デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド プチレビュー

 ここ最近、どうにも忙しくて、アメコミ邦訳の新刊を確認していなかったけど、今月からしばらく中々勢いがいいねえ……。というわけで、自分用のメモも含めて、発売予定な作品を軽く紹介。切り込み役は、未来&お喋りが手を組んだ、伝説の傭兵コンビだ!

 

デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド

 ケーブル&デッドプールって知ってるかい? 昔、Marvelでイキに暴れまわってたって言うぜ。今も世の中荒れ放題、ボヤボヤしてると後ろからバッサリだ!
 いや、昔はケーブル&デッドプールだったんですが、デッドプールさんの人気が上がったことと、おそらく旧作との差別化から、順番が入れ替わってのデッドプール&ケーブルに。ワーオ、シビア。

 このスプリット・セカンドは近年の作品でして、元祖ケーブル&デッドプールから派手なアクション! 人が死ぬ! タイムトンネル ジュオンジュオンジュオン!なトコを継承しつつ、ちと味わいの違う作品に。その主な理由は、きっとデッドプールのキャラチェンジ。

 デッドプールは様々なライターやアーティストが冒険心をぶち込んだ結果、とんでもないことになったキャラなのですが、ケーブル&デッドプールの頃はまだ発展途上。まだ、チミチャンガへの愛着もハッキリ持っていない時期。なので、ケーブル&デッドプールの頃のデッドプールと今のデッドプールのキャラは若干違うわけです。デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンドのデッドプールは、最新モデルのデッドプールとしてケーブルと組むわけで、そりゃあちょっと違いが出ちゃうよねと。

 かつて名を馳せた伝説の名車のリバイバルでありながら、今時の流行を熟知し、最新の技術や部品を使うことで非常に乗りやすくなっている車。それが、デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド。ライターはデッドプールの生みの親の一人であるファビアン・ニシーザ氏。アーティストはケーブル&デッドプールの後期から長年デッドプールに関わり続け、最近ではデッドプール:ドラキュラズ・ガントレットも担当した、ベテランのデッドプールアーティストことライリー・ブラウン氏。デッドプールを知り尽くした達人が作った新たな名車の乗り心地を、とくと味わいやがれ!

アメコミカタツキ~マキジと学ぶブラックパンサー~ 改

※去年末の冬コミ(コミックマーケット91)にて配布したおまけペーパーを、加筆修正したものです。

蒔寺「道行く人が、ブラックパンサー、ブラックパンサーと口々に語っている。黒豹改めブラックパンサーの時代来ちゃったかー。まいったにゃー」

三枝「蒔ちゃん、それって、映画シビル・ウォーの……」

氷室「少し黙っていよう、由紀香。いけるトコまで調子に乗らせておいてから、ガーッと。人がフリーフォールのようにテンションが落ちる姿を見てみたい」

三枝「それ、結構定期的に蒔ちゃんやってるよね!? 調子に乗ってのズコー! だよね!?」

蒔寺「世界よ、これが黒豹だーっ!」

蒔寺「……」

氷室「うむ。全てを知って予想通り、テンションが紐無しバンジーの如き勢いで落ちたな」

三枝「そう言えば、ブラックパンサーってどんな人なんだろう? 映画のCMだと、蒔ちゃんみたいにすっごく速く走ってたよ」

氷室「まさに黒豹だったな。どれ、コミックスでの設定を少し調べてみるとしようか」

ブラックパンサー

ブラックパンサー

本名、ティ・チャラ。アフリカの王国ワカンダの王であり、アフリカ系黒人ヒーローの魁。黒豹を模したスーツの各所や爪には希少にして超硬度、ワカンダ原産の金属ビブラニウムがふんだんに使われており、高い防御力と攻撃力を誇る。ティ・チャラ本人もオリンピック選手クラスの身体能力とノーベル賞級の頭脳を持っており、ビブラニウムの加工製造やクリーンエネルギーの開発など、彼に率いられた科学陣によりワカンダの技術力と軍事力は世界トップクラス。人格も品行方正で、市井でもごく自然に暮らせる柔軟性も持っている。王妃の座が空いていると知れば、アフリカ中から美女が押し寄せるモテ度であり――

