日々雑談~888~
今日はゾロ目の888と言いつつ、特に何も無し。そもそも、888にかこつけるべきネタが思い浮かばない。777の時はなんとなくめでたい気持ち、666はダミアン、555は平成ライダー。
スパイダーアイランド。NY全市民、僕も私もイイ人みんなスパイダーマン!ならともかく、問題はチンピラ共にもスパイダーマンの能力が備わっちゃったことだよなー。スパイダーマン強盗団とか、シャレにならんもの。
スパイダーマンの能力が手に入った。彼らがそれを自覚した時、まずしたことは、玩具店からスパイダーマンのタイツを盗み出すことだった。
銀行の窓を割って飛び込んで来る、痩せぎすのスパイダーマン。警備員が動くより先に、一足早く潜入し、天井に潜んでいた長身のスパイダーマンの糸が警備員を捕まえる。次々と、銀行に姿を表す、安っぽいスパイダーマン達。彼らは安い動きで銀行を制圧し、重厚な金庫の扉を、容易く開けてしまった。
金庫の札束や金塊を目撃し、喜ぶ強盗団。たとえ警察がこの場に来たとて、スパイダーマンの力さえあれば、逃亡や撃退は容易く可能。彼らの未来は、彩りに満ちあふれていた。
「オエェェェェェッ!」
そんな彩りを台無しにしかねない吐瀉物が床に撒かれた。スパイダーマンのマスクを脱ぎ、激しく嘔吐する一人の強盗。
「なにやってんだよ! 汚ねえな!」
「す、すまねえ。でも、スゲエ気持ち悪くてさ……なんか、頭がぐらんぐらんして、ヤクでもやったみてえにビリビリとしてるんだ。こんな感覚、初めてで。ウォェェッ!」
吐き続ける仲間を見て、強盗たちの作業の手も止まる。スパイダーマンの能力を無償で手に入れたこと、そのリスクなのではないかという不安が彼らの間を彷徨っていた。
「教えてやろうか。その頭痛の正体を」
金庫の扉に寄りかかり、作業を見守っていた筋肉質のスパイダーマンが、ぽつりと呟いた。
「教えてくれ! なんなんだよ、こりゃあ!?」
口端の汚れを拭い、嘔吐していた強盗は、いち早く助け舟に寄りすがる。口には出さぬ物の、金庫内に居るもの、皆意見は同じだった。正体不明であるほど、恐るべきことはない。彼らは手に入れた力に喜ぶだけで、こうして力の負の部分を検証することが、今まで無かったのだ。
「最初に言っておく。そこのお前、お前は正常だ。今お前が、この場で一番本物のスパイダーマンに近い」
唯一不安の色を持たぬスパイダーマンは、不安と吐瀉物まみれの強盗を指し示し、こう言った。