ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その33~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第32話。
 いよいよな最終決戦、レッド・スカル編決着!

 完全に、アベンジャーズと子供達を手の平の上に乗せたレッド・スカル。ライバルであるキャプテン・アメリカより、優れている一点がレッド・スカルにあるとしたら、キャップが兵士ならレッド・スカルは将校であること。謀略や策略という将棋盤において、超越者相手に腕を磨き続けたレッド・スカルに勝てる者はそうそう居ないでしょう。なら勝つためには、まともに将棋を打つ以外の手段を模索するしか無く! 相手の思考の外を突くホークアイ復活! ちょっと存在を忘れかけてたけど(注:行方不明からリアルタイムで一ヶ月近く経ってます)待ってたぜ! ホークアイ、エージェントとしては頭も腕も器用な部類に入るので、こういう変装しての潜入任務も得意なのよね。実は弓矢以外も結構使えるので、多分タスクマスターにも短期間ならなり切れます。それぐらいには、武芸百般。

 ソーの信頼とホークアイの奇策により、ヒカルを使っての計略に失敗したレッド・スカル。だが、それに慢心すること無く用意していた巨大ヒドラメカが始動。また再び、策略の迷路に引きずり込まれたワケですが、次は少年少女達の連続Dスマッシュ! 奇策の次は、力押しによる盤の破壊! いやー、いいですよね! メイン&セカンドヒーローの共闘。アベンジャーズと他のチーム、メンバー的に……ヒーローズ・フォー・ハイヤー?とにかく、ヒーロー同士の共演、チームアップは熱い! キング・リュウさんのTwitterによると、いくらボス相手といえども、一人へのアッセンブルという名のリンチにならぬよう気を配っているそうですが、今回のレッド・スカルWith巨大メカは最高の的でしたね! いやもう、燃えるしか無く。筋肉コンビの大破壊は、パワーキャラの名誉挽回企画と銘打っても何ら問題ない迫力。力こそ、パワー!

 レッド・スカルも敗れ、ヒドラも壊滅し。ショッカー首領並にしぶといとは言えども、おそらくこれで一度は決着。次週は謎の新人アベンジャーズに、新たなる巨悪。そして偏屈で有名なピム博士登場! えーと、色々頑張れ! ワスプ! あと2014年11月12日現在、12月3日まで公式サイトにてキャラクター人気投票開催中。人気者は誰だ!ということで、是非投票を! こういうのは、数が集まれば集まるほど面白い! みんな、絶対俺ちゃ……デッドプールさんに入れようね!

 なんか雑音が入ったけど、気にせず今日の紹介はいよいよなナチスの核弾頭、レッド・スカルで! 今現在も、某コズミックビーイングの力を手に入れ、X-MENとアベンジャーズ相手に大立ち回り中な巨悪! あんまりすぎて、マグニートーやロキやドクター・ドゥームやセイバートゥースやカーネイジ、この巨悪凶悪一団+デッドプールも対レッド・スカルに参戦。ほんにこの人は、ラスボスやね。

レッド・スカル

レッドスカル

 神であり強力な魔力を持つ、アスガルドのトリックスター、ロキ。
 地球の大いなる力、磁力を自在に操るミュータント、マグニートー。
 眩い出自や強烈な能力を生まれつき持つ、マーベルの巨悪たち。そんな彼らに比べ、彼には何もない。母は出産時に死亡、父は呪われた息子を殺すことに失敗し自殺。孤児となった子供は、物乞い、泥棒、肉体労働、生き抜くことに必死な只の少年。彼の運命は、とあるホテルでベルボーイとして働いたある日代わる。何もない筈の少年の目に宿る、この世全てへの憎悪。何も持たない少年には、強烈な恨みが宿されていた。彼を見出したホテルの来客は、少年と同じ憎悪を持ち、20世紀を最も乱した男、独裁者アドルフ・ヒトラーであった。

 ヒトラーは、自らが最も求めていた資質を持つ少年を、さらなる理想型、完璧なナチス・ドイツの申し子へと育て上げる。無慈悲さと戦略頭脳、優れた射手にして格闘家。ヒトラーの理想像、それすらも超えた少年ヨハン・シュミットに与えられたのは、赤い骸骨のマスク。レッド・スカルは、こうして誕生した。後に毒ガスの一種を浴びることにより、レッド・スカルは仮面いらずの、本物の骸骨顔となってしまう。忠誠を誓うヒトラーの命令による暗殺、テロ、破壊工作。各国は工作員やスパイによりレッド・スカルを止めようとするが、それはただ犠牲者を増やすだけであった。超人的なレッド・スカルに対向するために必要な物は、超人。アメリカ合衆国政府は超人血清の人体への投与を決断、レッド・スカルに立ち向かえる超人キャプテン・アメリカを誕生させる。Marvelにおける超人の世紀の始まり。一人の鍛えぬかれた邪悪な男は、こうして世界を塗り替えてしまった。

レッドスカル(戦時中)

