フューチャー・アベンジャーズなコラム~その9~

 フューチャー・アベンジャーズ第9話!
 アベンジャーズがピンチとなれば、仲間たちが駆けつける……助っ人ホークアイ登場!

 俺が悪いんじゃない、コイツらの集中線とグラサンが被っているから並べたくなったんだ。

 

デッドプール「ふっ。ついにパープルアローが真の力を取り戻したようだな……それでこそ、俺ちゃんたちと並ぶに相応しい男よ」
ガンビット「ちょっと待て。なんで俺がここに呼ばれてるんだ?」

 ホークアイ、デッドプール、ガンビットでろくでなし親しみやすいヒーロー大三元でいいと思うんスよね。

 今回のホークアイは、仕事人ではなくホークアイ:マイ・ライフ・アズ・ア・ウェポンタイプな、近所の親しみやすい兄ちゃんみたいなキャラで参戦。マコトたちと同じヴィラン候補として育てられ、アベンジャーズでははみ出し者からリーダーまでなんでもこなし、数多くの恋愛やズッコケや悲劇や喜劇や死を経験……これら、酸いも甘いも噛み分けた生き様が、近年におけるホークアイの「隣りにいてくれるヒーロー」というスタイルを作ることに。世界を揺るがす大悪党と戦うこともあれば、街のチンピラに睨みをきかせてもくれる。一流なヒーローたちに比べ、かっちりとスタイルが固まらなかったことが、この親しみやすさの土壌にもなったのでしょう。この点似通っているデッドプールやガンビットも含め、彼らのことは超一流の二流と呼びたい。

 マーベル・シネマティック・ユニバースのホークアイも、家庭人たる顔が見えて、コミックスやアニメより歳上をイメージした親しみやすさはあるものの……演:ジェレミー・レナーな時点で、どうしても仕事人キャラが濃くなってるよネ!

 

 ヒーローは割に合わない仕事である。誰に頼まれたわけでもないのに、絶対感謝されるわけでもないのに、報われないかもしれないのに、ただ命をかける。むしろ、この点ではヴィランの方がわかりやすいのでしょう。ヴィランの原動力は、主に欲望。ならば、ヒーローはなんのために動くのか――これは、おそらく永遠の課題であり、絶対的な答えが出ることはないのでしょう。絶対と言い切ってしまった瞬間、輝かしいはずの答えは、欲望以下のおぞましい答えへと堕します。

 絶対的な答えが出ないのならば、求める続けるしかない。たとえ、アベンジャーズを全滅させた相手でも、戦うしかない。

 ストレートな熱血ではないものの、マスターズ・オブ・イーブル相手に挑むホークアイの姿は、まさしく答えを求め続け、他人にヒーローのあり方という疑問へのヒントを教えるヒーローの姿。キャプテン・マーベルやブラック・ウィドウは策略を練って動いていたものの、大筋危機的状況下にあったことは、ホークアイと変わりなく。今回はマコトたちがほぼお休みだった分、アベンジャーズはこちら(視聴者)に背中で語ってきましたね。言葉にならないならない何かを伝えようとする背中ってのは、いいもんです。

 

 キャプテン・マーベルとアイアンマンの作戦、そしてキャプテン・マーベルの能力により、アベンジャーズもマコトも無事かつ、リーダーからエメラルドレイン計画の情報も引き出せるという、最良の結果に。ヴィブラニウムが鍵で、次回の舞台はアフリカのワカンダ……このままリレーしていけば、そのうち宇宙に出ていきそうだな。

 さて、これにて大団円! といきたいものの、今回のタイトルは「W・ソルジャーの正体」。大事なのは、二人の神様の撃退でもリーダーの頭のいいバカっぷりでもなく、謎の傭兵ウィンター・ソルジャーの正体。そして、ウィンター・ソルジャーとキャプテン・アメリカの対峙――

 わかっていても、刷り込まれた記憶が和解を許さない。第二次世界大戦から現代にそのまま蘇ったのがキャプテン・アメリカなら、歪んで蘇ってしまったのがウィンター・ソルジャー。歪みを正す手段があるとすれば、必要なのは正義ではなく誠意。キャプテン・アメリカではなく、メットを取ったスティーブ・ロジャースとしてウィンター・ソルジャーと向き合う姿は、やけに新鮮。キャプテン・アメリカが、アニメでメットを取ること自体が珍しいからかね……?

