アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズなコラム~その2~

 アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズ第3話!
 その2なのに3話!(土下座 2話の感想やコラムは手が回らなかったので、現状ややこしいですが、このナンバリングでお願いします。

 ヴェノムに侵されたスコーピオン登場。スコーピオンは原作におけるフラッシュの前の2代目ヴェノム。

 フラッシュの着ていたコスチュームは、一時期スパイダーマンとコンビを組み、その座も受け継いだ2番目のスパイダーマン、スカーレット・スパイダーの物。

 開始5分で、ヴェノムと相棒要素を、サクサクと消化してったなあ。そしてアメフトのプロテクターを装備し、ビートルから武器やアーマーを奪うことで、兵士要素のない高校生のままエージェントヴェノムとしてのヴィジュアルを再現。ディスクウォーズが1からの組み上げなら、アルティメットスパイダーマンはある物を使っての組み上げ。最も、日本とアメリカではある物の初期値が違うので、日本視点だと上記の要素もあまりピンとくるものではないし、どうしても早足に見えてしまうのですが。
 スパイダーマンに限らず、この初期値の違いをどう埋めていくのかが、海外アニメが日本でも成功するための鍵なのかもしれませんね。かつてのテレ東のX-MENやビーストウォーズは、すげえ埋め方してましたが。横恋慕へのダメ出しや、豊臣秀吉で埋めてたからね! ちがうなこれ、認識ごと色々一緒に埋めてるな!w

 そして全国100万人の生徒達がお待ちかねな、タスクマスター登場! キレッキレな体術と、多彩な武器の披露はイメージ通り。後何気に、スーツがバージョンアップ。何あのドゥームみたいに偉そうな腕組みポーズでの飛行。
 しかしこのアニメの(地上波未放映な)タスクマスター初登場回。アレの時も……タスクマスターが体育教師として高校に潜入! 生徒に体力測定をさせて、高校にいるっぽいスパイダーマンの正体を見破れ! よし見破ったぞ、スパイダーマンの正体はお前だフラッシュ・トンプソン!と、フラッシュのせいで仕事失敗してるんだよな。タスキーにとっての、鬼門かよフラッシュ。そしてあの時、ピーター・パーカーの運動音痴のフリを見抜けなかったことで、若干評価が落ちてるよタスキー。デッドプール回に出る羽目になったのは、罰ゲームだったのかよタスキー。

 今回のエージェントヴェノム覚醒回を皮切りに、次回からは新たなる戦士ニューウォーリアーズ編。光と闇の二人組が、密林の王者が、世界7番目の天才が、重力子の申し子が、リスが、次々と強力なヒーロー達が登場! 斬新な顔ぶれというか、色々な意味で第三期で無いと出すの難しい連中ばっかだぜ……特にリス。
 今日の紹介は、日本におけるヴェノムのイメージより先、今のヴェノムであるフラッシュ・トンプソンで! なあにタスクマスターは、この先も出番がある! とりあえずちと作成時期が古いですが、タスクマスターに関してはこちらをどうぞ。

 

学園の王、再誕する。

フラッシュ・トンプソン(エージェント・ヴェノム)

フラッシュ・トンプソン

 アメリカ学生社会のピラミッド構造を示す“ジョック“。最下層であるナード達(オタクやゴスやガリ勉)、メッセンジャー(パシリ)やワナビー(取り巻き)を経由し、頂点であるクイーン・ビーやジョックにたどり着く。ミッドタウン高校の生徒、ユージーン・フラッシュ・トンプソンは、ジョックの象徴的なスポーツであるアメリカンフットボールのエースであり典型的なジョックだった。学園の支配者とも称されるジョックであるフラッシュは、極自然にナードに属する同級生、ピーター・パーカーを見下していた。ピーターに高校時代の友人が少ないのは、当時のフラッシュの扱いが遠因にあるとも言われている。

うまくいかない関係

 しかし、ピーター・パーカーがスパイダーマンになることで、徐々に二人の関係と更に取り巻く環境は変わっていく。事故によりスパイダーマンに覚醒したピーターは、ヒーローであることが自信となり、徐々に自分の殻を割っていく。そんな彼の姿に好意を抱いたのは、ミッドタウン高校の華であり人気者であり、フラッシュも好意を抱く女性、リズ・アレンだった。リズがピーターの好意を見せるたび、フラッシュは嫉妬に焼かれていく。
更に面倒なことに、フラッシュは街の平和を守る蜘蛛男、スパイダーマンの大ファンでもあった。ファンクラブの会長にも就任し、スパイダーマンのような男になりたいと憧れ続け。つまり二人の関係は、非常にややこしかった。フラッシュがヴィランになったわけでもないのに、ややこしい。

