ディスクウォーズ:アベンジャーズ、51話。
ディスクウォーズ最終回! アベンジャーズよ永遠に!
かつてのロキ城での決戦、そのロキ様レリーフデザインにより、性能の恐ろしさより笑いを招いたディスク能力吸収装置がまさかの再登場! ドルマムゥのパワーを完全吸収成功!
「邪悪な力や借り物の力では真の高みに到達出来ない」との言を認めつつの「恵まれし者」の理屈への拒否。ディスクウォーズでの設定はともかく、ロキは霜の巨人の王の子として生まれた時点で、小柄である事を恥じた親が監禁。オーディンに保護され息子となっても、ソーの英雄的基質と恵まれた体躯には勝てず。アスガルドに馴染めぬまま孤独を抱え、ソーや他の神々との差を埋めるために学んだ物は、神どころか人も忌避する黒魔術。そりゃあねえ、邪悪な力や借り物の力でのし上がってきた以上、否定は出来ねえよ。
ただ、だからと言って、悪いことをしても良いというわけではなく。絆の力も、言い換えれば借り物という表現に近くなり。要は力の使い方と出し方、その目が何を見ているかなんでしょうね。ロキの場合、結局は甘ったれ(アイアンマン談)なわけで。
でも、ロキが一瞬絆やこの理屈を認めたことが、最後のセレブレティ5復活に関わっている気がするぜ。悪魔にだって、友情はあるんだぜ?
過程と内実はともかく、今までのボスヴィラン以上の実力を見せるロキ。だがロキが力を出せば出すほど、揺るがぬヒーロー達の力も引き出されていく!
復活のバイオコード、最終回までために溜めた、ビルドアップパーツによる必殺技の一斉発射。ブラック・ウィドウとホークアイとジャイアントマンによる援護に、まさかのアイアンマンローリングクラッシュ!(東映風)。いやね、もうこの時点で燃えてしょうがないですよ。今ある物を出しきる姿勢もそうですが、ロキにダメージが蓄積しているのもいい。あんまりに効かないと、絶望感以上に萎えてきますしね。えー、コイツ強すぎない? 今までの敵ってなんだったん?みたいな感じで。あと最終回でこの流れの場合、かなり高確率で最後ポックリとの擬音が似合う一撃死になりますし……。それはそれで困る。
大ダメージを負ったロキと、それ以上のダメージを負ったアイアンマン。両者、後一撃。もはやヒーロー側に手駒は……と思ったら、まさかのシルバー・サムライ&マンダリン、亜細亜巨悪コンビ参戦! 見ているか、ミゲルにハイネ。お前達CV西川貴教キャラも生き残れるし、こうして最終決戦にも参加できるんだ。このシークレット参戦に関しては、TMR公式も秘密にしていたようですね。公開されていたら、話題にはなっていただろうけど、サプライズ感は瓶のカスを集めて作ったインスタントコーヒーぐらいに薄まっていた筈。マンダリンもまた、先週辺りでもう出るトコ無いな!というのが多勢の声だったので、これまたサプライズ感満載。「お前を倒すのは私だ!」この直球な展開が、興奮でコブシを握る手の力を、強くしてくれる……!
ヒーロー達とヴィラン勢で出し尽くしたと思ったか? 残念、まだまだいるぜ! ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー復帰! スパイダーマン到着! そしてブレイドまで登場! 頼れる援軍だけでなく、アキラのジェットブーツも久々に出番が。自らの選択が間違っていなかったというシルバー・サムライの確信も含め、序盤の誕生日回やシルバー・サムライ登場回からのネタも。戦力だけでなく、今までのネタも総結集! 更に更にの裏ワザ、アルティメット・ユニビーム! コマンド技としてリザード戦で出てきたこの技も、今まで積み重ねてきた物、開発してきた物の一つ。クライマックスってえのは、ただみんな集まるから盛り上がるわけじゃねえ。こうして作品のすべてを拾い集めて、思いもよらぬ配置をするから盛り上がるのよ! 起承転結、一年続いた全ての起承転を集めての見事な結よ!
