アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズなコラム~その1~

 アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズ第一話!
 実のところ、一話ではないけど第一話!

 何をいきなりややこしいこと言っていやがるんだコイツという声が聞こえてきそうなので説明しますと、今回の「アベンジャーズ・スパイダーマン パート1」は本国における第三シーズンの第一話でして、シリーズ通算だと53話になります。ディスクウォーズが全51話だったので、一年放映したアニメ以上の話数を既に稼いでいることになりますね。なお1&2シーズンは、ディズニーXD等の有料チャンネルにて放送されてました。ウェブウォーリアーズと同じ第3シーズンも先行で放映しております。
(※無料BSチャンネルであるDlifeでも、放映されているようです。情報ご指摘ありがとうございます)

かのアベンジャーズのようなヒーロー、究極のスパイダーマンにお前はなれる!と始まった物語なのに、地上波版だといきなりアベンジャーズ入らない?と言われている最初からクライマックスだぜ!感。アイアンマンやキャプテン・アメリカにハルクにソーにホークアイと、彼らともそれぞれ物語があった上での今です。
 最初に組んでいたヒーロー達、アイアン・フィストやパワーマンにホワイトタイガーにノバ、彼らとも様々なドラマがあったわけで。彼らのパワーアップ回もちょっと先にあったり。ウェブウォーリアーズ単体だと「いきなり!?」だけど、シリーズ通してみると50話越えてのパワーアップというむしろ遅めなアレだったりね!w
ヴェノムやカーネイジのように、かなり思い切った改変が行われている部分もあるので、そのへんはさらりと紹介してみたいですね。僕らのジェイ・ジョナ・ジェイムソンも、新聞の編集長でなくマスクミグループのCEOと現代的解釈な大出世を果たしていますし。
 かのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーも、ノバとの繋がりがかなりかっちりと描かれて……ウェブウォーリアーズだと、いきなり再開回になるような。「帰ってきたガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」言われても見送ってないよ!? アレか、ディスクウォーズ以来のお帰りってことにするか!?

 海外アニメ原液そのものとも言える本作、まず特筆すべきはテンポの速さとそれによる濃密さですかね。間となる部分も、ジョークを挟んで休ませない。まあぶっちゃけ、向こうの批評家も困るぐらいに、アルティメット・スパイダーマンはハイテンポなのですが。
 この間の無いというのは、良くも悪くもな話でして。例えばアメコミキャラの特徴として使われる「頭のいい脳筋」。頭の良い設定の筈なのに、腕力や火力に結構すぐ訴えかけるな君ら!? 頭脳=火力か!?というのを評した言葉なのですが、これ正直、間の無さが原因な気もするんですよね。間は、躊躇や逡巡を描くのに必要な部分ですから。詰め切って間が無くなってしまうと、敵が出た→即座にぶん殴る!という直結になってしまうわけで。そりゃあ、脳筋に見えるよなあと。
 今回のソーのように手早く真実に気づいたり、また終わった後に怪しんで手加減していた事を口にする、所謂後付的なフォロー手段はありますが、やはりその場での即断即決デストロイが単純な力押しに見えるのは致し方無しかと。別の頭の良い脳筋の例として「よく罠に引っかかる」もありますが、これも演出や物語における都合の面が大きいわけで。豪華絢爛な設定や、ハイテンポなストーリーの都合上、そうならざるを得ない面、あるかと思います。この作品だけに限らず。
 ちと話がズレましたが、このテンポの良さは海外らしい新鮮な物として武器になる可能性も大きいわけで。トントントン!と矢継ぎ早に繰り出されるネタの数々は、視聴者を楽しませてくれる物。幸い、入れ替わりとなったディスクウォーズで設定や認知度の畑は耕されてますしね。今後、どうなるか期待です。
 しかしディスクウォーズ最終回もロキでウェブウォーリアーズ第一話もロキって、コレもうロキの引き継ぎじゃねえか。

 見切り発車だけど、とりあえずキャラ紹介もやってみるか!ということで、今日の紹介はチラリと出た飛び跳ねカエル野郎なアイツです。アルティメット・スパイダーマンのノリに合わせて、自由に適当に、なるべく出たキャラ、未紹介キャラをメインにこうして紹介していければなーと。

 

