四月は蜘蛛の嘘

ふじい(以下F)「アメリカ発のスーパーヒーロー映画が流行りな昨今、アメコミというジャンルへの入り口も、広さと数、共に大きくなっているわけで。ここで一回、基本に立ち返っておくのも大事だと思うんだよ」

サイレン(以下S)「ふむ。つまりは?」

F「様々な層が流入する以上、当たり前や今更という認識を捨てること。こんなメジャーなヒーローを、今更!?とか、そういうのはよくない。たとえ有名であっても、あえて紹介してみる。ただの焼き直し、一周遅れのテキストになってしまうかもしれないけど、挑むだけなら時間以外、タダ。やってみてなんにもならない可能性もあるかもしれないが、そもそも挑まなければ、なんにもならないに100%決まってる」

S「言いたいことはわかったが、基本か……基本となるヒーロー……」

F「やはりここは、王道の中の王道。キャプテン・アメリカ:シビル・ウォーでの参戦で、再び脚光を浴びている、スパイダーマンしかないだろう」

怪奇 蜘蛛男

S「長いエイプリルフールネタへの前フリだったなあ、オイ!?」

F「スパイダーマンもとい蜘蛛男の初出は、1971年4月3日に放映された仮面ライダー第一話“怪奇 蜘蛛男”。いわゆる仮面ライダーにおける怪人の始祖でもあり、メディアへの露出も多く、一般層への知名度は高い。そして怪人の始祖が蜘蛛モチーフであったことから、後年のライダー作品では蜘蛛は第一話の怪人やターニングポイントとなる怪人のモチーフに選ばれることが多い。直接この蜘蛛男をリファインした怪人としては、仮面ライダー THE FIRSTのスパイダーや、更に原作仮面ライダーのエッセンスも合成させたスペースショッカーのスペース蜘蛛男がいて」

S「解説長い! いやお前、あえて出す? スパイダーマンを日本語に直訳すれば蜘蛛男だよね!なんて結構使い古されてるネタよ?」

F「蜘蛛男は、PS2の仮面ライダー正義の系譜にも出てるんだけど、出現条件が知らなきゃ絶対やらないレベルでめんどくさくてなー。しかも毒針攻撃が中々よけにくい上に、ガスが邪魔なガス室での戦いでよ?」

S「ここぞとばかりに、言いたいことどんどんつっこんでくるな……」

F「いやそりゃ、いくらここが特撮にも常日頃触れているサイトといえ、この前振りでスパイダーマンに触れないのは、いくらエイプリルフールでもないわーっていうのは、わかってるのよ? だからちゃんと、こうして向こうの蜘蛛男も、準備してあるから」

ブラッドスパイダー

S「……なんだろう、コレ。一見スパイダーマンなんだけど、なにかおかしいような。これさ、マジでスパイダーマン? 中の人、ピーター・パーカー?」

F「中の人は、マイケル・ビンガムだから、ピーター・パーカーとは一文字も被ってないな」

S「別次元の方? それとも、クローン?」

F「怪しいスパイダーマンを見たら、クローンと思え。まあコイツは、本家スパイダーマンと同じ次元(EARTH-616)の人間だし、ピーター・パーカーのクローンでも何でもない。そもそも、スパイダーマンじゃなくて、ブラッドスパイダーって別キャラだからな」

登場! ブラッドスパイダー

S「お前さっき、アメリカの蜘蛛男紹介するって言ったじゃねえか!」

F「どう見ても、まごうことなきアメリカの蜘蛛男だろうが! 蜘蛛男の版権をスパイダーマン持ってるなら、わんさかいるクローンや別アースからの版権料で、ピーター・パーカーは左うちわよ!」

S「しかしクローンでも別次元のでもないのに、外観だけでなくポーズも似てるな……」

F「ブラッドスパイダーは動きだけならスパイダーマンそのものよ? なんてったって、あのタスクマスターがスパイダーマンの動きを盗んで、きっちりスパイダーマンのコピーになるよう、鍛え上げたんだからな」

