アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズなコラム~クロークとコンパチ?なヒーロー~

ふじい(以下F)「というわけで、スパイダーマン:ウェブウォーリアーズに関連した話をグダグダとやってみようぜ!と」

サイレン(以下S)「……いやまあいいけど、この形式、久々だな。しかも、コラムと銘打ってコレは初めてじゃないか?」

F「まー、最近都合で更新出来ていないのもあるし、こうなれば形式にそこまで拘る必要もないかなと。それに、やはり与太話をするにゃあ、このやり方のほうがいい」

S「馬鹿話の時だけ呼ばれる人間の気持ちを考えて!?」

F「省みなくていいなら、いくらでも考えてやるぜ? それはさて置き、ウェブウォーリアーズで、ここ数週やってたニューウォリアーズ編が終わったわけだが。新人ヒーロー発掘という物語の都合上、一話につき一人以上新キャラが出る豪華なシリーズだったな」

S「ウェブウォーリアーズって、ガンガン詰め込んでバンバン出す感じだから、取り立てて豪華というか、ある意味通常営業だったんじゃ」

F「普段から豪華っつうのも悪くねえよな!(開き直り ニューウォリアーズとして出たのは、エージェント・ヴェノムことフラッシュ・トンプソン、アイアン・スパイダーマンことアマデウス・チョー、サベッジランドの王者ケイザーにザブー。一時タスクマスターの手に落ちたものの、クローク&ダガーも加入で、もう完全にヒーローチームとして成立したな」

S「ヴァルチャーは……出自からして、やはり難しいのかねえ。ところで、何人か顔写真が出たけどスルーされたままのヒーロー居ないか? 元祖ニューウォリアーズのスピードボールや、ローニンの中の人ことエコーとか」

F「その内、別口で出番があるかもしれんし、何とも言えんな。そして、リスなわけだが」

S「あえて出る。ジャガーノートを叩きのめしてみる。でもちゃんと出ておきながら、ニューウォリアーズにもサンダーボルツにも居ないって、一周回ってレアだよな」

F「なんとなくスクイールガールの事を考えつつ、今回ワープ能力で大活躍したクロークを見ていたら、思い出したんだが……。身体そのものをダークディメンションのゲートにするクロークと、字面だけはほぼ同じなキャラが居たなあと」

S「そんな便利なやつ、早々……待てよ。アイツか!」

F「ああ。非X-MENのミュータントとして登場、後に“この人、ミュータントなの?“という微妙な立場に立たされたヒーロー、僕らのグレイト・レイクス・アベンジャーズ(GLA)所属、ドアマン!」

ドアマン

S「おいもう、ウェブウォーリアーズ関係ない領域に達しようとしてるぞ!?」

F「……大丈夫、大丈夫。ドアマン、遠目で見るとブラックコスチューム時代のスパイダーマンに似てなくもないし。大丈夫。自分の主観でなく、公式の資料からクロークとドアマンの能力を書き出してみると、こんな感じだな」

クロークはダークフォース・ディメンションへ繋がるポータルを開き、敵をこの次元の中に投げ入れたり、自分自身や他の者をテレポートさせることが出来る。(マーベル・キャラクター大事典より抜粋)

ドアマンの身体はダークフォース・ディメンションへの扉である。
ダークフォース・ディメンションという闇の異次元世界への扉を開くことが出来る。(マーベル・アベンジャーズ事典より抜粋)

S「こうやって並べてみると、ホント能力変わらんな」

F「ただ、文章にしてみるとクロークのコンパチに見えるけど、ドアマンのテレポートの有効範囲、自分と他人含めて、壁一枚がせいぜいだからな! つまりドアレベル、自らの身体は次元扉。伊達にドアマン、名乗っちゃいねえよ」

正しい能力の使い方

S「わーい、GLAクオリティだ!」

F「まあ本気出せばというか、事故レベルの事態となれば、ドアマンのワープホールっぷりは下手すりゃクローク以上なんだが……。デッドプールがいきなり飛び込んだ時には、異次元どころかタイムワープしてたぞ」

S「それもう、タイムホールですよね!?」

F「デッドプールが過去の世界でピーター・パーカーに扮しててんやわんやしている最中、ドアマンは腹痛でずっと苦しんでいたし、確実に偶然のなせる技だったけどな」

フキダシに注目

S「ゲート云々じゃなくて、中に入れたもんが悪かっただけじゃないのか」

F「後はまあ、自分の体組織を変化させて、敵の攻撃を透過出来るのは評価ポイントだよな。実質、物理攻撃に関してはほぼ無敵みたいなもんだし」

必殺!透過能力!

