デッドプールVS.カーネイジについて語ってみる

ふじい(以下F)「…………」

サイレン(以下S)「……?」

F「……」

S「……なんか語れよ」

F「いやさあ、このデッドプールVS.カーネイジってさ、赤いキ◯ガイ同士が殺し合い!以外、語ることないんじゃないか?」

デッドプールVS.カーネイジ

S「身も蓋も無いな!?」

F「最近邦訳が多くなったアメコミ界隈どころか、日本の漫画を含めても、ここまでシンプルな作品はそうそう無いだろ。敵討や宿命とかそういうの抜きで――

デッドプール『あーなんかビビっと来た! よし! 殺す!』

カーネイジ『ああん? 死ぬのはテメエだ!』

F「こんな感じじゃん。アイツら」

S「ヤンキー漫画でも、もうちっと頭良く喧嘩始めると思うんだが」

F「喧嘩どころか、周りも容赦なく死ぬ殺しあいよ! 主に、カーネイジのせいで! ディス・イズ・シンプル!」

S「今回、めっちゃシンプルって単語使ってるよな。あんま言うと、話が単純で読み応えがない。そんな感じに思われるぜ?」

F「なるほど……そうだな、デッドプールVSカーネイジを例えるとしたら、ただ切るために作られたナイフか。一つの目的の為に、磨き上げられた刃物。まず、二人の殺し合いというテーマを書くことに集中して作った代物。おそらく伝説的な作品や名作として語られることはないが、殺し合いの追求による愉快な血みどろスイッチは忘れられない物があるぜ?」

S「なにそれ、悪夢?」

F「喩えを変えるなら、メニューがひとつしか無い知る人ぞ知る店だな! ただし、その一つのメニューは、色々な意味で濃い!」

S「この二人が揃ったら、そりゃこうなるよ!という読者の期待に、全力で応えているよな。つーか、デッドプールとカーネイジの名前が並んでいる時点で、栄誉とか美しさを期待したら、それ期待したほうが悪いな」

F「ドブネズミみたいに、美しくありーたいー。まあ、美しさは見いだせるけど、普通の美しさじゃないねえ。テーマがシンプルな分、デッドプールのメタ! カーネイジの殺戮性! 互いの個性がガン積み出来ているのもポイント。テーマが厚いと、どうしてもそっちの描写や、場合によってはキャラがテーマに引っ張られて改変されるしねえ。ベースが純粋だと、装飾そのものの美しさや、トッピングの旨味が際立つのよ」

S「デッドプールとカーネイジ。両方共、殺傷能力の高さに定評があり、ほぼ不死身なのがポイントだよな。第一話の時点で、互いに再生能力無かったら、そこで死んで終わってるだろうし。4話に渡って殺しあうには、不死性無いとなあ」

F「デッドプールとカーネイジはここに至るまでしっかりとした絡みはなかったけど、殺傷性や再生能力以外にも、共通点は多いぞ」

S「イメージカラーは両者赤だよな。あと、頭おかしい」

F「お前、容赦ねえな……。あとデッドプールはデザイン的に、カーネイジはデザインだけでなく出自も含め、原点にスパイダーマンがいる。この二人を語るのに、スパイダーマンを抜くのは難しいねえ」

S「スパイダーマンのとばっちり感、ハンパない!」

F「あああと、二人共、同じ91年に登場して、今でも現役な人気キャラとしての座を掴んだっていうのもあるぞ。デッドプールが1991年の2月に初登場、カーネイジは中の人である殺人鬼クレタス・キャサディが次の月である3月に初登場と、一ヶ月違いだ」

S「登場後、すぐにカーネイジになったわけじゃないのか?」

F「キャサディがカーネイジとして覚醒したのは、92年の4月と、一年ぐらい違うな。今読むと、キャサディの時点でカルピスの原液並みに濃いというか……やけに細長い顔と、天才的かつ猟奇的な手口といい、初期コンセプトはバットマンのジョーカーだったんじゃないかなあと」

