デッドプール邦訳奇譚~デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプール~

デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプール

デッドプール Vol.5ウェディング・オブ・デッドプール

あらすじ
デッドプールが遂に結婚!? 人生の墓場もとい分岐点を祝い、続々と駆けつけるヒーローやヴィラン。だが実は、俺ちゃんもう何回も結婚してるんだよね。過去にデッドプールを担当したライター&アーティストが大集結。過去のデッドプールの恋バナを描く、デッドプール結婚アンソロジーも収録! 他にも、デッドプールVS帰ってきたヒトラー。デッドプールの根源に迫る、もう一人の狂人ヒーローマッドキャップとの対峙。デッドプールはちゃめちゃ劇場、ここに開幕!

 

ふじい(以下F)「気づけばもう発売じゃん! ということでね、色々すっ飛ばして、デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプールの紹介だ」

サイレン(以下S)「まだ邦訳奇譚で紹介してない本、かなりありますよね……?」

F「はっはっは、毎月毎月デッドプール関連誌だけで数冊も出る状況じゃあ、そうそう追いつけねえよ。嬉しいけど無理! ありがたいけどキツい! だから、今回は色々すっ飛ばしてもう、ウェディングだ! 俺は開き直ったぞ!」

S「Vol.5のウェディングをこうして紹介するってことは、マーベルナウ!シリーズのナンバリングも、一冊づつちゃんと紹介するってことか?」

F「うっせー馬鹿! この間行った、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン! 子供向けのスヌーピーコースターでビビって、中々だったし二回目行こうぜ! と誘った瞬間、逃げ出しやがって!」

S「全くこの場に関係ない悪口と暴露のツープラトンだ!」

F「実際身長制限なしで子供向けだけど、速度とかかかってくるGはかなりマジだったよな、スヌーピーコースター。正直、身長制限のあるフライト・オブ・ザ・ヒッポグリフよりハードだったと思う……まあ、スヌーピーでビビリ倒したお前は、ヒッポグリフからも逃げ出して行方不明になったわけだが」

S「あれキツかったよねーとフォローするように見えて、更にディスってるよ!?」

F「ユニバーサル・ワンダーランドゾーン、子供にもウケがいいスヌーピーやセサミ・ストリートやキティちゃんをメインにした低年齢向けと見せかけて、たまにガチなモン、混ざってるよな。そしてデッドプールと言えば、キティちゃん好き。ほら、関係ないような話に見えて繋がった!」

S「脳細胞がトップギアどころか、エンストしてるような話の脱線っぷりだったな」

 

 

F「ウェディング・オブ・デッドプールにはウリがいくつもあるんだけど、まずは当然コレだな」

特徴その1:デッドプール結婚!

S「鉄板だ。わざわざ言わなくていいんじゃない?」

F「この間、邦訳が発売されたデッドプール:ドラキュラズ・ガントレットから連なる、一連のストーリー。結婚相手に関しても、ドラキュラズ・ガントレットを読もう! ネタバレは防止しないとな!」

S「このサイトに来ているような人は、みんな結婚相手既に知ってるんじゃないかな……」

F「シャラップ。ああ別に、ナンバリングどおりデッドプール Vol.4:デッドプール VS. シールドの次に読んでも問題ないぞ。元々、ドラキュラズ・ガントレットは非ナンバリング作。そりゃ、読まなくてもOKな作りにはなってるわな」

S「時系列的には、デッドプールVSシールド→ドラキュラズ・ガントレット→ウェディング・オブ・デッドプールなんだっけ?」

F「そうだな。ただぶっちゃけ、いきなりウェディングから読んでも、OKですよ? デッドプールの特徴として“あーわりと、何処から読んでも平気っすよ”ってのはあるからな。確かにデッドプール Vol.1から読むのが、ベストな形なのかもしれんが、ベストを求めたらキリがないし、せっかく興味を持ってくれた人への要求ハードルも高くなる。あんまり正しい形にこだわると、角を矯めて牛を殺すようなことになりかねんしな……」