 キャプテン・アメリカとウィンター・ソルジャーの和解は成されなかったものの、楔を打ち込んだ気配はあった。たとえ殺し合ったとしても、それは二度と言葉もかわせない死という状況に比べれば遥かにマシ、まだ何かが叶えられるかもしれない状況。だからこそ、キャプテン・アメリカは晴れ晴れとした顔で、友情を信じることが出来る。この救いこそ、同じ境遇であるマコトとブルーノに見せた、先行くキャプテン・アメリカの大きな背中なのでしょう。

 

 今日の紹介は、キャプテン・マーベル! とは言いつつも、サブレギュラーのキャプテン・マーベル(キャロル・ダンバース)ではなく、そもそも“キャプテン・マーベル”とはなんなのかというところを紹介。「キャプテン・マーベルって男じゃなかったっけ?」「キャロルってミズ・マーベルだったよな……?」という記憶のミッシングリンクを埋める感じで。

 おそらくフューチャー・アベンジャーズでは、キャプテン・マーベル=キャロルでミズ・マーベル=カマラとなりそうなので、男のキャプテン・マーベルに言及することは、アニメ連動のコラムとして微妙に的はずれな気がするものの……まあ、せっかくだしね!

 

 

キャプテン・マーベル(マー=ベル)

 列強の宇宙帝国クリー。クリーを支配する集合知性体スプリーム・インテリジェンスは、強大な科学力を持ちつつも進化の手を止めない地球人類を警戒するようになる。スプリーム・インテリジェンスは地球人の宇宙進出を妨害するため、幾多の戦争で多大な戦果を上げた英雄マー=ベルを地球に派遣する。地球における白人とよく似た肌と地球人同様の生理機能を持つ種族“ホワイト・クリー”であるマー=ベルは、潜入工作員としてもうってつけだった。

 地球に降り立ったマー=ベルは、身分を偽り地球人と接触。マー=ベルもスプリーム・インテリジェンス同様、地球人に秘められた多大な可能性を知る。だが実際に地球人と接触したマー=ベルはその可能性を肯定し、やがてその力で地球人を助け始める。彼の名はマー=ベル。その名を耳にした地球人は、彼はマーベル(MARVEL)と自称する新ヒーローだと、勘違いしてしまう。MARVELの単語が本来保つ意味は、驚異、そして驚くべき人。幸い、驚異の存在であるマー=ベルと意味はズレていなかった。

 なので、正確にはキャプテン・マーベルではなくキャプテン・マー=ベルであり、一部資料では書き分けの都合もあちキャプテン・マー=ベルとなっている。彼について英語でもいいので調べたい!という時はCaptain MAR-VELで検索すると、他のキャプテン・マーベルが引っかかりにくくなり、多少楽である。

 こうして地球に、キャプテン・マーベルと呼ばれる存在が誕生した。最初は下記のような緑のコスチュームだったが、後に赤を基調としたスーツに変更となる。

 マー=ベルが能力として持っているのは、まずクリー人としての能力。腕力、耐久性、俊敏性、反応共に地球人より優れているクリー人だが、マー=ベルはクリー人の中でも特級クラス。この時点で地球における超人レベルのスペックを持っており、素の状態でも1トン程度なら持ち上げることが可能で、銃弾程度なら軽くさばける。更にマー=ベルはネガバンドという自身の力を倍増させる装備も持っており、優れた身体能力は更に倍増。例えばネガバンドを装備した状態ならば、倍増した腕力で10トン以上の物体を持ち上げることが出来る。