氷室「いやはや、自国特有の鉱物の世界最高の権威が王自身というのは、実に隙が無い。貴重な資源を開拓者に騙し盗られてきたアフリカに、最も求められる能力と言えようぞ」

蒔寺「なんだこのチートは! パンサーなのにチーターってズルくねえ!? コマンド、上上下下右左AB!?」

氷室「だがやはり、納得いかないな」

蒔寺「おう。言ったれ言ったれ、盛りすぎだって」

氷室「何故アメリカ人の考えたアフリカのヒーローという状況下で、ゴリラモチーフではないのかと!」

蒔寺「そこかよ!」

三枝「あれ? でもブラックパンサーのライバルに、マン・エイプっているよ?」

マン・エイプ

ブラック・パンサーVSマン・エイプ

本名:エムバク。ブラックパンサーがアメリカでも活動するようになり、ワカンダを留守にする機会が増えたその時、部族の同胞エムバクの野心に火が点いた! エムバクは聖獣ホワイトゴリラを殺害。ゴリラの血肉を喰らい、ホワイトゴリラの毛皮を着ることでゴリラパワーに覚醒。禁教ホワイトゴリラ教団のゴリラ教祖となり、信者と共に、ワカンダの王座を虎視眈々と狙う。戦え、マン・エイプ!

三枝「この解説、さっきのブラックパンサーの時と、明らかにテンション違うヨ!?」

蒔寺「なるほど! 黒豹なブラックパンサーの対だから、白猿のホワイトゴリラか! 待て! パンサーのライバルってゴリラでいいのか!?」

氷室「あなたは一体何度―― 我々の前に立ちはだかってくるというのか! ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ!」

蒔寺「それにしたって、黒豹のライバルはゴリラかー。アタシにも心当たりはあるぜ。なっ?」

美綴「いきなり肩抱いて、なっ? じゃねえよ、テメエ」

氷室「蒔の字よ、それは無礼というものだ。人間の皮を被ったゴリラとゴリラの皮を被った人間は同類ではなく、むしろアイデンティティを賭け対立する者同士ではなかろうか」

蒔寺「あっ……! ゴメンな、マユ・エイプ!」

美綴「はっはっは、お前ら、明日からすり潰したバナナしか食えない身体にしてやろうか?」

美綴「何かと思えば、アメコミのゴリラの話か。アメコミのゴリラと言えば、DCコミックスのゴリラ・グロッド。最近では実写ドラマにも出たし、超高速ゴリラにもなった」

ゴリラ・グロッド(ドラマ版)

ゴリラ・グロッド(光速)

氷室「超高速ゴリラ……またアメリカ人は新たなゴリラ概念を生み出したのか……」

美綴「アニメのバットマン:ブレイブ&ボールドでは、あのジョーカー以上の出番で、ついにはジョーカーを押しのけて最終回の敵に。時には仲間と一緒に歌ったり踊ったりで大活躍だ」

グロッド&クロックキング&ブラックマンタ

蒔寺「ゴリラの熱いアイドル活動。略してゴリカツ……」

沙条「ゴリラのコミックスと言えば、早撃ちとゴリラパワーで戦うゴリラのガンマンが西部劇の世界で生きる、Six-Gun Gorillaって作品があってね。これがなんと1939年の作品で、この間著作権が切れた結果、パブリックドメインになったんだ。きっとそろそろ、英霊扱いになるよ?」

シックスガン・ゴリラ

シックスガン・ゴリラの日常

ゴリラ大暴れIN西部

氷室「公的なゴリラのガンマン。またも新しい概念だ。しかし、しれっと話に入ってきたな」

三枝「あれ……? わたしたち、最初からゴリラの話してたんだっけ……?」

アメコミカタツキ~氷室の天地で学ぶゴリラキャラ~ 完

more

2016年デッドプール伝説~映画編~

ふじい(以下F)「2017年、あけましておめでとうございます! ちょっと遅れちゃったけどね!」

サイレン(以下S)「おめでとう。とは言え、俺とお前さんは大晦日仲間内で集まって年越してたから、改めて言われてもって感じだな」

F「ああ。大晦日、周りが年齢相応に家とかローンの話をしている中、お前だけ蝶野正洋にビンタされそうになっている山崎邦正見て、ゲラゲラ笑ってたよね。なんつーか、お前見てると安心するわー」

S「いきなり何見下してやがるテメエ」

F「みんながゴルフ初めて、打ちっぱなしに通っている話をしている中、リアルタイムでガチャの打ちっぱなしをしているというのも中々にロックだと思うの。それはそれとして、2016年の話、2016年のアメコミの話ですよ。いやほらこのサイト、アメコミ系サイトとしての側面も強いわけですし?」

S「ここ最近、FGOとゴリラの話がメインだったけど。むしろアンタ、FGOとゴリラを悪魔合体させたよな?」

F「アメコミと言えばゴリラであり、つまりゴリラはアメコミで、何ら問題ない。つーかほら、絶対需要被ってるし」

S「適当なこと言ってんじゃねえと言い切れないのがまた」

F「まあなんだかんだで、2016年のアメコミは熱かったね! どうせだからさ、当サイトでも2016年のMVPとなるキャラを決めようじゃないか。投票とかそういうのは無しで、あくまで個人的に。あえて言うなら、肉雑炊賞。じゃあさっくり発表しちまうか。2016年の主役となったキャラクターは……マーベル・コミックのデッドプール! おめでとう! はい、拍手!」

映画デッドプール はじまるヨ!

