ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その27~

「日本よ、これがデッドプールだ!」
「地獄からの使者! デッドプール!」
 ちょっと待って! このネタ、超触れにくい! あと、総集編で出来た労力全部ぶち込んだのか、デッドプールの尻が良作画でイラっとくる!
 というわけで、ディスクウォーズ:アベンジャーズ第27話。待ってたぜ!なデッドプール回!

 ……感想を書くことに、何の意味があるんだろうか(哲学化 何も付け加えることが無いぐらいに、超直球。バッターが2~3人病院送りになったんじゃないの?なビーンボールを織り交ぜての豪速球プール。きっとTVの前の子供達も、魂ロワイヤルのCM「デッドプール参戦!」→「誰!?」の無限地獄から開放されたんじゃないかと思います。最高レアリティのカードがアニメにまだ出てない変な赤タイツって、スタッフは大馬鹿野郎ですよ!(花束を手に
 真面目に考察すると、この中盤でのデッドプール参戦はベストタイミングじゃないかと。実際、コミックスでも人気キャラなので、結構ゲスト出演の機会があるのですが、性質上、ちょっとアクが強すぎる面がありまして。全力全開のデッドプールをやるのであれば、デッドプールを主人公にしてしまうか、作品世界をしっかりと固めた上での招聘がベスト。ディスクウォーズは、後者ですね。
 人気があるからと言って序盤に呼んでしまうと、作品自体が振り回されるか、チーム物以上の空気が読めるおとなしいデッドプールになってしまうので。常時やりたい放題にも見えますが、X-Forceやサンダーボルツに参加している時は「ここはウルヴァリンの見せ場だよな」「頑張れパニッシャー!」と、結構空気読むんですよ? というわけで、このタイミングはベストと。地固めや未見の人への優しさをしっかりと考えていたディスクウォーズだからこそ、今回危険球をバンバンやれたんだと思います。会場の熱、Twitterを見る限り、観客の温まり方は今までで最高レベルでした。アイアンフィストのディスク持ってっちゃったし、きっと忘れた頃にまた会える! ……なんか、次はアイアンフィストと一緒にパワーマン(ルーク・ケイジ)のディスクも持っている気がするなあ。
 今日解説するのは……今日は……休みでもいいんじゃないですかね、もう。だってデッドプールについて書くって言っても、

はじめてのデッドプール~日本版~

Deadpool Annual#2紹介+おまけ

 もうこんな感じで、サイトの至る所にデッドプール関係の記事はありますしねえ。なので、改めて書く必要は無いんじゃないかと! 今日久々に出たコットンマウスの話は書いてないですけど、サーペント・ソサエティについては以前書いてますしねえ。今更、コットンマウスだけというのも。というわけで、今日は余程のことがない限りお休みで! 偶にはこういうのも有りということでどうかここは一つ。

 

デッドプール

映画化するといいね

 本名、ウェイド・ウィルソン。彼は一流の傭兵だったが、ある日癌を発症。命の危機に瀕したウェイドは、最後の手段として秘密計画ウェポンXに……この辺りは、正直何度も書くと鬱になるし、ググれ。だいたいさ、マーベルだってちゃんと設定しないないっつーか、バットマンのジョーカー、あのピエロのオリジンレベルの扱いよ? 話の都合で上から下へ。こだわりは首輪とチェーン! それはそれとして、癌は治らなかったものの、ウルヴァリン並みの超回復力ヒーリングファクターや、ウルヴァリン以上の戦闘能力、ウルヴァリンより遥かに高い背を持っていたウェイドはマスクとコスチュームを身にまとい、デッドプールを名乗ることになりました。おしまい。
 え? 短い? 続きはWEBで……ああ、ここWEBか! 毎週ディスクウォーズに登場!ならいいんだけど、子安たるZAZELもアベンジャーズのリーダーたる俺ちゃんも忙しいからねー。日本で今売ってるコミックスとなると、デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスデッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバースデッドプール:スーサイド・キングスの三冊があるね。この本を買えば、輝くステージでいつでも会える! シビルウォーのケーブル&デッドプールもあるけど、アレ限定生産でプレミアついてるので一先ずパス。あとWiiとPS3で出ているマーベル アルティメット アライアンスにも出てるね。俺ちゃ……デッドプール初の日本語化は、ひょっとしたらこのゲームでの出演かな!? 初期プレイアブルキャラなので、スイッチ付けたらすぐ会える! 玄関開けたら2分でデップー! 「英語がわからなくてもヒドい」と評判な、PS3&360で発売なDeadpoolも買ってみてもいいんじゃないかな。OK、OK、プレイ感覚はデビル・メイ・クライやベヨネッタ方面に振り切った感じだから。デッドプールさん自らのチュートリアルもあるから、言葉とかマジ些細よ?
 うーん。最近の友達付き合いとか結婚とか紹介したいんだけど、流石にちょっと気恥ずかしいし言い難いから、一旦スタジオにカメラ返そう。ああ大丈夫、こんなこともあろうかと、クローゼットの奥にしまってある、ホットトイズのウィップラッシュを確保しておいたから、もうめんどいとか嫌とかは言わないつーか言わせねえよ!? じゃあ、ちょっとチェンジ・ウィー・キャン!
 あとさー、今さら言うのもなんだけど、黄色って、目ぇ疲れるよね。