 アメリカやイギリスやアトランティスの超人やサイボーグと共に枢軸国に立ち向う、キャプテン・アメリカ。レッド・スカルもまた、ナチス・ドイツの超人や侵略者との同盟により迎え撃つ。だがそれは、レッド・スカルという優秀な破壊工作員が動けなくなることを意味していた。やがてドイツは劣勢に。ベルリンが陥落した時、ヒトラーに次ぐ権力者であったレッド・スカルはバンカーにおり、キャプテン・アメリカもそこに居た。第二次大戦最後の、超人同士の戦争。勝敗は国家間の戦争と同じ形、キャップの勝利に終わり、レッド・スカルは崩壊するバンカーに飲み込まれて消えた。
 レッド・スカルは死亡したと思われ、彼の名は伝説として残った。第二次大戦後の冷戦時代、KGBはレッド・スカルの恐怖を蘇らせるため工作員をレッド・スカルに仕立て上げ、レッド・スカルに憧れる多数の者も偽レッド・スカルとなった。だがしかし、死んだと思われたレッド・スカルは生きていた。バンカー崩落の際に浴びた毒ガスの効果により、数十年間冬眠状態で埋もれたままで。復活したレッド・スカルは目撃する、自分と同じ別件の冬眠状態を経て、若々しいままのキャプテン・アメリカを。ナチス残党による秘密結社ヒドラ、ヒーローチームアベンジャーズ。二人の男の戦いは時代を変え、再び始まることとなった。

レッドスカルVSキャプテン・アメリカ

 前述した通り、レッド・スカルの超人としての能力は然程ではない。後に死亡し、キャプテン・アメリカのクローンに意識を移植するものの、キャップの能力も超人という枠内では決して高いわけではなく、常人を磨きあげた結果でしかない。だがしかし、レッド・スカルには優れた戦略頭脳があり、伝説があり、カリスマ性があり、きっかけである憎悪がある。レッド・スカルに心酔し従う者は多く、クロスボーンズのような優れた者も多い。そして本人に超越的な力は無くとも、超越的な力を開発できる組織を作り従わせることもできるし、力を手に入れる手段を構築できる能力はある。世界を変える立方体コズミック・キューブの入手使用などは、類たる例だろう。

レッドスカル&コズミックキューブ

 映画では、キャプテン・アメリカ 卍帝国の野望とキャプテン・アメリカ:ザ・ファースト・アベンジャーの二作に登場。近年の後者では、ナチス・ドイツも裏切り、秘密結社ヒドラの総帥として、世界すべてを敵に回した大戦争に挑む。キャプテン・アメリカとの対決によりヒドラは壊滅し本人もコズミック・キューブの力で塵と化してしまうが、ヒドラの毒は既に世界を密かに侵食していた。余談ではあるが、原作におけるレッド・スカルの何度目かの死の際、コズミック・キューブを手にして死んだ結果、その意識がキューブに残り、他者に憑依したことがあった。映画の死に様は、それを連想させる。

映画版レッドスカル

 映画における、ナチス・ドイツ、ヒトラーに忠誠を誓った男の反逆。実のところこの流れは、当のヒトラー本人が望んでいたことかもしれない。何故なら、完璧すぎるナチスの理想像であり、結果鋭すぎる懐刀となったレッド・スカルを、ヒトラーは内心恐れていた。刃を飲み込むよりは、まだ外に居たほうが、共通の敵となった方が安全とも言える。作った人間すらも恐れさせる、人の憎悪の結晶。最後に、多少違う世界で最狂の名を関する男。そんな男のレッド・スカル評を置いて、シメとしたい。

ジョーカー「あのガイコツ、マジで頭おかしいわ」

ジョーカーVSレッド・スカル

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その32~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第32話。
 ヒカル兄さん&ソーの属性エナジー回。さて、セカンドヒーローは誰かな!?(白目)

 いきなりの開戦、ソーVSグラビトン! マスターズ・オブ・イーヴル随一の実力者たる自負からか、妙な小細工はせず、真正面から迎え撃つ形に。結局のところ、ビルドアッププレートという火力増強パーツの存在を知らなかったので、負けてしまいましたが。元々の重力の支配者たる自信がスフィアの力を手に入れた事で、自信ビルドアップ。例えば常人のキャプテン・アメリカやホークアイが超人と相対した場合の突破口にしてカモとなる、過信を招いてしまった感じかと。もしくは、他のヴィランが行っていた、グリーンゴブリンやレッドクリムゾンを使っての消耗戦法。本命はレッドスカルで、グラビトンは前座と考えれば、作戦的にも悪くはなく。連続Dスマッシュの情報が流れていても、そもそもヒカルの手元に他のディスクは無いし、セカンドヒーローも居ないので、実質無意味な情報ですしね。時間制限5分は変わらず。

 ヒカルの心、ソーの心を揺らがす、レッドスカルの奸計。奸計と言えばロキなのですが、ロキの奸計はまず幻惑幻覚を使っての嘘八百。幻惑や幻覚が本来使えないレッドスカルは、舌と頭脳。相手の心の隙間を見抜き、相手にとって最悪の方に誘導していく。映画ダークナイトのジョーカーが人を狂気に誘うピエロだとしたら、DWのレッドスカルは相手の選択肢を用意周到に潰していく蛇。どちらも、人を陥れる悪辣さにおいては天下一品。ヒカルの弟を思う気持ちも、ソーのヒカルへの兄としてのシンパシーも、どちらも間違っていないもんなあ。間違っていないまま、道を誤らせる趣味の悪さ。ソーはあえて洗脳せず、他のヴィランのディスクを渡すこと無く、アベンジャーズと戦わせる。DWのレッドスカルは夕方六時半に流せるギリギリの邪悪として造形されたそうですが、目に見える残虐さは無いのに残酷なレッドスカルを作り上げた時点で目標達成かと。

