ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その33~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第32話。
 いよいよな最終決戦、レッド・スカル編決着!

 完全に、アベンジャーズと子供達を手の平の上に乗せたレッド・スカル。ライバルであるキャプテン・アメリカより、優れている一点がレッド・スカルにあるとしたら、キャップが兵士ならレッド・スカルは将校であること。謀略や策略という将棋盤において、超越者相手に腕を磨き続けたレッド・スカルに勝てる者はそうそう居ないでしょう。なら勝つためには、まともに将棋を打つ以外の手段を模索するしか無く! 相手の思考の外を突くホークアイ復活! ちょっと存在を忘れかけてたけど(注:行方不明からリアルタイムで一ヶ月近く経ってます)待ってたぜ! ホークアイ、エージェントとしては頭も腕も器用な部類に入るので、こういう変装しての潜入任務も得意なのよね。実は弓矢以外も結構使えるので、多分タスクマスターにも短期間ならなり切れます。それぐらいには、武芸百般。

 ソーの信頼とホークアイの奇策により、ヒカルを使っての計略に失敗したレッド・スカル。だが、それに慢心すること無く用意していた巨大ヒドラメカが始動。また再び、策略の迷路に引きずり込まれたワケですが、次は少年少女達の連続Dスマッシュ! 奇策の次は、力押しによる盤の破壊! いやー、いいですよね! メイン&セカンドヒーローの共闘。アベンジャーズと他のチーム、メンバー的に……ヒーローズ・フォー・ハイヤー?とにかく、ヒーロー同士の共演、チームアップは熱い! キング・リュウさんのTwitterによると、いくらボス相手といえども、一人へのアッセンブルという名のリンチにならぬよう気を配っているそうですが、今回のレッド・スカルWith巨大メカは最高の的でしたね! いやもう、燃えるしか無く。筋肉コンビの大破壊は、パワーキャラの名誉挽回企画と銘打っても何ら問題ない迫力。力こそ、パワー!

 レッド・スカルも敗れ、ヒドラも壊滅し。ショッカー首領並にしぶといとは言えども、おそらくこれで一度は決着。次週は謎の新人アベンジャーズに、新たなる巨悪。そして偏屈で有名なピム博士登場! えーと、色々頑張れ! ワスプ! あと2014年11月12日現在、12月3日まで公式サイトにてキャラクター人気投票開催中。人気者は誰だ!ということで、是非投票を! こういうのは、数が集まれば集まるほど面白い! みんな、絶対俺ちゃ……デッドプールさんに入れようね!

 なんか雑音が入ったけど、気にせず今日の紹介はいよいよなナチスの核弾頭、レッド・スカルで! 今現在も、某コズミックビーイングの力を手に入れ、X-MENとアベンジャーズ相手に大立ち回り中な巨悪! あんまりすぎて、マグニートーやロキやドクター・ドゥームやセイバートゥースやカーネイジ、この巨悪凶悪一団+デッドプールも対レッド・スカルに参戦。ほんにこの人は、ラスボスやね。

レッド・スカル

レッドスカル

 神であり強力な魔力を持つ、アスガルドのトリックスター、ロキ。
 地球の大いなる力、磁力を自在に操るミュータント、マグニートー。
 眩い出自や強烈な能力を生まれつき持つ、マーベルの巨悪たち。そんな彼らに比べ、彼には何もない。母は出産時に死亡、父は呪われた息子を殺すことに失敗し自殺。孤児となった子供は、物乞い、泥棒、肉体労働、生き抜くことに必死な只の少年。彼の運命は、とあるホテルでベルボーイとして働いたある日代わる。何もない筈の少年の目に宿る、この世全てへの憎悪。何も持たない少年には、強烈な恨みが宿されていた。彼を見出したホテルの来客は、少年と同じ憎悪を持ち、20世紀を最も乱した男、独裁者アドルフ・ヒトラーであった。

 ヒトラーは、自らが最も求めていた資質を持つ少年を、さらなる理想型、完璧なナチス・ドイツの申し子へと育て上げる。無慈悲さと戦略頭脳、優れた射手にして格闘家。ヒトラーの理想像、それすらも超えた少年ヨハン・シュミットに与えられたのは、赤い骸骨のマスク。レッド・スカルは、こうして誕生した。後に毒ガスの一種を浴びることにより、レッド・スカルは仮面いらずの、本物の骸骨顔となってしまう。忠誠を誓うヒトラーの命令による暗殺、テロ、破壊工作。各国は工作員やスパイによりレッド・スカルを止めようとするが、それはただ犠牲者を増やすだけであった。超人的なレッド・スカルに対向するために必要な物は、超人。アメリカ合衆国政府は超人血清の人体への投与を決断、レッド・スカルに立ち向かえる超人キャプテン・アメリカを誕生させる。Marvelにおける超人の世紀の始まり。一人の鍛えぬかれた邪悪な男は、こうして世界を塗り替えてしまった。