ULTIMATE SPIDER-MAN - "Why I Hate Gym" - When the villainous Taskmaster goes undercover as Midtown High's gym teacher to find Spider-Man, gym class becomes a battleground. Spidey and White Tiger must put aside their differences to save their friends from the Taskmaster, in a new episode of "Ultimate Spider-Man," SUNDAY, APRIL 29 (11:00 -11:30 a.m., ET/PT) on Marvel Universe on Disney XD. (MARVEL) TASKMASTER, SPIDER-MAN

S「タスクマスターかー! 敵の動きを盗んで、なおかつ人に教えられる、アイツのせいかー!」

F「同じくキャプテン・アメリカの動きを教えたデスシールドや、ホークアイの弓術を仕込んだ、ジャゲッド・ボウなんてのもいるぞ。この間、久々にDeadpool And The Mercs For Moneyの#2に揃って出てたぜ?」

S「あ。やっぱこういうタイプのキャラ拾うのは、デッドプール誌なのね。しかし、恐ろしい生徒たちというか、やっぱタスクマスターも、そういうわかりやすい偽物タイプの弟子、しっかり作ってたのか」

F「ブラッドスパイダーのパワーや瞬発力を見るに、手段はわからないものの、ちゃんと超人であるスパイダーマンと同じ程度の身体能力は持ち合わせているぞ。ただ、一番スパイダーマンにとって大事な能力、全方位レーダーのスパイダーセンスは持ってないような気がするけど」

S「ところでこの、背中のバックパックは? 腕のチューブみたいのに、繋がっているみたいだけど」

F「ああ、これ。ウェブシューター。スパイダーマンはやっぱ、手から糸出してナンボだろ」

S「このウェブシューター、デカくね!?」

F「いや。むしろ、あれだけシュルシュルと丈夫な糸を出せるのに、目立たぬサイズに小型化して使っている本家スパイダーマンの方が、小さすぎるんだが……アイアンマンみたいな派手なのがいるんで目立ってないけど、ピーター・パーカーの技術力も恐るべき天才レベルなのよ?」

S「そういやそうだったな。ああそうか、つまりコイツは、嘘のスパイダーマンってことか……」

F「紹介するタイミングは狙ってたんだけどねー。4月1日のエイプリルフールに紹介するキャラとしちゃ、悪く無いだろ」

勝てませんでした

日々雑談~2098~

スパイダーマン登場!『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』予告編

 4月29日公開なキャプテン・アメリカ3ことシビル・ウォー/キャプテン・アメリカの新予告編が公開。公開時期が差し迫っているだけあって、今までの断片的な予告よりも、かなり突っ込んだ内容に。
 新ヒーローブラックパンサーの勇姿に、遂にコスチュームを身にまとったクロスボーンズ。ウォーマシンの負傷に、取り返しのつかなくなった破綻と、どうなるんだコレはもう。MCUでくくった場合、10数作目となる作品ですが、それだけ続いた段階でも、まるで第一作のようなワクワク感があるのは素晴らしい。そんな新鮮味と、今まで培ってきた味のダブルアタックとはズルい。
 Twitterを覗いた感じ、やはり話題のマトとなっていたのは、“新人ヒーロー”スパイダーマンの参戦。歴史的には大重鎮でも若手オーラアリなコミックスよりも、ストレートに初々しさを演出できるポジションになった気がせんでもなく。まあ、コミックスでの最初期は、経歴経験もあって、他のヒーローをも圧倒する熟達のヒーローだったのですが。X-MENのサイクロップスやジーン・グレイらファースト・ファイブを一人で圧倒するぐらいに。
 今回のコスチュームもまた、今までのサム・ライミ版や映画アメイジング・スパイダーマンとは違うライン。特徴的なのは、目でしょう。目の黒縁。今まで映画で着たコスチュームも、目の所が黒く縁取られていたのですが、シビル・ウォー版は黒縁がより大きく見えますね。
 強弱の違いあれどもスパイダーマンの共通アイコンとして使われるだけあって、スパイダーマンの目の黒縁は特徴の一つ。スタン・リーと並ぶスパイダーマン生みの親の一人であるスティーブ・ディッコのスパイダーマンの黒縁は、目に見えて大きめです。だからこそ、特徴として受け継がれてきたわけですが。

