日々雑談~5910~

 仁王3、難しいな!(挨拶

 開発は今までのシリーズ同様にTeam NINJAなので仁王2と変わらないかなーと踏んでいたら、Team NINJAが仁王2以降に開発したWo Long: Fallen Dynastyの二段ジャンプやRise of the Roninの殺陣の要素を盛り込んだ結果、やったことはあるけどやったことがないというアクションという絶妙な仕上がりに。まだまだこれは、慣れるのに時間がかかるぜ。

 そしてまあ、この習熟の時間を差っ引いても、敵が強い上に意地の悪い配置の数々でめっちゃ苦しんでるわけですが。ぽつんと一人でいる敵は、だいたい物陰に二人目や三人目が潜んでいると考えていい。俊敏で高火力の人狗にふわりと動きつつ高火力の狂骨に範囲攻撃で高火力の砂かけ婆と、こちらを一撃で殺してくるちょっと強めの敵があちこちにいる上に、実質ボス、というか2でボスだった馬頭鬼もうろついてると、いやもう地獄地獄。ステージの長さも中々と言うか、これエルデンリング換算なら、スタートからストームヴィル城ぐらいまでのやりごたえはあるよな。ストームヴィル城の入口までじゃなくて、城主であるボスのゴドリックを倒すまで。レベル上げを含め、だいたい数時間ぐらいのボリュームかな。

 ……体験版とはいったい。

日々雑談~5909~

 世間がSwitch2とマリカーで騒がしい中、なんか急に仁王が復活して体験版ごとドーン!と来た!?
 こっちは後日触れるけど、マーベルとアークシステムがタッグを組んだMARVEL: Tōkon Fighting Soulsも発表されてんだよなあ。今日は流石にNintendoの日って感じだけど、ソニーもソニーで攻めていく姿勢がありありなのはええことじゃないでしょうか。今年の頭に、ついにPS5を入手した身としては、ここで引かれても困るけどね!?

 仁王と言えば、戦国を舞台とした骨太な死にゲーにして、史実とファンタジーを程よく織り交ぜたシリーズ。2020年に出た2の後、もう次はないよ? みたいな風にいたのに、いきなりここで3が。しかも、体験版もセットで。ホント結構な高難易度なソウルゲーなので、もうちょっと覚悟を決めて、身を清めてから出迎えたかったけど、出てくれた以上、ありがとうと言うしかねえ……!

 そしてまあ、体験版で死ぬわ死ぬわ。だいたい、体験版のステージが一言坂の戦いって時点でやべえよ。三方ヶ原の戦いで武田にボッコボコにされた徳川軍の撤退戦だぞ? なるほど、武田視点でチュートリアルだな!と思ったら、当たり前の徳川軍で超ハード。最初のボスも全盛期バリバリの山県昌景とか、お前もう罰ゲームやろ。幸い、武名の割にはそんなに強くないので、ソウルゲー経験者ならなんとかなるはず。仁王もソウルゲーもやったことがない場合は……復活地点のお社はすぐ近くにあるので、そこでコンテニューできるよ!
 
 もっとも、馬場信春を突破してからが本番、仁王スタッフによるオープンフィールドな死にゲーが幕を開けるわけです。雑感、エルデンリングより配置の意地が悪いし、ツリーガードみたいな当たったら死ぬタイプのボスが複数うようよしてる感じ。はっはっは、ゲームやって2時間、未だに終わらないどころか、そろそろ死亡回数が二桁になりそうだぜ。

 従来の仁王のスタイルに近い、サムライスタイル。仁王の忍者プレイをさらに忍者らしく調整した、忍者スタイル。この二つのスタイルを瞬時の早着替えで同時に使いこなすというシステムは、かなり突き詰められそう。というか、某アサクリの暗殺者&侍プレイの発展形と言うか……まあ、忍者スタイルはアサクリほど暗殺者はできないので、一概にこっちが上とは言えないけどね。