クレタス・キャサディ

S「スパイダーマン以上の能力を持つジョーカーって、普通にアカんやろ。むっちゃ強そうだけど」

F「僕の考えた最強のヴィランと言わんばかりの凄みがあるよな。しかし、このデッドプールVSカーネイジが本国で連載していたのと同時期に、デッドプール誌の方で、赤くて頭ぶっとんでて不死身で92年生まれと、これまたデッドプールとカーネイジに似ているキャラな、デッドプールVSオメガレッドもやってたんだけど……なんかマーベルの方で、90年代生まれな赤い最狂キャラ決めようぜ!みたいな話があったんだろうか」

デッドプールVSオメガレッド

S「そんなコロッセオの殺し合いを楽しむ、ローマ貴族みたいなノリで連載されても困るなあ」

F「デッドプールVSオメガレッドも、デッドプールさんの傭兵テクニック全開で面白かったけどね! 話がズレたけど、殺し合いを追求しているだけあって、互いの攻め手は多種多彩で面白いぜ。(一応)ヒーローポジションであるデッドプールには、まるでライダー映画の如き限定フォームが用意されているしな。そして何よりカーネイジは、人気と知名度の割に、日本での露出の機会が少ない。この登場を切っ掛けに、個人誌やスパイダーマン関連の品も出てほしいねえ」

S「つまりこの作品のテーマは……気楽に殺ろうよ?」

F「コレも名作だよなー! 血で温かいデッドプールVSカーネイジとは違って、底冷えするタイプの狂気だけど! 少し不思議なSF短編集の話は今度みっちりするとして。殺し合いという悪趣味なベースの上に咲く、二つの徒花。咲きほこるのは果たしてどちらか。メタも殺戮もフルスロットルなデッドプールVSカーネイジ。癖の強さはあれども、飲み込めるならGOOD!なミニシリーズです」

ぞんびぐらしな作品紹介~その1~

 今季期待のゆるふわ系日常アニメがっこうぐらし!がついに放映されましたね! いやもうどうなるか、わっくわくのドッキドキ。自分は未放映地域なのでネット配信待ちですが、是非とも本編を見つつ、客席も見るような感じで観たいですね! なんか管理者が「脚本陣のエクスペンダブルズっぷりな集まり具合がネタバレすぎる!」と言ってましたが、きっと彼、疲れているんですよ……。
 というわけで、前置きとはあまり関係ないですが、がっこうぐらし!放映に合わせまして、これから週イチでゾンビもの……ゾンビものかなあ!?という作品について、毎週このタイミングで紹介していこうかと。多分厳密にはコレ違うよね?という作品も、つーか第一回目からしてそんな感じなのですが、こまけえこたぁいいんだよ!精神で、幅広く、そして変化球を混ぜつつやっていきます。ゲーム、漫画、アニメ、映画……幅広く!

マーベルユニバースVSザ・パニッシャー(Marvel Universe vs. The Punisher)