S「…………」

F「お前、なんで黙ってるの? ここは、わかってた!とかやっぱな!とか、そうやってツッコミ入れるトコじゃないかな! もしくはズコーッ!って派手にコケてみたり!」

S「いや。俺、今回犬溶接マンかなーって思ってたから」

433447-_sx1280_ql80_ttd_

F「それでもいいんだけどね!? 確かに今年の犬溶接マンは凄かったよ。遂に“何故彼は犬を溶接するのか?”という疑問に、一つの終止符が打たれたし。しかもその答えが、神話世界に足を踏み入れつつ、ただ一人の犬溶接マンではなく、人類史に何人も居た犬溶接の戦士たちにまで話が広がっているんだから、とんでもねえよ」

sixpdogw_4_4-5-768x590

S「いやお前、いくらなんでもそれは……(当該話を借りて読んでみる)……ホントだ。ちゃんと納得できる形で、犬溶接マンの動機も歴史も纏めている」

F「なるほど。そういうことでしたか。こう納得できる時点で、ヤバい。犬溶接マン、相変わらずヤバい。でも、今回はデッドプールだ。おそらく犬溶接マンには、別の機会が待っている。というか、今年のMVPにしないのは、流石にデッドプールが可哀想すぎる。この二つのポイントを同時に成し得た年って、たぶんこれから先も無いからな!?」

・主演映画の大ヒット

・コミックスにおけるキャラポジションの進化

S「主演映画の大ヒットは、続編が成功すれば達成できることだから……これから先に無いっていうのは、キャラポジションの進化の方か」

F「うむ。2016年のデッドプールは、スパイダーマンやウルヴァリンのような“マーベルのメインイベンター”の域にたどり着いたと言っても過言ではない。コレに関しては後に回すとして、まずは映画方面について触れてみようか!」

 

F「まず、2016年のアメコミ系映画の状況としては、シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ、バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生。一昨年の段階では、2016年はこのメガトン級の2作が引っ張っていくと予想されていたな」

S「シビル・ウォーも実質キャプテン・アメリカVSアイアンマンだし、マーベルとDC、両者のヒーロー対決が鍔迫り合いする展開になったわけだ」

F「バットマンVSスーパーマンがあるから、本来別の路線で考えられていたキャプテン・アメリカをVSアイアンマンなシビル・ウォーに変更してぶつけてきたってえのは、ホントでも冗談でも嘘っぱちでもガチンコだよな! だが、そんなヒーロー大戦に肉薄する、ダークホースがマーベルとDC、それぞれから出現! 映画デッドプールスーサイド・スクワッド! 全世界で話題沸騰! 拡大するファン層! え? なんでコレこんなに売れちゃったの……?と困惑する制作側の皆様!」

S「困るの? 売れて困るの?」

F「いや真面目な話、売れたのは万々歳だとしても、売れ過ぎで今後数年における路線の見直しは必須となったというか……だって、全米興行収入だけで言うなら、X-MENスピンオフなデッドプール(3億6000万ドル)が本丸であるX-MEN:アポカリプス(1億5000万ドル)にダブルスコアつけちまったんだぜ? X-MEN:アポカリプス、面白いのに……悪の行く手を阻む鋼鉄のX!のシーンなんか最高なのに……」

S「あ。俺もX-MEN:アポカリプス観てないわ。睨むなよ、俺上映当時、修羅場ってたんだよ!」

F「わかってるさ。でも、もうソフト化も配信もされているから、早く観とけ。くっそ面白いから。話をちょっと戻すと、映画X-MENシリーズトップクラスの売上を果たしたデッドプールと同じダークホースなスーサイド・スクワッドも、全米興行収入でバットマンVSスーパーマンに肉薄してる。3億3000万ドル対3億2500万ドル。その差、500万ドル。でけえ数字ではあるものの、興行単位で見れば僅差よ? つーか、デッドプールは3億6000万だから、バットマンVSスーパーマン超えだな。ただまあ、全世界での興行収入となると、バットマンVSスーパーマンはこの2作に1億ドル以上の差をつけているんだが。この差は、デッドプールもスーサイド・スクワッドも、ドル箱市場の中国で上映しなかったってのがデカいね。中国は単体で1億ドル稼ぐ市場だから」

