レゴバットマン ザ・ムービー:もうひとりのジョーカー? もうひとりの◯◯◯?

 レゴバットマン ザ・ムービーが4月1日に始まってから、だいたい一ヶ月。みなさん、もう観てきたでしょうか。観た方は楽しかったよな! と肩を叩き、観てない方は早く観てきた方がいいぜ!? と尻を叩く(セクハラ つまりは、そういう楽しい映画です。もっとも、観てない方の尻を叩こうにも、そろそろ上映終了のタイミングなのですが。5月に入ったらもう、全国の上映している映画館を片手で数えられるレベル。1地方で一館やっていれば上等なレベルなので、もしこれから先、お近くの映画館でやってたら、運命か何かなので是非!

 

 ゴッサムだけでなく、時には作品の枠を超えてまで、超強力な悪党どもが集結した、レゴバットマン ザ・ムービー。アーカム・アサイラムの患者だけでも、ジョーカー、ハーレクイン、ポイズン・アイビー、ベイン、キラークロック、トゥー・フェイス、リドラー、キャットウーマン、キャットマン、ポルカドットマン、カイトマン、コンディメントキング、カブキ・ツインズ、カイトマン……うむ。もう名前を挙げるだけでも疲れてきたぞ! とにかく、メジャーどころからマイナーどころまで、新旧のバットマンヴィラン勢が大集合です。これで、消しゴム付き鉛筆野郎イレイザーや、自称エジプト大王キング・タットも映画登場ヴィランなので、メジャーとなったと言ってよいでしょう。良くなくても、俺は言うぞ!

 そんなゴッサムヴィランの中に、当人が自己主張する場面はなくとも、今まで挙げたヴィランを凌駕する勢いでとんでもないヤツが出てました。その名は、レッドフード。いやいや、コイツは居るはずがない! 見間違いだ! と最初思ったものの、ちゃんとレゴ・バットマンのミニフィギュアシリーズにラインナップされていたので、マジでした。見間違いじゃなかったよ!

 レッドフードが居るわけない!と思ってしまった理由を軽く解説すると、レッドフードはジョーカーの前身と言われているからです。レッドフードとして活動していた名もなき男が、化学工場に押し入った際、薬品タンクに落下。薬品タンクから這い出てきた男の肌は真っ白となり、髪も不気味な緑色に変色していた。これが、ゴッサム最狂の悪党、ジョーカーの生誕秘話です。

 ……と言いつつも、レッドフード=ジョーカーと言うのは諸説あり、定かではありません。レッドフードは正体を隠したいゴッサムのチンピラが持ち回りで被っており、正体自体存在しない。いやいや、最後にレッドフードとなって薬品タンクに落ちたチンピラこそ、ジョーカーその人だ。待て待て、ジョーカーとレッドフードはそもそも関係ない。ジョーカーが面白がって、レッドフードとの関係を吹聴しているだけだ。正直なとこ、ジョーカーとレッドフードの関係はよくわかってません。実際、レッドフードとは関係ないジョーカーの生誕秘話も多々あります。ティム・バートンの映画バットマンは、その一例ですね。逆に、ゲームのアーカムシリーズのように、レッドフード=ジョーカーを強く示唆している作品もあります。

 要するに、ジョーカーのオリジンはよくわかんないってことです。売れないコメディアンだったかもしれないし、凄腕の殺し屋だったかもしれない。とりあえず、レッドフードと何らかの関係がある可能性は大。ジョーカーの言葉を選ぶなら、好きなオリジンを選んでくれ! ということで。

 なお、バットマン:キリングジョークでは、売れないコメディアンがレッドフードになったという、カード二枚出しな仕様になっております。誰が出していいカードを一枚限りと決めた!?

 

 映画にて、レッドフードはその他大勢レベルの扱いで、当然あのパトランプ型のメットを脱ぐことはありません。じゃあ、アイツ結局何なんだよ……と諦めかけた瞬間、レゴ・バットマンのミニフィギュアを入手して、頭を外してみればいいんじゃね? との閃きが。

 よし! とりあえず二つばかし買ってみよう! 必要としているなら当たるはずだ!

