映画デッドプール感想~バーリ・トゥードver #2~

映画デッドプール感想~試写会ver~
映画公開記念 デッドプールを知るためのQ&A
映画デッドプール感想~上映後ver~

 映画デッドプール感想~バーリ・トゥードver #1~の続きとなる#2です。前回に引き続き、ネタバレに小ネタ解説と、なんでもありなバージョンになっております。なので読むのは、鑑賞後推奨です。

 

 

 

 

 回想シーンを抜けば、映画開始からまだ10分ちょっと。とりあえずぶっ殺したいけど、Rー15指定な俺ちゃんの顔を治させてからだ! つまるところ、現状の最終目的となるエイジャックスを確保!
 フランシース~~♪とハイテンションでエイジャックスを傷めつける様は、どこからみてもスーパーマンじゃないし、スペースオペラの主役になれない姿! まあ、危機一髪は救えるし、ご期待通りに現れるから、ダメじゃないんじゃないかな!

デッドプール「勝ったッ! 映画デッドプール 完!

エイジャックス「ほーお、それで残りの時間は誰がこのエイジャックスの代わりをつとめるんだ?」

 当然ここで映画は終わりません。サンキュー、コロッサス。デッドプール的にはファッキュー・コロッサス。

 

 

 最悪な記憶として、X-MEN:ZEROデッドプールが出てきた時、笑ったそこの君。OPで全身を緑色に輝かせた男が出てきた時も笑っただろ? 残念ながら、やはり君はボンクラだ。
それはそれとして、こうやって制作側がわりと触れにくいネタを使ってくれると、語る側の気も楽になりますね。こういうのを乗りこなしてみせたセンスの良さも、映画デッドプール大躍進の理由の一つですね。

 

 

 ヴァネッサもウィーゼルもガンに侵されたウェイド・ウィルソンにそれぞれできる限りの誠意で接し、ウェイドもまた恋人であるヴァネッサが死んだ人間に縛られないよう出来る限り務めようとする。主人公、友人、恋人。誰もが観客にとって心地良い有り様。ここでエージェント・スミスが接触して来なければ、死に向かう男と恋人のラブストーリーになっていただろうに……。

 

 

 リーアム・ニーソンいじりは、吹き替えよりも字幕のほうが過激な訳で笑い取ってた気がする。
 映画デッドプールは吹き替えの下ネタフルスロットル加減が話題になってますが、字幕は字幕でところどころぶっ飛んでいたり、合いの手が良かったりと、吹き替えとは違った良さがあると思うのよねえ……コレジャナイプールフィギュアや、キャプテンデッドプールのトコなんかは、字幕の方がギャグとしての間がよく取れてましたし。
 字幕もいいぞ! だから吹き替え見た人は、もう一回行こう!(直球すぎる布教

 

 

 デッドプールをX-MENにどうしても入れるという、サイクロップスが聞いたら「いいか、真剣に言うぞ。止めてくれ」と目からオプティックブラストを漏らしながら言ってきそうな目的なコロッサス。今作のキャラクターの中で、いちばん金がかかってそうなCGボディでの参戦です。そして、一番シュールな撮影風景になるキャラ。うむ。デッドプールVSオプーナさんだなコレ。

デッドプール対オプーナ

 コロッサス自体は、最初の映画X-MEN三部作の2作目、X-MEN2に登場。2では1生徒としての登場でしたが、三部作の最終作となるX-MEN: ファイナル ディシジョンでは正式にX-MENの一員として参戦。ウルヴァリンとの合体技、ファストボール・スペシャルも披露しました。その数年後、X-MEN: フューチャー&パストに登場。絶望の未来、そして再誕の未来にて、全く違う姿を見せてくれました。

