フューチャー・アベンジャーズなコラム~その8~

 フューチャー・アベンジャーズ第8話!
 親友であったはずの男たちの戦い、それは身を削る痛みのある戦い。 

 

 キャプテン・アメリカの年齢も(あの世界の)アメリカ史に関わってきそうだけど、ソーの年齢も神代の謎を解き明かす上で一回ハッキリさせておいた方がいいと思うよ! つーか、キャップの年齢って、凍結期間があるから1918年ってハッキリ設定しても調整効くのよね。トニーなんか、時代ごとにアイアンマンになるきっかけの戦争が変わってるし……コミックスの第一話だと、敵は赤軍ゲリラで場所はベトナム戦争だったぞ。

 俺、映画キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーのラストシーン、数十年の時を経て復活したキャプテン・アメリカが変わってしまったニューヨークに戸惑う所と、その後戸惑いつつもトレーニングを重ね今を生きようとする姿が大好きなんだ。だって想像してみてくださいよ、ある日起きたら、自分の周りの物も人も大半が無いか大きく様変わりしているんですよ? 自決を選んでもおかしくない孤独な浦島太郎が、勇敢に現代を生きる姿。それでも時折見せる疎外感が、キャプテン・アメリカの大きな魅力の一つかと。

 

 ヒドラ島は壊滅し、レッド・スカルは捕らえられ、ブルーノは死亡同然に姿を消した。だがまだ、全てが終わったわけではない。それどころか、何も始まっていなかったのかもしれない――

 謎のエメラルド・レイン計画とブルーノの復活とマコトの発作。全ての答えはザ・リーダーの頭脳の中に。これからフューチャー・アベンジャーズが終わるまで、俺は「マスターズ・オブ・イーブルのリーダーのリーダー」とややこしいことをわざわざ書きたくなる衝動と戦わなければいけないのか。そして正直、ハルクからレギュラーヴィランが来るとしたらアボミネーションかレッドハルク辺りだと思っていたので、ガンマ線の頭脳派ザ・リーダーの参戦は今でもビックリよ。

 組織はあるものの(単独では)不確かな知識しか無かったレッド・スカル。知識はあっても資金と工程の面で不安があったザ・リーダー。エメラルド・レイン計画が不安定な形でマコトやブルーノの中で育ってしまった理由はコレか。そして、ザ・リーダーという製作者で、レッド・スカルが使っていたナノマシンの謎も解けた。トニー・スタークも舌を巻く技術を持っている頭脳派ヴィラン、ザ・リーダーのデビューとしては上々よ。

 あと、ザ・リーダーのテレポート技術にトニーが驚いてましたが、何気にテレポート技術は様々な超人や超技術に溢れているマーベルユニバースでも希少なものです。自由自在となると、どうしてもねー。デッドプールのテレポート装置みたいに、安定性や信頼性がマイナス評価なシロモノを入れても、あんま無いね。多彩な能力者を抱えているミュータントでも少数、魔術だと人数や距離規模に応じて術者への負担が多大なものになる、科学で再現するならトニーがつきっきりで徹夜してなんとかなる域。

 これもザ・リーダーの能力の高さに含めてもいいんだけど……ひょっとして、別の協力者がいるのかもしれん。同程度の科学者や、別の視点を持つ技術者がいる可能性を考えたほうが、色々と面白いからな!

 

 雷神VS戦神! 科学VS魔法! アベンジャーズとマスターズ・オブ・イーブルの対決。だが、今回の戦いの本質は、旧友同士の戦いに有り!

 エメラルド・レイン計画の「進化」が引き起こした、マコトVSブルーノ。死んだはずの男という「過去」が交錯するキャプテン・アメリカVSウィンター・ソルジャー。新キャラ同士が進化で、既存のキャラ同士が過去。見事な好対照ね。途方もない進化の真実、過去を失った理由。これらが明かされるのは、おそらく先の話なものの、そこにはまず間違いなく、親友同士が戦わねばならない重みがあるはず。絆が濃いぶん、戦いは熾烈に、そして悲しいものになってしまうのです。

 次回は、キャプテン・マーベルだけでなく、助っ人ホークアイとブラック・ウィドウも参戦。敵も多いが味方も多い、それが広大な世界観を持つアメコミの強みよ。

 

 今回紹介するのは、ザ・リーダー! ガンマ線を浴びた者でありながら、その力は体力ではなく全て頭脳に。マーベルユニバース屈指の頭脳派ヴィランの危険度とは!?

 

 

ザ・リーダー

 サミュエル・スターンズという男が居た。高校は中退、身体能力も平均以下、優秀な実兄に比べ、頭脳体力ともに見るべきところのないサミュエルは家族にも見捨てられ、鬱屈とした思いを抱えたまま大人になった。サミュエルは、政府の研究施設に掃除夫として就職。ただただ、掃除と雑用の繰り返す日々を過ごす。

 だがある日、サミュエルの間近でコンテナがひび割れたことにより、彼の運命は一転する。コンテナから放たれた放射線を致死量まで浴びたサミュエルだったが、奇跡的な生存を果たし五体も無事だった。意識を取り戻したサミュエルは、ただただ貪欲に本を読み始める。難解な本を読むたびに、サミュエルの知能はどんどんと上がっていき、あっという間に学者すらおののく知識レベルに達してしまった。

 だが、サミュエルが知性を深めていくたびに、彼の肌は緑に染まり、頭蓋骨と頭脳が急激な膨張を繰り返した結果、その頭は長細い異形となってしまった。サミュエルは自身が浴びた放射線がガンマ線であることも理解し、知性の急激な成長はガンマ線の影響であることも理解する。そして何より理解したのは、自身が惰弱な全人類を支配下に収めるに相応しい知性を持つ存在であることだ。彼の鬱屈とした精神は、類まれなる知性を手に入れることで、傲慢そのものに変貌してしまった。

 全てを理解した日、サミュエル・スターンズは消えた。代わりに産まれたのは、人類の支配者(leader)を自認する、知性の怪物ザ・リーダーであった。

 

 ザ・リーダーは自身の頭脳を持って早速世界征服の計画を練るが、すぐに障害にぶつかった。

 自身と同じガンマ線で変貌した人間でありながら、全てを力に注ぎ込んだ男。後天的な天才であるザ・リーダーとは違い、元々優れた知性を持っていた天才。障害の名はハルク、そしてブルース・バナーである。

 ザ・リーダーは己の知性の全てを使い、強大な力を持つハルクと何度も対決。時には自らの身体を強化改造し、肉弾戦で。時にはリーダーらしく、様々なヴィランを率いて挑んだものの、結局緑の巨人を倒すことはできなかった。

 ハルクとの戦いにより、ザ・リーダーの知性はますます強化されていき、頭部の変貌現象などもあったものの、ハルクも戦いにより成長してしまったため、戦いが優位になることはなかった。

 

 ハルクと戦うには、パワーやスピード、何かずば抜けていないと勝負にならない。そんなハルクに頭脳で立ち向かうザ・リーダーの知性は、専門分野でありよく悪事に利用する遺伝子工学や放射線研究だけでなく、物理学やロボティクス、新兵器やアンドロイドの発明制作、制作からハッキングまでコンピュターを熟知と、実に多才である。肥大化した頭脳は恐ろしいまでの直感力と記憶力を有しており、その直感はもはや確定予測に等しく、無限に等しい容量を持つ記憶力は、地球上の図書館全ての蔵書を脳内に収めかねない。もはや、ザ・リーダーに知性に関わることで出来ないことはないとまで言われている。

 知性とは若干方向性の違うザ・リーダーの脳が持つ力としては、様々なサイキック能力がある。人を操るテレパシー能力や、機械の遠距離操作や直接攻撃もこなすテレキネシス能力は、ザ・リーダーの知性の可能性を広げ、弱点である身体能力の低さを補っている。リーダーで、高い知性を持っていて、サイキック能力が使えて、身体能力はそれほどでもない。特徴だけ抜き出すと、X-MENの創始者ことプロフェッサーX(チャールズ・エグゼビア)に似ている。最も、ザ・リーダーのリーダは自称なので、統率面に関しては、有名ヒーローチームの大きな要であるプロフェッサーXに大差をつけられているが。

