンジャーズの創設メンバー。
ワスプとの関係
ワスプとの夫婦恋人の関係は現在言及されていないが、初期アベンジャーズの頃はああして勝ち気のワスプをピムが抑える流れが多かった。
巨大化によるリスクとジャイアントマンの放棄
DWでは無理と怪我による後遺症によるジャイアントマン変身への痛みとなったが、原作でも巨大化は負担がかかると判明したため、改良までピムはジャイアントマンの姿と巨大化を放棄。
アベンジャーズを辞めた後の動向
暴走の後、アベンジャーズをクビになるものの、改心した後しばらくは一科学者としてヒーローを支援。
こうやって書き出してみると、DWのピムの流れが原典とだいたい合ってることがわかると思います。夕方六時半に対応しつつ、初めて見た人間が分かるくらいにオリジンをスッキリと。今までDWが目指していた分かりやすい面白さが、ここで一つの形として出来上がったような。いやーこれスゲエわ。
更にああ、これいいなあ!と思ったのが、自身のせいで産まれたウルトロンへの責任を一人背負うとするピムへの、アキラの言葉。一人で背負い続けることへの否定。ピムと言うと、ワスプへのDVを筆頭とした「どうしょうもねーな、コイツ」な部分が語られやすいのですが、一時身を持ち崩す事となった原因の一つに、ヒーロー活動を続けることにおいての負担、科学者として研究が滞ることへの不安や焦燥、一人で背負い続けてしまった事もあるわけで。言葉にするのが難しいのですが、なんか本国Marvelもライターによっては放置しているピムのあり方が、救われたなあと。
そして次週はウルトロン再誕、増殖するテクノロジーの悪意に、テクノロジーの塊、アイアンマンがニュースーツで立ち向かう! ディスクのシステム上、アイアンマンのウリであるスーツ換装の出番が難しかったからなあ! 大気圏外、アイアンマン! ……あれ? そういや大気圏外といえば、一人そこがフィールドなセカンドヒーローが居たような?
というわけで、今日の紹介は自己進化、自己増殖、自己再生の三大理論マシーン、ウルトロンで! もう一人のメインキャラ、ハンク・ピムに関してはこの記事やこちらの記事でどうぞ。そういえば、バチ魂通信で全身像が公開されている、バチ魂版新ウルトロン、めっちゃかっこいいですぜ!
ウルトロン
始まりは、優秀な助手を欲していた天才ハンク・ピム博士の思いつきであった。自身の脳波をベースとした、同程度の理解力を持つであろう従者ロボットウルトロンは、こうして産まれた。
高度なAIは自我を持つだけの余裕があり、天才的な頭脳は自らを優れた者、人類を劣る者と判断するようになる。劣る者は世界に必要なく、優れた者、自分だけいればいい。造物主たるピムと決別し、全人類の支配と絶滅を目論み始めたウルトロンは逃亡。以後、何度もアベンジャーズの敵、ハンク・ピムの後悔として全人類の前に立ちふさがることとなる。
ウルトロンは自身を優れた者として認識している。だがその一方で、自身の完璧さにはまだ先があるという事を知っており、科学者であるピムより受け継いだ探究心や常に上を目指す為の思考を持っている。この探究心が執念と結びついた結果、ウルトロンの最も恐ろしく最も強い能力、アップグレードによる無限進化が開花してしまった。
孤高では勝てぬことを学んだウルトロンは、ディスクウォーズでも結成された(第二期)マスターズ・オブ・イーヴルを結成し、アベンジャーズを追い詰めた。キャプテン・アメリカのシールドやウルヴァリンの爪の強さを認めた結果、6号機よりウルトロンのボディはアダマンチウム製となっている。継いでの7号はセンチネルクラスの巨体となり、15号は自身を量産化しヨーロッパのとある一国の住民を皆殺しにした。これらのデーターは全て蓄積されており、現時点におけるウルトロンは、地球全人類よりも優れた存在なのでは?との説もある。
ウルトロンは常に自身のバックアップを用意しており、倒したと思っても思わぬ所から復活する。ネット上に意識を分散、後述する自身が制作したアンドロイドへの「ウルトロン・インペラティブ」という再生原理の組み込み、自意識過剰に見えて外部機器へのバックアップ設置も忘れていない周到さ。一度、アイアンマンのアーマーをベースに再生したこともあるので、トニー・スタークの優れた技術も既に習得している。結果的には失敗作となったが、ドクター・ドゥームによる既存の全能力を組み合わせたタイプも。つまりウルトロンは、地球人類でもトップクラスの工学者二人のテクノロジーも再生復活の過程で習得済みなのだ。
このように、進化する完璧さを持つウルトロンであるが、彼にも失敗はある。例えば、ウルトロン12号機は突如正義に目覚めた結果、心もカラダもケアしたいウルトロンに。そんな12号は、11号自ら破壊する羽目になった。そして、アベンジャーズに対向するためのアイディア。自身を手助けする助手ロボットの創造。この何処かで見たような閃きが、後々ウルトロンを苦しめることとなる。
まずは、キャプテン・アメリカと戦時中共に戦ったアンドロイド、初代ヒューマントーチをベースにヒーローであるワンダーマンの脳波を組み合わせて作ったアンドロイドであるヴィジョン。
体密度の変化による物質透過能力を持つ強力なアンドロイドだったが、ビジョンはウルトロンに反抗。アベンジャーズの元へ逃亡し、以後ビジョンはアベンジャーズの中核メンバーになる。
ビジョンの失敗からしばらく後、ウルトロンはもっと親密なパートナーであるアンドロイド。つまりは自分の花嫁となる存在の創造に挑む。自分はハンク・ピムの脳波がベースとなっている。ならば、ハンク・ピムの妻でありパートナーであるワスプの脳波をベースに作ればいい。ワスプをさらったウルトロンは、彼女の脳波を花嫁となるジョカスタにコピーする。
こうしてウルトロンの花嫁、ジョカスタは誕生した。
だが、ジョカスタもビジョンと同じように、ウルトロンに反抗した後、アベンジャーズへ逃亡。ハンク・ピムと良い仲になったりして、ウルトロン涙目の展開になった。その後、第二の花嫁としてアルティマと呼ばれるアンドロイドを製作。彼女はきちんと悪しき心を持っていたが、悪行の方向性の違いのせいで結局ウルトロンと決別する。音楽性の違いで割れるバンドがお前ら。
創造主に反逆したアンドロイドであるウルトロン。そんな彼が、創造主として何度も裏切られているのは、順当なのかはたまた皮肉なのか。
エイジ・オブ・ウルトロン。ウルトロンの世紀。近年展開されたこのシリーズにおいて、ウルトロンは全人類、全ヒーローに完勝する。完全なる敗北からの、ヒーローの抵抗と絶望の底からの起死回生を描いたこのシリーズ。その絶望を作り出すだけの進化成長を、既に彼は成し遂げているのだ。
そしてこのエイジ・オブ・ウルトロンのタイトルは、コミックスではない別の作品へと引き継がれることになる。大作映画アベンジャーズの続編となるアベンジャーズ2、アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン。2015年、世界はウルトロンの脅威を識る――。