デッドプール邦訳奇譚~デッドプール:スーサイド・キングス~

デッドプール:スーサイド・キングス

デッドプール スーサイド キングス 表紙

あらすじ

我らの“冗舌な庸兵”のもとに、100万ドルの暗殺依頼が舞い込んだ。だが、高額な暗殺の裏には、大いなる陰謀が仕組まれていた。罪のない一般市民を殺害したという濡れ衣を着せられたデッドプールは、あろうことかパニッシャーに命を狙われることになる。しかし、彼の無実を信じる者もいた。その名はデアデビル…。暗黒街の仕置人パニッシャーを前にして、恐れを知らぬ男に勝ち目はあるのか!?(Amazon商品説明より抜粋)

F「マーク・ウィズ・ア・マウスもキルズ・マーベルユニバースも好評なようだし、こりゃあ次の邦訳も近いうちに出るな! ガハハ!と思っていたら半年以上かかったよ!な通販入れれば四冊目、一般販売では三冊目なデッドプール:スーサイド・キングス! あらすじや概要に関しては以前書いた発売直前企画を見てくださいませ……と言ったところで、気がついたんだが」

S「何に?」

F「前書いた、この発売直前企画で、自分の推したいところ、ほとんど書いちゃったなあと」

S「そりゃあなあ、書いてるヤツが同じな以上なあ」

F「やはり自分の敵は自分だったか……」

S「そんな少年漫画で出てくるような哲学的な問を持ちだされても」

F「シンプルにポイントをまとめると、以下のとおりだな」

スーサイド・キングスは、ニューヨークを舞台としたストリート系のストーリー

スパイダーマンやデアデビルやパニッシャーが登場

ぼくらのアイドル、レッキングクルーも登場!

同時収録の短編“Game$ of DEATH(死亡$遊戯)”はくそったれでイカした良短編

F「まあこんなところかね、あとヒロイン枠として出てくるのは、スーサイド・キングス以前のデッドプール誌でもヒロイン枠を務めていた、アウトローってのもあるけど」

S「どっかのバカルテットより、ヒロインの方が優先すべきポイントじゃなかろうか」

F「人気の高いスパイダーマンとの邦訳初タッグ。デッドプール&スパイダーマン、すっげえ五月蝿くて耳が痛くなる!なデアデビル。デッドプールとのセット以外でも邦訳出ていいのよ?なパニッシャー。人気ゲストキャラとの共闘や対決はやはりこの本のウリだな」

S「邦訳初タッグはこの本で、初共演は……キルズ・マーベルユニバース?」

F「あの本持ってきたら、この三人だけでなくアベンジャーズともファンタスティック・フォーともX-MENともパワーパックともハワード・ザ・ダックとも共演済みになるけどよ。アレは共演というより、なんだろうね? 対決……破壊……殺戮……殲滅……」

S「どんどん、テロリストの好感度が高そうな単語になってるぞ」

F「あと注目すべきは“Game$ of DEATH(死亡$遊戯)”。この作品、今まで出た邦訳デッドプールのエピソードの中でも、ある意味はじめてなんだわ」

S「公開殺人ショーがおこなわれている島に、デッドプールが乗り込む話だったな」

F「ああ。カンフー映画のシナリオっぽくて、シチュエーションからして大好きよ! はじめてポイントとしてはだな、この話、デッドプール以外のヒーローやヴィラン、いわゆるゲストキャラが出てこない」

S「なるほど」

F「つまりはじめての、デッドプール単独主演作というわけだな。今までのがゲストキャラ大勢登場な劇場版やTVスペシャルだとしたら、“Game$ of DEATH(死亡$遊戯)”は通常回。普段のデッドプールさんの一枠よ。そしてこの話には、日本語訳ならではの仕掛けがあるので、気になる人はデッドプールのセリフの一語一句に注目してみよう!」

S「仕掛けのヒントは?」

F「うーん……シュワルマ……じゃなかった、チミチャンガ!」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス~