Marvel Universe Vs. The Punisher

 早速一発目から、ゾンビものかどうか怪しい作品です。やはりウチの変化球といえば、海外コミックス。この作品に出てくるのは、ゾンビというより食人鬼。ウィルスに感染した瞬間、生者のまま食人衝動に駆られ理性を失っていく。体中に妙な刺青や人骨のアクセサリーをつけているものの、腐敗はなく死体でもなく。普通に首を切れば死にますし、心臓を撃てばお亡くなりになります。その後、頭だけで動いたり、むっくり起き上がったり出来るのは、あらかじめそういう能力を持っている場合のみです。人々が「ミート! ミート!」と叫びつつ襲い喰らい現代社会が破滅していく光景はゾンビものなのですが、腐敗やゾンビ自体の登場を問われると、少し厳しいかもしれません。先ほど言った通り、こまけえこたぁ(以下略
 犯罪者を狩るパニッシャーの標的、それはニューヨーク中のヒーローとヴィラン。ヒーローが自分の家族を殺したのではない、ヴィランが犯罪を犯したのではない。ヒーローは無数の家族を殺し、ヴィランは既に法の枠を超えている。肉を求め、NYに取り残された人々を喰らい続けている彼らを、処刑しなければならない。
 全超人VSパニッシャーのパニシャー・キルズ・マーベルユニバースとも、マーベルヒーローゾンビ化なマーベルゾンビーズとも違う本作。ただの人でしか無い男が、地獄以上のNYで食人鬼を狩り続けていく。既に世界は末期であり、アイアンマンもキャプテン・アメリカもマイティ・ソーももう居ない。孤軍奮闘という言葉がこれほど相応しい作品もなく。
 そして、そんな日常を続けるパニッシャーの元に訪れる、感染して狂っているしむしろ殺したはずのデッドプール、そして人を食い尽くし僅かな正気を取り戻したスパイダーマン。二人の来訪が、パニッシャーを更なる死地へと向かわせる。敵は食欲の一点において無数のヒーローとヴィランを配下にしたキングピン。キングピンの元にあるスパイダーマンの願いとは、そしてこの騒動の真実。原初の罪は、誰の元にあるのか。
 ライターはジョナサン・マベリー。ホラー界の重鎮でありベストセラー作家、優れたホラー小説やダークファンタジーを対象としたブラム・ストーカー賞の受賞やノミネートも数多い方です。そんな重鎮が描いた残酷な世界は、目を背けたくなりつつも離せないものがあり。実際自分も「マーベルゾンビーズ結構売れてるみたいですし、こっちも邦訳出したらウケるんじゃないッスかねー」と、以前がっこうぐらし!原作者の海法先生に酒の席で……まあ、これは置いておくとして。
 そして2011年、ジョナサン・マベリーはこの狂ったマーベルユニバースを描いた作品にて、ブラム・ストーカー賞にノミネート。だがその作品は、次作。時計の針は巻き戻り、感染初期。壊れ始めた世界にて、爪の男は生きるための戦いを続ける! そして更にそれより少し先、何故ヒーロー達の間にこうも感染が広がってしまったのか……!? マーベルユニバースVSシリーズ、それは三部作!
 というわけで、本日はここまでで。実はこの作品と三部作は以前紹介しておりまして、待ちきれない方はネタバレ全開ですがこちらこちらをどうぞ。そもそも、気が変わって来週別の作品を取り上げるよ!という展開もありえますので。いやまあ、流石に無いようには努力しますけど! とりあえず、暫くの間、お付き合いよろしくお願いします。これから先ちょっと忙しいし、まずはペース保てるよう努力せんとな……。

日々雑談~アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン エピソード0関連の諸々~

マーベル公認!アベンジャーズ最新作の前日譚マンガ、世界で唯一週マガに(コミックナタリー)

 というわけで、今週のマガジンに、読み切りのアベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン エピソード0が掲載されております。“ヒーローに向いてない男“アイアンマンことトニー・スタークと、彼に付き添うペッパー・ポッツの物語。それでいてあちこちに、エイジ・オブ・ウルトロンの伏線となるであろう物を配置、更にはエイジ・オブ・ウルトロン以後の展開をも示唆する要素もありと、映画前日譚かつ、読み切りとしての1エピソード、マーベル・シネマティック・ユニバースへの期待を高める作品、全方面にて高水準な漫画でありました。アレに関する設定がこうなるとしたら、今後登場が予定されているあのヒーローは、原典原作とはかなり変わった感じになるよなあ。
 作者である小宮山さんが、日本で求められている物は心情の変化といった繊細さなのではと言っているだけあって、ヒーローらしい派手なビジュアルを確保しつつ、しっとりとした趣ある作風にもなってます。見事な、ローカライズかと。
 BRUTUSの進撃の巨人コラボの時もそうだったけど、普段専門店やデカい書店しか買えないアメコミが、全国のコンビニで売ってるぐらい手に入りやすいって、やっぱ画期的だよなあ。今回は、あくまで漫画だけど。
 そしてしれっと柱に書いてあった、マンガボックスにてマーベルゾンビーズ連載との報。いったい何処の誰が正気を失ったんだと思いつつ、すげえなコレと。訳したものを載せるのか、それとも新たに漫画として描き直すのか。掲載物のラインナップを見れば分かるの思うのですが、マンガボックスはゾンビものだけでなくデスゲームにモンスター・パニックと、結構血なまぐさいのでシナジー狙えそうなんですよねー。逆に言うと、埋没してしまう可能生もあるのですが。なんにせよ、良い場です。
 しかしマーベルゾンビーズ、直接邦訳を出してるヴィレッジブックスでは歴代トップクラスの売上、小学館プロダクションでも後半がっつりゾンビーズが関わってくる関連作が予想外の数字を叩き出したりと、このアメコミ邦訳二大出版社にてかなりの存在感を示しているんだよなあ。そりゃ、改めての日本進出やローカライズもいけるか!

