映画デッドプール感想~バーリ・トゥードver #5~

映画デッドプール感想~試写会ver~
映画公開記念 デッドプールを知るためのQ&A
映画デッドプール感想~上映後ver~

映画デッドプール感想バーリ・トゥードver#1#2#3#4の続きとなる#5、遂に最終回です。前回に引き続き、ネタバレに小ネタ解説と、なんでもありなバージョンになっております。なので読むのは、鑑賞後推奨です。

 

 

 

 デッドプールの襲撃をコロッサスのおかげで振り切って、アジトに帰還したエイジャックス。エイジャックスはここに至るまで、一年近く自分と組織の邪魔をしている謎の男“デッドプール”がウェイド・ウィルソンだと気づいていなかったので、マスクを被り正体を隠すというウィーゼルの作戦は大成功と言えるでしょう。
というか、既にウェイド・ウィルソンの大まかな個人情報をエイジャックス側に握られているので、マスクを被って正体を隠さないと即詰んでいたというか、映画を観ればわかるように、一番最初に狙われるのはウィーゼルです。ウィーゼル、大成功!(二回目)

 しかしエイジャックス、組織はデッドプールの草の根活動により結構なダメージを負っていて、痛覚無視でHPが0になるまで戦えるものの、デッドプールは0でも蘇りかねない再生能力持ち。そもそもコロッサスの横槍がなければ、高速道路で人生終わっていたと、中々ギリの戦いを強いられてますね。普通、映画のボスって、権力もしくは実力で何かしら圧倒しているもんなんだけど、エイジャックスわりと頑張って主人公に立ち向かってるタイプのボスよねえ。

 

 

 見てください、あのご老人。凄く幸せそうですよ。

スタン・リーINデッドプール

 紛争状態の二カ国の国境に彼が降り立てば戦争は終わるに違いない。それぐらいノリノリでストリップクラブのDJを演じていた、僕らのスタン・リー。アイアンマン3で美女コンテストの審査員やってた時の笑顔に並ぶエンジョイっぷり。それにしても、このアイアンマン3の時の笑顔、笑顔が決め手な島村卯月に迫るものがあるね。

スタン・リーINアイアンマン3

 スタン・リーと言えば、スパイダーマンやファンタスティック・フォーなどなど数多くのヒーローの生みの親となり、戦後におけるキャプテン・アメリカのリブートやX-MENやアベンジャーズのシナリオも担当してきた、リビングレジェンドの一人。当然現在映画化されているマーベルヒーローの大半とは縁が深いのですが、デッドプールは関係が薄めだったりします。生みの親でもなく、ライターとして担当したこともなく。他に挙げるとしたらガーディアンズ・オブ・ギャラクシーやアントマン(スコット・ラング)やベイマックス(ビッグヒーロー6)もスタン・リーとの関係は薄めですが、逆に言うとその他のヒーローはだいたいスタン・リーの影響下にあるってことなのよねえ。ぶっちゃけて言うと、コミックスで主流派なヒーローは、だいたいスタン・リーの息がかかっているということで。流石は、生きる伝説。

 御年90才を越え、健康不安も訴えていますが、今後共ぜひ、カメオ出演のお爺ちゃんとしてマーベル映画に出て欲しいところです。スタン・リーが居なくなったら、マーベル映画がらしくなくなってしまうかもしれん。

スタン・リー&デッドプール

 

 

 自分の前から姿を消し、一年以上音信不通となれば、ウェイド・ウィルソンが死んだと思ってもおかしくはない。それでも、ヴァネッサの指にはボルトロン(ゴライオン)の指輪があった――
 ヴァネッサとデッドプールの関係に関しては、真面目な話、結構な純愛ものですよねえ。男女が共に、お互いと自身の愛を信じている。傭兵と娼婦、輝ける身分では無いものの、だからこそ二人の愛が際立ってくるのです。
 
「本当は行くべきなんだろう。でも、行きたくない」
 デッドプールの周りに、いいやつなんだけどクソ野郎なウィーゼルや、マリファナ婆さんのブラインド・アルとかしか居ないから、更にデッドプールとヴァネッサの愛が綺麗に見えるとか、思ってても言っちゃダメだぞ! だいたい、デッドプールだっていいやつだけどクソ野郎だよ!