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス表紙

あらすじ

激しく燃えた謎の火の玉がサベッジランドの密林に墜落した。その残骸のなかから出てきたものは……な、なんと我らが愛すべきデッドプールだった! しかも黒焦げ状態で……でも彼には超回復能力があるから大丈夫!世界の破滅を目論む悪の組織AIMと契約した冗舌な傭兵は、謎の新型生物兵器を手に入れるため、ジャングルのなかへと足を踏み入れた。任務の報酬を手に入れるためには、ライバルであるテロリスト組織ヒドラの兵士たちを出し抜かなければならない。
しかし、目的の生物兵器にたどり着くことができたデッドプールは衝撃的な事実を知る。彼が持ち帰るべき生物兵器とは、ベラベラしゃべって、脳をムシャムシャ食べるゾンビ・デッドプールの頭部だったのだ! デッドプールとヘッドプールの珍道中がはじまった!!
え!? ヘッドプールだけじゃ物足りない? それなら、SHIELDのウィルソン少佐やデッドプール・キッドはどうかな? そうそう、無限に広がるマーベルの並行世界を語る時に忘れてはならないゾンビバースでの冒険も盛りだくさんだ! デッドプール史上、最もクレイジーな一冊にして、ファン必携のコミック、日本初邦訳!(Amazon掲載の商品説明より抜粋)

F「日本での発売順に追っていくよ! てなわけで、今日紹介するのはデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスだ。発売前にテンション上って、紹介記事を書いたこともあったな。はじめての邦訳デッドプール。デッドプールの邦訳童貞を奪い去っていった作品だな」

S「すっげえ嫌な言い方だ! あれ? ヴィレッジブックスから出たX-MEN ユニバース:シビル・ウォーの方が、若干早いんじゃないか? アレにはケーブル&デッドプールのシビル・ウォータイイン回が収録されていたよな」

F「シビルウォーの方が、タッチの差、数日違いで早いんだよな。ただ通販限定というポジションが、どうにも悩みどころでな。今現在はFujisan.co.jpで購入できるものの、供給の状況が特殊でいまいち紹介しにくい点もあり。ひとまず、現状X-MEN ユニバース:シビル・ウォー紹介は保留ということで。ただ、デッドプールの邦訳筆おろしの一番手は、こっちにしてもいいかもしれんな」

S「嫌な言い方が、更に重ねられた……!」

F「それでマーク・ウィズ・ア・マウスの話になるけどよ。まーこれ、決定版ですわ。しょっぱなから決定版。今でも、書店やアマゾンのベストセラーランキングにふっと出てくるくらいに、売れてるよ!」

S「確かになあ。二転三転する破天荒なストーリー、ウルヴァリンやキャプテン・アメリカだけでなく平行世界の自分自身(例:レディデッドプール)も含めた豪華なゲストキャラ勢、血肉舞い散る派手なアクション、忘れちゃいけない第四の壁の破壊。多くのファンがデッドプールに求めていたもの、全部てんこ盛りだもんな」

F「俺も邦訳するならコレだろうよ!と、邦訳が動く前より他人に勧めていた作品。初めて読んだ、洋書のデッドプールもコレだったかな」

S「つまりデッドプール童貞をこの作品で捨てたわけだ」

F「……OK、言い出した身としてはなんだが、俺の言い方が悪かった。だからそのBL臭のする喩えを、止めてくれたまえ。あと一つポイントとしては、中に入っている小冊子。中に載っているデッドプールの歴史が、ものすごくいい。デッドプールの生誕からこの本が出た2013年まで、この資料も決定版と言っていいくらいの出来。そして結果的に今、唯一の弱点も補強された」

S「弱点?」

F「2013年以降の情報。これは載ってなくて当たり前の話なんだが……」

S「ああそうか! 2013年以降の作品は、次々と邦訳されているのか!」

F「そういうことだな。例えばデッドプールの兵法入門やデッドプールVSカーネイジ、デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント以降のレギュラーシリーズはこれに該当するぞ。資料に情報が載ってない、ならば自分の目で確かめてみればいいのさ。むしろ言及していないほうが、未知の状態で楽しめる。こんな見方もある」