レッドスカル(戦時中)

 アメリカやイギリスやアトランティスの超人やサイボーグと共に枢軸国に立ち向う、キャプテン・アメリカ。レッド・スカルもまた、ナチス・ドイツの超人や侵略者との同盟により迎え撃つ。だがそれは、レッド・スカルという優秀な破壊工作員が動けなくなることを意味していた。やがてドイツは劣勢に。ベルリンが陥落した時、ヒトラーに次ぐ権力者であったレッド・スカルはバンカーにおり、キャプテン・アメリカもそこに居た。第二次大戦最後の、超人同士の戦争。勝敗は国家間の戦争と同じ形、キャップの勝利に終わり、レッド・スカルは崩壊するバンカーに飲み込まれて消えた。
 レッド・スカルは死亡したと思われ、彼の名は伝説として残った。第二次大戦後の冷戦時代、KGBはレッド・スカルの恐怖を蘇らせるため工作員をレッド・スカルに仕立て上げ、レッド・スカルに憧れる多数の者も偽レッド・スカルとなった。だがしかし、死んだと思われたレッド・スカルは生きていた。バンカー崩落の際に浴びた毒ガスの効果により、数十年間冬眠状態で埋もれたままで。復活したレッド・スカルは目撃する、自分と同じ別件の冬眠状態を経て、若々しいままのキャプテン・アメリカを。ナチス残党による秘密結社ヒドラ、ヒーローチームアベンジャーズ。二人の男の戦いは時代を変え、再び始まることとなった。

レッドスカルVSキャプテン・アメリカ

 前述した通り、レッド・スカルの超人としての能力は然程ではない。後に死亡し、キャプテン・アメリカのクローンに意識を移植するものの、キャップの能力も超人という枠内では決して高いわけではなく、常人を磨きあげた結果でしかない。だがしかし、レッド・スカルには優れた戦略頭脳があり、伝説があり、カリスマ性があり、きっかけである憎悪がある。レッド・スカルに心酔し従う者は多く、クロスボーンズのような優れた者も多い。そして本人に超越的な力は無くとも、超越的な力を開発できる組織を作り従わせることもできるし、力を手に入れる手段を構築できる能力はある。世界を変える立方体コズミック・キューブの入手使用などは、類たる例だろう。

レッドスカル&コズミックキューブ

 映画では、キャプテン・アメリカ 卍帝国の野望とキャプテン・アメリカ:ザ・ファースト・アベンジャーの二作に登場。近年の後者では、ナチス・ドイツも裏切り、秘密結社ヒドラの総帥として、世界すべてを敵に回した大戦争に挑む。キャプテン・アメリカとの対決によりヒドラは壊滅し本人もコズミック・キューブの力で塵と化してしまうが、ヒドラの毒は既に世界を密かに侵食していた。余談ではあるが、原作におけるレッド・スカルの何度目かの死の際、コズミック・キューブを手にして死んだ結果、その意識がキューブに残り、他者に憑依したことがあった。映画の死に様は、それを連想させる。

映画版レッドスカル

 映画における、ナチス・ドイツ、ヒトラーに忠誠を誓った男の反逆。実のところこの流れは、当のヒトラー本人が望んでいたことかもしれない。何故なら、完璧すぎるナチスの理想像であり、結果鋭すぎる懐刀となったレッド・スカルを、ヒトラーは内心恐れていた。刃を飲み込むよりは、まだ外に居たほうが、共通の敵となった方が安全とも言える。作った人間すらも恐れさせる、人の憎悪の結晶。最後に、多少違う世界で最狂の名を関する男。そんな男のレッド・スカル評を置いて、シメとしたい。

ジョーカー「あのガイコツ、マジで頭おかしいわ」

ジョーカーVSレッド・スカル

デッドプールの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい新特性のすべてについて教えましょう

ふじい(以下F)「デッドプール、キャプテン・アメリカ、ウルヴァリン。北朝鮮に拉致られた三人のヒーローが、弾圧されるミュータントやデッドプールを巻き込む大いなる陰謀に立ち向かうDeadpool:The Good, the Bad, the Ugly。当時、悪友や腐れ縁だった三人が友人となったターニングポイントではあるんだが、実はここで、デッドプールの新たな能力が判明しているのよね」

