これからのローグズ

 はじめてのローグス(前編中編後編)に続くポジションな記事、これからのローグズを更新しました。Twitterの連投用アカウントを使ってのもの、光速の男に抗う男たち~ローグス紹介~の続編でもありますね。
 
光速の男に抗う男たち~これからのローグズ~
 
 最近のローグスの傾向、ローグズの逆襲出るよ!との宣伝、ローグズでもローグスでもええやん、このローグス関連作クソ面白いぜ!というのを主に書いております。サイト掲載でも良いかなと思ったのですが、やり方を変えると、見る人も完成図も一味違いますしね。というわけで、こちらもどうぞよろしくお願いします。
 そして、実は今、ものすごくケンタッキーフライドチキン食べたいんだ……。

はじめてのローグス~後編~

サイレン(以下S)「放置していた企画物をひとまず完結させるシリーズ、第二弾は“はじめてのローグス”(前編中編)なワケだが……平蜘蛛の茶釜に火薬を詰め込むレベルで自爆してる人、コメントどうぞ」

ふじい(以下F)「やっちゃったぜ」

光速の男に抗う男たち~ローグス紹介~

S「いや、やっちゃったぜじゃねえよ!! 何ちょっとカッコつけて言っていってるんだよ!?」

F「気に入っちゃったぜ、とっちゃやだぜ」

S「やってられないんだぜ」

F「ごめんねだぜ」

S「……ところで俺、いつまでソードマスターヤマトごっこに付き合えばいいんだ?」

F「ああうん、このままギャグマンガ日和ごっこに突入しそうなので、もう止めよう。いやコレも、昨日の追跡! アントマンとだいたい流れは一緒でな。放置している内に、別のところで、やりたかったことや代替えテキストを作ってしまった」

S「Twitterでのツイートを編集してまとめられるTogetterか……時折連投用アカウントと合わせて使ってるよな」

F「コレとか、コレとかな。実況に近いリアルタイム感や、普段と違う層にアピールできると、TogetterはTogetterでサイト掲載とは違った利点がある」

S「だからと言って、前編、中編とやっておいて、後編をずっと放置していいわけじゃないけどな……無いままの後編を探す閲覧者の方が居たら、どうする気だ」

F「それは、頭を下げるしかない……。だからこうして、一度完成させる。また何かローグスについて書くことがあるとしても、それは“はじめてのローグス”ではない記事だ。でも実際これもアントマンと同じで、中編を完成させてから後編を書かずにいた数年で状況が変わっていてなあ。当時はともかく、今はもう日本にいる誰もが、ローカライズされたローグスに会える機会があるからね」

S「それは、邦訳のフラッシュ:新たなる挑戦(THE NEW 52! )のことか?」

フラッシュ 新たなる挑戦 表紙

F「一度世界観を一新しての全シリーズリスタートなNew52、そんなNew52の中の一冊だな。始まりだけあって、しっかりとフラッシュ周りの設定を固めた上で、宿敵キャプテン・コールドも出ているわけだが……どっちかっつうと、ローグスの本気は次巻以降だからな」

S「次巻出るのかねー」

F「わからん。ただこのシリーズは、フラッシュに負けない加速度で進めば進むほど面白くなっていくから、ここで止まるのは惜しすぎる。是非とも波に乗って、続刊出来るだけの、実のある強さを身につけて欲しいところだが……」

S「波? ああ、アレのことか。ローグスと会える機会というのも、まずそっちのことだな!」

F「ソフト販売にレンタルに動画配信……コミックス、アニメ、映画に続く第四の選択肢、ドラマ。グリーンアローを主人公としたドラマARROW / アローに連なる、光速の男の物語。ドラマ版ザ・フラッシュことTHE FLASH / フラッシュよ!」

THE FLASH フラッシュ

S「ドラマのフラッシュ、観た人の評価かなり高いよな」

F「実際、面白い。揺れ動き続ける登場人物の心を直視するアメリカドラマらしい光景に、基本一話に一回、新怪人が出てくるという豪華さ! 安心しろ、お約束の再生怪人回っぽいエピソードもあるから!」

