ウルヴァリン:SAMURAI 感想

 失うことから、全ては始まる。
 ウルヴァリンが、日本を駆けまわる。リアルな秋葉原や上野の街並みを、風光明媚な福山を、全力走行中の新幹線の屋根を、忍者溢れる寒村を。日本ロケによるリアルな日本と、ニンジャやヤクザが跋扈するジャパン、現実とファンタジーが融合した結果、ウルヴァリンは怪しいニッポンを駆けまわる。
 このニッポンを許せるかどうか、ここでまず評価が変わっていると思うのですよ。所謂、どんな幻想や不条理でも飲み込み、楽しみとして捉えられるボンクラ魂の有無。アメコミ映画としては直近でマン・オブ・スティールがありますが、この映画の響き方は、むしろ怪獣VSロボットのパシフィック・リムに近い物が。無理なく飲み込めるかどうか、飲み込めればこれほど楽しい映画は早々ありません。
 アメコミ映画としてどうなのかと聞かれた場合、実にウルヴァリンの映画でした。無頼漢として旅を続け、旅先のトラブルに嫌々ながらも立ち向かい、全て解決した後いずこかへ去って行く。この、荒野の用心棒の如き姿、X-MENでもアベンジャーズでもない、一個人のウルヴァリンです。ミュータントとしてのウルヴァリンを撮ったX-MEN:ZERO、一人の人間としてのウルヴァリンを撮ったウルヴァリン:SAMURAI。年若い少女とともに己の意思で戦い抜く姿は、ウルヴァリンの漠然としたイメージを誠実に再現しています。
 そして、今までの映画X-MENに連なる要素もしっかりと。ファイナル・ディシジョンでウルヴァリンが負った治せぬ傷を、繕っていく物語でもあり。

 以下、書き散らしのネタバレです。いやー、ホントにこういう映画、大好きです!

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発売直前企画 デッドプール・マーク・ウィズ・ア・マウスとは!

ふじい(以下F)「デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス邦訳発売、ばんざーい!」

日本版マーク・ウィズ・ア・マウス表紙

サイレン(以下S)「え? なに? お前またヒットマンの時みたいに暗躍してるの?」

F「してないよ!? 1ファンとしての、万歳三唱。以前、記事内でまず買うならコレだ!って推したことあるタイトルだしね。Amazonにレビュー書いたりなんかもして」

S「そりゃあ、お前がこのタイトルを推す姿は、前々から見て知ってるけどさ」

F「百聞は一見に如かず。でもいかんせん、洋書ではこの一見のハードルが高い! でも邦訳されることで、言語の壁、流通の問題、この二つが解消される。人に勧める上で、こんなに嬉しいことはない」

S「あと洋書版、プレミアついてるし、価格面の問題解消も大きいな。3000円代とはいえ、フルカラー300P超でこの値段は、とんでもないぜ」

F「3000円出すかどうかが悩みどころだけど、そこを突破してしまえばまずお得。もう、何も怖くない! じゃあ、改めてマーク・ウィズ・ア・マウス(以下MWM)のここが見どころ! ここが良い! アピールポイントを128種類程……」

S「ぜんぶ、かききれるかよ!!

F「じゃあ適当に絞ってやるわ。まったくもう、お前のせいで、100以上のアピールポイントが無駄死にだよ。せっかく書いたのになあ」

S「なんで俺が悪い流れに。なら、俺だけでも読んでやるから、テキストファイルで送れよ。アピールポイント」

F「よし。細かいことは忘れて、サクサクと纏めていこうか」

S「そもそも、本当に細かく100上げたら、起承転結全部書くはめになって営業妨害になるだろうが……」

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マン・オブ・スティール プチ感想

 70年以上連載されてきたコミックスであるスーパーマン。人を救い、悪と戦い、悩み、笑い、悲しむ。歴史の長さと共に、作中で取り入れられてきた様々な要素。スーパーマン・リターンズでは人を救い、今までの己に悩むスーパーマンの姿が描かれた。そしてマン・オブ・スティールでは、悪と戦い、これからの己に悩むスーパーマンの姿が描かれた。