 率直に言ってしまうと、銀色の巨体は目を引くものの、キャラクターとしてのコロッサスの印象はあまり強いものではなかったと思います。これはX-MENが群像劇であり、そのメインに据えられないかぎり、キャラクターの多さに埋没してしまうという事情もあるのですが。それでもコロッサスは、特に映像化に恵まれないキャラだっというか……コミックスでは主要メンバーとして名を馳せても、アニメではゲスト参加が主で、実際テレ東でやってたX-MENのOPにもいませんでしたからね。ビーストが地面ぶん殴って地割れに敵を落とすの、アレ本来コロッサスの役目だと思うんだ。そして、X-MENのメンバーとして出てきたと思ったら、X-MEN自体がゲスト参加な作品だったりと、ホントままならねえ。

 でも、それも最早過去のこと。映画デッドプールでの登場で、コロッサスにはクソ真面目な委員長キャラという属性がつきました。これで実写版のコロッサスは、他のメンバーから一歩抜きん出た立場に。これで次にX-MEN本隊の映画に出るときも安心だね!
 ……コロッサスの股間のコロッサスがクラッシュするシーンとか、パロディ的に次作以降取り入れられたり、むしろ今後の恒例行事になったらどうしよう。えーと、俺、マブカプ2ではコロッサスが持ちキャラでした!(精一杯のフォロー

 

 

 コロッサスと共に現れた、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド。初出が2001年のNew X-Men誌なので、息の長いアメコミのキャラとしては、新しい部類に入りますね。平成ライダー二番手の、仮面ライダーアギトと同期ですけど。いやしかし、まさかネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドがこうして映画に登場するとは、誰も思っていなかったのではないでしょうか。

ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド

 誰!?というツッコミが入ってきそうですが、紛れも無くネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドです。コミックスにおけるネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドは、エイリアン3のエレン・レプリーに似たりもしていません。ならいっそ並べてみたら……

ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド比較図

 うん。ホント被るトコないな、この二人。

 実はこれには、壮大かつお前コレよく炎上しなかったな!?という理由がありまして。なんでネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドを映画デッドプールに出したかというと「名前がカッコ良かったから」(脚本家談)という、身も蓋のない話が。キャラとしてはそこまで出番はないのですが、名前だけは目立ってて、ファンサイトでやるちょっとアレな名前のヒーローランキングに結構出張ってきて、最終的にその名前がきっかけで映画に登場。人事塞翁が馬を地で行くキャラです。ちなみにこの候補予測が無ければ、毎度打ちたくない長さなネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド、名前の元ネタはロックバンドモンスター・マグネットが歌う、そのままズバリのネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドだそうです。ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドの生みの親であるライターのグラント・モリソンも、モンスター・マグネットも、まさかこうなるとは予測してまいよ。

 名前がカッコ良かったというだけあって、コミックスのネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドと映画のネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドに、あまり繋がりはありません。見ての通りビジュアルはまるっきり違いますし、コミックスの彼女の能力はテレパシーや未来予知。かたや映画の彼女はウォーヘッド(弾頭)のイメージを膨らませた、爆発系能力者。コミックスではデッドプールやコロッサスと関係があるどころか面識があるかどうかすら怪しく、強いて関係のあるX-MENのメインメンバーといえば、X-MEN:ZEROやX-MEN:ファースト・ジェネレーションに登場したエマ・フロスト。コミックスで所属したチームも、強いて挙げるならばX-MENではなく、その真逆とも言えるヘルファイア・クラブ。
 映画X-MENでは、数多くのキャラが映画向けのアレンジや派手な改編を施されておりますが、その中でもネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドは随一、というかもうコレは、名前だけ受け継いだ別人と言ってしまっていいでしょう。

 ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドのコミックスでの有り様はは“悲劇”です。出番はごく短いものの、その出番で描かれたのはX-MENにおけるミュータントの悲劇を凝縮したかのようなもの。生命の長さだけで言うなら、実は初登場号ですぐ死んでます。それは種族の悲劇、思いもよらぬテレパスの悲劇、ゾンビとして蘇った再生者の悲劇。コミックスにおける彼女は、短い出番の中で、これらの悲劇を体験してきました。
 そんな彼女が、例え名前がおもしろかったのがキッカケとはいえ、生前入れなかったX-MENに候補生ながらも所属し、こうして映画でまっとうに活躍でき、さらには多くの人の目に触れられるようになったこと。これもまた、一つの再生と言ってもいいのではないでしょうか。
 コミックスで改めて出てくるとの噂もあるけど、出たとしても映画準拠の二代目とかになってそうだよな。

