日米ヒーロー業界の在り方について考えてみる

 今日は酔いたくなったので、飲酒ついでに、好き勝手なことを喋ってみよう企画の第二弾。ちなみに第一弾は、何故か色々なところで評判になったコレです。ヨッパライの戯言に、なんとかお付き合い願えればと。

 「日本よ、これが映画だ」映画アベンジャーズのキャッチコピーとして世に出て、現在色々なところでネタにされている代物であります。例えばモバマスの「千早よ、これが乳だ」とか。他にも、THE・ガッツの「日本よ、これが裸エプロンだ」も……これは、忘れようか。画像検索するなよ!? 覚悟がないなら、絶対にするなよ!?
 とにかく、「日本よ、これが映画」のキャッチコピーが世に出た結果、何故か一部の人がムキーとなって、日米の比較ではなく、日米のヒーローを対立軸とした優劣を競う流れができることに。不快に思う理由は分からんでもないですが、何も「こんな映画、こっちからお断りだ!」と未見を貫くまでにブチ切れんでも。
 ここはいっそ、少し切り口を変えて、日米のヒーロー業界を比較してみようじゃないかと。流れとしては、互いのシステムの優れた所の比較検証です。

 まず日本のヒーロー業界、今回は仮面ライダーやウルトラマンといった特撮をヒーロー物として扱わせて頂きます。漫画やアニメにも語るべきヒーローは沢山いるけど、裾野を広げまくると話終わらないからね。
 なんといっても、日本の素晴らしい所は回転率の速さですね。仮面ライダーやウルトラマンのようなくくりはあるものの、一年ごとにフルモデルチェンジ。多少視聴率の高低はあるものの、ブランドを壊すことなく、回転が維持できること。最近、ウルトラマンの回転が遅いのは、どうしょうもないとして。
 ライダーを例としてあげてみると、近年だけでもテーマがハーフボイルド→メダル→宇宙→魔法という激しい移り変わり方。これだけテーマが移っても、仮面ライダーという枠を維持し続けられるのは、実は凄いことですよ。バイクや仮面のような、イメージの鉄板を手放しても、なんとかなってますし。
 回転率で言うと、どうしてもアメリカのヒーローはあまり良くないですね。ヒーローの数はとんでもなく多いんですけど、その中で主役を張れるのは一握り、更に長年レギュラーシリーズを張れるぐらいのキャラは極小。更に、従来シリーズの影響下から抜けるとなると、至難の業。例えば、Marvelの若手ヒーローグラビティなんか、個人誌デビュー→失速→グレイト・レイクス・アベンジャーズへようこそ!と、最悪の流れを辿りましたからね。新たなピーター・パーカー以外のスパイダーマンを模索した結果が、クローンサーガですし。側が同じでも中身が違うというのは、アメリカでは中々受け入れられないようです。特に、大物ヒーローでは。
 贔屓目抜きで、レギュラーシリーズの定位置を確保し、従来シリーズからの脱却を果たした新しめなキャラは、デッドプールじゃないですかね。ただ新し目に分類されると言えど、デッドプールは1991年誕生のキャラ。ウルトラマンG終了直後に始まり、一年後に久方ぶりの仮面ライダーこと仮面ライダーシン登場。日本基準だと大ベテランです。

 一方、バットマンやスーパーマンやキャプテン・アメリカのような、年季の入りまくったヒーローが多い、アメリカのヒーロー業界。日本で言うと、黄金バットが未だにメインストリームにいるようなもんです。
 向こうの良い点は、ヒーローをしゃぶりつくすための環境が出来ていることです。結構アウトなラインにも、ずかずかと入り込んで、なんでもやる。購読層も、とりあえず受け入れてみる。
 あくまで極端な例ですが、東映公式で「仮面ライダーゾンビーズ」をやったら、洒落にならんでしょ。いやでも、ウルトラマンシリーズなら、セブンが暴走族を痛めつけるぐらいは許容範囲に……。
 最近ライダーで問題になってる、過去のヒーローの悪役化問題(例:フォーゼのキョーダイン)も、あっちだとあまり問題にならん気もするんですよね。ジャスティス・リーグを全員悪人化したクライム・ソサエティは結構出張ってますし、悪いピーター・パーカーなんかクローンや別次元それぞれカウントしたら雲霞のごとく居ますし。悪人どころか、ゾンビも類人猿もいるよ!
 まあ、キョーダインの問題は、まだそういうのに慣れていない日本の環境にぶち込むにしては、荒すぎた感じもしますが。兄弟→兄妹のような細かで数の多い設定の改変だけでなく、昔の宇宙鉄人とは違うということを作中人物の発言や情報で提示しておけば、ここまで揉めなかったんじゃないかな。価値観が違う流れを持ってくるにしては、不親切でしたね。

 こうして、日米お互いの優れた点から差異を上げてみたのですが、実は自分の最近の意見は、国境なんてあんま関係ないという身も蓋もない意見でして。
 アメコミや洋ゲーに少し足を踏み入れて分かったのですが、よっぽど内輪向けや国に根付いたものでない限り、良い物はどこ行っても良い物として評価されています。実際、向こうで評判の良い物に手を出して、ハズレたことないですからね。どうしてもこの辺り伝聞ですが、逆もしかり。
 なのでこれからは、日本と海外の差をあげつらうのでなく、お互いの良い物、目につきにくいものを、それぞれ紹介していくのがより良き道なんじゃないかと。例えば、犬溶接マンなんて、急に一部で大爆発起こしたからね。こういう互いにとっての未知の強豪は、きっとまだまだ眠っているはず。
 英語もできず、国際化という言葉からは程遠い人間が言うのもアレですが、国家の壁をひとまず忘れ、文化的な胸襟を開くことにより、それぞれの弱点や停滞にも、新たな光が差し込むのでは。生意気にも、そんなことを思っています。