 そしてヒーローとしてキャリアを重ね、様々なアクシデントに見舞われた結果、マー=ベルのスキルと能力はより一層の成長を見せる。腕力は数十トンクラス、飛行速度は光速。手から太陽光エネルギーを集積したファイヤー・ボルトを放つことが可能に。更に、相手の攻撃を広範囲で察知するだけでなく状況と弱点の分析までしてしまうコズミック・アウェアネス(宇宙意識)と呼ばれるレーダー能力も追加。優れた身体能力に、遠距離攻撃やレーダーが追加され、更に死角は無くなった。

 なおマー=ベルを地球に派遣した大本であり、クリー人の統治者と信仰の対象を務めている、クリー人の天才たちの脳と知識を融合した知性の怪物ことスプリーム・インテリジェンス。クリー人の天才たちの脳と知識を融合した知性の怪物である彼はキャプテン・マーベル誕生後も地球人を警戒し続け、ついには地球人の進化の可能性を自身に取り込んだ上での滅亡計画を画策する。

 だが、キャプテン・マーベルをも巻き込むスプリーム・インテリジェンスの計画はことごとく阻止され、やがて地球最強のヒーローチームであるアベンジャーズとも対立。幾度もの戦いの結果、クリー帝国は多大なダメージを負い、スプリーム・インテリジェンス自身も敗北を喫することになった。原因はクリー側にあるものの、ある意味、スプリーム・インテリジェンスの地球人への警戒は間違っていなかったのかもしれない。

 

 晴れてキャプテン・マーベルとなったマー=ベルは、地球を護るため、やがて宇宙全体を護るための戦いに挑む。クリー帝国の障害と反逆者を裁く告発人、ロナン・ジ・アキューザー。クリー帝国所属時からの敵でもある、地球を狙う変身種族、スクラル人。そして全宇宙の生命撲滅を企む巨悪、サノス。数々の強敵相手に勝利を重ねてきたキャプテン・マーベルは、地球の枠を飛び越え、宇宙の守護者と呼ばれるようになる。

 だが、マー=ベルの戦いは、思わぬ形で潰えることとなる。宇宙人による犯罪組織ルナティック・リージョンとの戦いで、マー=ベルは神経性のガスを浴びてしまう。ガスにより、クリー人でブラックエンドと呼ばれる病に冒されたマー=ベル。最初は体力で病を押さえつけていたものの、やがて身体も心も限界を迎える。ブラックエンドと呼ばれる病、それは地球における大病“ガン”であった。

 病による苦しみはマー=ベルを精神錯乱状態に追い込んだが、マー=ベルの精神は病の苦しみに耐え抜き、彼は最後までヒーローのまま、死んだ。クリーから見れば裏切り者であるマー=ベルだが、死を迎えようとする彼の周りには、地球での生活やキャプテン・マーベルとして得た友人や仲間たちが集い、更に死の女神デスと共に彼を死の世界へと導いたのは、宿敵であるはずのサノスだった。
 マー=ベルの生き様は、きっと間違っていなかったのだ。

 

 マー=ベル死後、マー=ベルの遺伝子を受け継ぐ息子、ジェニス=ベル。後にクェーサーという別のヒーローになるウェンデル・ボーン。ダークアベンジャーズ政権下にてキャプテン・マーベルを名乗ったクリー人、マーベルボーイことノー=バー。キャプテン・マーベルの名を名乗る人間は複数現れたものの、全員長期的な定着には至っていない。
 

 変わり種としては、スクラル人のクン・ナーが変身したキャプテン・マーベルがいる。クン・ナーはマー=ベルに変身し、実は生きていたキャプテン・マーベルとして登場する。やがて、スクラル人による地球侵略作戦シークレット・インベージョンが始まり、クン・ナーもまたスクラル側の戦力となる予定だった。だが、マー=ベルの記憶と精神もコピーしていた彼は、キャプテン・マーベルそのものとしてスクラル人と戦うことになる。多数の戦艦を道連れにクン・ナーは死亡するものの、彼の奮闘により、地球側は反撃の一手を打つことができた。