S「いやお前、怪人っつうか、あっち流だとヴィランだから。もしくはメタヒューマン。言い方が特撮レビューみたいになってるから」

F「マジでTHE FLASH / フラッシュって特撮作品として観ても面白いと思うのよ。ドラマ部分も含め、ニチアサに組み込んで流してもイケるんじゃねえかな」

S「しかしドラマ版か……実写に際して、ローグスのイメージも変わってる?」

F「そうだなあ。例えばリーダー役となるキャプテン・コールドを例にしてみるか。まずはこれが、コミックスの伝統的なスタイルな」

キャプテン・コールド(コミックス)

F「で、次が、さっき取り上げたフラッシュ:新たなる挑戦(THE NEW 52! )の際に、デザインが変わったコールド」

キャプテン・コールド(New52)

F「で、コレがTHE FLASH / フラッシュのコールドだ」

キャプテン・コールド(ドラマ)

S「最終的に、イケメンにたどり着いたな」

F「演じるのは、プリズン・ブレイクのマイケル・スコフィールドや、映画バイオハザードのクリス・レッドフィールドを務めたウェントワース・ミラーだな。実際イケメンなんだが、粗にして野だが卑ではない雰囲気が、すげえキャプテン・コールドっぽくてなあ」

S「あーなんか分かるわ」

F「コールドの持つ冷徹さや喧嘩強さが、上手く映像として昇華されてるんだよ。ドラマにおけるフラッシュとの関係も、単なる敵とは決して呼べない、強いて言うなら好敵手と呼ぶしか無い奇妙な関係になってるし。衣装もゴーグルやファー付きのコート、現実にありそうな格好でそれらしいラインにちゃんと沿っているからな」

S「見比べてみると、結構ピン!と来るパーツが多い感じだな」

F「まあぶっちゃけた話、コミックス通りの、育ちきったアイスクライマーのポポみたいな衣装でドラマ出れるかっつったら、厳しいだろ」

S「本当にぶっちゃけたな!」

F「数多くの実写版を観れば分かると思うが……漫画では受け入れられる表現やキャラクターでも、実写にしたら観ててキツッ! って例、結構あるぜ? 漫画、アニメ、実写。メディアによって、セーフの線引は違うからな。実写版で浮いてしまった作品の一因には、この線の見極めを誤るっていうのもあると思うぜ? むしろ、THE FLASH / フラッシュのアレンジや線の見極め方は、神業レベルだ」

S「ダークな作風のARROW/アローと繋がっている以上、その世界観と組み合わせても違和感のないイメージが求められるよな。フラッシュのキャラは結構明るいからなあ。調整には、確かに神業に匹敵するものが求められそうだ」

F「まだキャプテン・コールドはマシな方だぜ? ローグスに籍をおいていた、結構古くからいるヴィランのレインボーレイダーとかさ、ビジュアルだけでなく能力からしてキツすぎるだろ。虹乗るんだぞ、虹!」

レインボー・レイダー

S「虹、虹に乗るオッサンかー……綴はRainbow Raider。虹に乗るレインボーライダー(Rider)じゃなくて、侵入者や襲撃者を意味するレイダー(Raider)なんだな。確かにコイツはちょっと厳しいかもしれないけど、ここまで神業級の腕前を見せた、ドラマスタッフ達なら」

F「ほれ、追加画像」

無理ダナ!

S「あ。ゴメン、無理だわ」

F「多分、実直に映像化したら、何をどうやっても面白映像にしかならんと思う……バットマンVSスーパーマンだろうがシビルウォーだろうがライダー大戦だろうが、どんな熾烈な戦いでも背後で虹に乗ったオッサンがシューっと滑っていたら、オッサンが全部持ってくぜ」

S「うん。虹のパワー、ハンパないね。結局、ドラマ版ではスルー?」

F「いや出たよ、ちゃんと。ドラマに馴染むヴィランとして」

ドラマ版 レインボー・レイダー

S「おい。虹、何処に行った」

F「ビジュアル的にはレインボーじゃないけど、ちゃんとコイツはレインボーレイダーなんだよ! 実は、レインボーレイダーの虹には、人の感情を操る力があってな。ドラマのレインボーレイダーは、眼からの赤い光で他人の怒りを爆発させるんだよ。手当たり次第にバーサクかける感じで!」