デッドプール&キャプテン・アメリカ&ウルヴァリン

S「おお! アメコミ名物、新たな能力! 気が付いたらなくなってたりする、大いなる力!」

F「そりゃスパイダーマンも、ウェブシューター無くても糸出せるようになるし、サム・ライミ版だとむしろそっちだよね。というわけで、空前絶後なデッドプールの新たな能力、正確には性質は……“他者に移植したミュータント細胞(能力)を、定着させることが出来る”。デッドプールの細胞を媒介にすれば、好きなミュータントの能力を好きな対象に移植できる。こいつぁ、画期的な能力ですよ?」

S「わ、わーい……」

F「テンション低!? もっと、盛り上がっていこうぜ!?」

S「だってそれ、そんな画期的じゃないんじゃ。例えばローグとかさ」

F「ローグは、相手の能力を奪うミュータントだから。一度に付き五人までの能力を、最大値の半分程度模倣できるミミックも、あくまで能力」

S「ヒーリングファクターなら、X-23やダケンも」

F「あの二人は、元々のそういう能力持ちというか、ウルヴァリンの子供みたいなもんだろう」

S「ウルヴァリン:SAMURAIのヤシダ」

F「映画は映画だから。それ言っちゃうと、ミュータントにされたものの、能力が維持できず死んだオッサン居なかったか?」

S「アポカリプス」

F「アイツは基本、改造手術だから。それに、元々在る能力(例:アークエンジェルとなったエンジェルや、当時失ってた能力を取り戻したサンファイヤー)を伸ばしたり復活させたりな方針多いし」

S「ミスター・シニスター」

F「シニスターは、能力込みでのクローンによる量産。シニスターはシニスターで、数百人のサイクロップスクローンによるハイメガオプティックブラストや、モナミーモナミー言いながら神風戦法しかけてくるガンビットクローン軍団と、アレはアレで絵面が超面白いんだが」

S「ガンビットに人権はないのか。そう言われてみると、先天的な能力であるミュータントの能力の移植例って、かなり少ないな。ファンタスティック・フォーやハルクは、外部的な影響による変貌だし」

F「先天的能力の後天的移植とか、文字にするとすげえ無理筋だしな。ヒーリングファクターいうと程遠く思えるけど、ぶっちゃけアレ、おそらくあの世界においてもかなりの精度で不老不死に近づいている能力だからね。簡単に移植できるならそりゃあ、誰だって移植しますよ。デッドプールさんは、一般人にミュータント能力を移植したら上手く定着した稀有な例。どうも、この能力の定着が難しいらしい。宇宙線やガンマ線での変質以上に、個々のミュータントの生物としての素養が関わってるみたいでなー。ゲームで喩えるなら、固有装備を無理に使いまわそうとする感じで」

S「つまり、デッドプールの細胞は一つのバグ。固有装備条件をぶっ壊してしまう、チート的細胞なわけだな。確かにそりゃあ、ミュータント界隈の勢力図が塗り変わりかねない素養だなあ……」

F「反ミュータント主義者の根幹が、バラバラになりかねないインパクトよね。彼らにとっての忌まわしき力の自由な付与。実際、このデッドプールの特製を使って創りだしたパチモンX-MENが北朝鮮に居たんだが、問題があってなあ」

S「問題?」

F「デッドプールの細胞ってそもそも……」

S「のきなみガンか! デッドプールの細胞の移植=超弩級のガン細胞の人体移植になるのか!」

F「ああ。デッドプールの細胞を媒介に能力を移植された者は、能力とともに重い病と爛れた皮膚を持つことになる。実際、デッドプールの細胞とその技術を手にした北朝鮮が作ったX-MENはこんな感じだ」

北朝鮮版X-MEN

F「更に言えば、デッドプールは持ち前のヒーリングファクターがあるからガンと共に在るわけで、ヒーリングファクターが無い以上、そうなってしまえばもはや……。ウルヴァリンの能力を移植されたであろう人も羅患しているので、デッドプールでないと耐えられん病なのだろう。」