ミニコラム:スパイダーマン・ノワール&スパイダーハムの話

 久々にアルティメット・スパイダーマン:ウェブウォーリアーズをリアルタイムで視聴。ここ一ヶ月近く時間が取れなかったので、ホントに久々。水曜のディスクウォーズはどうにかなっていたのに、曜日が一日ズレただけでコレとは……。
 異次元のスパイダーマンシリーズ第二回、本日のスパイダーマンはスパイダーマン・ノワールとスパイダーハム。白黒とカートゥーン、水と油というか、30分にこの2つを詰め込むのかよ!?

 ノワール(NOIR)とは:フランス語で黒という意味。映画や小説などで犯罪者や闇社会を題材にした、作風も指し示す。

スパイダーマン ノワール

 ノワールと名付けられているだけあり、スパイダーマン・ノワールの作風は只管ハードかつ陰鬱な物。上記画像で拳銃を手にしているように、ノワールは銃も使い、殺害も視野に入れた若干冷酷寄りのファイトスタイル。ピーター・パーカーが変貌したのではなく、ピーター・パーカーですら、そうせざるを得ない世界観なので……ノワールでも“ベンおじさんの死“は描かれましたが、この世界のベンおじさんは怪鳥人間ヴァルチャーに寄り、はらわたを食われて殺されました。ノワールのヴィランは、超人よりも人間寄り、その代わり、狂気と悪意に欠けた分を全振り。すっごく簡単に言ってしまうと、バットマンのゴッサムシティみたいな感じです。つーか、普段からノワール並みのゴッサムって、逆に考えてみるとあそこマジすげえな……。
 ノワールはスパイダーマンだけのものではなく、あの世界にはパニッシャーもルーク・ケイジもウルヴァリンもX-MENもハルクもファンタスティック・フォーもアイアンマンもウルヴァリンも居る。超人はサーカスのフリークスとなり、常人は過酷な現実に立ち向かう。むせ返るほどの硝煙の匂いが、たまらぬ世界です。

ノワール一同

 一方のスパイダーハム。一発ネタに見えますが、80年代に一発ネタとして生まれ、そのまま30年以上生き続けている、一発ネタのベテラン選手。大馬鹿野郎の一員としてみれば、デッドプールの先輩的ポジションでもあります。
 アニメだと、変な蜘蛛に噛まれた豚でしたが、原作だと変な豚に噛まれた蜘蛛が変貌した存在。おもしろ放射能グッズで放射能を浴びて頭おかしくなったメイ・ポーカー(豚)が蜘蛛に噛み付いた所、蜘蛛が変貌して豚に。まだ混乱中のメイおばさんは、元蜘蛛の豚を自分の甥のピーターだと言い出し、ピーター・ポーカーここに誕生。オウ……ノウ……。
 長期連載ではなく、ポツポツと忘れた頃に出てくるスタンスなため、設定はわりと適当です。原作でも普通に蜘蛛に噛まれた豚扱いだったり、仲間のヒーローやヴィランのモチーフとしている動物が入れ替わってたり。しかし動物系ヴィランが何故か他の動物になったり、エレクトロが電気ウナギってまんまじゃねえか!なのがいたり、ミステリオはゴリラ化って、それ本家より強いんじゃね!?なのがいたり、コマ一つだけで、ホントどうしょうもねえなコレ!