 

 

 予算が無くて、X-MENからコロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドの二人しか出せなかったよ! コミックスを見るに、デッドプールと他作品のキャラを絡ませるのは、楽に見えて細心の注意が求められるので結果オーライだったのではないかと。
 集団の中にデッドプールをぶち込むと、本人が埋もれるか、周りを食ってしまうかのデッド・オア・アライブ。情け無用のXチームことX-Forceやワンマンヒーローの集合体であるサンダーボルツへの参加を経て、アンキャニーアベンジャーズで“メジャーなチームの先頭に立つデッドプール”を構築中な現状。
 長年続いているコミックスでも集団の中のデッドプールを模索中な今、映画の第一作で、いきなりX-MENとがっちり絡めてしまうのは、ちと危険ではあるかなと。予算が無いのがマジなのかどうか……マジっぽいよなあ。他の有名キャラやX-MENとの本格的な絡みは、次回作以降に期待です。

 そんな中、「え? アイツ、原作に居ないの!?」となる、タクシーの運ちゃんこと、ドーピンダー。デッドプールさんの建前と本音を使い分けるトークINタクシーは、この映画における笑いの最大瞬間風速候補の一つ。そんぐらい濃いけど、ドーピンダーは映画オリジナルキャラだよ!

 集団の一員としては扱いが難しいものの、自ら関係者を作らせたら天下一なのがデッドプール。ドーピンダーはアレ、コミックスにも多いデッドプールと出会って人生狂う人間のテンプレ。本人が純朴なので、道を踏み外した感はバンドゥINトランクがクラッシュするまで無かったけど。塀の中に入ってるかもしんないけど、是非ともドーピンダーは次回作にも出てほしいねえ。

 

 

 OK、OK。言いたいことはわかってる。でもね、エイジャックスが最終決戦の場所に選んだジャンクヤードにある謎の空母。アレはちょっと飛行装置っぽいものが付いた戦艦なんだ。おいおい、ボブなんて一般的な名前だし、どこに居てもおかしくない名前だろ?

 一応公式見解としてはこんな感じなので、映画デッドプールはアベンジャーズシリーズとは関係なく、ましてやキャプテン・アメリカ:ウインターソルジャーとも関係ないし、あの空母はヘリキャリアーでもなく、ハイル・ヒドラ! な一団もおりませぬ。こういうのは、認めたら負けよ。
 実際のトコ、並べてみれば全くの別物と……アレ? どっちがどっちだっけか!?

こっちはウインター・ソルジャー

こっちはデッドプール

 えーと、ひとまず同人的な発想やスパロボ的脳みそを使って、デッドプールとキャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャーを繋げてみると……

キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャーにて、大量のヘリキャリアーが墜落&秘密結社ヒドラが大幅弱体化。

ヒドラ弱体化の影響で、戦闘員だったボブがクビに。

ヒドラの残党や、ヒドラに押さえつけられていたグループが群雄割拠。世界中で、超人兵士の需要が高まる。

ウェイド・ウィルソンのせいで拠点を失ったエイジャックス、ミュータント兵士の販売で大儲けし再起。墜落したヘリキャリアーを新たな拠点とし、情報や設備や人脈ををサルベージ。

無職のボブ、勢いを増したエイジャックスに雇われる。

デッドプールの大暴れにより、エイジャックスの組織は弱体化。映画デッドプールの最終決戦にて、デッドプールとボブが再開。ボブ、KOされる。

 わあ、まるでしつらえたかのように、繋げやすいネ!