S「画期的な特製であっても、実用は無理か」

F「それに、能力だけで強いわけじゃないしね、X-MEN。きちんとしたアイテムや育成計画がないと、同程度の能力者にするのは無理よ。実際ホラ、上の北朝鮮版のX-MEN、コスチュームがやっすいし、一番後ろに居る、フード被った赤い目の人。サイクロップスの模倣よ?」

S「あー……ルビーなバイザーもサングラスも作れんし用意できないのか」

F「それに生まれながらでも難しいのに、そんな能力をいきなり移植されて使えるかというとねえ。数は作れるけど、育成計画がない結果、北朝鮮クオリティでとんでもない育てられ方してるし」

 テレポート能力を持つ、ナイトクローラータイプを量産した!→柱に縛り付けて拳銃撃つから、テレポートしてね! 大丈夫、できるから! 出来なければ死ぬだけだから!

S「うわあ……」

F「研究施設もぶっ壊して黒幕もぶっ殺して。犠牲者は出たものの北朝鮮版X-MENも脱北して、今(2014/10現在)はウルヴァリンとデッドプールの口利きでビーストによる治療を受けているし。治ると、いいんだが」

S「そうだなあ。デッドプールの新特性、本当にバグ。本体に影響を及ぼすレベルのアレだな」

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その30~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第30話。
 ブラック・ウィドウ回だと思ったら、全力全開のデッドプール回だった。そんなファイト属性編。贔屓目かもしれませんが、デッドプール回、前回も含めて作画凄いよね!

 ネジが全部外れているように見えて、実は一本だけしっかりと締まっている。デッドプールを紹介する時に時折使う表現ですが、今回はこの締まっている部分がしっかりと描写されたデッドプールフェスティバルでした。いやねえ、ただのイカレポンチだったら、そもそも人気あるわけねえですからね。人気キャラの座につくイカレポンチは、大抵悪ふざけや狂気の裏に、何か確固たる物を持ってます。前回はネジフルパージ、今回はネジが締まった姿。この二話で、デッドプールの魅力は存分に演出でき、今後は「デッドプールを知りたい? 邦訳かディスクウォーズのデッドプール回観ようぜ!」も十分に通じる状況。良いデッドプールを、堪能させていただきました!
ありがとう! ディスクウォーズ! ありがとう、日本のみんな! ディスクウォーズ~完~
 デッドプールだけでなく、例えば電話先のタスクマスターやサーペントソサエティのダイヤモンドバックのような、所謂傭兵たち。忠誠や正義よりも金をメインにする彼らは、報酬さえ貰えば誰にでも味方するドブネズミ野郎たち。でもドブネズミだからこそ、本性はドライでシニカル。金さえ払えばこいつらはどうにかなると思っている人間と付き合ってきた以上、見捨てられたことも多々有り、見捨てざるを得なかった状況も多々有り。
「こんなもん、ただの慣れさ」
 この言葉が、全てかと。答えを出し続けなければ行きていけないドブネズミ、その中でも最も汚く思われているドブネズミが出した結論であります。自分の命にすら適用される、乾いた結論です。
やあ僕、ミッキー! ハハッ!
 結論を出せる人間がいるからこそ、悩みは若くなり苦しくなり、それに磨かれることで決断の価値は更に上がると。
 今回の主役はクリスであり、求められたのは決断。キャップを慕うSHIELD隊員のひたむきな善、本当にどうしょうもない人間だと思っていたデッドプールの達観、過去の忌まわしさの象徴的存在バロン・ジモ。そして全てを受け止めて、見守るキャプテン・アメリカ。まだおそらく完全な答えではなく、結論とはならないでしょうが、少なくともクリスが今回出した答えは、バロン・ジモの猛攻と策略を掻い潜り大団円を作れるだけの価値はあったかなと。これでガイアライン計画回も、残るは二人。エドやヒカルを待ち受けている物は、果たして……。

 今日の紹介は、黒後家蜘蛛ブラック・ウィドウで! ウィドウさん出番少なかったけど、一番出番多かったデッドプールは、以前やりましたしねえ。ここは映画アベンジャーズでも大活躍なナターシャさんで。
馬鹿な! 俺ちゃんは最後まで生き残って……ぐわー!