スパイダーハムVSスインスター・シックス

 こうして並べてみると、一見陰鬱で狂気を孕んでいるのはノワールだけど、真の狂気はハムの方にあるような……子供にも向けたアニメでの、セット理由が狂気だったら嫌だなあ、おい。唯一の正気は、昔に比べてデザインが大幅変更されてたアイアンマウスか。

アイアンマウス

 もうディズニー傘下だから、こっちのデザインで出してみました!言うたら、次の日マーベル・コミックスごと更地になってそうなデザインですネ!

アメリカ人ってなんでゴリラ好きなん?

 先日、超厚クロスオーバークライシス・オン・インフィニット・アース発売イベント『中島かずき、石川裕人、アメコミを語る』に行った所、中島かずきさんが「アメリカ人はなんであんなにゴリラが好きなのか?」と石川裕人さんに聞く流れに。そりゃあ確かに、クライシス・オン・インフィニット・アースに参戦しているゴリラも多いし、もっと根本的な所で言えば、アメリカ人にとっての百獣の王はライオンでなくゴリラなわけで。
 結果、石川さんの口から出てきた、「何故アメリカ人はゴリラが好きなのか?」との問への答えは、かなり真に迫っている答えでした。実際、海外の方に尋ねたこともあるそうです。要点を簡単に纏めると、以下の通りになります。

・ゴリラは筋肉(強さ)と知性を両立している。かたやライオンは強さで殺すことしか出来ない。

・あくまで生物の頂点は人類であり、人類に近いゴリラは頂点に近い生物(人類>>>百獣の王)。

 この答えならば、チンパンジーのディクティブ・チンプやヒヒ&オランウータン&ゴリラで一つのチームなスーパーエイプスと、ゴリラに限らず霊長類のキャラクターが多いという事情にも頷けます。
 そして、幾つか自分なりにゴリラ人気について考えていたことがあるので、これを機に記してみようかと。与太話に近い物もありますが、自分が他人の知識により刺激を得たように、何かの切っ掛けにでもなってくれれば、これ幸いです。

 アメリカの首都といえばワシントンDC。ならば、アメリカの中心は?と聞かれたら、多分ニューヨークが来るのではないかと。全米最大の都市にして、経済の中心、文化の発信源。西と東、アメリカは地方によって様々な色を持つ国ですが、USA!なイメージはまずニューヨークにあるんじゃないかと。
 人種のるつぼであり、様々な人が住んでいる都市であるニューヨーク。人種が多ければ、嗜好も多い。これがニューヨーカーの好みだ!と一概に言える物は少ないのですが……ニューヨーカーって、筋肉好きなんですよ。デカくて、強い! こういうシンプルな物が受ける土壌があり。好みが多彩な分、支持を得やすいシンプルさは、相対的に強くなり。
 このでっかい筋肉の代表格なスターといえば、ハルクですかね。緑色の巨人ではなく、ネプチューンマンハルク・ホーガン。プロレスラー、テリー・ボールダーが、テレビドラマ『超人ハルク』でハルクを演じたルー・フェリグノと並んでみたら、テリーの方がデカい! こいつこそハルクなんじゃ?という事で、テリー・ボールダーのニックネームにザ・ハルクが追加。やがてハルク・ホーガンに改名するのは、一部で有名な話。
 マジソン・スクエア・ガーデンの頂点に君臨し、ハルクアップと必殺ギロチンドロップでニューヨーカーを熱狂させた、プロレス界のスーパースター、ハルク・ホーガン! ホーガンに限らず、ニューヨークのボクサーやレスラーは、でっかいのが好まれる傾向にあります。時代ごとの好き好きの度合いや、下地となる人種推しのストーリーもあるのですが、一先ずそれはさて置き。解説のみで、文章の量が数倍になりかねんので。
 そしてやがて時代は電波やネットへ。様々な作品が広く大きく広がることになるのですが、やはり文化の中心となるのは、でっかいニューヨーク。TV局に出版社にエンタメと、発信源が沢山ありますからね。ニューヨークの好みが、ハルクアップが、アメリカ全土に配信! 今まで地域ごとにあった差が、大きな物に飲み込まれていく! そして徐々に、マッスルがニューヨークだけでなく、国全体を侵食。となれば、逞しい肉体と見て分かる筋肉を持つ、でっかくて強いゴリラの人気もガン上がりというわけですよ。話が戻った。筋肉抜きでも、例えばニューヨークを舞台とした名作キングコングの存在によるゴリラ人気→ニューヨークの好みが全国に拡散!の流れは同じで。全ては、ニューヨークから始まる。
 いやあ、それにしても、危うくプロレス史になるとこでした。ああそう、ハルク・ホーガンとネプチューンマンの間には、古舘伊知郎の「現代に蘇ったネプチューン」の実況があるんじゃないかなと!(書き逃げ