S「やりすぎは、よくないってことか。で、肝心の結婚なんだけど」

F「結婚式といえば、様々な演者が集まる場所。最も多くキャラクターが描かれた表紙としてギネスブックに認定された表紙に負けず、本編もまたてんこ盛り。ケーブル、キャプテン・アメリカ、ウルヴァリン、タスクマスター、ボブなどなど。好敵手や友人ポジションのキャラだけでなく、アベンジャーズもX-MENやファンタスティック・フォーにクライムファイター勢も総出演な勢い。ヒーローとヴィランの間をフラフラしてたデッドプールの結婚式だけあって、ヒーローだけでなくヴィランもいるぞ!」

S「シビルウォーみたいな大戦争でなく、結婚式という平和なイベントでこんなにキャラクターが集まるのは、珍しいかもな」

F「更に忘れちゃいけない、デッドプール結婚記念アンソロジーも収録! デッドプール曰く、自分は初婚ではなくもう何度も結婚している。ならばその複数回の結婚とは。デッドプールの結婚に際し、かつてデッドプールを担当したライターやアーティストも一挙集結。デッドプール生誕期から現在までのレギュラーシーズン、ケーブル&デッドプール、数々の中短編などなど。デッドプールに関わってきたクリエーターが描く、デッドプールの知られざる恋愛譚! それすなわち、結婚をテーマにした短編集!」

S「知られざる恋愛譚って、後付ってことですよね?」

F「オフコース! でも、当時担当した人間がその当時の物語を描くこと。それはむしろ、結婚という節目に求められていたことだし、このメンバーを集めたのならば当然のこと。後付だったとしても、それは最高級になるんじゃないかな」

S「……確かに、全く関係ないライターやアーティストが過去話を書くよりは遥かにいいし、これだけのメンツを集めておいて、彼らが担当してきた過去を補強させないのは人材の無駄遣いか」

F「この恋愛譚自体も、笑いあり涙ありSFあり、話によって出てくる結婚相手も意外な有名キャラがいたり、その場限りのキャラもいたりで、実にバリエーションが豊富。そうだなあ、その中から注目作を上げるとしたら、やはり映画デッドプールでヒロインを務めたヴァネッサ(コピーキャット)が出てくる短編かな」

デッドプール&ヴァネッサ(コピーキャット)

F「コミックスにおける彼女はどんなキャラで、デッドプールとはどんな関係だったのか。それが一発で分る、まさに映画後に読むにふさわしい短編、どひゃあ! となる意外な結末も含めて、必見だ! あと地味に、デッドプールの好物に関する設定が、めっちゃ補強されているからな!

S「あとはやっぱ、ドクター・ベティが出てくる話? 彼女、デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスのキャラだよな」

デッドプール&ドクター・ベティ

F「デッドプール邦訳史上の魁となり、何度も重版するぐらい大ヒットしているデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスの描き下ろし新エピソードが収録。こりゃあ、おいしいぜ! セクシーなブロンド眼鏡っ娘に、また会える!」

S「欲望に忠実すぎる!」

F「眼鏡っ娘とは、美学なのさ。あと、結婚式の後といえば、ハネムーン。新婚旅行よ。その行き先は日本、さあ妖怪をウォッチして、ビルをキルするような人にも出会える、ドキワクな旅行の始まりだ!」

S「今、改めて読んだけどさ。俺達が住んでいる国って、こんなに物騒だったけか……?」

F「ニンジャスレイヤーなら日常茶飯事よ」

 

 

F「続いてのウリは、コレだな」

特徴その2:デッドプールVS帰ってきたヒトラー

S「映画の興行収入の話?」

F「違う違う! タイミング的にコイツ持ってるとしか思えねえ……な構図かつタイミングでの邦訳だけど、違うから! ベルリン陥落直前から50年代にタイムスリップしてきたヒトラーが、第二次世界大戦当時、兵士として大暴れしてたニック・フューリー(SHIELD就職前)に復讐しようとする話があるんだって!」

