Fate/hollow ataraxia 感想

馬鹿SSばかり書いていないで一応感想書かなきゃまずいでしょーってことで総括。馬鹿なほど真面目に。

本編である『Fate/stay night』が出てからもはや一年以上。正直ファンディスクとしては出すタイミングが遅いという話なんですが、内容が濃かったのでそのへんは割愛。内容としてはファンディスクと外伝を織り交ぜた物。ファンディスク的要素が日常のパートとセイバーVSアーチャーの決戦とクライマックスの全サーヴァントの共闘、外伝の要素がバゼットとアヴェンジャーとカレンの三者を中心とした物語とバゼットVSランサーや最後の天への階段と崩壊のコントラストといった所でしょうか。

ファンディスク的な部分は前作で出来なかったことを保管するための部分です。本編ではシナリオの制約としてぬるい日常を長々と書くことは出来ないでしょうし、四日間の異常性という流れがなければ全サーヴァント競演と言う流れは作りにくいでしょう。そしてセイバーVSアーチャーは最もFate内で最強論議が起こりやすいカード、つまりは皆が見たかったカードです。前作をTV版とするなら、今作は劇場版として考えるべきなんじゃないかと思います。TV版でどんな悲惨な展開になっていようとも、劇場版はそれとはあまり関係の無いところで動き、TV版では制約がかかり出来なかったことをストーリーに盛り込んでいきます。そしてクライマックスにはTV版ではありえない夢の競演等が盛り込まれ、後は野となれ山となれなお祭りの終焉的の派手な展開がスクリーンに大写しになります。お祭りと馬鹿騒ぎという点ではファンディスクとしての役割をこの作品は十分に果たしています。

続いて外伝としての要素なんですが、これは前作とは違った味の聖杯戦争となっています。前回は基本として少年漫画の爽快感に似たバトルが展開されましたが、今作のバゼットを中心とした聖杯戦争の展開はバトルをあっさりめに描き、なんともなげな儚さが漂っています。セイバーVSアーチャーが前作どおりの戦いならば、バゼットVSランサーは今作の雰囲気を象徴とする儚い結末となりました。クライマックスのカレンと手を取り合い階段を上るシーンには熱血といった言葉は全く似合いません。この外伝としての要素は本編の補完としての要素を持ちながらも前作とは全く違った味付けとなっています。前作と同じ味の聖杯戦争を求めていたら駄作でしょうが、別の味も容認すればこれはこれで十分に楽しめる読み物です。

随分と待たされた感の強い今作ですが、結果としては良い作品でした。あくまで劇場版のお祭りとしてとらえれば不満のない物です。お祭りに色々口出し手も野暮なんで、次のTV版本編を心待ちにする事とします。