デッドプール邦訳奇譚~デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプール ~

デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプール

デッドプール・キラストレイテッドデッドプール・キルズ・デッドプール

キラスト・レイテッドあらすじ
デッドプール・キルズ・マーベルユニバースでの殺戮から幾星霜。多元世界を周り、アベンジャーズもX-MENもスパイダーマンも数万回殺し続けてきたデッドプール。この多元宇宙を支配する“創作者”からの開放を望むデッドプールは、マーベルユニバースの更なる根源、創作者のアイディアの源泉となった古典作品の集合体、アイディアバースの破壊を目論む。
巨大怪物の源泉、ギリシャ神話。吸血鬼の源泉、吸血鬼ドラキュラ。チーム物の源泉、三銃士。次々と殺されていく、古典作品の主人公たち。だがしかし、瀕死のマーベルユニバースからのメッセージを受け取った、探偵の源泉たる男。シャーロック・ホームズが多数の英雄を引き連れ、デッドプールの前に立ち塞がる!

キルズ・デッドプールあらすじ
愉快痛快、全次元のデッドプールさんが殺しあうよ!

サイレン(以下S)「あらすじバランス悪!」

ふじい(以下F)「というわけで、デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプールの紹介だ。デッドプール・キルズ・マーベルユニバースと合わせての、デッドプールキルズ三部作の二作だな。それにしても、キラスト・レイテッドが邦訳されてよかったわー。キルズが出た日から、ずっと願ってた」

S「そんなに?」

F「前にも言ったけど、俺、起承転結のうち、キルズ・マーベルユニバースが起承で、キラスト・レイテッドが転結だと思ってるからね? そりゃあ、出てほしいよ。エンディング後のボーナストラックでありながら、真エンドでもある、キルズ・デッドプールも含めて」

S「ストレートに考えても、そりゃ3部作な以上、3本やってほしい!というのは人情だな」

F「まずはキラスト・レイテッドの紹介をするとして……一言で言うなら、デッドプールVS古典文学よね。もしくは、スーパー古典大戦withデッドプール」

参戦作品
ドン・キホーテ
白鯨
クリスマスキャロル
海底2万マイル
トム・ソーヤーの冒険
スリーピー・ホロウの伝説
若草物語
フランケンシュタイン
ジャングル・ブック
変身(カフカ著)
ベオウルフ
花木蘭(ムーラン)
シャーロック・ホームズシリーズ……extra

F「スパロボ風にざっと書くと、こんな感じ。全部書いたわけではなく、まだまだいるけど」

S「何作か、明らかに戦闘能力のない作品混じっているんだが」

F「馬鹿、オメエ、ナメてかかると痛い目見るぞ! VS若草物語なんか、デッドプールさん、マジ死にかけたんだからな!」

S「狂ってるな!」

F「狂ってるよ! スパロボのノリでこうやって紹介できる作品なものの、創作者とキャラクターの関係性、アイディアとは果たして何なのかという、メタを極めたテーマにも踏み込んでいる怪作です。頭脳明晰かつバリツを極めた最高の探偵シャーロック・ホームズと戦うのは、ホームズですら持ち得ない視点を持った怪人デッドプール。シャーロキアン(シャーロック・ホームズの熱狂的なファン)の方が読んでも、新鮮味がある対決なんじゃないかな」

S「で。すげえ簡単なあらすじで済まされたキルズ・デッドプールの話なんですけどね?」

F「キラスト・レイテッドの戦いも、終焉には至らなかった……ならば、根源とは何なのか。そう、俺ちゃんだ! そして始まる、スーパーデッドプール大戦! 既存ユニット、新規ユニット、大量参戦!」

S「きゃあ! じぶんごろし!」

F「今までの話の主人公は、俺達の知っているデッドプールとは別次元のデッドプール(通称:ドレッドプール)だったが……」

S「待った。ドレッドプール?」

F「ああ。俺もうっかり忘れていたところ、指摘されて気がついたんだが、今までキルズの主役を務めてきたデッドプールにはドレッドプールという個体名がつけられているんだよ」