S「未知っていうのは、作品を楽しむスパイスだよな」

F「そういうこと。あとまあ、マーク・ウィズ・ア・マウスは一応チーム全員デッドプールなデッドプール・コァに繋がっているわけだが、実はデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス自体の追加エピソードも存在するぞ。当時サベッジランドをさまよっていたデッドプールとヘッドプール、そしてヒロイン枠のセクシーメガネっ娘ことドクター・ベティ。いや実はあの時、俺ちゃん、ドクター・ベティと結婚していたのよ! そんなボーナスストーリー」

S「ボーナス……? しかし結婚ってことは、ひょっとしてあの本に載っている話か?」

F「デッドプール Vol.1:デッド・プレジデントの先にある、デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプール。この中に収録されたデッドプール結婚記念アンソロジー集の中に当時のライター&アーティストがそのまま参加した、マーク・ウィズ・ア・マウス追加エピソードがあるぜ。このアンソロジー集に参加しているメンバーや作品は、全員これまでのデッドプール史に携わってきた面々。レギュラーシリーズの担当が多い中、中編ながらも、このアンソロジーに選出された時点で、マーク・ウィズ・ア・マウスの向こうでの人気や評価もわかるってものよ」

S「しかしまだ、デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプールの邦訳は発表されてないよな……?」

F「ああ。でも、このままいけば、ひょっとしたら……と思えるところにはいるだろ。1巻であるデッドプレジデントから3巻であるグッド、バッド・アンド・アグリーまでの発売は決まっているんだから。是非ともあの、結婚記念アンソロジーでも屈指のどうしょうもねえなあ、この赤タイツは! そんなエピソードを、是非いろんな人に読んでほしいもんだねえ」

デッドプール邦訳奇譚~0~

アベンジャーズ アッセンブル!

ふじい(以下F)「祝! デッドプールアベンジャーズ入り! ということでね、今月10月より始まるアンキャニー・アベンジャーズ誌では、人類とミュータントとデッドプールの為に戦う、新生アベンジャーズが結成されるわけですが」

サイレン(以下S)「待って。理解が追いつかないから。待って」

F「いや。待たない。スパイダーマンやスティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)も参加する本格的チームを率いる、僕らのデッドプールさん。一体何がどうしてこうなるのか楽しみデスね! アベンジャーズのリーダーだ!(CV子安武人) まあこれは本国アメリカでの動きなわけで、日本での動きとなると……まず思い当たるのは、最近の邦訳ラッシュ」

S「確かになあ、8月のデッドプールVS.カーネイジアイデンティティ・ウォー:デッドプール/スパイダーマン/ハルク。アイデンティティ・ウォーは三人が主人公みたいな形だから微妙だとしても……9月はデッドプール:モンキー・ビジネスデッドプールの兵法入門、押しも押されもせぬデッドプールが主人公な作品が、2冊出ている。これもはや、月刊デッドプール状態?」

F「10月も小学館プロダクションからデッドプール Vol.1:デッド・プレジデントが、ヴィレッジブックスからデッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプールが出るから、今月も月で2冊発売ということになるな。ああ、11月はデッドプールVol.2:ソウル・ハンター(仮)が、12月はデッドプールVol.3:グッド、バッド・アンド・アグリーが決まっているから、来月以降、少なくとも今年いっぱいは月最低1冊、邦訳デッドプールが発売されることになるな」

S「立派な、月刊化じゃないか……どうしてこうなった!」

F「ホントになあ。そして、ここに来て気がついたんだ」

S「何に?」

F「いやさあ……数、多くない?」

S「そりゃあね! このペースで出てれば多くもなるよ」

F「10月現在で、Amazonにデッドプールの邦訳、発売予定の物を含めて10冊以上あるからなあ……」

S「しかもそれ、数冊増えるの確定だろ」

F「来年どうなるかはわからないけど、場合によっては20冊に達しかねん。というわけで、ここで一度、この本はどんな本なのか、いったい他にどんなキャラが出てくるのか。一度レビューという形でまとめた方がいいんじゃないかと思ってよ。時系列だって一貫してないし、長編、中編、短編が入り混じっている状態だしな」