自称世界最高の蹴撃士

バトロック・ザ・リーパー

バトロック・ザ・リーパー

 フランスパリの裏路地にて使われていた不良の喧嘩技術を体系化し磨き上げ、格闘技へを進化させた、フランス式キックボクシングことサバット。マルセイユ生まれの傭兵ジョルジュ・バトロックは自称サバットの達人であり、近接戦闘の達人と伝えられている。特殊能力は持たないものの、その腕力はオリンピックの重量挙げの選手に匹敵し、跳躍力は常人の数倍と自己申告している。戦略的な知識や兵法にも精通していると、誰かが言っていた。これほどまでに優れた彼が、コスチュームヴィランであるバトロック・ザ・リーパーになったのは、必然的な運命と言えよう。
 ……見事に伝聞や自称で構築されたスペックである。ちゃんと公式資料であるマーベル・アベンジャーズ大事典にも自称や自己申告と記されているので、決して個人の悪乗りではない。公式で、こんな扱いである。他にこんな扱いされているキャラは本当に存在しない、ある意味ずば抜けたレアキャラである。
 大丈夫なのかコイツと心配になってくるが、1966年デビューから今日まで、傭兵としてキャプテン・アメリカやパニッシャーにウルヴァリンといった一流どころと戦い続け、生き延びてきた。

バトロックVSキャップ

 戦果はイマイチとは言え、数多くのヴィランと組み、時にはかのレッド・スカルに対キャプテン・アメリカの襲撃役として雇われた事もある。傭兵としての評価は、そこまで低くない。勝利を殆ど手にしたことも無いのに、なんで失業しないのかは分からない。同じ多国籍系かつ達人かつ傭兵である、どんな武器でも使いこなす英国の達人ザランや、山刀の達人でもある南米の革命家マチェーテには勝ったことがあるが、勝負の後に意気投合。頻繁に三人で組むこととなる。この三人、本人たちが意図しない内に、宇宙滅亡に係る悪事に加担していた事もある。かの最高のB級ことグレイト・レイクス・アベンジャーズが気づいていなければ、彼らごと宇宙が終わっていたかもしれない。

バトロック&ザラン&マチェット

 傭兵であるため、その出現は頻繁かつ乱雑。近年では傭兵軍団としてタスクマスターと共にデッドプールの前に立ち塞がったが、この時は飛び蹴りを掴まえられた上に関節をへし折られるという、格闘家として完全敗北を喫してしまった。

バトロックVSデッドプール

 この数カ月後、骨折を完治させた後にデッドプールへの復讐戦に望むが、今度はモーションの大きさと急所の防御の薄さを突かれ、無慈悲な金的をくらい嘔吐後悶絶。相性の悪さを悟ったのか、デッドプールへの復讐はあきらめたものの、夢魔の女王シクラーと結婚したデッドプールと偶然地下鉄でバッタリ。同じ過程で前歯をデッドプールにへし折られた傭兵トラップスターと共に怯えていたが、デッドプールは急用で走行中の地下鉄から脱出。これで助かったと思ったら、最近つれない夫に激おこなシクラーが八つ当たりで怪物化。傭兵二人の絶叫とともに地下鉄は闇に消えた。
 一時マジで死亡説が流れたものの、本来のライバルであるキャプテン・アメリカの個人誌において活動が確認されているので、バトロックは無事生きていたようだ。トラップスターも、後に別件でデッドプールに仕事を持ちかけている。傭兵の割りきり具合は、凄まじい。

地下鉄でドッキリ!

 バトロックの綴りはBATROC。ある世界線が薄くなったタイミングにて、同じ“BAT“の名を持つヒーローに一騎打ちを挑んだが、あっさり普通に敗けた。フォローするなら、バトロック撃破後に出てきた傭兵たち、ザランもタスクマスターもクロスボーンズ等なども、ブラックパンサーやブラック・ウィドウらの増援があったとはいえ全員敗けたので、バトロックだけが貧乏くじを引いたわけではない。流石に相手が悪すぎた。

バトロックVSバットマン

 映画キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャーに、まさかの参戦。序盤のシージャック事件の主犯である傭兵軍団の長として、超人であるキャプテン・アメリカと渡り合ってみせた。格闘家であるジョルジュ・サンピエールが演じただけあって、この肉弾戦での決闘シーンの評価は高い。マスクやピエールなヒゲは無いが、コスチュームの色合いやデザインは結構似ている。なお原作でもバトロックは、自身が長を務める傭兵軍団バトロック・ブリゲイドを率いていた。

ジョルジュ・バトロック(映画版)

 ここまでさんざん懐疑的に書いてきたが、実力がそこまで低いわけではない。独特の跳躍力を活かした蹴り技は、スパイダーマンの危機察知能力であるスパイダーセンスをも潜り抜ける冴えを見せるし、完璧な戦略でなくとも独特な癖のある戦略は相手を惑わすことに長けている。そして何より、パニッシャーやウルヴァリンのような殺害もいとわないヒーローと戦って(現実世界で)数十年間生き延びている。それでいて勝率が振るわないこと、つまりバトロックが弱いのではなく、ヒーローがバトロック以上に強いのだろう。若干不遇でありつつも、頑張って欲しいキャラである。

