2015年2月19日
/ 最終更新日 : 2015年2月19日
fujii
アメコミ
ディスクウォーズ:アベンジャーズ、45話。
絶対勝利の鍵、それは至高の魔術師ソーサラー・スプリーム!
ダークディメンションの魔力に侵されたトニーを救うに、科学でどうにも出来ない。なら魔法だ! 一見やけっぱちに聞こえますが、至高の魔術師ならぬ至高の科学者たるハンク・ピム(ジャイアントマン)が「科学ではどうしょうもない」と判断した以上、別のアプローチたる魔術魔法に頼るしか無いわけで。元々、ダークディメンションがオカルト方面に属することは、ブレイドによって明かされてますしね。それが無かったら、とりあえずブラックパンサーの呪術(薬草学)かアイアン・フィストの気功パワーで治そうとするシーンがきっと……いや待て。気功パワーは魔力もふっ飛ばしそうなイメージあるぞ?
ストレンジの助力は欲しいが、肝心のディスクの場所がわからない。事態を打開したのは、ローニンならぬアカツキ博士の意思と意地。これなら、まだ還って来る可能性もあるのか? しかしローニン対ブラック・ウィドウ&ホークアイ。ローニンと縁深いホークアイとの対峙もそうですが、このブラック・ウィドウとホークアイが並び立ちローニンと戦う光景にもデジャヴ感が。詳しくは、こちらをどうぞ。
セレブレティ5の「この人達、ロキに関わらなければ幸せだったんじゃ」臭。元SHIELD科学者のティムはともかく、他のメンバーは投げ捨てたもん多すぎるよなあ! そして元シェフの経歴が、いよいよ輝いたマニーノさん。思ったよりまっとうなシェフで、ビックリよ!? てっきり、敵の料理を台無しにするためスプリンクラーを誤作動させたり、中毒性のあるブラックなカレーを客に出したりのヴィラン系シェフかと……。道、誤ったなあ。
序盤のラフト刑務所の騒乱に巻き込まれてディスク化されて以降、出番のとんとなかった至高の魔術師、ドクター・ストレンジを巡る攻防! 至高の魔術師復活を遮るのは、至高の錬金術士ディアブロ! ディアブロドーピングによる、デストロイヤー超強化! 量産品扱いなDW版デストロイヤーが、ハルクも吹っ飛ばすパワーに! 一緒に吹き飛ぶ、先週のパワーバカ四人の立場!
デスソースから伏線が張られた結果のディアブロ大敗北。しょうがねえよ、あの人、薬品を使わないと能力発揮できない都合上、わりとそっからのミス多いし! RPGに出たら弱点:衝撃とかになるんじゃないですかね。ビン落とすから。
ドクター・ストレンジの参戦が遅れた理由は「あいつ一人でいいんじゃないかな」になるからです。こんな話だとしてもおかしくない、至高の魔術師の暴れっぷり。トニーを救う手腕もそうだけど、超強化デストロイヤー+錬金術士も一蹴かよ! 戦隊ヒーローで言うなら、最期に出てくる全員合体のキーパーツなロボor追加戦士のポジションだ、この人!
次回予告より漂う戦乱の気配! 二頭巨人が、巨大鉄人が、ダークディメンションに潜む最悪の男が、ついに姿を表す。なので今回は、ストレートに至高の魔術師の紹介をするしかあるまいと! と言うわけで、今日の紹介はドクター・ストレンジです。
ドクター・ストレンジ
ドクター・ストレンジ。この名はまず、医療業界で知れた名だった。優れた腕前と見識、強大な傲慢を持ち合わせた名医ストレンジ・ビンセント・ストレンジ。人生の絶頂へと達した彼を引きずり落としたのは、自動車事故(一説ではスキー事故)だった。事故の後遺症で神経を損傷し、メスが握れなくなった名医。治療法の探求で財産を失い、アルコールに逃げたことにより信用と正気を失い。アル中となった彼が最期にすがったのは、チベットに棲まう伝説の治療者エンチェント・ワンだった。
元より半信半疑、魔法など信じない科学主義者だったストレンジ。だがしかし、エンチェント・ワンは本物であり、地球次元至高の魔術師ソーサラー・スプリームと呼ばれる程の男だった。魔術で寿命を延ばしてきた、5世紀生まれのエンチェント・ワン。そんなエンチェント・ワンは、自身の死がやがて必然となることまで予期していた。後継者足りえる人材としてバロン・モルドという男を育てていたが、実力はまだしもモルドの中に眠る邪心は警戒せざるを得ない物だった。