S「なるほど! こうやって、致命傷の攻撃を誤爆させることが出来るんだな!」

F「ああ! この脳天にサイが刺さったグラスホッパーは、味方にしてGLAのメンバーだけどな!」

S「うぉぉぉぉぉぉぉい!?」

F「スカウトを承諾して、GLAに加入してから数秒後の死亡。おそらく、チーム加入から死亡のベストレコード候補」

S「なんだろう、徹頭徹尾ドアマン、能力や素養の使い方間違ってるよな。つーか、結構凄いんじゃないかなスペックがいちいち死んでて、勿体ねえ……!」

F「X-MENやアベンジャーズなら許されないな! だがある時、世界を救う為に、触れることすら危ういエネルギーフィールドにドアを作り死亡。残る仲間に全てを託して、その身体は粉微塵になったんだが……いやなんか、その時のエピソードに関わっていた忘却を司る宇宙存在オブリビオンに見出されて、潰えた魂を死後の世界に導く死の天使になっちまったんだよなあ。そのまま、普通にGLAに帰って来て、今に至ると」

忘却のオブリビオン

S「死の天使、バイト感覚なんだな……」

F「一回死んだ影響で、タイツの下の素顔が髑髏になっちまったけどな。一応これで、あの世へのゲートは開けるようになったし、パワーアップは……したのかな? そして、死の天使をミュータントにカウントしていいんだろうか。この辺り、科学的にミュータントじゃないんじゃない?言われたクロークの経歴とも被るんだが、ドアマンの場合は死の天使になった後も、俺ミュータントだよ!なアピールしてるんだよなあ」

ドアマン(死の天使)

グレイト・レイクス・エックスメン

S「クロークと一緒で、どこかに検査してもらうしか無いんじゃないか」

F「X-MENやアベンジャーズやファンタスティック・フォーみたいなちゃんとした所が必然性にかられてドアマンを徹底的に検査している未来が、全く見えないんだが」

S「奇遇だな。俺もだ」

アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズなコラム~その2~

 アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズ第3話!
 その2なのに3話!(土下座 2話の感想やコラムは手が回らなかったので、現状ややこしいですが、このナンバリングでお願いします。

 ヴェノムに侵されたスコーピオン登場。スコーピオンは原作におけるフラッシュの前の2代目ヴェノム。

 フラッシュの着ていたコスチュームは、一時期スパイダーマンとコンビを組み、その座も受け継いだ2番目のスパイダーマン、スカーレット・スパイダーの物。

 開始5分で、ヴェノムと相棒要素を、サクサクと消化してったなあ。そしてアメフトのプロテクターを装備し、ビートルから武器やアーマーを奪うことで、兵士要素のない高校生のままエージェントヴェノムとしてのヴィジュアルを再現。ディスクウォーズが1からの組み上げなら、アルティメットスパイダーマンはある物を使っての組み上げ。最も、日本とアメリカではある物の初期値が違うので、日本視点だと上記の要素もあまりピンとくるものではないし、どうしても早足に見えてしまうのですが。
 スパイダーマンに限らず、この初期値の違いをどう埋めていくのかが、海外アニメが日本でも成功するための鍵なのかもしれませんね。かつてのテレ東のX-MENやビーストウォーズは、すげえ埋め方してましたが。横恋慕へのダメ出しや、豊臣秀吉で埋めてたからね! ちがうなこれ、認識ごと色々一緒に埋めてるな!w

 そして全国100万人の生徒達がお待ちかねな、タスクマスター登場! キレッキレな体術と、多彩な武器の披露はイメージ通り。後何気に、スーツがバージョンアップ。何あのドゥームみたいに偉そうな腕組みポーズでの飛行。
 しかしこのアニメの(地上波未放映な)タスクマスター初登場回。アレの時も……タスクマスターが体育教師として高校に潜入! 生徒に体力測定をさせて、高校にいるっぽいスパイダーマンの正体を見破れ! よし見破ったぞ、スパイダーマンの正体はお前だフラッシュ・トンプソン!と、フラッシュのせいで仕事失敗してるんだよな。タスキーにとっての、鬼門かよフラッシュ。そしてあの時、ピーター・パーカーの運動音痴のフリを見抜けなかったことで、若干評価が落ちてるよタスキー。デッドプール回に出る羽目になったのは、罰ゲームだったのかよタスキー。

 今回のエージェントヴェノム覚醒回を皮切りに、次回からは新たなる戦士ニューウォーリアーズ編。光と闇の二人組が、密林の王者が、世界7番目の天才が、重力子の申し子が、リスが、次々と強力なヒーロー達が登場! 斬新な顔ぶれというか、色々な意味で第三期で無いと出すの難しい連中ばっかだぜ……特にリス。
 今日の紹介は、日本におけるヴェノムのイメージより先、今のヴェノムであるフラッシュ・トンプソンで! なあにタスクマスターは、この先も出番がある! とりあえずちと作成時期が古いですが、タスクマスターに関してはこちらをどうぞ。

 

学園の王、再誕する。

フラッシュ・トンプソン(エージェント・ヴェノム)

フラッシュ・トンプソン

 アメリカ学生社会のピラミッド構造を示す“ジョック“。最下層であるナード達(オタクやゴスやガリ勉)、メッセンジャー(パシリ)やワナビー(取り巻き)を経由し、頂点であるクイーン・ビーやジョックにたどり着く。ミッドタウン高校の生徒、ユージーン・フラッシュ・トンプソンは、ジョックの象徴的なスポーツであるアメリカンフットボールのエースであり典型的なジョックだった。学園の支配者とも称されるジョックであるフラッシュは、極自然にナードに属する同級生、ピーター・パーカーを見下していた。ピーターに高校時代の友人が少ないのは、当時のフラッシュの扱いが遠因にあるとも言われている。

