2020年4月4日
/ 最終更新日 : 2020年4月4日
fujii
日々雑談
ダーク戦国アクション仁王の続編となる仁王2をクリアしたので、どんな感じのゲームだったのかをつらつらと書いていきます。まずははじめに、前作の仁王とはどういうゲームだったのかをざっと紹介。知っている方は、次の次の段落まですっ飛ばしてください。
・戦国死にゲーと称される、高難易度アクションRPG。
・刀、槍、鎖鎌などの武器を上中下段で使い分けていく。
・武器のモーションや構えにはそれぞれ個性あり。
・残心による気力管理、間合いのとり方が大事。
・心技体に忍に剛と、能力値は好きに割り振れる
・各武器種の固有技である武技、呪文ポジションの忍術や陰陽術。
・守護霊による強化。守護霊の持ち主は、時代の傑物たち。
・装備収集のハックアンドスラッシュ要素あり。
・信長や家康らの効果付き一式装備も存在。
・協力プレイなどのオンライン要素もあり。
・舞台はあやかし(妖怪)の棲む日本の戦国時代。
・敵は妖怪だけでなく、人間も。
・第一作の主人公は三浦按針(ウィリアム)。舞台は関ヶ原~大坂の陣。
同じ死にゲーであるダークソウルやブラッドボーンと比較した場合、ハックアンドスラッシュ要素の存在により装備の個性やレベル差が大きく、プレイスタイルに幅が出る傾向にありますね。各武器に個性があるので、刀を槍に持ち替えただけでプレイ感覚はだいぶ変わりますし。死にゲーで和風で妖怪もいるSEKIROと比べた場合、SEKIROは休むことなく常に動き回る激しい緊張感、仁王は互いの攻撃範囲を意識し牽制し合う静かな緊張感。どちらも、油断したり読み違えたら死ぬのは変わりないですけが。
以下、仁王から仁王2に進化するにあたり、どのような変化があったのかを、ポイントごとにまとめていきます。
その1 秀吉の物語
2の始まりは、関ヶ原を舞台とした仁王より少し前の1555年美濃。中国地方では厳島の戦いにより毛利が躍進、関東や北陸でも甲相駿三国同盟の締結や第二次川中島の戦いに朝倉家重鎮朝倉宗滴が死亡と、全国的に何らかの変化が起こり始めていた時期となります。タイムリーな言い方をするなら、現在の麒麟が来る(1550~52年前後 織田信秀死去直前)のちょっと先ですね。
1555年の美濃、人とあやかしの間に生まれた主人公の秀千代と、怪しげな力を持つ黄金色の霊石アムリタを扱う行商人の藤吉郎。美濃のマムシ斎藤道三に雇われ、道三死後に尾張の織田信長に仕えた二人は、やがて二人で一人の“秀吉”として戦国乱世を仁王のごとく駆け上がっていく。
前作仁王は関ヶ原以後の話だったため、すでに死亡していた秀吉。いくつかの大名家や淀君の心に大きな傷を残したものの、当人の姿形も装備もほとんど残っていなかった、すべての元凶にして不明の存在。仁王では同じ三英傑の家康が登場し信長もイレギュラーな形で復活を果たしているので、秀吉の謎は不自然なまでに深まっていました。仁王2では、そんな秀吉の片割れである秀千代として、いったい天下統一から関ヶ原に至るまでに、なにが秀吉にあったのかを追体験することになります。今にしてみれば、仁王での秀吉の扱いは2で秀吉の物語をするための秘匿だったのでしょう。
歴史ゲーの老舗であるKOEI。そんな老舗が作ったダーク戦国アクションは、KOEIの意地と本気が見え隠れする、程よく濃く深みのある伝奇ものに。装備やあやかしの殆どにある、細かな説明と設定! 意外な人間関係と出来事が絡み合い起こる事件! そして、コイツがボスとなるのは初めてなのでは!? となる敵キャラの数々。俺、首取り足立※がボスやってるゲーム、初めて見たよ! 信長の野望でも太閤立志伝でも、出せないようなキャラやイベントを持ってくる姿勢はこのゲームだからこそを追求してて好意的。秀千代の名前の“秀”の字の由来は、思わず唸った。ああ、そう持ってくるか……!
※首取り足立 本名、足立六兵衛。当時、織田家から追放されていた前田利家に討ち取られる。この功績で、利家は織田家への帰参がかなった。
それと、前回の有名人枠こと家康(演:市村正親)は要所々々のみで出番が少なめでしたが、今回の藤吉郎
(演:竹中直人)は常に主人公と関わり続けるため、出番を始め様々な機会が多くなっております。せっかく出るんだったら、多いほうがいいよね。しかし、竹中直人に導かれつつ、英雄から守護霊の力を受け継いでいく……仮面ライダーゴースト……?