スパイダーマン(スティーブ・ディッコ)

 そしてこのスティーブ・ディッコのスパイダーマンをベースに描かれたり作られたりしたのが、日本における池上遼一版スパイダーマンや、東映版スパイダーマン。池上遼一版や東映版は、最近のコミックスや映画のスパイダーマンより黒縁大きめで眼力が強い印象があり、ぱっと見、シビル・ウォー版スパイダーマンに似た感じがあるんですよね。そりゃ、日本における話題の潤滑油にもなるか。
 あとまあ、シビル・ウォー版スパイダーマンの目の黒縁が大きく見えるのは、表情に合わせて目が忙しなく動いているというのもあるでしょう。こうやって、マスクの目をCGで直接合成して動かす技術は、先に公開された映画デッドプールでも使われております。日本的には、シビル・ウォーの公開より後の映画ですけど。
 あああと、映画デッドプールですが、一つの壁と言われていた全米興行収入3億ドルを遂に突破したようです。チームものな作品を覗いた場合、もう上にいるスーパーヒーローは、スパイダーマンやアイアンマンやバットマンぐらいしか残ってない状況。スーパーマン(マン・オブ・スティール)が全米興行収入2億9千万ドルと、いわゆる門番でした。
 次は世界での興行総収入7億ドルの壁。ここを越えれば、中国での検閲やR指定を気にしないでの作品作りの幅も広がるはず。しかし大作ラッシュの影で、前代未聞な事態になっとるな、コヤツ。

日々雑談~2092~

 作品が好きか嫌いかで生じるいざこざは自分も体験したことがあるし、他者のトラブルを何度も目にしたことがあるものの。個人的には、好きと嫌いという真逆の者同士より、同じ筈の好きと好きが相容れない時の方が、エグい流れになる気がする。趣味が相容れないこともあれば、好きを人を殴るための武器と勘違いしていることもあり。縁も話もスッパリ切れる好きと嫌いよりも、相互理解や互いに譲れぬ点にくちばしを入れてしまった結果、泥沼化する感じで。
 何にせよ、人と人との関係は、難しいものです。

「デッドプール」日本公開が6月3日に決定 茶目っ気たっぷりティザーポスターも
 夏公開から6月公開になって、最終的に6月3日に決定と、夏という季節において最速クラスの公開となりました。劇場数も拡大中との噂も聞きますし、3ヶ月後が楽しみです。いやしかし、間が空いたことが、なんとなくいい感じに転んでいるというか。アメリカと合わせての最速公開だったら、ここまでのヒットを予想できず、かなり狭い範囲での上映でちょっと流して終わっていたかもしれん……。若干空きすぎという気持ちはあるものの、これはこれでみたいなところには、落ち着きつつありますね。
 
 去年放送されていたアルティメット・スパイダーマンの新シリーズとなる、アルティメット・スパイダーマンvsシニスター・シックスが、地上波に帰還! テレ東系列で火曜6:25分から! うむ、この5分の早さで視聴しくじったりしたら泣くに泣けないな!
 公式サイトを見る限り、悪役連合シニスター・シックスのメンツは、ドクター・オクトパス、グリーン・ゴブリン、クレイヴン、エレクトロ、リザード、ライノのようですね。ここで気になるのは、コナーズ博士としてSHIELDに協力していたリザードと、ピーター・パーカーの同級生であり、同じヒーロー候補生でもあった、ライノのヒールターンでしょうか。リザードの暴走はいつものこととして、ちゃんとヒーローとして活動していたライノがこうなる流れが読めない……。
 何にせよ、スパイダーマンの地上波帰還は嬉しいですね。ただ、こうなると今度はアニメの方のスターウォーズが、途中で終わるってことになってしまうんだろうか。それはそれで、寂しいな。