 ……まあ、当たんなかったんですけどね。欲しけりゃ当たるなら、ソシャゲー業界はもっと平和だよ。袋から出てきたのは、切ない顔をした囚人ジョーカーと、バカンス満喫スーツなバットマンでした。並べてみると、むしろバットマンのほうが悪いやつに見えてくるから不思議。

 バットマンとジョーカーなら、むしろ当たりじゃないかと思いつつも、レッドフードの現物が手に入ってないのは、さて困った。困りつつ、フィギュア同封のキャラ一覧を見ていたら、なんとレッドフードの組み立て設計図が。経費削減もあってか、キャラ一覧と一緒に組み立てが面倒なキャラの説明書も載ってるのよねー……助かったけど、手に入れようというモチベーションにダメージくらった気がする。

 何はともあれ! これがレゴバットマン ザ・ムービーにおけるレッドフードの正体です。マスクマンの正体を明かすにはタメが必要なので、ちょっとだけ文章の隙間を開けての公開です。さあ、果たしてその正体は!?

 

 

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MARVEL展| マーベル展 MARVEL/AGE OF HEROES EXHIBITION レポート

 4月7日から6月25日の間、東京六本木ヒルズ展望台にて開催される、MARVEL展 | マーベル展 MARVEL/AGE OF HEROES EXHIBITIONに行ってきました。実際、行ってみてどんなイベントだったのか、何が展示されているのかという感想や概要をレポートしてみます。ちょっと興味のある方や、行くのに悩んでいる方、実際行こうとしている方は参考にしてみて下さい。
 とりあえず、まず主張しておきたいのは、イベントの開催時間が10:00から22:00(最終入場時間は21:30)と、この手のイベントには珍しく遅くまで開場していること。平日に帰りに寄ってみる、休日東京巡りのシメとして観に行くというのも、十分アリです。

 

 というわけで、会場はハイソでオシャレなギロッポンこと、六本木ヒルズです。

 一つのビルがドン!とあるのではなく、商業施設や居住スペースにオフィスビルに観光施設、これらを内包する建物の集合体。それが、六本木ヒルズ。田舎者は迷ってしまう、六本木ヒルズ。毎回行く度に迷っている田舎者が言うんだから、間違いない。

 マーベル展に行きたい場合は、森タワーの麓にあるトウモロコシに似た建物ミュージアムコーンから登るか、ビル内部のウェストウォークエリアを登っていくかのどちらかです。詳しくは後述しますが、ウェストウォークエリアにはマーベル店に行った人なら見逃せないポイントが複数あるので、行きか帰りのどちらかに寄っておいた方がいいです。
 どうしてもやべえ、迷った! となったら、インフォメーションや警備の人に聞いてみましょう。マーベル展で通じると思うし、それでイマイチ通りが悪そうだったら展望台と聞いてみればいい。各所にインフォメーションは設置されているので、使える物は使わせてもらいましょう。
 
 

 森タワー3階のチケットカウンターでマーベル展のチケットを買い、高速エレベーターで52階まで辿り着くと、会場の東京シティビューです。エレベーターを降りるとすぐ、マーベル展の入場口があります。

 チケットはマーベル展の入場だけでなく、物販コーナーへの入場や併設のホットトイズストアでも提示を求められるので、すぐに出せるようにしておくと便利です。この東京シティビューは展望台でもあるので、マーベル展を歩いている最中、窓から見える光景は風光明媚です。展示物からふと目を離した時に見えるのは、東京の街と広い空。なんとも、爽やかな展示会です。日が落ちてからなら、夜景も楽しめるので、あえて夜景目当ての遅い入場もアリかと。ビバ! 余裕ある開催時間!