S「なるほどねえ」

F「邦訳っていうのは、単に洋書を日本語訳したものじゃなくて、いわば世間に訴えかけるフックだからな。日本語に訳され、日本のいろんなトコの書店にズラーっと並ぶ。だからこそ、邦訳や映画や、日本発の……例えばディスク・ウォーズみたいな作品は、尊重したいよな。市場の開拓者としての役割を、公で担っているわけだし」

S「そうだな。洋書を読むことや入手は、思ったよりも簡単なことだけど……本屋で金を払って入手すれば、そのまま読める普通の本とは、難易度に格段の差があるものな」

F「だからこそ、出来る限り応援したいし、例え手作業レベルでも道標を作ってみたい。作っておけば、誰かが何かの足しにしてくれるかもしれないわけで。なので、しばらく日替わりで1冊ずつデッドプールの邦訳本を紹介していく予定だ。もし別の重要なニュースが入ったり更新できなかったりしたら、その時は変更もしくは休止のアナウンスはするけど……基本しばらくはこの企画をやっていく」

S「わかった。それでいこう。ところで、最初にした本国でのデッドプールはアベンジャーズ誌での話だよな? デッドプール本誌はどんな感じなんだ? ついこの間まで、死んでたよな?」

F「ああ……なんでも、気付けばデッドプールが、全世界人気ナンバー1のスーパーヒーローになってるらしいぞ」

お帰り! デッドプール祭り

S「だから待って、本当に待って!」

デッドプールVS.カーネイジについて語ってみる

ふじい(以下F)「…………」

サイレン(以下S)「……?」

F「……」

S「……なんか語れよ」

F「いやさあ、このデッドプールVS.カーネイジってさ、赤いキ◯ガイ同士が殺し合い!以外、語ることないんじゃないか?」

デッドプールVS.カーネイジ

S「身も蓋も無いな!?」

F「最近邦訳が多くなったアメコミ界隈どころか、日本の漫画を含めても、ここまでシンプルな作品はそうそう無いだろ。敵討や宿命とかそういうの抜きで――

デッドプール『あーなんかビビっと来た! よし! 殺す!』

カーネイジ『ああん? 死ぬのはテメエだ!』

F「こんな感じじゃん。アイツら」

S「ヤンキー漫画でも、もうちっと頭良く喧嘩始めると思うんだが」

F「喧嘩どころか、周りも容赦なく死ぬ殺しあいよ! 主に、カーネイジのせいで! ディス・イズ・シンプル!」

S「今回、めっちゃシンプルって単語使ってるよな。あんま言うと、話が単純で読み応えがない。そんな感じに思われるぜ?」

F「なるほど……そうだな、デッドプールVSカーネイジを例えるとしたら、ただ切るために作られたナイフか。一つの目的の為に、磨き上げられた刃物。まず、二人の殺し合いというテーマを書くことに集中して作った代物。おそらく伝説的な作品や名作として語られることはないが、殺し合いの追求による愉快な血みどろスイッチは忘れられない物があるぜ?」

S「なにそれ、悪夢?」

F「喩えを変えるなら、メニューがひとつしか無い知る人ぞ知る店だな! ただし、その一つのメニューは、色々な意味で濃い!」

S「この二人が揃ったら、そりゃこうなるよ!という読者の期待に、全力で応えているよな。つーか、デッドプールとカーネイジの名前が並んでいる時点で、栄誉とか美しさを期待したら、それ期待したほうが悪いな」

F「ドブネズミみたいに、美しくありーたいー。まあ、美しさは見いだせるけど、普通の美しさじゃないねえ。テーマがシンプルな分、デッドプールのメタ! カーネイジの殺戮性! 互いの個性がガン積み出来ているのもポイント。テーマが厚いと、どうしてもそっちの描写や、場合によってはキャラがテーマに引っ張られて改変されるしねえ。ベースが純粋だと、装飾そのものの美しさや、トッピングの旨味が際立つのよ」

