適当な設定資料

キャラ立てはすんだけど、しばらく出番ねえだろうなーという近世&近代百鬼夜行の妖怪を穴埋め記事として紹介してみる。

ガルーダ
東亜大陸で名を轟かす神鳥。神と異名がつくだけあって性格は傲岸不遜、本気で将来的には自分が全妖怪を統べる妖怪王になる運命だと信じている。その力は自信に沿って強大で、目からの怪光線「ガルーダビーム」や全てを切り裂く「ガルーダウイング」、国ごと消し飛ばす最終奥義「ガルーダノヴァ」と多彩で破壊的な技を多く持つ。ちなみに技名を叫ぶ時、微妙に巻き舌になるので正確には「ガルゥゥゥダビィゥィム!」だったりする。
現在はアジア方面制圧に向け活動中。最近、朱鷺の写真を見てハァハァしている姿が部下に目撃されている

アミキリ
日本妖怪。虫除けの蚊帳を寝ている間に切るという、地味に嫌な妖怪。
外見は現在百鬼夜行で活躍中のカマイタチのコンパチ、少し着物の柄が違う?程度の誤差。あと、刀は普通に挿している。一応設定上は従兄弟くらいの親戚関係。口調もそっくり。シブい。
人を斬るということではカマイタチに及ばないが、単純な技量で問えば互角以上。道場でなら僅差でアミキリ、野試合ならばカマイタチの圧勝といったところか。
しかし百鬼夜行内ではもはや蚊帳なんかねーよという事で自棄になり、無差別に女性のパンツを斬る妖怪になってしまった。痴漢同然のクセして技量は達人なのでタチが悪い。スカートなら楽勝、ズボンならズボンを傷つけずに、といった神業をみせる。この刃、熟女も幼女も選ばぬよ。
現在目下封印中。いつ封印が解けるかは俺も知らないが断末魔のセリフだけは「はいてないだとぉ!」で決定している。

……バチとかあたるかなあコレ。

近世百鬼夜行~弐~

 人の世で生きるには偽名が必要だ。そう教えられた。
 そもそも妖怪の名など名乗っていて、人とまともにつきあえるわけがない。ならば人らしい名を事前に用意しておくべきだろう。そう言われたセブンは、自分の名の意味を日本語に直訳した『ナナ』、それらしい漢字を当てて『那々』という名を創った。
 随分に安直だとコックローチGという名の妖怪が笑ったが、彼の偽名もゴキブリの『ゴキ』にかけて『五木』。流石に読みは不自然にならないために『イツキ』としているが。まあ、安直な事に変わりは無いだろう。
 そんな安直な妖怪二人は、会の片隅のそのまた片隅のボロいビルで、人として働きながら一緒に暮らしていた。

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蟹沢きぬの憂鬱

「おーいバカレオ! 久々にゲーセンでも行こうぜ」
「あっ、悪い、今日は先約があるんだ」
「あーん? オメエなに淑女からのエスコート断ってやがりますか。アレか? またココナッツと先約がーとかぬかすんじゃねえだろうな、ヴォケ」
「……あ。空からブタが降って来てる」
「なにい、マジか!?」

 

「テメーこの野郎、晴れ時々どころか雨しか降ってねえぞって、逃げてるよあのチキン!」
「しょうがねえじゃん、俺らだけで行こうぜ、ゲーセン」
「なんだかんだで、レオと椰子が仲睦まじいのは良い事だよな。あとカニ、流石にあんな嘘に騙されるな。お兄さん悲しくなるから」
「ウラミハラサデオクベキカァ……」
「うわぁん、カニが怖ええよ、スバル!」
「落ち着けフカヒレ。目を合わせなきゃ大丈夫だ。
 ……しかし、こりゃあ厄介な事になりそうだなあ」

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近世百鬼夜行

 男は独り、剣を打って生活していた。
 ただ、強い剣を。ただ、鋭い剣を。ただ、美しい剣を。
 誰にも認められぬ、誰にも褒められる事の無い毎日。
 山奥での孤独な生活。扉を叩く者も居ない、孤独な日々。
 そんな家の戸が、今日始めて叩かれた――

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サークル始動予告的SS

「ガァァァァァァァッ!」
 唸り声を上げ襲い掛かってくる怪物の首をセブンは捕らえる。しかし、怪物の突進力は殺せず。一匹と一人はもつれ合ってビルの屋上から落下した。

