紹介! フラッシュ:新たなる挑戦!

ふじい(以下F)「DASH! 時代を越え!」

サイレン(以下S)「SMASH! 世代を越え!」

F「FLASH! 世界を越え! とどろく 賛美歌 勇気の証! というわけで、光速の男ザ・フラッシュ邦訳本、フラッシュ:新たなる挑戦(THE NEW 52! )発売!という事で、DASH!でFLASH!なこの本の紹介をざっとしていこうかと。SMASH!分はまあ、どっかのグリーンジャイアントにでも任すとして」

S「それがやりたいから、いきなりの勇気の証だったのかよ!? ……いや、俺もアニメタル好きだけどさ」

F「アンタモスキネー。そしてフラッシュは、同人誌作ったり、紹介記事を何度か書くぐらいに、自分的に好みなヒーロー。今回の邦訳フラッシュにおけるまず重要なポイントは、タイトルにもあるTHE NEW 52!よね」

S「THE NEW 52。DCコミックスが当時の連載作品をすべて終わらせて、新創刊した52タイトルの事だな」

F「要はスーパーマンやバットマンやワンダーウーマンにフラッシュにグリーン・ランタンに。全部一回終わらせて、また1から、第一話から始めましょうという世界観のリセット、通称リランチだな。なぜ世界の終了と再構築なんて事が起こったのかという物語的な理由は、同じくフラッシュが主役なフラッシュポイントを読んでもらうとして。タイトルに付いたTHE NEW 52!の意味は、設定が一新されたリランチ後の世界ですよという、一つの証だな」

S「言い方を代えれば、リスタートかね」

F「所で、定期的に色々な所から出てくる話題で、実際俺も何度か口にしているテーマで……“入門用に適したアメコミ“というのがあるが、読みやすさや理解のしやすさ、シンプルに考えた場合、THE NEW 52レーベルの作品の入門用としてのポテンシャルはえらく高い」

S「そりゃそうだ。元々、世界観を一新した上での作品群なんだもの。知っている人間が居ない以上、誰にでも分かるように、新しい世界を理解できるような話作りが求められるわけだろ?」

F「ああ。THE NEW 52における第一話が入門用作品としてポテンシャルが高いのは、当たり前の話なのよね。だって元々、新たな世界に入門するための作品として作られているんだからよ。今は続き物があるから、全てが入門用とは言えないけど、THE NEW 52邦訳化の魁となった、ヒーローチーム、ジャスティス・リーグの第一話こと、ジャスティス・リーグ:誕生(THE NEW 52!)は現状最高クラスの入門用だぜ。シンプルさや漠然としたアメコミのイメージを求められたら、コレを推す。現在の海外におけるヒーローコミックスの最先端と言っても過言ではないし。刊行から数年経ってるけど、世代交代程の時は経ってない以上、まだ行ける! まだ最先端よ!?」

S「しかしTHE NEW 52って言っても、バットマンはリスタート色が薄いよな」

F「バットマンというかゴッサム・シティは、強くてニューゲームばりに、色々引き継いでるからな……邦訳でもちゃんと追われている、グラント・モリソンのシリーズも、ほぼ継続状態だし。ただ、その一方で刊行されたダークナイト:姿なき恐怖(THE NEW 52!)は、フラッシュ:新たなる挑戦やジャスティス・リーグ:誕生と同じリスタートの第一話ポジションだとは思うよ? 次々と出てくる強敵、頼れる仲間たち! アクション重視でストーリーもシンプルと、非常にヒーローコミックスっぽい」

S「普通だよな。極上の、普通」

F「普通も大事。シンプルさも大事なのよ? こういう時にゃあ」

 

 

S「しかし、今挙げたのはフラッシュの良い所じゃなくて、THE NEW 52の良い所だよな。フラッシュ独自の良い所っていうと、何処だろ?」

F「そうだな。フラッシュの良い所となると……まず再構築による物語の一本化かね。フラッシュといえば超高速、その力の源といえばスピードフォース」

S「ああ。あのゲッター線?」

F「身も蓋も無えなオイ!? でも、大体合ってるのが恐ろしい。フラッシュの速さの源であるスピードフォース! フラッシュだけでなくDCコミックスにおけるスピード系ヒーローの大半は、スピードフォースとリンクすることにより速さを取得。その源泉は、異次元に存在し……止めておこう。スピードフォースについて語り始めたら、マジで終わらねえ。とりあえず“よく分からないが、なんだか凄いエネルギー“と言う事で」

S「そっちも負けじと身も蓋もないよな」

F「このスピードフォースの設定自体は、三代目フラッシュのウォリー・ウェストの時代に出来た物で、初代フラッシュのジェイ・ギャリックや二代目フラッシュのバリー・アレンが活躍していた頃には、まだ存在せず。当然、いきなり超凄いエネルギーとして生誕したわけでなく、話を進める毎に設定を追加していく感じで。ジェイやバリーと言った過去や周りを巻き込みつつ」