日々雑談~1823~

 未だにルールブックを読んでいる状態なものの、グランクレスト大戦を始めてみました。ツイッター上で行われる、無料ゲーム! 以前ゾンビサバイバルというゲームをプレイしていて楽しかったので、まあ多分どうにかなるんじゃない!?と挑戦。三大勢力の内、アルトゥーク条約所属の自称浪人なアーティスト“ワタリ“としてまあ、戦場の端っこをウロウロしつつ、いい仕事していければ!w

スパイダーマンがアベンジャーズ入り!? ソニーとマーベルが提携

 今日の昼頃、ツイッターを眺めていたら、この話題で色々な所が持ちきりで。正直、映画スパイダーマン関係の話題は、噂の一人歩きや公式ですら「あれやっぱ無し!」とひっくり返すカオスさがあるので半信半疑だったのものの、もうこれは現状本決まりと言っていい感じ。
 あくまでスタートであり、ソニー・ピクチャーズで展開されているアメイジング・スパイダーマンシリーズとの調整なども重ねて……正味な話、まだどうなるか分かりません。
 映画X-MENと映画アベンジャーズに分かたれたクイックシルバーのようにマーベル・スタジオズのスパイダーマンとソニー・ピクチャーズのスパイダーマンな二人体制になるかもしれないし、現行のアメイジング・スパイダーマンがそのままマーベル・シネマティック・ユニバースに融合されるかもしれない。ひょっとしたらピーター・パーカーではない別のスパイダーマンが登場するかもしれない。あと流石にもう、ベンおじさん死ぬのをありありと描写しなくてもいいと思うよ!……と言いたいんだけど、アレ仮面ライダーで言うなら恩師養父の死亡、ウルトラマンで言うならハヤタとの衝突事故ぐらいに、スパイダーマンというヒーローの根幹に関わる物で。云年ぶり三回目でも、ただ外すわけにはいかず。
 今のところ、一先ず穴が開いたという感じで、穴がどう広がっていくのかはこれからでしょう。あまりしたくない予想ですが、権利関係の伏魔殿っぷりを見るに、穴塞がる可能性もまだありますしね。アメリカは、良くも悪くも人事や採決が豪快だからなあ……。
 

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その36~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第36話。
 アナウンサーによるヒーローたちの実況、何やらデジャブが……と、とら……う……さぎ……?

 比較的不遇であり、生活もままならない時もあり、正しいことをしている筈なのに石を投げられる。ハッキリ言って、いつヒーローを辞めたって文句を言われないくらいの理不尽とともに在るのがスパイダーマン。そんな彼が、今でもヒーローを続けていられる理由の一つが「誰かが信じていてくれた」事だと思うのですよ。石を投げる人が居ても、庇おうとしてくれる人がいる。だからこそ、親愛なる隣人を続けていられるんだ。そう思わせてくれるスパイダーマン像でした。そして、ヴェノムに寄生された事を言い訳にせず、自ら責任を取ろうとする姿に、アキラ達の説得で使命を背負い続けることを決意する姿。序盤に今回の出番、ディスクウォーズのスパイダーマンは、スパイダーマンがなぜ強いのか、なぜ戦い続けられるのかを、きっちり描こうとしてますね。

 本編登場は無いかと思われていたものの、ハルクへの寄生という変化球で出てきた怪人としてのヴェノム。魂ロワイヤルでアニメ絵で出てきた時、すげえマッスルだと思ってはいたものの、まさかハルクがベースになったことによるマッスルだったとは! 90年代、スパイダーマンの好敵手としてマブカプに現れた、ベノムそのもののマッシブさよ……!

ベノム(マプカプ)