S「ううむ、スピンオフポジションな映画が、ここまで来るとは……」

F「そう。そこだよ。その驚きを、みんなが共有したのが2016年のアメコミ映画市場だったんだよ。俺だってデッドプールにはかなり高い期待値をつけていたけど、まさかここまでとは思わんかったよ! このBOXOfficeの2016年スーパーヒーロー映画一覧見てみ? Production Budget(制作費)のトコ!」

S「うん。みんな1億ドル越えの制作費なのに、一つだけ5800万ドルな作品があるね」

F「日本基準で考えると5800万ドルは大金なんだけど、こうして並べてみるとデッドプールの制作費、群を抜いて少ないのよ……。この少なさは、期待値の低さを表しているというか。少なくとも、金を引っ張れる商材と、企業やスタジオに認められてなかったわけで。だってこの金額、映画X-MEN第一作(7500万ドル)より低い、X-MENシリーズの最下位なのよ?」

S「それでいて、X-MENシリーズ最大級の売上を出したのかよ……確かにそれは、色々な人の計画や予定が狂うな」

F「アメリカの大統領選で、有力視されていたヒラリー・クリントンをぶっこぬいて、ドナルド・トランプが大統領になったじゃん。それと同じ。様々なところで、今までの視点やデーターでは対処できない変化が起こっている。デッドプールやスーサイド・スクワッドの躍進は、その気付きとなるタイミングの一つだろうな。そして、映画やドラマといった映像作品が、コミックスから独り立ちしようとしているのがハッキリしてきたんじゃないかな」

S「世界的なキャラクターの歴史や知名度で言ったら、黄金コンビなスーパーマンやバットマン、映画としてキャリアを積んできたアベンジャーズやX-MENに、デッドプールもスーサイド・スクワッドの面々は相手にならんだろうしな。ところがデッドプールもスーサイド・スクワッドも観客に支持されたと」

F「日本の興行収入で順位をつけても、デッドプールはシビル・ウォーに次いでの2番手だからね。こりゃあ、中々だよ」

S「へー。バットマンVSスーパーマンを抑えてたのか」

F「最も、ロシアやオーストラリアやフランスやドイツだと、デッドプールがシビル・ウォーすら抑えているので、日本もまだまだって感じはあるんだが」

S「上には上がいるというか、どうなってるんだ世界!」

F「しっかし、だんだんコミックス基準ではこう!というのが、映像作品に対して通じなくなってきているんだよな……。コミックスのキャラクターとしての人気や格や地位が映像作品での人気に直結していないし、作数や話数を重ねて巨大化していくことで、映像作品が独自の世界観とファン層を掴んでしまったというか。知識面は小ネタとして生き続けるけど、概念や常識にはズレが出てくるだろうね。この辺の話は、後の総括で纏めたいけど」

S「後の総括ってことは……この記事、続くの?」

F「ちょっと長くなってきたからねえ。コミックス編と総括編、どう分けるかはまだ考えているけど、続くってことで。つーか、不振と言われたX-MEN:アポカリプスも2016年の全世界興行収入ランキングで現在13位につけてるんだよな。上位には当然、デッドプールを含めたアメコミ映画がゴロゴロいるわけで。市場は向上の一言よ。ここに各作品のコストや期待値が入ってくるから考察のしがいがあるわけで。野球のバッターで例えたらこんな感じ」

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 
期待の4番としてシーズン通して打ちまくる。圧倒的MVP。

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
4番として十分チームに貢献したものの、年俸的にはもう少し打ってほしかった。

デッドプール
球場でクダまいてたオッサンをやけっぱちで打席に立たせてみたら、満塁サヨナラホームラン。
場外まで飛んでいった球を見て、監督や選手は唖然。オッサン、いい笑顔でダイヤモンドをウィニングラン。

S「どうしてこうなった……!?」

東京コミックコンベンション2016探訪記~東京コミコンIN幕張メッセ~

※この記事を区切りに、12月12日~12月18日まで、サイトの更新をお休みさせていただきます。

 

 2016年の12月の2日と3日と4日、三日間に渡り幕張メッセで開催された、東京コミックコンベンションに行ってきました。略して、東京コミコン。コミコンの名を冠したイベントだと、サンディエゴコミコンやニューヨークのコミコンが有名ですね。両イベントと運営的な関係はありませんが、そもそもconvention(コンベンション)とは大会を表す単語なので、そこいらへんは問題ないはずです。アニメのイベントならアニメコンベンション、SFのイベントならSFコンベンション。なのでコミックコンベンションというのは、同人誌即売会くらいに広い意味で使われる言葉です。以上、説明終わり。

