アメコミ放談~アベンジャーズ/エンドゲームにそなえよう~

サイレン(以下S)「アベンジャーズ/エンドゲームがいよいよ公開! マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が一つの区切りを迎える今、エンドゲームを観る前に、見ておくべきMCUの映画とは? さあ、当サイトとしての答えは!」

ふじい(以下F)「配信サイトのラインナップやTSUTAYAの棚を見て、ピンと来たの観りゃいいんじゃね?」

~おわり~

 

 

 

 

S「いやいや、もうちょっと続けよう。やる気出そう」

F「やる気がないわけじゃないんだ。ただ、映画を観る時に一番大事なのって、その人が持つ直感というか、インスピレーションじゃないか?」

S「そりゃあねえ」

F「たとえば、こういう作品が観たいから教えてほしいと言われれば答えるし、実際、アベンジャーズを観る前にMCUのどの映画を見るべきか? みたいな原稿も書いたことあるよ? でもこれは、その人の要望や仕事という指針があったからなわけで。エンドゲームを観る前に~~ぐらいの漠然さで、自分の思うがままに答えるんだったら、好きなの見ればいいんじゃない? ってのが俺の答えだな。つーか、自分がいいなって思ったものを、他人の薦めで切り替えるのって引っかからねえ?」

S「薦められるぐらいならいいけど……手に取ったものを棚に戻されて代わりに別のものを押し付けられたら、おそらく観るのを止めるな」

F「本人はよかれと思っても、気づかぬうちに他人の大事なトコに踏み入るってのはよくある話だからね。まずはそれぞれが持つ好みや嗜好を尊重したいわな。手助けはできるかぎりする! 聞かれれば答える! だが、大事なのはまず自分の好みよ! 俺はその人達のそれぞれを支える、縁の下の力持ちで、足場でいたい……!」

S「つまりは、人間椅子になりたいと」

F「ちょっと待て。それだとSMじみてくるというか、テーマがマーベルから江戸川乱歩に切り替わるからストップ」

 

 

F「適当とは間逆なしっかりとした答えがもう一つあるからそっちにするか?」

S「あ。待った。なんとなくわかるけど、言ってみ?」

F「MCUの映画、全部観りゃいいんじゃね?」

S「そりゃあね! 全部観とけば、それで済むよね!」

F「はっはっは、好きで全部観るってのもあり得る話だから、上の話と矛盾してもいないぞ。ただまあ、エンドゲームの前に何を観ればいい?って聞かれて、机にMCUのソフト全部ドン!と置かれてもねえ」

S「めんどくさいわ」

F「そう。それなんだよ。最初の(第一作の)アベンジャーズだったら、アイアンマンにハルクにアイアンマン2にソーにキャプテン・アメリカと、5本だけだからまだこれでいいんだよ。ゴメン、5本でも結構多いわ。軽く見積もっても10時間前後になるわ」

S「そうだよな、映画5本も結構ヘビーだよな。最近、感覚おかしくなってるけど」

F「現時点だと、エンドゲームも含めて22本だな」

S「4倍ちょっとかよ……」

F「というかね、5本でもそうだけど、22本ってもはや数だけでめんどくさい。もはや、映画の出来不出来は関係なしに、数でプレッシャーがかかってくる」

S「続けば続くほど、作品数も世界感も広大になっていく。仮面ライダーとかガンダムとか、長く続いているシリーズ物の課題だなあ」

F「だから俺は、逆算方式もアリだと思うんだよね。MCUで言うなら、アベンジャーズ系列の総集合系作品を見て、そこで興味の出たヒーローの作品を改めて手にとってみる。いわゆる、スパロボ方式。もともと、アメコミもコミックスを読む時は、こっちが主だとは思うけどな。数十年前に出た第一話から読むより、連載中の最新話や目立つエピソードから読み始める方が多いだろ」

S「なるほど。たしかにスパロボで作品を知って、それからその作品を観る……というのは普通だからな」

F「SFC時代のスパロボだと、スパロボに参戦して興味が出たけど、その作品を観る手段が無いっ!ってパターンも結構あったよな」

S「あったねえ。それに比べれば、ソフト化や配信といった観る手段に恵まれてる今のスパロボやMCUは恵まれてるわ」

F「それに、MCUの映画で、前の作品を観ていないとワケわからんしさっぱりだ……って作品あるかね?」

S「うーん。そこまで不親切なのはないかな」

F「実際、MCUはそこんとこしっかり気を使っているよな。前の作品が参考になっても、課題にはならないように。そのキャラクターのパーソナリティーは各作品で必要なぶん、ちゃんと出てるよな」

S「マイティ・ソーなんか、1と2とバトルロイヤルで性格違うもんなー」

F「路線変更の影響とは言え、バトルロイヤルのソー、めっちゃ明るくなってるよな。1、2、バトルロイヤルと続けて観たら、むしろ混乱するかもしれん」

 

 

F「MCUシリーズを正しく観るのであれば、そりゃ1作目のアイアンマンからエンドゲームまで順繰りに観ることよ。でもそれは、非常にめんどくさい。映画も20作を超えれば、在るだけで威圧感をもつ。だったら、少しでも身軽になってもらうために、スパロボ方式の逆算ももうちょっとアリなんじゃないかなと。MCUの映画には、人を引きつける魅力もある! 魅力に引き付けられれば、人はものすごい行動力を持つ! だったら、とりあえず目立つトコを観てもらって、後は各自お任せなスパロボ方式でやってみようぜ!ってのアリだろ」

