アメコミカタツキ マキシマム・カオス 予告

 この夜のNYの裏路地で、最も忙しなく動いているのは、男の口だった。
「ねえ君、子供の頃教わらなかったの? 刃物を人に向けちゃいけない、ましてや投げちゃいけないって。僕は、五歳の時には教わってたけど」
 空中で身を捩りながら、自らめがけ飛んで来る黒鍵を全て回避する。スパイダーセンスがあれば、銃弾よりも速く飛んで来る剣を回避することも、不可能ではない。
「ああもう、君が投げて僕が避ける。おかげでここらのビルが、ハリネズミだ。痛いのも嫌だし、管理人に怒られるのも嫌。だからさ、いい加減、諦めてくれない?」
 不可能ではないが、決して容易なことではない。神経がすり減っている様を隠し、スパイダーマンはビルの壁面に貼り付いたまま、敵を見据える。
 法衣の彼女は、今までの経験に無い敵。強敵だった。なにせ、冷静な上に力強い。いくら口でからかっても、全く精神を揺らがさぬ冷徹さを持っている。きっと既に、余裕綽々という演技も、見破られてしまっている。
 スパイダーマンにとって、この埋葬機関第七位、シエルは至極相性の悪い相手であった。

マキシマム カオス 表紙

 ニューヨークで起こった、連続ヴィラン襲撃事件。現場で目撃される、謎の男を追うスパイダーマンの前に現れた、埋葬機関の代行者、シエル。それぞれ別の目線で事件を追う二人。やがて視点が二人の視点が1点に集約したその時、何かが始まる――。

「ちょ、ちょっと待って下さいよ。このアングルなんか、三面どころか一面トップでも耐えうる出来ですよ?」
「ピーター。お前は街を歩いているのか? 歩いているのなら、耳を澄ませて、よく聞いてみろ。誰も、蜘蛛男の話しなんざしていない。いま話題なのは、あの男だ! あの男の写真ならば、買ってやる!」

「よく来た。早速仕事だ。このピーターと一緒に、あいつのことを調べに行け。えーと、えーと……」
「シエルです」
「そうだ! シエル! ピーターはともかく、お前には期待しているからな。頼むぞ!」

 獣の声が聞こえた。事件現場から獣毛らしき物が採取された。男は銀髪で、灰色のコートを羽織っていた。これらの情報から出てくるのは、一人の男の名前。喰らうという表現が、とても似合う吸血鬼。

「コナーズ博士、僕の言う通りと言うことは」
「ああ。この物質、生命体と呼ぶべき彼の一部は、君の予想通り、あの生物と酷似した習性と生体分子を持っていたよ」

「駄目だ! 彼はもう、コナーズじゃない!」
 言葉より先に、スパイダーマンのウェブがシエルめがけ発射される。ウェブにより、引っ張られるシエルの身体。彼女の居た場所を、禍々しく歪んだ爪が通過した。
「グルルルル……」
 コナーズ博士の声は、もはや人の声ではなかった。

 獅子、虎、豹、熊、大蛇、黒い獣達は、一斉にスパイダーマンめがけ襲いかかった。
「こんなことなら、もっとクレイヴンと仲良くしておくんだったよ」
 パンチが獅子の頚椎を砕き、天井から迫っていた猿を、文字通りキックで一蹴する。

 リザードは壁に張り付き、尻尾で捕まえたシエルをぶら下げ、顔を寄せた。リザードの見開かれた瞳と鋭い牙が、テラテラと光っている。
「馬鹿め、引っかかったな」
 今まで、叫び声しか出て来なかったリザードの口から、突如重低音の声が出て来た。
「喋れたんですね、貴方」

「なんてこった。僕の予想も当たっていて、彼女の考えも当たっていた。せめて、両方外れていれば良かったのに」

 コミックマーケット82新刊
 AMECOMI-KATATSUKI MAXIM∪M CHAOS
 (アメコミカタツキ:マキシマム・カオス)
 頒布価格300円
 
 サークル、ろいやるみるく☆Tろいやるみるく☆T(3日目東エ-32a)さんにて当日委託頒布。

「あ。シエルだ。あっせんぶる!」
「なんですか、その妙な挨拶!?」

アメコミカタツキEX 予告

有り得る未来であり、有り得ぬ未来。
人は、月を手に入れるため、殺しあう。
仮想でありながら、痛々しい現実。虚構でありながら、流れる血涙。儚く生命が散り、勝者は涙と血を吐き出す。
非現実であっても、生きる者の魂は現実であった。虚構の学園、月海原学園。今日もまた、聖杯戦争という名の、コロシアイが始まる――。
「てな真面目な感じなんですけどー。これはこれ、それはそれ。私としては、ご主人様が勝ち残ってくれれば無問題です! ついでに、喜びのおこぼれをいただければ、良妻狐としては幸せです」

 

自分のペース(+ご主人様のペース)で生きるキャスターに降りかかるはh、極大の不幸。

 

「ご主人様のお帰り~♪」
「デッドプールって知ってるかい? 昔、マーベルで暴れまわってたって言うぜ? 今も月海原は荒れ放題、ボヤボヤしてると後ろからバッサリだ。どっちも、どっちも。どっちも……どっちも! この厚さじゃあ、前説スペース貰えないって言うから、1P目からオレ参上! 待たせたな、フォックス! デッドプールさん、新たなご主人様として登場だぜ!」

 

不幸にめげず、キャスターはセラフに突如現れたバグのような男、デッドプールに立ち向かう。

 