 自勢力を裏切り、地球のために戦うクン・ナーの姿は、奇しくもマー=ベルそのものだった。カテゴリー的には、偽キャプテン・マーベルと呼ぶのが正しいのだろうが、個人的に彼のことはキャプテン・マーベルの一人と数えたい。

 現在キャプテン・マーベルの名を名乗っているのは、フューチャー・アベンジャーズにおけるキャプテン・マーベルこと、キャロル・ダンバースである。生前のマー=ベルと接触し、偶然その力の影響により超人ミズ・マーベルとなり、宇宙人のマー=ベルに地球人の善き可能性を教えた者の一人である。黒いハイレグコスチュームがトレードマークな彼女だが、キャプテン・マーベルの女性版と言える、繋がりがわかりやすいデザインのコスチュームを着ていた。

 キャロルは長年、ミズ・マーベルとして活動してきたが、近年ついにキャプテン・マーベルの名を名乗ることとなり、フューチャー・アベンジャーズと同デザインのスーツに着替えた。

 複数人がキャプテン・マーベルの後継者になろうとしたが、今までのところ、初代の英雄精神に比肩した者はいない。ここまで言わしめる、キャプテン・マーベルの名を継いだキャロル。ここ数年の安定や扱いを見る限り、キャプテン・マーベルの名はキャロルに定着しようとしている。その座が、永く続くことを祈りたい。

 

 これは余談だが、DCコミックスのキャプテン・マーベル(現:シャザム!)とマーベル・コミックのキャプテン・マーベルの間に直接の関係はない。前述した通り、MARVEL自体が驚異的という意味を持っている単語かつ、そもそも現在シャザム!なキャプテン・マーベルの方が誕生自体は早い。

 最もこの辺りの事情は、元々シャザム!が所属していたのは別の出版社のフォーセット・コミックスだとか、フォーセット・コミックスとDCコミックスの間で色々あった末にDCコミックスがシャザム!の版権を得たとか、非常にややこしい。物語の枠を超え、アメコミ史全体に関わる学術的な話にまで及ぶので、また別の機会にでも。これは、本気で腰を据えて挑むべきテーマの一つである。

 それぞれ別の出版社に所属する、二人のキャプテン・マーベル。特別なクロスオーバー企画であるJLA/Avengers内、しかも一コマだけの光景であるものの、互いのライバルを入れ替え共闘する姿には、ややこしいからこそ生じた爽快感と面白さがあったことは伝えておきたい。 
 

 

日々雑談~2319~

 この一週間、必要最低限のこと以外は本当に外に出なかったので、ようやく街に出てデッドプール&ケーブル:スプリット・セカンドを購入。ゲット・ジローやマツモトやバットマン ノーマンズ・ランドの3巻も一気買おうと思って福沢さんを用意していたものの無かったので撤収。中々にアメコミに強い本屋で、在庫僅少品なんかもあるんだけどな。なんでだか、今回新刊はデッドプール以外……あっ(察し
 まあ買えなかったものは後にゲットするとして、デッドプール&ケーブルですよ。アホのシュタインズ・ゲート7割と、真面目なシュタインズ・ゲート3割な、ディス・イズ・タイムトラベルな作品。まったく、ケーブルが出てくると、いつも世界線が飛ぶな!

 今現在、デッドプールと他のキャラクターがタイトルで並んでいる邦訳となると、ホークアイ VS. デッドプールデッドプール VS. サノスデッドプールVS.カーネイジとあるけど、どれもハズレがないねえ。カーネイジが若干アクが強めなものの、二人の血塗れスーパーマッド大戦は好きだぜ、俺ぁよ。ああ、デッドプール&ケーブルと同日発売となったA+X:アベンジャーズ+X-MEN=最驚ですが、この本に掲載されているデッドプールとホークアイのチームアップは、ホークアイ VS. デッドプールより前に発売した作品となります。つまり、ホークアイ VS. デッドプールの第0話。この0話が好評だったのか、はたまた試運転だったのか。兎にも角にも、非常に上手く行った結果がホークアイ VS. デッドプールの正式連載なのでしょう。デッドプール&ホークアイは、近年誕生したヒーローコンビとしてベストレベルよねえ。両方の不まじめなトコとシビアなトコが、カッキーンと反響し合う感じで。
   

日々雑談~2151~

デルザー>最近だとキン肉マンのオリジンもそうですかね?