 
ブラック・ウィドウ

ブラック・ウィドウ

第二次世界大戦中、最大の激戦の一つに数えられる、ドイツ対ソビエト連邦のスターリングラード攻防戦。燃え盛る街の一角にて、ソ連の兵士イワン・ペトロビッチは、崩れ落ちるビルに飲み込まれた女性より、一人の赤ん坊を投げ渡された。イワンは、名前も知らぬ赤ん坊、女の子にナターシャと名づけた。ブラックウィドウ、ナターシャ・ロマノワはこうして生まれた。
ナターシャは健やかに成長、体育も含めた全ての教科にて優秀な成績を残し、更には美しさを磨きあげた彼女は、バレリーナとなった。彼女の才能は内外に知られ、ナチスドイツ残党であり秘密結社ヒドラの重鎮バロン・フォン・ストライカーに誘拐され、スパイに仕立てあげられそうになったこともある。この時は、イワンそしてウルヴァリンとキャプテン・アメリカの手により救助された。
やがて、テストパイロットであるアレクセイ・ショスタコフと結婚。だが、アレクセイは事故死。独り身となり、悲しみにくれたナターシャにKGBが言葉巧みに接触。優れた素養を持つナターシャを、対米スパイに仕立て上げることに成功する。ナターシャに与えられたコードネームは、黒後家蜘蛛ことブラック・ウィドウであった。
ウィドウはアメリカに渡り、自身の美貌を持ってして、世界バランスに影響を及ぼすであろうヒーロー、アイアンマンを擁すると言われていた※スターク・インダストリーズの社長トニー・スタークに急接近する。

※この頃、トニー・スタークは「私がアイアンマンだ」をしておらず、トニーとアイアンマンは別人扱いだった。

KGBと連携して、アイアンマンを丸裸にしようとしたウィドウだったが、当時ヒーローであるかヴィランであるか、未だ迷いの中に居たホークアイとの出会いが、彼女を揺らがす。ホークアイの説得により心動かし始めた彼女を襲う、更なる真実。赤いキャプテン・アメリカ。ソ連が有するスーパーエージェントであるレッド・ガーディアン、彼の正体は、死んだ筈の夫、アレクセイだったのだ。

レッド・ガーディアン

元々、アレクセイの死は彼をレッド・ガーディアンにするためのKGBの偽装であり、つまりウィドウの悲しみも無念も、国家の手の平の上でしかなかった。ウィドウはソ連と決別し、アメリカへ亡命。アベンジャーズに加入し、ヒーローの一員となる。なお、アレクセイはそのままソ連に忠を尽くし、共産主義への反逆者となったウィドウとも敵対。ソ連崩壊後もその幻影を追い求め、数年前には北方四島でのネオソビエト連邦建国を企んだ。

アベンジャーズの一員として、別のヒーローチームであるチャンピオンズの一員として、デアデビルの恋人として。

ブラック・ウィドウ&デアデビル

国家の一員ではなく、一人の人間として生きるウィドウの前に、もう一人のブラック・ウィドウ、後の好敵手となるイリーナ・ベロパが現れる。

ブラック・ウィドウ(ベロニカ)

彼女だけではない、ソ連による女性エージェント育成計画「ブラック・ウィドウ・オプス」計画。素養在る少女を集め、黒後家蜘蛛の名を冠するに相応しいスパイに育て上げる。育ての親であるイワンは、この計画のエージェントであり、バレリーナや優秀な学生という経歴も、ニセの記憶として用意された物だったのだ。学校で学んでいたと思い込んでいた時期、彼女は「赤の部屋」と呼ばれる場所におり、ソ連の伝説的暗殺者ウィンター・ソルジャーより技術を学んでいた。この結果、ブラック・ウィドウのオリジンは虚実入り混じるものとなってしまった。彼女の過去を完全に解き明かすのは、峰不二子の出生レベルで難しい。映画アベンジャーズシリーズにおける彼女の来歴の不確かさは、ある意味忠実な原作再現である。

映画 ブラック・ウィドウ

オリンピック選手並みの運動能力、手首に装備された移動用攻撃用のケーブル発射装置ウィドウズ・ラインや電撃発射装置ウィドウズ・ボルト、戦略や戦術に関してはキャプテン・アメリカに匹敵すると言われ、どんな国の言葉も使え男を魅惑する才女。生身のヒーロー、ファイトタイプの典型例+スパイとしての技能が、彼女の能力である。それ以外には何もない……と見せかけて、ウィドウにはもう一つ、人とは違う物がある。前述の経歴を見れば分かる通り、彼女の出生や経験は、どうみてもそれなりの歳の人間のものである。偽の記憶ではあったが戦時中生まれとして設定されていたし、そもそもソ連崩壊を子供の頃目の当たりにした世代ですら、そろそろ30代が見えてきている。
ウィドウは、改良型超人血清の摂取者である。ニック・フューリーも使っている、摂取者の加齢速度を遅くする超人血清の効力により、彼女は瑞々しい若さと全盛時の能力をを保ち続けている。アイアンマンとなる切っ掛けの戦争が時代とともに変わっているトニー・スタークと違い、彼女の原典であるソ連の代わりは無かった。
ただし、血清の代償として、ウィドウは妊娠することが出来ず、子供が作れない。祖国を裏切り、悲哀を背負い。そんな彼女を信頼する多くのヒーロー、そしてニック・フューリーとSHIELDの信用。様々な物を捨てざるを得なかったウィドウではあるが、確かに残っている物もある。だからこそ、確かな物を他人より預けられるのだ。