 

 ザ・リーダーは何度か能力を失い、ただのサミュエル・スターンズに戻ったものの、そのたびにしつこく復活を果たしている。その中でも、目立った変化があった時期は、肌の色が赤かった時期だろう。ある時力を失ったサミュエルは、赤いガンマ線を浴びせられレッドハルクやレッドシーハルクのような、赤い肌のレッドリーダーになった。

 なんとこの時期は、ヒーローチームであるサンダーボルツにも所属している……だが、元々がヴィランにより結成された偽のヒーローチームであり、更生後や再編成後もどうにもクセがあるのがサンダーボルツというチーム。レッドリーダーが所属した時期のサンダーボルツは、レッドハルクをトップとし、パニッシャーやエレクトラやゴーストライダーやヴェノム(フラッシュ・トンプソン)やデッドプールがメンバーに名を連ねる、究極のシングルプレイヤーたちのチームだった。

 正直、レッドリーダーでもあまり目立たないぐらいに、全員キャラ立ちしていた。

 

 ガンマ線を浴びた結果、肉体が強化されたハルクやアボミネーションとは違い、何故ザ・リーダーは頭脳のみが強化されたのか。様々な説があるが、興味深いのは、子供の頃からずっと比べられてきた賢くて優秀な兄へのコンプレックスが原因で頭脳が強化されたという説だ。複雑な精神性を持ったブルース・バナーが強力無比のハルクとなったように、ガンマ線によるパワーは当人の精神構造が大きく影響している傾向もある。サミュエルの精神構造が、ザ・リーダーへの変貌に大きく関わっているというのも、有り得る話だ。

 なお、サミュエルが幼年の頃からコンプレックスを抱いてきた、天才たる実兄フィリップ・スターンズ。彼は高校大学と順調に進学し、大学院に入学するものの、そこでクラスの最下位という屈辱を味わうことになった。卒業後はガンマ線の研究者になるが、政府の期待も支援も、全て大学院時代クラス1位だった男、ブルース・バナーに注がれた。

 クラス1位の立場も期待の研究者の身分も、ブルース・バナーがハルクとなって手に入れた強大な力も、全部自分の物になるはずだったのに。見当違いの嫉妬に燃えるフィリップは、自分もハルクの力を手に入れるため、ブルース・バナーがガンマ線を浴びた状況を再現。ハルクにはなれなかったが、身体を自由自在に変化縮小出来る能力を手に入れる。だが、フィリップの精神は分裂してしまい、その心中には途方もない狂気が住み着いていた。ハルクを付け狙う狂気の男マッドマンは、こうして誕生した。

 フィリップとサミュエル。兄弟二人は、同じ男により、野望や夢を粉砕されたこととなる。ハルクという共通の敵を得たことで、兄弟二人の距離が縮まったのは、なんとも皮肉な話と言えよう。

 
 
 サミュエル・スターンズはマーベル・シネマティック・ユニバースに属する映画、インクレディブル・ハルクにも登場。頭部が不気味に膨張し、次回作でのザ・リーダーへの変貌を予感させるシーンがあるものの……今のところ、インクレディブル・ハルクの続編同様、ザ・リーダーとしての彼の登場予定は無い。

 映画のサイドストーリーとなるコミックスであるアベンジャーズ:プレリュードでその後のサミュエルがフォローされているものの……それはSHIELDに捕獲され、実験動物同様の扱いを受けている姿だった。映画でのサミュエルは、ブルース・バナーとハルクを実験動物として見ている面があったが、それがカウンターで返ってきたことになる。運命の移ろいを感じる、哀しい話だ。

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その7~&日本で触れ合えるデッドプール特集

 フューチャー・アベンジャーズ第7話!
 待ちに待ってた出番が来たぜ、ここはお任せデッドプール! 
 ……意外と早く来ちゃったかー。ちなみに、こんなに早い時期にデッドプールがゲスト出演するのは、たぶんマーベルアニメ初です。

 あと、今回ノリが若干おかしいけど、そこんとこは気にしないでください。当サイトでは、デッドプールと書いて特別仕様と読みます。

 

アイアンマン「ここでハッキリさせておきたいんだが……俺達の中で、まず始めにデッドプールのニセ情報に引っ掛かったのは、誰なんだ?」

キャプテン・アメリカ「デッドプールはああ見えて、優秀な兵士だからな。騙されたのは、仕方ないことだろう」

アイアンマン「わかってるさ。でも、世間は、“デッドプールに騙されベンチャーズ”みたいに好き勝手言ってくるんだ。ちゃんと事情を把握して、二度と起こらないようにしておかないとアベンジャーズが世論に殺されるぞ!?」

 アベンジャーズをハメて、スタークタワーにも容易に潜入するという、前人未到の離れ業。でも、デッドプールなんだよなあ。負けたり出し抜かれたら大恥、かと言って勝ってもそんなに評価は上がらない。それでいて、実力だけは一流。お前は、コスプレキャラが先行してた頃の、長島☆自演乙☆雄一郎か。

 

 偶然……というか、デッドプールの作戦にアベンジャーズがハメられた結果、留守番役となったマコトたち。排除すべき侵入者は、無法、自由、傾奇者、CV子安の四暗刻ことデッドプール! 映画で吹き替えした加瀬さんはソーのCVやってるし、そりゃディスクウォーズ以来のCV子安でもおかしかないわ。

 いやー、正直、レッド・スカルとかサノスとかドルマムゥの方が、デッドプールよりはマシですよ、ホント。絡めば絡むほど、混沌と困惑のデッドプールワールドに引きずり込まれていくという恐ろしさ。身体よりも精神、そして何よりキャラが食われてしまうというね。

 怪我しようが死のうがどうにかなるのがアメコミ。でも、人気を食われてしまったら、そのまま打ち切りやお蔵入りになって、どうにもならなくなるんだぜ? そりゃ、実質死刑みたいなもんよ。

 ほら、しれっとアイキャッチ持ってかれてるし!

 

ワスプ「クロエちゃんの変身能力で、デッドプールを騙すっていい作戦だと思うのよ」

ソー「ああ。正攻法でデッドプールに立ち向かっても、あしらわれるだけだからな。浮かない顔だが、何か問題が? 悩みがあるなら、相談に乗るぞ」

ワスプ「なんで色気で騙すのに、私じゃなくて、キャロルに変身したのかしらね……」

ソー「そういえば、エンチャントレスが暴れていることを、我が父オーディンに報告するため、アスガルドに帰ろうかと思う。では」

ワスプ「ソー?」

 あえて言うなら、キャプテン・マーベル(キャロル)の新キャラボーナス?
 そういやデッドプールがいじくっていたコンピューターに、ディスクウォーズで暴れたバロン・モルドやブリザードやサーペントソサエティの面々がいましたね。サンドマンやグレイガーゴイルらしきディスクウォーズ未登場のヴィランもいたけど、彼らの出番もあるのだろうか。

 実際、どうにもこうにもならない相手であるデッドプールに、諦めずに立ち向かい奇策を張り巡らそうとしたのは、高評価なフューチャー・アベンジャーズ。ベテランヒーローでもデッドプールの相手するのは、嫌がったり諦めたりしがちだからね!

 でも問題は、奇策で立ち向かおうとすること、それすなわちデッドプールのフィールドであること。いやねえ、確かに熱々のコーヒーはしんどいけど、デッドプールのコミックスでの経験を見るに、女性に飲み物を用意してもらったら、良くて睡眠薬、最悪致死量の毒がブラックコーヒー反対派の砂糖みたいな勢いで頻繁に入ってるからね! たとえ口の感覚があったとしても、熱々のコーヒーぐらいじゃあ、めげませんとも!