 既に時刻は夜半、繁華街は書き入れ時だとこぞって競い合い、街全体が繁盛していた。街を歩く人々は殆どがホロ酔いで、人生の春を謳歌している。  セブンと怪物はそんな街の通りに落下してしまった。何事かと集まった人々が口々に噂しあう。
「おーすげえ、リアルだなリアル」
「もう片方もすげえよな、ジェイソンというかレザーフェイスというか、ホラー映画のステレオな殺人鬼だぜ」
 和気藹々とした人々。
「……?」
 セブンが首を捻る。平和ボケの日本国民と呼ばれているが、いくらなんでも楽観的過ぎる。酔いや混乱を差っぴいても、和気藹々と出来るほどこの国民は幻想家なのか?
 それ以上に彼らの態度に疑問を持つ、一匹が居た。怪物は強者であるセブンより、弱者である野次馬を標的に定めた。人垣へと怪物は踊りかかるが、人々は剣呑とし、逃げようともしない。
「コックローチキィィィィッック!」
 セブンを追いかけてきたコックローチGの飛び蹴りが怪物に直撃する。怪物は蹴りをカウンターで喰らう形となり、人垣から外れた方へと弾き飛ばされた。
「ギャー! 足折れた!」
 限界以上の力を出したGの足は、曲がってはいけない方向にポッキリ折れていた。限界以上の物を出せば何らかの形でリスクを負うものなのだ。
「すげえぞゴキブリ男!」
「ステキー!」
「こいつもやけにリアルだなぁ」
 人型のゴキブリとしか評せないGを見ても人々は平然としていた。いつもなら人は雲の子を散らすように逃げるのに。
「おいG、おかしいぞ。いつもならオマエの気持ち悪い外見を見て逃げ惑う連中が平然としている」
 セブンがのた打ち回るGに疑問をぶつける。
「ストレートに言いやがって、お前の心にダムは無いのか?」
「無い。で、なんだコイツら。いくらなんでも恐怖を忘れすぎだ。私達は妖怪なんだぞ」
「とりあえずダムについては後日として、日付を見てみろ」
「……10月31日?」
「ハロウィンだろうが、トリックオアトリートのよ」
「ああ、そういうことか」
 子供が怪物に仮装し「お菓子か悪戯か?」と二者択一を迫る西欧の祭りハロウィン。日本にも伝わった行事だが、伝わる際に子供が仮装するという前提が忘れられ、大人だろうがなんだろうが仮装して騒ぐ、単なる仮装カーニバルと化している。
 つまり、セブンやGや怪物といった本物を、彼らは良くできた仮装だなと思っているわけだ。
「ウガーーーーー!!」
 起き上がった怪物が絶叫する。セブンにはそれが「俺は本物だー!」と絶叫しているように聞こえた。
「だから、思いっきりやってOKだ。むしろ派手にやっちまえ」
 衆目は有るが、誰もそれを現実とは思わずに見る。むしろうそ臭いほどに派手な方が嘘らしく見えるのだろう。セブンは己の武器の中でも派手な一つ、チェンソーを懐のマントから取り出した。観衆は蠢くチェンソーを見て歓声を上げた。
「ならば、ヤツの臓物でこの通りに彩を与えてやろう」
「いらん、そんな彩いらん。とにかく俺に任せろ、観客は俺がうまくいじってごまかしてやる」
 Gが足をむりやりもとの形に戻して、立ち上がる。折れた足は既に復活を遂げていた。
「ならばここは頼んだ」
 チェンソーの手持ちの部分でセブンは駆けてきた怪物を殴り倒す。倒れ付す怪物へ刃を向けるが、怪物は一瞬で起き上がりそれを許さない。牙と刃が交錯した。
「えー皆様、警察に通報とかはお止めください。これは許可を取った宣伝活動です。ちょっと派手かもしれませんが、重ね返し警察に通報とかはお止めください」
 死闘を背にGが観衆に向け叫ぶ。なお、許可などとっているはずが無い。重ね返しと言っている辺りに通報するなと言う必死さが見て取れる。
「宣伝ってなんのー?」
 観客からの当然の疑問が投げかけられる。
「それは……イベントで販売する「肉雑炊」新刊のお知らせだ!

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