S「おいその説明、デッドプール要素が一切ないぞ」

F「ベルリン陥落直前から50年代にタイムスリップしてきたヒトラーが、第二次世界大戦当時、兵士として大暴れしてたニック・フューリー(SHIELD就職前)に復讐しようとする話があるんだって! なんでかそこにいた、デッドプールも巻き込んで!」

S「申し訳程度にデッドプール要素が付け加えられた!」

F「はっはっは、かの有名な総統閣下シリーズとその元ネタとなった映画「ヒトラー ~最期の12日間~」を髣髴とさせるシーンもあったり、ヒトラーの最期の謎も判明したりと、全力全開でナチスやヒトラーをからかい倒してるぞ」

S「それにしたって、一昔前だと、海外でナチスやヒトラー関係をやるのは規制の関係で難しいって言われてたけど、結局どんな感じなんかねえ。ほら、キン肉マン マッスルタッグマッチの海外版でジェロニモとトマホークに差し替えられた、ブロッケンJrと毒ガス攻撃とかあったじゃん」

F「うーむ……時と場合によるんじゃないかなあ。例えばコミックスのヴィランだとナチス残党系のキャラなんてごまんといるし、映画でもさんざんネタになってる。ただ子供向けのキン肉マンのゲームでは、ブロッケンJrはちとマズいかなと判断したのかもしれん。ただ、今回のデッドプールのヒトラーに関しては、遠慮一切なしというか、下記画像を持ってくる域には達してるな」

もう少し手心というか……

 

 

特徴その3:?????

S「伏せ字!?」

F「コレに関しては、是非自分の目で確かめてほしいとしか言い様がないな。言えることは二つ、まずこの???はデッドプールというキャラの根幹に関わっているということ。ひょっとしたら、今現在出ている邦訳されたデッドプール関係のコミックスの中で、最もデッドプールの深層を描いているかもしれん」

S「その域なのか……」

F「そしてもう一つ、この???に深く関わっているのは、謎の男、マッドキャップであるということ」

マッドキャップ

S「あまり聞いたことのないヤツだが、どういうキャラなんだ」

F「事故により信仰も家族も友人も失ったある信心深い男は、信仰と正気を失い、途方も無い狂気と不死の身体を手に入れた。どんな怪我からも回復できる超再生能力と、他人の羞耻心や抑制心を壊す能力で、容易く他人の精神と人生を狂わす能力を持っている。かつてはキャプテン・アメリカやウルヴァリンも苦しめた、マーベル屈指のトリックスターだ」

マッドキャップVSウルヴァリン

S「不死の能力と、本人の狂気。トリックスターであること……似てるな」

F「ああ。マッドキャップは、デッドプールによく似ている。初出自体は1985年生まれのマッドキャップの方が早いんだがな。この二人の狂人が改めて出会った時、一体何が起こるのか。さっきも言ったが、これは是非自分の目で確かめてみて欲しい。ちょっとしたネタバレになってしまうが、この先マッドキャップは、デッドプールにとって欠かせぬキャラとなる。結婚、途絶えぬ因縁、マッドキャップ。ウェディング・オブ・デッドプールは、デッドプールの過去を知るアイテムでありながら、これからのデッドプールのスタート地点ともなる一冊。つまりは、デッドプールの逃れ得ぬターニングポイントってことよ」