 以下、ストーリーと主人公の考察なので、ネタバレ防止でちょっと間を空けておきます。

more

日々雑談~5908~

 ううむ、GQuuuuuuX(ジークアクス)面白えなあ。今更言うのもどうなの?ってぐらい、当たり前の話ではありますが。

 キシリア配下となったニャアンで新型機体! 陰謀! 毒ケーキ!とまっとうな主人公の物語をやった後に、どうもあの人、MSで大気圏突入したらしいですよ?という破天荒で話を持っていってしまうマチュ。ニャアンも視聴者も「マチュは本物だから」というしかないこの状況は、優等生的主人公の山田が主人公力の化け物である岩鬼のあれこれを聞いて「やはり岩鬼は天才だ」と言ってしまう構図。いわば、ドカベンメソッドですよ。このドカベンメソッドによるダブル主人公制は、2つの視点の両立や、それぞれがピンを張れるくらいのキャラクター性の成立と、軌道に乗せる難易度は高いのですが、一度決まってしまったら話から目が離せなくなるわ、濃密なドラマがものすごい勢いで進んでいくわで、もう勝ち確定。あと、岩鬼やマチュが無茶するせいで、山田やニャアンは怖さや危うさをカモフラージュできるってのもあるね。山田は後輩相手に結構ドライだし、ニャアンは窮地の際に人を盾にする性質という危うさがねえ。二人とも、ピンでやってたら、たぶん優等生カテゴリーじゃないと思うんですわ。

 ジークアクスはドカベンであるというのは無茶苦茶に思えるけど、ネットを見渡せば、このレベルの胡乱話はちらほらと。ククルス・ドアンは関係ないだろお!?
 実際、こうやって様々な角度から見て、人により違った部分を見いだせるのが、ジークアクスのええところだと思います。語りがいがあるんだもの。そりゃあ、SNSも盛り上がるさ。

日々雑談~5907~

 2週間で読めるのか!? と思ったけど、意外といけそうで怖い。1日で15冊ずつ読めば……は無茶なものの、幸い手元に1~53巻までは置いてあったので、そこをショートカットすれば、だいぶペースが落とせるわけですよ。それでも1日10冊ぐらい読まないと間に合わないけどな! ただ、実際やってみると、ほぼ一話完結かつ、テーマは難しくともするする読ませる構成と、ゴルゴ自体が非常に読みやすいこともあり、意外といけるというのはそこまで大ボラではないのですよ。そして、この読みやすさは、気になるエピソードを読むつまみ食いにも向いていたり。伊達に刹那の面白さが求められる、ラーメン屋の本棚や床屋の待合室のテッパンじゃあねえよ。

 それにしたって1968年開始で現代を舞台にした作品だけあって、もはや当時の世界情勢を記した歴史的資料というか。アメリカは覇権国家として傲慢に振る舞い、ソ連は謎のベールに包まれた巨大国家として底しれぬ存在感を放ち、ヨーロッパでは各国で諜報機関やナチス残党が暗躍し、中国は共産大国としてとしての道を歩み、日本人は戦後復興からバブルでエコノミックアニマルと化す。それがもう、アメリカは細かなヒビが目立つようになり、ソ連はがらがらと崩れ落ちての遺産の安売りセール、ヨーロッパはEUでナチス残党も高齢化、中国は民主化により様変わりし、日本はバブルが弾けて慎ましく細々と……ですよ。こういう世相を反映したリアリティによる寂寥感は、長期連載作品ならではの特権ですね。たとえ天才作家でも、その場にいない状況でその場にいた名作と同程度のリアリティを出すのは、相当に骨が折れる作業でしょうしねえ。しかもゴルゴの場合、今も続いているので、未来においてはこの今も過去となり歴史的資料の一部になるわけですよ。カーッ! たまんねえなあ!