うまくいかない関係

 しかし、ピーター・パーカーがスパイダーマンになることで、徐々に二人の関係と更に取り巻く環境は変わっていく。事故によりスパイダーマンに覚醒したピーターは、ヒーローであることが自信となり、徐々に自分の殻を割っていく。そんな彼の姿に好意を抱いたのは、ミッドタウン高校の華であり人気者であり、フラッシュも好意を抱く女性、リズ・アレンだった。リズがピーターの好意を見せるたび、フラッシュは嫉妬に焼かれていく。
更に面倒なことに、フラッシュは街の平和を守る蜘蛛男、スパイダーマンの大ファンでもあった。ファンクラブの会長にも就任し、スパイダーマンのような男になりたいと憧れ続け。つまり二人の関係は、非常にややこしかった。フラッシュがヴィランになったわけでもないのに、ややこしい。

リズ&フラッシュ

 フラッシュは、エンパイア・ステート大学に進学。ピーターもまた、全額免除の奨学生として同じ大学に入学する。高校時代の関係もあり、何度も諍いを繰り返すものの、環境の変化と同じ高校であるという同郷意識により、フラッシュとピーターはやがて友人となっていった。
 科学を専攻し、スパイダーマンとしての活動のせいで留年し、やがて大学院へと進んだピーターとは違い、フラッシュは軍によるスカウトを受ける。スパイダーマンのように、人の為になる男になりたい。フラッシュは承諾。当時、米国との関係が不穏であった東南アジアに出征した。だが、戦後帰国した彼の人生は、現実と悪鬼たちに苛まれ、不遇な物となっていく。
 スパイダーマンのライバルであるグリーンゴブリン(ノーマン・オズボーン)の装備を盗み誕生したヴィラン、ホブゴブリン。「かのヴィランの正体は、スパイダーマン史上、最も大きな謎である」とまで言われた、単なる亜種に留まらない強敵。そんな強敵を、TVのインタビューを受けたフラッシュは臆病な卑怯者だと罵ってしまう。TVを見ていたホブゴブリンは、フラッシュを拉致。謎多き自身の身代わりに仕立てあげ、フラッシュに濡れ衣を着せた。なおフラッシュの嫌疑が晴れた後も、真のホブゴブリンは身代わりを駆使し逃げ切り、正体が明かされるのはずっと後の事となる。

ホブゴブリン

 心身ともに大きく傷ついたフラッシュは、アルコールに逃げた結果依存症に。軍もとうに辞めており進退窮まった彼を救い、自らの会社に招いたのは……もう一人の悪鬼にして本家本元のグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンであった。

グリーンゴブリン

 友人を傷つければ、優しいピーター・パーカーの心も傷つく。オズボーンの標的となったフラッシュは、アルコールを飲まされ、自身の車で母校ミッドタウン高校に突っ込まされた。飲酒運転で母校に突入、かのジョックのとんでもない末路と思われてもおかしくない事案だ。
 ジョックという階級制度はあくまで学内の物でしかなく、卒業後には井の中の蛙であったという現実が待っている。天才も東大入ればタダの人。典型的ジョックであったフラッシュを待っていたのは、典型的なジョックの運命でもあった。
 事故により傷ついた身体と名誉を回復させたフラッシュは、一度母校に体育教師として就職するものの、政情不安による求人や戦い続けるスパイダーマンの活躍に触発され、軍隊に再入隊。イラクにて憧れのヒーローの勇敢さに負けぬ働きを見せるフラッシュ。司令官や仲間を危機より救ってみせた彼は、両足を失い、負傷兵として帰国した。

フラッシュ・トンプソン(帰還)

 人生に絶望しかけていたフラッシュを救ったのは、ピーターの厚い友情であった。友情により命をつないだフラッシュの元にもたらされた、軍の極秘プロジェクトへの招聘。失った両足を取り戻し、あれだけ憧れていたスパイダーマンと同じコスチュームヒーローになれる。軍のヴェノム計画に参加したフラッシュは、新たなる正義のヴェノム、エージェント・ヴェノムになった。
※エージェントヴェノムとしての説明はこちらを参照。

エージェントヴェノム

 最初は、アニメと同じくシンビオートを纏うヒーローであることを不安視されていたが、フラッシュの献身とシンビオートを制御しているという事実により、シンビオートを不安視するスパイダーマンやヒーローのリーダー的役割を務めるキャプテン・アメリカの信頼を獲得。サンダーボルツやシークレット・アベンジャーズ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと数多くのチームに属することとなった。最初は軍に居たため48時間の時間制限や自爆装置を付けられていたが、フラッシュとヴェノムの管理権がアベンジャーズに移った結果、管理の弱化やハンク・ピムらの尽力により徐々に制限規制は緩くなっている。

エージェントヴェノム(シークレット・アベンジャーズ)

エージェントヴェノム(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)

 フラッシュは実写映画としてのスパイダーマン。サム・ライミ版とアメイジング・スパイダーマンの両作に登場しているが、両作共に途中で消えている。もし再度のリブートがあったら、しっかりとした形でスポットライトを当ててほしい一人である。あと何気に、フラッシュ・トンプソンの初登場はアメイジングファンタジー#15、スパイダーマン初登場号である。まだオズボーンもMJもグゥエンもジェイムソンも出ていない頃に、ベンおじさんやメイおばさんと登場。レギュラーキャラ屈指の偉業である。

フラッシュ・トンプソン(初登場時)

 高校時代のフラッシュとピーターの間柄は、決して良いものではなかった。だがフラッシュはフラッシュなりにピーターを分かろうとし、ピーターもフラッシュの素直になれない優しさを見抜いていた。リズにつきあって、なんとなくな!と、言い訳しつつピーターの苦難に、幾度か手を貸してくれている。大学生となり分かり合えたのも、高校時代の思い出と互いの成長があってこそだろう。
 フラッシュが両足を失った時、ピーターは自分のスパイダーマンとしての活動がフラッシュにプレッシャーを掛け、この悲劇を招いたのでは?と内心苛まれていた。だがフラッシュは、シンビオートを制御する事で、スパイダーマンに憧れ目指し続けてきた男の正しさを証明してみせた。物事とは、過ちは証明しやすく、美点は証明しにくいもの。そんな中、自らの行動をもってしてスパイダーマンの活動の正しさを証明してみせたフラッシュは、スパイダーマンの最高のファンにして、ピーター・パーカーの親友と呼んでも差し支えない筈だ。

フラッシュ・トンプソン&ピーター・パーカー

紹介! フラッシュ:新たなる挑戦!