 

 

スーパーヒーロー着地(一覧)

スーパーヒーロー着地(亜種)

スーパーヒーロー着地(エンジェル・ダスト)

 これぞ噂の、スーパーヒーロー着地。ブラック・ウィドウは華奢さや華麗さでチト違う感じだけど、まあ亜種みたいなもんだろ! 決してエンジェル・ダストが男性ヒーローよりゴツいとは言ってないぞ!

 自分でポーズを真似してみるとわかるのですが、確かにデッドプールさんの言うとおり、膝が悪くなるポーズです。こんなんで高いとこから着地した日には、普通に膝の皿が割れます。

 ただ、スーパーヒーロー着地にはよく分からんカッコよさがあり、またそれと同じくらいに着地した人間の丈夫さや体幹の強さをアピールできる着地だと思うのですよ。前述したとおり、実際ポーズを取ってみただけでその無茶さはわかるかと。このスーパーヒーロー着地、仮面ライダーの変身ポーズレベルの発明じゃなかろうか。

 

 

 なんでだろう、エンジェル・ダストとの戦い(ポロリもあるよ!)で、映画X-MENシリーズにコロッサスの今後が決まってしまったような気がするんだ。天然のおもしろ枠として……。
 しかしコロッサスの◯◯◯。膨張した際にようやくダメージが通るとは、まるで状態異常にしないと攻撃が効かないゲームのボスのようだな。その状態異常が使えるゲストキャラとか、ヒントとか。その辺、丁寧に作っておかないと、クソボス呼ばわりされるタイプ。
 そういやデッドプールさんのX-MENの能力に対する評価、クローム製の◯◯◯とか、あの子の処女を奪うヤツは大変だなとか、基本セックス絡みですよね?

 

 

 バイオレンスなデッドプールのファイト。略して、デップファイト。バイオレンスで赤いデッドプールのファイトなら、略してレッドファ(ry
 雑魚(とボブ)は人文字にして片付け、エンジェル・ダストはコロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドに任せ、遂にデッドプールVSエイジャックスの一騎打ち! 

 自分のフィールドに招いた上でヴァネッサを捕らえ拷問、精神的に優位に立ち、デッドプールを圧倒するエイジャックス。前述したとおり、殺し合いでは能力的にデッドプール優位な上、そもそも映画序盤のハイウェイ戦でエイジャックスボッコボコだったので、こんぐらい策を立てないと、エイジャックスただの自殺志願者だよなあと。

 途中、デッドプールが頭をぶっ刺されてアニメチックな幻覚を見ていましたが、こうして戦っている最中、幻覚や妄想が積極的に差し込まれるのもデップファイトならではのもの。コミックスだと、デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスデッドプール:モンキー・ビジネスあたりでよく見られていたスタイルですね。

 

 

 ネガソニック・ティー(以下略の起こした爆発により、エンジェル・ダストはKO。ヘリキャ……飛行装置がついた斬新な空母の残骸も傾き、それを上手く利したデッドプールが、ヴァネッサを救いつつ、エイジャックスも撃破と完全勝利。とりあえず、コロッサスさんはネガソ(以下略の能力が上手く調整できるよう、しっかりと教育をお願いします。今の状態じゃ、全力出したら敵と味方とスタンフォードの街が一緒くたに吹き飛びかねんよ。

 一度空母上で敗北したものの、デッドプールに一矢報いるために、再度襲撃をしかけたエイジャックス。この後の、お前の顔なんか治せねえよの笑いも含め、既にここで“感情の無い”エイジャックスは死んでますね。一度、生死不明の状態になっておりながらも、そのまま姿を消すのではなく、デッドプールに一矢報いることを選ぶ。この選択は、生死不明の状態を利用するため、デッドプールのマスクを被ることを選んだウェイド・ウィルソンよりも、ある種感情的な選択です。

 ウェイド・ウィルソンを傷めつけることにより喜びを垣間みせ、デッドプールに敗北したことで怒りと笑いを得る。実際、人形呼ばわりされていたエイジャックスの感情はデッドプールとの付き合いが深まるたびに強いものとなっていきました。無感情な男が、主人公との接触で感情を取り戻す。これ普通の映画なら、仲間になるフラグだよ!