 

 急遽気が変わったので、デッドプールの近況報告を。変わったんだってば。
 最近動物と合体してゴライオンになって必殺くまパンチ!じゃ読んでる人も困るので、もうちっと対象を真面目に絞って。

ゴライオンプール

 マーベルは数年前リスタートシリーズ(設定が0になったわけではなく、あくまで仕切りなおし)のMarvel NOW!シリーズを開始。デッドプールもここで仕切り直しとなり、一時期喪失していたヒーリングファクターも元通りに。ぶっちゃけ、仕切り前の最終回で死んだが「次回から新シリーズなので、そのへん大丈夫だから!」とのライターのコメントどおり、ナウでは普通に生きてたし普通にデッドプールのままだった。
 ナウで与えられた初仕事は、SHIELDからの任務。ゾンビ化して蘇ったアメリカ歴代大統領の抹殺。まっとうなヒーローが行うと大問題(実際、キャプテン・アメリカが倒した時はスキャンダルになってしまった)な仕事を与えられたデッドプールは、大統領をゾンビ化させた“ネクロマンサー”マイケルやSHIELDエージェントのエミリー・プレストン、幽霊として事態の収集に来たベンジャミン・フランクリンと知り合う。

マイケル

エミリー・プレストン

ベンジャミン・フランクリン

 過ちに気づいたマイケルやエミリーと共に、デッドプールはゾンビ大統領軍団を撃破しアメリカを救う。しかし、その途中エミリーが殺害されてしまった。マイケルによるとっさの魔術で、エミリーの意識だけは生存。だがその意識は、デッドプールの脳内に収納されてしまった。

脳内エミリー

 その後、エミリーの意識はデッドプールの脳内から、ニック・フューリーがよく使う機械の身体ライフ・デコイに移植。サイボーグおばちゃんとして、家族の元に帰ることが出来た。エミリーはデッドプールの善き面を知ることにより、家族まるごとデッドプールの友人となる。ロボコップ(デッドプール談)となっただけあって、そこらの吸血鬼は素手でくびり殺せるし、銃火器持ちの戦闘員を相手にしても、そうそうは負けない。マイケルも一度死亡したが、利害の一致したメフィストの力で蘇った結果、魔力は増大した。ついでにフランクリンは、ゾンビ騒動終了後も現界。お姉ちゃんの尻を追いかけたりしながら、結構好き勝手に生きている。

メカエミリー

デッドプール&マイケル&フランクリン

 そんなデッドプールの運命を大きく変えたもの、それはドラキュラからの依頼。ドラキュラはデッドプールに、エジプトより自身の花嫁を連れてくるよう依頼。エジプトに渡ったデッドプールは、夢魔の女王シクラーと対面。シクラーは吸精の力を持っていたが、デッドプールはいくら吸い取ってもピンピンとしていた。自分と付き合える男に興味を持つシクラー、デッドプールもシクラーの美しさにどぎまぎし始める。シクラーを狙う吸血鬼ハンターブレイド、シクラーの存在に興味を持ったヒドラとモードック率いるAIM、訝しむドラキュラより派遣されたウェアウルフ……戦いと旅を重ねる中、二人はお互いに惹かれ合っていく。