ふじい(以下F)「DASH! 時代を越え!」

サイレン(以下S)「SMASH! 世代を越え!」

F「FLASH! 世界を越え! とどろく 賛美歌 勇気の証! というわけで、光速の男ザ・フラッシュ邦訳本、フラッシュ:新たなる挑戦(THE NEW 52! )発売!という事で、DASH!でFLASH!なこの本の紹介をざっとしていこうかと。SMASH!分はまあ、どっかのグリーンジャイアントにでも任すとして」

S「それがやりたいから、いきなりの勇気の証だったのかよ!? ……いや、俺もアニメタル好きだけどさ」

F「アンタモスキネー。そしてフラッシュは、同人誌作ったり、紹介記事を何度か書くぐらいに、自分的に好みなヒーロー。今回の邦訳フラッシュにおけるまず重要なポイントは、タイトルにもあるTHE NEW 52!よね」

S「THE NEW 52。DCコミックスが当時の連載作品をすべて終わらせて、新創刊した52タイトルの事だな」

F「要はスーパーマンやバットマンやワンダーウーマンにフラッシュにグリーン・ランタンに。全部一回終わらせて、また1から、第一話から始めましょうという世界観のリセット、通称リランチだな。なぜ世界の終了と再構築なんて事が起こったのかという物語的な理由は、同じくフラッシュが主役なフラッシュポイントを読んでもらうとして。タイトルに付いたTHE NEW 52!の意味は、設定が一新されたリランチ後の世界ですよという、一つの証だな」

S「言い方を代えれば、リスタートかね」

F「所で、定期的に色々な所から出てくる話題で、実際俺も何度か口にしているテーマで……“入門用に適したアメコミ“というのがあるが、読みやすさや理解のしやすさ、シンプルに考えた場合、THE NEW 52レーベルの作品の入門用としてのポテンシャルはえらく高い」

S「そりゃそうだ。元々、世界観を一新した上での作品群なんだもの。知っている人間が居ない以上、誰にでも分かるように、新しい世界を理解できるような話作りが求められるわけだろ?」

F「ああ。THE NEW 52における第一話が入門用作品としてポテンシャルが高いのは、当たり前の話なのよね。だって元々、新たな世界に入門するための作品として作られているんだからよ。今は続き物があるから、全てが入門用とは言えないけど、THE NEW 52邦訳化の魁となった、ヒーローチーム、ジャスティス・リーグの第一話こと、ジャスティス・リーグ:誕生(THE NEW 52!)は現状最高クラスの入門用だぜ。シンプルさや漠然としたアメコミのイメージを求められたら、コレを推す。現在の海外におけるヒーローコミックスの最先端と言っても過言ではないし。刊行から数年経ってるけど、世代交代程の時は経ってない以上、まだ行ける! まだ最先端よ!?」

S「しかしTHE NEW 52って言っても、バットマンはリスタート色が薄いよな」

F「バットマンというかゴッサム・シティは、強くてニューゲームばりに、色々引き継いでるからな……邦訳でもちゃんと追われている、グラント・モリソンのシリーズも、ほぼ継続状態だし。ただ、その一方で刊行されたダークナイト:姿なき恐怖(THE NEW 52!)は、フラッシュ:新たなる挑戦やジャスティス・リーグ:誕生と同じリスタートの第一話ポジションだとは思うよ? 次々と出てくる強敵、頼れる仲間たち! アクション重視でストーリーもシンプルと、非常にヒーローコミックスっぽい」

S「普通だよな。極上の、普通」

F「普通も大事。シンプルさも大事なのよ? こういう時にゃあ」

 

 

S「しかし、今挙げたのはフラッシュの良い所じゃなくて、THE NEW 52の良い所だよな。フラッシュ独自の良い所っていうと、何処だろ?」

F「そうだな。フラッシュの良い所となると……まず再構築による物語の一本化かね。フラッシュといえば超高速、その力の源といえばスピードフォース」

S「ああ。あのゲッター線?」

F「身も蓋も無えなオイ!? でも、大体合ってるのが恐ろしい。フラッシュの速さの源であるスピードフォース! フラッシュだけでなくDCコミックスにおけるスピード系ヒーローの大半は、スピードフォースとリンクすることにより速さを取得。その源泉は、異次元に存在し……止めておこう。スピードフォースについて語り始めたら、マジで終わらねえ。とりあえず“よく分からないが、なんだか凄いエネルギー“と言う事で」