 実際、原作におけるヴェノムの中の人(主にエディ、マック、フラッシュ)の未登場を嘆く声もあるのですが、個人的には今回の共生体ヴェノムとしての登場は、悪くないどころか良い落とし所じゃないかなあと。
 物語を創る上でキーワードとして、例えば黒いスパイダーマンの登場やヴェノムの登場、ここに更にエディの登場を加えてもいいとして。スパイダーマンやヴェノムの粋を先週と今週、合わせて一時間に全て入れるのは無理です。なるべく削って磨いて、スマートにしないと一つの話として成立しません。
 そして実のところ、一番簡単にするのは、雑にすること。一番簡単なのは、黒いスパイダーマン=ヴェノムが化けていた偽物、もしくは暴走するスパイダーマンの裏で「スパイダーマンの野郎を乗っ取ってやったぜ、ウッシッシ」とほくそ笑ます事、キャラ付けの余裕もないほど唐突に出た取材記者のエディが偶然寄生される事だと思いますが、これはヴェノムの出番が増えても、おそらくファンの人が望む形ではないし、初めて見る人にとっても良くない形ですよね。だとしたら、ここを削ってしまい、ヴェノムの脅威と、日本人が思うヴェノムのイメージを補強追求するのは、悪くない選択肢なんじゃないかと。無理に出して余計なファンサービスとなるよりは、シュっとさせて分かりやすさを。この分かりやすさの追求は、ディスクウォーズが第一話から抱え続けている命題の一つです。
 コレに関してはいくら考察してもキリがない、例えばキング・リュウさんがTwitterで口にしていた「多のヒーロー対一人のヴィランのリンチにならないような構図」の一部としてのハルクヴェノム化もあるでしょうし、もしかしたら契約のような大人の都合で中の人が出せない事による変化球の登場なのかもしれない。ただひとつ言えるのは、今までの書き方や今週のスパイダーマンを見るに、共生体ヴェノムと中の人の未登場が手を抜いたり雑にしたり、ヴェノムなんかどうでもいいと思っての結果ということは、0に等しい話だと思うのですよ。

と いうわけで、今日の紹介は、ガッツリとヴェノムを。従来のヴェノムのイメージと、今回のヴェノムをつなげる、ミッシングリンクになれれば。実はベノムに関しては、まだまだ書きたいというか、最強形態マッドネス・ヴェノムや変則的なヴェノムプールやパニッシャー・ヴェノムを紹介したかったというのもあるんですが、長くなりすぎるのでそこは今回控えます。この知識の湧き方、ひょっとしたら思っている以上に、自分の中にヴェノムへの興味があるのかもしれませぬ。

ヴェノム(ベノム)

ヴェノム

 スパイダーマンに力を与える代わりに、寄生し感情を餌にしようとしていた共生体。共生体の企みに気付いたスパイダーマンは、決死の覚悟で分離。共生体と分離することに成功した。
※上記の経緯については、前回の記事参照。

 共生体分離の時より、時計の針は少し巻き戻る。静かなる殺人鬼、シン・イーターによる連続殺人事件。通称シン・イーター事件。最も早く殺人鬼の尻尾を掴み、シン・イーターの独占インタビューに成功したのはデイリー・グローブの記者、エディ・ブロックだった。脚光を浴びるエディであったが、栄光は容易く崩れ去ることとなる。スパイダーマンによる、本物のシン・イーターの逮捕。エディがインタビューした相手は、なりすましの狂人であり、偽物だったのだ。
偽者を見抜けぬまま、誤報を出してしまったエディは仕事もなくし、妻にも逃げられる。

「スパイダーマンが真犯人を捕まえた事により、全てを失った」

 思わずこんな事を考えてしまうエディだったが、これが逆恨みであることは自分自身が分かっていた。気を紛らわせるためボディビルに打ち込んだエディだったが、体は鍛えられても気は晴れず。スパイダーマンへの憎悪を捨てきれないエディは、神にすがり始め教会を巡るようになる。辿り着いた聖母マリア教会。この教会こそ、スパイダーマンが共生体と分離した教会であり、離れた共生体は教会に潜んでいた。
 共生体は祈るエディに覆いかぶさると、彼の身体を乗っ取ろうとする。対処できぬエディ、共生体の興奮作用が心をねじ曲げ、エディは自身が最もしてはいけないと思っていた考えに至る。ヒーローのように、自在に力を振るいたいとの潜在意識も、それを後押しした。

「スパイダーマンだ! アイツがオレを、いやオレたちを否定したからこうなったんだ!」

 完全に一体化したエディと共生体。スパイダーマンの大敵となる、ヴェノムの誕生である。映画スパイダーマン3では、記事は分かっていての捏造、感情も最初からエディの逆恨みであったが、原作におけるエディは、同情の余地が十分ある男となっている。

ヴェノム(エディ・ブロック)

 ヴェノムの能力は、共生体由来。黒いスパイダーマンとしてピーターと一体化した事により、スパイダーマンの能力をコピーした結果、ウェブの生成や擬態能力と、エイリアンコスチュームを纏っていた時のスパイダーマンと同じ力を持っている。ただ、ベースとなったエディがピーターより逞しいことも含め、パワーとタフネスはスパイダーマン以上。そして最も恐ろしい対スパイダーマンへのスキルとして、彼の生命線である全方位レーダー、スパイダーセンスを無効化することが出来る。スパイダーマンが蜘蛛なら、自分はスパイダーマンを刺す毒針。ヴェノムのこの言葉は、正しい。