ひかれあう二人

 そもそも、シクラーの美しさと血統の良さに惹かれているだけのドラキュラの求愛なんぞシクラーにとってどうでも良い話。二人はドラキュラの本拠地であるニューヨークに乗り込み、ドラキュラ率いる西洋妖怪軍団に戦いを挑む。戦局は明らかにデッドプール不利であったが、囚われていたシクラー支持の妖怪が開放され五分に。更に、シクラーとデッドプールを認めたブレイド、ドラキュラの洗脳が解けたウェアウルフ、途中合流したものの怪我して動物病院に入れられたボブ、ついこの間数コマ出ただけのモブな神父と道中出会った人々の援軍。そしてデッドプールのSOSによりやって来たのは、サンダーボルツ(レッドハルク、パニッシャー、エレクトラ、ゴーストライダー)一同に加え、先のマイケルやフランクリン。援軍による猛攻の前に、次々と倒れるドラキュラ一派。それでもドラキュラは王たる余裕を崩さなかったが、シクラーの発言により、仰天する。

「私、デッドプールと結婚したのよ」

ドラキュラ「え!? マジ!?」

 NTR!?と激昂するドラキュラは、ゴーゴンの首を使いシクラーを石化。駆けつけてきたデッドプールも追い詰めるが、デッドプールの捨て身の奇策により敗北。命からがら逃げ出すが、重症を負った上に権力の大半を喪失。ドラキュラにとって、デッドプールは最大の怨敵となった。つい最近も、スパイダーマン抹殺兵器スパイダースレイヤーをデッドプールスレイヤーに改造し、襲撃を仕掛けてきた。科学と魔術が交錯する時!

デッドプールスレイヤー降臨

 ドラキュラの権力はシクラーに移り、デッドプールとシクラーは正式な結婚式を挙げる。式には、アベンジャーズが参加。結婚式は平和地帯なこともあってか、ウルヴァリン派とサイクロップス派に分かれていたX-MENの両メンバーも平和的に式に参加した。もちろん、エミリーやマイケルにフランクリンやボブ、デッドプールの友人一同も参加。ケーブルももちろん登場。今ケーブル、指名手配犯だった気がするけど。平和地帯!

結婚おめでとうございます

 善悪さだからぬ傭兵も参加したせいで、パニッシャーが乱入して大乱闘なんてことにもなったが、ハルクとシングやヘラクレスといったヒーロー勢も暴れていたのでまあとんとん。多分一番賢かったのは、素顔でこっそり参加していたタスクマスター。平和地帯? 何の話ですか?
「え? 実は10回ぐらいもう結婚してるよ?」と言ったデッドプールの発言や、結婚記念号の表紙がギネス入り等のサプライズも大量にあったが割愛※。
※この辺り丸っと邦訳される気もするのでちとボカさせて頂きます。VSドラキュラ一派も、結構その辺、処理してます。大丈夫、アンケートとか送ればきっとその内どうにかなる。

 遂に結婚し、妻を持ったデッドプール。だが彼は、まだ知らない。自分には、既に娘が居たことを――。

 以上、駆け足で紹介した、デッドプールの最近の友達&結婚周りの話です。娘の話、新たに判明したデッドプールの生物学的特徴はまた今度に。新しい友人が増えたのもそうですが、キャプテン・アメリカやウルヴァリンと言った知り合いも、とある任務をデッドプールと共にこなしたことにより、現在はかなり親しい間柄に。世間的な評判が、一昔前の「良くわからない厄介な奴」から「良くわからないけど悪い奴じゃ無い」に変わった感じですかね。とりあえず、独り身のホークアイが拗ねるぐらいには、今のデッドプールは妻を始めとした家族や友人に恵まれております。

 

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日々雑談~1728~

 バットマン:ノーマンズ・ランド 1を入手。厚く単価の高い本だけあって、地元で扱っている本屋を探すのに時間がかかった上に、読み込むのにも時間がかかり……。なるべく本は地元の店で買いたいと思っているものの、こういう苦労を経てしまうと、もうAmazonでいいかなあとも考えてしまい。見つからなかったら、もっと本屋の無い地域に住んでいたら、多分諦めているわけで。これが、Amazonの強みか……。
 それはそれとして、ノーマンズ・ランド。合衆国によるゴッサムの隔離と封鎖、無法地帯でのヒーローやヴィランや人々を描く、一大シリーズ。リアルタイムでも1999~2000年と、丸一年続きました。ゴッサムはさながら戦国! 誰が勝ち抜ける? 鍵は開けられてしまった!
 このノーマンズ・ランド1巻の厚さ、収録されているのは本筋だけでなくタイイン誌も、そしてサブエピソードも満載。一時期バットマンを務めていた男、アズラエルの奔走やジョーカーとの対峙。無法地帯に現れた史上最強の超人スーパーマン。ヒーローやヴィランだけではなく、忠実なる執事アルフレッドの物語や一市民の奮闘や悲劇も収録。横に幅広く、並列の展開で一大シリーズを創り上げるアメリカンコミックスのシステム。このノーマンズ・ランドは、その冥利を思う存分味わうことが出来ます。
 ノーマンズ・ランド前日譚、致死性エボラウイルスがゴッサムに蔓延する『コンテイジョン』。大震災により街すらも壊滅する『カタクリズム』。この二シリーズは解説として収録されているのですが……コンテイジョンの一編だけ、一話だけが邦訳されています。その一話が収録されているのはヒットマン1。バットマンとヒットマン(トミー・モナハン)、二人のヒーロー初の邂逅回。アレはコンテイジョンでの話です。この話自体、ヒットマンの連載開始前日譚でもあります。意外と近場なゴッサム界隈。
 単純な正義や悪意は通じぬ、狂乱の無法地帯。話は、まだ始まったばかりなのです。

