マクロスFB7 銀河流魂 感想

 マクロスFB7 銀河流魂 オレノウタヲキケ!を観てきました。
 はっきりさせておくべき前提として、この映画はマクロスFとマクロス7のクロスオーバー……ではなく、マクロス7の総集編です。正確には“オズマ隊長と学ぶマクロス7”です。

 既にファイヤーボンバーの伝説は既に朽ちかけている時代。謎の「ビー! ビー!」五月蝿い白い鳥がオズマ隊長の元にもたらした、旧式のビデオテープ。ビデオテープに録画された、マクロス7の物語は、オズマだけでなく周りの人々をも惹きつけて行く。過去の物語が終わったその時、伝説は爆音と共に蘇る。

 あらすじとしては、こんな感じです。マクロスFのキャラのポジションは、マクロス7を知らない視聴者ですね。ちなみに今作におけるファイヤーボンバーのポジションは、そろそろ懐メロからも消えかけている消息不明のバンド。オズマ隊長がファンなのは以前の作品通りですが、今作ではファイヤーボンバーが消えかけていることへの寂しさやもどかしさを漂わせています。どうしょうもなく一途にファンなオズマ隊長が見たい方は、スパロボ再世編をどうぞ。アレはもう、ファンであることが爆裂し過ぎて、一人の男どころか社会人としてアウト寸前だった……。
 バサラの行動に疑問符を描き、描いたまま物語に没頭する。正直、この作品における彼らは添え物です。
 マクロス7総集編自体の作りは、未見の人にもわかりやすく解説するのではなく、未見の人にはなんじゃこりゃ!と思わせ、嘗てマクロス7を見た世代のノスタルジーをくすぐる作り。
 この映画を一番楽しく見れるのは、当時を知っている世代。やきもきしながらマクロス7を見ているオズマ隊長たちを「大丈夫大丈夫! このあと◯◯になるから!」と言いたいのを頑張ってこらえながら、ニヤニヤと見守る見方。ある種の、優越感と言いますか。
 ……なんか、我ながら微妙に引っかかる見方だな。

 ぶっちゃけますと、今回のマクロス7総集編、配分がすげえ面白いです。むしろ、妙と言えるかもしれない。
 シビル推しは分かる、だがそれ以上にギギル推しはどうなんだろう? ミレーヌよりシビルがヒロイン、ガムリンよりギギルがライバル。まさかギギルの生歌が劇場環境で聞けることになるだなんて、当時はかけらも思わなかったよ! ぱわーとぅざーどりーむ?
 花束の少女や金竜隊長にスポットを当てているのは、明らかに好きな人向きの構成。まあ、金竜隊長のシーン、特攻以外のところはしょりすぎて、未見の人が見たら「バサラが歌っていたらハゲが勝手に盛り上がって特攻した!」ぐらいのコメントを残しかねませんが。お前にラブハート!
 おそらく、ミレーヌやガムリンを差し置いて、プロトデビルンが目立っているのは、熱気バサラの歌が彼らを変える行程。マクロスFともテーマが被る、歌の力による異文化交流をあえて重ねあわせようとした結果なのではと。
 目立ってないとはいえ、ガムリンさんが歌うシーンはありますよ? マクロス7屈指の名台詞、「何故撃つ、熱気バサラ!? お前は歌うんじゃないのか!?」は無いけど。

 総評としては、マクロス7に熱狂した世代、特にギギルやシビルが好きな人向けですかね。俺はギギルの不器用さが好きだったので、すげえ内心盛り上がってました。そしてマクロスFのみを知る人は、この映画をきっかけに、マクロス7にも手を出していただければ。
 ただ、無理して見た場合、肩透かしになるかもしれないので、ソフト化待ちも十分にありかと。俺もふらりと街に出て、偶然映画館でやってるのを知っての鑑賞ですからね。多分、気負って観ていたら、俺ももっと不満を述べていたかも。
 楽しかったのは間違いなかったものの、難しい立ち位置の映画でした。

 しかし、本編不在のアルトくんは何処に……? 前の映画後だとしても、その場合、死んでいる筈のレオン三島が今回出ているわけで。
 最も、マクロスシリーズの時系列は「劇中劇」の予防線により、考えたら負け状態ですが。シリーズ物の反則にして、なんて良手。