追跡、アントマン!~中編~

 前編はコチラ

ふじい(以下F)「説明しよう! 天才科学者ハンク・ピムとは、アントマンでありジャイアントマンでありゴライアスでありイエロージャケットでありワスプなのだ!」

ピムバリエーション~その1~

サイレン(以下S)「あらかた知っている俺でも分かり難いよ!?」

F「と言うわけで、今回のテーマは“ややこしいよハンク・ピム!”だ。アントマンとして登場したものの、度重なるコスチュームチェンジや名前の変更で、一人にして複数の名前を持つことになったハンク・ピムの変遷を紹介していこう」

S「アルティメットとかも?」

F「そこまで紹介すると手に余るので……メインストリームであるEarth616、通称“正史”のハンク・ピムだけにしておこう」

S「……」

F「どうした?」

S「正史って言い方は、若干違うようなそうでないような」

F「正しい歴史という意味では違うけど、多数のIFやパラレルが存在する中でのメイン、所謂創作における正史としてなら、大筋あっているというか……まあ、その単語を聞いてパッとイメージしやすいなら、単語の使い方としてそれでいいんでね?」

S「それもそうだな」

F「まずハンク・ピムは小さなヒーローアントマンに。その後、ピム粒子を縮小ではなく拡大に使うことによって、巨人ジャイアントマンに。ここまでは前回触れたな?」

アントマン(ピム)

巨大なる頭脳

S「ああ」

F「なのでその先の話に行くぞ。ジャイアントマンとして活動するピムだったが、やがて巨大化は身体に負担を強いることを知り、アベンジャーズから退き、ヒーロー活動も引退することとなる。しかしその後も、アベンジャーズを影で支え、ついに恋人であるジャネット(ワスプ)がさらわれたことにより、ヒーローに復帰。コスチュームもチェンジした、その時の名前がゴライアス。なお、巨大化に関する問題点は、これより徐々に改善されている」

美しき昆虫

ゴライアス参上!

S「ここでジャイアントマンの名前は、一時捨て置かれるわけだ」

F「アントマンと一緒で、ジャイアントマンの名前も他に受け継がれているが、これは稿を改めるとして。その後ピムはアベンジャーズにも復帰するわけだが……この辺りから色々怪しくなってきて。後にアベンジャーズの大敵となる凶悪ロボット、ウルトロンの制作もこの時期だ。そして、実験中、事故で変なガスを吸ったせいで精神に異常が発生。ハンク・ピムを殺害した男、イエロージャケットとして覚醒してしまう」

イエロージャケット推参!

S「せ、精神分裂病……!」

F「強気になったピムは恋人であるジャネットにイエロージャケットとして告白! 刺激すると更に病状悪化のおそれがあるので、ジャネット承諾。とりあえず式を挙げてみたところ、直後、戦闘中のショックでピム正気に。でもまあ、結婚も名前もコスチュームもこのままでいいよね?ということで、ピムはイエロージャケットになりました。そもそもこのカップル、ピムの弱気さで、結婚に踏み切れなかっただけだし。人事塞翁が馬」

S「ところが、幸せは長く続かなかったのです(ナレーション風)」

F「ピム粒子以来、それに並ぶ新発見をしていないことによる焦燥感。大敵ウルトロンを作ってしまった罪悪感。ファッションデザイナーとして成功する妻と、そんな妻の稼ぎに頼りきった生活。様々な重圧の結果、世に名高いDV事件や犯罪ロボを作ることによる自作自演事件へと繋がり、アベンジャーズを追放され、ジャネットとも離婚と。今のファン層だけでなく作中でも“どうしょうもないクズ”(スクラル人談)や“頭おかしすぎる”(ロキ談)と言われ始めたのは、多分この辺りからじゃないかなと」

決定的DV

S「破滅に至った重圧が、普通に重いよ。その後もアントマン時代からの宿敵な悪の科学者エッグヘッドとの戦いやウェスト・コースト・アベンジャーズへの協力と、ゆるゆると色々あった結果、アベンジャーズ&ジャネットと復縁したことは俺も聞いてはいるが」

F「その後のハンク・ピム最大の受難は、シークレット・インベージョンだな。変身能力を持つスクラル人の計画、対象とこっそり入れ替わることによる静かな侵略。ハンク・ピム(イエロージャケット)もシビルウォー以前に入れ替わられているな。やがてスクラル人が撃破され、地球に帰還したピムを待っていたのは、ヒーロー同士の内乱シビルウォーの余波や、自身に化けたスクラルのせいでジャネットが死亡同然の行方不明になっていた現実。ピムはジャネットを偲び、自身が二代目のワスプに。ワスプ襲名後、宇宙存在インフィニティにより、至高の魔術師ならぬ至高の科学者に認定されている。つまり、地球最高の天才はリードでもバナーでもマッコイでもなく、ハンク・ピムだと」

ワスプⅡ誕生!

S「えー……」

F「なんで嫌な顔するのよ。その後色々(主に様々な女性に手を出す)あった後に最愛のジャネット帰還。なのでワスプから再びジャイアントマンに復帰して現在にたどり着くと。これ結構豪快に色々すっ飛ばしているので、間々に結構事件とか自身によるマイティ・アベンジャーズ設立とか色々あるからね!?」

S「だいたいこんな感じってことだな。あくまで、だいたい」

F「まあ、散々言われているピムだけど、精神破たん寸前の原因はヒーロー活動による重圧もあるし、支離滅裂ではあるものの正しいことをしようとする意思はまず根底にあるし、使い勝手の良さから制作側に負の側面を押し付けられているきらいもある事を分かってもらえれば。そうでなければ、いくら天才で創設メンバーでも、アベンジャーズに復帰できないし、ヒーロー扱いされんよ」

ピムバリエーション~その2~

S「ピムが存在しないほうが平和な世界だとしても、ヴィランじゃないもんな、いくらなんでも。コレ、中編になっているけど、次回は?」

F「ハンク・ピムを始祖とする、ヒーローやヴィランの系図を紹介する予定だ。ハンク・ピムを発端としてそこから繋がるキャラは多いのよ。さながら、枝分かれしている大樹のように」

S「ザクやガンダムの開発系譜みたいにか」

F「そして今回、この記事を書くにあたって、改めてピムを調べることで一番びっくりしたのは……ピム、アントマンになる前に結婚して、最初の奥さんと死別しているのね」

S「マジ!? あ、ホントだ!」