S「なるほど、磨き上げての一点突破か!」

F「実際、ドラマではフラッシュもこの赤い光の力で、感情制御不可の暴走状態になっちまってなあ。もう仲間や大事な人ですら手に負えない、暴走するヒーローを止められるのは、同じヒーローしか居ない! レインボーレイダーの出る、第8話のタイトルは、そのものずばり“フラッシュ VS アロー”よ!」

S「ARROWの主人公であるアロー(オリバー・クイーン)との対決。つまり、レインボーレイダーをドラマに適した形にした上で、ヒーロー同士の対決の立役者にもなったと。ドラマ、凄いな!」

F「ARROWのシーズン3の第8話“アロー vs フラッシュ”はこれと対となるクロスオーバーエピソードだぞ。こちらでは、弓の達人アローをも苦戦させるブーメランの達人、キャプテン・ブーメランが登場だ!」

ARROW版 キャプテン・ブーメラン

S「キャプテン・ブーメラン、映画スーサイド・スクワットへの参戦といい、ザ・フラッシュ以外のところでの頑張りが目立つよな」

F「一時期、ロビンとの因縁が出来て、ゴッサム・シティでの活動なんかもあったしねえ。ああちなみに、ドラマのレインボーレイダーも、原作のレインボーレイダーの持つ趣味嗜好や悲しさは持っているぞ」

S「悲しさ?」

F「レインボーレイダーだけでなく、ローグスのメンバーのオリジンって、物寂しさがあるからよ。それに触れるのであれば、こういうトーク形式でのテキストではなく、真面目に書かないとダメだな。最低限の礼儀だ。そうだな……直接書かずに言わせてもらうなら……キャプテン・コールドの出自と冷酷さ、そして情愛と復讐を描いた“ABSOLUTE ZERO”のエピソードは、名著だ。つーか、俺、アメコミのエピソードの中で、五本の指に入るレベルで好きだ」

S「お前のその枠、てっきりデッドプールで全部埋められてると思ってた」

F「まあ確かに、デッドプール好きだけどね。でも、ローグスもまた好きだし、愛読している連中よ。そうでなきゃあ、こんなに文章書けないし、レビューや紹介しよう!って気にもなれんよ。運転するのに知識が必要なら、好意は動くためのガソリンってね」

追跡、アントマン!~後編~

ふじい(以下F)「今となっては2年前に始まったこの企画、追跡、アントマン!~前編~では歴代三人のアントマンを通して、まずアントマンとは何かということを取り上げ、追跡、アントマン!~中編~では初代アントマンであり難しい経歴を持つハンク・ピムについて語ったわけだが」

サイレン(以下S)「始めた頃は、エドガー・ライトが監督に決まったよ! って段階だったんだよな。まさかその後、降板するとは……」

F「結果自体は残念なことになったものの、完成した映画アントマンにもエドガー・ライトが考えだしたアイディアが、結構残っていたらしいぜ? まあ、というわけで後編なんだが……もう、終わりでよくない?」

S「諦めるなよ! 頑張れよ!」

F「だってさー、実は後編の構想としては、映画アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロンの紹介も込みで、アントマン=ハンク・ピムに連なるキャラクターであるウルトロンを取り上げよう! と思ってたんだけど」

S「ああ。ウルトロンの紹介、別の機会にやっちゃったのか……」

F「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズなコラムの37回でな……エイジ・オブ・ウルトロン上映後、真面目に書いたテキストもあるし、この時一緒に取り上げようとしたジョカスタも、コラムの41回で紹介しちまったし」

結婚おめでとうございます

F「延ばし延ばしにしていた俺が悪いんだけど、これもう初期構想通りの後編はいらんかなあって」

S「しれっとジョカスタが可哀想すぎる画像を挟み込むなよ!? しかし、お前、自分で自分の首を絞めるどころか、一から首つり台を作っている感じだな」

F「首つり台からうたってあげるか!? 首つり台から笑ってみせるか!? 映画アントマンの感想も書いてしまったから、この方向性もアウトだ。でも幸い、当時はまだ無かったアントマンの邦訳ってもんが刊行されたからね」