S「そっちも負けじと身も蓋もないよな」

F「このスピードフォースの設定自体は、三代目フラッシュのウォリー・ウェストの時代に出来た物で、初代フラッシュのジェイ・ギャリックや二代目フラッシュのバリー・アレンが活躍していた頃には、まだ存在せず。当然、いきなり超凄いエネルギーとして生誕したわけでなく、話を進める毎に設定を追加していく感じで。ジェイやバリーと言った過去や周りを巻き込みつつ」

S「設定の追加による継ぎ接ぎ。長期的ドラマな、アメコミにはよくある話ね」

F「だが、フラッシュ:新たなる挑戦は、設定の一新により初めからスピードフォースを軸に置いた物語に。スピードフォースに選ばれた男、バリー・アレン。光速の男フラッシュとなった彼の前に立ちふさがる、キャプテン・コールドやウェザーウィザードと言った悪党集団ローグスの面々、超知力を持つゴリラ達の王国ゴリラ・シティの邪悪なる王グロッド! 嘗ては自然発生的に出て来たヴィラン達。しかしTHE NEW 52の世界における彼らは、何らかの形でスピードフォースに関わって力や知力を得ている」

S「旧作だと、ゴリラシティのゴリラ達が賢い理由は、宇宙人から知恵を授かったからだっけか?」

F「THE NEW 52では、この知恵を授かる過程に、スピードフォースが深く関わってくるわけだ。宇宙人という突拍子の無さが、緩和されたな」

S「お前は、ゴリラがいきなり喋るどころか超科学を振るうという展開自体が突拍子もない事を、いい加減学んだほうがいい」

F「スピードフォースを軸に一本化することで、物語がスリムに。スピードフォースという大樹に、フラッシュやゴリラと言った枝葉を生やしていく。継ぎ接ぎもいいけど、こういうやり直すからこその、地に足の着いた物語は読み易いし分かりやすいよな」

S「しかし……最初例としてゲッター線を出したが、ゲッター線も最初は“デカいロボットを動かすエネルギーで、恐竜の絶滅の原因“だったのが、最近は“大宇宙の根源にある進化の力“レベルにまで話大きくなってるよな……」

F「任せろ! 月ごとふっ飛ばしてやる! 設定の膨らみ方では、スピードフォースとゲッター線は互角と言っていいんじゃねえかな。フラッシュ:新たなる挑戦は、ゲッターロボサーガで言うところの、真ゲッターロボ作品や新ゲッターロボのポジションなのかもしれんな」

 

 

F「そしてもう一つの特徴となると、やっぱ絵、アートかね。漫画コミックスである以上、縁が切れない物であり」

S「そりゃそうだな」

F「最近は画像控えめの紹介やレビューを目指しているものの、正直言葉で伝えるのが難しい!ということで、二枚ばかりタイトルページを貼ってみるぞ。漫画もアメコミも、タイトルページと言ったら、普通は別個イラストがあって、そこに別口でタイトルを貼り付けるような形なんだが……」

フラッシュVSタービン

フラッシュ&ローグスVSグロッド

S「一枚目は二人が戦っている土台が、二枚目はキャプテン・コールドの足元の氷がタイトルになってるな」

F「そしてこれは、話の一シーンだ。つまり、フラッシュ:新たなる挑戦で使われている手法は“タイトルページもタイトルも、別個や別口で用意せずに、話と一体化させる“って事だな。別の話では、水たまりの形がFLASHの形になっていたりして、今回こういうタイトルの出し方したか!と探す楽しみもあるぞ」

S「コマ割りも結構画期的だったりするよな。少なくとも、俺の中でのアメコミにおけるコマ割りの常識どころか、漫画のコマ割りへの常識もぶち壊されたよ」

F「流石にその辺を説明するには長々と話を貼り付けるようなので、昔の攻略本の常套手段こと、後は君の目で確かめよう!を使わせてもらうが。フラッシュ:新たなる挑戦を実際読んで、確認してほしいね」

S「それにしても、革新的なアートだよな」

F「うーむ。理由としては、アーティストとライターが兼業ってこともあるかもな。絵も話も、フランシス・マナプルさんが同時に担当しているから」

S「へー。分業制のアメコミ界隈にしては、珍しい制作体制だな」

F「ライターの方はブライアン・ブッチェラートさんとの共著になっているし、フランシスさんが完全に一人でやったわけじゃないけどね。でも、こうして話の構築において関わっている部分が多いってのは、画期的や革新的なアイディアを使いやすい状況なんじゃないかな?」

 

 

F「基本的には、後は君の目で確かめよう!(二回目)なスタンスでの紹介だったわけだが。すっげえ簡単に言うと、話も絵も見どころや画期的な所があるから、読んでみると目が覚めるよ!ということで」

S「目が覚める。そうだな、フラッシュの本格的な日本上陸は珍しいし、今まで観たこと無い光景が見れる可能性は大だ」

F「これから先の話としては、超濃密ゴリラ空間展開! ローグス一挙勢揃い! ヒロインがメガネっ娘とか最高だしこのまま行こうぜ!てな感じで」

S「待て。今の紹介、お前の私欲、むっちゃ入ってる。特に眼鏡のあたり」

F「高速ヴィジョン 見逃すな。ついて来れるなら……! 話もアートも、めくるめく超高速。続きへの期待も込めて、是非ともついて行きたい作品です!」

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その46~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、45話。
 絶対勝利の鍵、それは至高の魔術師ソーサラー・スプリーム!