マッドキャップ&デッドプール

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプール ~

デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプール

デッドプール・キラストレイテッドデッドプール・キルズ・デッドプール

キラスト・レイテッドあらすじ
デッドプール・キルズ・マーベルユニバースでの殺戮から幾星霜。多元世界を周り、アベンジャーズもX-MENもスパイダーマンも数万回殺し続けてきたデッドプール。この多元宇宙を支配する“創作者”からの開放を望むデッドプールは、マーベルユニバースの更なる根源、創作者のアイディアの源泉となった古典作品の集合体、アイディアバースの破壊を目論む。
巨大怪物の源泉、ギリシャ神話。吸血鬼の源泉、吸血鬼ドラキュラ。チーム物の源泉、三銃士。次々と殺されていく、古典作品の主人公たち。だがしかし、瀕死のマーベルユニバースからのメッセージを受け取った、探偵の源泉たる男。シャーロック・ホームズが多数の英雄を引き連れ、デッドプールの前に立ち塞がる!

キルズ・デッドプールあらすじ
愉快痛快、全次元のデッドプールさんが殺しあうよ!

サイレン(以下S)「あらすじバランス悪!」

ふじい(以下F)「というわけで、デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプールの紹介だ。デッドプール・キルズ・マーベルユニバースと合わせての、デッドプールキルズ三部作の二作だな。それにしても、キラスト・レイテッドが邦訳されてよかったわー。キルズが出た日から、ずっと願ってた」

S「そんなに?」

F「前にも言ったけど、俺、起承転結のうち、キルズ・マーベルユニバースが起承で、キラスト・レイテッドが転結だと思ってるからね? そりゃあ、出てほしいよ。エンディング後のボーナストラックでありながら、真エンドでもある、キルズ・デッドプールも含めて」

S「ストレートに考えても、そりゃ3部作な以上、3本やってほしい!というのは人情だな」

F「まずはキラスト・レイテッドの紹介をするとして……一言で言うなら、デッドプールVS古典文学よね。もしくは、スーパー古典大戦withデッドプール」

参戦作品
ドン・キホーテ
白鯨
クリスマスキャロル
海底2万マイル
トム・ソーヤーの冒険
スリーピー・ホロウの伝説
若草物語
フランケンシュタイン
ジャングル・ブック
変身(カフカ著)
ベオウルフ
花木蘭(ムーラン)
シャーロック・ホームズシリーズ……extra

F「スパロボ風にざっと書くと、こんな感じ。全部書いたわけではなく、まだまだいるけど」

S「何作か、明らかに戦闘能力のない作品混じっているんだが」

F「馬鹿、オメエ、ナメてかかると痛い目見るぞ! VS若草物語なんか、デッドプールさん、マジ死にかけたんだからな!」

S「狂ってるな!」

F「狂ってるよ! スパロボのノリでこうやって紹介できる作品なものの、創作者とキャラクターの関係性、アイディアとは果たして何なのかという、メタを極めたテーマにも踏み込んでいる怪作です。頭脳明晰かつバリツを極めた最高の探偵シャーロック・ホームズと戦うのは、ホームズですら持ち得ない視点を持った怪人デッドプール。シャーロキアン(シャーロック・ホームズの熱狂的なファン)の方が読んでも、新鮮味がある対決なんじゃないかな」

S「で。すげえ簡単なあらすじで済まされたキルズ・デッドプールの話なんですけどね?」

F「キラスト・レイテッドの戦いも、終焉には至らなかった……ならば、根源とは何なのか。そう、俺ちゃんだ! そして始まる、スーパーデッドプール大戦! 既存ユニット、新規ユニット、大量参戦!」

S「きゃあ! じぶんごろし!」

F「今までの話の主人公は、俺達の知っているデッドプールとは別次元のデッドプール(通称:ドレッドプール)だったが……」

S「待った。ドレッドプール?」

F「ああ。俺もうっかり忘れていたところ、指摘されて気がついたんだが、今までキルズの主役を務めてきたデッドプールにはドレッドプールという個体名がつけられているんだよ」