日々雑談~2087~

 遅ればせながら、今週の真田丸視聴。昌幸というか、その父親である幸隆も含め、ぶっちゃけ真田家は大博打にそんな強くない系譜よね……幸隆も一回領土丸々失ってるし、昌幸も最後にして最大の大博打を外すわけで。ただ、博打の負けを回収するだけの能力と、さらなる博打を打つ勇気と気概があるからこそ、幸隆は失った領地を取り戻し、昌幸は武田滅亡後の荒海を泳ぎ切り、信之は真田の家を守りきり、信繁は日の本一の兵となったのでしょう。やはり真田家は、面白い。
 

デッドプール「6月公開な俺ちゃんの映画の一ヶ月前に、超強力ヒーロー登場! 絶対見てくれよな!」

変態仮面「そして我々の先輩でありビジュアルに強い影響を受けているヒーロー、スパイダーマンが出てくるキャプテン・アメリカ:シビル・ウォーは4月公開だ!」

デッドプール「みんな! 劇場でスパイディを見たら、俺ちゃんと変態仮面を思い出してくれよ! 上映前の予告編に、お邪魔できたら超ハッピー!」

 

スパイダーマン「……彼らの善意と好意で、僕の立場が本気で危ない」

 いやー。よくもまあ、今ブイブイ言わせてる鈴木亮平に「また変態仮面やりませんか?」って声をかけたな!? そして鈴木亮平もよくOKしたな!? 体造りからして、大変なのが変態仮面。もはや役者魂という言葉ですら足りぬ、プロ意識です。これはもう、根が変態と言わざるを得ないのでは。
 今年の日米ヒーローイヤー。仮面ライダー1号に続き、とんでもないヒーローが再起したもんだぜ……!

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール:モンキー・ビジネス~

デッドプール:モンキー・ビジネス

デッドプール:モンキー・ビジネス 表紙

あらすじ
「デッドプールは誰かの引き立て役なんかじゃない!」
まあ、本人はそう思ってる。でも、果たして本当にそうかな? ヒーローだろうとヴィランだろうと傭兵だろうと、スパイダーマンと共演して目立てるキャラクターは決して多くない。なにしろ彼はアメイジングだからね! さて今回、デッドプールはまるでラブラブな奥さんのようにスパイダーマンにベタベタくっつくことになる。史上かつてない強敵から身を守るためだ。強敵と言っても、サルだけどね。その名はヒット・モンキー。そいつがデッドプールの赤い尻を追いかけ回すのさ!(Amazon商品紹介より引用)

ふじい(以下F)「祝 映画デッドプール全米大ヒット! 日本に吹いてるデッドプール人気という風は、日本だけでなく世界中で吹いている風だったんだ! そしてちょうどこのタイミングで、日本におけるデッドプールのスタートとも言える、モンキー・ビジネスの紹介だ!」

サイレン(以下S)「ところで、なんで今回の商品紹介、ここまでアメリカンでノリノリなんだろう……」

F「いやこの、深夜のテレビショッピング的ノリは嫌いじゃないどころか、思わず口に出したくなるけど。アシスタントのキャサリンと共に、大袈裟なリアクションで紹介してみたい」

S「誰だよキャサリン。どこに居るんだよ、キャサリン」

F「キャサリンは、俺達のアメリカンを欲する心の中にいるのさ。それはそれとして、モンキー・ビジネスですよ。表紙にもなった、“メイド服のデッドプール”。ここから、日本におけるデッドプールの人気は火が点いたと思うのよ。正確には、MARVEL VS. CAPCOM 3との合わせ技」

S「あー、俺、マブカプ3で初めてデッドプールを観た時、アメリカにはすげえのがいるんだな! と思ったな」

F「俺もそんな感じだ。それで調べてみたら、バーン! と出てくるのが、メイド服キメてる姿だぜ? 言語がわからなくても、なんじゃコイツとなるインパクト。そりゃ当然みんな話題にもしたがるし、ガチムチマッチョで真面目なヒーローしか居ないとか、そういうアメコミへの固定観念にヒビが入るだけの一撃だったよなあと」

S「なんじゃこりゃ! と思って調べてみたら、予想以上のなんじゃこりゃ! が出てきたと。それは、調べがいがあるというか、クリティカルヒット感あるよな。でも実際さ、日本におけるデッドプール人気の入り口になっているのはわかるんだが……なんで、ここまで邦訳されなかったんだ?」