 東京コミコンは、2日(金曜)のプレビューナイトも合わせての、土日も合わせて計3日間の開催。自分が参加したのは、最終日の4日(日曜)となります。入場料はチケット制で大人2000円。

dsc_0111

 来年の開催もアナウンスされていますので、その参考になることも願い、実際参加してどうだったのか? 何か注意しておくべきことはあるのか? そんなことをつらつらと書いていきます。
 フライングで総括してしまいますが……中々にカーニバル感溢れる、面白いイベントでした。

 

 とりあえず先に、会場を上から見下ろした写真を紹介。

dsc_0123

dsc_0122

 最終日の午後という状況下での写真ですが、中々に入っております。コミケの平常時、コミティアの混んでいる時ぐらい。こういう表現だと、人の感じ方によってだいぶ変わるので……そうですね。多少場に差はあれども、混んでいても歩くのには困らないと言った感じでしょうか。会場の広さと客入りのバランスは、ちょうど良かったのではないかと。

 あと特筆すべきは、外国人参加者の多さですね。運営側だけではなく、一般参加者にも海外からのお客さんがちらほらと。ひょっとしたら、日本在住の方かもしれませんが、何にせよ会場の国際色は豊か。ここらへん、イベントとしての色が出ていて、非常にコミコンっぽいですね。

 

 ここからは、各エリアごとに区切っての、見どころなどをつらつらと。

 

■展示ゾーン

 入り口から一直線で最奥のステージまで。中央の展示ゾーンを彩るのは、様々な映画で忘れられないシーンを飾った大道具や小道具の数々。

dsc_0093

dsc_0113

dsc_0115

 展示された映画のセットやスーツは、非現実感溢れる豪華さ。ナイト2000が、デロリアンが、バットスーツが目の前に!
 こうした洋物の映画ばかりでなく、和の映画に関わるものもしっかり抑えております。

dsc_0094

dsc_0095

 寄生獣やアイアム・ア・ヒーローや怪物くんのモンスターたち。そしてシン・ゴジラ。ハリウッドにSFXあるならば、日本にもSFX、そして特撮あり! 写真には撮ってないものの、ターミネーターのT-800やデスノートのリュークも見事な造形でした。

 この展示ゾーンのカテゴリーには、ハリウッド映画ポスターやハリウッド百年史のようなパネル。あと少しだけ離れているものの、生頼範義原画展も入るんじゃないかと。写真撮影禁止なので、こうして文章で語るしかないのですが、マッドマックスにゴジラにスター・ウォーズ……ゲームならばコーエーの歴史ゲー、雑誌ならばムー、様々な分野でこちらが気圧されるような絵を描かれる、氏の原画の雨あられ。今回だけでなく様々なところで展示会をおこなっているそうなので、お時間や機会ある方は是非に。絵の生命力に刺激され、活力が溢れてきますよ。生頼範義健康法。

 

■出展者エリア

 俗に言う、企業ブースです。
 規模や展示物は様々なれども、どこの企業もイベントに合わせてしっかりと内容を練っておりました。

dsc_0101

dsc_0116

dsc_0118

dsc_0117

 では個人的な注目株を幾つか紹介。

アトム:時空の果て
dsc_0121

dsc_0120

 海外発の、手塚治虫キャラクターのカードゲーム。沢山の作家さんが手塚治虫キャラのリメイクに参加しており、上に載せた火の鳥の担当は天野喜孝さん。なんという、御利益がありそうなオーラ。キャラクターは色々あれども、スターシステムの手塚作品内にてほぼワンオフかつ、原典からいじりようのないアラバスターのインパクトは素晴らしい。そもそも、アラバスターがこうして自分の作品外に出てきてるのが珍しいよ!

GRAFFICA NOVELS
dsc_0109

 こうして邦訳決定としてアナウンスされている書籍の数々、オウム真理教事件をテーマとした“マツモト”に、バトル寿司職人マンガこと“ゲット・ジロー”とインパクトの強い作品ばかりである。ここに並んだ四冊の共通点を挙げるとしたら、現状のアメコミ邦訳という枠をぶっこわす爆発力を秘めているということ。実際、マツモトのことをツイートしたら、様々なジャンルや普段声の届かない人がリツイートしてくれた。デッドプールやヒットマンのように、こういう広がり方をする本は強い。あとどの本も、ジャンル違えども心に残るものを生み出してくれる良作という安心感。