S「ドレッド(Dread)……英単語の意味合いとしては、動詞としてなら~~への恐怖や、恐れること。名詞なら、恐怖や不安そのものか」

F「今作でのドレッドプールのポジションは、ヴィラン。キルズ・デッドプールの主人公は俺達の知るいつものデッドプールにして根源たるデッドプール……正史であるEarth616のデッドプールだな。つまりデッドプールがデッドプール皆殺しの計画を反対派のデッドプールたちと共に阻止しようとするものの、デッドプール皆殺し計画側にも多数のデッドプールが付いていて、デッドプールがデッドプールを殺す惨状になってデップーが」

S「待って。ゲシュタルト崩壊起こしてきたから待って」

F「簡単に済ませるなら、デッドプール一派VSドレッドプール一派の大戦争ってことだな。レディ・デッドプールやキッドプールにドッグプールにヘッドプールのような、デッドプール・コァの面々。デッドプールが捨ててきた身体のパーツをミックスして出来上がった、エビル・デッドプール。エイジ・オブ・アポカリプス版デッドプールこと、デッドマン・ウェイド。有名無名問わず、沢山のデッドプールが出ているな。デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウスに出てくるデッドプールの亜種は、フルコンプしてるぞ!」

S「読んでから見ると、おもしろさにプラス?」

F「オフコース! あとデッド・ヘッド・リデンプション。コイツもちょっと関係有るぞ!」

S「短編集だっけか?」

F「この本に収録されている短編“デッドプールが多すぎる”。キングプールだの2頭身プールだのベッドプールだの尻プールだの、色々なデッドプールが湧いてくる作品だが、ここに出たデッドプールも、結構端役として出ていたりする。別の短編には、デッドプール・コァも勢揃いしているし、副読本ポジションぐらいにはあるかもしれんな」

S「前半が既存デッドプールが多めで、後半が新規デッドプール多めかね……なあ、一つ聞きたいんだけど」

F「OK,OK。答えられることなら、なんでも答えるぞ」

S「172Pで殺されている、影で隠れて全身がよくわからないデッドプールなんだけどさ」

ノーコメント

F「彼が、何か?」

S「この人さ、ドラマのARROWとかに出てなかったっけ?」

F「おいおい。アレはDCコミックスのドラマだぜ? デッドプールは、マーベルの作品じゃないか」

デスストロークさん

S「装備とかさ、マスクについてるヒラヒラとかさ、スーツの鱗っぽさとかさ、このデスストロークさんにすげえ似ている気がするんだけど?」

F「うーむ。でも、色が違うしなあ……」

S「あくまで、別人だと言いはるんだな?」

F「いいか。勇気と蛮勇は違うんだ。俺にだって、危険を察知する能力くらいはあるぞ!」

フラッシュとローグス~Mutual Respect~

 実は先月、Togetterまとめに載せてある、光速の男に抗う男たち~これからのローグズ~を追加削除共にしつつちょっとだけ改定しました。改定したのは、邦訳でも発売されているフォーエバー・イービルに関する部分。追加分は、作中におけるレックス・ルーサーのキャプテン・コールド&ローグス評です。

「キャプテン・コールドを見てると、勤勉だが、知識もなく野心もない田舎の善良な人々を思い出す。コールドと仲間は三流の悪党だが、お互いに対して忠誠を誓っている」
(ルーサー自身の側面である、謙虚さを持つコールドへの評)

 実際、どのような状況でこの評価が下されたのかはフォーエバー・イービルを読んでもらうとして……実はこれ、悪くない評価だったりします。そもそも自意識過剰気味なルーサーが己と照らしあわせるだけの物があると、認めているわけで。謙虚さを持つには、謙虚になるだけの実力が必要です。