 大いなる男(大首領orザ・マン)に近い信頼できる部下であり、一騎当千の実力者揃いと、デルザー軍団と完璧始祖は、中々に立ち位置が近いですね。
 最も完璧始祖は、仲が悪い用に見えて奥底に確かな絆があったと、マジで仲悪かったデルザーに比べて、だいぶまともですが。サイコマンがなー、ああいう死に方した以上、もうねー……。

 

 ハリー・オズボーンのアンチ・ヴェノム化とその影響でエージェント・ヴェノムであるフラッシュ・トンプソンが離脱。そんな、今週のアルティメット・スパイダーマン VS シニスター・シックス

 ヴェノムに対しめっちゃハリーが怯えていましたが、アルティメット・スパイダーマンの世界だと、様々なキャラに寄生し暴れまわったヴェノムを、ハリーが密かに回収。そのヴェノムを利用してブラックスパイダーマン化、そしてヴェノムの宿主にと、ある意味エージェント・ヴェノムであるフラッシュよりも長くヴェノムと付き合ってきました。だからこそ、アンチ・ヴェノムへと変貌できたのでしょう。原作における、初代ヴェノムことエディ・ブロックがアンチ・ヴェノムに変貌したのも、彼が長年ヴェノムであったことが大きな理由の一つでした。

 シールドアカデミーに転校したことにより、普通の高校生ピーター・パーカーの学生生活はあまり描かれなくなったのですが、ヒーロー活動を通し同級生であるハリーやフラッシュとのやり取りが描かれるというのも、中々に遠回りで妙手。
 しかし今週、普通に正体絡みの会話をしていたけど、スパイダーマンって、フラッシュに正体明かしてたっけか……? 

 

ホークアイ VS. デッドプール

ホークアイ-VS.-デッドプール

 というわけで、5月25日、ホークアイ VS. デッドプールの発売でごぜえますです。月末の5月30日にはケーブル&デッドプール:青の洗礼が発売。そして6月1日には映画デッドプールが公開と、いよいよの時が近づいてまいりました。

 シビル・ウォー:キャプテン・アメリカに登場したホークアイ。そして映画デッドプールの主役をはるデッドプール。今年の二大ヒーロー映画の登場キャラが夢のコラボ! 実は時間軸的にはデッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプールよりも結構先の話になってしまうものの、こまけえこたぁいいんだよ! おもしれえし、これ!

 最近、キャプテン・アメリカやウルヴァリンと、友人が増え続けているデッドプール。そんな彼が新たに組むのは、アベンジャーズの主要メンバーでありながらイリーガル色の強いホークアイ。悪魔と仮装が跋扈するハロウィンを舞台に、二大ヒーローが手を組み悪を追う。ボケとツッコミを使いこなす二人の男の爆走に、ひとっ走りつきあえよ!

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その44~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、44話。
 謎の達人、ローニン登場! 仮衣の下の正体は……!?

 失敗を可能性に塗り替えるのが、アキラの強み。ディメンションスフィア喪失という大事件を引き起こしてしまっても、絆は切れぬまま事態収拾への奔走へ。失敗をしないのではなく、失敗を積み重ねて前に進んでいく姿勢。これはアキラの相棒である、アイアンマン、トニー・スタークにもある部分ですね。そもそも、アイアンマンになった理由こそ、過ちからの再起。何度も致命的な過ちを繰り返しながらも、前に進んで来たのがトニー・スタークという男。勝手な想像ですが、そんな似通った部分をトニーに見出したから、アカツキ博士はアキラの可能性の話をした。そう思ってみたいぐらいに、両者の失敗を糧に出来る姿は、似通っています。