 自称弱者の庇護者として、憎い怪物スパイダーマンと何度も戦い続けるヴェノムであったが、それら戦いと自分のせいで誕生した最凶の殺人鬼を止めるための共闘にて、ヴェノムはスパイダーマンが自分たちと同じ庇護者だと悟り、復讐心を捨てた。その後は、スパイダーマンのトモダチやサンフランシスコに居を移してのヒーローとしての活動。精神的に不安定になってのヒールターン等を繰り返すことになる。

スパイダーマン&ヴェノム

 共生体と共に生きていたエディだったが、元より抱えていた持病のガンが悪化。エディは共生体との別れを選び、分離した共生体をオークションで売り払う。共生体を買い取ったギャングの親分は、息子に共生体をプレゼントし、新たなヴェノムにするが、共生体は精神的に強かったピーターや肉体的に強かったエディと違い、何ら強いところのない少年との共生を拒否。ビルの谷間を飛んでる時に分離という、えらいタイミングで息子から離れ、新たな宿主を探し始めた。なお当たり前の話ですが、親分の息子は転落死しました。ヒドい。
 共生体が新たに見出した宿主は、エディを軽く凌駕するほどに、スパイダーマンへの憎悪を抱いた男だった。男の名は、マック・ガーガン。鉄の尾とスパイダーマンの倍以上の攻撃力を持つと言われているヴィラン。スコーピオンだった。

スコーピオン

 スコーピオンは共生体を受け入れ、新たなヴェノムに。エディ以上にタガがなく、凶悪な本性を持つスコーピオンと融合した結果、ヴェノムは更に危険な怪物となる。スパイダーマンが対ヴェノム相手に積み上げた戦術も、新たな宿主の冷酷さにより、ほぼ無意味に。そのまま食人衝動まで得てしまったヴェノムは凶暴性も身体も肥大化。もはや、誰にも手に負えない存在と化した。

ヴェノム(マック・ガーガン)

 ヴェノムが囚人部隊サンダーボルツやノーマン・オズボーン(グリーン・ゴブリン)が作り上げたダークアベンジャーズに参加することで、国家もヴェノムの能力を知るが、精神を歪める中毒性や何でも喰らう凶暴性は許容できる物ではなかった。国家のためになる、正義のヴェノムを創るための極秘プロジェクトが開始され、やがて軍は実用化に成功。マック・ガーガンがスコーピオンに戻り、空席となっていたヴェノムの座に座る被験者として選ばれたのは、スパイダーマン、ピーター・パーカーの同級生であるフラッシュ・トンプソンだった。
 フラッシュは高校時代、ピーターをいじめていたが、スパイダーマンとなったピーターが活躍する姿を見て徐々に改心。スパイダーマンの正体を知らぬまま、彼と同じ善人でありヒーロー足りえる男になろうと努めてきた。フラッシュは軍に志願し、戦場に赴くが、仲間を守ろうとした結果、両足を失ってしまう。帰国し失意のどん底に居たフラッシュに軍が声をかけたのは、そんな時だった。ヴェノム変身時という条件はあるが、両足が一時的にでも戻り、なおかつ憧れていたスパイダーマンのようなヒーローになれる。フラッシュは以来を承諾、エージェント・ヴェノムはこうして誕生した。

ヴェノム(フラッシュ・トンプソン)

 他のヴェノムに比べ、抑制された共生体により外見はスマート。ヴェノムの能力だけでなく、フラッシュが軍隊で身につけた格闘術や銃火器を駆使して戦う。フラッシュの精神力は高く、共生体を押さえつけるだけの意志の強さを持っていた。スパイダーマンに憧れた男の強さは、スパイダーマンの行いが無駄でなかった事の証明といえよう。ただ、スパイダーマン本人も蝕むだけの暴力性を持つ共生体。フラッシュの精神も蝕まれ、時折暴走とも言える姿を見せるようになる。ただ、歴代のヴェノムに比べればまだ安定しているし、新生されたヒーローチームサンダーボルツにスカウトされた事を切っ掛けに少しマシになっている。サンダーボルツの他のメンバーが、パニッシャーやデッドプールと言った「ヴェノムの狂気? なにそれ美味しいの?」レベルでアレな方々なので、あまりヴェノムが暴れたままだと話崩壊するのでしゃあない。

 朱き狂気カーネイジを始め、髪の如き触手を操るスクリーム、最大級のパワーを持つトキシンと、共生体より派生したキャラは枚挙にいとまがない。だがしかし、スパイダーマンのライバル、スパイダーマンキラーとして産まれたヴェノムは、忘れ得ぬ名である。