 そして、削った部分は、「フォーエバー・イービルにて、キャプテン・コールドの口からフラッシュと自分たちの関係が語られている」という部分です。この評価は、キャプテン・コールドVS異世界から来た邪悪なフラッシュことジョニー・クイックにて、ジョニークイックと対比させる形でコールドが語っているのですが……邦訳だと「フラッシュとは大違いだな」と、シンプルな訳になっております。
 翻訳の方針やフキダシに詰める都合というものがあるのでコレは仕方のないことなのですが、評価を期待して買ってしまった場合、肩透かしになってしまうのではと思い、削らせていただきました。
 なお、原語における該当のコマは、こちらとなります。洋書だとForever Evil #6。邦訳フォーエバー・イービルだと、CHAPTER6―覚醒―の段。具体的なページ数としては162Pですね。

キャプテン・コールドVSジョニークイック
※ホームページ上だと縮小されてしまいましたが、画像をクリックするとフキダシの文字も読める大きさになります。

 れいとうパンチならぬ、れいとうキック! こうかはばつぐんだ!
 コールドのルール無用な残虐ファイトはひとまず置いておくとして、今回のテーマにそっているであろう英文を、抜き出してみます。

“The Flash And I Got Mutual Respect. That`s The Difference Between You And Him”

 やはり気になるのは、尊敬という意味を持つRespect(リスペクト)という単語が混じっていることですね。Mutualの意味は「共通、共同、相互の」が挙げられます。つまり、Mutual Respectとは、互いが持つ敬意ということになります。
 辞書を引きつつ、自己流で訳した場合、こんな感じとなります。

「フラッシュと俺は、互いにリスペクトしあってる。それが、お前とフラッシュの違いだ」

 このれいとうキックに至るまでの状況を補足しますと、ジョニー・クイックがキャプテン・コールドを拘束。ジョニー・クイックの世界で警官だったコールドを既に殺害していること、コールドが凍結銃を持っているだけの常人であることから、コールドのことを「銃がなけりゃなにも出来ない、ただのバカだ」とナメきった結果……コールドの逆襲により、ジョニー・クイックは足を砕かれました。つまり、コールド(敵)への敬意の無さこそが、ジョニー・クイック敗北の原因となっております。
 そして注目すべきは、ここでコールドがフラッシュとの間にある、リスペクトという関係を口にしていることですね。まずコールド自身は、間違いなくフラッシュにある種の敬意を払っているわけで。フラッシュがコールドに敬意を払っているかどうかは分かりませんが、敬意も何も無ければ、おそらくフラッシュも既に足を砕かれているんじゃないかと。悪役の口から出る、正義の味方への敬意。

 こうしてフォーエバー・イービルで示された、キャプテン・コールドとローグスの謙虚さに、コールドとフラッシュの間にある敬意。これもまた、ローグスのあり方を紐解く、材料となるでしょう。
 あと個人的には、フォーエバー・イービル解説内での「仁義を守る任侠集団」というのが、ツボにハマりました。愛嬌といい仁義といい任侠といい、なんでこうアイツら、英訳しにくい日本語がこうも似合うのか……。

デッドプール邦訳奇譚~デッドプール:モンキー・ビジネス~

デッドプール:モンキー・ビジネス

デッドプール:モンキー・ビジネス 表紙

あらすじ
「デッドプールは誰かの引き立て役なんかじゃない!」
まあ、本人はそう思ってる。でも、果たして本当にそうかな? ヒーローだろうとヴィランだろうと傭兵だろうと、スパイダーマンと共演して目立てるキャラクターは決して多くない。なにしろ彼はアメイジングだからね! さて今回、デッドプールはまるでラブラブな奥さんのようにスパイダーマンにベタベタくっつくことになる。史上かつてない強敵から身を守るためだ。強敵と言っても、サルだけどね。その名はヒット・モンキー。そいつがデッドプールの赤い尻を追いかけ回すのさ!(Amazon商品紹介より引用)

ふじい(以下F)「祝 映画デッドプール全米大ヒット! 日本に吹いてるデッドプール人気という風は、日本だけでなく世界中で吹いている風だったんだ! そしてちょうどこのタイミングで、日本におけるデッドプールのスタートとも言える、モンキー・ビジネスの紹介だ!」