その2 公平になった対あやかし
前作仁王において、ごく一部のボスを除けば、力関係はあやかし>>>人間でした。武器は違えどもあくまで同じ骨格である人間は、ある程度動きが統一化されるものの、千差万別の身体を持つあやかしの動きはそれぞれ個性的で読みにくい。しかも、人間は気力を削れば行動に隙が出来て組み討ちで仕留められるものの、あやかしはほぼ気力切れがない上に、体力も攻撃力も膨大と、ひたすらに厄介でした。対人間を念頭に置いた武技も、ほとんど効かないですしね。
仁王2では主人公が半妖となったことで、対あやかしの様々な能力が追加。まずは無敵状態になれる妖怪化、猛・迅・幻の3タイプに変身でき、それぞれ無敵を生かした猛ラッシュが可能。ただし持続時間は大変短いため、これは本当に最後の手段。一方、常に使える上に、ほぼ必須テクニックなのが特技。妖怪の大技に合わせ一瞬だけ妖怪化し反撃することで、相手の動きを止めつつ気力ダメージを与えるカウンター。この特技が実装されたおかげで、敵がカウンターできる大技を出す際に赤く発光するようになり、プレイヤーに対しての危険信号に。前作のノーモーション大技の数々は、ほぼ廃止。
さらに、倒したあやかしから魂代を入手しセットすることで使える妖怪技。魂代の入手と妖力やコストの計算は必要なものの、どの技も個性的かつ局面によっては強力な一手に。広範囲に大ダメージを与える大技に、気力を大幅に削る技もあれば、防御や状態異常に優れた技も。カスタムは自由自在。
ただ、あやかし側にも、常闇という特殊フィールドが追加されました。一部の妖怪やオブジェクトが発する常闇内は、妖怪の能力やモーションがパワーアップし、逆に主人公の気力回復量ががくっと落ちます。要は、マ◯ー空間のようなものですが、原因の排除で常闇は解除可能で、更に特技や妖怪技に必要な妖力の回復量は上がると、悪いことばかりではありません。半妖である2の主人公だからこその適応力であり、特に半妖ではないウィリアムが主人公の前作に導入されなくて、本当に良かったわー……。
このように、あやかし側との戦いに緩急をつけた結果、あやかし側とも駆け引き可能になり、戦闘シーンに幅ができました。前作では強敵すぎたあやかし勢に下方修正をかけつつ、人間側のAIを強化することで、あやかしと人間の戦力差を緩和。前作でこれまた問題視されていた、ギミックメインの敵やボスステージの一撃死の落とし穴は廃止。ステージ上の落下死ポイントも減らしつつ、敵の配置も本気で殺す配置を若干緩和。多数の武器と上中下段の構えによる駆け引きを、楽しみやすくなっております。
おそらく難易度緩和策は、2をプレイしたあと、前作仁王で烏天狗や一反木綿やろくろ首と対峙すると即座に理解できます。雑魚とは思えない相手だったのが、2では強さ据え置きのままストレートに戦いやすくなってるので。
3 高いカスタマイズ性と、気軽なリスタート性。
仁王2の武器は前作(DLCも含め)の刀、二刀、槍、斧、鎖鎌、大太刀、旋棍に加え、新武器として手斧と薙刀鎌を追加。ここに遠距離武器の弓、銃、大筒が加わる構成となっております。
手斧は投擲による遠距離戦とスピード感ある接近戦に長ける反面、近距離から中距離に隙があるテクニカルな武器。薙刀鎌は変形機構による強弱がハッキリした武器でありつつ、ステータスの呪が性能に反映される武器。このステータスの呪は、陰陽術に関わるステータスであり、薙刀鎌の実装により陰陽術と切り合いの強さを同時に追求することが可能に。防具にも陰陽術を使うのに長けた鎧が追加されたので、これにより前作では軽装魔術タイプがメインだった陰陽術特化に、装甲と火力を持たせた魔法戦士タイプが加わることになりました。防具の幅の広がりは他の武器種にも影響しており、ビルドの自由度は増しております。
仁王2では主人公の外見性別もカスタマイズ可能。彫りの深さや身長や筋肉量、刺青に白粉のような日本らしい追加パーツも多数……ここ最近のゲームのキャラメイクは、とんでもなく充実しているので、仁王2のアピールポイントとしては弱いところがある。ならば、何を推すべきか。それは、この外見カスタマイズが常に利用可能ということです。性別も外見もプレイ中ならいつでも変更&保存&作成が可能。クリア後特典やDLCでの権利購入でなく、気分で変えられます。桶狭間ではオッサン、金ヶ崎では美少女、天王山ではバカ殿のようなプレイも可能。いやそりゃ、半妖ならゴツいオッサンが朝起きたら超絶美少女になってても問題なくない? ファンタジーを乗りこなせ!
そして、外見だけでなく能力値のリセットも簡単なのが仁王2。序盤からドロップ&購入が可能な六道輪廻の書で、能力値を1から組み直すことができます。スキルツリーの見直しも可能。この武器を使ってみようと思ったけど、いざ使ってみるとしっくりこなかった。武士タイプで進めていたら、いきなり忍者向けの装備が一式揃ってしまった。装備がガンガン落ちるゲームと、いつでもやり直しが出来るシステムは好相性。さらに言うと、クリア後は装備だけでなく能力値も記録できる構成管理が解禁されるので、重装斧タイプ、軽装二刀タイプ、忍者タイプなどをそれぞれビルドして使い分けることも可能になります。六道輪廻の書というコストがかかるので、あまりやりすぎると銭足りねえ! となりますが、二週目プレイヤーならそこまで高いコストではないはず。
武器や装備を切り替えるとプレイ感覚も大幅に切り替わるので、停滞しがちな周回プレイでも簡単に新鮮味を味わえるのはいいですね。
まとめ:かゆいところに手の届いた続編
現在、細かなアップデートにより難易度調整が図られている仁王2。複数回の体験版の配信による情報収集に、前作の問題点への対応と、プレイヤーの意見を聞く姿勢と行動力が上手く噛み合っている。かと言って、すべてが言いなりではなく、変えてはおかしくなる部分はちゃんと維持している。粗削りの原石と呼ばれた前作は、研磨されたことで宝石たる仁王2にたどり着いた。DLCなど、今後につながる企画もすでに動いている現状、さらにどう輝くのか楽しみです。