 怨敵同士でありながらも、最終的には分かり合うことが出来た、デッドプールとエイジャックス。デッドプールがトドメをさす寸前。エイジャックスがトドメをさされる寸前。おそらく二人が抱いた感情は「早く終わらねえかな、このクソみたいな演説」。サンキュー、コロッサス(二回目

 

 

 雑誌の切り抜きを顔面に貼り付けられてたってさ、アレ、ヒュー・ジャックマンのカメオ出演にカウントしちゃっていいのかな。それにしても顔面にホッチキスを打ち込むなんて、俺、大日本プロレスでしか観たことねえや!

 戦いは終わり、遂に再開するデッドプールとヴァネッサ。ここでヴァネッサが「顔に慣れて、お酒を飲めば、喜んで跨げる」と、真摯に対応してるのがいいですね。普通にデッドプールのグロさを受け入れてしまったら単に趣味が変なだけだし、美しい言葉で取り繕っても寒々しいだけ。ここで酔っ払えばどうにかなると正直に答えるからこそ、映画デッドプールのラストに相応しいラストシーンと言えるのでしょう。

 もっと早くヴァネッサと再開しておけばよかったのに、せめて連絡だけでもしておけば。これは終わったから言えることであり、デッドプールの逡巡はこの最善手がうてないぐらいに、深刻なものでした。それに、こういう「報告」「連絡」「相談」のほうれんそうの行き届かなさに関しては、映画デッドプールよりも派手にやらかして取り返しの付かないことになったヒーロー映画がね、最近ね、その、多かったよね!

 正直なとこ、コミックスだと、ウェイド・ウィルソンがガンになってヴァネッサと別れて、デッドプールとして帰ってきたらヴァネッサもミュータント能力に覚醒して“コピーキャット”になっていたり、そのあとお亡くなりになっていたりで、コミックスを読んでいる身としては、ラストのキスシーンまでヒヤヒヤものでしたよ。無事に終わってよかったわ。そんなコミックスにおけるヴァネッサは、色々なとこで何回か言っているような気がしますがデッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプールにて。収録の短編にて語られる、デッドプールとヴァネッサのこれまでと別れ。そして……?

 

 

 ああ、敗けたよ。映画デッドプールはスーパーヒーロー映画じゃない。俺達の予想以上に、この映画はアクション映画にして、コメディ映画にして、ラブストーリーにして。そして、デッドプールそのものの映画だったよ――

~完~

 

 

 

 

 

 

 映画デッドプールがアメリカで2月に公開され以来、海外ニュースサイト経由で「デッドプールの次回作にはケーブルが出てくる」「ケーブル役の候補にドルフ・ラングレンが挙がっている」とのニュースがバンバン来たけど、そりゃそうだよなあ! だって、エンドロールでデッドプール本人が言ってるんだもんなあ!
 このシーンは、第四の壁がぶっ壊れ気味な映画の先達、フェリスはある朝突然にまんまです。

今日は俺ちゃんとお前で、ダブルフェリスだ。

 実際観てみると、ガウンのガラもそれっぽいわ、カメラアングルも言っていることもだいたい同じだわで、ホントひっでえなコレ! 是非映画デッドプールのレンタルが開始された際には、デッドプールの脇に「フェリスはある朝突然に」も関連作として置いてほしいですネ!

 ところでその、ラストシーンの元ネタに「フェリスはある朝突然に」が選ばれたことに、グリーンランタン(ハル・ジョーダン)の務めていた会社がフェリス航空で、社長のキャロル・フェリスが恋人であることは、流石に関係ないですよね……?

 まさかのグリーンランタンネタで、感想のシメ。最初にした話もグリーンランタンだったし、グリーンランタンで始まりグリーンランタンで終わってもいいんじゃないかな!? これで、いいのだ。