サイレン(以下S)「ところで、なんで今回の商品紹介、ここまでアメリカンでノリノリなんだろう……」

F「いやこの、深夜のテレビショッピング的ノリは嫌いじゃないどころか、思わず口に出したくなるけど。アシスタントのキャサリンと共に、大袈裟なリアクションで紹介してみたい」

S「誰だよキャサリン。どこに居るんだよ、キャサリン」

F「キャサリンは、俺達のアメリカンを欲する心の中にいるのさ。それはそれとして、モンキー・ビジネスですよ。表紙にもなった、“メイド服のデッドプール”。ここから、日本におけるデッドプールの人気は火が点いたと思うのよ。正確には、MARVEL VS. CAPCOM 3との合わせ技」

S「あー、俺、マブカプ3で初めてデッドプールを観た時、アメリカにはすげえのがいるんだな! と思ったな」

F「俺もそんな感じだ。それで調べてみたら、バーン! と出てくるのが、メイド服キメてる姿だぜ? 言語がわからなくても、なんじゃコイツとなるインパクト。そりゃ当然みんな話題にもしたがるし、ガチムチマッチョで真面目なヒーローしか居ないとか、そういうアメコミへの固定観念にヒビが入るだけの一撃だったよなあと」

S「なんじゃこりゃ! と思って調べてみたら、予想以上のなんじゃこりゃ! が出てきたと。それは、調べがいがあるというか、クリティカルヒット感あるよな。でも実際さ、日本におけるデッドプール人気の入り口になっているのはわかるんだが……なんで、ここまで邦訳されなかったんだ?」

F「あくまで私見なんだけどさ。これ原書の原題“Deadpool, Vol. 4: Monkey Business”じゃん? ぶっちゃけ、シリーズにおける4巻じゃん? いきなり途中の巻出すのって、中々厳しくないか?」

S「あー……そういや、そうだったな」

F「ドラゴンボールで例えるならさ、ブルマのポロリシーンやアクマイト光線がめっちゃ話題になってる! よっしゃ! 占いババの試練のトコだけ復刊したろ! ぐらいに蛮勇だとは思うぞ」

S「そこだけポンと出されても、なんで占いババの試練を受けてるのかとか、悟空と養父な孫悟飯との再開とかを理解すんの、難しいだろうなあ」

F「だから、躊躇というか遅れたのは分からんでもないかなあって。ただ、他のデッドプール誌を先に刊行することで、デッドプールというキャラクターの地固めは出来たし、なおかつモンキー・ビジネスの頃のストーリーライン、自分探しの旅というのが元々途中からでも読みいいっていうのがあるので、この辺はもう大丈夫かなって」

S「この時期のデッドプールは、アメリカ中を旅してたんだっけ?」

F「このまま、鼻つまみ者として生きることはただ辛い。人々に愛されるヒーローになるにはいったいどうすればいいのか。そんなことを考えつつ、アメリカを巡っていた時期だな。モンキー・ビジネスの舞台はニューヨークだけど、この直前は、X-MEN入りを希望してカリフォルニアで一騒動おこしているからな。この後の巻では、映画デッドプールにも出てくる情報屋兼技術者のウィーゼルとラスベガスで一騒動起こしてるけど」

S「あの、すいません。毎回各地で一騒動起こしている上に、目標と結果があまり合致していないような気がするんですけど!?」

F「デッドプールだしねえ(悟り モンキー・ビジネスの舞台はニューヨークなだけあって、ヒーローが多いニューヨークでもその象徴となるヒーロー。スパイダーマンが一騒動の相手となってる。現状邦訳でも、アイデンティティ・ウォーデッドプール:スーサイド・キングスで読めるコンビだけど、なんだかんだで面白さのあるコンビだよ」

S「いやでもまさか、本国でもSpider-Man/Deadpoolとして、二人の絡みをメインにした本が出るとは思わんかったな」

スパイダーマン&デッドプール

 

F「日本でも人気のある組み合わせだったけど、本国でもやっぱ人気あったんだなあ。モンキー・ビジネスのスパイダーマンは、デッドプールがなりたい“人々に愛されるヒーロー”の見本的存在というのもあって、デッドプールに迷惑をかけられつつも、完全には見捨てず、諭しもする……」