 セカンドヒーローを取り上げればいいかな?と甘く見ていたら、本編それどころじゃなかった!
 というわけで、未紹介なヒーロー&ヴィランから、本日出番のあった一人を紹介。一コマだけと言われたらそれまでですが! CV無かったよね?と言われたらそれまでですが! 今日はレッドスカルの腹心、クロスボーンズで! レッドスカルは出来れば今シリーズのシメ辺りに、セカンドヒーローで唯一紹介してないアイアンフィストは多分また機会があるはず。アイアンフィストを後に回すのは、ヒーローズ・フォー・ハイヤーコンビ出演へのある種の願掛け……!

クロスボーンズ

クロスボーンズ全身

 ナチズムの権化、アーリア人の理想型、ヒトラーの後継者にしてヒトラーが恐れた男。第二次大戦中、強烈な悪意で世界を恐怖に陥れたレッドスカル。滅び去った悪党であっても、そのカリスマ性は不滅であり、多くの信奉者を世に残した。ニューヨークの下町に住んでいた子供、ブロック・ラムロウもその一人である。悪意のタガが外れていたラムロウは、15歳の少女を暴行した上、止めに来た少女の兄を殺害するという、外道たる人間として成長する。(なお被害者の少女は後に傭兵ダイヤモンドバックとなり、クロスボーンズと何度も戦うことになる)
 自らの暴力性とレッドスカルへの憧れを持ち続けたラムロウは、暴力性で金が稼げる仕事、傭兵への道を選ぶ。傭兵育成スクールを開校していたタスクマスターによる訓練を三年ほど受けたラムロウは、一流の傭兵に成長(この時、見学に訪れたレッドスカルが素養を認めたとの話も)。コードネーム“フラグ”を名乗り活動を始め、遂に憧れの存在であるレッドスカルの部下となる。だがしかし、このレッドスカルは赤は赤でも共産主義の赤、共産主義活動のためレッドスカルのふりをしていたアルバート・マリクがその正体だった。だが、マリクは敗れ、配下のうち生き残ったのはラムロウだけという悲惨な状況になってしまう。そんなラムロウの前に現れたのは真なる骸骨、彼の道を定めた本物のレッドスカルであった。理想そのもののレッドスカルに改めて出会ったラムロウは、レッドスカル心酔。彼の忠実な部下となることを誓う。レッドスカルはラムロウにフラグに代わる新しいコードネーム、クロスボーンズを与えた。傭兵クロスボーンズの誕生である。クロスボーンズは、レッドスカルの敵であるキャプテン・アメリカやアベンジャーズと死闘を繰り広げる事になる。シビル・ウォーでのキャプテン・アメリカ暗殺事件やレッドスカル逝去後の後継者たる娘シンの奪還と、キャプテン・アメリカやレッドスカルにとって、語るに欠かせぬ存在となった。

クロスボーンズ

 相手の動きを瞬時に記憶し再現できるタスクマスター。ダイヤモンド型投擲スパイクを操るダイヤモンドバック。クロスボーンズには、他の傭兵のような特殊能力や特別な装備は無い。だがレッドスカルが目をかけ、タスクマスターが技をパクるだけあって、クロスボーンズの能力は高水準でまとまっている。残忍と称される格闘術、武器や爆発物への精通、体中に隠した銃やナイフといった暗器。逆に言えば、特殊能力や特別な装備に頼らずとも戦えるだけの強さを持つ常人なのだ。
 映画キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャーでは、キャプテン・アメリカを裏切りヒドラに加担した実務部隊エージェント“ブロック・ラムロウ”として登場。サバット使いの傭兵バトロック・ザ・リーパーと共に、映画の世界観に合わせての出演を果たした。ただ、クロスボーンズと名乗ることも呼ばれることもないので、本当に言われなければ気づかないレベルの出演である。

ブロック・ラムロウ(映画版)

 レッドスカルの配下として働いてない時は、普通に傭兵として活動。ついこの間は、ある事件に巻き込まれた結果、多額の賞金をかけられたデッドプールを襲撃した。

デッドプールVSクロスボーンズ

 だが、デッドプールの新婚さんを巻き込むルール無用な残虐ファイトの前に敗北。

ひき逃げ!クロスボーンズ!

 気絶した後、気球に乗せられ、海に落ちて漂流し、カモメを食って生きながらえ。デッドプールにリターンマッチを挑むが、服を燃やされ街中でブリーフ一丁にさせられた上で敗北。SHIELDに逮捕されてしまった。

デッドプールVSクロスボーンズ 決着!