リズ&フラッシュ

 フラッシュは、エンパイア・ステート大学に進学。ピーターもまた、全額免除の奨学生として同じ大学に入学する。高校時代の関係もあり、何度も諍いを繰り返すものの、環境の変化と同じ高校であるという同郷意識により、フラッシュとピーターはやがて友人となっていった。
 科学を専攻し、スパイダーマンとしての活動のせいで留年し、やがて大学院へと進んだピーターとは違い、フラッシュは軍によるスカウトを受ける。スパイダーマンのように、人の為になる男になりたい。フラッシュは承諾。当時、米国との関係が不穏であった東南アジアに出征した。だが、戦後帰国した彼の人生は、現実と悪鬼たちに苛まれ、不遇な物となっていく。
 スパイダーマンのライバルであるグリーンゴブリン(ノーマン・オズボーン)の装備を盗み誕生したヴィラン、ホブゴブリン。「かのヴィランの正体は、スパイダーマン史上、最も大きな謎である」とまで言われた、単なる亜種に留まらない強敵。そんな強敵を、TVのインタビューを受けたフラッシュは臆病な卑怯者だと罵ってしまう。TVを見ていたホブゴブリンは、フラッシュを拉致。謎多き自身の身代わりに仕立てあげ、フラッシュに濡れ衣を着せた。なおフラッシュの嫌疑が晴れた後も、真のホブゴブリンは身代わりを駆使し逃げ切り、正体が明かされるのはずっと後の事となる。

ホブゴブリン

 心身ともに大きく傷ついたフラッシュは、アルコールに逃げた結果依存症に。軍もとうに辞めており進退窮まった彼を救い、自らの会社に招いたのは……もう一人の悪鬼にして本家本元のグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンであった。

グリーンゴブリン

 友人を傷つければ、優しいピーター・パーカーの心も傷つく。オズボーンの標的となったフラッシュは、アルコールを飲まされ、自身の車で母校ミッドタウン高校に突っ込まされた。飲酒運転で母校に突入、かのジョックのとんでもない末路と思われてもおかしくない事案だ。
 ジョックという階級制度はあくまで学内の物でしかなく、卒業後には井の中の蛙であったという現実が待っている。天才も東大入ればタダの人。典型的ジョックであったフラッシュを待っていたのは、典型的なジョックの運命でもあった。
 事故により傷ついた身体と名誉を回復させたフラッシュは、一度母校に体育教師として就職するものの、政情不安による求人や戦い続けるスパイダーマンの活躍に触発され、軍隊に再入隊。イラクにて憧れのヒーローの勇敢さに負けぬ働きを見せるフラッシュ。司令官や仲間を危機より救ってみせた彼は、両足を失い、負傷兵として帰国した。

フラッシュ・トンプソン(帰還)

 人生に絶望しかけていたフラッシュを救ったのは、ピーターの厚い友情であった。友情により命をつないだフラッシュの元にもたらされた、軍の極秘プロジェクトへの招聘。失った両足を取り戻し、あれだけ憧れていたスパイダーマンと同じコスチュームヒーローになれる。軍のヴェノム計画に参加したフラッシュは、新たなる正義のヴェノム、エージェント・ヴェノムになった。
※エージェントヴェノムとしての説明はこちらを参照。

エージェントヴェノム

 最初は、アニメと同じくシンビオートを纏うヒーローであることを不安視されていたが、フラッシュの献身とシンビオートを制御しているという事実により、シンビオートを不安視するスパイダーマンやヒーローのリーダー的役割を務めるキャプテン・アメリカの信頼を獲得。サンダーボルツやシークレット・アベンジャーズ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと数多くのチームに属することとなった。最初は軍に居たため48時間の時間制限や自爆装置を付けられていたが、フラッシュとヴェノムの管理権がアベンジャーズに移った結果、管理の弱化やハンク・ピムらの尽力により徐々に制限規制は緩くなっている。

エージェントヴェノム(シークレット・アベンジャーズ)

エージェントヴェノム(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)

 フラッシュは実写映画としてのスパイダーマン。サム・ライミ版とアメイジング・スパイダーマンの両作に登場しているが、両作共に途中で消えている。もし再度のリブートがあったら、しっかりとした形でスポットライトを当ててほしい一人である。あと何気に、フラッシュ・トンプソンの初登場はアメイジングファンタジー#15、スパイダーマン初登場号である。まだオズボーンもMJもグゥエンもジェイムソンも出ていない頃に、ベンおじさんやメイおばさんと登場。レギュラーキャラ屈指の偉業である。

フラッシュ・トンプソン(初登場時)

 高校時代のフラッシュとピーターの間柄は、決して良いものではなかった。だがフラッシュはフラッシュなりにピーターを分かろうとし、ピーターもフラッシュの素直になれない優しさを見抜いていた。リズにつきあって、なんとなくな!と、言い訳しつつピーターの苦難に、幾度か手を貸してくれている。大学生となり分かり合えたのも、高校時代の思い出と互いの成長があってこそだろう。
 フラッシュが両足を失った時、ピーターは自分のスパイダーマンとしての活動がフラッシュにプレッシャーを掛け、この悲劇を招いたのでは?と内心苛まれていた。だがフラッシュは、シンビオートを制御する事で、スパイダーマンに憧れ目指し続けてきた男の正しさを証明してみせた。物事とは、過ちは証明しやすく、美点は証明しにくいもの。そんな中、自らの行動をもってしてスパイダーマンの活動の正しさを証明してみせたフラッシュは、スパイダーマンの最高のファンにして、ピーター・パーカーの親友と呼んでも差し支えない筈だ。

フラッシュ・トンプソン&ピーター・パーカー