 ゴルゴと言えば、さいとう・プロダクションによる分業体制。制作体制を考慮した上でざーっと読むと、分業体制で生じる毛色の違いがなんとなくわかるのが面白い。そしておそらく、思想やイデオロギーに関しては、よっぽど偏らない限り、たぶん各担当者の裁量に許されてるんじゃないかなと。様々な思想やイデオロギーを混ぜて出力した結果、結果的に全部足して平均化してのノンポリ寄りなゴルゴにしてゴルゴ13になるというか。何をやってもゴルゴにできる、さいとう・プロダクションのノウハウあってこそのノンポリですけどね。

 いやもう、まず楽しいし、そして深く考えると制作面でも興味深いポイントが多々あると、やっぱゴルゴ13ってのはすげえ作品だわ。

 

モンスターハンターワイルズについて本気出して考えてみた

※この記事は、ネタバレ無しです。

 

 

 最近、モンスターハンターワイルズをプレイしているが、率直に言って楽しい。好きな武器を担いで、広大で自然豊かな禁足地を当て所もなく歩く。素材や環境生物を採取しつつ、近くにいるモンスターをチェックして、素材がほしい、もしくはちょっと戦ってみるかーという気分になったら狩りに挑み、逆にコイツは面倒だなあと思ったら迂回して出会わないようにする。回復薬や食料は各地の簡易キャンプで補充できるし、なんなら現地調達でもいい。禁足地の自然は、常に余るほどの素材を提供してくれる。この放浪生活には、常に相棒のアイルーと乗り物となるセクレト、そして編纂者のアルマさんが付き添ってくれている。適当さに付き合っていただき、なんだか申し訳ないという気持ちはあるものの、可愛い動物、そして眼鏡っ娘との放浪は非常に楽しい。さらにアルマさんは、ハンターの好き勝手な狩りを、その場で正式なクエストとして認定してくれる。狩りがクエストとなった結果、狩猟後にはクエスト報酬が用意され、その報酬は歴代屈指の豪華さである。なにせ、基本報酬に逆鱗や宝玉のようなレア素材が入ってくる。確率でもらえるのではなく、確実に貰える枠だ。今までのモンハンでは装備が欲しくて数十頭狩ったのに、レア素材が手に入らず、武器や防具が作れない――と言ったパターンが多かったが、今回はそのパターンに陥ることがかなり減っている。今作より導入された傷口のシステムも素材の入手に直結したシステムであり、ワイルズの素材収集は恐ろしくハードルが下がっている。適当にふらついて帰ってきたら、なんとなく素材や装飾品が集まっている。あまりに理想的な放浪生活だ。

 しかし、ワイルズの評価は現状賛否両論となっている。体感的には、否の方が多いかもしれない。そして、楽しんでいる立場ではあるものの、否の理由もなんとなくわかる。ワイルズは放浪に力を入れているものの、その一方で従来のクエストは簡素になっている。クエストの豪華報酬も探索中にクエスト化されたものに適用される報酬であって、アルマさんに直接「このモンスターと戦いたい」とお願いした場合、クエスト報酬は渋い。ただこれは、探索中にランダムに出てくるモンスターを探す手間との引き換えなので、一長一短とも言える。それと、武器と防具につけられる装飾品が、武器専用と防具専用に分かれた結果、スキル構築の自由度はだいぶ減ってしまった。おそらく現状、強いテンプレ的な装備は数種類と数少ないだろう。武器アクションの改変と合わせ、ワイルズの戦闘要素はだいぶ簡素となっている。一言で言ってしまえば、狩りを突き詰めようとした場合の物足りなさはどうしてもある。前述の放浪の楽しさも、狩りにストイックを求めた場合、たいしていらない要素だ。

 ひとまず筆者は、ワイルズのストーリーは上位まで終わり、後の展開は後日のアップデート待ちとなった。このタイミングで、結局ワイルズはどういうゲームなのかの私見をモンスター、武器、防具そしてスキルの三項目で書いておきたい。結論から言えば、現状のワイルズは「色々やろうとすると楽しいが、こだわると底に早くたどり着いてしまう」ゲームだ。