 最初のヴェノム、エディのその後についても少し記しておく。
 共生体と別れたエディ・ブロックはその後やせ細り、余命いくばくもないと思われていたが、奇跡と謳われる治療法により、回復。だがそ治療のせいで、エディの体内に僅かに残っていた共生体と免疫機能が融合してしまう。そのまま暮らしていたエディは、偶然ヴェノム(スコーピオン)と対峙。共生体はエディを覚えており、彼の元に戻ろうとする。これを切っ掛けに覚醒するエディ体内の、共生体への免疫機能を持つ細胞。こうしてエディは黒いヴェノムとは真逆の白い身体を持つ、対ヴェノム特化型生物アンチ・ヴェノムとして還って来た――。

アンチ・ベノム

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その35~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第35話。
 久々のスパイダーマン登場! だが、しかし……?

 アメリカを離れたアベンジャーズに代わり、ニューヨークを守護していたスパイダーマン。多くのヴィランがディスク化したとはいえ、多くのヒーローがディスク化してしまった以上、負担が軽くなることはなく。ハーレムを守るファルコンや、スパイダーマン並みの知名度と抑止力を持つアイアン・フィストとパワーマンが居ないのは、痛いよなあ。ヴィラン以外の、ただの人間たる犯罪者も居るわけで。対ロキや対レッド・スカルのような激戦に参加することはありませんでしたが、スパイダーマン、きっと相当苦労してきたと思います。

 天才にして変人なハンク・ピムの協力という、心強い筈なのにアレ?なんか不安だぞな光明の裏にある黒。NYを震撼させる黒いスパイダーマンの大暴れ。ちくしょう! やっぱりジェイムソンとデイリービューグルは正しかったんだな! ……いやまあ、あくまで原作の話ですが、今日のトニーのコメントのように「あそこの編集長は、スパイダーマンを悪く書くことが趣味」というのは、既に一種の共通認識として市民の間にあります。ただ、ニューヨークが巨大都市である以上、その認識を全員が得ているというわけではなく。スパイダーマンを嫌っている人もいれば、好きな人もいる。多くの人間が住む都市としては、普通の光景です。
 よくマーベルの市民はヒドい呼ばわりされる事がありますが、感情が移ろいやすい面もヒーローに石を投げることも、手のひら返しで賞賛することも、ヒドいとか外道ではなく、多種多様な都市であれば当たり前の、現実的な光景なんじゃないかと。

 話がズレましたが、凶暴化した黒いスパイダーマンを止めるため、次々彼と戦いを繰り広げるヒーロー達。キャプテン・アメリカ、ソー、ブラックウィドウ……軽快なスパイダーマンが相手なだけあって、今回みんな動きが際立ってますね! ブラックウィドウに関しては、初登場回に変なのがいたせいで、初戦闘シーンですし! しかし、ヒーローの中でも最も高潔に近い、キャプテン・アメリカとスパイダーマンの戦い。親愛なる隣人を未だに信じ続けていたNY市民にとって、これほど辛い光景も無かっただろうなあ……。

 戦いとスパイダーマンの逡巡とブラックウィドウの情報の結果もたらされた結論は、共生体ヴェノムによる寄生。細かいことを言ってしまうと、共生体はシンビオートであり、シンビオートが寄生した結果誕生したキャラがヴェノムというのが原作における正式な認識であり。でもこの辺りは、あくまで個人的な感覚ですが、ヴェノムへの一本化でいいんじゃないかと。
 シンビオートやヴェノムといった単語の知名度の問題や、話をシンプルにする都合や大人の事情、あくまで推論でしかありませんが、様々な要素を天秤にかけた上での決断だと思います。原書でも共生体を呼ぶ際、ヴェノム・シンビオートやDWと同じようにヴェノムとか、そこまで名称に拘って無い時がありますしね。この天秤は、難しくあり。

 というわけで、今日の紹介はスパイダーマンです。おいおい、たまには俺も、メジャーなヒーローの紹介するんだぜ! ただし、テーマはブラックコスチューム&他のコスチューム。スパイダーマンについて本気で語ったら、コラム35回分あっても足りないからな!