S「えーと、アントマン誕生物語を再構築したアントマン:シーズンワン。スコット・ラングを主人公とした近年開始の新シリーズのアントマン:セカンド・チャンスマン。映画の前日譚や補足となるアントマン:プレリュードの三冊か」

アントマン・シーズンワン表紙

アントマン:セカンド・チャンスマン表紙

アントマン:プレリュード表紙

F「関連書籍としては映画のアート集となるアート・オブ・アントマンもあるけど、これはコミックスとは毛色が違うだろ。しかしアントマンの話題で取り上げているからとの贔屓目抜きで、この三冊のアントマンコミックスはレベル高いぞ。俺好みだ」

S「シーズンワンは、ハンク・ピムを主人公として誕生秘話を再編。アントマンだけでなく、ジャイアントマンやゴライアスのような後に繋がるネタをふんだんに盛り込み済み。アントマン:セカンド・チャンスマンは、正史で死んでいたスコット・ラングが、パッとしない自分自身と向き合いつつ第二の機会を模索する物語。アイアンマンやタスクマスターを筆頭に、色々なキャラが物語を彩る。プレリュードは映画における冷戦時代のアントマン、ハンク・ピムのエピソード。アベンジャーズが居ない時代、間隙のヒーローとなった男の活躍を描く……確かにお前、むっちゃ好きそうだわ」

F「ピリッと小ネタが効いた入門作、ボンクラが前に進もうとする物語、本編を厚くする前日譚やミニエピソード。みんな、大好物でごぜえますよ。それに、どの本にも詳細な解説が付いていたりするからね。そして本日、映画アントマンもソフト化されて発売……さあ、買うかレンタルにGOだ!」

映画アントマン パッケージ

S「あー、もう出たのか。気軽に楽しめる映画だから、多くの人に見てほしいな」

F「仕方ないこととはいえ、本家アベンジャーズも含めて連作しているヒーローは、どんどん前作や世界観に関する知識を求められる流れになるからね。まあ、アベンジャーズ系の映画は、かなりココに気を使って作られてはいるけど……そんな中、投じられた新たな一石、アントマン。新進気鋭の小さなビジュアル体験に、若き父親と老いた父親が失いかけていた物を取り戻すストーリー。もうちょっとしたら、アメコミ映画における地上波放送の鉄板な、アイアンマンに替わる存在になるかもしれん」

S「キャプテン・アメリカ:シビル・ウォーへの出演や、次回作アントマン2となるアントマン&ワスプの製作決定と、アントマン自体の見通しも明るいな!」

F「まさか、アントマンやスコット・ラングがここまでの存在になるとは。コミックスはともかく、現実では間違いなくセカンド・チャンスをゲットしてるぜ……」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプールの兵法入門~

デッドプールの兵法入門

デッドプールの兵法入門 表紙

あらすじ
『孫子』とは古代中国の思想家、孫武の作とされる、古今東西の兵法書のなかでももっとも著名なものの一つである……が、ひょんなことからタイムスリップしたデッドプールは『孫子』のテキストを盗み出し、ベストセラー作家になって大もうけしようと企む。しかし、21世紀の厳しい出版界では、売れるためには話題性が必要だと言われてしまう。そこでデップーは考えた……だったら『孫子』は本当に使える本だと証明すればいい! こうして人間界とアスガルドを巻き込んだ一大戦争が始まった。果たしてデップー先生の作家デビューは成功するのか?(Amazon商品紹介より抜粋)

 

F「2015年中に終わらせるつもりでいたけど、年が明けちゃったよ! それでもめげずに続ける邦訳レビュー。今年一発目はデッドプールの兵法入門で」

S「もう終わりは見えてる感じではあるな。まあ、そっちが更新できない内に、また新刊が出る可能性も大きいけど」

F「やめて! それはそれで嬉しいけどやめて! とりあえず、この作品のポイントとしては……読んでて楽しいよな、やっぱ」

S「タイムスリップして孫武をぶっ殺して、兵法書の『孫子』奪ってきたぜ! これビジネスにも流用出来そうだし、俺ちゃんが翻訳して出版したら、めっちゃ売れるんじゃね?」