 暗黒世界ダークディメンションよりの使者、ローニン参上。原作にてローニンの名と姿を借りた、数多くの達人に匹敵する剣の冴え、更にはレッドスカル以上にディメンションスフィアを使いこなすという離れ業。ディメンションスフィアとの名称から怪しんでいましたが、かのスフィアの出元はどうもダークディメンションのようですね。レッド・スカルに力を与え、ダークディメンションに堕ちたロキの背後で蠢く、不気味な影。いわばディスクウォーズの黒幕とも言える最大の敵、その朧気な姿は、いよいよ形に。ロキを超える魔力、レッド・スカルの悪意を超える存在、それは……。

 先週垣間見せた声(CV堀秀行)の時点で怪しまれてはいましたが、ローニンの正体、彼の人の友であり同僚であったトニー・スタークが見定めた正体は、アカツキ・ノゾム博士。救うべき存在が敵に回るという皮肉。まるでアカツキ博士を他人のように扱う余所余所しさ、アベンジャーズにも劣らぬ超人的な剣術、人を狂気に陥れるディメンションスフィアを使いこなしてみせる精神性。善良なる科学者がただ持つには、荷が重い物ばかり。まだひと波乱もふた波乱もありそうな匂いがしますが。声をコピーしたロボ超人だったり、アカツキ博士が某男塾一号生筆頭並みに謎武術を習得していたり、謎のゲルマン忍者をベースにしたクローンだったらどうしよう。

 今日の紹介は、疑惑の忍者ローニンで。場所を最大限に活用してハルク相手に健闘したブリザードも紹介してやりたいけど、一週間正体を気にしていたせいか、ローニン熱の方が強かった! 来週、バカ四人しか出なかったら、そんときゃブリザードだ!

 

ローニン

ローニン

 上から下まで、黒装束で固めた謎の戦士ローニン。ヌンチャクや刀といった武器を駆使する正体不明の達人が初めて現れたのは、盲目のクライムファイターデアデビルの紹介により、ニュー・アベンジャーズと呼ばれるチームに参戦した時だった。ローニンはニュー・アベンジャーズの一員として、日本で忍者集団ハンドとの決戦に望む。体格からして男性と思われていたが、その正体はなんと女性。かつて巨漢にして巨悪のギャング、キングピン配下として父の敵であるデアデビルを付け狙った聾唖の暗殺者、エコーであった。

エコー

ローニン(エコー)

 キングピンの配下であったエコーだが、父を殺した本物の仇はキングピンである事、デアデビルはキングピンに濡れ衣を着せられていた事を知り、既に離反していた。彼女の能力は、写真的反射能力。一度目にすればどんな達人の動きでも模倣できる彼女だからこその、ローニンの達人性であった。
 ……一説によると、最初ローニンの中身は彼女でなくデアデビル当人だったとか。それが色々なストーリーとの兼ね合いで、急遽エコーに差し替わったという噂もある。能力的に、デアデビルっぽい動きをしていても何らおかしくはない。おかしくは、ないのだ。

 エコーのローニンとしての活動期間は短く、彼女は早々にコスチュームを脱いだ。中身の居なくなったローニンの姿を次に借りたのは、一度死んだ男ホークアイ(クリント・バートン)だった。とある事件にて死亡し、その後復活を遂げたクリント。蘇った彼が目にしたのは、二代目ホークアイを名乗る少女ケイト・ビショップ。ホークアイが死んで蘇る間に、キャプテン・アメリカやアイアンマンに認められ初代ホークアイの弓を授かった自身の後継者だった。死亡からの蘇生、後継者の登場。クリントはローニンの衣を纏うことを選択し、ローニンのままアベンジャーズに参加。チームリーダーとして活躍した。正体はアベンジャーズの仲間に明かしており、二代目ホークアイのケイトとも接触。彼女の資質を認め、先輩としての助言も与えた。