S「ドレッド(Dread)……英単語の意味合いとしては、動詞としてなら~~への恐怖や、恐れること。名詞なら、恐怖や不安そのものか」

F「今作でのドレッドプールのポジションは、ヴィラン。キルズ・デッドプールの主人公は俺達の知るいつものデッドプールにして根源たるデッドプール……正史であるEarth616のデッドプールだな。つまりデッドプールがデッドプール皆殺しの計画を反対派のデッドプールたちと共に阻止しようとするものの、デッドプール皆殺し計画側にも多数のデッドプールが付いていて、デッドプールがデッドプールを殺す惨状になってデップーが」

S「待って。ゲシュタルト崩壊起こしてきたから待って」

F「簡単に済ませるなら、デッドプール一派VSドレッドプール一派の大戦争ってことだな。レディ・デッドプールやキッドプールにドッグプールにヘッドプールのような、デッドプール・コァの面々。デッドプールが捨ててきた身体のパーツをミックスして出来上がった、エビル・デッドプール。エイジ・オブ・アポカリプス版デッドプールこと、デッドマン・ウェイド。有名無名問わず、沢山のデッドプールが出ているな。デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスに出てくるデッドプールの亜種は、フルコンプしてるぞ!」

S「読んでから見ると、おもしろさにプラス?」

F「オフコース! あとデッド・ヘッド・リデンプション。コイツもちょっと関係有るぞ!」

S「短編集だっけか?」

F「この本に収録されている短編“デッドプールが多すぎる”。キングプールだの2頭身プールだのベッドプールだの尻プールだの、色々なデッドプールが湧いてくる作品だが、ここに出たデッドプールも、結構端役として出ていたりする。別の短編には、デッドプール・コァも勢揃いしているし、副読本ポジションぐらいにはあるかもしれんな」

S「前半が既存デッドプールが多めで、後半が新規デッドプール多めかね……なあ、一つ聞きたいんだけど」

F「OK,OK。答えられることなら、なんでも答えるぞ」

S「172Pで殺されている、影で隠れて全身がよくわからないデッドプールなんだけどさ」

ノーコメント

F「彼が、何か?」

S「この人さ、ドラマのARROWとかに出てなかったっけ?」

F「おいおい。アレはDCコミックスのドラマだぜ? デッドプールは、マーベルの作品じゃないか」

デスストロークさん

S「装備とかさ、マスクについてるヒラヒラとかさ、スーツの鱗っぽさとかさ、このデスストロークさんにすげえ似ている気がするんだけど?」

F「うーむ。でも、色が違うしなあ……」

S「あくまで、別人だと言いはるんだな?」

F「いいか。勇気と蛮勇は違うんだ。俺にだって、危険を察知する能力くらいはあるぞ!」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース ~

デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース

デッドプール:キルズ・ザ・マーベルユニバース

あらすじ

無数の存在する多次元世界。その一つ一つに固有の物語が存在する。数ある世界の中には、無敵のマーベルヒーローが無残な最期を迎えた世界も少なくない。そして、ここにもそんな世界が二つ……。
一つは、デッドプールが己が存在の真の意味を見出した世界……。
そしてもう一つは、パニシャーがヒーロー達への復讐に駆られた世界……。
デッドプールとパニシャー、二人の怒りの前に、マーベルユニバースは崩壊の時を迎える……。マーベルヒーローは皆殺しだ! コミックスの常識を遙かに超えた内容で大反響を呼び起こした二つの問題作が奇跡のカップリング!(Amazon掲載の商品説明より抜粋)

F「デッドプール邦訳紹介二つ目は、デッドプールとパニッシャー、もといパニシャーのキルズ・マーベルユニバースだ!」

S「なんつーか、マーク・ウィズ・ア・マウスが直球だったら、キルズは変化球だよな。うねりにうねって、バッター殺す的な。テニスの王子様の、必ず殺す系の魔球」

F「得点でなく、選手の命を奪うアレな! デッドプールのキルズのストーリーは、“ヴィランに頭を弄くられた結果、完全に目覚めてしまったデッドプールが、ヒーローもヴィランもMINAGOROSHI!”以外の何物でもないもんな。普段ヒーロー側にある主人公補正や出版社の都合が奪われて、殺戮側に全部持っていかれているんだから、本当にタチが悪い」