 あとコミックスのゴリラ史と言えば、DCコミックスの伝説的編集長ジュリアス・シュワルツは外せない人でしょう。アメリカンコミックスの繁栄期であるゴールデン・エイジの頃、編集の道に。今の日本で言うなら、ラノベの萌えキャラとか長めのタイトルとか、そんなポジションにゴリラを持ってきた男。
 この情報だけだと、ゴリラ好きの変なオッサンでしかないですが、経歴を並べると、SF同人誌の元祖とも言われるタイムトラベラーの刊行に携わり、かのラブクラフトの担当編集も務め、旧来のヒーローにSF的要素を加えてのリメイクを提案、その結果生まれたザ・フラッシュやグリーン・ランタンを大ヒットさせ、アメコミ第二期繁栄期シルバー・エイジが始まるきっかけに。フラッシュやグリーン・ランタンの台頭でヒーローコミックスの商業的価値が見出され、マーベルでもファンタスティック・フォーやアベンジャーズが生まれたと考えると、アメコミのヒーロー物なら、何処の支流を辿ってもジュリアス・シュワルツに辿り着くよ!なお人。日本での知名度は微妙な所ですが、ポジション的にはマーベルのスタン・リー、DCコミックスのジュリアス・シュワルツと並べられる感じで。
 この人に、商材としてゴリラが見出されたのは大きいでしょう。今でも本国のコミックススレにてゴリラ関係の話題となると、「ジュリアス・シュワルツが今でも編集長ならなー」「ジュリアス・シュワルツが見たら泣くぜ」みたいな話が普通に出てますからね。コミックス業界で見ても伝説なのですが、コミックスにおけるゴリラに見方を変えた場合、もはや創世神的な扱い。既に故人(2004年没)なのですが、彼の築いた方針は、世界一のゴリラキャラの充実度として、DCコミックスに遺っております。フラッシュ誌で初登場し、数多くのゴリラキャラの原産地となったゴリラシティの創設は、大きいよね!

 個人的な考えとしてはまずこんな感じですかね。こういう好みのようなふわっとした物に対しては、1か0かという答えの出し方は出来ないので、これからも考えて続けていくつもりです。本文は、中間発表みたいな物で。
 最後に、海洋冒険物シーデビルスにゴリラが出た時の表紙を貼ってみます。大地に生きるゴリラが、海に出現。この矛盾を貫くための手段とは?

海ゴリラ

 小細工抜きの真っ向勝負。日本よ、これがゴリラだ!と言わんばかりの大迫力。長い歴史とそれに付随する蓄積があるだけあって、ゴリラとはなんとも奥深く。