日々雑談~1727~

 昨日、艦これSS「なんでも最近、頭に果物を被ったヒーローが、子供にウケているらしい」をアップしました。艦これSSも一回やってみたいなーというのと、偶には毛色の違うものもやっておきたい、あと鎧武も最終回だよなーということで。元々ベース自体は、別のネタに使うつもりだった物を艦これに合わせて改造。
 結果こうして、日の当たる形で出せたことは良かったかと。ネタも持ち続けているだけじゃ、腐るだけですからね。

 というわけで、鎧武最終回。まさかのミッチ救済エンド、終盤激動期からこの結末に至るまでを予測できた人が居たのだろうか。正直、全滅エンドとか龍騎みたいなリセットエンドもありえるかなー……と。激動でしたね、激動。風味としては、安定気味な平成2期よりも、龍騎やファイズのような「本当にどうなるんだコレ!?」な平成前期の波乱に近く。しかし仕立ては当然今まで積み重ねてきた物も有り。平成一期と二期を掛けあわせたような、ハイブリッド種なライダーだったなと。とりあえずは、ライダー&戦隊の最終回時恒例、一話から録画したのを一気見しようぜ!タイムを始めてみようかと。一気見すると、結構色々印象が変わったりするのですよね。
 しかし「本当にどうなるんだコレ!?」という印象を一番最初に持ったのは視聴者ではなく、フルーツ鎧武者構想を知った時のスタッフな気がする……。

「なんでも最近、頭に果物を被ったヒーローが、子供にウケているらしい」

 鎮守府に並ぶ艦娘たちの私室。その中で、最も厚い鋼鉄の扉と誘爆にも耐えられそうな外壁を持つ私室にて、姉妹が二人、差し向かいで女子らしいトーク会ををしていた。外面だけは。
「なんでも最近、頭に果物を被ったヒーローが、子供にウケているらしい」
「もうそのヒーロー、今日最終回……び、微妙に遅くない?」
 長門型一番艦である長門が突然言い出した女子トーク力ミクロンな発言に、長門型二番艦である女子力満載な陸奥が若干言い難そうに返す。長門と陸奥、鎮守府屈指の超弩級戦艦姉妹である。
「有事の際、駆逐艦を率いる立場としては、あの娘たちに受けるよう、努力しなければいけない」
「別に駆逐艦だけじゃなくて、軽巡も重巡も率いるけどね?」
「ゆくゆくは、駆逐艦のみの艦隊を常時率いる立場になるつもりだ」
「規律正しく欲望だだ漏れね」
 パワーはあるが燃費の悪い長門、片や燃費はいいがパワーは無い駆逐艦。艦隊戦でも遠征でも、どの使い方でも微妙に相性の悪い組み合わせが、果たして常時となるものか。提督の額に主砲を突きつけながら交渉してみたら、行けるかもしれない。
「というわけで、こうして果物を用意してみた」
 机の上に転がる果物の数々。みかん、バナナ、ぶどう、レモン……よくもまあ、戦地で集められた物だと感心するしか無い量の、多種多様さであった。何故か、明らかに果物ではない、どんぐりや松ぼっくりも混ざっているが。
「集められたのはいいとして、果物を被るというのは、どういうことだろうか?」
「私も詳しくは知らないわ。中をくりぬいて細工すればスイカは被れそうだけど」
「ハロウィンのかぼちゃの要領で?」
「ダメね。やめときましょう」
 鋭い目とギザギザの歯を刻んだスイカを被って登場! 同贔屓目に見ても、ヒーローというより妖怪だ。
「妖怪は妖怪で、最近流行っているから……ダメね。しっかり者の駆逐艦に、憲兵さんを呼ばれる未来しか見えないわ」
「ならば、一先ずこうしてみよう」
 長門は、陸奥のカチューシャ状なアンテナの先端にみかんを刺した。
「出来れば自分で試して欲しいんだけど……」
「ダメだ。なんというか、正月だ。目出度く見える」
「餅に? 餅に例えた? 二段重ねの?」
 陸奥の眼が、少し怖くなってきた。
「ふむ。どうやら何処かで何か勘違いをしてしまったようだな」
「それを言い出すと、根が深すぎて対応できなくなるんだけど」
 陸奥はみかんを引き抜き、アンテナをハンカチで拭いている。
「一度、立ち止まって見なおす必要があるようだ」
 見直すと言い出されても、その場合果物を被ると言い出すよりももっと前、性癖という妹でも触るのに臆する所に突っ込む必要が出てくる。
「それなら、発想を変えてみよう」
 果物を改めて並べ始める長門、その思惑を聞こうとした陸奥の言葉を遮るかのように、甲高い警報が鳴り響いた。