F「あくまで私見なんだけどさ。これ原書の原題“Deadpool, Vol. 4: Monkey Business”じゃん? ぶっちゃけ、シリーズにおける4巻じゃん? いきなり途中の巻出すのって、中々厳しくないか?」

S「あー……そういや、そうだったな」

F「ドラゴンボールで例えるならさ、ブルマのポロリシーンやアクマイト光線がめっちゃ話題になってる! よっしゃ! 占いババの試練のトコだけ復刊したろ! ぐらいに蛮勇だとは思うぞ」

S「そこだけポンと出されても、なんで占いババの試練を受けてるのかとか、悟空と養父な孫悟飯との再開とかを理解すんの、難しいだろうなあ」

F「だから、躊躇というか遅れたのは分からんでもないかなあって。ただ、他のデッドプール誌を先に刊行することで、デッドプールというキャラクターの地固めは出来たし、なおかつモンキー・ビジネスの頃のストーリーライン、自分探しの旅というのが元々途中からでも読みいいっていうのがあるので、この辺はもう大丈夫かなって」

S「この時期のデッドプールは、アメリカ中を旅してたんだっけ?」

F「このまま、鼻つまみ者として生きることはただ辛い。人々に愛されるヒーローになるにはいったいどうすればいいのか。そんなことを考えつつ、アメリカを巡っていた時期だな。モンキー・ビジネスの舞台はニューヨークだけど、この直前は、X-MEN入りを希望してカリフォルニアで一騒動おこしているからな。この後の巻では、映画デッドプールにも出てくる情報屋兼技術者のウィーゼルとラスベガスで一騒動起こしてるけど」

S「あの、すいません。毎回各地で一騒動起こしている上に、目標と結果があまり合致していないような気がするんですけど!?」

F「デッドプールだしねえ(悟り モンキー・ビジネスの舞台はニューヨークなだけあって、ヒーローが多いニューヨークでもその象徴となるヒーロー。スパイダーマンが一騒動の相手となってる。現状邦訳でも、アイデンティティ・ウォーデッドプール:スーサイド・キングスで読めるコンビだけど、なんだかんだで面白さのあるコンビだよ」

S「いやでもまさか、本国でもSpider-Man/Deadpoolとして、二人の絡みをメインにした本が出るとは思わんかったな」

スパイダーマン&デッドプール

 

F「日本でも人気のある組み合わせだったけど、本国でもやっぱ人気あったんだなあ。モンキー・ビジネスのスパイダーマンは、デッドプールがなりたい“人々に愛されるヒーロー”の見本的存在というのもあって、デッドプールに迷惑をかけられつつも、完全には見捨てず、諭しもする……」

S「先輩ヒーローとしての顔が強い?」

F「そう、それよ。あと今回、忘れちゃならないのが、暗殺者専門の暗殺者こと、日本猿の殺し屋ヒットモンキーの登場よ」

 

ヒットモンキー

 

S「猿とデッドプールの争いに巻き込まれるって、スパイダーマンやっぱ不幸だよな……」

F「人類史上、稀に見る理不尽な不幸だ。でも俺、この本に同時収録された、伝説の殺し屋ヒットモンキー誕生秘話なヒットモンキー・オリジンが大好きでなあ。瀕死の名も無き殺し屋が猿の群れに出会い助けられ、生命を繋ぐ。群れの中で唯一殺し屋を警戒していた若い雄猿は、奇しくも殺し屋の技を覚えてしまい、そして……伝説の誕生と呼ばれる、ラストの哀しさ。日本猿の殺し屋という、字面だけ見ると面白さだけを求めたような設定が、しっかりと根付いている」

S「別冊漫画ゴラク辺りで連載してもいい設定と雰囲気だよなあ……」

F「もう一本の短編、“アホンダラは電気馬鹿の夢を見るか?”も、田舎の小規模な事件簿として面白いと思うぞ。強敵や大敵相手の話だけでなく、こういう緩い話も箸休めにはいい。それに、ちょっと良いことをして、良い気分になる。スパイダーマンとの出会いで、デッドプールが学んだようで……なんか心地いいじゃないか、うん」