X―MEN? ほら彼らはミュータント関係の話で忙しいし、多分今頃エジプトとか宇宙三大帝国のどこかで戦ってるんじゃないですかね。デッドプール? アイツは十中八九、視聴者としてテレビ観てるんじゃねえかな。きっと、スパイディに黄色い声上げてるよ! CV子安で!
ロキ最後の悪あがきを潰し、再びヒーローとアキラ達は別れることに。だが、ついこの間の別れと違うのは、アキラ達にバイオコードと共に記憶がまだあること。涙があっても、終わりでなければ、笑顔でいれる。現に、最後のシーンは、続く世界を予期させる物でした。マンダリンもシルバー・サムライも改心したわけではなく、未だ未登場のヴィランやヒーローも多い。それに何より、ロキは一億倍の借りを返すために本当に帰って来る男。いやあ、最終回なのに、わくわくさせてくれるのはズルいね!
これにて、ヒーローと子供達の戦いと絆を描いた、ディスクウォーズ:アベンジャーズは終了。一年間、ブレなかったテーマに、日本とアメリカの融合による新たな可能性、間口を広げることへの挑戦。楽しみつつ、様々な事を学ばせていただきました。謎の脚本家から信頼の出来る謎の脚本家になったキング・リュウ氏を初め、スタッフ関係者の皆様には多大なる感謝を。実に、素晴らしい名作でした!
最後のコラムは、これしか無いだろう!なアベンジャーズで! 先週マンダリンを紹介してなかったら、ひょっとしたらマンダリンだったかも……。それはそれで、ウチらしいと言えなくもないですが! 今回で感想も終わりですが、紹介できなかったキャラへの言及や、一年を通しての総括は、改めてやる予定です。
アベンジャーズ
地上で生きる雷神ソーを付け狙う邪悪の神ロキ。ロキが見出したのは、ソーに負けぬ力を持つ男、ハルクであった。ロキはハルクに罪を着せ、ハルクの無実を信じる親友リック・ジョーンズが発した救難信号に干渉し、救難信号を無理やりソーの元へ届ける。
「この通信は、ソーを呼んでいるのか? ハルクが関わっているなら一大事だぞ……」
これでハルクVSロキは開戦間近だ。ほくそ笑むロキ。だが、ロキの策略により拡散された声は、思いもよらぬ人間の元にも届いていた。
「アントマン、待って!」
「なあ、ジャン。出勤の度におしろいをはたくのは止めてくれ」
「ハルクが噂通りの怪物ならば、アイアンマンとどちらが強いのか、これでハッキリするぞ!」
リック・ジョーンズが救難信号を出したのは、当時既に著名なヒーローチームとして活動していたファンタスティック・フォー。ロキの妨害により電波が乱れたものの、なんとかリックはファンタスティック・フォーのリーダーであるMrファンタスティック(リード・リチャーズ)との交信に成功。自分達が他の事件で手一杯であることと共に、計算の結果を告げる。自分達の代わりとなる者達が、君の声を聞いたと。
半信半疑なリックの元に現れる、力ある者ことソー。だが現れたのは、彼だけではない。
最先端の科学の使徒アイアンマン(トニー・スターク)
ピム粒子による縮小化とアリとの交信を武器とするアントマン(ハンク・ピム)
アントマンの相棒にして、縮小化と飛行能力を持つワスプ(ジャネット・ヴァン・ダイン)
当時、最前線で活躍していたヒーローが集結。ロキに乱された救難信号は、それぞれ独自に活動していたヒーロー達の元にも届いてしまっていたのだ。最初は誤解したままハルクと戦ってしまったヒーロー達だが、別行動を取ったソーがロキの奸計を暴き、当人を連行。ハルクとも和解を果たした最強のヒーロー連合は、最後の悪あがきを見せたロキを策略ごと粉砕する。これで終わった。解散直前、アントマンが突如声を上げる。