F「孫武を殺すの流れが丸々無けりゃあ、数多くの出版社でありそうなやり取りだけど。織田信長や豊臣秀吉に学ぶビジネス書を出す系の」

S「大河ドラマにかこつけての、黒田官兵衛から学ぶとかな! 今年だと、真田幸村?」

F「父親の昌幸も弟の幸村も徳川に逆らっている状況で、家を保ちつつ拡大させた真田信之の方がビジネス書的にゃあ学ぶことがあると思うんだが……でも実際このデッドプールの兵法入門、世界の兵法の根幹とも呼べる“孫子”を知るには、結構いい本だと思うのよね。歴史に名を残す多くの軍師が、孫子を基礎教養にしているからな。奇策を得意とする軍師だって、まず孫子で基本を学ぶんだぜ?」

S「アスガルドでロキの軍師となったデッドプールの兵法は、普通に孫子に則ろうとしているよな。そして、いやそれアカンから!という事をやらかして反面教師になるロキ様……」

F「この本のロキはビジュアルはレトロなオッサンロキであるものの、策略家でありながらわりと隙があって高転びもする、映画のロキ(演:トム・ヒドルストン)にキャラ造形が近い気がする。ここ数年、映画で出番の無いロキ。ロキファンのタモロスならぬロキロスを埋めてくれる作品として、このデッドプールの兵法入門とディスク・ウォーズ:アベンジャーズを薦めてみてもいいんじゃないかな!?」

S「ディスク・ウォーズのロキは、面白愉快だったからなあ……例えばこのWIKIのディスク・ウォーズの項目、かなりのリソースが“ロキ様ウォッチング”に割かれてるし」

F「ロキ様のおもしろシーン、全部で57項目! 書いた人の努力に、頭を垂れるしかないぜ。あんまりに語ると、この記事もロキ様ウォッチングになりかねないので話を兵法入門に戻すぞ。デッドプールがロキを炊きつけた結果、アスガルドで戦争が始まり、あれよあれよと言う間にニューヨークも巻き込んだロキVSヒーローの戦争が始まるわけだが……」

S「メンツがめっちゃ豪華だよな。アベンジャーズにX-MENにファンタスティック・フォーと、メジャーなチームのメンバーが勢揃いだ」

F「ナレーションで名将と称される、二人の超大物ヴィランとかもな! いやとにかく、豪華。全四話の中編で、ここまで多種多様なキャラクターが揃って、なおかつ戦争というバトルに挑む作品って、早々無いんじゃないかな。この当時本誌では色々あった(例:死亡、闇堕ち)キャラも、“こまけえことはいいんだよ!”精神で普通に参戦! これまた、アーティストのスコット・コブリッシュによるアートも良くてなあ。紙上に大戦を描ききるこの筆もまた、海外コミックスへのイメージを変える新風として紹介してもいいんじゃないかな!」

S「ふうむ、この作品、結構気に入ってる感じ?」

F「タイトルはデッドプールの兵法入門だけど、アメコミやデッドプールの入門書にしてもいいんじゃないかな。比較的安価な1400円(税別)という価格かつ、一冊で完結。多くの人が抱くデッドプールへのイメージを、全四話でまとめ切った巧みさ。入門書に求められるポイントは、抑えられている感じだな。まあ、デッドプールは元々……」

S「元々?」

F「短編や中編、読み切りが多いからな。単発的な作品は、その単体で完結するように作るのは、古今東西の創作出版物における鉄則だ。元々そうやって作られた作品を邦訳すれば数多くの人が読める作品になるのは、当然だろ? 若干形は違うものの、長編の第一話もわかりやすいな。なにせ、そこから始まるんだから」

