日々雑談~1999~

 公開終了が見えてきてしまった、ジェントルスパイ映画なキングスマンを滑り込みで観てきました。
 ……いやー! 今日、映画館に行っておいてよかった! この映画はど迫力な映画館の音響で観るのが正しい。たぶんソフト化まで待って、家で観ていたら「もー! もー!」とすっげえ悔しがってたと思う。こんな下品で上品で最低で最高な音楽の使い方、観たことねえよ!
 キック・アスやスーパーマン:レッド・サンにアルティメッツにシビル・ウォーと、アメリカンコミックスの第一線に立つライターのマーク・ミラー。そんな彼が映画キック・アスの監督マシュー・ボーンと「僕の考えた最高のスパイ映画」を作ってみた結果の本作。ショーン・コネリーが演じていて、敵も殺人帽子の使い手オッド・ジョブだった頃の007。リスペクトと皮肉とパロディ、一緒くたにしてしまうのであれば“愛”としか呼べないものにより、昔ながらのスパイ映画のオマージュとなっております。
 原作となるコミックス版と実写化である映画版、二つのキングスマンはメディアの違いもあり、展開や設定がそれぞれで栄える作りとなっていますが……映画版の優れた点としては、マーク・ミラーの得意とする人間の汚さを、しっかりと実写化しているところにあると思います。天才の愚かさ、強者の弱さ、善人の悪行。キャラクターを強調するあまり、その人間に相反する要素が書けない。この結果、キャラクターが薄くなる、もしくは美点がうるさすぎるというのはプロでもやってしまうことなのですが、マーク・ミラーはこの弱さの書き方がすげえ上手いんですよね。例えば、アルティメッツのキャプテン・アメリカも、英雄としてのイメージを保ちながら、元以上の融通の効かなさや短気さがちゃんとありますし。端的にいうと、クズさを書くのが上手いという、身も蓋もないアレなんですけど。
 いや、万人に勧められるというか、ボンクラ好みの映画なんですけど、一度ハマればクリティカルヒット間違いなし。ドイツの貴族式敬礼やクライマックスの威風堂々っぷりには爆笑したよ!
 この丁寧に伏線も張り巡らせた上でのボンクラ最高!な映画としては、マッドマックス~怒りのデスロード~と並ぶんじゃないかと。今のところ、当サイトにおける今年のベスト映画はこの二作のどちらか。俺は僅差でマッドマックス、管理者も僅差でキングスマンといったところですね。日頃車を運転している俺、スーツ着て仕事している管理者、正直僅差はこの日常への密着性レベルです。ベストが二つでいいなら、二人ともキングスマンとマッドマックス入れるんですが。この2作に次ぐのは……アントマンかなあ。
 ホント、ギリギリのタイミングなので、未見の人はなんとか数日中に映画館に行っていただければ。もう一度行く時間が作れるならば、是非とも電車で行って、ビール飲みながら観たいですね。当然銘柄は、ギネスで!