 

 

 いろいろ書く前に、筆者のハンターとしてのキャリアもろもろを書いておきたい。

キャリア:PSPのモンスターハンター2ndGから。メインシリーズはほぼ追っているものの、フロンティアやスピンオフ作品には手を出していない。

使用武器:ほぼヘビィボウガン一筋のガンナー。たまにライト。近接武器は数えるほどしか使っていない。

プレイ環境:据え置き機ではソロ専、携帯機では仲間内でもプレイ。据え置き機兼携帯機かつオンラインのハードルが低かったSwitchのライズでは、オンラインで野良をやり、仲間内でもわいわいと、いいとこ取りを経験。

 プレイ経験の都合上、ガンナーやソロ目線の話がメインとなるので、ご了承いただきたい。ひとまず、こういうキャリアの人間が書いている文章として、サンプルの一つにして欲しい。

 

 

モンスター

 現状、ワイルズの大型モンスターの数は少ない。具体的な数はぼかすが、歴代シリーズと比べた場合、実質前作であり同路線のワールドと比べても少ない部類に入る。その一方で、今回は護竜という多少特殊な枠はあるものの亜種や希少種といった色違いも少なく、新モンスターは種族からして新種族やレア種族、復活参戦組もだいぶ挙動を見直されていると、狩猟体験自体の新鮮さは大きい。特に従来のシリーズでは序盤最初の壁となるクック先生ことイャンクックは、今回上位の壁として抜擢されたこともあってか、恐ろしく強くなっている。シリーズ経験者に伝えるなら、去勢されたイャンガルルガぐらいの強さだ。まだガルルガに比べれば落ち着いているが、ノーモーションダッシュや、とんでもない誘導性能の嘴アタックは、中身のガルルガが漏れ出ている。同じ復活参戦組のババコンガやゲリョスやグラビモスにも「え?」となるモーションが追加されており、見慣れた彼らとの戦いにも驚きはある。

 新モンスターの話だが、まず全体的に理不尽なモンスターはいない。モンスターハンターは、基本的にモンスターの動きの隙に一撃を加えるといったゲームだが、理不尽なモンスターは隙がない。実際この手の理不尽なモンスターは新作のたびに出てくるが、ワイルズは理不尽モンスターが極端に少ない。ワイルズはハンター側のガードや回避の上がったことで無理矢理モンスターの動きに割り込んでの一撃を差し込みやすくなったのだが、その点を差し引いても、攻めと隙の緩急がわかりやすいモンスターが多い。これは序盤のモンスターばかりでなく、各フィールドに存在する頂点捕食者やパッケージで看板モンスターを務めるアルシュベルドのような強力なモンスター同様だ。ただし、相手の動きを読むにはある程度の慣れが必要で、なおかつ頂点捕食者やアルシュベルドは一度のミスからキャンプ送りまで持ち込んでくる火力があるので、弱いというわけではない。理不尽ではないが十分強い。

 個人的に苦手なモンスターは、タコこと頭足種のモンスターたちだ。いかんせん慣れたガンナーには「相手の頭の向きで攻撃の方向性を把握する」といったマニュアルが染み付いているため、頭の向きは分かりにくいわ、そっぽを向いたまま高リーチの触手を伸ばしてくるわのタコ軍団にはボコボコにされてしまった。動く迎撃システムのようなヌ・エグドラも、相手の死角を突くことに特化したシーウーも、一撃を喰らいたくないガンナーにとっては鬼門である。そんなタコとの戦いに苦手意識を持っていたが、ワイルズならではのガードや相殺やセクレトを駆使することで五分に持っていくことが出来、五分のまま慣れたことで、相手の緩急を読めるようになってきた。ヌ・エグドラは攻撃する触手が直前に光り、シーウーは触手の起こりの読みやすさとモーションの長さといった弱点があった。自分の中のマニュアルを壊された時は困ったものの、一度壊されてから再構築する過程にはゲームならではの楽しさがあった。おかげでガンナーとしてまだやっていけるという自信もついた。

