息子と母親とお婆ちゃん
まさか自分に興味を持ってくれる女性がいるとは。
その彼女から貰った弁当に箸をつけながら小次郎は思いを馳せた。
そもそも自分は酷い扱いだった。ルートによっては、いつの間にか死んでいたり、開始当初に腹を裂かれて死んだりと散々だった。だが今は虚ろな平穏ながらもそれなりな幸せを謳歌している。戦いの喜びも良いものだが、コレも中々乙なものだと。
なにか嫉妬と言うか悲しみと言うかそんな視線が自分を見つめている。すごく嫌な予感を抱きながら小次郎はその視線の元に目をやった。
門の柱の影から白い骸骨の仮面がこちらをじいっと見ていた。目から涙をはらはらと流している。小次郎は愛刀の柄に手をやった。
「酷いですぞ母上……私になんの相談も無く再婚を図るなどとは!!」
「誰が母上だ!」
ハサンの全力の叫びを、これまた小次郎も全力で否定した。