 

 

 コロッサスによる全力全開ないらんことにより、せっかく捕まえたエイジャックスが逃亡。ボコボコにされたし、刀刺されてたし、シールドスローならぬホイールスローくらってたのに、よく生きてたな。痛覚が無いって言っても回復能力も無いんだから、ダメージが限界値越えたらポックリ逝くだけよねえ。いやー、限界値越えてなくてよかったね! おかげで映画がまだ続く!

 

 

 苛立つデッドプールさんによる、コロッサスを相手にしてのスタイリッシュ憂さ晴らし。もしくは、ファンタスティック自傷行為。

 デッドプールは確かに不死身で技術も達人、殺傷能力だけで言うならばX-MENだけでなくマーベルユニバース全体に範囲を広げても、トップクラス。アッパラパーな頭は時に余計なことをするものの、逆に思いもよらぬことをしでかして勝ちにつながることもあり。

 そんなパーフェクト・ソルジャーなデッドプール最大の弱点は……刀や銃が効かない相手だと、一気に手が無くなること。良い武器は使っているものの、あくまで手持ちの武器は人智を超えたシロモノではないこと。刃や銃弾を弾き返せるフィジカルを持つ連中とは相性が悪いのです。ディスク・ウォーズ風に言うなら、パワー属性。ルーク・ケイジとかジャガーノートとかハルクとか。コロッサスも、当然このパワー属性です。

 本編なら補正や知略にどうにかできても、単純にスペックで比較した場合どうしても……デッドプールと似たタイプでも、例えばウルヴァリンなら、パワー属性に一撃与えられるアダマンチウムの爪があるんだけどねえ。こういう一手が無いのが厳しいわ。

 

 

 コロッサスに手錠で繋がれたものの、手首を自ら斬るという無茶すぎる手段で脱出するデッドプール。ヒーリングファクターが無ければ、映画最終版で主人公が見せるタイプの覚悟だよなあ。
 スパっと切れたわけではなく、ナイフを使ってギコギコと。コロッサスを蹴っての跳躍もそうですが、切り傷から吹き出す血を目潰しに使ったのも、成功に繋がる鍵ですね。
このコロッサスに見せた血の目潰しですが、デッドプールがX-MEN入りを目論んで一騒動起こしたDeadpool, Vol. 3: X Marks the Spotにて似たようなシチュエーションがあります。

デッドプールVSコロッサス

 この時は、武器が効かないコロッサスに、デッドプールが自ら頭突き。一人奇面フラッシュな素顔で驚かせつつ、血を目潰しにするという、映画とは違った形での巧妙さを見せてくれました。コミックスにてデッドプールとコロッサスが戦うシーンもあまり無いですし、ひょっとしたらこの戦いも、手錠から脱出するシーンの元ネタになっているのかもしれません。

 

 

 此処から先は、ついに回想の本番。ウェイド・ウィルソンがデッドプールになってしまった秘密が明らかに……というトコで今回は終了。映画の尺としてはそこまでいってないし、コロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドでだいたい埋まっちゃったけど、施設のシーンは小ネタも多くて、ちと長くなりそうだしねえ。あとデッドプールの自宅も、実は色々小ネタが隠れております。

 あとは、エイジャックスとエンジェル・ダスト。おそらく、この二人の解説も次回。デッドプールの怨敵であり、一縷の望みともなったエイジャックス。若干設定周りに違いはあるものの、エイジャックスがウェイド・ウィルソンを傷めつけたという流れはあんま変わらないんですよねー……。

フランシス(コミックス)

 コスチュームにAと書いてあるオッサンが誰かって? フランシスだよ。お前、アベンジャーズ気取りかよ! 笑ってはいけない超人兵士計画か! そういうツッコミは、次回までとっておいてください。

 

 

映画デッドプール感想~バーリ・トゥードver #3~