 ……苦労してるよな、デップーさんも。
 
 

 マコトたちの主人公補正も無視して、任務を達成したデッドプール。しかしそれは、クロスボーンズの巧妙な罠だった!

デッドプール「くやしい……! でも……感じちゃう!」

 なんで俺は児童向けアニメの感想で、クリムゾンネタをぶち込んでるんでしょうね。

 まあ、それはどうでもいいとして、今回の一件の黒幕は傭兵クロスボーンズ。しかし、デッドプールだけでなくクロスボーンズもあっさり入ってきたことで、アベンジャーズタワーの警備わりとザルなんじゃないか疑惑が。空飛べるヴィランなら、楽勝なんじゃねえかコレ。

 マコトたちを遺伝子改造された被害者と考えればデッドプールと被るけど、実はヒドラの元で鍛えられたという意味では、クロスボーンズもマコトたちと被っていたり。クロスボーンズはマコトたちがあのままヒドラにいた場合の、未来予想図ってことですね。三人共、クロスボーンズのことは知っていたようだけど、あんなドクロのマスクを被ったプロレスラーみたいなオッサン観た瞬間、この組織ヤバいともっと早く気づきそうなもんだが……あ。そもそも、首領が赤いドクロのオッサンだったわ、ヒドラ。

 ヒドラはアニメ制作してないけど、日本のニンジャ集団ことザ・ハンドなら、偽装で引越し業者やったり新宿のど真ん中に事務所あったりするから、アニメ会社の一つぐらい抑えてるんじゃね? 

 

 ただ日本のアニメの凄さを語るのではなく、そんな日本の作画スタッフに「戦闘シーンで苦労かけませんように」と気を使う優しさ。やはりデッドプールは一流ですね。そのぶん、声優さんへの負担がかかりそうな戦闘シーン(音声オンリー)だったけどな!?

 今回のデッドプールは、正義と悪の間でゆらぐ中庸プール……というか、悪寄り。でも、アレはアレで無法のわりに空気を読んでいるのです。マコトたちへの手加減もそうだけど、ちゃんとデッドプールはマコトたちの相手をしているのよね。今までの構図だと、どのヴィランもあくまでアベンジャーズを相手していて、マコトもクロエもアディも眼中にほぼ無かったから。ある意味デッドプールとの接触で、初めて一線級のヒーロー兼ヴィラン兼ちゃらんぽらんの凄さを、身で学べたのではないでしょうか。こんな童貞の筆おろしにシュマゴラスが触手を唸らしながら来たような初めてで、今後彼ら大丈夫なんだろうか。

 

マコト「なあ、トニー。この間デッドプールが来てからずっと、毎晩夢に車椅子に乗ったハゲのオッサンが出てきて、こちらの学校ならばアベンジャーズよりも正しい能力の使い方を効率よく教えてあげられるぞって誘ってくるんだけど。クロエもアディも、同じ夢を観てるって」

アイアンマン「よし、わかった。おいハルク、ちょっとスキンヘッドの教授がいる学校で、暴れてきてくれないか?」

 映像権利としてはX-MENに属しているデッドプールが出てくるのは、今後のフューチャー・アベンジャーズにX-MENが関わってくる可能性を残したということで世界観的には大事件なものの、デッドプール登場のインパクトのデカさに隠れてしまったというオチに。いや、最近X-MENやファンタスティック・フォーって、映像権利を20世紀フォックスに持って行かれているせいか、アニメでの出番やゲスト出演が本当に無いんですよ。デッドプールのフューチャー・アベンジャーズへの出演が、全世界単位で見てもディスク・ウォーズ以来3年ぶりのアニメ出演だというのもおそらくこの辺りの事情が絡んでいるのではないかなと。

 アニメ関係に関して本国では放置状態で、日本発のアニメで2連続出演という状況なら、デッドプールが日本製アニメにこだわるのもわからんではないわ……いや、デッドプールは来年あたり本国でTVアニメ化するって話があるんだけどさ。やっぱ人気者になると、いろいろ動き始めるねー。

 

 今日の紹介はデッドプールで……と言っても、ここ数年で散々書いた上に、ファンサイトだけでなく商業サイトでも取り上げられるような身分になって情報が反乱している今、もう書くことが無いですよ!? ネタ被りの心配というより、他所のネタを潰しちゃアカンよねというのが大きいです。

 例えば、最新シリーズの邦訳も決まっているのに、その最新シリーズのストーリーを解説してしまったら、面白さを損なって、邦訳の足を引っ張ってしまう可能性もあるので。流行りという水流にさらされ、デッドプールという水車が回り始めた以上、単に好きなように力を振るうのではなく、水車が上手く回るバランスも考えなくてはいかんわけでして。がむしゃらにやる時期は、ある意味過ぎ去ってしまったというのが、ちと寂しい感じではありますがね。

 前にクロスボーンズについて書いてなかったら、しれっとそっち書いてたんだけどなー……。まあいい、なんとか視点を変えてやってみよう!

 

 

デッドプール


※日本で流行りのアニメを積極的に学ぼうとする、デッドプールの図。

 キャラ紹介? デッドプールでググれ! 以上!

 

 

 

 

 というのもアレなので、ちょっとだけ補足というか筋道を作っておきます。名付けて「日本で触れ合えるデッドプール」特集。オリジンや能力や設定は、そもそもフューチャー・アベンジャーズでざっとやっちゃったしネ! あとはあそこにエドくんがいれば完璧だったんだが。
 2017年現在、デッドプールが登場している、アニメやゲームやコミックスをざっくり紹介。解説も大事だけど、まずは本物に触れるのが一番と……えーと……アレだ……誰かが言ってたよ?(ネタが思いつかなかったパターン

 

ゲーム

 日本でのデッドプール人気の始まりとも言えるMARVEL VS. CAPCOM 3(マブカプ3)。だが、それより5年ほど前にPS3やWiiで発売されたマーベル アルティメット アライアンスにもデッドプールは初期実装キャラとしてプレイアブル化している。

 アベンジャーズにX-MENにファンタスティック・フォーに属する著名でまっとうなヒーローに囲まれ、なんでお前いるの状態だったものの、ちゃんとストーリー中に会話イベントも用意されているので一安心。相棒のウィーゼルとの会話だけでなく、偉大なる魔術師エンシェント・ワンに「お爺ちゃん?」と話しかけたり、声が破壊音波になっているブラックボルトを喋らそうとしたりと、全然安心じゃなかった。キャラクター性能としては、遠距離攻撃と近距離攻撃をしっかり備えた上で、テレポートや自動回復のような便利な能力に、挑発技のような小技も完備と、無駄に万能型なのがなんかこうイラっとくる。

 近年の作品だと、多数のヒーローが参戦したLEGO®マーベル スーパー・ヒーローズ ザ・ゲームにもデッドプールは登場している。なお、このゲームの続編となるLEGO®マーベル アベンジャーズには参加していないのでご注意を。


※デッドプール参戦


※デッドプール未参戦

 レゴアベンジャーズは、マーベル・シネマティック・ユニバースを中心としたゲームとなっており、ファンタスティック・フォーやX-MENと共に、デッドプールは未参加となっている。同様の事情かスパイダーマンも未参加であったものの、シビル・ウォーやホームカミングの影響もあってか、DLCキャラとして無料配信されることとなった。

 レゴマーベルのデッドプールは、まずアクションステージのいたるところでウロウロしているのが目撃できる。これは、ムービーシーンでウロウロしているスタン・リーと対のカメオ出演となっている。そしてオープンフィールドステージでは、ナビゲーションを担当しており、目的地を指定すると、デッドプールが目印を残しつつ全力疾走。プレイヤーはデッドプールの後を追うことになる。嫌だなあ。