ブラック・ウィドウ&ウィンター・ソルジャー

 まあ、時折変なのも寄ってきますが、それはそれとしてですね。

デッドプール&ブラックウィドウ 

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その28~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第28話。
 開戦! アベンジャーズVSヒドラ!

 地球の龍脈を侵す事による、レッドスカルの地球破壊作戦。世界各地に分かれた敵に対処するため、アベンジャーズと子供達もそれぞれペア同士の単独行動へ。今回のファルコン、そして来週のブラックパンサー。おそらくしばらくは一話ずつ、世界各地に分かれたペアを支援するヒーローが登場するのでしょう。そして、結果属性ごとに分かれる事になったヴィランたちも。世の理、悪の栄えた試し無しを、理ごと世界を一度破壊しようとするレッドスカル。開いた戦力差を補うためのビルドアップアーマーも完成し、ディスクウォーズ最大の大戦開始!
 そして実は、本日よりコミックスでも、アベンジャーズとX-MENの連合軍VSレッドスカル率いるヴィラン軍団の決戦となるシリーズ、AXIS(アクシズ)が開始。奇しくも日米同時にレッドスカルとの大戦が始まる流れとなりました。アクシズにおけるレッドスカルは、嘗て全ての理を破壊しようとし、マブカプシリーズでもラスボスを務めた大物オンスロートの力を手に入れ、こっちはこっちでヤベえ事になってます。

 死ぬ気で戦うのと、死ぬつもりで戦うのは違う。ホークアイの犠牲を目の当たりにしたファルコンの心のモヤ、振り払ったのは先輩ヒーローであるアイアンマンと、アイアンマンの心を知る少年アキラでした。こうして一緒に振り払えたこと、パートナーとして培ってきた物の大きさを感じさせてくれます。死ぬつもりのファルコンは突入時被弾もしていましたが、一度モヤを振り払ってからは大活躍。おそらく、この気持の変貌こそが、今回不利を何度も覆した原動力だろうなと。
 
 ホークアイとファルコン、ファルコンについては後述しますが、二人共原作の経歴を並べると「悪人から始まり正義に目覚めた男」。根源が親しいヒーローなんですよね。大悪党により悪人にされかけていたものの、ヒーローとの出会いにより正義の道へ。今回の濃密な先輩後輩関係は、グッドなアレンジだったと思います。今までの話でレギュラー勢の地固めをちゃんとした結果、現状濃密な話が出来るようになってるのは実に良く。ベクトルは若干違うけど、話の濃密さで言ったら、デッドプールもファルコンも、新キャラとは思えないぐらいギッチギチに個性詰まってましたよね。

 今日の解説は、科学忍者隊ファルコンで! 今回属性はテックだけど、ファイトやアニマルでも何らおかしくないよな、この人。

ファルコン

ファルコン

 本名、サム・ウィルソン。ニューヨーク市でも非白人が多いハーレムを拠点とする、ハーレム生まれの黒人ヒーロー。アメコミ界初の、アメリカ系黒人ヒーローと言える存在である。なお、もう一人の黒人ヒーローでありファルコンよりも登場の早いブラックパンサーは、アフリカ系黒人系ヒーロー。つまりアメコミ界初の黒人ヒーロー。身近な黒人と、異国の黒人、アメリカ人にとって若干二人の立ち位置は違う。

