ヘイヘさんとギャレンくん

 とある日のモンハン内ハンターズギルドにて
「今までは自分より経験のある方について回っていたのだが、今回は自分が先輩の上、相手が初心者だ。ガンナーであるが、私が前に出て戦わねばならないだろうな」

ヘイヘさん 
性別:女
得意武器:ヘビィボウガン
伝説のスナイパーであるシモ・ヘイヘから名前を頂戴しただけあって、純粋なまでのガンナー。弓やライトボウガンを一切使わず、ヘビィボウガンのみで狩りに向かう姿はもはや病気。ついにはヘビィボウガンのみで迅竜ナルガクルガまで討ち果たした。無差別砲撃こと拡散弾を嫌う。クックやヒプノックの狩りを得意としており、ケワタガモハンターと名乗る。

「さて、そろそろ来るはずなんだが……」
「おまえら、待たせたなあッ!」
「兄貴ー! って何をさせる何を」
「はっはっは、ほんのジョークですよ?」

ギャレンくん
性別:男
得意武器:???
伝説の駄目ライダーことギャレンから名前を頂戴すると言う、命名の時点で不安を感じさせるハンター。そもそもその名前ならガンナーじゃないのか。ハンターに成り立ての初心者、まだ数回一人で狩りに出たのみ。まだスタイルは定まらず。

「ん? ガンランスとはこれまた。防御力無視の砲撃や一撃必殺竜撃砲に硬い防御と見るべき点も多いが、反面機動力の無さや癖のある回避と弱点も多い。正直、初心者向けとは思えないが」
「いや、カッコいいからな。カッコよさ優先」
「……で、カッコよく何か大型モンスターを倒したのか?」
「雪山のドスファンゴとドスギアノスに勝てなくてな。できればコイツらより弱いヤツを狩りに行きたい」
「そいつらより弱いヤツなんか居ないぞ。二匹とも、初心者用のモンスターだ」
「マジで!? 俺やってけねえよ!」
(どうやら、厳しい狩りになりそうだな……)

「とりあえずドスファンゴとドスギアノスを倒しに行こう。私が手伝うから、敵の動きを覚えるんだ」
「了解」

 大猪ドスファンゴ。猪突猛進しかできぬ獣ではあるが、油断はできない。蹴散らされ続ければ熟練のハンターでも危うい。猛進を脅威にさせる力と体躯を持ち合わせているのだ。
 ドスファンゴの突進がヘイヘを襲う。ヘイヘはギリギリのところまで引き付け、横に跳んだ。むき出しとなったドスファンゴの尻に連射が撃ち込まれる。しかし、猪の突進はそれぐらいでは潰えず、再びヘイヘに向け突撃を仕掛ける。
 ヘイヘは今度は退かず、ドスファンゴの顔面狙い銃弾を放つ。流石にひるむドスファンゴを目の前に、ヘイヘは銃弾を通常弾から火炎弾に差し替えた。

 小竜ドスギアノス。雪山に生息する小型肉食竜ギアノスのボス。素早い動きを身上としており、性格は獰猛。弱小なボスなれど油断は禁物だ。
 銃弾を避けたドスギアノスの爪が、無防備なヘイヘを襲う。ヘイヘに少しの傷が付いたが、ヘイヘはすぐに体勢を立て直した。火を噴いたヘビィボウガンによりドスギアノスの体が蜂の巣にされる。だがドスギアノスの乾坤である吐雪がヘイヘに直撃した。
「しまった!」
 ヘイヘの体が雪に包まれ、動きが大幅に制限される。解氷剤をヘイヘが取り出した時には、既にドスギアノスは獲物めがけ跳んでいた。

「少しカスり傷を負ったけど、まあこんなもんかな」
「すげーぜ姉貴! コイツめ、姉貴に逆らうからだ!」
ゲシゲシ!(死体に蹴り)
「……」
通常弾発射。慄くギャレン
「痛! なにすんですか姉貴!?」
「人が戦っている最中に雪山草を採取しているな、このばかー! ここはガンランスがオトリになって、私がサポートする展開だろうがー! 前線に立つにも限度があるぞ」
「いやだって、ガンランスじゃドスギアノス捕らえられないし。動きの早い敵には相性が悪くて」
「そこまで知っているなら武器を持ち替えて来い」
「俺はガンランスを極めるんだ!」
「……」
ヘイヘ、無言で火炎弾をセット。

「集会所と村クエの違いについて教えておこう。集会所はみんなでできるクエストが受領できて、村では一人でしか出来ないクエストが受領できる。集会所は多人数を前提としているのでえしてモンスターのHPが高い。よって一人で受けるならば、村の方が向いている。村で練習して、みんなで集まった時に集会所へと言うのが、やりやすいパターンだな」
「うん。ところで姉貴に燃やされてからアフロなんだけど、戻していい?」
「アフロがイヤなら、氷結弾で氷付けか電撃弾で骨を」
「このままでイイッス! つまり村で鍛えるのが初心者の基本なんですね!」
「その通り。鍛えるのと並行して素材を集めるのも重要だな。素材を集めないと武器も防具も作れない。ある程度なら初期装備のマフモフセットと骨製武器で乗り切れるが、いつかは自分で装備を作るようなんだ。ある意味、戦士でガンランス使いと割り切っているお前は楽だな。重点的にランス向け防具とガンランスを作ればいい」
「あれ? ガンランスオンリーを認めるのか? さんざん他の武器にしろって言っていたのに」
「ああ。よくよく思い出してみれば、私も最初ヘビィボウガンだけを使っていた時にヘビィボウガンは初心者向きじゃないと他のハンターによく言われたからな。でも、結局それを貫いてここまで来てしまった。だから、いいんじゃないか? ガンランスのみでも。ただし、バックステップやサイドステップは覚えておけ。基本を知らなければ、極めるなんてただの妄言だからな」
「ああ。覚えておく。とりあえず今度までに村で一人で鍛えておくよ。で、最後に聞いておきたいことが」
「なんだ?」
「姉貴、やっぱキリン装備なんですね」
「言われると思ってたよ! ああそうだよ、キリン装備だよ。モンハンのエロ同人誌のサークルカットの大半を占めるエロ装備だよ。腰装備外したらパンツ丸出しだよ。で?
「なんという自信。痴女でも少しは抑える物だが、コイツは……!」
「実際、キリン装備は優秀なんだ。属性攻撃に全属性防御に、すこし手を加えれば自動マーキングも手に入る。プレイスタイルにもよるが、オススメ装備の一つだ。自分に合った装備を探すのも、モンハンの楽しみの一つだな」
「理屈ぶってゴマかそうとしてねーか?」
「……いやあ、全然?」

「やれやれ、なんとかなったな。さて私も自分の狩りに勤しむか。ん? ギャレンから手紙が……」
『村のフルフル倒しました』
「なんだと? いくらHPが低いとは言え、フルフルは初心者の壁だぞ。ドスギアノスに勝てなかった男がこの短期間で?」
『アベさんって方にランスの使い方を習いました。おかげで勝てました』
「なるほど、突く事の専門家か。いや待て、あの人は受けのはずだがいいのか? 確かにやる夫という初心者を一人前のランス使いに育てた事で有名な人だけど。詳しくは『やる夫 モンスターハンター』でググってくれ」
『テクニックの替わりに、大切な物を失った気がします。お尻が痛いです』
「……アーッってな」

~気が向いたら続く~