変態仮面はスパイダーマンの夢を見るか?
HK 変態仮面 アブノーマル・クライシスがめっちゃ映画スパイダーマンリスペクトな作品だったので、そのオマージュ具合やパロディシーンらしきものを綴ってみました。主に、サム・ライミ版のスパイダーマン2リスペクト。もうアブノーマル・クライシスを幻のサム・ライミ版スパイダーマン4にしちゃってもいいんじゃないかな?(暴論
性質上、ネタバレ注意です。アブノーマル・クライシスがソフト化された後、家でじっくり何度も見たら、正気と引き換えにまだまだパロディを発掘できそうな気がします。正気と、引き換えに。正気と、引き換えに。
もう既に言ってしまいましたが、アブノーマル・クライシスのオマージュ元となった作品は、十中八九サム・ライミ版スパイダーマン2です。
ヒーローの引退。力の喪失。ヒロインとのすれ違い。基本的なテーマが似通っているのですが、直接的なパロディでも手を緩めることはありません。
そもそもアブノーマル・クライシスは導入部がスパイダーマン2そのものですからね。アメコミ風に紹介される前作のあらすじからピザ屋のバイトをクビになる流れは、もうホント、そのまんま。それぞれ変態仮面やスパイダーマンに変身する流れと理由は違うものの、最初からクライマックスです。
あと大勢の人が「あー! コレ! スパイダーマン2だー!」と気づくシーン、身を挺して瓦礫から大学生を救う変態仮面。これは、身の挺し方も、力尽きて人から人に運ばれていくシーンも、暴走する電車を身を挺して止め、市民を助けたスパイダーマンそのもの。素顔が明らかになり、現れたドクター・オクトパスの前に市民が立ちふさがるシーンまではやりませんでしたが……いや俺スパイダーマン2のこのシーン、ヒーロー映画の中でもベスト5に入るくらい好きなんですけど、おそらくあと数年は見返す度に、変態仮面を思い出して吹き出すこと必至。どうすんだよ、コレ。どうすんだよ!?
それとこのシーンの後、変態仮面を辞めることを決意した狂介がカツアゲを見逃してしまったり、変態仮面の歌を歌うストリート・ミュージシャンと遭遇するシーンも、一纏めでスパイダーマン2で観たことあるシーンです。いやここ、瓦礫シーンのショックが強すぎて、うっかり見逃しそうになるんですがね!?
だいたい、アブノーマル・クライシスのメインヴィランであるダイナソンが、強力な金属製のアームを使って縦横無尽に動くと、時折めっちゃ動きがドクター・オクトパスでしてね。ニューヨークでのダイナソン追跡劇は、まるでドクター・オクトパスを追う、スパイダーマンの如く。作中、ニューヨークに行ってすぐ帰るみたいな展開になったの、なんとかこのシーンを撮りたいがためだよなあ。
スパイダーマンではないものの、ブラジャーを目にかぶることでパワーを発揮。視覚は塞がれるものの、コウモリの如き超音波を出し、聴力で視覚を補う変態仙人。デアデビルじゃねーか。
更に忘れてはならないスパイダーマン3。愛子ちゃんのパンティーを失った代わりに女教授である彩田椎名のパンティーで変身するようになった狂介。教師と生徒、禁断の関係による禁断のエクスタシー。強力な力を得るものの、その代償に蝕まれていく身体。これはスパイダーマン3のブラックコスチュームに似てます。コスチュームに擬態したエイリアン、共生体シンビオートに寄生されたピーター・パーカーは、理性と生命を失いかけ、大変なこととなりました。スパイダーマン3は、直接的なパロディでなく、思わずそれを連想するような隠し味ですね。
こう言っといてなんですが、この映画のオチは、めっちゃスパイダーマン3っぽいです。正確には、予兆? 戦い終えた狂介を追う、シンビオートらしき謎の物体。隠し味かと思ったら、思いっきり前に出てきた!
変態仮面は三部作を予定しているそうなので、次作はもっと3に片寄っての、ブラック変態仮面が出てくるのでしょうか。もし次回作に出てこなかったら、マーベルに怒られた。次回作自体がなかったら、マーベルに訴えられたってことでいいんじゃないでしょうか?
アブノーマル・クライシスは単体でも極上の作品なのですが、スパイダーマンのパロディとしても、かなり上等な作品です。今まで挙げたシーンも、福田雄一監督のアレンジや、鈴木亮平さんの熱演で、単なるコピーとはなっていません。元ネタをよく観た上で、パロディに昇華する。だからこそ、こうして笑顔で楽しく「あそこのシーン、すっげえスパイダーマンだったわー」と思い出せるのでしょう。パロディとは、かくあるべし。
撮影期間的におそらくパロディではなく全くの偶然というしか無いのですが、巨人化した大金玉男と戦う変態仮面の構図、シビル・ウォー:キャプテン・アメリカのジャイアントマンVSスパイダーマンの構図っぽかったですよね。まさか一ヶ月で二回も、巨人と戦う蜘蛛男を見ることになるとは。蜘蛛男というか、パンツ男だけど
アブノーマル・クライシス、何か持っている作品としか、言い様がないわー……。