 別料金を払えば屋上スカイデッキにも上がれるので、景色を心ゆくまで楽しみたいなら、それもアリでしょう。高所恐怖症だと、時折膝がガクガクするくらいにはキツいですが、大丈夫! 最新の技術で作られたビルだよ!(膝を震わせながら

 

 会場に入ると、まず出迎えてくれるのは5メートルの巨大アイアンマン像。

 東京の空を背景としたアイアンマン像は、実に雄大。そりゃあみんな、バシバシ記念撮影しますよ。
 ちなみに、マーベル展は基本的に展示物の撮影は禁止となっており、巨大アイアンマン以外に撮影がOKなのは、会場中ほどにある歴代アイアンマンスーツのフォトスポットのみとなってます。あくまで展示物だけなので、景色の撮影は問題ないです。景色と撮影禁止のものが被る地点は、ありませんしね。危ないとこには、ちゃんと係員の人がいます。

 「えー、撮影できないのー?」と残念に思う気持ちもあるのですが、実際展示物を見てみると、ここらへんの気持ちは吹っ飛びます。めっちゃ貴重だし、まだ映画に登場してないアイテムもあるし、フラッシュを浴びせるのはまずい希少な生原稿もある。こりゃあ、しょうがねえわ!

 マーベル展の展示物はテーマごとに分かれております。まず順路に従って出て来るコーナーは、マーベルの歴史であるHistory、そして三スペースに分けられたHero。ヒーローの分け方はというと……

コズミック&ミスティック(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーやドクター・ストレンジ)
グローバル(アベンジャーズやX-MEN)
ローカル(スパイダーマンやデアデビル)

 以上の通りの区分けになっております。雑に分けると、宇宙&魔法のヒーロー、世界を股にかけるヒーロー、街のヒーローの三種ですね。
 この3つのHeroコーナーにHistoryも加えた四つのコーナーには、各ヒーローの解説と生原稿やグッズが展示されております。マーベル・コミックスの第一号などの貴重な冊子もあります。あとHeroコーナーには、マーベル・シネマティック・ユニバースで実際に使われたコスチュームや小道具やイメージボードが展示中。まだ公開されていない、スパイダーマン:ホームカミングの衣裳や小道具まであります。

 さてここでチラチラ出てますが、マーベル展には、映像化の際にマーベル・シネマティック・ユニバース以外の他社に所属しているヒーローの資料も展示してあります。X-MENやファンタスティック・フォーを抜きにして、マーベルの歴史を語るのは、無理ですからね。ただ、映画関係の小物は一切無し。生原稿やグッズ、コミックスに関するアイテムは展示されています。要は、コミックス版権なものは出来るだけ展示。映画版権のものはお休みといった感じです。ファンタスティック・フォーはコズミック&ミスティック、X-MENはグローバル、デッドプールはローカルにそれぞれ説明と生原稿が掲示されています。

 マーベル史においてはわりとスルーされがちなのに、X-MENから完全に独立している、僕らのデッドプールさん。出世したねえ……!

 

 HistoryやHeroを抜けた先にあるのは、マーベル・シネマティック・ユニバースの各作品を解説したCinematic Universeコーナーと、artそしてCultureコーナー。artコーナーでは貴重なイラストや現行の冊子、そして多くの日本人アーティストが参加したマンガ・バリエント・カバーが一挙展示してあります。更に、村田雄介先生やゆでたまご先生は書き下ろしで参加。ゆでたまご先生が描いたのは、ハルクだ! 撮影は禁止なので、現地で見てくれ!

 Cultureコーナーでは、東映スパイダーマンに登場し、遂に本家スパイダーマンにも参加したレオパルドンのおもちゃが。それだけでなく、アベンジャーズ・アッセンブルやアルティメット・スパイダーマンのような日本で放映された本家のアニメ、更には漫画として日本で連載されたアベンジャーズ・ゾンビ・アセンブルやドクター・ストレンジ、日本発のアニメとなるディスク・ウォーズやフューチャー・アベンジャーズにも言及。artと併せ、日本とマーベルのつながりを意識させてくれるコーナーとして作られています。海外のお客さんが3割ぐらいはいたので、こういうアピールをするのは大事だし、日本開催ならではの視点よね。

 

 展示コーナーを観終わった後にあるのは、公式ショップ。高めなテンションで財布の紐を緩めて望みましょう。何が売っているのかは、まずこちらの限定商品一覧を見てほしいのですが、こちらと併せて是非公式Twitterアカウントのチェックもどうぞ。公式アカウントでは、商品の売り切れや入荷の情報も流れております。リアルタイムで推移するものなので、100%確実とは言えないものの、参考にはなるはずです。