S「先輩ヒーローとしての顔が強い?」

F「そう、それよ。あと今回、忘れちゃならないのが、暗殺者専門の暗殺者こと、日本猿の殺し屋ヒットモンキーの登場よ」

 

ヒットモンキー

 

S「猿とデッドプールの争いに巻き込まれるって、スパイダーマンやっぱ不幸だよな……」

F「人類史上、稀に見る理不尽な不幸だ。でも俺、この本に同時収録された、伝説の殺し屋ヒットモンキー誕生秘話なヒットモンキー・オリジンが大好きでなあ。瀕死の名も無き殺し屋が猿の群れに出会い助けられ、生命を繋ぐ。群れの中で唯一殺し屋を警戒していた若い雄猿は、奇しくも殺し屋の技を覚えてしまい、そして……伝説の誕生と呼ばれる、ラストの哀しさ。日本猿の殺し屋という、字面だけ見ると面白さだけを求めたような設定が、しっかりと根付いている」

S「別冊漫画ゴラク辺りで連載してもいい設定と雰囲気だよなあ……」

F「もう一本の短編、“アホンダラは電気馬鹿の夢を見るか?”も、田舎の小規模な事件簿として面白いと思うぞ。強敵や大敵相手の話だけでなく、こういう緩い話も箸休めにはいい。それに、ちょっと良いことをして、良い気分になる。スパイダーマンとの出会いで、デッドプールが学んだようで……なんか心地いいじゃないか、うん」

これからのローグズ

 はじめてのローグス(前編中編後編)に続くポジションな記事、これからのローグズを更新しました。Twitterの連投用アカウントを使ってのもの、光速の男に抗う男たち~ローグス紹介~の続編でもありますね。
 
光速の男に抗う男たち~これからのローグズ~
 
 最近のローグスの傾向、ローグズの逆襲出るよ!との宣伝、ローグズでもローグスでもええやん、このローグス関連作クソ面白いぜ!というのを主に書いております。サイト掲載でも良いかなと思ったのですが、やり方を変えると、見る人も完成図も一味違いますしね。というわけで、こちらもどうぞよろしくお願いします。
 そして、実は今、ものすごくケンタッキーフライドチキン食べたいんだ……。

はじめてのローグス~後編~

サイレン(以下S)「放置していた企画物をひとまず完結させるシリーズ、第二弾は“はじめてのローグス”(前編中編)なワケだが……平蜘蛛の茶釜に火薬を詰め込むレベルで自爆してる人、コメントどうぞ」

ふじい(以下F)「やっちゃったぜ」

光速の男に抗う男たち~ローグス紹介~

S「いや、やっちゃったぜじゃねえよ!! 何ちょっとカッコつけて言っていってるんだよ!?」

F「気に入っちゃったぜ、とっちゃやだぜ」

S「やってられないんだぜ」

F「ごめんねだぜ」

S「……ところで俺、いつまでソードマスターヤマトごっこに付き合えばいいんだ?」

F「ああうん、このままギャグマンガ日和ごっこに突入しそうなので、もう止めよう。いやコレも、昨日の追跡! アントマンとだいたい流れは一緒でな。放置している内に、別のところで、やりたかったことや代替えテキストを作ってしまった」

S「Twitterでのツイートを編集してまとめられるTogetterか……時折連投用アカウントと合わせて使ってるよな」

F「コレとか、コレとかな。実況に近いリアルタイム感や、普段と違う層にアピールできると、TogetterはTogetterでサイト掲載とは違った利点がある」

S「だからと言って、前編、中編とやっておいて、後編をずっと放置していいわけじゃないけどな……無いままの後編を探す閲覧者の方が居たら、どうする気だ」

F「それは、頭を下げるしかない……。だからこうして、一度完成させる。また何かローグスについて書くことがあるとしても、それは“はじめてのローグス”ではない記事だ。でも実際これもアントマンと同じで、中編を完成させてから後編を書かずにいた数年で状況が変わっていてなあ。当時はともかく、今はもう日本にいる誰もが、ローカライズされたローグスに会える機会があるからね」