 余談ではあるが、このブリーフもといクロスボーンズを逮捕したのは、映画の逆輸入キャラであるエージェント・コールソン。奇しくもコミック上で、キャップを崇拝するエージェントがキャップを裏切ったエージェントを逮捕するという、映画的に中々面白い光景が繰り広げられることとなった。
 そしてこの時、デッドプールVSクロスボーンズに、デッドプールに多額の賞金をかけた黒幕も乱入してくるが、そもそも黒幕とデッドプールの因縁も、黒幕の未払から始まっている。

デッドプール「おい。コイツ、景気のいい話はするけど、金払わないぞ?」
クロスボーンズ「傭兵を雇っておいて金を払わないなんて、ゴミだな、ゴミ!」

 デッドプールとクロスボーンズは一時休戦、黒幕をゴミ収集車に叩き込んでスイッチONした後、また戦いを始めた。金を払えばどちらにでも付く、ドブネズミ野郎と呼ばれる傭兵。だが、ドブネズミ唯一のルールにしてプライドである金をごまかすとこうなる。レッドスカルのように心酔させられないのであれば、相応しい対価を用意してから雇うべきだろう。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その31~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第31話。
 ハルク&エドによるパワー属性回! 出てくるヒーローもヴィランも、みんな手足が丸太なんだぜ!?

 行き先に戸惑い足を踏み出せなかったのがクリスなら、まず足を動かすことが出来なかったのがエド。最初は唯一であったヒーローへの愛情すら揺らぎがあったものの、30話近い戦いを重ねることにより、愛情には確固たる足場が生まれ、前に進めなかった足はもはや止まること無く。登場メンバー中、最も成長を遂げたキャラは、おそらくエドでしょう。
 もう完全に、見守る妖精ポジションなハルク。このアニメ終わったら、魔法少女系アニメの妖精枠に立候補しよう。ガンマパンチでQB辺りを一撃してですね。それはともかく、最初とっつきにくかったものの、今では面倒見の良い武人ポジションなハルク。性格的には、公式チートだったワールド・ウォー・ハルク時の王者ハルク域に達しているのでは。とほうもない強さがウリだったキング・ハルクですが、実のところカリスマ性や性格面でも並大抵でない物がありましたからね。でなければ、ああも部下が慕ってこないですよ。
 全く今回、情報がなかった新規参戦のセカンドヒーローは、前回出たアイアン・フィストの相棒ことパワーマン(ルーク・ケイジ)に。チョイスとしては、かなりいいんじゃないですかね。パワー属性って、力がメインな時点で、基本皆ハルクの下位置換になりがちですし。そこのところパワーマンはアイアン・フィストとのコンビネーションもそうですが、後述するような魅力は、これまたハルクとは一線を画した別種の香りがします。エドとクリス自体の相性もいいですし、ファイト&パワーのコンビネーション、見たいなあ。
 というわけで、このまま今日の紹介は様々な邦訳への出演率はかなり高めな、パワーマンことルーク・ケイジで! 流石にアニマル属性な成分は一切ないヒーローだけど、ジェシカのパートナーだったら、それはそれで面白かったかもしれない。名前的に。

パワーマン(ルーク・ケイジ)

ルーク・ケイジ

 ディスクウォーズにて、パワーマン名義で参戦した彼。原作では主に、最初は偽名でやがて法律的にも本名となったルーク・ケイジ名義で活動しているため、一先ず今回本文での呼称はルークで。なお、マーベルユニバース内にて、パワーマンを名乗った、名乗っていたヒーローは複数人居る。比較的、移ろいやすい名でもあり、このカテゴリーだとルークも一時的に名乗っていた者の一人となる。

パワーマン(アトラス)

パワーマン(ビクター)

 ハーレムで生まれ、小さな悪事を重ねつつ大物のワルになることを夢見ていた黒人の青年、カール・ルーカス。カールはやがて、まっとうな大人への道を選ぶが、幼馴染であり共に大物のワルを夢見ていたウィリス・ストライカーは悪党のままであった。それでも友人で在り続けたカールとウィリスだが、女性問題による逆恨みの嫉妬から、ウィリスはカールを裏切る。コカイン所持の冤罪により、カールは逮捕され刑務所へ。カールが送られた刑務所では、薬物実験が行われており、カールは早期の仮釈放を得るため自ら被験体に志願する。だが実験中、カールをこれまた逆恨みしていた警備員が薬物の過剰摂取による死や再起不能を狙い、わざとカールに薬物を過剰摂取させる。実験の枠を超え、カールの体内に注入された多数の薬物。薬物が体内で予期せぬ化学反応を見せた結果、カールは超人的な腕力と銃弾や刃物や電気が効かぬ皮膚と肉体の再生能力を手に入れることとなった。カールはその力を持って、刑務所を脱走。捕まらぬため、偽名“ルーク・ケイジ”を名乗ることとなる。逃亡中のルークは、とある店を襲っていた泥棒を撃退。店主からお礼として報酬を貰ったことで、商売としての雇われヒーロー稼業を思いついた。ヒーロー、ルーク・ケイジの誕生である。