 このゲームにおけるデッドプールの使用条件は、様々なステージやニューヨークの街中に散らばっているゴールドブロックを使用し、全11ステージのデッドプールミッションを解禁。デッドプールミッション内にあるデッドプールレッドブロックをフリープレイで回収。こうすると、SHIELDのヘリキャリアでチートコードを販売しているデッドプールの隠し部屋に、レッドブロックが11個ほど売りに出るので購入。ここまですると、デッドプールがようやくプレイアブルキャラとして使用可能になる。クリア後のエンドコンテンツ寸前なキャラだが、更にデッドプール解禁後、ニューヨークの街中に出現するデッドプールのミッションを受けることで、解禁されるキャラがいるのだから奥深い。なお、そんな超エンドコンテンツキャラの一人はメイおばさんである。何故。

 新作となるマブカプ4にはウルヴァリンや他のX-MEN共々参戦の気配がなく、マーベルツムツムにも未登場なものの、MARVEL Future Fightでは遠い親戚のようにみえて他人なグウェンプールの参戦に加え、他のX-MENが続々参戦し始めており相棒の一人であるケーブルが参戦発表に名を連ねたことからも、デッドプールの近い参戦は噂されている。

 ついでにグウェンプールは、ツムツムや後述のオールスターバトルにも参戦済みと、最近の注目株なキャラなので今後に期待したい。

 なお、格闘系アプリゲーことMARVEL オールスターバトルには参戦済みなので、安心して欲しい。こちらだと、本家デッドプールだけでなくヴェノムプールなどの亜種も参戦している。

 いやまあ、キャラの獲得が基本ガチャなので、運が悪いと中々使用できないんだけど。

 そして日本未発売なものの、忘れてはいけないのがPS3や360で発売されたDeadpool

 デッドプールを主人公にした、据え置きアクションゲームであり、ケーブルやウルヴァリンやボスキャラのミスター・シニスターも全員デッドプールワールドに巻き込まれて大混乱な本作。感覚としては、ライトなデビルメイクライといった感じで、そこに残弾数が少ない代わりにガンガン敵から弾が拾えるトリガーハッピーさやデッドプールならではの人をナメきったギミックが加えられ、非常にらしいキャラゲーとなっている。現在、DLCも全部入りなHDリマスター版がPS4で出ているので、興味が在る方は洋ゲー専門店やアマゾンで探してみて欲しい。全編英語だけど、わりとフィーリングでどうにかなる操作感覚なので、やるぶんには英語ができなくてもなんとかなる!

 しかし、Deddpoolの日本でのローカライズ販売ホントどうにかなりませんかね……。デッドプールとゲームのファン層の合致率も高いので、まだ間に合いますって! 日本のゲーム会社様、どうかお願いします!

 

アニメ

 90年代やマッドハウス版のX-MENに参戦しているが、カメオ出演なのでひとまずスルー。現物が手に入りやすいマッドハウス版だけ補足しておくと、最終回でナイトクローラーと共にカメオ出演している。

 まずデッドプールが声付きで初登場となったのが、ウルヴァリン VS ハルク。 ウルヴァリンとハルクの死闘に介入する、謎の組織の一員として出演しております。今回の同僚は、セイバートゥースやオメガレッドやレディ・デスストライクと、デッドプール含めウルヴァリンとの因縁がある者たち。ただ、あれデップーさん一人だけ浮いてない? とのイメージ通りに、途中から好き勝手に暴れやがります。ウルヴァリン VS ハルク VS デッドプールくらいには。なお、オチも持って行く気満々な模様。

 続いてTVアニメへの初出演となった、アルティメット・スパイダーマン。デッドプールはシーズン2のシリーズ通算41話“アルティメット・デッドプール”に登場。数回のカメオ出演をこなしたあと、満を持して登場。第四の壁をぶっ壊し気味な、アルティメット・スパイダーマンのピーターすらドン引きレベルの大活躍。実は本作でも、アルティメットなヒーローを目指すスパイダーマンのある意味先達なので、フューチャー・アベンジャーズにおけるデッドプールとある意味被っている。なお、被害者共演者はタスクマスター。

 問題は、アルティメット・スパイダーマンはソフト化してない上、このあたりのシーズンは再放送をしてくれているディズニーXDでも流していないので、見る難易度がものすごく高くなってしまっていることか……。

 そして肝心要な、ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ! デッドプールは第27話 禁断のヒーロー登場?第30話 クリス 決断の時に登場。ついでに第40話 ヒカルとソーと謎の声にもちらっと出演。

 近年の作品かつ日本発なので、公式経由で観る手段が多いのもありがたいところ。27話はDVDだと7巻で30話は8巻。あんま期待してもらうと困る40話は10巻ですからね!

 

コミックス

 今回は日本メインということで、オール英語な原書の紹介はナシ……なものの、軽いアドバイスとしては、Kindle経由の電子書籍での購入、もしくはブリスターコミックスヴァースコミックスのような専門店経由での購入がおそらくベター。前者はある程度のネットリテラシーが必要な直接購入にしては安全、後者は直に専門家に聞けるというのが何より良いですね。わからなかったらしっかり調べるか、人に聞く。うろ覚えでの特攻はしちゃダメですよ。

 で、そうなると邦訳を紹介すればいいんじゃね……というわけですが、多いねホント! これを全部紹介したら、あと数万文字は必要。てーか、現在進行形でデッドプール邦訳奇譚という企画もおこなっているのですが、現在停止中。ゴメンナサイね。
 というわけで、個人的にコイツぁオススメだぜ! という本を数冊紹介。

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス

 局地的人気と思われていたデッドプールの本を出してみたら、その局地がとんでもないことになってたよ!? というのが判明した作品。336ページの厚さながらも、恐竜だらけのサベッジランドやゾンビだらけのゾンビバースを全ページノリノリで駆け抜けていく、僕らのデップーさん。デッドプールここにありというのを、日本に打ち立てた作品。(解説

デッドプールの兵法入門

 中国における伝説の軍師である孫武を殺っちまった結果、兵法書『孫子』をゲットしたデッドプール。コイツを出版して大儲けだ! でも、なんか話題性がないと出版社が出版してくれないらしい。じゃあ孫子を実際に使って、負け犬を勝たせてやろう。笑いの神じゃなかった悪戯の神ロキよ! 俺ちゃんがソーに勝たせてやるぞ! こんな、非常に頭の悪いショートストーリーです。価格も厚さもリーズナブルなものの、アスガルドだけでなく、アベンジャーズやX-MENやファンタスティック・フォーを巻き込んだシナリオやイラストは絢爛豪華。数多のビジネス書より、役に立つかもしれないぞ!(解説

デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド

 有名なコンビであり、実際この二人の名を冠した長期連載もあったデッドプールとケーブルのコンビ。だが、ケーブルがしばらく死んでたり、デッドプールが忙しいという事情もあり、彼らのコンビは(現実世界で)数年間休業状態だった。いったい、デッドプールとケーブルは、どんなコンビだったのか!? その答えとなるのが、このスプリット・セカンド。今のデッドプールと今のケーブルを、かつてデッドプールを創造し、ケーブル&デッドプールも担当したファビアン・ニシーザがライターを務めるというスキの無い構成。知っている人にとっては懐かしく、知らない人にとっては入門編。デッドプールとケーブルを知りたいなら、この一冊だ! このコンビをちゃんと1から追いたいのなら元祖ケーブル&デッドプールを訳したケーブル&デッドプール:青の洗礼に腰を据えて挑むのもアリだ!

スパイダーマン/デッドプール:プロローグ

 スパイダーマンとデッドプール。この二人のコンビは回数自体は少ないものの、多くのファンの興味を惹き、デプスパもしくはスパデプのカップリングは大人気となった。そんな人気を感じ取ったマーベルも、このウェーブに乗るっきゃ無いということで、本格的に二人のコンビを始動。スパイダーマン/デッドプールの本格連載開始に先駆けて、今までのデッドプールとスパイダーマンのコラボ作品を纏めてみたアンソロジー。ライトニング・ロッズ名義で、グレイト・レイクス・アベンジャーズも本格登場しているのは、このサイト的にオススメしたいポイント。9月20日には新シリーズとなるスパイダーマン/デッドプール:ブロマンスも発売されるので、要チェックだ!

デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント

 外伝も含め全9冊が日本でも刊行された、デッドプールシリーズの第三レギュラーシリーズの第1巻。ゾンビとして蘇った歴代アメリカ大統領VSデッドプールのカードは、新シリーズ開始で不安になるファンの心をがっしりと掴んだ。あと当たり前の話だが、第1巻や第1話に読みたくなる勢いや土台となる設定がだいたい組み込まれるのは古今東西の基本戦略。なので、基本シリーズ第1巻を訳せば、だいたい読みやすい話になっている。目当てのヒーローが決まっていて、読みたい邦訳を探す時の狙い目はそれぞれの第1巻だ! 続きとなる第四レギュラーシリーズも邦訳予定には入っているので、続報を待つべし!

 

 まあアレだ。こんだけ本含めてメディアがあるし、なにより大正義な映画デッドプールもあるんだから……心の赴くまま好きなトコから触っていけばいいんじゃないですかね。

 こだわるな! 自由に行け! デッドプールを楽しむには、自由気ままがよく似合う!

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その6~

 フューチャー・アベンジャーズ第6話!
 アディを押しつぶしそうになる後悔。だがアベンジャーズには、同じように後悔を背負い続ける男がいた――

 

 マコトが無邪気にヒーローになりたがりアーマーを欲しがるのは、本人の性格に加えてヴィランとしての活動期間が無いというのも大きいのでしょう。ヴィランとして育てられつつも、ヴィランとしての経験や悪しき心を宿らせる洗脳がなければ、それはヒーローにも成り得る無垢な力。妖刀だって、打たれてから何も切らなければ単なる名刀です。

 そうはいかないのが、ヴィラン“テクノプリースト”としての活動期間があるアディ。特に何をしたのかは語られなかったものの、斡旋がヒドラで、当人の能力が機械を自在に操れるテクニカルアクト。この近代化社会で機械を操るということは、ある意味万能にも等しい力です。

 その力をヒドラの指示通りに振るえば―― きっと、少年が背負うにはあまりに重すぎる荷が、容易く生まれてしまうでしょう。

 

 ヒーローとは正しくあろうとする者であったとしても、誰もが生まれてから今まで清廉潔白とは限らない。
 アイアンマンとなる前の、武器商人トニー・スターク。未だトニーが作った武器が世界中にあり、数々の悲劇を起こしているのは映画でも描かれたこと。それに、戦場で死にかけるという事故が無ければ、トニー・スタークは武器商人として今でも活動していたかもしれない。

 トニー・スタークは、ヒーローとして活動をするには汚れすぎているし、信頼できる過程でヒーローになった人物ではない。これもまた、一つの正しい指摘です。

 

 そんなトニーの過去を知り、それを認めぬと同時に恨みの炎を燃やす男、エゼキエル・ステイン!

 映画アイアンマンでもトニーの殺害を目論見、コミックスでも強大な敵として立ちはだかったオバディア・ステインの息子。死亡した映画や、自殺したコミックスとは違い、フューチャー・アベンジャーズの世界ではオバディアも生きて収監されているようですが、まあ十中八九、ロクでもないことをやらかしたのでしょう。つーか、キレイなオバディアって想像できねえ。

 エゼキエルが使用するのは、オバディアの遺産とも言えるアイアンモンガー。そして自ら強化改造を重ねたアイアンモンガー2。アイアンモンガー2のスーツは、エゼキエルがコミックスで装着したスーツに酷似してますね……ただ、アイアンモンガーとビジュアルが違いすぎる上に、元祖と2を作る間に技術が進歩しすぎてて、これ同型機扱いでいいのかな? とファンの間でも議論を読んでいますが、それはさておき。ガンダムで言うなら、一年戦争と∨ガンダムのMSぐらいの差があると言ってもおかしくないもんな。

 

 アイアンマンの罪を糾弾しつつ、過去のデーターより完璧な対策を打ち立てたエゼキエルの二段構えな作戦。罪をただ黙殺すればヒーローとしての資格が疑われ、単に敗北すればそこでオシマイ。非常に狡猾です。そしてエゼキエルは知らないことですが、トニーが罪との向き合い方を誤れば、アディもおそらく潰れてしまっていたでしょう。

「過去は変えられない。だが、未来を選ぶことはできる」

 トニー・スタークのあり方は、エゼキエルからすれば不条理で、厚顔無恥な答えなのかもしれません。でも、トニーは世界中で少なくない人間が向けている自身への恨みと、武器商人としての罪を自覚している。自覚しつつも、自分ができることをやり続け、ヒーローに相応しい人間として振る舞い続ける。厚顔であったとしても、その内では恥も罪も渦巻いている。それでも、前に歩み続ける。

 トニーの過去のデーターを分析することで満足してしまい、過去の恨みが原動力であるエゼキエル。とどまったまま追いつこうとする人間が、先ゆく人間に勝てるものか。この辺、エゼキエルは、足を引っ張ることに頑張りすぎた、どこかの魔女にも似てますね。せっかくノベライズでヒロイン力上げたんだから、笑顔で幼女の爪とか剥がしてんじゃないよ、もう。

 トニーの生き方は、過去を忘れ去るよりも辛く、一方誠実な生き方。実際アディもトニーのあり方に救われましたし、この生き方はメイン視聴者層である子供にとっても、早く知っておくべきことではないですかね。子供や若者はやってしまったという後悔を背負いがちで、処理の仕方を知らないまま、潰れてしまうこともあるので。忘れるのもいいけど、こうやって重荷と付き合い続ける生き方もあるんだよと。ある意味キツい生き方ですが、知らぬまま潰されるよりかはナンボかマシでしょう。

 ヒーローが、強き背で一つの生き様を見せるのって、古今東西大事なことだと思うよ。

 

 アディという新キャラクターの悩みに、己の生き様で答える既存かつ人気キャラのトニー・スターク。敵は、未来を生きようとする彼らと相反し、過去を力とするエゼキエル・ステイン。

 新キャラ、既存キャラ、そしてヴィランと、ものすごいカッチリとハマってます。後述してますが、後から追う者であるエゼキエルの造形もフューチャー・アベンジャーズ独自ではなく、元々の彼のキャラ造形なんですよ。当然、作品に適した形にはいじってますが、根本的には同じ。つまり在るものを理解した上で新しいものを組み合わせて、見事な造形を成し得たということです。

 実際、今回のエピソードのハマり具合は、原作付きアニメ全般にまで話を広げてもスマッシュヒット級ですね……。いやあ、楽しみつつも勉強になりました。

 

 今回紹介するのは、エゼキエル・ステイン!
 実は、以前マッドハウスにて制作されたアイアンマン ライズ・オブ・テクノヴォアにも出ていたりするのですが、こちらでは美少年キャラ。フューチャー・アベンジャーズのエゼキエルも路線は違うとは言え、中々に精悍な顔立ち。エゼキエル、マッドハウスのアニメだとイケメン化する地形効果でもあるんだろうか。

 

 

エゼキエル・ステイン

 自身の財力と知力でトニー・スタークを心身共に限界寸前まで追い詰めたアイアンマン最大の敵の一人、オバディア・ステイン。
だがトニーは、オバディアの策謀を乗り越え再起。オバディアは部下の科学者に作らせていたアイアンモンガーのスーツを装着し、アイアンマンとの直接対決に望むものの、敗北。敗北者となったオバディアが自殺したことで、オバディア・ステインの野望は幕を閉じた。

 しかし、オバディア・ステインの野望は終われども、彼の計画は終わっていなかった。人の心理を知り尽くすオバディアにより、トニー・スタークへの憎しみを思う存分注ぎ込まれた、復讐の申し子。その名は、エゼキエル・ステイン。オバディアが持つ財産と悪意を受け継いだ、オバディアの息子である。だが、オバディアが死んだ時、エゼキエルはまだ子供だった。エゼキエルはトニーへの恨みを煮えたぎらせながら、自身の成長を待つこととなる。