S「なるほど。道理だ」

F「何回か口にしている道理だけどねー。でもまあ、こうしてちゃんと書いて残すのも大事よ」

デッドプール邦訳奇譚~デッドプールVS.カーネイジ~

デッドプールVS.カーネイジ

デッドプールvsカーネイジ

あらすじ

いまやマーベル・ユニバースきっての人気者になった“饒舌な傭兵”デッドプール。今度のお相手はカーネイジ……スパイダーマンから生まれたヴェノムから、さらに生まれた“最悪のスパイダーマン”である。殺戮を繰り返すカーネイジがデッドプールと出会い、血を血で洗う凄惨な戦いが始まった。デッドプールがカーネイジの口に手榴弾を突っ込んだかと思うと、カーネイジはデッドプールをバラバラに引き裂く……。常軌を逸した真紅の2狂の凶演、果たして勝利はどちらの手に……!?
(Amazon 商品説明より抜粋)

サイレン(以下S)「久々の更新の前に……色々あったようですが、改めておめでとうございます」

ふじい(以下F)「ありがとうございます。これからも初心を忘れず、勇往邁進の精神で、日々精進し続ける所存です」

S「なんかお前、力士の昇進時の口上みたいなこと言ってるぞ。大関とか横綱に上がる時のアレ」

F「俺のことはどうでもいいとして、まずはデッドプールとカーネイジの話をしようよ! と言いつつも、デッドプールVS.カーネイジの話は前にしているからなあ

S「ああ、結構がっつりとしてるよな」

F「読者が一度見てみたかった、赤い危険人物同士のカードをこうして実現。互いのなんでもアリな不死性から、“殺し合い”という本来ハイリスクな要素をお手軽スナック感覚で使っていて……しかし、互いの性根やあり方を否定しあうトコロまで達しても、結果的に両方の商品価値を落としてない、むしろ上がってるのがスゴいな。人気キャラや一流になればなるほど、刺激的でリスクの高いことがし難いアメコミキャラクター界隈でも、このクラスでこれほどのリスクを乗りこなせるキャラ、そうはおるめえよ」

S「それに、殺し合いに至る過程も非常にシンプルだしな。女優へのインタビューとかそういうのがなく、いきなり本番が始まるアダルトビデオのように!」

F「過程がシンプルなぶん、本番の充実度、もとい作者が書きたいものやテーマに割ける部分が大きいというのもあるねえ。狂人であるカーネイジですら理解できぬ狂気を振りまくデッドプール、やがてカーネイジが気づいてはならぬデッドプールの狂気に足を踏み入れようとした瞬間……。殺傷性と狂気、互いが持つ特徴をどうやって伸ばしていくか、真摯に取り組んでる作品だ。デッドプールとカーネイジの名前が並んで、多くの人が期待するような光景。そのリクエストにはきっちり応えていると思うのよね」

S「ところでこれ、短編のスペーリア・カーネイジ・アニュアルも収録されてるよな?」

F「ああ。凶悪な犯罪者クレタス・カサディ(原文ママ)と、カーネイジの能力を担う共生体。この“相棒”同士が一つになることで、凶悪無比なヴィラン、カーネイジはカーネイジとして存在できる。カーネイジとは何者なのかという基本骨子に焦点を合わせた短編だな。カーネイジはスパイダーマンのヤバい敵として知られてはいるものの、カーネイジ自身が主役な作品はあんま日本には無いからなあ。デッドプールとの相乗りとはいえ、こうしてカーネイジが主人公な作品が邦訳されるのは、いいことじゃないかな」

 

 

S「しかし、今までほとんど没交渉だったデッドプールとカーネイジにこうして因縁が出来たワケだよな。次もし、どっかで再開したら、大変なことになるんじゃないか……?」

F「再開は当分無いだろうと思っていたが、今度はミニシリーズどころか、メインストリームなアベンジャーズ&X-MEN:AXIS(アクシス)と呼ばれるシリーズで再開することになったからな。まったく、アベンジャーズもX-MENも、ビックリだぜ」

二人はマブダチ!

S「あれ!? すっげえ仲良くなってるよ!?」

F「まあ。このフレンドリーさすら前菜レベル、それぐらい混沌極まりなかったAXISでの再開だからな! AXISも本編やタイインしたデッドプール誌が邦訳されますように!(祈り」