初期ルーク・ケイジ

 誰だよ!?このサタデーでナイトしそうなヒーロー!?とお思いでしょうが、上記のアフロが初期ルーク・ケイジ。ディスクウォーズのデザインに似たスキンヘッドのルーク・ケイジになるのには、少し時間がかかる。髪型もそうだが、髭を伸ばすまでも結構な時間がかかっている。実際その変遷は、作中においても激しいらしく、アフロスタイルの際にルークに負けて封印され、十数年後に現代に蘇ったヴィランが、スキンヘッドになったルークを見ても、誰だか分からず困惑していた。

ルーク・ケイジ(現在)

 デッドプールやタスクマスターが生業とする、傭兵にも通ずる雇われヒーロー稼業。初期は自身を裏切った後、ダイヤモンドバック(彼女とは無関係だが、名乗ったのはこっちが先)と名を変えたウィリスを始めとした普通の犯罪者が相手だったが、やがてルークはNYの超人業界に首を突っ込むこととなる。ファンタスティック・フォーを偶然助けたり、某編集長に雇われてスパイダーマンを捕らえるよう依頼されたり。一歩間違えれば、超人を敵に回しかねない案件ばかりだったが、持ち前の真摯さや明快さにより、ファンタスティック・フォーからは代理メンバーに呼ばれるほどの信頼を得ることが出来、スパイダーマンとは友人と呼べる間柄になった。なおこの超人業界入りたての時期に、パワーマンの名前を使っている。
 そして、ルークはその最中、人生に関わる二人の人物と出会うことになる。

ルーク・ケイジ&アイアンフィスト

 まず一人目は、大親友となるアイアン・フィスト。崑崙で修行した拳法家であるアイアン・フィストとルークは意気投合。雇われヒーロー稼業を共に行うヒーローズ・フォー・ハイヤーを結成することとなった。大柄なパワータイプと小柄な技巧タイプ。この二人のコンビネーションは、Marvelだけでなくアメリカヒーロー界隈に話を広げても、ベストクラスのタッグチームとなっている。

ジェシカ

 二人目は当時ジュエルと名乗っていた超人ヒロイン、ジェシカ・ジョーンズ。出会いは、ルークが彼女を助けたことから。やがてルークがアベンジャーズ入りした後、ルークとジェシカは付き合い始める。そしてそのまま二人はゴールインし、結婚。

ルーク&ジェシカ結婚式

 神父が、マーベル映画でさんざん見たようなお爺ちゃんなのはスルーするとして。もうこの時には子供が出来ており、ルーク・ケイジは妻ジェシカ娘ダニエルと共に家族を作ることとなった。なお後に、ベビーシッターとして雇われたのは史上最強のリス女ことスクイールガール。とある事件の際、ダニエルはスクイールガールを戦闘不能に追い込んでしまったので、ダニエルは正史で彼女に黒星をつけた珍しいキャラの一人だったりする。

ルーク&ジェシカ&ダニエル

 怪力がウリのパワー属性なキャラだが、スペック上の数値はかなり低い。腕力はあまり怪力タイプに見えないスパイダーマンやデッドプールと同じくらいと言えば、その低さを感じられるだろうか。神の中では非力なロキディスクウォーズのメンバー中、ハルクやソーに次ぐアイアンマンにも負けている。実際、ディスクウォーズに出てきたパワー属性のキャラの中で、最も非力と言っていいかもしれない。
 だが、ルーク・ケイジは決して弱いヒーローではない。無頼の喧嘩殺法を用いることで、スペック上ではかなわぬはずのハルクやジャガーノートとも渡り合えるし、自身のタフネスを理解した猛進は通常兵器に頼らざるを得ないタスクマスターやデッドプールのような技巧派キャラにとっての鬼門。アベンジャーズやディフェンダーズにヒーローズ・フォー・ハイヤー、数々のチームに参加しつつ、どのチームでも頼れる中核としてのポジションをキープ。頼れる兄貴や親父として、メンバーと良い関係を築いている。
 そして、そんなルーク・ケイジの強さを誰よりも認めているのはファンであり、ファンのアンケートによる能力値は、公式の設定を遥かに凌駕している。YouTubeでLuke Cageと入れれば、もし映画化した場合、ケイジを演じたいと思っている褐色で筋肉系な役者が先んじて作ったPVがいくつもヒットし、かの俳優ニコラス・ケイジの芸名の由来はルーク・ケイジにあると言われている。
 たとえ活動範囲が狭く能力が大人しめでも、宇宙最強の男と肩を並べても決して見劣りしないストリート系ヒーロー。ルーク・ケイジは、そんなヒーローの典型例と言えるかもしれない。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その30~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第30話。
 ブラック・ウィドウ回だと思ったら、全力全開のデッドプール回だった。そんなファイト属性編。贔屓目かもしれませんが、デッドプール回、前回も含めて作画凄いよね!