 オバディア・ステインは優れた知性を持つものの、彼はあくまで“一流の企業家”だった。オバディアが装着したアイアンモンガーの制作は部下が担当しており、オバディア自身も平均的な男性の身体能力以上の力は持っていなかった。自分の知性と企業家としての力でトニーを追い詰めたオバディアだったが、一方で自身が持つことのできなかったトニーの科学者や装着者としての才能も認めていた。

 だからこそ、オバディアはエゼキエルに一流の科学者や装着者になれるような教育を施した。エゼキエルは幼少時から類まれなる才能を発揮し、オバディアの手にあるヴィラン用の装備や超兵器を設計製作したとも噂されている。

 

 オバディアの死からしばらく後、表舞台に立ったエゼキエルは、自身の天才性を証明するがごとく、トニーの技術を模倣かつ一般化し、闇市場に流してしまう。

 エゼキエルは先ゆくトニーに勝つための手段として、アーマーではなく自分自身を改造することに思い至る。手術の結果、エゼキエルはアーマーを装着せずともアイアンマンと戦えるだけの力や治癒能力を手に入れる。エゼキエルもアーマを装着するタイプのヴィランだが、彼のアーマーは優れた身体能力や手術の代償に高熱を発するようになった身体の補助と、若干違うコンセプトである。

 

 エゼキエルは優秀な科学者であり装着者であり、父譲りのビジネスセンスも持っているが、弱点も多い。

 まず一つは、自身の身体にメスを入れてしまったこと。前述したとおり、エゼキエルの身体は常に高熱を発しており、特性のインナースーツを脱ぐことができない。身体の新陳代謝もおかしくなっており、エゼキエルは常人の10倍以上のカロリーを欲する。これは全て、手術の代償である。

 第二に、エゼキエルはオバディアから知性と恨みだけではなく、彼の傲慢な性格まで引き継いでしまったことだ。エゼキエルは、人々とは自分にかしずく存在だと思っており、その傲慢さにより多くの敵を作ってしまっている。

 そして第三に、オバディアの天才性に革新的要素が無いことである。アイアンマンスーツを1から作り上げたトニーや、広く宇宙や次元を旅し数多の理論を打ち立てたリード・リチャーズ(Mrファンタスティック)とは違い、オバディアの製作物や理論には斬新さがない。トニーにも優れた知性は認められているが、エゼキエルのあり方は分析や応用に特化した模倣に近い。先行く思考を持たない限り、エゼキエルはトニーの後塵を拝するしかないだろう。

 エゼキエルは、様々な手段を講じてトニーを追い詰めるが、とどめを刺すには至らず、敗北を積み重ねてきた。オバディアのように企業家としてアイアンマンに立ち向かったジャスティン・ハマーの後継者であるサシャ・ハマー。似た境遇にある彼女と手を組み、自身の技術を販路に乗せることで、スーパーヴィランの持つ装備は、アイアンマンに近い域まで進歩してしまった。科学で先行くアイアンマンが、同じ分野に属する敵に苦戦するのは、模倣者エゼキエルの成果の一つである。

 

 エゼキエルはある時、爆発事故に巻き込まれ、頭部の毛を全て失ってしまう。スキンヘッドとなった彼の姿は、同じスキンヘッドであった父オバディアに不気味なほど似ていた。


※オバディア


※エゼキエル

 オバディアに似た顔と精神性、他人の技術を模倣することに長けた知性。トニー・スタークが未来を生きようとする男ならば、エゼキエルは過去で生きる男なのだ。

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その5~

 フューチャー・アベンジャーズ第5話!
 鉄拳の武道家VS神界の魔女in秘境都市! この異種格闘技感が、たまらんよな!

 

 グーグルマップに秘境都市クン・ルン(崑崙)っていれたら一発で場所出てきたらヤだよな。でも、完璧主義のトニー・スタークなら、ヴィスコに登録しているかと思ったけど。……待て、ひょっとしてヴィスコにも赤ちゃんモードという名のセーフモードがかかっているのか? セーフモードを解除したら、瞬殺モードとか推してくるの?

 いやしかし、崑崙が神秘的な都市である以上、川口浩や藤岡弘、に頑張ってもらって、やっぱ見つからなかったってオチがベストだと思うのですよ。いや、見つからなかったらダメだけど。それはそれとして藤岡弘、には探しに行ってほしいけど。

 

 崑崙に受け入れられるソー。歴代のアイアンフィストを知っている口ぶりから見て、ソーがこの街に来たのは昨日今日じゃあないな。なるほど。台詞一つで想像力を膨らませるっていうのは、こうやるのか……これならば、知っている人はピンと来て、知らない人にも「先代がいるの?」と、過分に尺をとることなく興味をもたせることができるってワケか。そして、後に不死竜シャオ・ラオの設定をアイアンフィストに語らせ、想像力と知識を更に補強と。ううむ、勉強になる。

 

 アイアンフィストの元で、修行するフューチャーアベンジャーズの面々。どんな凄い能力者であろうと、基礎訓練がなっていなければ、ただのカモネギだからな。パニッシャーやデッドプールやスパイダーマンのように、能力とは関係ない前歴や、実戦で鍛えたヒーローも多々いるものの、こうして鍛えるのが正当なやりかた。

 能力一辺倒と思われがちなX-MENも、能力抜きの地道な鍛錬や能力を活かすためのスキル取得に、相当な時間をさいているしねえ。例えば目からビームを出せるだけと思われているサイクロップスも、ビームを敵に当てるための空間認識能力やリーダーとしての指揮能力に柔道や合気道は黒帯級と、ビーム以外の能力もハンパないわけで。目を瞑ったり、能力を封じられていても、素手で複数人の兵士をぶちのめすぐらいは、容易にできる腕前。パイロットとしても一流で精神攻撃への耐性もアリと、サイクさん、ビーム以外も凄いのよ?

 ヒドラでしっかり基礎訓練をしていたせいか、マコトたちの身体能力はなかなか。ただ、さっき言ったように、ヒーローとして活動するならなかなか以上が求められるわけで。まだまだ、弱き光。そう言った意味では、人の身から神の拳を手に入れたアイアンフィストは、コーチ役として適任。フューチャー・アベンジャーズの正メンバーは、フィジカルが違いすぎるソーやハルク、コーチ役というよりコーチ雇用も含めたプロジェクト責任者向けのアイアンマンと、普通の師匠向きがあまり居ないイメージがあるからなあ。

 もっとも、トップクラスで師匠向きなキャプテン・アメリカがいるのですが、まだキャップはマコトたちと若干距離があるので。もう少し何か、屋上で一緒に弁当を食べるとか、運動会の二人三脚でコンビを組むみたいなイベントがないと、「一緒に帰って、ホークアイに噂とかされると恥ずかしいし……」って断られちまう距離感だぜ。まったく、しょうがねえな、ホークアイは!(流れ弾

 

 トンファーキック! トンファーキックじゃないか! 
 うむ。若干デザインに統一感がありすぎるものの、流石にトニーのスーツは性能が高いな。きっとクロエがトンファーキックを繰り出すことを見越して、彼女のスーツにトンファーを装備させておいたに違いない。ゴメン、たぶん違う。

 まだまだ、ソーやアイアンフィストに比べれば、フューチャー・アベンジャーズの面々は何もできないレベル。でも、考え方を変えることにより、できる可能性が生まれてくる。前回は子どもたちを救い、今回はクン・ルンの人々を救う。心身ともに鍛えていけば、その手の大きさはきっと広がっていくはず。