スパイダーマン(ブラック・コスチュームorエイリアン・コスチューム)

スパイダーマン(エイリアン・コスチューム)

 ニューヨークにて、謎の落下物を調査していた筈のスパイダーマンは、気づけば見慣れぬ場所……どころか、地球ではない別の惑星に居た。しかも周りには、他の地球のヒーローやヴィランも集まっている。後にシークレットウォーズと称される、この事件。全能に限りなく近い存在である宇宙人ビヨンダーにより惑星闘技場バトルワールドに召喚された彼らは、強制的に戦わせられることとなる。
 そして激戦により、スパイダーマンは何時もの赤青ベースのコスチュームを大きく破損。どうしたものかと悩むピーター・パーカーは、謎のマシーンを発見作動させたところ、マシーンは従来のコスチュームによく似た黒いスパイダーマンスーツをピーターに纏わせる。黒いスパイダーマンコスチューム、ブラック・コスチュームはこうして登場した。

黒いスパイダーマン!?

 シークレットウォーズはやがて終戦。スパイダーマンは地球に帰還するが、黒いスーツも代用品兼記念品として持ち帰っていた。だが、スパイダーマンは何時ものコスチュームに着替えること無く、ブラック・コスチュームを着続けることを選択する。なにせこのコスチューム、異星文明の賜物か、まず着ただけで身体能力が拡大、更にはウェブシューターを使わずとも自力でしかも無限にウェブの生成が可能、たとえコスチュームを所持していなくても考えただけで手元に、しかも装着したいと考えただけで自動装着し普段着への瞬時の擬態も可能と、素晴らしい物であった。
 黒いスパイダーマンとして活躍し続けるピーター、しかし性能向上によりスパイダーマンとしての活動は若干楽になったはずなのに、やけに毎日、疲労と倦怠感に襲われていた。限界を迎えたピーターは、シークレットウォーズの事情を知り、優れた頭脳と設備を持つファンタスティック・フォーに助けを求める。ファンタスティック・フォーのリーダーである天才科学者ミスター・ファンタスティック(リード・リチャーズ)による実験と調査の結果、疲労感の原因とコスチュームの正体が明らかになる。

暗黒のスパイダーマン

 ブラック・コスチュームの正体はブラック・エイリアン・コスチューム、異星の科学により作られた布製コスチュームではなく、コスチューム自体が知性と生命を持つ生物シンビオート(共生体)だったのだ。生物と共に生きる生命体であるシンビオートは、スパイダーマンに能力を与える代わりに、毎晩寝ているピーターの身体からエネルギー源となるアドレナリンを採取していた。疲労感の原因は、これである。共生体は既にピーターの指示を聞かぬ程に一体化していたが、リードはこの共生体が高い周波数の音波に弱いことを発見。音波を使うことで、ピーターは共生体より開放された……かに見えたが、リードの研究室から共生体は脱走。油断していたピーターに再度取り憑く。窮地に陥ったピーターであったが、近くにあった教会の鐘楼堂に登り、鐘の音を使って共生体との分離を試みる。生き残るのはピーターか共生体、どちらか一人。最高の宿主を救うため、共生体はピーターから離れていった。
 その後しばらく、共生体は教会に潜んでいたが、やがて訪れたスパイダーマンへの怒りを抱える男を、新たな宿主に選ぶこととなる――。
 なお、共生体と離れた後も、ピーターはブラック・コスチュームを着ていた。ただし、今度のコスチュームは、怪盗ブラックキャットから贈られたただの布製コスチュームである。いつもの赤青のコスチュームに戻ってからも、何度か着用しているが、どうにも精神的に不安定な時、怒りに燃えている際に包む機会が多い。アドレナリンを喰らうための刺激、心中共にずっと在る。元のブラック・エイリアン・コスチュームにも感情を不安定にさせる効果が見られたが、この呪いはイメージとして布製コスチュームにも付き纏っている。映画スパイダーマン3では、共生体に寄生され己を見失っていくピーターの姿がありありと描かれた。

映画版ブラックコスチューム

 印象的なコスチュームとしてゲームにもよく登場しているが、ゲームにおけるブラックコスチュームは主にパワー型。攻撃重視の能力値や荒々しいファイトスタイルで敵を追い詰め、ゲームによっては一時的なブーストであるレイジ(怒り)モードを搭載している。このスーツに関する総論は、スーツの由来も知らず関係も知らない別次元のピーター・パーカーが初めてこの黒いスーツを見た時のコメントに集約されている。
「僕にダークサイドがあったら、きっとこんなスーツを纏ってソイツを表すだろうね」

 ここからは完全に余談だが、敵や状況に対応してのスーツ制作といえばまずアイアンマンのイメージが強いが、優れた知性と応用性を持つスパイダーマンも負けじと開発を続けている。ピーターが自作したものとしては、例えばこんなスーツがある。