 ネジが全部外れているように見えて、実は一本だけしっかりと締まっている。デッドプールを紹介する時に時折使う表現ですが、今回はこの締まっている部分がしっかりと描写されたデッドプールフェスティバルでした。いやねえ、ただのイカレポンチだったら、そもそも人気あるわけねえですからね。人気キャラの座につくイカレポンチは、大抵悪ふざけや狂気の裏に、何か確固たる物を持ってます。前回はネジフルパージ、今回はネジが締まった姿。この二話で、デッドプールの魅力は存分に演出でき、今後は「デッドプールを知りたい? 邦訳かディスクウォーズのデッドプール回観ようぜ!」も十分に通じる状況。良いデッドプールを、堪能させていただきました!
ありがとう! ディスクウォーズ! ありがとう、日本のみんな! ディスクウォーズ~完~
 デッドプールだけでなく、例えば電話先のタスクマスターやサーペントソサエティのダイヤモンドバックのような、所謂傭兵たち。忠誠や正義よりも金をメインにする彼らは、報酬さえ貰えば誰にでも味方するドブネズミ野郎たち。でもドブネズミだからこそ、本性はドライでシニカル。金さえ払えばこいつらはどうにかなると思っている人間と付き合ってきた以上、見捨てられたことも多々有り、見捨てざるを得なかった状況も多々有り。
「こんなもん、ただの慣れさ」
 この言葉が、全てかと。答えを出し続けなければ行きていけないドブネズミ、その中でも最も汚く思われているドブネズミが出した結論であります。自分の命にすら適用される、乾いた結論です。
やあ僕、ミッキー! ハハッ!
 結論を出せる人間がいるからこそ、悩みは若くなり苦しくなり、それに磨かれることで決断の価値は更に上がると。
 今回の主役はクリスであり、求められたのは決断。キャップを慕うSHIELD隊員のひたむきな善、本当にどうしょうもない人間だと思っていたデッドプールの達観、過去の忌まわしさの象徴的存在バロン・ジモ。そして全てを受け止めて、見守るキャプテン・アメリカ。まだおそらく完全な答えではなく、結論とはならないでしょうが、少なくともクリスが今回出した答えは、バロン・ジモの猛攻と策略を掻い潜り大団円を作れるだけの価値はあったかなと。これでガイアライン計画回も、残るは二人。エドやヒカルを待ち受けている物は、果たして……。

 今日の紹介は、黒後家蜘蛛ブラック・ウィドウで! ウィドウさん出番少なかったけど、一番出番多かったデッドプールは、以前やりましたしねえ。ここは映画アベンジャーズでも大活躍なナターシャさんで。
馬鹿な! 俺ちゃんは最後まで生き残って……ぐわー!

 
ブラック・ウィドウ

ブラック・ウィドウ

第二次世界大戦中、最大の激戦の一つに数えられる、ドイツ対ソビエト連邦のスターリングラード攻防戦。燃え盛る街の一角にて、ソ連の兵士イワン・ペトロビッチは、崩れ落ちるビルに飲み込まれた女性より、一人の赤ん坊を投げ渡された。イワンは、名前も知らぬ赤ん坊、女の子にナターシャと名づけた。ブラックウィドウ、ナターシャ・ロマノワはこうして生まれた。
ナターシャは健やかに成長、体育も含めた全ての教科にて優秀な成績を残し、更には美しさを磨きあげた彼女は、バレリーナとなった。彼女の才能は内外に知られ、ナチスドイツ残党であり秘密結社ヒドラの重鎮バロン・フォン・ストライカーに誘拐され、スパイに仕立てあげられそうになったこともある。この時は、イワンそしてウルヴァリンとキャプテン・アメリカの手により救助された。
やがて、テストパイロットであるアレクセイ・ショスタコフと結婚。だが、アレクセイは事故死。独り身となり、悲しみにくれたナターシャにKGBが言葉巧みに接触。優れた素養を持つナターシャを、対米スパイに仕立て上げることに成功する。ナターシャに与えられたコードネームは、黒後家蜘蛛ことブラック・ウィドウであった。
ウィドウはアメリカに渡り、自身の美貌を持ってして、世界バランスに影響を及ぼすであろうヒーロー、アイアンマンを擁すると言われていた※スターク・インダストリーズの社長トニー・スタークに急接近する。

※この頃、トニー・スタークは「私がアイアンマンだ」をしておらず、トニーとアイアンマンは別人扱いだった。

KGBと連携して、アイアンマンを丸裸にしようとしたウィドウだったが、当時ヒーローであるかヴィランであるか、未だ迷いの中に居たホークアイとの出会いが、彼女を揺らがす。ホークアイの説得により心動かし始めた彼女を襲う、更なる真実。赤いキャプテン・アメリカ。ソ連が有するスーパーエージェントであるレッド・ガーディアン、彼の正体は、死んだ筈の夫、アレクセイだったのだ。

レッド・ガーディアン

元々、アレクセイの死は彼をレッド・ガーディアンにするためのKGBの偽装であり、つまりウィドウの悲しみも無念も、国家の手の平の上でしかなかった。ウィドウはソ連と決別し、アメリカへ亡命。アベンジャーズに加入し、ヒーローの一員となる。なお、アレクセイはそのままソ連に忠を尽くし、共産主義への反逆者となったウィドウとも敵対。ソ連崩壊後もその幻影を追い求め、数年前には北方四島でのネオソビエト連邦建国を企んだ。

アベンジャーズの一員として、別のヒーローチームであるチャンピオンズの一員として、デアデビルの恋人として。

ブラック・ウィドウ&デアデビル

国家の一員ではなく、一人の人間として生きるウィドウの前に、もう一人のブラック・ウィドウ、後の好敵手となるイリーナ・ベロパが現れる。

ブラック・ウィドウ(ベロニカ)