 公式ショップでは、数々の雑貨やフィギュアにポスターにカバンと、多種多様な品が売っております。基本は、アベンジャーズとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとスパイダーマンがメインですね。買い物が終わった、さあ帰ろうと思うのはまだ早い! 順路に従っていくと、階下にあるもう一つのショップ、期間限定なホットトイズストアにたどり着きます。ホットトイズストアで待ち構えるのは、公式ショップにも決して劣らない熱い品物の数々。マーベル展で精魂を使い果たした、クールダウンしないと財布がヤバい! という方は、会場隣接のマーベル・カフェでぜひ一休みを。

 ホットトイズストアには、商品だけでなく芸能人がデザインしたキャプテン・アメリカのシールドやアベンジャーズの巨大フィギュアが設置されています。こちらは撮影可能なので、溜まりに溜まった撮影へのリビドーをぶつけるには最高です。ちなみに、自分も熱くなり過ぎた結果、カメラ代わりのスマホも熱くなり、写真が途中で撮れなくなりました。もっと頑張れよスマホ! そのー、データーが吹っ飛ばない範囲で!

 こちらホットトイズストアで販売している商品は、フィギュアを軸として玩具がメインです。レジェンズやコスベイビーやムービー・マスターピースやPOP!。デザインにサイズに値段、様々なフィギュアがずらりと売られております。会場限定商品も多数売られているので、何か一つ買ってみてはいかがでしょうか。お宝は、間違いなくあります。そう言っていいだけの、品揃えです。

 参考に、自分がマーベル展で買った物の写真を載せてみます。

 左端のデッドプールてぬぐいと、真ん中のフィギュアーツアイアンマン(マーベル展限定カラー)が公式ショップで買った物。右端のPOP!デッドプールのカウボーイバージョンがホットトイズストアで購入した物ですね。
 ……うん。そうなんだ。公式ショップにもデッドプールのグッズが紛れているし、ホットトイズストアに至っては、アベンジャーズやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと並ぶ主力商品ポジションなんだ。X-MENからの独立分離勢力な立場を利用して、むしろX-MENやウルヴァリンより前に出ているんだ。ひょっとしたら、今現在のマーベル展。日本で一番デッドプール関連の雑貨やフィギュアやぬいぐるみが買える場所かもしれんね。

 

 展示と物販、これでマーベル展は完全制覇です。と言いたいところですが、まだまだ祭りは終わらない。先ほど話した、ウェストウォークエリアに行ってみましょう。

 まず吹き抜けで大暴れしているのは、ハルクとハルクバスター。この周りには、ホットトイズの歴代フィギュアも展示されております。

 更に各所にあるのは、ヒーローの巨大フィギュアや撮影スペース。

 ついでにショーケースにはアイアンなファッションも!?

 六本木ヒルズで開催されているのはマーベル展だけではありません。六本木ヒルズを巻き込む「マーベル プロジェクト@六本木ヒルズ」も同時に開催されているのです。巨大フィギュアや撮影スペースだけでなく、コラボ商品やコラボメニューも各ショップで販売中。ベビー・グルートを探せ! なんて企画も!? 六本木ヒルズが、マーベルユニバースになっちまった!

 

 今回マーベル展を六本木ヒルズで開催したのは、知識の多寡やジャンルへの深度は問わず、多くの人にマーベルを知ってもらおうという目的があるんじゃないかと思います。マーベルとは、こういうものなんですよと、ヒルズに集う様々な人にアピールする。それは、新規開拓と同時に、例えば映画を入り口として、アニメやコミックスに誘う道筋を作ることでもあります。または、こうやって大規模に開催できるという、信用と実力の証明。

 是非とも、興味のある方は開催期間中に足を運んでみてください。そして、六本木ヒルズの他の施設も楽しんで下さい。なんなら、優先順位が逆でもいい。とにかく、マーベル展は、多くの人を満足させてくれる、一見の価値があるイベントですよ!