 なお、タコは触手が斬れる&至近距離だと触手をスカしやすいので、普通に近接武器で挑んだほうが楽である。筆者も今では太刀で触手をズバズバと斬っている。
 ガンナーとは――みたいな話が全部台無しじゃないかという話だが、次の項目で言い訳させてもらいたい

 

 

武器&アクション

 今作の武器は大剣、太刀、片手剣、双剣、ランス、ガンランス、ハンマー、狩猟笛、スラッシュアックス、チャージアックス、操虫棍、ライトボウガン、ヘビィボウガン、弓と、要するにいつものメンツである。XXの狩技や、ライズの鉄蟲糸技のような任意で選ぶ追加アクションはない。動きのベースとしては、前作ポジションであるワールドに近い。よく、巷でハンマーが弱いと言われているが、実のところハンマーも強くなっている。ただ、他の武器がそれ以上に強くなっているだけだ。今作は一分操作の簡略化と、気軽に火力が出せるムーブにより、全体的に武器が強い。ハンマーもこの流れには乗っているが、他の武器のお手軽さや火力に追いついていないだけだ。参戦モンスターの大半の頭の位置は低めなので、頭を叩いてスタンを取るといった基本動作はしやすいし、引っ掻くような一撃はモンスターを傷つけやすい。ただ、もう一度言うがお手軽ではない。総合的に他の武器に劣っていても、歴戦のハンマー使いの動きは水を得た魚で、新規追加されたハンマーをぐるぐる回し続けるモーションは、ショート系動画や海外でよくバズっている。楽しんでいる以上、強い弱いを持ち出すのは野暮だろう。

 ただし、この動きの簡略化とお手軽ムーブは批判も浴びている。軽くなった結果、各武器の難しさやクセもなくなり、やりがいが無くなってしまった。現状、武器の数自体も少ないことも有り、使用武器や立ち回りがテンプレの一途を辿っている。今回、むしろやれるアクションが増えたヘビィ使いのガンナーとしては当事者感はないものの、他のプレイヤーの立ち回りや装備ラインナップを見れば、わからなくもない。
 その一方で、この簡略化とお手軽化のいいところもわからなくはない。前述の通り、筆者はほぼガンナー一筋である。ヘビィが好きというのもあるのだが、その一方で年々増えていく各武器のアクションについていけなくなっていたというのもある。実際、P2Gの頃は太刀を使っていたものの、居合い切りのようなカウンターが出てきた辺りで止めてしまった。その後、主に尻尾を切るために操虫棍やスラッシュアックスを使っていた時期もあったが、狩技や鉄蟲糸技はほとんど使わず、使用頻度も減ってきていた。徹甲榴弾や斬裂弾の強化で、部位破壊のためにボウガン以外の武器を使う必要がなくなったのも大きいが。

 そんな時代についていけなくなったハンターが、ワイルズタコ軍団へのあまりの苦戦から久方ぶりに太刀を握ってみた結果……ソロでアルシュベルドとも渡り合えるくらいには上達した。ワイルズのアクションはクセがなくなったぶんとっつきやすく、チュートリアルも常に画面上に出せるため、狩りの最中、操作に悩むことがぐんと減った。最初はただ切るだけの簡単な動きに終始していたが、使っている内に練気ゲージや居合い切りといった太刀独特のアクションにも慣れていった。まさに、習うより慣れよだ。今は太刀にも慣れてきたので、P2G以来の双剣や大剣への挑戦も狙っている。我ながら信じられない、やる気のベクトルの変化だ。そしてガンナーとしてはベテランでも、剣士としてはルーキーである以上、初心者の心境に近いだろう。初心者にとって、ワイルズのアクションは優しい。