 ダークディメンションの魔力に侵されたトニーを救うに、科学でどうにも出来ない。なら魔法だ! 一見やけっぱちに聞こえますが、至高の魔術師ならぬ至高の科学者たるハンク・ピム(ジャイアントマン)が「科学ではどうしょうもない」と判断した以上、別のアプローチたる魔術魔法に頼るしか無いわけで。元々、ダークディメンションがオカルト方面に属することは、ブレイドによって明かされてますしね。それが無かったら、とりあえずブラックパンサーの呪術(薬草学)かアイアン・フィストの気功パワーで治そうとするシーンがきっと……いや待て。気功パワーは魔力もふっ飛ばしそうなイメージあるぞ?

 ストレンジの助力は欲しいが、肝心のディスクの場所がわからない。事態を打開したのは、ローニンならぬアカツキ博士の意思と意地。これなら、まだ還って来る可能性もあるのか? しかしローニン対ブラック・ウィドウ&ホークアイ。ローニンと縁深いホークアイとの対峙もそうですが、このブラック・ウィドウとホークアイが並び立ちローニンと戦う光景にもデジャヴ感が。詳しくは、こちらをどうぞ。

 セレブレティ5の「この人達、ロキに関わらなければ幸せだったんじゃ」臭。元SHIELD科学者のティムはともかく、他のメンバーは投げ捨てたもん多すぎるよなあ! そして元シェフの経歴が、いよいよ輝いたマニーノさん。思ったよりまっとうなシェフで、ビックリよ!? てっきり、敵の料理を台無しにするためスプリンクラーを誤作動させたり、中毒性のあるブラックなカレーを客に出したりのヴィラン系シェフかと……。道、誤ったなあ。

 序盤のラフト刑務所の騒乱に巻き込まれてディスク化されて以降、出番のとんとなかった至高の魔術師、ドクター・ストレンジを巡る攻防! 至高の魔術師復活を遮るのは、至高の錬金術士ディアブロ! ディアブロドーピングによる、デストロイヤー超強化! 量産品扱いなDW版デストロイヤーが、ハルクも吹っ飛ばすパワーに! 一緒に吹き飛ぶ、先週のパワーバカ四人の立場!
デスソースから伏線が張られた結果のディアブロ大敗北。しょうがねえよ、あの人、薬品を使わないと能力発揮できない都合上、わりとそっからのミス多いし! RPGに出たら弱点:衝撃とかになるんじゃないですかね。ビン落とすから。

 ドクター・ストレンジの参戦が遅れた理由は「あいつ一人でいいんじゃないかな」になるからです。こんな話だとしてもおかしくない、至高の魔術師の暴れっぷり。トニーを救う手腕もそうだけど、超強化デストロイヤー+錬金術士も一蹴かよ! 戦隊ヒーローで言うなら、最期に出てくる全員合体のキーパーツなロボor追加戦士のポジションだ、この人!

 次回予告より漂う戦乱の気配! 二頭巨人が、巨大鉄人が、ダークディメンションに潜む最悪の男が、ついに姿を表す。なので今回は、ストレートに至高の魔術師の紹介をするしかあるまいと! と言うわけで、今日の紹介はドクター・ストレンジです。

ドクター・ストレンジ

ドクター・ストレンジ

 ドクター・ストレンジ。この名はまず、医療業界で知れた名だった。優れた腕前と見識、強大な傲慢を持ち合わせた名医ストレンジ・ビンセント・ストレンジ。人生の絶頂へと達した彼を引きずり落としたのは、自動車事故(一説ではスキー事故)だった。事故の後遺症で神経を損傷し、メスが握れなくなった名医。治療法の探求で財産を失い、アルコールに逃げたことにより信用と正気を失い。アル中となった彼が最期にすがったのは、チベットに棲まう伝説の治療者エンチェント・ワンだった。

エンチェント・ワン

 元より半信半疑、魔法など信じない科学主義者だったストレンジ。だがしかし、エンチェント・ワンは本物であり、地球次元至高の魔術師ソーサラー・スプリームと呼ばれる程の男だった。魔術で寿命を延ばしてきた、5世紀生まれのエンチェント・ワン。そんなエンチェント・ワンは、自身の死がやがて必然となることまで予期していた。後継者足りえる人材としてバロン・モルドという男を育てていたが、実力はまだしもモルドの中に眠る邪心は警戒せざるを得ない物だった。
 事実、モルドの中の邪心は爆発し、師であるエンチェント・ワンの殺害を目論むこととなる。モルドの策謀に巻き込まれたストレンジは、魔法が存在するという事実、それを使う悪がいる事を知る。モルドにかけられた魔法を打ち破ると同時に自らの傲慢や弱さを砕いたストレンジは、エンチェント・ワンに弟子入りを志願する。エンチェント・ワンもまた、このアメリカ人に可能性を見出していた。だからこそ、モルドの裏切りを知りつつあえて放置し、ストレンジにかけられたモルドの魔法を密かに解呪していたのだ。全ては、ストレンジという男を見出すために。
 エンチェント・ワンは自らが知る魔法魔術の授与だけでなく、神秘のアミュレット“アガモットの目“などのアイテムも与え、ストレンジを一流の魔術師へと生まれ変わらせた。医師でなく魔術師、新生ドクター・ストレンジの誕生である。