「一つ積んではご主人様のためー、二つ積んではご主人様のためー」
「ソロバン板の上に正座、そして積まれる石。これがジャパニーズトラディショナル!? テレパスがいるX‐MENじゃゴウモンって味わえないよね!? やべえ、ちょっと気持ちいい! ご主人様は行ってしまったわ、円環の理に……石の追加ありがとうございまーす!」

 

一体、本物のご主人様は何処に消えたのか。何も分からぬまま、事態はどんどんと推移していく。

 

「彼は深刻な様子で、こう呟いていた。“キャスター選ぶと、イージーモードでもハードだよな”って。そう言いながら、彼はおもむろにニューゲームを」
「行き詰ってのやりなおしじゃないですかー! やだー!」

 

新たな赤いマスターと、やる気のない青いサーヴァント。二人は一体、何処に向かおうとしているのか。それは誰にも分からない。ただハッキリとしていることがあるとしたら、他のマスターやサーヴァントにとって、それはきっと全てがとばっちり――。

 

「そんなにオレちゃんの大ファンなら、もっと見て見て。ほらほら、こうやってピターっとくっついてあげるからあ! ほーら、デッドプールさんだぞぉ?」
「うわあああああん! もう、やだぁぁぁ! こいつぅ!」
「8歳児に、トラウマ植え付ける気ですか。アンタは」

 

「哀しみの連鎖は、早く終わらせないと! まずは教会、次に校舎に火をかける! アリーナ入り口に、たんまりトラップを仕掛けた上で! そうすれば、聖杯はオレちゃんの手に!」
「必殺の陣形じゃないですか、やだー! てえか、無理ですよ無理! セラフに止められて、ペナルティくらっちゃいますよ?」
「止められるのが早いか、オレ以外が全滅するのが早いか。チマチマと決勝まで戦うより、早いのは確実だ!」

 

「またまた。連れてるサーヴァントも、相変わらずのスレた顔した兄ちゃんじゃないですか。流石は遠坂凛、Fateのメインヒロインなだけのことはある。ウルヴィーやスパイディに負けないぐらい大忙しだね!」

 

「金が無いのに、弾を撃たなきゃ商売にならない。トリガーハッピーには、キツい時代だぜ」
「全くさ」

 

FateExtra×デッドプールの危険なコラボ。アメコミカタツキEX、4月30日開催、COMIC1☆6にて頒布決定。

アメコミカタツキEX

※予定価格300円

 

more

アメコミカタツキ2通販開始と既刊在庫情報

 コミックマーケット81新刊、アメコミカタツキ2の通販を開始しました。サークル情報のページを最新のものに更新しましたので、ご希望の方はリンク先に書かれているアドレス宛へ、一報お願いします。

 現在、全ての本、在庫がそれなりに揃っている状況なものの、TYPE-MOONSSの総集編であるMoonsaultPressとハルヒシリーズの安価本涼宮ハルヒVS異次元超人に関しては、在庫僅少が見えてきました。それとアメコミカタツキシリーズは数はあるものの、イベントでの頒布数が多い為、一気に在庫が無くなる可能性もあります。
 以上が在庫の情報となります。

 いかんせん手弁当なため、専門店に比べ、煩わしい点や分かりづらい点が多々あると思いますが、ご容赦下さいますよう願います。

冬コミ新刊 アメコミカタツキ2 紹介

 2011年冬コミ新刊、アメコミカタツキ2が完成しました。今回も、絵師はうみつきさんとなっております。ホント、俺のムチャぶりに今回も付き合っていただいた上、想定以上のものを書いていただき、足を向けて寝られない状況。なお、今回の表紙は、こちらの物となっております。

アメコミカタツキ2 表紙

 今回は、Fateをメインとし、Marvel全体とクロスオーバー。セイバーとアーチャー、ウルヴァリンとキャプテン・アメリカの四人がメインなものの、他にも出番や活躍のシーンがあるキャラは多数。今回目指したノリは、多数のキャラが入り混じって戦うスーパーロボット大戦のノリです。富士原昌幸先生のスパロボアンソロみたいな!
 コミケは三日目、西地区“め”ブロック-26aが自スペース。頒布価格は前回と同じ1000円となっております。それでは、本文抜粋&多少の編集を施した予告編をどうぞ。

 第二次世界大戦の中で行われた、第三次と呼ばれる争い。古き約定が錆びた鎖となり、熟成された憎悪は手に負えない悪意となる。
 二つの冬木市とニューヨーク。三つの都市を舞台に繰り広げられる、聖杯を巡る新たな争い――。

more

近代百鬼夜行弐 紹介

 彼は力強い背を見せつけることにより、彼女に強烈な敗北感を植えつけた。

 日本各地の主要都市に侵攻してきた、世界妖怪集合組織“連合”に所属する世界妖怪軍団。彼らは闇に潜む者であるという本分を忘れ、日本に地獄を出現させる。
 数多の野鳥を操り、東京という生命を啄むのは、インド最強の神鳥ガルーダ。王を名乗り、傲慢さに相応しい力を持つガルーダの力の前に、フランケンシュタイン博士が作りし最新の人造人間であるセブンも敗北してしまう。
 敗北したセブンが見たのは、西欧の夢。優しい双眸を持つ兄と並んだ記憶。最強と呼ばれる伝説の人造人間に与えられた、屈辱と憧れが入り交じった思い出だった。

 現代の日本と過去の西欧の話が入り交じり展開。日本編では前作近代百鬼夜行に出たもう一人の主人公でもある五木や、両面宿儺の春秋&冬夏姉妹が登場。西欧編では、何処かで見たような人造人間の長兄フォーグラや新キャラが多数登場。6年ぶりの正式な続編だけあって、力入れています。

 「近代百鬼夜行弐」(予定価格500円) 8月21日開催のコミティア97で頒布。