キン肉マン&楽園追放
dsc_0098

dsc_0099

キン肉マンのオフィシャルグッズショップである、マッスルショップ。このイベントでも広いスペースを取っており、グッズの販売だけでなく、新作フィギュアの展示や純米吟醸酒『魔雲天』の紹介もおこなっていた。『魔雲天』は、秩父山脈でのVSテリーマンにちなんで日本酒『秩父錦』製造の矢尾本店とコラボしているという力の入れようである。そして、土曜日にはなんとゆでたまご先生のサイン会という、知ってりゃ俺も無理して行ってたよ!なビッグイベントが。恐ろしく豪華なブースだった。

dsc_0100

 楽園追放のアンジェラさんの尻である。ごろ寝のインパクトが凄まじいのか、通る人みんなが注目していた。尻は国境を超える。俺最初、育ちきった双葉杏だと思ってた。

 

■個人参加(コスプレ&アーティストアレイ)

 すまない。実は、これに関しては写真を撮っていないんだ。前者は「一枚お願いします!」が言えない人間だから、後者は人の顔が入りやすいのと、イラストを展示している都合上、中々難しく。本当にすまない……ジークフリートさん並のすまない……。

 コスプレですが、非常に見ていて幸せになるコスプレイヤーさんばかりでした。なんというか、楽しんでいるのがひしひしと伝わってきて。あとコミコンということで、やはり海外発のキャラクターが多かったですね。そして客層通り、海外コスプレイヤーの方もちらほらと。実際どういうコスプレがおこなわれていたのかは、「東京コミコン コスプレ」でググってみてください(丸投げ

 様々なアーティストさんが参加、イラスト集の販売や有料でのスケッチ販売ことコミッションを請け負っているアーティストアレイ。今回、配置としては奥の奥で、一見ないがしろにされている?という疑念を抱いてしまう位置なのですが……個人的に奥配置はそういうことではないかなと。会場を広く使う上で、奥に配置するブースには「奥に配置しても人が来てくれる」だけの魅力や強い固定層が必要なわけで。例えるならば、コミケの外周部に設置される人気ジャンル。もしくは、子供が絶対来てくれるデパートの奥のおもちゃ売り場。なので、奥配置はある程度実力を見込まれた、アーティストアレイなら大丈夫だと思われた結果じゃないですかね。実際、会場の目立つ中央だと、一見良い場所に思えても、イベントの最初から最後まで平均して力を発揮すること、会場を盛り上げる綺羅びやかさが必要なので、それを個人負担してもらうのはちと厳しいかなと。どっちかというと、多くの人と配布物を用意できる企業向けですね。中央は。

 これはあくまで個人的な推測であり大外れの可能性もあるのですが、開幕早々の旬の時間を過ぎてでも人が集まっていたので、それ自体がないがしろにはならないという意志、自分たちはここまで出来るという無言の証明。何か次に繋がるもんじゃないかな。

 

■ステージイベント

 自分が東京コミコンに向かう原動力となったのは、坂本浩一監督が参加する、破裏拳ポリマートークショー。映画破裏拳ポリマーのイベントです。ポリマースーツの造形は実に良かったし、特別映像を見ての結論は行くしかねえ! 坂本監督の破裏拳流アクションも、えらい切れ味でした。あと女優さんを指して「好きな娘がまた増えました」という至言も炸裂。あの笑みと大らかさと欲望は是非見習いたい……!

dsc_0108

 ステージイベントはだいたい常時様々なものが開かれていたのですが、どれも映画の制作発表だったりトークショーだったりと、自分が破裏拳トークショーに惹かれたように、東京コミコンに行く動機となるだけの力を持つ、イベント揃いだったのではないかと。動機につながる原動力は大事です。これがないと、まず人が集まらねえ。

 

■写真撮影&サイン会

 ある意味、東京コミコンのメインイベントである写真撮影&サイン会。俳優ジェレミー・レナーやマシュー・ルイスとのツーショット写真や直筆サインがもらえるという、ときめき企画。ただしその代金は各15000円。中々に躊躇する金額で、正直俺も全く参加する気は無かったのですが、気がつけば写真撮影のチケットを当日販売口でゲットしていて、あらやだ不思議! 東京コミコン、俺のようにケチな人間の財布の紐すら緩くする魔力がありましたわ……。

 購入したのは俳優……というか、出演作品数では並の俳優を凌駕しているカメオ出演の鬼にして伝説のコミックライターことスタン・リーとの撮影チケット! スタン・リーとのツーショット写真。これは記念以上に、お守りなんだ。創作運だけでなく、御年93で日本に来た上、三日間のイベントに参加するだけのタフネス。健康運も見込めるはず。ならば、お値打ちな写真だ。正直、これがスタン・リーと写真を撮る最後の機会というのはピンとこない。小池一夫先生が毎回スタン・リーと会う度に「おそらく最後かもしれない」と言っているけど、両者ともに何度も無事再開してるしね! うむ、是非とも今後共再開し続けてほしいです。