S「それは、邦訳のフラッシュ:新たなる挑戦(THE NEW 52! )のことか?」

フラッシュ 新たなる挑戦 表紙

F「一度世界観を一新しての全シリーズリスタートなNew52、そんなNew52の中の一冊だな。始まりだけあって、しっかりとフラッシュ周りの設定を固めた上で、宿敵キャプテン・コールドも出ているわけだが……どっちかっつうと、ローグスの本気は次巻以降だからな」

S「次巻出るのかねー」

F「わからん。ただこのシリーズは、フラッシュに負けない加速度で進めば進むほど面白くなっていくから、ここで止まるのは惜しすぎる。是非とも波に乗って、続刊出来るだけの、実のある強さを身につけて欲しいところだが……」

S「波? ああ、アレのことか。ローグスと会える機会というのも、まずそっちのことだな!」

F「ソフト販売にレンタルに動画配信……コミックス、アニメ、映画に続く第四の選択肢、ドラマ。グリーンアローを主人公としたドラマARROW / アローに連なる、光速の男の物語。ドラマ版ザ・フラッシュことTHE FLASH / フラッシュよ!」

THE FLASH フラッシュ

S「ドラマのフラッシュ、観た人の評価かなり高いよな」

F「実際、面白い。揺れ動き続ける登場人物の心を直視するアメリカドラマらしい光景に、基本一話に一回、新怪人が出てくるという豪華さ! 安心しろ、お約束の再生怪人回っぽいエピソードもあるから!」

S「いやお前、怪人っつうか、あっち流だとヴィランだから。もしくはメタヒューマン。言い方が特撮レビューみたいになってるから」

F「マジでTHE FLASH / フラッシュって特撮作品として観ても面白いと思うのよ。ドラマ部分も含め、ニチアサに組み込んで流してもイケるんじゃねえかな」

S「しかしドラマ版か……実写に際して、ローグスのイメージも変わってる?」

F「そうだなあ。例えばリーダー役となるキャプテン・コールドを例にしてみるか。まずはこれが、コミックスの伝統的なスタイルな」

キャプテン・コールド(コミックス)

F「で、次が、さっき取り上げたフラッシュ:新たなる挑戦(THE NEW 52! )の際に、デザインが変わったコールド」

キャプテン・コールド(New52)

F「で、コレがTHE FLASH / フラッシュのコールドだ」

キャプテン・コールド(ドラマ)

S「最終的に、イケメンにたどり着いたな」

F「演じるのは、プリズン・ブレイクのマイケル・スコフィールドや、映画バイオハザードのクリス・レッドフィールドを務めたウェントワース・ミラーだな。実際イケメンなんだが、粗にして野だが卑ではない雰囲気が、すげえキャプテン・コールドっぽくてなあ」

S「あーなんか分かるわ」

F「コールドの持つ冷徹さや喧嘩強さが、上手く映像として昇華されてるんだよ。ドラマにおけるフラッシュとの関係も、単なる敵とは決して呼べない、強いて言うなら好敵手と呼ぶしか無い奇妙な関係になってるし。衣装もゴーグルやファー付きのコート、現実にありそうな格好でそれらしいラインにちゃんと沿っているからな」

S「見比べてみると、結構ピン!と来るパーツが多い感じだな」

F「まあぶっちゃけた話、コミックス通りの、育ちきったアイスクライマーのポポみたいな衣装でドラマ出れるかっつったら、厳しいだろ」

S「本当にぶっちゃけたな!」

F「数多くの実写版を観れば分かると思うが……漫画では受け入れられる表現やキャラクターでも、実写にしたら観ててキツッ! って例、結構あるぜ? 漫画、アニメ、実写。メディアによって、セーフの線引は違うからな。実写版で浮いてしまった作品の一因には、この線の見極めを誤るっていうのもあると思うぜ? むしろ、THE FLASH / フラッシュのアレンジや線の見極め方は、神業レベルだ」