Kindleでアメコミを読んでみよう

※アメコミ読むのにKindleホント便利だから! というのを周知したいので、こちらTwitterでの呟きを、ホームページにも掲載しておきます。

デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド プチレビュー

 ここ最近、どうにも忙しくて、アメコミ邦訳の新刊を確認していなかったけど、今月からしばらく中々勢いがいいねえ……。というわけで、自分用のメモも含めて、発売予定な作品を軽く紹介。切り込み役は、未来&お喋りが手を組んだ、伝説の傭兵コンビだ!

 

デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド

 ケーブル&デッドプールって知ってるかい? 昔、Marvelでイキに暴れまわってたって言うぜ。今も世の中荒れ放題、ボヤボヤしてると後ろからバッサリだ!
 いや、昔はケーブル&デッドプールだったんですが、デッドプールさんの人気が上がったことと、おそらく旧作との差別化から、順番が入れ替わってのデッドプール&ケーブルに。ワーオ、シビア。

 このスプリット・セカンドは近年の作品でして、元祖ケーブル&デッドプールから派手なアクション! 人が死ぬ! タイムトンネル ジュオンジュオンジュオン!なトコを継承しつつ、ちと味わいの違う作品に。その主な理由は、きっとデッドプールのキャラチェンジ。

 デッドプールは様々なライターやアーティストが冒険心をぶち込んだ結果、とんでもないことになったキャラなのですが、ケーブル&デッドプールの頃はまだ発展途上。まだ、チミチャンガへの愛着もハッキリ持っていない時期。なので、ケーブル&デッドプールの頃のデッドプールと今のデッドプールのキャラは若干違うわけです。デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンドのデッドプールは、最新モデルのデッドプールとしてケーブルと組むわけで、そりゃあちょっと違いが出ちゃうよねと。

 かつて名を馳せた伝説の名車のリバイバルでありながら、今時の流行を熟知し、最新の技術や部品を使うことで非常に乗りやすくなっている車。それが、デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド。ライターはデッドプールの生みの親の一人であるファビアン・ニシーザ氏。アーティストはケーブル&デッドプールの後期から長年デッドプールに関わり続け、最近ではデッドプール:ドラキュラズ・ガントレットも担当した、ベテランのデッドプールアーティストことライリー・ブラウン氏。デッドプールを知り尽くした達人が作った新たな名車の乗り心地を、とくと味わいやがれ!

アメコミカタツキ~マキジと学ぶブラックパンサー~ 改

※去年末の冬コミ(コミックマーケット91)にて配布したおまけペーパーを、加筆修正したものです。

蒔寺「道行く人が、ブラックパンサー、ブラックパンサーと口々に語っている。黒豹改めブラックパンサーの時代来ちゃったかー。まいったにゃー」

三枝「蒔ちゃん、それって、映画シビル・ウォーの……」

氷室「少し黙っていよう、由紀香。いけるトコまで調子に乗らせておいてから、ガーッと。人がフリーフォールのようにテンションが落ちる姿を見てみたい」

三枝「それ、結構定期的に蒔ちゃんやってるよね!? 調子に乗ってのズコー! だよね!?」

蒔寺「世界よ、これが黒豹だーっ!」

蒔寺「……」

氷室「うむ。全てを知って予想通り、テンションが紐無しバンジーの如き勢いで落ちたな」

三枝「そう言えば、ブラックパンサーってどんな人なんだろう? 映画のCMだと、蒔ちゃんみたいにすっごく速く走ってたよ」

氷室「まさに黒豹だったな。どれ、コミックスでの設定を少し調べてみるとしようか」

ブラックパンサー

ブラックパンサー

本名、ティ・チャラ。アフリカの王国ワカンダの王であり、アフリカ系黒人ヒーローの魁。黒豹を模したスーツの各所や爪には希少にして超硬度、ワカンダ原産の金属ビブラニウムがふんだんに使われており、高い防御力と攻撃力を誇る。ティ・チャラ本人もオリンピック選手クラスの身体能力とノーベル賞級の頭脳を持っており、ビブラニウムの加工製造やクリーンエネルギーの開発など、彼に率いられた科学陣によりワカンダの技術力と軍事力は世界トップクラス。人格も品行方正で、市井でもごく自然に暮らせる柔軟性も持っている。王妃の座が空いていると知れば、アフリカ中から美女が押し寄せるモテ度であり――