彼女だけではない、ソ連による女性エージェント育成計画「ブラック・ウィドウ・オプス」計画。素養在る少女を集め、黒後家蜘蛛の名を冠するに相応しいスパイに育て上げる。育ての親であるイワンは、この計画のエージェントであり、バレリーナや優秀な学生という経歴も、ニセの記憶として用意された物だったのだ。学校で学んでいたと思い込んでいた時期、彼女は「赤の部屋」と呼ばれる場所におり、ソ連の伝説的暗殺者ウィンター・ソルジャーより技術を学んでいた。この結果、ブラック・ウィドウのオリジンは虚実入り混じるものとなってしまった。彼女の過去を完全に解き明かすのは、峰不二子の出生レベルで難しい。映画アベンジャーズシリーズにおける彼女の来歴の不確かさは、ある意味忠実な原作再現である。

映画 ブラック・ウィドウ

オリンピック選手並みの運動能力、手首に装備された移動用攻撃用のケーブル発射装置ウィドウズ・ラインや電撃発射装置ウィドウズ・ボルト、戦略や戦術に関してはキャプテン・アメリカに匹敵すると言われ、どんな国の言葉も使え男を魅惑する才女。生身のヒーロー、ファイトタイプの典型例+スパイとしての技能が、彼女の能力である。それ以外には何もない……と見せかけて、ウィドウにはもう一つ、人とは違う物がある。前述の経歴を見れば分かる通り、彼女の出生や経験は、どうみてもそれなりの歳の人間のものである。偽の記憶ではあったが戦時中生まれとして設定されていたし、そもそもソ連崩壊を子供の頃目の当たりにした世代ですら、そろそろ30代が見えてきている。
ウィドウは、改良型超人血清の摂取者である。ニック・フューリーも使っている、摂取者の加齢速度を遅くする超人血清の効力により、彼女は瑞々しい若さと全盛時の能力をを保ち続けている。アイアンマンとなる切っ掛けの戦争が時代とともに変わっているトニー・スタークと違い、彼女の原典であるソ連の代わりは無かった。
ただし、血清の代償として、ウィドウは妊娠することが出来ず、子供が作れない。祖国を裏切り、悲哀を背負い。そんな彼女を信頼する多くのヒーロー、そしてニック・フューリーとSHIELDの信用。様々な物を捨てざるを得なかったウィドウではあるが、確かに残っている物もある。だからこそ、確かな物を他人より預けられるのだ。

ブラック・ウィドウ&ウィンター・ソルジャー

 まあ、時折変なのも寄ってきますが、それはそれとしてですね。

デッドプール&ブラックウィドウ 

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その29~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第29話。
 おいおい、待て待て。デッドプール再登場は来週だぜ?という訳で、ジェシカ&ワスプによるアニマル属性編!

 アフリカの(架空の)国家ワカンダを襲う、タイガーシャーク率いるヒドラの一団! 立ち向かうのは王にしてヒーローであるブラックパンサー! X-MEN編を始めとした、地に足つけた展開もいいですが、こういう世界を巡る国際色豊かな流れ、きっと望まれていたもの。国が変われば背景も色も代わり新鮮味があるものなのですよ。

「欲しいワンピースに悩んだら、どっちも買う。バッグの色に悩んだら、全色揃える。何かのために、何かを諦めるって、わたしのスタイルじゃないの」

 ジェシカのこの発言、ブラックパンサーの心を動かしただけあって、良い台詞です。一つの物を手に入れるために、別の物を捨てる。非常に現実的ですが、たとえ理想論で都合のいい話だとしても、ヒーローならば全てを救うベストを目指して欲しい。目指さなきゃ、ベストには辿り着けねえんだよ!

 でもアレですよね、セレブとしての立ち居振る舞いや矜持を持っているジェシカだからこそ上手く出来ましたが、他のメンバーが来ていたら、多分初っ端のブラックパンサーとの交渉上手くいってねえよな……。ヒカル兄さんは上手く纏めそうだけど、アキラ&アイアンマンは、全く上手く行くビジョンが見えないぜ!

 そして敵陣営レギュラーなのに今日ここに至るまで出番が少なかったタイガーシャークを補うのは、公式認定サブレギュラーことキングコブラ。アニマル陣営、連携が取れて居やがるぜ……! デッドプール戦もそうですが、水に引き込むスキルを得た時点で、タイガーシャーク強すぎる。タイガーシャークと同じ土俵、水中戦で勝つにはネイモア・ザ・サブマリナーやスティングレイみたいな、同じ水中特化型のヒーローを持ってこないとおそらくアウト。逆に言えば、同じくらい水中で渡り合えるヒーローがレギュラーなら、タイガーシャークも序盤からガンガン行けたのかしら。

 今日の紹介は、ワカンダの黒豹ことティチャラ(ティ・チャラ)王で! 私やヒーローとしての公より、王としての公を優先させる固さはあるけど、コレは王である以上当たり前だし……。この人、かなりの完璧超人だよな。