 先日、パシフィック・リムでロボットvs怪獣のど迫力バトルが映像化され話題を呼びましたが、マン・オブ・スティールではドラゴンボールを彷彿とさせる、空中戦を交えた高速戦闘が一つの理想として完成しました。バスン! ビューン! ドカーン! こんな擬音で説明せざるを得ないバトル。この戦闘に、クリプトン人として生まれ、地球人として育ったスーパーマンのドラマが混ざるのだから、もうお腹いっぱいです。ただ少し、ボリュームがありすぎて、間延びや胃もたれも感じましたが。少し絞った方が映画としては良いんじゃないかと思いつつ、極厚な起承転結が完成している以上、これがベストなのでは。悩ましいところです。

 以下、ネタバレなので隠しておきます。ゾッド将軍についてのお話とちょっとした総括を。

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HITMAN(勝手に)応援企画~アメコミキャラ事典ってなんなのさ?~

サイレン(以下S)「いよいよHITMAN1発売まで一週間切ったわけだが、どういう話か、どういった内容なのかの紹介もした方がいいんじゃないか?」

F「犬溶接マンやセクションエイトの大筋に関してはこのまとめ、ヒットマン日本語版発売に関する経緯や、ヒットマン自体の作風やあらすじに関しては、こっちのまとめを読んでください」

                    ∩゚∀゚)’)  おわるよ!
                     )  /
                   (_ノ_ノ

               彡      
 _,,..-―'”⌒”~ ̄”~⌒゙゙””’ョ
゙~,,,….-=-‐√”゙゙T”~ ̄Y”゙=ミ
                                  糸冬
                                ────────

S「終わるなよ! 落ちるなよ! 丸投げするなよ! あと、ウチの環境はAA貼るのに向いてねえって言っただろうが!」

F「みなさんのブラウザで歪んでいたらゴメンナサイと謝るしか無いんだが……。丸投げに関してはお前、これ以上俺やお前がどうこうしても、あのまとめ以上に上手く纏めて面白くするのは無理だろ」

S「わりとお前、そういう所は現実的よね」

F「正直、これ以上なにか付け加えても無粋になるだけなので、終わりで良いと思うんですよ」

S「実際、まとめの中にも、お前の自分の仕事に関してのコメント入ってるしなあ……。ああ、そうだ。その辺りに関してなら、もう少し話してみてもいいんじゃないか?」

F「どんなキャラを選考したのか、どんなことを書いたのかを話せと。その場合、お前を殺して、俺は反省のため今夜のおかずを一品減らすようだろうが。漏洩の罰の自省として」

S「俺も殺してお前も死ねよ! 別に俺、自殺志願者じゃないけど! なんでオメエだけ、反省が軽いんだよ!」

F「うーん、でも実際、具体的な情報をバラす気は無いしなあ。まとめ内で名前が出ているコンゴリラだって、まさか掲載内容をそのままここに書くわけにはいくまい」

S「そりゃそうだな。なら、問題無い物を作ればいい」

F「それはつまり……書き下ろせと?」

S「DCでないなら、とりあえずマーベルだな。マーベルで、キャラ事典仕様の物を書いてみろよ」

F「なるほど、手としてはアリだな。流石に1から慣れてないキャラに関して書くのはキツいので、うちのサイトでもよく扱う二人の紹介にさせてもらいますがね? ヒーローとヴィラン、それぞれ一人ずつで。ちょっと待ってろ、試しに書いてみるから」

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HITMAN(勝手に)応援企画~ヒットマン、デッドプールに学ぶアウトサイダー~

ふじい(以下F)「どこから見てもスーパーマンじゃない スペースオペラの主役になれない 危機一髪も救えない ご期待通りにあらわれなーい♪」

サイレン(以下S)「……スターダストボーイズだっけ?」

F「だからと言ってダメじゃない ダメじゃない セクションエーイト……やっぱ駄目じゃね?」

S「そこまでやったんだから、歌いきろうよ!?」

F「スターダストボーイズが心に染みるようになるのは、大人の証。HITMAN応援企画も第二回、フックに続いてのテーマは、アウトサイダーです」

S「それは、DCのヒーローチームこと、アウトサイダーズについてか?」

F「あー? あの、JLAに不満を持ったバットマンが結成したものの」

ジオ・フォース「共に戦う以上、我々もそれぞれの持つ情報を共有したほうがいいと思うんだ。正体とか!」

バットマン「嫌」

F「こんな感じのやり取りの後、居づらくなったバットマンが速攻辞めたアウトサイダーズのことか。十数年越しで、バットマンが主導権取り戻したアウトサイダーズのことは関係ない。今回のアウトサイダーは、単語が持つそのものの意味“組織や集団の外部に居る人”としてのアウトサイダーだ」