アーマード・コスチューム

 かつてマブカプにも登場したアーマード・コスチューム。大学の研究室で作り上げた擬似鋼鉄を使用しており、スピードが落ちているものの、防御力が格段に向上している。

ピーター四變化

 ホーネット、プロディジー、ダスク、リコシェ。殺人犯に仕立てあげられたため、満足な活動が出来なくなったスパイダーマンに代わり、ピーター・パーカーが代わりに着た四つのコスチュームとアイデンティティ。様々な技術や友人親族からの協力を得た結果、四つともそれぞれ独自の特殊能力をもっている。

バレットプルーフ・コスチューム

 超感覚スパイダーセンスを一時失ったピーターが開発した、バレットプルーフ・コスチューム。銃撃を避けるのが難しくなったため、防弾性能に優れたスーツを開発する必要があった。

ステルススーツ

 ステルス・スーツ。音と光の伝達を阻害することで、透明化出来る隠密用スーツ。前述のバレットプルーフとこのステルスは、当時ピーターが務めていた研究所、ホライゾン・ラボが持つ超技術を使用している。

このピーターが作ったスーツ以外にも、多の天才より贈られたスーツが多々ある。

アイアン・スパイダー

 アイアン・スパイダー。魂ロワイヤルにも参戦が決まった、トニー・スターク制作のハイテクスーツ。思いつく限りの能力に加え、強力なロボットアームも独自装備と、スパイダーマンのスーツの中でも頭一つ抜けた性能を持つスーツ。なお、しばらく後、量産型スーツも作られている。

FFユニフォーム

 ファンタスティック・フォーユニフォーム。一時死亡扱いであった、ヒューマン・トーチの代理として加入した際に着用したスーツ。リード・リチャーズの発見した不安定分子が使われており、ピーターの思うとおりに色や姿形を変えることが出来る。この白と黒という色合い、これは当時のファンタスティック・フォーのイメージカラーなのだが、某キャラクターに似てしまうため、実はあまりピーターは気に入っていない。でも、大人としてそれは、心中に秘めている。

 今までのスーツはまともな代物だったが、たまに都合や偶然やその場しのぎで、変なスーツを着るハメになることがある。

アメイジング・バックマン

 ファンタスティック・フォーのお陰でブラック・エイリアン・コスチュームとの縁が切れる。それはつまり、着る物がなくなるという事だった。しょうがねえなと、自分の旧コスチュームを持って来てくれたヒューマン・トーチ。ただ仕様上マスクが無いため、とりあえず紙袋を被ってみた。帰り道、この格好で人助けをしてしまったため、「ファンタスティック・フォーのニューメンバー! アメイジング・バックマン現る!」とニュースになってしまう。トーチがイタズラで背中に「キック・ミー」と書いた紙を貼っていたため、アメイジング・バックマンの謎は更に深まったとか。こんなどうしょうもないコスチュームだが、初めてトーチの代役としてファンタスティック・フォーの元に訪れた際、スパイダーマンはこのコスチュームでやって来た。流石に、マスクはちゃんと被っていたが。

 上記のコスチュームは、自作、他作、おもしろ含め全部、スパイダーマンのコスチュームの一端にすぎない。これらを見て、スパイダーマンの多彩さや可能性に気付いて貰えれば、幸いである。最近増えている別次元のスパイダーマンまで入れてしまうと、これ即ち本当にキリが無くなる。例えば日本で有名なもその一人なわけで。

発売直前企画 デッドプール:スーサイド・キングスとは!

ふじい(以下F)「アクション!」

アクション!

F「セクシー!」

セクシー

F「バイオレーンス!」

バイオレンス

F「というわけで、デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスデッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバースに続いての三冊目、受注生産だったシビルウォータイインのケーブル&デッドプールを入れれば四冊目のデッドプールメインの邦訳本……デッドプール:スーサイド・キングス、9月26日発売だよこの野郎! どうしてこうなった!?」

デッドプール:スーサイド・キングス

サイレン(以下S)「聞かれても知らんよ?」

F「そんなこんなで、まずは目出度く。今までの邦訳本は、喩えるならば劇場版のような、ヒーロー大挙出演なオールスターものだったけど、今回のスーサイド・キングスはストリートで生きるヴィランやヒーローを中心とした物語、今回同時収録のゲームズ・オブ・デスに至ってはデッドプールオンリーな物語。幅を狭めての、デッドプールの日常にスポットを当てた二編とも言えるね」

S「本誌じゃない、中編読み切り2本だから……TV本編というより、TVスペシャルといった感じかな」

F「だいたい、そんな感じで。しかしなんで日常なのに、アクション! セクシー! バイオレンス!で溢れているんだろうか……」

S「デッドプール誌を構成する三元素ですよね、それ」

 

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