S「パニシャーも“ヒーローとヴィランの戦いに巻き込まれて家族が死んで、結果全員MINAGOROSHI”だもんな……テーマの時点で、でっけえハードルがあるから、合う合わないが事前にわかるのはありがたい」

F「タイトルも表紙も、一切オブラート包んでないもんなあ。君の好きな人気ヒーローが沢山出てくるけど、みんな死ぬからね! アンケート取ったわけじゃないけど、10人中10人が受け入れられるテーマでないのはわかる。ただ、受け入れられるのであれば、ハイになって楽しめるぞ! デッドプールじゃないけど、パニシャーのキルズは、かのヒットマンのライターでもあり犬溶接マンやセクション・エイトの生みの親であるガース・エニスが担当。“ヒーロー仲間の弱点を調べ尽くしているバットマン”と並ぶ、“本気出せばヒーローを皆殺しにできるパニシャー”として、日本で伝説化していたからな! 結果的に両方共邦訳されて、日本でも直に読めるようになったんだけど」

S「吹っ切れた常人、精神的超人マジ怖い」

F「かたやデッドプールの方は、ある程度物語の枠に収まっているパニシャーに比べ、無法地帯かつ楽屋オチ的な空気があるんだけど……結果的に今、この作品は完全体になろうとしているからな」

S「ひょっとして、続刊となるデッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプールが出るのに関係ある?」

F「OH! YES! キルズ・マーベルユニバースで地獄を創りだした男の行き着く先が、シャーロック・ホームズやネモ船長とガチで殺り合うキラストレイテッド。マーベルユニバースが起承転結の起承で、キラストレイテッドが転結ぐらいには思ってるからね、俺。ある意味、二つで完結」

S「それだと、キルズ・デッドプールの立場が無いぞ?」

F「キルズ・デッドプールもしっかり繋がってはいるんだけど、立ち位置的にボーナストラックというか、ボーナスステージというか……うん。やっぱり、三作で一纏めだな。ああそうそう、キルズ・デッドプールにはレディデッドプールやヘッドプールやデッドプール少佐のような、マーク・ウィズ・ア・マウスで出てきたデッドプールたちもちゃんと出てくるからな!」

S「続刊発売を機に、セットで買ってみるのも悪くないってか」

F「だな。このキルズ・マーベルユニバースから一年近く、デッドプールの邦訳は休眠期に入るわけだが……もし、マーク・ウィズ・ア・マウスが出てなくて、デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバースだけ出ていたら、このデッドプール史でも群を抜いてイカれポンチなデッドプールがスタンダードになっていて、大変だっただろうな……と」

S「あー。確かに、今のデッドプールのイメージ、だいぶ変わっていたかもしれないな」

F「アクセル全開な作品を一発目から出して惹きつける!というのもアリだとは思うが、キルズは劇薬すぎてなあ。予測としては、デッドプールが10冊ぐらい訳されてイメージと閉塞感が出来た頃に出る弾だと思ってたし……でもまあ、ある意味正統派なマーク・ウィズ・ア・マウスとのセットで、休眠期をしっかり支えてくれることとなったんだから、結果オーライよ」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス~