ファルコン&キャプテン・アメリカ&ブラックパンサー

 ハーレムで産まれ、ボランティア活動に勤しむサムであったが、父も母もそのハーレムによる災禍により死亡。絶望により善性を塗り替えられたサムは、一路犯罪者へ。ハーレムからも離れ、密輸ギャングの一員へ身を投じてしまう。
十把一絡げの悪人として生きる筈だったサムの運命を変えたのは、カリブ海の孤島への漂着。そこで出会った、強大な善と悪を持つ二人の人間、キャプテン・アメリカとレッドスカルだった。サムを見出したレッドスカルは、コズミックキューブの力を使い、彼のペットである鷹“レッドウィング”との交流能力を授け、島にやってきたキャプテン・アメリカの相棒に仕立て上げる。
 レッドスカルの計画では、キャプテン・アメリカの信頼を得た段階でサムを裏切らせ、嘗ての相棒バッキーの死に揺れるキャップの心身を破壊する段取りだったが、キャップと出会ったことによりサムの中の善性が復活。レッドスカルの洗脳すら振り払い、サムは正しい相棒としてキャップと共にレッドスカルを打ち破った。
 キャップのかけがえのないパートナーとなったサムは、クライムファイターとしてハーレムを守護する事を選択。もう一人の黒人ヒーロー、ブラックパンサーからグライダー・ウィングを授かったサムは空を制するヒーロー、ファルコンになった。明るく、いかにも若者な性格のファルコンが相棒となることにより、キャプテン・アメリカの年長者としてのあり方も浮上。キャラのあり方が広がることとなり、読者人気も上がったとか。

ファルコン&キャプテン・アメリカ

 当然、超人類登録法を巡るヒーロー同士の内戦シビルウォーにおいても、ファルコンは反対派であるキャップの側に居た。最終的に、ファルコンは超人類登録法に従い登録することとなるが、その理由はシビルウォーで死亡したキャップの葬儀への参加条件に超人類登録法への参加が義務付けられていたからだ。その条件下でも反対派に属したままのヒーローに背を向け、ファルコンは一人、登録しキャップを偲ぶ道を選んだ。このキャップと共に在る姿は、出会いも能力の由来も全て違う映画ウィンター・ソルジャーにおいても、ばっちりと描かれていた。

映画版 ファルコン

 能力は人工の翼、グライダー・ウィングによる高速飛行能力。風を読み、自由自在に飛び回る彼を捕まえることは、至極難しい。またキャップより訓練を受けているため、地上に降りてスーツと翼無しで戦ったとしても高い戦闘能力を持っている。装備と訓練と並ぶ中、彼の唯一の超人的能力と言えるのが鳥との交信能力。最初はペットのレッドウィングとの意思疎通だけだったが、やがて全ての鳥類との交信が可能になる。加えて、鳥の視界をそのまま見る事が出来るため、ファルコンにとって鳥類は頼れる仲間であり、無数の高性能レーダーになっている。街から大自然、地球上、鳥が皆無という場所はあまり無い。
 映画では未登場、ディスクウォーズでも遠隔操作モードとして出てきた、本来はファルコンのペットである鷹のレッドウィング。何度もファルコンと共に死線をくぐり抜けてきただけあって、鳥類世界ではイケメンヒーローポジション。他の動物系ヒーローや動物パートナーと手を組み、ペットアベンジャーズなんてチームも結成している。ちゃんと強力なヴィランの一人であるサノスを倒したチームなので、動物(笑)で挑むと大火傷確定なチームである。

ペットアベンジャーズ

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その20~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第20話!
 来週からは、十数年ぶりのアニメX-MEN開始です。え? 違うの?

 ミュータントに変貌して悩んでいる人がいたら、どう接すればいいのか。
 そりゃ何時もと変わらず接して、悩んでいたら普通に励ましてやればいいのさ。
 ミュータントであるノリコと、常人であるヒカル。ヒカルの出した答えは、最適解でした。字面にすると簡単そうだけど、自らと異なる人間に平然と接するのは難しいし、混乱困惑した頭で説得を受け入れるのもまた難しい。この数話で描かれた、二人のすれ違い、それにより補強された信頼関係があってこその和解だったのではないかと。

 そして、もう一組の不和。キャプテン・アメリカとクリス。キャプテン・アメリカとは自由の象徴であり、スティーブ・ロジャースは象徴たる完全無欠の人間である。ええ、違いますね。弱さや悔いがあるからこそのヒーローであり、キャップは弱さに抗い悔いを背負いつつ戦っているから、象徴として皆が慕うような存在となっている。そしてその弱さを認め、支えようとする覚悟が無いと、真のパートナーにはなれない。作中、クリスがシールドをキャップに投げ渡すシーンが有りましたが、あのシールドをああも上手く扱うことから感じさせる、クリスの資質。ソーのムジョルニアの使用条件のように条件付けされた物ではないのですが、時折使われるホークアイやウィンターソルジャーにファルコンと言った後継者の資格を持つものだけが真にシールドを使いこなせるという流れ、個人的には大好きです。英雄の武器が未来の神具になる光景を垣間見ている感じで。

 今日の紹介はX-MENのリーダーにしてミュータントの希望でもある彼! まあぶっちゃけ、いまさら何を付け加えるんだという有名キャラなので、ちょっとした変化球で!