ドクター・ストレンジ 初登場

 チベットを降りたストレンジは、ニューヨークに拠点を構え、悪しき世界から現れた不可解な生物や邪悪な存在との戦いを始める。夢を操り人の心を嘲笑う、悪夢の王ナイトメア。エンチェント・ワンの予期していた死の原因となった、混沌世界カオスディメンションの神シュマゴラス。混沌よりの追放者、暗黒世界ダークディメンションの魔人ドルマムゥ(ドーマムゥ)。更に兄弟子バロン・モルドも、宿敵として何度も立ちはだかった。

バロン・モルド

 エンチェント・ワンの死後。ストレンジは彼の異名“ソーサラー・スプリーム“を受け継ぐことになる。至高の魔術師は、こうしてストレンジに代替わりした。所謂魔術的ヒーローであるストレンジは、他のヒーローとも共同戦線を張っている。アベンジャーズへの協力や参加も多いが、やはりストレンジと言えば、ヒーローチーム、ディフェンダーズとなる。ストレンジによって結成された、緩やかなヒーロー集合体。必要がある時だけ集まり、いつ加入や出入りがあったのか当人ですらあやふやなチーム。ただし、その分、アクの強い強力なメンバーが参加しており、最初期メンバーはストレンジ、怪力無双のハルク、海の王ことネイモア・ザ・サブマリナー、銀色の滑空者シルバーサーファーと、強力なメンツである。そして緩やかな関係性であっても、彼らの絆の強さはアベンジャーズに決して劣らない。

ディフェンダーズ

 能力は、魔術魔法に関わることならば大抵何でも出来る。正確には、どんなことでも大抵なんでも出来る。魔術魔法は常識論理の塗替えや改変だけでなく、直接の殴り合いや攻撃の手段ともなる。エンチェント・ワンより譲り受けたアイテムは更に数を増し、現在では宝物庫や図書館を別次元に作り上げるしかない程の量に。自分では使わない系統、邪悪な黒魔術への知識もあり、使用自体はいつでも出来る。正に万能の存在と言うか、これぐらいでないとドルマムゥやシュマゴラスと単騎で渡り合えない。あまりの性能の高さのせいか、チームに参加する際は能力を下方修正せざるを得ない、むしろどうやって彼を独りで活躍させないかこそがライターの腕の見せどころ、とまで囁かされている。ディスクウォーズでの参戦時期の遅さも、この工夫の一つに思える。

儀式開始

 ストレンジは何でも出来るが、何でも出来ない。彼のブレーキとなっているのは、善性である。彼自身の資質もあるが、ソーサラー・スプリームである者には正しさが求められる為、好き放題に魔術を使うことは能力の喪失に繋がる。事実、ヒーロー間の秘密組織イルミナティへの参加から始まる、ハルク追放劇。ワールド・ウォー・ハルクの際、禁じられた黒魔術を使用し悪魔と契約した結果、ソーサラー・スプリームの名と魔力の一部を失っている。現在はハルクとの和解や、次代のソーサラー・スプリームの名を継いだ者の死により、再びソーサラ・スプリームの座に返り咲いている。最近は、イメージたる青の服でなく、タイツに似た新コスチュームを纏っていることも多い。

ドクター・ストレンジ(新コスチューム)

 ベネディクト・カンバーバッチ主演による実写映画化も決まっているストレンジだが、日本での大々的なお目見えとなると、今週のディスクウォーズより少し前、ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3への参戦が記憶に新しい。過去作へのシュマゴラス出演、マブカプ3へのドーマムゥ出演、自身の好敵手たちに遅れての登場となった。

ドクター・ストレンジ(MVC3)

 暴走や考え違いにより、時折トラブルを起こす面もあるが、全ては今をより良くしようという心あってこその物である。なにより師匠であるエンチェント・ワンは、魔術的素養より何より、窮地に陥りながらも他人であるエンチェント・ワンを救おうとした、ストレンジの善性に後継者としての相応しさを見出したのだから――。

紹介! デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション!

サイレン(以下S)「ゾンビに秘境に恋愛にデッドプール大量発生なやり放題で大人気なデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス! 本人だけでなく名作高い元祖キルズなパニッシャー版も収録されたデッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース! スパイダーマンやデアデビルにまたまたパニッシャーとストリートを駆け抜けるデッドプール:スーサイド・キングス! そして遂に3月、一般流通デッドプール誌第四弾、デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション発売! さあ、いつも通りレビューや紹介なんて物をやってみようぜ!」

ふじい(以下F)「いや。特に言うことは無いけど」

おわり

S「おわったー! っていうか、なんだこれ! なんだこれ!?」

F「はっはっはっ。この間、ウチの環境はアスキーアート貼るのに向いてない言われたから、元ネタになりそうなアスキーアートを見つつ、自分で描いた。これなら文句ないだろ」

S「無いけどあるよ! どうせやるなら、メモ帳とか使うなよ……モロに線出てるし……。おまえ・イズ・バカ!?」

F「イエス・アイ・アム! 馬鹿話とアホ英会話はここまでにしておくとして。実際、デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプションに関してあまり触れることはないのよね。正確には、触れることが危ういというか……」

S「危ういって珍しいな。まさかデッドプール:デッド・ヘッド・リデンプションの紹介をしたら、誘拐された子供の命がピンチとか? それなら今頃救助されてるから平気じゃないかな」

F「そうか。子供は助かったのか。よし、さんざん我慢したが、これから本番だぜ! いや待て、誰がなんで誘拐するのよ。危ういってのはアレよ、ネタバレ的な問題よ。お前も確か原書読んだ事あるよな? なら、分かるだろ」