「待った! いくら何でもこれでおしまいはないだろ。僕らの提案を聞いてくれ!」
アントマンの提案は、異なる力の結集。新たなるヒーローチームを作ることだった。アイアンマンもソーもハルクも賛同。だが、チームを作るとなるとチーム名が必要となる。
「強そうな名前がいいわね! そう、アベンジャーズとか!」
正当なる復讐。正義のための報復、Avenge。ワスプが提案したチーム名に、他のヒーローも賛同する。こうして、史上最強のヒーローチーム、アベンジャーズは誕生した。
だがアベンジャーズ結成の次の話、アベンジャーズ第二話にて、変身怪人スペース・ファントムに陥れられた結果、ハルクは脱退。アイアンマンが後のイメージカラーともなる赤と金のスーツにバージョンアップ、アントマンが自身の力不足を痛感し、巨大化能力を持つジャイアントマンへの変身を遂げるものの、ハルクの後釜となるヒーローが加入することは無かった。
初の追加メンバーは第四話。当時アベンジャーズと敵対し、王国を破壊した人類に怒りを燃やすアトランティスの皇子ネイモア・ザ・サブマリナーを追跡していたアベンジャーズは、海を漂う仮死状態の人間を発見する。彼こそが、ファースト・アベンジャー、キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)だった。
キャップは戦時中、バロン・ジモの策略により、氷河の海に落下し凍りづけに。数十年間エスキモーに凍れる神として崇められていたが、アベンジャーズに負けてイラついていたネイモアが、エスキモーを蹴散らし氷漬けのキャップを海に投擲。氷が溶けて漂流していた所を運良くアベンジャーズに拾われたという流れになる。つまり、アベンジャーズが居なければ、キャップはずっと氷漬けで、エスキモーに祀られたままだっただろう。
蘇ったキャップは、ネイモアの復讐により窮地に陥ったアベンジャーズを支援。蘇ったアベンジャーズがネイモアとの戦いを終えた後、キャップは正式にアベンジャーズに加入することとなった。
※アベンジャーズ誕生、キャプテン・アメリカ参加のエピソードは邦訳アベンジャーズ:ハルク・ウェーブ!に収録。
この後、アベンジャーズは様々なヒーローが加入し、大所帯となっていく。ホークアイ、ブラック・ウィドウ、ブラックパンサー、ファルコン……。時代の移り変わりにより、ルーク・ケイジやアイアンフィストにウルヴァリンのような、ストリートやアウトローの気配を漂わせるヒーローや、外より協力してきたドクター・ストレンジやスパイダーマンも正式に加入した。
だが、加入の裏で、数多くの離脱劇もあった。まず自身の生活を取り戻すため、ワスプとハンク・ピムが脱退。後に戻ってくるものの、様々な重圧に敗けたハンク・ピムが精神衰弱。やがて、チームを追い出されてしまった。時期によっては、創設メンバー全員が抜けてしまった事もあり、多数の戦死者と大きな被害を招いてしまった結果、アベンジャーズ自体が解体消滅していた期間もある。
ただ、アベンジャーズは、本体となるチームだけでなく、数多くの派生チームを生み出してきた。正式な支局から、アベンジャーズに憧れただけのチームまで。
代表的な物としてはアベンジャーズ西海岸支局として作られたウェスト・コースト・アベンジャーズ。ホークアイと彼の妻であったモッキンバードが派遣され、スカーレット・ウィッチやムーンナイト、アイアンマンも含め様々なヒーローが所属協力した。
最初アベンジャーズの支部を自称していただけの非公認チームだったものの、冷笑や嘲笑に耐え抜き、やがて本物のヒーローとなった最高のC級チーム、グレイト・レイクス・アベンジャーズ。なお、GLAはウェスト・コースト・アベンジャーズ誌でデビューしており、グラビトンのような強敵に悩まされるウェスト・コースト・アベンジャーズを支援したり、方向性の違いから脱退してきたホークアイが一時GLAに加入したりと、何かとウェスト・コースト・アベンジャーズと縁が深い。
