ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その43~
ディスクウォーズ:アベンジャーズ、43話。
吸血鬼の夜会、終演! その一方で現れた、未知なる脅威!
催眠+プラシーボ効果とはいえ、吸血鬼同然の子供たち。感染効果は無いものの、「本当は吸血鬼じゃない」と襲われた側にブレーキが掛かってしまうという、むしろ人質的扱いならばこっちの方が便利なんじゃないかという状態。本当に吸血鬼になっていたら、老若男女吸血鬼は見逃さねえなブレイドがズバー!っとやって、ディスクウォーズ完!でしたからね。対吸血鬼キリングマシーン相手に人質取るのは難しいぜ。
しかし、アキラを誘う声、ヒカル兄さんだけ重いというか、艶のある演技のせいで逆ベクトルに大惨事寸前でしたね! あれ絶対、捕まえたら甘咬みだよ……耳たぶ噛む所から始めるつもりだよ……。
進化したバイオコード、エボリューションバイオコードの可能性+ほぼ初見であるブレイドの人間性に賭けるという、もはや薄氷ですら無い作戦。だからこそ、叶った時のカタルシス。ブレイドの吸血鬼への冷酷さ、根底にあるのは「吸血鬼になった者は、おいそれと戻れない」というMarvel吸血鬼界隈のルール。殺したいから冷酷なのではなく、殺さなければならないから冷酷。僅かで健気でも、可能性があるなら無下にする人ではありませぬ。
アイアンマン&ブレイドVS吸血鬼! ブレイドVSアベンジャーズ! ブレイド&ノバVSバロン・ブラッド! 今回、戦いの規模と苛烈さに合わせるかが如く、ぬるぬると動いてますよね! 異種格闘技戦風味強めのカードを、作画の発想と上手さで、一層良く纏めていたというか! 特にバロン・ブラッド戦は、アニメ違うんじゃというくらいの陰影と密度。ノバがすげえ細マッチョだったし!
天才ハンク・ピムやトニー・スタークにとっては、あくまで異次元。しかし見る目を変えれば、魔術やオカルト方面から見れば、とてつもなく危険な空間ダークディメンション。この暗黒空間の先に在る物、邪悪の源となる者。何やら、今まで潜んでいた強大な影が、見え隠れしてきましたね。
ブレイドを動かしたのはアキラの情。しかし、レッド・スカルが使用していたディメンションスフィアを盗られてしまったのも、アキラの情のせい。感情自体に間違いはなくとも、利用されることで間違いに曲げられてしまう。悪いのは、間違いに曲げた側。ディメンションスフィアから現れたのは、疑惑の戦士ローニン! 元々原作でも、複数の人間が着てきた仮の装束。今回、中身は誰だ……?
今日の紹介は、吸血鬼ハンターブレイド! 嘗ての映画にアニメと、日本での露出も多かった彼。性格もアクションも、実にエッジ! スタイリッシュ!