「俺達がついている。思い切り戦え、そして失敗しろ。世界を救うために。不可能だなんて、諦めるな」

 このローニンとしてのクリントとケイトのエピソードは、邦訳ホークアイ:マイ・ライフ・アズ・ア・ウェポンに収録されている。

ダブルホークアイ

 ローニンとなったクリントは、弓矢を持たず刀やサイを使うことで悪と十分渡り合ってみせた。ホークアイは弓矢だけの男ではない事を、実証したとも言える。クリントが再び弓矢を手にしたのは、擬態宇宙人スクラル人との決戦シークレット・インベージョン。自らを翻弄したスクラル人との最終決戦時、負傷したケイトの弓、自分が譲り渡したホークアイの弓矢を使い、スクラル人を恐怖に陥れた。

ローニン(ホークアイ)

 この後、国家公認の偽ホークアイ(正体は百発百中の投擲手ブルズアイ)の出現などを経て、クリントはローニンのコスチュームを脱ぎ、ホークアイの座に復帰する。二代目ホークアイのケイトもそのまま名乗り続けた結果、現在はダブルホークアイ体勢となっている。
 またも中身が居なくなったローニンだが、次にその名とコスチュームを纏ったのは、アベンジャーズどころかヒーローですら無い、悪人であった。新たなローニンは、アメリカ、ロシア、日本で暗躍し、三カ国を緊張状態に陥れる。ローニンであったホークアイと、ロシアを知るエージェントであるブラック・ウィドウは邪悪な新ローニンを追跡する。やがて明らかになった新ローニンの正体はアレクセイ・ショスタコフ。ソ連のキャプテン・アメリカことレッド・ガーディアンの初代であり、ブラック・ウィドウの夫であった彼は、自らが忠義を捧げたソビエト連邦の復活を画策。北方四島に新ソビエト連邦の建国を目論んでいた。

ローニン(アレクセイ)

 アレクセイが敗れた後、ローニンは三度消えた。しかし近年、再びアベンジャーズとしての、ヒーローとしての、新生ローニンの姿が確認されている。

ローニン(最新版)

 新たなローニンの正体は、前任者達を越えかねないほどの剣や武器の達人であり、吸血鬼並みの超人的な身体能力を持ち、更に言うとその吸血鬼への造詣も非常に深い男である。新ローニン、一体何者なんだ(棒

 ここまで上げた四人のローニン。人種性別善悪、様々に入り混じっており、全員の共通点といえば、達人と呼ばれる技巧者な事だけ。5人目、6人目が出るのかどうかは分からない。しかし、ディスクウォーズのローニンも含め、正体でこれだけ魅せてくれるキャラクターは、情報化社会の近年非常に珍しい。最高峰の仮の姿と言えよう。

日々雑談~1782~

 本日も作業中なので、ちと短く手早くいかせていただきます。

 先日投票が行われていた、海外マンガ(ガイマン)をピックアップする賞、ガイマン賞2014の結果が発表されました。まずヒットマン2が四位! 贔屓目抜きで、コイツはすげえ! 犬溶接マンの活躍だけでなく、今の時期にぴったりなサンタ処刑命令も収録されてますよ!
 年末に投票する都合上、前半期の作品はどうしても弱めなのですが、ガイマン賞は出た時期の影響が少なめですね。去年出たけど年末だったので今年に回されたバットマン:アンダー・ザ・レッドフードの5位などは、典型的な例かと。この賞に出てくるアメコミヒーロー、ホークアイ、ヒットマン、デッドプールと、なんか一緒に飲みに行きたかったり遠巻きで飲んでる様を観察してみたい、気のいい連中が多いですね。バットマンは流石に向いてないけど、レッドフードはこの飲み友路線に加わってもイケるような。
 ガイマン賞入賞作品中、まだ読んでない作品も多く。こうやって「オススメだよ!」な物を識れる機会は、中々にいいですね。冬コミ作業とと年末調整が終わったら、読みに行くか買いに行くかしたいところです。