日々雑談~5904~

 俺もコーヒーは豆で買ってきて挽いて飲んでるけど、めんどくさい時は粉使うし、更に面倒な時はインスタントや缶で済ませると、コーヒーは好きだけど、こうでなきゃいけない!ってのはあんまりないな。豆もデーター取りとかしないで、とりあえず安かったり美味そうだったりでピンと来たものを衝動的に買ってるし。ただ、ミルで豆をゆっくり引いている時間や、お湯を浴びた粉がぷっくり膨れるところや、部屋の中に仄かに残る香りは癖になっているので、きっとコーヒーが好きなのは間違いない。こだわりはないけど、こだわりはある。なんだか、禅問答みたいになってきたな。

 それにしたって、作中でとにかく余暇の使い方が上手いし、なんならマグロの頭だって焼いてみせらあ!な趣味人の大槻の口から「詳しくはないが、心から(コーヒーが)好き」って発言が出てきたのは意外だったというか。なにせ、152話ほど、好きなものこそ上手なれをやってきたわけで。実際、好きでもどうにもならないものもあるし、むしろどうにもならなくても好きな辺り、大槻のコーヒー好きに嘘はないんだろうなと。好きで始めたはずなのに、どうにもならないから嫌いになるパターンの方がおそらく多いし。

 しかしライフスタイルを楽しむタイプの漫画なハンチョウで、詳しい≠好きがこうして出てきたのは印象的ですね。好きなものこそ上手なれとは言うものの、さっき言ったように、好きでもどうにもならないものはどうしたってあるわけで。逆に、そんなに好きじゃないけど、なんだかそれが妙に上手い人ってのもいますしね。詳しいと好きは直結してそうでしていない、でも間接的には繋がっているかもしれない、絶妙な距離感じゃあないかと。

 自分は「好きなら詳しくあるべきだ」をある種の呪いと呼びましたが、実際、詳しい=好きにしてしまうと、たどり着くのは知識やキャリアで殴り合うマウント合戦なので、ホント好きと詳しさの距離感には気をつけないといけないんですよ。この距離感を考えず直結したままでいると、詳しい自分たちは上位のファン層であり、詳しくないファンを牽引しなければいけない――みたいな変なマッチョ主義に陥ったりしますし。そこまで理想に燃えなくても、詳しい自分たちが主流であることを確信しているぐらいは普通にありますし。世の中、詳しい人より、詳しくない人の方が多いんですがね。いやもう、このタイプの人間が関係者になったりすると、正しく綺麗で的外れな企画ばっかやってきて、中々の地獄だぜ? 

 しまった。ちと毒が出ちまった。結局のところ、今回のハンチョウのシメとなった「楽しみ方は人それぞれ……」が真理でしょうね。詳しくなくてもいい、負い目を感じなくてもいい、趣味はとにかく楽しむのが第一である。とにかく、気負うってのがよくないんだろうな。