ブラックパンサー

ブラックパンサー

 ブラックパンサーの正体は、アフリカの国家ワカンダの王ティ・チャラである。
 この文章には、足りないところがある。ブラックパンサーとは、ワカンダの王に在位中与えられる尊称であり、歴代の王は全てがブラックパンサーだったということになる。つまり、ティチャラの父である先王もブラックパンサーであり、そのまた前の王もブラックパンサーであり。正体ではなく、ブラックパンサーは王である者が持ってしかるべき称号なのだ。
 希少金属ビブラニウムの産出国であり、アフリカの国家の中でも比較的裕福で高度な文化を持つワカンダの王子として産まれたティ・チャラ。ティ・チャラがまだ幼い時期に、先代のブラックパンサー、王である父がビブラニウムを狙う悪党クロウ※により暗殺されてしまう。ブラックパンサーの座と王位は幼いティ・チャラが受け継ぐことになるが、ティ・チャラはまず王にふさわしい人間となるべく、ヨーロッパやアメリカにおける一流の学校に留学し、心身共に鍛えることを選ぶ。立派に成長したティ・チャラは、ブラックパンサーを受け継ぐ儀式に挑戦。見事やり遂げ、新たなブラックパンサーとしてワカンダの王となった。

※クロウ 音波を操るヴィラン。現在は自らの身体を音波に変換し、物理的な肉体を捨てた音波人間になっている。バチ魂には既に登場(エナジー属性)、デッドプール:スーサイド・キングスにてクロウの装備をパニッシャーが使用していた。音が弱点な、共生体シンビオート系キャラ(ヴェノム、カーネイジ等)の天敵。

クロウ

 ブラックパンサーとなったティ・チャラは、国家の外に目を向ける。やがて、渡米。その目的は、強大なる力を持つ者として世界各国の注目を浴びていたアメリカのスーパーヒーロー、彼らがワカンダの脅威となるかどうか見定めることにあった。ファンタスティック・フォーやアベンジャーズやX-MENと接触したティ・チャラは、スーパーヒーローとは信頼できる存在なのだと認識する。またスーパーヒーロー達も、ティ・チャラの能力と人格の確かさを好意的に受け止め、ティ・チャラは多くのヒーローと個人的な親交を結ぶ事となった。アベンジャーズにも何度か参加し、夫婦関係の修繕のためチームを抜けたリード・リチャーズの代役としてファンタスティック・フォーにも参加している。実力頭脳リーダー適正と、非常に頼れる男である。

ブラックパンサー登場

 同じアフリカ産まれの黒人である、X-MENのストームとは一層親密に。恋愛関係に発展した二人は、そのままゴールインした……が、最近ストームは直接関与していないものの、ミュータントとして彼女と陣営を同じくしていたアトランティスの王ネイモアがワカンダを襲撃、多数の国民を溺死させてしまった。ミュータントによる虐殺にブラックパンサーは激怒、立場上ストームも王妃で居られなくなり、婚姻関係は解消されてしまった。和解は果たしたが、今の二人は良い友人関係という所に収まっている。

ブラックパンサー&ストーム

 ブラックパンサーはキャプテン・アメリカと同じく生身の人間だが、キャップに超人血清があるように、ブラックパンサーには歴代のブラックパンサーのみが服用を許された神秘のハーブが在る。元々、オリンピック選手並、特にアクロバットや体操に優れているティ・チャラの身体能力がハーブの力で五感と共に倍増され、結果ブラックパンサーは超人並みの力を手にしている。クローでの格闘戦が主だが、剣術や槍術など数々の武術を習得しているため、獲物を選ばずに戦える。
 もう一つの秀でている物と言えば、ティ・チャラの頭脳。アイアンマンことトニー・スターク、X-MENのビースト、ファンタスティック・フォーのリード・リチャーズ、アベンジャーズのハンク・ピム(アントマン)、ハルクであるブルース・バナーと並ぶ頭脳を持っており、特に自国で産出されるビブラニウムに関しては世界トップクラスの権威。王が権威となることで、知識面資源面、両面においてワカンダはビブラニウムを独占している。
 キャプテン・アメリカのシールドに始まる、様々な装備に使用されるビブラニウム。当然、ブラックパンサーのコスチュームにもふんだんに使われており、コスチュームに仕込まれたビブラニウムは打撃や銃弾の力を大幅に軽減する。特筆すべきは、手の平と足の裏に使われているビブラニウム含有のパッド。パッドを装備することにより、ブラックパンサーは壁を駆け上がることが可能に、ブーツの衝撃軽減能力は高高度からの落下による衝撃を殺し、水面を走る事さえ可能に。主武装である手のクローには溶解液の噴出機能やレーザーの発射装置。スーツに装備されたホログラム装置により、スーツまるごと普段着への偽装が可能。野性味溢れた外見、その内実はハイテクさの結晶。まるでティ・チャラを具象化したかのようなスーツだ。
 ワカンダの王であるため、ティ・チャラの中で優先されるのはアメリカより自国民となるが、決して冷淡で非協力的なわけではない。性質は善であり、本質は善き王。Marvel初、アメコミ初の黒人ヒーローに相応しい男であり続けている。

王たる黒豹

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