日々雑談~5862~
今日の鎌倉殿の13人、ストレートに言ってしまえば地獄でしたね!
誰かが悪いのではなく、誰もが悪い。だからこそ、これから起こることの全貌を知る者はいないし、止められる者もいない。
歴史には、黒幕がいそうでいないもんってのがよくわかりますね。こういう活動的な群像劇は、やはり三谷幸喜の得意技だなあと。
しかしまあ、それにしても公暁による暗殺計画がまさか事前に実朝にバレた上に、実朝自身が誠心誠意の説得で止めようとする展開になるとは思わんかったわ。そして視聴者には分かってしまう、ああこれはもう無理だと分かってしまう実感。更に言うと、実朝のこういう資質がこの結末を招いたんだなという理解。和田義盛の時もそうだけど、このドラマの実朝は良い人であり優しい人であるものの、自分の善性の影響がまったくわかってないフシがある感じで。ただの人なら問題ないんですけど、いかんせん将軍ですからね。善性が悲劇を招き、最後に繋がるのだから、そりゃヒデえ話だよ。だからこそ、ドラマとしては見ごたえあるんですが。
第一部の頃は頼朝の四苦八苦を楽しむドラマだったのですが、現在はああ頼朝は凄かったし、早死したのは本当にまずかったんだなとわかるターン。頼朝のアイデンティティは源氏の棟梁なんですが、そのアイデンティティを維持しつつ、北条が求める坂東武者の長であり、他の御家人が求める武家の棟梁としても振る舞う。今となればあの四苦八苦も、善性と悪性を操りつつバランスを保っていた見事な手腕の現れ。頼家も実朝も、まず他者の求めや視線を理解する第一段階で躓いてると、やはり頼朝は格が違う。この点は、義経や範頼もまったく追いついてませんでしたが。
頼朝と実朝のどっちが良い人かと言われればまず実朝だけど、さっきも言ったように、善性も使いようによっては人を殺すし、究極統治者は善悪のラインとは違うところで生きなければいけないものなのでしょう。頼朝も個人としてはロクなことやってないけど、きっちり将軍としては繕っているもの。
そしてこのヒキで次回へ続く、これぞ真の煉獄。そもそも、将軍を元後継者候補が直に暗殺したって史実の時点でどうしょうもない悲劇。そこに、俗説陰謀を上乗せした結果、とんでもないことに。悪意のラーメン二郎って感じのてんこ盛りですね! 鬼! 悪魔! 三谷幸喜!