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス表紙

あらすじ

激しく燃えた謎の火の玉がサベッジランドの密林に墜落した。その残骸のなかから出てきたものは……な、なんと我らが愛すべきデッドプールだった! しかも黒焦げ状態で……でも彼には超回復能力があるから大丈夫!世界の破滅を目論む悪の組織AIMと契約した冗舌な傭兵は、謎の新型生物兵器を手に入れるため、ジャングルのなかへと足を踏み入れた。任務の報酬を手に入れるためには、ライバルであるテロリスト組織ヒドラの兵士たちを出し抜かなければならない。
しかし、目的の生物兵器にたどり着くことができたデッドプールは衝撃的な事実を知る。彼が持ち帰るべき生物兵器とは、ベラベラしゃべって、脳をムシャムシャ食べるゾンビ・デッドプールの頭部だったのだ! デッドプールとヘッドプールの珍道中がはじまった!!
え!? ヘッドプールだけじゃ物足りない? それなら、SHIELDのウィルソン少佐やデッドプール・キッドはどうかな? そうそう、無限に広がるマーベルの並行世界を語る時に忘れてはならないゾンビバースでの冒険も盛りだくさんだ! デッドプール史上、最もクレイジーな一冊にして、ファン必携のコミック、日本初邦訳!(Amazon掲載の商品説明より抜粋)

F「日本での発売順に追っていくよ! てなわけで、今日紹介するのはデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスだ。発売前にテンション上って、紹介記事を書いたこともあったな。はじめての邦訳デッドプール。デッドプールの邦訳童貞を奪い去っていった作品だな」

S「すっげえ嫌な言い方だ! あれ? ヴィレッジブックスから出たX-MEN ユニバース:シビル・ウォーの方が、若干早いんじゃないか? アレにはケーブル&デッドプールのシビル・ウォータイイン回が収録されていたよな」

F「シビルウォーの方が、タッチの差、数日違いで早いんだよな。ただ通販限定というポジションが、どうにも悩みどころでな。今現在はFujisan.co.jpで購入できるものの、供給の状況が特殊でいまいち紹介しにくい点もあり。ひとまず、現状X-MEN ユニバース:シビル・ウォー紹介は保留ということで。ただ、デッドプールの邦訳筆おろしの一番手は、こっちにしてもいいかもしれんな」

S「嫌な言い方が、更に重ねられた……!」

F「それでマーク・ウィズ・ア・マウスの話になるけどよ。まーこれ、決定版ですわ。しょっぱなから決定版。今でも、書店やアマゾンのベストセラーランキングにふっと出てくるくらいに、売れてるよ!」

S「確かになあ。二転三転する破天荒なストーリー、ウルヴァリンやキャプテン・アメリカだけでなく平行世界の自分自身(例:レディデッドプール)も含めた豪華なゲストキャラ勢、血肉舞い散る派手なアクション、忘れちゃいけない第四の壁の破壊。多くのファンがデッドプールに求めていたもの、全部てんこ盛りだもんな」

F「俺も邦訳するならコレだろうよ!と、邦訳が動く前より他人に勧めていた作品。初めて読んだ、洋書のデッドプールもコレだったかな」

S「つまりデッドプール童貞をこの作品で捨てたわけだ」

F「……OK、言い出した身としてはなんだが、俺の言い方が悪かった。だからそのBL臭のする喩えを、止めてくれたまえ。あと一つポイントとしては、中に入っている小冊子。中に載っているデッドプールの歴史が、ものすごくいい。デッドプールの生誕からこの本が出た2013年まで、この資料も決定版と言っていいくらいの出来。そして結果的に今、唯一の弱点も補強された」

S「弱点?」

F「2013年以降の情報。これは載ってなくて当たり前の話なんだが……」

S「ああそうか! 2013年以降の作品は、次々と邦訳されているのか!」

F「そういうことだな。例えばデッドプールの兵法入門やデッドプールVSカーネイジ、デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント以降のレギュラーシリーズはこれに該当するぞ。資料に情報が載ってない、ならば自分の目で確かめてみればいいのさ。むしろ言及していないほうが、未知の状態で楽しめる。こんな見方もある」