 赤城は、構えた弓を無念そうに下ろす。放った矢、艦載機の攻撃は全て相手の対空防御に防がれてしまった。駆逐や軽巡を中心とした敵艦隊、その対空戦力を一手に担っている空母ヲ級は、まず間違いなくフラグシップ艦だ
 突如、予想だにしない海域に現れた深海棲艦の一団。何らかの意図戦略があるのか、それともはぐれ艦隊なのか。ハッキリしていることは、この海域からすぐの沿岸には、人里があるということだ。
 緊急指令として、鎮守府を飛び出してきた居残り組。問題は、入渠や遠征や出撃と重なった結果、居残り組として出れる艦が三隻しか居なかったこと。幸いは、その赤城を含む三隻が、強者であるということだ。
 動こうとした敵艦隊を取り囲む水柱。41連装砲の火力は、暴威の深海棲艦にすら躊躇や慄きを抱かせた。
「第三砲塔、今日は変なコトしてないわね。計画通りよ」
 砲撃を終えた陸奥が、赤城と並ぶ。鎮守府開設当初から所属していた、大型艦二人。強者と呼ばれる理由は、練度の高さにある。だがしかし。
「計画通りって、外れてますよね?」
 陸奥の砲撃は、全て水面に着弾。高すぎる水柱は、失敗の証である。
「今回は、これでいいの」
 砲撃を外したのに、語気には力強さが。陸奥には、何らかの算段があるようだった。若干語気の裏に、やけっぱち感があるのが気にかかるが。
「そ、そうなんですか? でも……ん? 何か、そちらから甘い匂いがしません?」
 くんくんと、鼻を鳴らす赤城。
「え?」
「この匂いは、柑橘系の匂いと、お餅?」
「なんでよ!?」
 声を思わず荒らげる陸奥。彼女が先ほど立てた水柱は水蒸気も生み出し、敵艦隊を即席の霧で包んでいた。

 視界が晴れた瞬間、目の前の的にあらん限りの攻撃を仕掛ける。言葉はなくとも、深海棲艦は本能で繋がっていた。そしてそれは、自然と作戦となり陣形となる。
 そして、攻撃の最後を担うのは自分だと、ヲ級は理解していた。航空機を使うには視界が必要、晴れるまで、待つ必要がある。
「グギャ」「ギエッ」
 とても短い声が、あちこちから聞こえる。鳴き声とも悲鳴ともつかない声。
「アア!」「ヒッ!」
 ガツン、ゴツン。更なる無骨な音が、ヲ級の心をざわめかせる。
 有視界上にいる重巡リ級も、不安そうな様相を見せていた。
 そんなリ級の前に現れたのは、背の高い女性の影。リ級よりも大きい、戦艦級の影である。
 煙とともに現れたその影の手には、松ぼっくりが握られていた。
「ふん!」
 リ級の頭に叩きつけられる松ぼっくり。叩きつけるというか、強烈な掌底に松ぼっくりがついているだけである。豪腕の一撃は、リ級を一発で撃沈した。
「発想の転換、頭に果物を被せることで、敵を倒す! これならば、いける!」
 煙に紛れ、ゼロ距離レベルまで近寄ってきていた長門が吠える。
 ヲ級の視界が晴れる度に、ぷかあと浮かぶ仲間たちの姿が目に入ってくる。どの船の周りにも、どんぐりや松ぼっくりの残骸が浮いていた。そして気づけば、もはや生き残っているのはヲ級だけであった。
「さて、トドメと行こうか。だが、陸奥にせめて食べられないものを使えと言われたせいで、もう手元に武器になる果物が」
 持ってきた袋をごそごそと探る、長門。しばらく後、彼女は松ぼっくりやどんぐりなど歯牙にもかけぬ、凶悪な面持ちの、まるでモーニングスターのようにトゲだらけの果実を取り出した。
「フラグシップを葬るには、十分そうな果物だな。よく知らないが、ドリアンという名前の実らしい」
「ヲ……ヲ……」
 エリートを超えるフラグシップが怯えている。あんな凶悪なブツを両手で抱えつつ、じりじり近寄ってくる巨女。あの持ち方、上からおもいっきり叩きつける気満々だ。
「ビッグ7の力、侮るなよ」
「ノヲー! ノヲー!」
 あまりの恐怖が、ヲ級の言語機能をちょっとだけ進化させる。一つの奇跡であったが、長門の足を止めるには至らなかった。