事実、モルドの中の邪心は爆発し、師であるエンチェント・ワンの殺害を目論むこととなる。モルドの策謀に巻き込まれたストレンジは、魔法が存在するという事実、それを使う悪がいる事を知る。モルドにかけられた魔法を打ち破ると同時に自らの傲慢や弱さを砕いたストレンジは、エンチェント・ワンに弟子入りを志願する。エンチェント・ワンもまた、このアメリカ人に可能性を見出していた。だからこそ、モルドの裏切りを知りつつあえて放置し、ストレンジにかけられたモルドの魔法を密かに解呪していたのだ。全ては、ストレンジという男を見出すために。
エンチェント・ワンは自らが知る魔法魔術の授与だけでなく、神秘のアミュレット“アガモットの目“などのアイテムも与え、ストレンジを一流の魔術師へと生まれ変わらせた。医師でなく魔術師、新生ドクター・ストレンジの誕生である。
チベットを降りたストレンジは、ニューヨークに拠点を構え、悪しき世界から現れた不可解な生物や邪悪な存在との戦いを始める。夢を操り人の心を嘲笑う、悪夢の王ナイトメア。エンチェント・ワンの予期していた死の原因となった、混沌世界カオスディメンションの神シュマゴラス。混沌よりの追放者、暗黒世界ダークディメンションの魔人ドルマムゥ(ドーマムゥ)。更に兄弟子バロン・モルドも、宿敵として何度も立ちはだかった。
エンチェント・ワンの死後。ストレンジは彼の異名“ソーサラー・スプリーム“を受け継ぐことになる。至高の魔術師は、こうしてストレンジに代替わりした。所謂魔術的ヒーローであるストレンジは、他のヒーローとも共同戦線を張っている。アベンジャーズへの協力や参加も多いが、やはりストレンジと言えば、ヒーローチーム、ディフェンダーズとなる。ストレンジによって結成された、緩やかなヒーロー集合体。必要がある時だけ集まり、いつ加入や出入りがあったのか当人ですらあやふやなチーム。ただし、その分、アクの強い強力なメンバーが参加しており、最初期メンバーはストレンジ、怪力無双のハルク、海の王ことネイモア・ザ・サブマリナー、銀色の滑空者シルバーサーファーと、強力なメンツである。そして緩やかな関係性であっても、彼らの絆の強さはアベンジャーズに決して劣らない。
能力は、魔術魔法に関わることならば大抵何でも出来る。正確には、どんなことでも大抵なんでも出来る。魔術魔法は常識論理の塗替えや改変だけでなく、直接の殴り合いや攻撃の手段ともなる。エンチェント・ワンより譲り受けたアイテムは更に数を増し、現在では宝物庫や図書館を別次元に作り上げるしかない程の量に。自分では使わない系統、邪悪な黒魔術への知識もあり、使用自体はいつでも出来る。正に万能の存在と言うか、これぐらいでないとドルマムゥやシュマゴラスと単騎で渡り合えない。あまりの性能の高さのせいか、チームに参加する際は能力を下方修正せざるを得ない、むしろどうやって彼を独りで活躍させないかこそがライターの腕の見せどころ、とまで囁かされている。ディスクウォーズでの参戦時期の遅さも、この工夫の一つに思える。
ストレンジは何でも出来るが、何でも出来ない。彼のブレーキとなっているのは、善性である。彼自身の資質もあるが、ソーサラー・スプリームである者には正しさが求められる為、好き放題に魔術を使うことは能力の喪失に繋がる。事実、ヒーロー間の秘密組織イルミナティへの参加から始まる、ハルク追放劇。ワールド・ウォー・ハルクの際、禁じられた黒魔術を使用し悪魔と契約した結果、ソーサラー・スプリームの名と魔力の一部を失っている。現在はハルクとの和解や、次代のソーサラー・スプリームの名を継いだ者の死により、再びソーサラ・スプリームの座に返り咲いている。最近は、イメージたる青の服でなく、タイツに似た新コスチュームを纏っていることも多い。
ベネディクト・カンバーバッチ主演による実写映画化も決まっているストレンジだが、日本での大々的なお目見えとなると、今週のディスクウォーズより少し前、ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3への参戦が記憶に新しい。過去作へのシュマゴラス出演、マブカプ3へのドーマムゥ出演、自身の好敵手たちに遅れての登場となった。
暴走や考え違いにより、時折トラブルを起こす面もあるが、全ては今をより良くしようという心あってこその物である。なにより師匠であるエンチェント・ワンは、魔術的素養より何より、窮地に陥りながらも他人であるエンチェント・ワンを救おうとした、ストレンジの善性に後継者としての相応しさを見出したのだから――。