ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その44~
ディスクウォーズ:アベンジャーズ、44話。
謎の達人、ローニン登場! 仮衣の下の正体は……!?
失敗を可能性に塗り替えるのが、アキラの強み。ディメンションスフィア喪失という大事件を引き起こしてしまっても、絆は切れぬまま事態収拾への奔走へ。失敗をしないのではなく、失敗を積み重ねて前に進んでいく姿勢。これはアキラの相棒である、アイアンマン、トニー・スタークにもある部分ですね。そもそも、アイアンマンになった理由こそ、過ちからの再起。何度も致命的な過ちを繰り返しながらも、前に進んで来たのがトニー・スタークという男。勝手な想像ですが、そんな似通った部分をトニーに見出したから、アカツキ博士はアキラの可能性の話をした。そう思ってみたいぐらいに、両者の失敗を糧に出来る姿は、似通っています。
暗黒世界ダークディメンションよりの使者、ローニン参上。原作にてローニンの名と姿を借りた、数多くの達人に匹敵する剣の冴え、更にはレッドスカル以上にディメンションスフィアを使いこなすという離れ業。ディメンションスフィアとの名称から怪しんでいましたが、かのスフィアの出元はどうもダークディメンションのようですね。レッド・スカルに力を与え、ダークディメンションに堕ちたロキの背後で蠢く、不気味な影。いわばディスクウォーズの黒幕とも言える最大の敵、その朧気な姿は、いよいよ形に。ロキを超える魔力、レッド・スカルの悪意を超える存在、それは……。
先週垣間見せた声(CV堀秀行)の時点で怪しまれてはいましたが、ローニンの正体、彼の人の友であり同僚であったトニー・スタークが見定めた正体は、アカツキ・ノゾム博士。救うべき存在が敵に回るという皮肉。まるでアカツキ博士を他人のように扱う余所余所しさ、アベンジャーズにも劣らぬ超人的な剣術、人を狂気に陥れるディメンションスフィアを使いこなしてみせる精神性。善良なる科学者がただ持つには、荷が重い物ばかり。まだひと波乱もふた波乱もありそうな匂いがしますが。声をコピーしたロボ超人だったり、アカツキ博士が某男塾一号生筆頭並みに謎武術を習得していたり、謎のゲルマン忍者をベースにしたクローンだったらどうしよう。
今日の紹介は、疑惑の忍者ローニンで。場所を最大限に活用してハルク相手に健闘したブリザードも紹介してやりたいけど、一週間正体を気にしていたせいか、ローニン熱の方が強かった! 来週、バカ四人しか出なかったら、そんときゃブリザードだ!
ローニン
上から下まで、黒装束で固めた謎の戦士ローニン。ヌンチャクや刀といった武器を駆使する正体不明の達人が初めて現れたのは、盲目のクライムファイターデアデビルの紹介により、ニュー・アベンジャーズと呼ばれるチームに参戦した時だった。ローニンはニュー・アベンジャーズの一員として、日本で忍者集団ハンドとの決戦に望む。体格からして男性と思われていたが、その正体はなんと女性。かつて巨漢にして巨悪のギャング、キングピン配下として父の敵であるデアデビルを付け狙った聾唖の暗殺者、エコーであった。
キングピンの配下であったエコーだが、父を殺した本物の仇はキングピンである事、デアデビルはキングピンに濡れ衣を着せられていた事を知り、既に離反していた。彼女の能力は、写真的反射能力。一度目にすればどんな達人の動きでも模倣できる彼女だからこその、ローニンの達人性であった。
……一説によると、最初ローニンの中身は彼女でなくデアデビル当人だったとか。それが色々なストーリーとの兼ね合いで、急遽エコーに差し替わったという噂もある。能力的に、デアデビルっぽい動きをしていても何らおかしくはない。おかしくは、ないのだ。
エコーのローニンとしての活動期間は短く、彼女は早々にコスチュームを脱いだ。中身の居なくなったローニンの姿を次に借りたのは、一度死んだ男ホークアイ(クリント・バートン)だった。とある事件にて死亡し、その後復活を遂げたクリント。蘇った彼が目にしたのは、二代目ホークアイを名乗る少女ケイト・ビショップ。ホークアイが死んで蘇る間に、キャプテン・アメリカやアイアンマンに認められ初代ホークアイの弓を授かった自身の後継者だった。死亡からの蘇生、後継者の登場。クリントはローニンの衣を纏うことを選択し、ローニンのままアベンジャーズに参加。チームリーダーとして活躍した。正体はアベンジャーズの仲間に明かしており、二代目ホークアイのケイトとも接触。彼女の資質を認め、先輩としての助言も与えた。
「俺達がついている。思い切り戦え、そして失敗しろ。世界を救うために。不可能だなんて、諦めるな」
このローニンとしてのクリントとケイトのエピソードは、邦訳ホークアイ:マイ・ライフ・アズ・ア・ウェポンに収録されている。
ローニンとなったクリントは、弓矢を持たず刀やサイを使うことで悪と十分渡り合ってみせた。ホークアイは弓矢だけの男ではない事を、実証したとも言える。クリントが再び弓矢を手にしたのは、擬態宇宙人スクラル人との決戦シークレット・インベージョン。自らを翻弄したスクラル人との最終決戦時、負傷したケイトの弓、自分が譲り渡したホークアイの弓矢を使い、スクラル人を恐怖に陥れた。
この後、国家公認の偽ホークアイ(正体は百発百中の投擲手ブルズアイ)の出現などを経て、クリントはローニンのコスチュームを脱ぎ、ホークアイの座に復帰する。二代目ホークアイのケイトもそのまま名乗り続けた結果、現在はダブルホークアイ体勢となっている。
またも中身が居なくなったローニンだが、次にその名とコスチュームを纏ったのは、アベンジャーズどころかヒーローですら無い、悪人であった。新たなローニンは、アメリカ、ロシア、日本で暗躍し、三カ国を緊張状態に陥れる。ローニンであったホークアイと、ロシアを知るエージェントであるブラック・ウィドウは邪悪な新ローニンを追跡する。やがて明らかになった新ローニンの正体はアレクセイ・ショスタコフ。ソ連のキャプテン・アメリカことレッド・ガーディアンの初代であり、ブラック・ウィドウの夫であった彼は、自らが忠義を捧げたソビエト連邦の復活を画策。北方四島に新ソビエト連邦の建国を目論んでいた。
アレクセイが敗れた後、ローニンは三度消えた。しかし近年、再びアベンジャーズとしての、ヒーローとしての、新生ローニンの姿が確認されている。
新たなローニンの正体は、前任者達を越えかねないほどの剣や武器の達人であり、吸血鬼並みの超人的な身体能力を持ち、更に言うとその吸血鬼への造詣も非常に深い男である。新ローニン、一体何者なんだ(棒
ここまで上げた四人のローニン。人種性別善悪、様々に入り混じっており、全員の共通点といえば、達人と呼ばれる技巧者な事だけ。5人目、6人目が出るのかどうかは分からない。しかし、ディスクウォーズのローニンも含め、正体でこれだけ魅せてくれるキャラクターは、情報化社会の近年非常に珍しい。最高峰の仮の姿と言えよう。