S「デッドプールとカーネイジ。両方共、殺傷能力の高さに定評があり、ほぼ不死身なのがポイントだよな。第一話の時点で、互いに再生能力無かったら、そこで死んで終わってるだろうし。4話に渡って殺しあうには、不死性無いとなあ」

F「デッドプールとカーネイジはここに至るまでしっかりとした絡みはなかったけど、殺傷性や再生能力以外にも、共通点は多いぞ」

S「イメージカラーは両者赤だよな。あと、頭おかしい」

F「お前、容赦ねえな……。あとデッドプールはデザイン的に、カーネイジはデザインだけでなく出自も含め、原点にスパイダーマンがいる。この二人を語るのに、スパイダーマンを抜くのは難しいねえ」

S「スパイダーマンのとばっちり感、ハンパない!」

F「あああと、二人共、同じ91年に登場して、今でも現役な人気キャラとしての座を掴んだっていうのもあるぞ。デッドプールが1991年の2月に初登場、カーネイジは中の人である殺人鬼クレタス・キャサディが次の月である3月に初登場と、一ヶ月違いだ」

S「登場後、すぐにカーネイジになったわけじゃないのか?」

F「キャサディがカーネイジとして覚醒したのは、92年の4月と、一年ぐらい違うな。今読むと、キャサディの時点でカルピスの原液並みに濃いというか……やけに細長い顔と、天才的かつ猟奇的な手口といい、初期コンセプトはバットマンのジョーカーだったんじゃないかなあと」

クレタス・キャサディ

S「スパイダーマン以上の能力を持つジョーカーって、普通にアカんやろ。むっちゃ強そうだけど」

F「僕の考えた最強のヴィランと言わんばかりの凄みがあるよな。しかし、このデッドプールVSカーネイジが本国で連載していたのと同時期に、デッドプール誌の方で、赤くて頭ぶっとんでて不死身で92年生まれと、これまたデッドプールとカーネイジに似ているキャラな、デッドプールVSオメガレッドもやってたんだけど……なんかマーベルの方で、90年代生まれな赤い最狂キャラ決めようぜ!みたいな話があったんだろうか」

デッドプールVSオメガレッド

S「そんなコロッセオの殺し合いを楽しむ、ローマ貴族みたいなノリで連載されても困るなあ」

F「デッドプールVSオメガレッドも、デッドプールさんの傭兵テクニック全開で面白かったけどね! 話がズレたけど、殺し合いを追求しているだけあって、互いの攻め手は多種多彩で面白いぜ。(一応)ヒーローポジションであるデッドプールには、まるでライダー映画の如き限定フォームが用意されているしな。そして何よりカーネイジは、人気と知名度の割に、日本での露出の機会が少ない。この登場を切っ掛けに、個人誌やスパイダーマン関連の品も出てほしいねえ」

S「つまりこの作品のテーマは……気楽に殺ろうよ?」

F「コレも名作だよなー! 血で温かいデッドプールVSカーネイジとは違って、底冷えするタイプの狂気だけど! 少し不思議なSF短編集の話は今度みっちりするとして。殺し合いという悪趣味なベースの上に咲く、二つの徒花。咲きほこるのは果たしてどちらか。メタも殺戮もフルスロットルなデッドプールVSカーネイジ。癖の強さはあれども、飲み込めるならGOOD!なミニシリーズです」

ぞんびぐらしな作品紹介~その1~

 今季期待のゆるふわ系日常アニメがっこうぐらし!がついに放映されましたね! いやもうどうなるか、わっくわくのドッキドキ。自分は未放映地域なのでネット配信待ちですが、是非とも本編を見つつ、客席も見るような感じで観たいですね! なんか管理者が「脚本陣のエクスペンダブルズっぷりな集まり具合がネタバレすぎる!」と言ってましたが、きっと彼、疲れているんですよ……。
 というわけで、前置きとはあまり関係ないですが、がっこうぐらし!放映に合わせまして、これから週イチでゾンビもの……ゾンビものかなあ!?という作品について、毎週このタイミングで紹介していこうかと。多分厳密にはコレ違うよね?という作品も、つーか第一回目からしてそんな感じなのですが、こまけえこたぁいいんだよ!精神で、幅広く、そして変化球を混ぜつつやっていきます。ゲーム、漫画、アニメ、映画……幅広く!