S「ヒットマン(トミー・モナガン)とデッドプール……なんか、言いたいこと、分かってきたわ」

F「奇しくも、ほぼ同じ月にに邦訳が発売される両者。実のところ、この二冊の動向は、もしかしたら今後の海外コミックスの邦訳における分岐点になるかもしれないのよ」

F「ヒットマン+セクションエイトとデッドプール、両者の共通点はアウトサイダー。つまり、非主流派。率直に言ってしまうとですね、コイツら、アベンジャーズもジャスティス・リーグも、世界を揺るがす大事件にもあんま関係ねえ所で生きているというね! アレ、ユニバースを学校に例えた場合、この人達、学校の前の飲み屋で真昼間っからダベっている酔っぱらいや、授業中校庭に侵入して勝手に遊んでいる謎のオッサン」

S「先生! ボブくんがオッサンに捕まって、野球のキャッチャーさせられてます! あと、止めに行った筈のケーブル先生が打席に立ってます!」

F「先生! GL組のカイル・ライナーくんがブエノと呟くオッサンに飲み屋に引きずり込まれて」

S「やめたげてよぉ!」

F「それはそれとして! ここで言いたいのは、彼らが主流ではないこと。今までのマーベルやDCの邦訳は、バットマンやスーパーマンやスパイダーマンのような有名ヒーローのエピソード、もしくはウォッチメンやハウス・オブ・Mやキングダム・カムのような主流で起きた大事件もしくは著名な作品や外伝や受賞作と。あと、映画化関連作なんてのもあるな。アイアンマンなんか、映画化と日本でのウケの良さが、ブーストになってるし」

S「まあ、ヒットマンとデッドプールは主流じゃないし、アベンジャーズやJLAにはお断りされたしでもないし」

F「映画化とかアニメ化も、立ち消え寸前やなにそれ美味しいの?状態だしねえ。二作とも、今までにないアウトサイダーな作品の邦訳化なのよね。そして、ファンの後押しが原動力と、制作側に公言されてもいるわけで。アウトサイドであること、ファンの後押しがあること。ヒットマンとデッドプールの売れ行きは、まず今後の試金石にはなる筈。ユニバース内にありながらの非主流、分かりやすいブースト無しの作品の邦訳は、かなり異端だぜ」

S「元々、ヒットマンにいたっては、アメコミ邦訳初参入のエンターブレインからの出版だしなあ。初参入がヒットマンって、なんか凄いな。前例がないからこその、挑戦かもしれんけど」

F「アメコミは世界観が広い。なら、どう広いか? こういう非主流とも言える世界の片隅で自分なりに生きている連中の邦訳化は、世界観の広さの証明ともなるわな。ある意味、一つの事件の幅を限界まで広げようとしている、ヴィレッジブックスのシビルウォータイインの定期購読。これも日本にアメコミの広い世界観を伝える手段としての根は、同じかもしれん」

S「ファンの力、邦訳の可能性、世界観の広がり。色々と、面白いポジションだな」

F「まー、んな堅苦しいことは言わんでもね、2作とも贔屓目抜きですげえ面白いよ。スーパーマンやスパイダーマンが戦う世界の端っこに、こんな馬鹿らしくも愉快でカッコいい連中がいる。そんな思いの馳せ方も、いいんじゃないかな」

S「でもさあ、ヒットマンもデッドプールも、全く世の中の流れに関係ないわけじゃないよな」

F「ああ。不思議な皆既日食で学校が大混乱、校庭に不良生徒がなだれ込んできた! そんな時、飲み屋の酔っぱらいや校庭で遊んでいるオッサンは、どうするのか? アウトサイダーだからこそ、出来る事もある。だいたいDCのアウトサイダーズだって、インサイドであるJLAに出来ないことをするために、出来たんだから」

S「話が戻った!」

F「星屑の俺たち 結構イイとこあるんだぜ!ってな」