S「未知っていうのは、作品を楽しむスパイスだよな」

F「そういうこと。あとまあ、マーク・ウィズ・ア・マウスは一応チーム全員デッドプールなデッドプール・コァに繋がっているわけだが、実はデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス自体の追加エピソードも存在するぞ。当時サベッジランドをさまよっていたデッドプールとヘッドプール、そしてヒロイン枠のセクシーメガネっ娘ことドクター・ベティ。いや実はあの時、俺ちゃん、ドクター・ベティと結婚していたのよ! そんなボーナスストーリー」

S「ボーナス……? しかし結婚ってことは、ひょっとしてあの本に載っている話か?」

F「デッドプール Vol.1:デッド・プレジデントの先にある、デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプール。この中に収録されたデッドプール結婚記念アンソロジー集の中に当時のライター&アーティストがそのまま参加した、マーク・ウィズ・ア・マウス追加エピソードがあるぜ。このアンソロジー集に参加しているメンバーや作品は、全員これまでのデッドプール史に携わってきた面々。レギュラーシリーズの担当が多い中、中編ながらも、このアンソロジーに選出された時点で、マーク・ウィズ・ア・マウスの向こうでの人気や評価もわかるってものよ」

S「しかしまだ、デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプールの邦訳は発表されてないよな……?」

F「ああ。でも、このままいけば、ひょっとしたら……と思えるところにはいるだろ。1巻であるデッドプレジデントから3巻であるグッド、バッド・アンド・アグリーまでの発売は決まっているんだから。是非ともあの、結婚記念アンソロジーでも屈指のどうしょうもねえなあ、この赤タイツは! そんなエピソードを、是非いろんな人に読んでほしいもんだねえ」

日々雑談~1846~

>こんにちは。いつも楽しく読ませていただいております。ふじいさんの記事がきっかけでデッドプールを読み、すっかりはまってしまいました。ただ、日本では、他のキャラクターを原書で読む場合、どれから手をつければいいかわかりにくいのが実情です。それで、お手隙の際で結構ですので、ふじいさんおすすめの原書紹介なんかもやっていただけるとうれしいですね。どのキャラクターも魅力的ながら、なにしろ歴史がどれも長いので、まったくどこから手をつけたらいいか見当もつかないので…

 おお、このサイトが一つのきっかけになったのならば幸いです! ありがとうございます!
 なるほど、原書の紹介ですか。オススメと言うのはありますが、実のところ結構な数がもう邦訳化されてるんですよね。例えば、扱い始めた、読み始めた頃、最初期のオススメしていた原書というか作品はデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスバットマン:ノーマンズ・ランドですし。そうですね、今度「こういうタイプの原書が読み易いよ!」「このシリーズはオススメですよ!」という個人的なコツをここで纏めてみます。ひとまず、英語が出来なくてもどうにかなる!を目標に。ただ最近、新刊作業と繁忙期が重なってバタバタしておりますので、しばしお待ちくだされば幸いです。
 ウルトラマンの映画も、観に行けるといいなあ……。

 今週も試合無いのにむっちゃ面白かったキン肉マン。ストロング・ザ・武道。超人閻魔。数々の姿と名を持つ強大な男、その真名は“始まりの男“ザ・マン! この“超人“スーパーマンに並ぶシンプルさ。零式を名乗る男に、相応しいとしか言いようがなく。
 悪魔将軍とストロング・ザ・武道。二つの超巨星の間に割って入ったのはネメシス。ネメシスの一言が、今後のカードを決めるきっかけとなるのは、十中八九間違いなく。しかし「自分で調べた」からこそ、いったい何処までネメシスは現状を知っているのかが分からず。実のところ、グリムリパーの正体がサイコマンであることを知っていた(回想シーンでサイコマンと接している)ネプチューン・キングの方が、情報的な優遇度合いではネメシス以上だったというのが興味深い。マグネットパワーを教わったこと、無量大数軍所属時の称号“完潔“の立派さ、離脱した後も幹部扱いはされていた事実。今では小物と蔑まれてはいるものの、当時のネプチューン・キングへの期待値、コレ相当な物ですよ。