マーベルユニバースVSザ・パニッシャー(Marvel Universe vs. The Punisher)

Marvel Universe Vs. The Punisher

 早速一発目から、ゾンビものかどうか怪しい作品です。やはりウチの変化球といえば、海外コミックス。この作品に出てくるのは、ゾンビというより食人鬼。ウィルスに感染した瞬間、生者のまま食人衝動に駆られ理性を失っていく。体中に妙な刺青や人骨のアクセサリーをつけているものの、腐敗はなく死体でもなく。普通に首を切れば死にますし、心臓を撃てばお亡くなりになります。その後、頭だけで動いたり、むっくり起き上がったり出来るのは、あらかじめそういう能力を持っている場合のみです。人々が「ミート! ミート!」と叫びつつ襲い喰らい現代社会が破滅していく光景はゾンビものなのですが、腐敗やゾンビ自体の登場を問われると、少し厳しいかもしれません。先ほど言った通り、こまけえこたぁ(以下略
 犯罪者を狩るパニッシャーの標的、それはニューヨーク中のヒーローとヴィラン。ヒーローが自分の家族を殺したのではない、ヴィランが犯罪を犯したのではない。ヒーローは無数の家族を殺し、ヴィランは既に法の枠を超えている。肉を求め、NYに取り残された人々を喰らい続けている彼らを、処刑しなければならない。
 全超人VSパニッシャーのパニシャー・キルズ・マーベルユニバースとも、マーベルヒーローゾンビ化なマーベルゾンビーズとも違う本作。ただの人でしか無い男が、地獄以上のNYで食人鬼を狩り続けていく。既に世界は末期であり、アイアンマンもキャプテン・アメリカもマイティ・ソーももう居ない。孤軍奮闘という言葉がこれほど相応しい作品もなく。
 そして、そんな日常を続けるパニッシャーの元に訪れる、感染して狂っているしむしろ殺したはずのデッドプール、そして人を食い尽くし僅かな正気を取り戻したスパイダーマン。二人の来訪が、パニッシャーを更なる死地へと向かわせる。敵は食欲の一点において無数のヒーローとヴィランを配下にしたキングピン。キングピンの元にあるスパイダーマンの願いとは、そしてこの騒動の真実。原初の罪は、誰の元にあるのか。
 ライターはジョナサン・マベリー。ホラー界の重鎮でありベストセラー作家、優れたホラー小説やダークファンタジーを対象としたブラム・ストーカー賞の受賞やノミネートも数多い方です。そんな重鎮が描いた残酷な世界は、目を背けたくなりつつも離せないものがあり。実際自分も「マーベルゾンビーズ結構売れてるみたいですし、こっちも邦訳出したらウケるんじゃないッスかねー」と、以前がっこうぐらし!原作者の海法先生に酒の席で……まあ、これは置いておくとして。
 そして2011年、ジョナサン・マベリーはこの狂ったマーベルユニバースを描いた作品にて、ブラム・ストーカー賞にノミネート。だがその作品は、次作。時計の針は巻き戻り、感染初期。壊れ始めた世界にて、爪の男は生きるための戦いを続ける! そして更にそれより少し先、何故ヒーロー達の間にこうも感染が広がってしまったのか……!? マーベルユニバースVSシリーズ、それは三部作!
 というわけで、本日はここまでで。実はこの作品と三部作は以前紹介しておりまして、待ちきれない方はネタバレ全開ですがこちらこちらをどうぞ。そもそも、気が変わって来週別の作品を取り上げるよ!という展開もありえますので。いやまあ、流石に無いようには努力しますけど! とりあえず、暫くの間、お付き合いよろしくお願いします。これから先ちょっと忙しいし、まずはペース保てるよう努力せんとな……。