 ディスク・ウォーズは、アキラとアイアンマンのように少年少女がヒーローの力をどう引き出すかがポイントだったけど、フューチャー・アベンジャーズの場合は、マコトたち少年少女自身がどうなるかがポイントに。枷と思われていたものが、絆の力でやがて大きな力になっていったのがディスク・ウォーズなら、未熟が大きな力を目指しているのが現状のフューチャー・アベンジャーズ。ヒーローと少年少女という構図は一緒なものの、切り口はだいぶ変わってきたねえ……。

 

 今日の紹介は、アスガルドの魔女エンチャントレス。DCコミックスに同名のキャラがいる上に、あっちは映画スーサイドスクワッドで大暴れして目立ってると、中々に押されている状況。マーベルのエンチャントレスも、フューチャー・アベンジャーズでの活躍で、盛り返してほしいねえ。

 

 

エンチャントレス

 ソーの故郷である、神々の国アスガルドに名を馳せていた美女アモラ。その美しさで多くの異性を惑わせていたアモラは、大魔術師カーニラの元で魅惑の魔術を学ぶことで、男たちへの絶対命令権にも等しい“美”を手に入れた。自らの美しさでアスガルドをも手中に収めようとしたアモラだったが、主神オーディンの息子であるソーは、アモラの魅力を撥ね付ける。

生まれ持った魅力も魔術もコケにされたアモラは、屈辱を抱いたまま、オーディンに地上へと追放されてしまう。地上に降り立ったアモラは、バロン・ジモが結成したアベンジャーズに対抗するための悪役連合マスターズ・オブ・イーブルに加入。彼女は再び、アベンジャーズの一員である憎きソーと対峙することになる。
 魅惑の妖女アモラ……エンチャントレスは、こうして地上のヒーローと敵対する道を選んだ。

 

 エンチャントレスは一流の魔術師であり、特に魅惑や魅了の魔術に関して右に出る者はいない。彼女に惑わされ、何人ものヒーローやヴィランが道を踏み外してきた。人を惑わし、他者を戦わせることを好むエンチャントレスだが、当人の魔術師としての実力も超一線級である。炎や雷の魔術を操り、あえて美しい姿形を変えることも自由自在。幻覚とテレポートを使いこなす彼女を捕らえることは非常に難しい。更にその口づけには人を木や石に変える力があり、自身が魅惑したものの用済みとなった男たちはこの最後の甘美により処分されてきた。

 女性をも惑わす魅力を持つエンチャントレスだが、その本領はやはり対男性である。もっとも、ソーのような勇者や、地上の魔術師であるドクター・ストレンジやドクター・ドゥームのように、彼女に惑わされない骨のある男もいるのだが。

 エンチャントレスの裏の一手としては、アスガルド神族としての身体能力がある。神の一族であるエンチャントレスは、スピードもスタミナも寿命も超級であり、細腕でありながらも25トンを持ち上げられる。簡単に言うと、72年TV版のマジンガーZ(20トン)なら持ち上げられる。これには初代ガンダム(43トン)と較べても、マジンガーZがやけに軽いというのもあるのだが、それにしても中々のインパクトである。

 

 もっとも、エンチャントレスの身体能力はアスガルド神族の中では平均的であり、ソーやウォリアーズ・スリーのような戦士たる神族には及ばない。むしろ、神々同士の戦いでは、一般基準では優れた身体能力も弱点となる。だが、そんな弱点を補うため、エンチャントレスは対抗策を用意していた。エンチャントレスを慕い付き従う、エクスキューショナー(処刑人)の異名を持つ男、巨人殺しのスカージだ。

 ソーやアレスやヘラクレスと並ぶ強靭な身体にエネルギーブラストに魔力の斧、戦闘的な能力を持つスカージを付き従えることで、補助タイプであるエンチャントレスの弱点は完全に補われた。この二人は初登場も一緒であり、前衛スカージ後衛エンチャントレスのパーティーは、長年ソーや数多のヒーローを苦しめてきた。スカージと手切れとなった後も、エンチャントレスはこの構図を再現するような、自身の弱点をカバーできる下僕を好んで調達してきている。

 その一方、エンチャントレスは同じアスガルド神族でありソーとの因縁も深い知力派ロキとの付き合いも長い。双方、ソーの昔からの敵なので、ある意味当然だが。

北欧神話が元ネタであるソーやロキとは違い、エンチャントレス(アモラ)の名と存在は北欧神話とは関係ないオリジナルである。ただこれに関しては、エンチャントレスはフレイアやイドゥンのような北欧神話の女神たちをベースに創作した、との話もある。
 それにしても、美女エンチャントレスに知恵の神ロキに武神スカージ……お色気にずる賢さに馬鹿力……なんだかこのソーの敵である三人を並べると、何かを思い出してしまうような……それは日本古来の、もはや伝統の三人組の姿が……。

 

 男性を惑わし、心を奪うエンチャントレスであるが、かつて彼女の心を奪い取った神がいる。その神の名は、何を隠そうソーである。

 ソーをオーディンの代わりにアスガルドの王として、自身は王妃に収まるという計画の存在。ソーの恋人であるジェーン・フォスターへの敵意。アスガルドから追放されたソーの元に、いち早く駆けつけ面倒を見ようとする。エンチャントレスの心の中には、ソーを思う真心が確かにあった。

 だが前述したように、ソーはエンチャントレスの誘惑を跳ね除けている。ソーがエンチャントレスの誘惑を跳ね除けられた理由は、神としての力ではなく、彼が持つ人間らしさだった。この結果、エンチャントレスの憎しみはソーだけでなく、地上の人間にも向けられることとなった。ソーとエンチャントレスの間には、愛憎という言葉でも足りぬ複雑さがある。
 愛されることが当たり前だった女神が、愛されなかったことにより、そのあり方を狂わせる。なんとも、皮肉な話である。

フューチャー・アベンジャーズなコラム~その4~

 フューチャー・アベンジャーズ第4話!
 新たなる道を踏み出した少年少女の前に現れる、先ゆく大人たち!

 

 ディスク・ウォーズ未参戦キャラの多い、今話。先陣を切ったのはA.I.M.(Advanced Idea Mechanics)の戦闘員。元はヒドラの科学班が分派した一団であり、科学力に関しては地球トップクラス。ディスク・ウォーズで大暴れした殺人マシンのモードックを制作した集団、そのモードックの配下とされた集団としても有名。その縁があってか、アニメには出なかったものの、3DSのディスク・ウォーズでは雑魚として登場しております。

 ちなみに口さがない連中(例:デッド◯ール)には科学的な賢さとかまるっきり無視して、養蜂家呼ばわりされている集団でもあります。全くもって、ワケのわからない悪口ですね!

 うん……このコスチュームは……養蜂家だね……。間違いなく、今年のハチミツの出荷量を気にしているね……。

 

 い、いかん。作中でコスチューム(パンツ一丁)なハルクの話題が出た直後なせいで、コスチューム欲しいと言っているマコトが凄くワガママに見えてくる! 就職したと思ったら養蜂家のスーツ渡されるような組織もあるんですよ!?

 

 エメラルド・レイン計画を知る者にしてウィンター・ソルジャーが属していた組織は、マスターズ・オブ・イーブルだったか! コミックスでは、バロン・ジモが結成した、アベンジャーズに対抗するためのヴィラン連合。なお、エンチャントレスだけはバロン・ジモ結成の第一期マスターズ・オブ・イーブルにも参加したヴィランだったり。

 第一期マスターズ・オブ・イーブルのメンバーも対アイアンマンに溶解スーツのメルターや対ソーに放射能人間ラジオアクティブマンと、アベンジャースの主要メンバーと対峙もしくは対抗できるメンバーが選出されておりました。そしてこの伝統はフューチャー・アベンジャーズのマスターズ・オブ・イーブルにも引き継がれている様子。

 ウィンター・ソルジャーは当然キャプテン・アメリカ。
 知能派でハルクのヴィランであるリーダーはチームの頭脳であるアイアンマンと宿敵のハルク。
 ギリシャの戦闘神であるアレスは長年のライバルであるソーとパワー派のハルク。
 アスガルドの女性神であるエンチャントレスは同輩の神であるソーと女性枠のワスプ。

 人数の関係や因縁の交差で一対一とはならないものの、全員最低でも一人以上のヒーローと対峙できるだけの能力持ち。これは面白いチームが敵にまわったもんだぜ。

 

 クロエの変身能力、ちゃんとツインテール隠れるんだな……いや、よかった。もしツインテールレッド・スカルなんて物体が誕生していたら、青森まで「これはアリなんでしょうか!?」と聞きに行くハメになった。そんな青森の作家でツインテールスキーな水沢夢先生の“俺、ツインテールになります。”の現在における最新13巻は本日発売です。
 よし、友情と尊敬のマーケティングは終わったので、話を戻そう。俺ツイ、面白いよ!