ブレイド
世界的にも有名であり、MARVELユニバースにも存在する魔人ドラキュラ。強力なバンパイアであるニムロッドを倒し、最古のヴァンパイアのバルネより力を受け継いだドラキュラは、地球最強の吸血鬼として王の座に君臨する。人類の天敵の極みと対峙したのは、強き人類。ヴァン・ヘルシングを始めとした、バンパイアハンターと呼ばれる一団だった。
自らを倒したヴァン・ヘルシングの死後、現代に復活したドラキュラの前に立ちふさがったのは、クインシー・ハーカーやレイチェル・ヴァン・ヘルシングと、嘗て自らを倒した者の子孫たち。そんな因縁深い者と共に居たのが、新顔の黒人バンパイアハンター、ブレイド。
出産時に母親がヴァンパイアに噛まれた結果、ハーフヴァンパイアとして生誕してしまったエリック・ブルックスを取り上げたのは、バンパイアハンターであるジャマル・アファリ。バンパイアハンターとして育てられたエリックだが、ジャマルがドラキュラに噛まれ吸血鬼化。ジャマルを倒さざるを得なかったエリックは、二人の親を奪ったドラキュラと吸血鬼への憎悪を燃やし、吸血鬼を断つ刃“ブレイド“を名乗るようになる。
最初は古色蒼然としたバンパイアハンターだったが、やがて吸血鬼を倒す武器として、格闘技や剣技を習得し、銃火器も装備。かと言って、古来からの武器である木の杭を軽視することもなく、銀の弾にはみっちりニンニクを詰めてみたりと、伝統と現代が融合したハイブリット型ハンターとなっている。
ハーフバンパイアとして産まれた結果、吸血鬼の噛み付きと催眠は無効な上、腕力や耐久力に治癒力は強力なバンパイアに匹敵、しかも太陽光に影響を受けないと、人間とバンパイアのいい所取り状態。スパイダーマンの宿敵である擬似バンパイアの吸血博士モービウスに噛まれた結果、本物としての素養と擬似能力が組み合わさり、能力は更に増している。
習得した剣技も一流であり、同じ日本刀を好む一流剣士なデッドプールとも五分以上に渡り合える。あくまで対吸血鬼に特化したヒーローなのだが、元々のスペックや習得している技術の高さで、普通に強く敵を選ばない。
なおブレイドとデッドプールの二人、ゲームなどではコンビを組むと“エッジ・オブ・デンジャー“という刀使い同士のコンボが発生したり。
ブレイドの心魂にあるのは、吸血鬼への怒りであり彼らを絶滅させる為の意思。治らぬ病である吸血鬼、一度吸血鬼になってしまった者、ドラキュラに与する者には容赦しない。例え子供でも赤子でも、ブレイドは殺すことが出来る。強烈な殲滅への意志は、他のヒーローとのトラブルを産むことも多い。同じく犯罪者の絶滅を誓うパニッシャーとは、立ち位置も近い。
だが決して、情がないわけではない。超人種同士の戦争、ミュータントVSバンパイアの余波で吸血鬼となってしまったX-MENのジュビリー。彼女を殺すか殺さないかでウルヴァリンと殺し合い寸前になったものの、X-MENがきちんと責任を負うことで最終的にジュビリーの殺害は有耶無耶となった。
ドラキュラの花嫁と目されていた夢魔の女王シクラーと護衛のデッドプールを付け狙うが、彼女とドラキュラの敵対を知り和解。ニューヨークでドラキュラ配下の西洋妖怪軍団と戦うデッドプールと共闘。戦後、ドラキュラの花嫁ではなく、デッドプールの花嫁となったシクラーを見逃した。ちゃんとこの後開かれた、シクラーとデッドプールの結婚式に毒づきながらも出席している辺り、律儀である。
吸血鬼と戦う上で、冷酷さや現実的な判断は必要な物。しかし、絵空事ではない希望があるならば、それを無理に踏み躙ることはない。この秘められた人間性があるからこそ、ブレイドは吸血鬼相手に冷酷に正義の味方として振る舞えるのだろう。
そして余談として二つ。超人種同士であるミュータントととバンパイア、対極的に見えて、意外と絡む所は多い。前述のヘルシングの子孫、レイチェル・ヴァン・ヘルシングは最終的に吸血鬼化してしまうが、彼女たっての介錯を引き受けたのはウルヴァリン。また、X-MENのストームが吸血鬼化したブラッドストームというキャラも一時並行世界に居た。
吸血鬼化したジュビリーは、そのまま治ること無く、現在でも吸血鬼のまま。吸血鬼となる前にミュータント能力であったエネルギー放射を失っていたため、今はミュータントと言うより普通の吸血鬼である。ただし、ウルヴァリンの血液供給を定期的に受けていた結果、ヒーリングファクターをゲットし、陽の光もある程度平気。能力の喪失から吸血鬼化、やがて預かった赤ちゃんの面倒を見続ける羽目に。実に、波瀾万丈である。