S「……なるほど。確かにデッド・ヘッド・リデンプションは難しいな」

F「デッド・ヘッド・リデンプションはシリーズではなく、複数の冊子を一つに纏めた際の名称。内訳としては、2009年に刊行されたデッドプール900号+2010年発売のデッドプール1000号の記念号二つに、1998年に出た特別号デッドプール・チームアップの三冊を足した物だね。つまり、特別編のジェットストリームアタック。弱冠、別のタイミングで紹介された短編も混ざってるがね」

S「いやーそれにしても、900号と1000号って凄いよな。スパイダーマンどころかバットマンやスーパーマンもビックリだ(棒」

F「そうだね。カウントダウン形式じゃなければ大記録だよね(棒 この時期は、号数だけでなく次回予告や新刊告知でも遊んでたからなあ。作中火ぃつけられて飛行機から落とされたモブにフライングファイヤーマンとか勝手にあだ名つけて、彼の個人誌が始まるよ!とかフいてみたり」

S「最近はこういうのやってないよな? 別ベクトルでひっでえことは幾つもやってるけど」

F「こういうネタには鮮度があるしなあ。あと、流通とかデーターとかを管理する立場から見たら、ウソ予告とか数え方とかいつまでやるんだよ、めんどくせえ!ってブチ切れてもおかしくはないし」

S「わかるわ。それはともかく、900号と1000号の形式がさっき言った“紹介することが危うい“の根拠だろ? それも、わかるわ」

F「ショートとかイシューとか、色々な言い方あるんだけどー……まあすっげえ簡単に言うと、900号と1000号はデッドプール公式アンソロジー! 様々なアーティスト&ライターが“デッドプール“をテーマとした短編に挑む! いわば、フルカラー短篇集!」

S「ただ、一話自体は10ページ弱と短いんだよな。さらっと紹介したら、起承転結の起承転ちょっと通り越して結も半分ぐらい書いてしまうぐらいに短く」

F「そこなのよ。筆滑らせてオチまで書くのは、危ういじゃん? ネタバレしたら、援護射撃が背中にぶち当たる感じじゃん? なお内容に触れず、お気に入りな短編に勝手にタイトル付けしてみたら、だいたいこんな感じ」

デッドプール、キャトルミューティレーションにあうの巻

デッドプール殺人事件! 惨殺死体探偵登場!の巻

謎の男、キャプテン・カナディアン! カナダマン登場!の巻

S「わーい、超ヒドい!」

F「他にも以前大半を書いちゃったので言及はさけるVSサンタクロースや、タコ博士との卓球勝負編や激太り編とか、すっげえのばっかだからね! やり逃げが許される短編だからこその、各クリエーターのやりたい放題! 初っ端から、アイアンマン&キャプテン・アメリカ&ソーのビッグ3が死んでても許されるし!」

S「許されないんじゃないかな!? てーか死ぬの! 三人死ぬの!?」

F「何気に、ゲスト出演も豪華絢爛だぞ。ビッグ3のようなメジャーヒーローだけでなく、例えばデッドプール始めての相棒とも呼べる情報屋ウィーゼル。デッドプール:スーサイド・キングスでヒロインを務めたアウトロー。僕らのスーパーヒーローチーム、グレイト・レイクス・アベンジャーズ(GLA)のビッグ・バーサ。そしてデッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスにて鮮烈デビューを果たし、MARVEL美少女シリーズに選出され立体化決定なレディ・デッドプールも、キッド・プールやドッグ・プールやヘッド・プールと共に、チームデッドプール・コァとして参戦!」

S「ああ。レディ・デッドプール立体化は、海外で日本人未来に生きてるな!言われてたよね」

F「そして全国1億5千万とんで4人のデッドプールファンの皆様、お待たせしました。遂に、遂にあの男が登場します。ヒドラ戦闘員、デッドプールの被害者兼お友達、あのボブが! パロディキャラのビルに先をこされたボブが出てきます! 日本よ、これがボブだ!」

S「女性キャラより派手な紹介される戦闘員ってなんなんだろう」

F「流石に全ページがっつり登場とは、アンソロな性質上行かないけどねー。そして、ボブと共に、デッドプールに別の方向性で縁深いかのロブも登場! 中編のデッドプール・チームアップも、デッドプール花の大相撲編、暴れん坊力士!! チヨノサケ編と、いい感じに頭おかしいですよ? ウルヴァリンの日本がらみなエピソードのパロディ臭もする今作。90年代のデッドプールもまた、楽し」

S「後、他に、ひょっとしてこの中編も……?」

F「短編に比べ、ちょっと長めなマル秘エピソード。キーワードは“鍋“。これに関しては、言及避けとこうか」

S「ちょっとだけ、コレ読んどくと楽しい?」

F「まあそうだな、思わぬコレだよなー。そうですね、デッドプールとは一味違う、ニューヒーローが日本上陸と言いますか。かのセクション8に劣らぬ物を持つ男、大見参!」

S「もっと他に日本上陸した方がいいヒーロー、いるんじゃないですかね!?」

F「デッド・ヘッド・リデンプションの店舗購入特典も発表された今、そろそろ紹介のタイミングでもあり、予約のタイミングでもあり。短編というやりたい放題な環境に放り込まれたデッドプールと創作者の乱痴気騒ぎ、いよいよ日本でも開始寸前! 有名エピソードや大シリーズではないものの、これもまた、アメコミってヤツよ」

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