氷室「いやはや、自国特有の鉱物の世界最高の権威が王自身というのは、実に隙が無い。貴重な資源を開拓者に騙し盗られてきたアフリカに、最も求められる能力と言えようぞ」

蒔寺「なんだこのチートは! パンサーなのにチーターってズルくねえ!? コマンド、上上下下右左AB!?」

氷室「だがやはり、納得いかないな」

蒔寺「おう。言ったれ言ったれ、盛りすぎだって」

氷室「何故アメリカ人の考えたアフリカのヒーローという状況下で、ゴリラモチーフではないのかと!」

蒔寺「そこかよ!」

三枝「あれ? でもブラックパンサーのライバルに、マン・エイプっているよ?」

マン・エイプ

ブラック・パンサーVSマン・エイプ

本名:エムバク。ブラックパンサーがアメリカでも活動するようになり、ワカンダを留守にする機会が増えたその時、部族の同胞エムバクの野心に火が点いた! エムバクは聖獣ホワイトゴリラを殺害。ゴリラの血肉を喰らい、ホワイトゴリラの毛皮を着ることでゴリラパワーに覚醒。禁教ホワイトゴリラ教団のゴリラ教祖となり、信者と共に、ワカンダの王座を虎視眈々と狙う。戦え、マン・エイプ!

三枝「この解説、さっきのブラックパンサーの時と、明らかにテンション違うヨ!?」

蒔寺「なるほど! 黒豹なブラックパンサーの対だから、白猿のホワイトゴリラか! 待て! パンサーのライバルってゴリラでいいのか!?」

氷室「あなたは一体何度―― 我々の前に立ちはだかってくるというのか! ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ!」

蒔寺「それにしたって、黒豹のライバルはゴリラかー。アタシにも心当たりはあるぜ。なっ?」

美綴「いきなり肩抱いて、なっ? じゃねえよ、テメエ」

氷室「蒔の字よ、それは無礼というものだ。人間の皮を被ったゴリラとゴリラの皮を被った人間は同類ではなく、むしろアイデンティティを賭け対立する者同士ではなかろうか」

蒔寺「あっ……! ゴメンな、マユ・エイプ!」

美綴「はっはっは、お前ら、明日からすり潰したバナナしか食えない身体にしてやろうか?」

美綴「何かと思えば、アメコミのゴリラの話か。アメコミのゴリラと言えば、DCコミックスのゴリラ・グロッド。最近では実写ドラマにも出たし、超高速ゴリラにもなった」

ゴリラ・グロッド(ドラマ版)

ゴリラ・グロッド(光速)

氷室「超高速ゴリラ……またアメリカ人は新たなゴリラ概念を生み出したのか……」

美綴「アニメのバットマン:ブレイブ&ボールドでは、あのジョーカー以上の出番で、ついにはジョーカーを押しのけて最終回の敵に。時には仲間と一緒に歌ったり踊ったりで大活躍だ」

グロッド&クロックキング&ブラックマンタ

蒔寺「ゴリラの熱いアイドル活動。略してゴリカツ……」

沙条「ゴリラのコミックスと言えば、早撃ちとゴリラパワーで戦うゴリラのガンマンが西部劇の世界で生きる、Six-Gun Gorillaって作品があってね。これがなんと1939年の作品で、この間著作権が切れた結果、パブリックドメインになったんだ。きっとそろそろ、英霊扱いになるよ?」

シックスガン・ゴリラ

シックスガン・ゴリラの日常

ゴリラ大暴れIN西部

氷室「公的なゴリラのガンマン。またも新しい概念だ。しかし、しれっと話に入ってきたな」

三枝「あれ……? わたしたち、最初からゴリラの話してたんだっけ……?」

アメコミカタツキ~氷室の天地で学ぶゴリラキャラ~ 完

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