S「設定の追加による継ぎ接ぎ。長期的ドラマな、アメコミにはよくある話ね」

F「だが、フラッシュ:新たなる挑戦は、設定の一新により初めからスピードフォースを軸に置いた物語に。スピードフォースに選ばれた男、バリー・アレン。光速の男フラッシュとなった彼の前に立ちふさがる、キャプテン・コールドやウェザーウィザードと言った悪党集団ローグスの面々、超知力を持つゴリラ達の王国ゴリラ・シティの邪悪なる王グロッド! 嘗ては自然発生的に出て来たヴィラン達。しかしTHE NEW 52の世界における彼らは、何らかの形でスピードフォースに関わって力や知力を得ている」

S「旧作だと、ゴリラシティのゴリラ達が賢い理由は、宇宙人から知恵を授かったからだっけか?」

F「THE NEW 52では、この知恵を授かる過程に、スピードフォースが深く関わってくるわけだ。宇宙人という突拍子の無さが、緩和されたな」

S「お前は、ゴリラがいきなり喋るどころか超科学を振るうという展開自体が突拍子もない事を、いい加減学んだほうがいい」

F「スピードフォースを軸に一本化することで、物語がスリムに。スピードフォースという大樹に、フラッシュやゴリラと言った枝葉を生やしていく。継ぎ接ぎもいいけど、こういうやり直すからこその、地に足の着いた物語は読み易いし分かりやすいよな」

S「しかし……最初例としてゲッター線を出したが、ゲッター線も最初は“デカいロボットを動かすエネルギーで、恐竜の絶滅の原因“だったのが、最近は“大宇宙の根源にある進化の力“レベルにまで話大きくなってるよな……」

F「任せろ! 月ごとふっ飛ばしてやる! 設定の膨らみ方では、スピードフォースとゲッター線は互角と言っていいんじゃねえかな。フラッシュ:新たなる挑戦は、ゲッターロボサーガで言うところの、真ゲッターロボ作品や新ゲッターロボのポジションなのかもしれんな」

 

 

F「そしてもう一つの特徴となると、やっぱ絵、アートかね。漫画コミックスである以上、縁が切れない物であり」

S「そりゃそうだな」

F「最近は画像控えめの紹介やレビューを目指しているものの、正直言葉で伝えるのが難しい!ということで、二枚ばかりタイトルページを貼ってみるぞ。漫画もアメコミも、タイトルページと言ったら、普通は別個イラストがあって、そこに別口でタイトルを貼り付けるような形なんだが……」

フラッシュVSタービン

フラッシュ&ローグスVSグロッド

S「一枚目は二人が戦っている土台が、二枚目はキャプテン・コールドの足元の氷がタイトルになってるな」

F「そしてこれは、話の一シーンだ。つまり、フラッシュ:新たなる挑戦で使われている手法は“タイトルページもタイトルも、別個や別口で用意せずに、話と一体化させる“って事だな。別の話では、水たまりの形がFLASHの形になっていたりして、今回こういうタイトルの出し方したか!と探す楽しみもあるぞ」

S「コマ割りも結構画期的だったりするよな。少なくとも、俺の中でのアメコミにおけるコマ割りの常識どころか、漫画のコマ割りへの常識もぶち壊されたよ」

F「流石にその辺を説明するには長々と話を貼り付けるようなので、昔の攻略本の常套手段こと、後は君の目で確かめよう!を使わせてもらうが。フラッシュ:新たなる挑戦を実際読んで、確認してほしいね」

S「それにしても、革新的なアートだよな」

F「うーむ。理由としては、アーティストとライターが兼業ってこともあるかもな。絵も話も、フランシス・マナプルさんが同時に担当しているから」

S「へー。分業制のアメコミ界隈にしては、珍しい制作体制だな」

F「ライターの方はブライアン・ブッチェラートさんとの共著になっているし、フランシスさんが完全に一人でやったわけじゃないけどね。でも、こうして話の構築において関わっている部分が多いってのは、画期的や革新的なアイディアを使いやすい状況なんじゃないかな?」

 

 

F「基本的には、後は君の目で確かめよう!(二回目)なスタンスでの紹介だったわけだが。すっげえ簡単に言うと、話も絵も見どころや画期的な所があるから、読んでみると目が覚めるよ!ということで」

S「目が覚める。そうだな、フラッシュの本格的な日本上陸は珍しいし、今まで観たこと無い光景が見れる可能性は大だ」

F「これから先の話としては、超濃密ゴリラ空間展開! ローグス一挙勢揃い! ヒロインがメガネっ娘とか最高だしこのまま行こうぜ!てな感じで」

S「待て。今の紹介、お前の私欲、むっちゃ入ってる。特に眼鏡のあたり」

F「高速ヴィジョン 見逃すな。ついて来れるなら……! 話もアートも、めくるめく超高速。続きへの期待も込めて、是非ともついて行きたい作品です!」