S「ダークな作風のARROW/アローと繋がっている以上、その世界観と組み合わせても違和感のないイメージが求められるよな。フラッシュのキャラは結構明るいからなあ。調整には、確かに神業に匹敵するものが求められそうだ」

F「まだキャプテン・コールドはマシな方だぜ? ローグスに籍をおいていた、結構古くからいるヴィランのレインボーレイダーとかさ、ビジュアルだけでなく能力からしてキツすぎるだろ。虹乗るんだぞ、虹!」

レインボー・レイダー

S「虹、虹に乗るオッサンかー……綴はRainbow Raider。虹に乗るレインボーライダー(Rider)じゃなくて、侵入者や襲撃者を意味するレイダー(Raider)なんだな。確かにコイツはちょっと厳しいかもしれないけど、ここまで神業級の腕前を見せた、ドラマスタッフ達なら」

F「ほれ、追加画像」

無理ダナ!

S「あ。ゴメン、無理だわ」

F「多分、実直に映像化したら、何をどうやっても面白映像にしかならんと思う……バットマンVSスーパーマンだろうがシビルウォーだろうがライダー大戦だろうが、どんな熾烈な戦いでも背後で虹に乗ったオッサンがシューっと滑っていたら、オッサンが全部持ってくぜ」

S「うん。虹のパワー、ハンパないね。結局、ドラマ版ではスルー?」

F「いや出たよ、ちゃんと。ドラマに馴染むヴィランとして」

ドラマ版 レインボー・レイダー

S「おい。虹、何処に行った」

F「ビジュアル的にはレインボーじゃないけど、ちゃんとコイツはレインボーレイダーなんだよ! 実は、レインボーレイダーの虹には、人の感情を操る力があってな。ドラマのレインボーレイダーは、眼からの赤い光で他人の怒りを爆発させるんだよ。手当たり次第にバーサクかける感じで!」

S「なるほど、磨き上げての一点突破か!」

F「実際、ドラマではフラッシュもこの赤い光の力で、感情制御不可の暴走状態になっちまってなあ。もう仲間や大事な人ですら手に負えない、暴走するヒーローを止められるのは、同じヒーローしか居ない! レインボーレイダーの出る、第8話のタイトルは、そのものずばり“フラッシュ VS アロー”よ!」

S「ARROWの主人公であるアロー(オリバー・クイーン)との対決。つまり、レインボーレイダーをドラマに適した形にした上で、ヒーロー同士の対決の立役者にもなったと。ドラマ、凄いな!」

F「ARROWのシーズン3の第8話“アロー vs フラッシュ”はこれと対となるクロスオーバーエピソードだぞ。こちらでは、弓の達人アローをも苦戦させるブーメランの達人、キャプテン・ブーメランが登場だ!」

ARROW版 キャプテン・ブーメラン

S「キャプテン・ブーメラン、映画スーサイド・スクワットへの参戦といい、ザ・フラッシュ以外のところでの頑張りが目立つよな」

F「一時期、ロビンとの因縁が出来て、ゴッサム・シティでの活動なんかもあったしねえ。ああちなみに、ドラマのレインボーレイダーも、原作のレインボーレイダーの持つ趣味嗜好や悲しさは持っているぞ」

S「悲しさ?」

F「レインボーレイダーだけでなく、ローグスのメンバーのオリジンって、物寂しさがあるからよ。それに触れるのであれば、こういうトーク形式でのテキストではなく、真面目に書かないとダメだな。最低限の礼儀だ。そうだな……直接書かずに言わせてもらうなら……キャプテン・コールドの出自と冷酷さ、そして情愛と復讐を描いた“ABSOLUTE ZERO”のエピソードは、名著だ。つーか、俺、アメコミのエピソードの中で、五本の指に入るレベルで好きだ」

S「お前のその枠、てっきりデッドプールで全部埋められてると思ってた」

F「まあ確かに、デッドプール好きだけどね。でも、ローグスもまた好きだし、愛読している連中よ。そうでなきゃあ、こんなに文章書けないし、レビューや紹介しよう!って気にもなれんよ。運転するのに知識が必要なら、好意は動くためのガソリンってね」