二択
「今のところ、君が唯一の存在だ。君が話すことにより、我々は知ることが出来る」
「はい。終わったら帰していただけるのですね?」
「君は、繭の中で何を見たのかね。繭になり融け合う寸前で救助、帰らずの卵の中に最も近づいたのは君だ」
「救助? 救助?」
「すまない。邪魔だね、邪魔。我々は、君達の邪魔をしてしまった。君は一体、彼女と溶け合い、どんな物を見た?」
「特に、変なもんなんか見てないですよ。普通の街でした」
「街?」
「ええ。彼女が居る、普通の街です。ああでも、みんな生き生きしてましたね。ごめんなさい、間違えました。理想の街です。みんな僕を笑顔で笑顔で迎えてくれて、彼女と同じくらい可愛い子ばかりで、色彩も豊かで。ねえ、僕言いましたよ、見た物。いつ帰してもらえるんですか?」
「そのうちだよ、そのうち」
「ですからいつですか? いつですか? 置いて行かないでくださいよ、ちょっと?」
「奇跡的なタイミングで救い出した割には、大した情報ではありませんでしたね」
「そうか? 見た景色が理想の世界であること、これだけわかっただけでも収穫じゃないか。美少女は神の使い!派に流したら、連中涙を流して喜ぶぜ」
「そうですね、美少女は化物!派に流したら、幻覚で捕食中の男を誤魔化しているんだと、大騒ぎでしょうね」
「世間を騒がすだけな時点で、封印される情報か。確かに、大した情報じゃあ無いな」
「でしょう? あ。見てください、彼のいる部屋の監視カメラ」
「おいおい……いつ入ったんだ?」
「あの美少女に対し、いつだとどこだのは、無用でしょう。どうします?」
「どうするって。放っておく訳にはいかないだろう」
「言い方が悪かったですね。今すぐ部屋に駆け込んで、処理するか。ちょっと待って彼の望む所に帰らせてやるか。どうします?」
「一人潰すか、まぜこぜになった二人を割るか。お前の好きな聞き方は、こっちだろうに」
「バレてますか。で、三度目ですが……どうします?」