 

 

サイクロップス

サイクロップス

 X-MEN創設時のメンバー、ファーストファイブの一員であり、恵まれし子らの学園の一期生。目から放つルビー色のビーム、オプティック・ブラストは細胞によるソーラーエネルギーの吸収、そのエネルギーで次元を裂くことで放たれていると言う、見た目以上に壮大な能力。ビームは調整が可能であり、クレー射撃の的から山一つまでなんでも吹き飛ばす。最初期からチームのリーダーとして集団行動していただけあって、指揮力は並々ならぬ物があり、またもしオプティック・ブラストが封印されたとしても、素手で武装集団を鎮圧、センチネルを撃破出来るだけの戦闘スキルも持ち合わせている。
 映画での貧乏くじや、ときどきのやらかしからイメージが悪くなっている面もあるものの、上記の能力に加え、プロフェッサーXやジーン・グレイにエマ・フロストのような強力なテレパスと長く付き合ってきた結果、通れば一撃必殺なテレパシー攻撃への耐性も。贔屓目抜きで、チートに足を踏み入れています。
 そしておそらく、90年代に放映されていたアニメやマブカプでのイメージから、コスチュームも立ち位置も大きくかけ離れてしまったキャラクターの一人。

サイクロップス(マブカプ)

 嘗ては若きリーダーであったものの、その視点は自然と大局的な物となっていき、やがてプロフェッサーXやマグニートーでしかたどり着けなかった種の指導者としての立場に。生真面目な性質はそのままながらも、清濁を飲み合わせる器量も持ち合わせ、ある事件による学園壊滅後には、ミュータントの独立国ユートピアを設立。一線を退いたプロフェッサーXに代わり、種を導こうとする彼をマグニートーも支持。当時数が減りに減っていたミュータントを一つに纏めることに成功する。そんなサイクロップスと道を違えたウルヴァリン派の離脱や、未知なる力フェニックスフォースを巡るアベンジャーズとの諍いでユートピアは崩壊するものの、サイクロップスはそんな汚濁も受け入れ、ミュータントを護り導く希望としての活動を続けている。その真摯な姿勢からウルヴァリンやアベンジャーズとの雪解けも近い。

サイクロップス(現在)

 あと余談なのですが、一時期暴走していたサイクロップスを止めるため、ビーストが過去の世界からX-MEN創立当時のサイクロップス(とファーストファイブ)を連れてきてしまった結果、今現在原作では、若サイクとサイク、二人のサイクロップスが居るという、非常に面倒くさい状況となっております。

サイクロップスVSサイクロップス

 過去より、格段たる成長を遂げたサイクロップスの下地にあるもの、それは訓練や修行による努力です。例えば、かつて生きた島クラコアにサイクロップスを始めとするファーストファイブが捕らえられるという事件(この事件の解決のため、ストームやウルヴァリンがX-MENに初めて招集される)がありましたが、今現在のサイクロップスは、この島サイズの化け物であるクラコアのクローンを瞬殺、それどころか一人であしらえる実力を持っています。

クラコア

サイクロップスVSクラコア

 サイクロップスの成長は典型的な例ですが、X-MENに所属するミュータント、戦闘に出るようなメンバーは全員しっかりと訓練を積んでいます。実戦による鍛錬ではなく、組織立ったカリキュラムによる訓練。理由としては、大きいのが二つ。一つは反ミュータント主義者による差別や迫害からの自衛、そしてもう一つは己の能力を制御するため。

デンジャールームでの特訓

 例えば本日のディスクウォーズでノリコが能力発動により街中を停電させていましたが、能力発動の度にそんな事になっていては、同じミュータントでも一緒に生活することは難しく。なので、ミュータントは自身の能力を把握制御する術を訓練により学ばなければいけないわけです。ただでさえ、現実を改変できる、機械を支配できる、触った生物が死ぬと、ミュータントの能力は尖り気味かつ世界を簡単に崩壊させられる素養アリ。この暴れ馬を制御するすべを学ぶのは自分の為でも有り、仲間や世界のためでもあるのです。