 更にワイルズにはその場で武器を交換するサブ武器のシステムがあるので、慣れない太刀で苦戦したら慣れたボウガンに切り替えるといった無理をしないやり方で練習ができた。失敗を重ねることで上手くなるのは真理でも、できれば失敗はしたくないというのも本音である。サブ武器は、このワガママを上手く補完してくれるシステムだ。

 ここで、サブ武器についても少し語っておく。セクレトに武器を積むことで、狩猟しながらの武器変更を実現したシステムだが、従来の受注してのクエスト方式だとあまりいらないシステムである。というのも、受注してのクエストはそもそも狩猟対象もハッキリしており、その対象と相性がいい、もしくは属性的に優位が取れる武器を持ちこむことができる。つまり、最適がある以上、他の武器をわざわざ持ち込む必要がない。弱点もバラバラな複数の対象を狩るクエストなら生きるが、汎用性に長けた状態異常系の武器を持ち込めば事足りてしまう。新モンスターであるラバラ・バリナの麻痺武器は汎用性と性能面で大人気であり、まさしく一本で事足りる武器だ。
 だがこのサブ武器のシステムは、適当にふらついてモンスターと戦う遊び方だと急に生きてくる。たとえば、ヘビィメインの筆者は、通常弾特化と貫通弾特化のヘビィの二丁と共に旅をしている。ヘビィは現状、属性ボウガンを持ち込んでのタイムアタックが流行っているが、属性ボウガンは相手を選ぶ。その点、火力的には劣るものの、無属性の弾を使うボウガンであれば、どんな相手とも戦える。しかも今回、通常弾と貫通弾はコスト無し、弾切れ無しで使える。属性弾は威力があるぶん、かかるコストには無限の差がある。なにせ比較相手は、コスト0だ。
 使い分けとしては、通常で小型から中型、貫通で大型を狩る形だ。水冷弾特化なら1分少々でグラビモスを倒せるが、貫通弾特化でも5分以内には倒せる。5倍の時間がかかっているとも言えるが、貫通特化はノーコストで全モンスターを5分前後で制圧できる。どんな相手と戦うかわからない探索において、属性ボウガンはほぼ役に立たない。探索好きの筆者は、二つのボウガンを持ち歩けることに小躍りした。
 なお、従来のクエスト方式に乗った形で使い方を模索した場合、部位破壊するための使い分け、狩猟笛やボウガンの鬼神弾によりバフをかけるといった、やり方は簡単でなおかつ効果もある。汎用性に長けた状態異常系の武器の弱点として、状態異常にかかるたびにモンスターの耐性値が上がるというのもあるので、途中で武器を変えての仕切り直しは十分にアリだろう。システムとしてある以上、物は使い用とも言える。

 

 

防具&スキル

 まず先に言っておきたいのは、今回の防具デザインは男性向けと女性向けに分けつつ、性別にかかわらず任意で選べるようになった。これは大進歩である。というのも、モンハンの防具は今まで男性用と女性用に強制的に分けられてしまっていた。だいたい路線としては、男はガチガチの格好良い鎧で、女は露出多めのかわいらしいデザインとなっている。あくまでだいたいである。デザイン自体は双方良好だったが、それはそれとして、男でも線が出るボディスーツを使いたい時もあったし、女でもメタルヒーローじみた鎧を着込みたい時があった。そしてついにワイルズは、なんでも着れるのである。女性用の露出の多い鎧を使うことで、鍛え抜かれた腹筋をアピールできるようになった男性ハンター。男性用だったフルフェイスの仮面を被った、仮面の女騎士。こんな未知のアレンジも可能になった上、今回は見た目だけ変える重ね着装備のハードルも低い。こちらの固定観念を変えてくる、新時代のオシャレである。