 食事が好きなだけあって、食べ物にはちょっと詳しい赤城がドリアンについて解説する。
「アレ、ドリアンって食べられるんですよ。臭いですけど」
「へえ、知らなかったわ。ホント臭いけど」
 水煙が晴れた時、もはや深海棲艦は一匹も残っていなかった。そして、臭かった。あまりの唐突な臭さに、長門も倒れている。
「……使ったドリアンは、この後、赤城が美味しく頂きました」
「いいんですか!?」
「やだ、ノリノリ!?」
 喜びが冗談でない証拠に、赤城の眼はキラキラと輝いていた。

 次の日、再び長門と陸奥は自室で話し合っていた。
「やはり、他人の真似は上手くいかないな」
「分かってくれたのならいいわ」
「私が悪かったよ。でも、なにもそんなに眉をひそめなくても」
「違うわ。まだドリアンの匂いがちょっと残っているのよ」
「随分と入渠したのだが」
 クンクンと、自らの匂いをかぐ長門。自らに付いた臭さを自覚するのは、難しいことであった。
「しばらくは、お休みね。せっかく駆逐艦の娘からの人気が上がったのに、臭いんじゃ台無しよ」
「なに……? やはりあの、果物作戦は有効だったのか!?」
「そうじゃないわよ。普通にみかんやスイカや桃やメロン、食べられる果物を、間宮さんに提供しただけよ。小さい子たちに、優先してあげて下さいって。姉さんの名義でね」
 被るだの被せるだの、余計なことを考えず、普通に集めた物をプレゼントしておけばよかったのだ。シンプル・イズ・ベストと言うより、なんでこう余計なことを考えてしまったのか。集めた動機の時点で、色々間違っていたせいだろう。
「ありがとう。これでまた、一歩野望に近づいたぞ」
「はいはい。少し私もつまみ食いしようかとも思ったけど、最近ちょっとだらけすぎだったしね」
 最近、少しだけ柔らかくなっていた二の腕を摘み、陸奥はため息を付いた。なんか薄い餅を触っているように思えてくる。
「ところで、果物の次は、車を装備したヒーローが子供達にウケそうな予感があるとか」
 陸奥は手で顔を覆うことで、再び神妙な顔をしだした長門を見ないようにした。

日々雑談~1726~

 明日おそらく、SSを一本アップできるかと思います。色々と最終回記念とか、久々に書きたい物とかが入り混じった結果……なんだろう、コレ。

 今日はこの時間までデッドプール:スーサイド・キングスを何度も読み返す感じで。原書は持ってるし何度も読んでるけど、やはり日本語訳された物は格別な味が。むしろ、何度も読んでいるからこそ、楽しいのかも。

デッドプール:スーサイド・キングス

 用語解説がマーベル作中用語ではなく、アメリカポップカルチャー史に出てくる単語の解説が多いあたり、ホントどうでもいいことをべらべらとこの野郎なのが伝わると思います。今回の話、スパイダーマンもデッドプール寄りのおしゃべりスピーカー野郎なので、基本うるせえこの野郎尽くし。「もういい。お前たちとは別行動だ」そりゃ耳の良いデアデビルは困るよな!w
 またその内書くとは思いますが、一先ず驚いたのは帯。好き放題通り越して野ざらし状態な短篇集「デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション」の邦訳決定(来年1月発売)もそうだけど、デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスが5刷ってオイ。普通にロングセラーになってて、ビックリだよ!