アベンジャーズの名称は、ベテランヒーローだけでなく、子供と呼んでも差し支えない少年達が冠する事もあった。
起こりうる未来を防ぐため、未来人アイアンラッドにより結成された、次世代の若者たちのチーム。ヤング・アベンジャーズ。消滅したはずのスカーレット・ウィッチが産んだ双子の転生体と囁かれるウィッカン(魔法使い)とスピード(超高速能力)。ホークアイの名と弓を継いだ二代目ホークアイのケイト・ビショップと、本家メンバーを連想させる者が多い。
ノーマン・オズボーン(グリーンゴブリン)により、次世代のレッド・スカルとして運命や能力を歪められた少年少女、アベンジャーズ・アカデミー。オズボーンの支配より抜け出た彼らが道を踏み外さないよう、教育の必要がある。数多くのヒーローが非常勤講師として学園に来訪。常勤講師として選ばれたヒーローは、ハンク・ピム、スピードボール、クイックシルバー。道を踏み外した事があり、その辛さが分かっているヒーローであった。
アベンジャーズにとって最も辛い期間は、かの戦争より後の時期だろう。ヒーロー同士の内戦、シビル・ウォーの結果、レジスタンスであるニューアベンジャーズと国よりの支援を受けているマイティアベンジャーズ、二つのアベンジャーズが生まれることとなった。
キャプテン・アメリカの死、トニー・スタークの更迭……ヒーローの権威失墜の隙を突き、ノーマン・オズボーンが権力を掌握。トニー・スタークより摂取したスーツを着たオズーボーンに、ホークアイを名乗る百発百中の射手ブルズアイ、スパイダーマンに化けたヴェノム、本物のヒーローでありながら耐え切れない暗黒面を抱えているセントリー、偽者と危険人物ばかりの公式品、最悪のアベンジャーズことダーク・アベンジャーズは、いいように国や超人界隈を引っ掻き回した。前述のアベンジャーズ・アカデミーもこの一環である。
オズボーン政権は、他のヴィランとの権力争いやアベンジャーズ:レジスタンスのようなヒーローの抵抗により失墜。起死回生の策として神々の国アスガルドへの侵攻を目論むが、孤軍奮闘のソーの元に駆けつける、蘇ったスティーブ・ロジャースと座を継いでいたバッキー・バーンズのダブルキャプテン・アメリカ。全てを失った状態から再起を果たしたアイアンマン。数多のヒーローが一挙集結し、ダーク・アベンジャーズとオズボーンを打ち砕いた。
アベンジャーズは、こうして再び一つとなったのだ。
2015年3月現在、邦訳として発売されているストーリーはここまで。だが既に、物語は向こうで進んでいる。この後も、趣きやメンバーを変えた帰省のアベンジャーズや新生アベンジャーズ、更にはダーク・アベンジャーズすら復活を果たしている。更に言うと、今現在のヒーロー界隈は、世界や次元の崩壊を目の前に、シビル・ウォー以上の混沌と化している。唯我独尊への酔を極めたアイアンマン、超人血清の不老が切れファルコンに代替わりしたキャプテン・アメリカ、新たにムジョルニアを手にした謎の女ソー、今の極まった状態も全て飲み込まれていくだろう。
混沌の現状、唯一ハッキリしているのは、ディスク・ウォーズ:アベンジャーズにおけるアベンジャーズ。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ワスプ。彼らが映画アベンジャーズの面々と同じく、全く新しいアベンジャーズとして、多くの人々の心に深く刻まれたという事だ。