 チケットを買って、時間通りに並んでパシャリと。流れ作業とはいえ、その人数は膨大。並ぶ時間もかかるし、写真は専属のカメラマンが撮って、撮影ブースから離れたところで即現像。撮影待ちと現像待ち、合わせて小一時間以上はかかりました。スタン・リーが分身できれば、いいのに……むしろ、ヒーロー能力として出来ないんだろうか……(無茶

 スタン・リーに会ったのは、実際数分で撮影は秒単位でしたが、他の人が言っていたように、スタン・リーのオーラ凄いですね。もはや、尊い。当人は椅子に座っているものの、じわじわと伝わってくるエネルギー。これを目の当たりに出来ただけでも、15000円はバカ安だったかもしれん。

「スタン・リーはちょっと体調不良で、今休憩時間に入ってまして……」
(なるほど。三日目だし歳だし、それはしょうがないな)
十数分後、そこにはステージのスパイダーマントークイベントに乱入したスタン・リーの姿が!
「休みなさいよ!?」

 ええコレ、実際会場であったことです。どうもスタン・リー、サイン会や写真撮影の合間を縫って、積極的に会場を回ったり、トークショーに参加したり、舞台裏で色々やっていたようです。実際のトコ、93歳だし、体調不良への身体の心配をしたくなる気持ちもわかると言うか、むしろ当然なのですが……基本、好きでフルに動いてるよね。スタン・リー。そうである以上、心配しつつ、見守るしかないですわ。すげえなあ、スタン・リー。

 

■飲食ブース&生け花

 おそらく事前に最もコミコンっぽくないと言われたのは、飲食ブースと生け花。日本の食材&生け花を紹介と、コミックからも海外からもズレてますしね。個人的には、会場のメシが美味いイベントはハズレ無しと思っているので、この試みには賛成でした。
 そして実際……いやー、賛成しておいて良かったですわ!

和牛ずし&東京地ビール(肉の匠 将泰庵コンタツ株式会社
img_20161204_105141

サバのボロネーゼスパゲッティ(伊豆・いとう地魚王国
%e3%82%b5%e3%83%90%e3%83%91%e3%82%b9%e3%82%bf

 いやね、どれもめっちゃ美味い。他にもちゃんこ鍋や堂島カレーがあったものの、売り切れや腹の都合で食べれず。でもすっげえ美味そうオーラが漂っているので、すげえ悩みました。規模拡大すれば、食のイベントとしてやっていけるんじゃないかと思うぐらいの品揃え。あと、日本の食やプレミアム感のあるメシにこだわらず、ドミノ・ピザがあったのもいいよね。様々な国の人が来る以上、ピザはわりかし平均的な食い物だし。独自性にこだわって、前のめりになっていないのがいい。

 所々の生け花も、待ち合わせ場所や目を癒すオブジェクトとして機能していました。

dsc_0110

 結果的に、飲食ブースや生け花が、東京のコミコン、日本でやるコミコンらしさの演出になっていたと思うんですよね。海外に門戸を開いている以上、日本ならではの要素が求められるわけで。例えば、サンディエゴやニューヨークのコミコンそのものを持ってきても、おそらく日本では爆発的な効果を得られないし、海外目線でもそれは求められていないこと。それだったら、サンディエゴやニューヨークに行けばいいわけですからね。必要なのは、日本に合わせたローカライズと日本ならではの個性です。この記事では、積極的に日本発の出展物や展示物を取り上げるよう務めましたが、東京コミコンの海外のアイテムだけにこだわらない会場づくりは、もっと大きく評価していいことだと思います。この視点がないと、おそらく拡大は途中で途絶えるだろうし、自分もあまりイベントを良く評価していなかったのではないかと。

 

 全体的に振り返って……決して完璧ではなかったものの、最初ならば及第点レベルの運営が成されているイベントだったのではないでしょうか。開幕ダッシュやルールの周知徹底の不備に座り込みのような問題もあったようですが、こういうのは運営と参加者共に回数を重ねることで身につくものです。以前自分も参加した初開催の某イベントで地鳴りがするほどの開幕ダッシュに遭遇したことがありますが、数年経った今では、そのイベントより開幕ダッシュ自体が撲滅されております。こういう問題への対策は、根気です。

 一つだけ、即出来る対策としてやってほしいことは「再入場の通知」ですね。東京コミコンはブラックライトに反応するスタンプを使っての再入場措置が取られているのですが、これがあまり周知されていなかったように思えます。外に出れるのならば、その場でのコスプレ禁止対策で封印されているトイレの鏡、たまり場防止策としての飲食ブースの椅子未配置、これらの問題は一挙解決します。外で鏡を使って、外で休めばいいわけですので。幸い、幕張メッセの周りは、巨大ららぽーとを初めとした施設が多数あり、休む場所や遊ぶ場所には事欠きません。ずっと会場にいるよりも、外で休んだり遊んだ方が、緩急が出来て長くイベントを楽しめるでしょうしね。なので「再入場の通知」に関しては、次回アナウンスを強めたほうがいいと思います。