 

 そりゃあ、そうだよな。ヒーローになりたい!って言っても、第一歩がわからんよな。ただ、ヒーローに必要なことが一つあるとしたら、それは敵の存在ではないのでしょう。ヒーローショーと子どもたちとの触れ合いという、行動でマコトに学ばせた金髪美女……何者なんだ……(棒

 

 アレスVSハルク! そして、黄金の女傑キャプテン・マーベル(キャロル・ダンバース)参戦!
 キャプテン・マーベルは、元々宇宙で活躍していた英雄の一人であり、ミズ・マーベルとして長年活躍していたキャロルが近年引き継いだ形に。なので、キャプテン・マーベルの話を口でした時「ああ! キャロルのことね!」となるのは、アメコミファンのキャリアの物差しになったり。

 超人的な身体能力や飛行能力、そしてパワー吸収能力は今回発揮されたので、能力は今話で大体つかめたのではないでしょうか。そしてキャロルがキャプテン・マーベルの名を継いだのと同様、キャロルが名乗っていたミズ・マーベルの名もまた……ひょっとしたら、新たなミズ・マーベルの方も今後出るんじゃないかな。マーベルにおける新進気鋭の人気キャラだし。てえか、出るといいなあ!

 

 支援ガジェットのヴィスコに新コスチューム。スタークさん、もうちょっと優しさや気遣いを上手く表現できれば、キャラ評価もきっと変わるのに……。マコトとアディとクロエでチーム“フューチャー・アベンジャーズ”。未来を担う若者のチームとして、ストレートかつ意味のある名称に。チームにコスチュームにヒーローとしての心、大事なものが揃ったのなら、次は修行だな!

 今日の紹介はオリュンポスの神アレス。可愛いキャプテン・マーベルかと思った? 残念! アレスでした!

 

 

アレス

 自称神や偽神ではなく、ギリシャ神話の神であるアレスその人。ゼウスとヘラの息子である、オリュンポスの軍神。立場や神話との関係性は、北欧神話の神であり、オーディーンの息子である雷神ソーと酷似している。

 もう一人のアベンジャーズと関わりの深い神であり、同じギリシャ神話に属する異母兄弟のヘラクレス(ハーキュリーズ)は、神話時代からの宿敵。アレスはオリュンポスの支配を目指し、ヘラクレスは何度もそれを阻止しているというのもあるが、ヘラクレスは神話の時代、アレスが手塩にかけて育てていた戦闘用の怪鳥軍団を皆殺しにしており、二人の因縁はそこからである。なおこの一件こそが、ギリシャ神話における12の試練の一つ「ステュムパリデスの怪鳥退治」だ。

 

 ソーとヘラクレスとアレス。この三人の神は、ヒーローそしてヴィランとして地上で活動しており、ライバル関係とも言える。この三人の能力値を比べてみたい。なお評価は7段階で7がMAX。数値の元となる資料は、マーベル・アベンジャーズ事典だ。

ソー    ビーム系攻撃力6腕力7耐久力6戦闘能力(技術)4知力2スピード4
ヘラクレス ビーム系攻撃力1腕力7耐久力6戦闘能力(技術)4知力2スピード2
アレス   ビーム系攻撃力1腕力5耐久力6戦闘能力(技術)7知力2スピード2

 並べてみるとわかるように、三人共ハイレベルかつほぼ互角な数字である。
 ソーのビーム系攻撃の高さとスピードに目が行くが、これは雷神としての力、ムジョルニアの補正も大きい。
 腕力はアレスが1枚落ちるが、5というのも十分怪力キャラとしてやっていける域である。
 耐久力は全員6で横並びだが、アレスは強力なヒーリングファクター(再生能力)を持っており、スキル面で上を行く。
 技術はアレスの一人勝ちかつ、MAXの7。技巧派ヒーローでも7はなかなかおらず、技の達人タスクマスターと同レベルである。
 知力に関しては……三人共、父であるオーディーンやゼウスに、体育以外赤点ギリギリな成績表を見せている気分だろう。

 ここに補足しておくと、ヘラクレスはオリュンポスの神々との関係も良い結果、姿を隠すハデスの兜やペルセウスの盾などの宝具を所持or賃借することができ、更にこれらの宝具を使いこなすだけの技術はある。ソーのムジョルニアと同レベルの硬度を持つトレードマークの黄金の棍棒も含め、フル装備のヘラクレスの強さはおそらく桁が外れている。

 ムジョルニアのような強力な武器はなく、オリュンポスの神々との関係もよくないアレス。だが彼には、他の二人が使わない武器と発想を持っている。拳銃や手榴弾のような現代兵器こそ、彼の宝具である。戦の神として、兵器の歴史も知るアレスは、神としての常識やプライドにこだわること無く、銃火器を使いこなす。現にフューチャー・アベンジャーズでも、ロケットランチャーを使用してみせた。同時に、戦斧や剣も武器とし、それもまた一流である。
 神話の時代から現代まで、軍神アレスの戦い方こそ闘いの歴史そのものなのかもしれない。

 

 最初はオリュンポスの一員として頂点に立ち、惰弱となったオリュンポスの改革を目指していたが、オリュンポス自体を見限り、最愛の息子アレクサンダーと共に地球で生活することを選んだ。地上では工事現場の作業員のような一般職にも就き平穏を目指したものの、日本のまつろわぬ神アマツミカボシの陰謀や戦いを臨む戦神の本能と運命がそれを許さなかった。アマツミカボシ(天津甕星)もまた、ソーやヘラクレスやアレスと同じ、日本神話に実在している神である。

 アレスはやがてアイアンマンが率いるマイティ・アベンジャーズに参加し、アイアンマンが追い出され、ノーマン・オズボーン(グリーンゴブリン)が率いることとなった後継組織ダーク・アベンジャーズにも参加することとなる。

 大抵のヒーローはアイアンマンとともにアベンジャーズを一時辞めており、上記画像のヒーローもたいていニセモノなのだが、アレスは独自の価値観でチームに望んで残っている。最も、その選択は後悔へと変わり、最終的にはダーク・アベンジャーズを離反するものの、ダーク・アベンジャーズ最強の男であるセントリーに、身体を真っ二つに引き裂かれて殺されてしまった。なかなかに衝撃的な画像なので、引用は避けておく。

 

 息子のアレクサンダーの正体は恐怖の神フォボスであり、アレクサンダーもアレスとは別にヒーローとして活動していたが、最終的には殺されてしまう。

 親子は死後の楽園エリシオンで暮らしていたが、再び運命が彼を現世に引き戻してしまう。楽園で待つ息子に誇れる物語を作るために、アレスは再び戦いの日々へと舞い戻っていった。

 

 これは余談だが、マーベルにおけるソーやヘラクレスやアレスのような神々は異世界のアスガルドやオリュンポスに住む超人種族であり、信仰上の神からは切り離されている。このような割り切りがなければ、ヒーローもヴィランも無神論者でなければ、やっていけなくなってしまうし、世界の宗教施設の大半は意味がなくなる。最も、これはあくまで普段の認識であり、ソーが神ならば、自分が信じている神とは……!と宗教家が悩むシーンやエピソードもちゃんとあったりする。