 防具の話に移る。今作の防具は、それぞれのパーツにスキルがついていて、レア度の高い装備は一式揃えることで強力なスキルが発生する。従来のシステムであり、ワールドのシステムだ。大きく変更があったのは、防具に付けることでスキルを発揮する装飾品。この装飾品が武器用と防具用に分けられたことだ。今までは武器防具の空いているスロットに好きな装飾品を入れることができたが、ワイルズでは匠やファーストショット(装填速度アップ)といった武器性能に直接関わる装飾品を入れられるのは武器のみ、耐性アップや会心率アップのような防御や汎用的な攻撃性能に関わる装飾品は防具のみとなった。
 結果的に全部のストットで武器性能をガンガン盛って攻撃力アップのような極端なスキル構築はできなくなり、スキル構築の自由度は減ってしまった。特に武器性能は使えるスロット数が武器分だけと言うのもあり、拡張性が激減。この影響か、切れ味最悪攻撃力最高の大剣や使える弾は多彩だが照準ブレブレみたいなクセ武器はマイルド化もしくは姿を消してしまった。使いようのない武器は減ったが、個性も減ったというところだろう。これもあまり、ワイルズの評価されていない部分でもある。

 ここで武器の項目で語った、とっつきのよさやサブ武器を持ち込むと、ワイルズの防具とスキルの方針は噛み合ってくる。実のところ、従来のシステムでは貫通弾特化と通常弾特化の武器をその場で使い分けるのは無理だった。というのも、武器の癖や強みは武器と防具のスロットすべてを使って直し伸ばすものであり、武器だけ持ち替えればいいとはいかなかった。近接武器でも、スタミナ重視のハンマーと抜刀重視の大剣と切れ味重視の太刀と、それぞれで装備構成はまったく違う。近接武器と遠距離武器の兼用に関しては、夢物語である。ライズやワールドでの、キャンプで装備を変えて着替えるといったやり方がまず現実的だっただろう。武器に専門性を持たせ、防具に汎用性を持たせる形に変えたのは、サブ武器を使えるようにするためである。サブ武器がいらないという立場だと、本当にいらない仕様というか、余計なことだが。
 だが、とっつきのよさ、間口の広さで考えると話が変わってくる。先ほどまでの話とかぶるが、今までのモンハンはスキル構築が自由な分、専門装備の特化性も上がり、装備の流用が難しくなっていた。出来ないことはないが、突き詰めればキリがないと言ったところだ。しかしワイルズの仕様は、流用性が高く、限界値が低い。新しい武器への挑戦において、ハードルの低さと気安さは長所となる。現在、太刀にも手を出している筆者だが、おそらく太刀用の装備を突き詰める必要があったら「今回もいいか」で諦めていただろう。あっさり越えた人間はハードルを低く見積もりがちだが、なんとか越えた、越えられない人間にとってのハードルの高さはチョモランマと並ぶ。

 

 

「色々やろうとすると楽しいが、こだわると底に早くたどり着いてしまう」

 現状のワイルズを評価するなら、この一言である。一応筆者の立場は好意的側だが、もしボウガンのみにこだわっていたら、飽きたの三文字で評価していたかもしれない。色々へ方向性を変えた結果、ふらふらしつつのああでもないこうでもないを楽しめている。一方で、モンスターや装備はもっと多くてもいいとも思っている。この辺りの事情は今後のアップデートで変わるだろう。今回は触れなかったが、ワイルズはストーリーと攻略の進捗の導線がしっかりしている。その一方で、メーカーの想定する進捗と、実際のプレイヤーの進捗のスピードにはだいぶ差がある。おそらく、無料アップデートの出し惜しみは致命傷になり得るだろう。逆に、出し惜しみをしなければ、色々とこだわりの両立に成功できるポテンシャルはある。

 伝統と革新、一途と移り気、初心者とベテラン、間口の位置と形、モンハンワイルズは、そんないろいろなことを考えてしまう作品だ。そして、いいところも見て欲しい作品だ。