 

 幕張メッセまでは時間と交通費がかかり、入場料も2000円。行くまで入るまでのこの金額、今となっては……非常にリーズナブルでした。東京コミコン、少しでもアンテナにピピっと来たら是非行くべきと言えるイベントでした。実際色々無料で貰ったり、様々なものを買い込んだ結果、帰りの荷物はずっしりと。幸せの重さというやつですよ。

img_20161204_221140

 来年も開催する予定だそうですが、来年は計画的にじっくり準備をして参加したいところです。様々な海外メディアを集めての総力戦。集めただけの価値は、十分にありました!

X-MEN:アポカリプス感想

 遅ればせながら、X-MEN:アポカリプスを観て来ました。ファースト・ジェネレーション、フューチャー&パスト、新生X-MEN三部作の完結編となる本作。観た感想としましては、独歩ちゃんが「完成したんだよ、映画X-MENシリーズが……」と呟いてしまうぐらいの集大成。新三部作だけでなく、それ以前の映画X-MENシリーズで築き上げたものや、フューチャー&パストで歴史をひっくり返してしまった都合上やっておかなければいけない描写、そして過去作の小ネタと、物語的な要素もてんこ盛り。そして向上した撮影技術やジャンルの成熟により第一作のX-MENより目指していた理想が、アポカリプスとして形になった。シリーズの良い所を伸ばしつつ、一方悪い所も残っているものの、なんとか緩和するための努力もしつつ。シリーズと付き合ってきた人間にはたまらない最終作です。

 

 原初のミュータント、古代の神、数多の能力を内包する魔人。今作のヴィランである、アポカリプスの強ボス感よ。存在するだけで世界の脅威となり、複数のヒーローと単独で渡り合える強さ。このストレートなラスボスっぽさ、逆に新鮮。ここ最近はヒーロー同士のVSモノだったり、奸智計略を武器にするヴィランが多かったから……ストレートに悪いボスという意味ではデッドプールのエイジャックスも該当するんだろうけど、デッドプールは世界の脅威と戦うというより、野郎ぶっ殺してやる!な空き地の決闘っぽさというか、個人対個人で収まっている所もあるというか。あと単純に、エイジャックスの能力がデッドプールより多分下だよね? というのもあり。

 まー、とにかく、松平健が声を当てるだけの問答無用さはありますよ。スケジュールの関係で、今回観たの字幕だったんだよなあ。吹き替えの暴れん坊ミュータントっぷりも気になる……。

 

 今回の登場キャラは、日本でも馴染み深いキャラばかりです。具体的に言うと、テレ東X-MENやマブカプに出張っていたメンバー。誰もが人気キャラなだけあって、能力はシンプルに強力でビジュアルも元来特徴的なメンツばかりと、初見でもおそらくキャッチーよね。モブレベルのキャラはともかくとして、メインキャラには全員ちゃんと見せ場が用意されております。今作におけるクイックシルバーの高速描写は、アベンジャーズでの当人や他社の光速の男と較べても、群を抜いていると思う。あの余裕ある速さは、必見です。

 今までの映画では不遇だったサイクロップスも、新人ミュータントの一人として大活躍。コミックスでは弟なハボック先に出しちゃってどうすんだという疑問に対してのアンサーはというと、

ハボック「弟のスコットです」

 うん。こういうこと出来るのが、映画X-MENシリーズだ! そして、これでいいんだよ!

 

 映画X-MENシリーズは経験値を積み重ねる反面、ブランドイメージの固定化と作品数による観客の疲労と伸び悩んでいる面もあるのですが、このアポカリプスでは例えば過去作の映像を使うことで、過去に何があったのかを思い出しやすい、もしくは理解しやすいよう務めております。いやコレは正直、他のヒーロー映画でもやるべきだと思いますが。数年前の映画の話、ただぶっこまれても、人間そうそう覚えてないですしねえ。

 幸い、このX-MENのブランドイメージを補う作品として、新規層に強いデッドプールというスピンオフが生まれたので、経験値を活かすアポカリプス路線との両輪で盛り上がって欲しいですね。正直デッドプール、世間にX-MEN系の作品としてあんま認識されてないけど。
 まだイケる、X-MENシリーズはまだまだイケる。シリーズ最終作でありながらも、アポカリプスは今後のX-MENの未来に期待を持たせてくれる作品でもありました。

 

 以下ネタバレなので、一度隠しておきます。

more