S「アリだとは思うよ。実際俺だって、スパロボ方式で観たアニメ多いし」

F「ぶっちゃけ、アメコミ映画がヒットしているのも、アメコミ数十年の歴史から上手くエキスを抽出して、めんどくさくない作品にしているからだしねえ。俺はアメコミのめんどくささも好きだけど、映画にもめんどくささが生じ始めている以上、そこを軽減しようって試みは大事でしょ」

S「めんどくさいのが好きな人もいれば、逆に苦手な人もいる。まあ、ハードルや敷居にはなりやすいかな」

F「めんどくささの軽減と言っても、知識を簡易化したり雑にしたりするんじゃなくて、知識の並べ方とか言い方とかまとめ方を変えるような工夫の有無でだいぶ変わるだろ」

S「さっきも言ったけど、長く続いているシリーズ物はどうしてもめんどくさくなるしな……」

F「あんまりきっちりカタにハメて薦めようとすると、めんどくささが加速する可能性もあるしな。こちらも肩の力を抜いて、相手にもリラックスしてもらうような薦め方ももうちょっと多くていいんじゃないかな。どっちの薦め方が優れているとかじゃなくて、ニーズが違うので、両方あった方がいい。まあ、片方だけってのはバランスが悪いよな」

S「一つのやり方や考えに染まったら、何事も面白くないしな」

F「俺はアメコミの魅力も力も信じているけど、だからといって、過度に崇め奉るのは性に合わなくてな。漫画や小説と並べて、一つの創作として気楽に楽しみたい。今、アメコミって露出が増えて人気ってイメージがあるけど、日本でのアメコミ映画の興行収入トップは、DC映画だとダークナイト・ライジング(19億)で、マーベル映画だとサム・ライミのスパイダーマン(75億)だぜ? MCUの現状最高記録はインフィニティ・ウォー(37億)だし。アニメも入れていいなら、ぶっちぎりのトップなベイマックス(91億)があるけど」

S「意外だ。MCUがダントツだと思ってた」

F「状況や世相の違いがあるから、一概には比べられないけどよ。ただ、三部作→アメイジング→ホームカミングとスパイダーマンの映画の興収が下がっていることや、MCU映画とDC映画の差を見るに、世界はともかく日本でのアメコミはまだこれからよ。やることはまだまだあるってこったね」

S「実は一つの壁にぶつかっているのか。それとも、まだ伸びしろが眠っているのか」

F「壁を壊すにしろ、伸びしろを呼び覚ますにしろ、これから先、アメコミやMCUに必要なのは、特別でない普通のものになる……ってことじゃないかな。敷居もなく、肩ひじはって見る必要もなく、普通にそこにある作品こそ最高にして最強だぜ」

~了~

 

 

おまけ

S「ところで、例えばもうちょっとテーマをしっかりして、エンドゲームを観る前にオススメな映画を5本挙げた場合、どんな感じよ?」

F「その人のインスピレーションを優先したいが、挙げること自体は否定しないし、もともとこういうことを考えること自体は嫌いじゃないからな。じゃあまず、上で語ったスパロボ方式の逆算を重視した場合、だいたいこうなる」

アベンジャーズ
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
マイティ・ソー バトルロイヤル
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

S「まあ、スパロボに近いタイプ、オールスター登場路線の映画がメインになるよね」

F「マイティ・ソー バトルロイヤルとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーで悩んだけどね。ガーディアンズはインフィニティ・ウォーの前まで、MCUの別働隊みたいなもんだったから」

S「じゃあ純粋に、MCUで好きな作品を5本挙げるとしたら?」

F「ふむ……じゃあ、理由付きで考えてみるか。ところで、将来的にMCUに組み込まれる可能性が大きくなったデッドプールは」

S「入れていいわけないだろ。なに伺い立てんだよ」

F「勢いで誤魔化せるかな?と思って、何も言わず勢いでぶちこむよりはマシだろうがよ!」

アイアンマン
記念すべきMCUの第一作。コミックスの大胆なアレンジにエンタメ性と、この作品でしっかりMCUの方向性を定められたのは大きい。

キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
最後のシーン、蘇ったキャップが現代のニューヨークを見上げるシーンが大好き。焦燥と困惑が入り混じったクリス・エヴァンスの表情が最高すぎて胸を打つ。

アベンジャーズ
ついにMCUの追い求めていた理想が現実になった瞬間。ヒーロー勢揃いでチタウリの大軍と対峙するシーンは、応援上映で「よっ! 待ってました!」と叫びたい。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
第一作のアベンジャーズを経て、今後を模索していたMCUにぶちこまれたカンフル剤。その名は、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。ここで1でなくリミックスなのは、ヨンドゥが好きだからです。荒くれの裏にあった、後悔や無垢さや愛。最後も含め、美しすぎる。

アントマン
目立たないけど、MCUのバランサーとなった作品なんじゃないかと。正直、アントマンがいなかったら、MCU全体のイメージもシビル・ウォーもだいぶ暗くなっていたのでは。シビル・ウォーで巨大化した瞬間、スゲー!という感嘆と、自分の映画に取っておかなくてよかったの!?という心配で頭の中が大変だった。

デッドプール
ご存知マーベルの核弾頭にして映画X-MENシリーズの救世主。野球で言うなら、とりあえず取っておいたドラフト10位があれよあれよという間に1軍の4番バッターとなっていたようなサクセスストーリーを
S「やらせねえよ!?」

F「チッ……!」