キャプテン・マーベル外伝 すごいよ!! タロスさん~前編~
ふじい(以下F)「今、時期的にはもうアベンジャーズ/エンドゲームの時期なものの……その直前のMCU映画、キャプテン・マーベルもなかなか良かったよな」
サイレン(以下S)「ああ。同じ宇宙メインのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとは、ちょっと違った感じでよかった」
F「エンドゲームの隠し玉として、インフィニティ・ウォーで存在が示唆された、キャプテン・マーベルことキャロル・ダンバースを描く物語にして、アベンジャーズ誕生前夜を描いたストーリー。MCUでは指揮官として一歩退いたところに立ちがちなニック・フューリーが、前線でバリバリ働いているのもよかったね」
S「MCUの第1作目のアイアンマンからいるのに、21作目のキャプテン・マーベルまでよくわからんけど偉い人ポジションを貫いてたのもすげえよな」
F「実際の時間で10年以上、出自もスキルも漠然としたままシリーズレギュラーだったんだよな、フューリー……。それはそれとして、今回、キャプテン・マーベルで初登場となったあの種族のことも、忘れちゃならんだろ」
S「ああ。変身能力持ちのスクラル人か。コミックスだと、スクラルが銀河三大帝国の一つなんだっけ?」
F「キャプテン・マーベルやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーでも重要ポジションにいるクリー、ストーリーがX-MEN寄りなこともありMCUでは出番のないシーア、そしてキャプテン・マーベルで映画初登場となったスクラル。この三勢力がいわゆる銀河三大帝国だ。母星がギャラクタスに食われたり、皇帝一族が丸ごと死んだりで、時期によってパワーバランスにズレが出るけどな」
S「むしろ、よくどこも滅んでねえな……」
F「もともと、コミックスではファンタスティック・フォーやアベンジャーズと激しくやりあっていただけあって、スクラル人の映画への登場は待ち望まれていたからな。まず勢力として、人気がある。キャプテン・マーベルへの登場は、意外ではなく、いよいよといったところだな」
S「スクラル人にとっては汎用能力だとしても、変身って十分個性的な能力だよなあ。キャプテン・マーベルでも、ヒーローVSババアの画太郎先生ありがとうレベルの絵面が結構あったし」
F「実にSNS向けというか、最大瞬間風速が高そうな絵面だったよな……。こういう、創作でも普通無いだろう!と言いたくなるようなシーンを作れるのは、変身能力の利点の一つ。そして、映画キャプテン・マーベルでスクラル人を引っ張ってたのは」
S「たしか、タロスだよな。ほぼ映画では唯一のネームドスクラル人。映画の重要キャラにして、話のカギを握る重要人物だったな」
F「ああ。まさか、コミックスではスクラル人の恥さらし、スクラルのヤ◯チャ、スペースローカルヴィラン扱いのタロスがああも立派に実写化されるだなんて……」
S「お前それ、流石に人違い、宇宙人違いなのでは!?」
F「いやでも、スクラルのタロスって、知るかぎり他にいないしなあ」
F「タロスのコミックスでの初登場回はIncredible Hulk #418だ」
S「タロスの初登場がスクラルや宇宙と関わりが深いファンタスティック・フォーやキャプテン・マーベルでなく、宇宙とは縁が遠そうなハルクってのは意外だな。表紙を見るかぎり、結婚式回っぽいが。誰と誰の結婚だ?」
F「リック・ジョーンズとマルロ・チャンドラーだな。リック・ジョーンズはブルース・バナーがハルクになったきっかけにして、共に信頼しあっている、ハルクにとっての親友。マルロ・チャンドラーはハルクが灰色の肌の別人格ジョー・フィクシットとして活動していた時のガールフレンド。二人の出会い自体には直接関わっていないものの、ハルクが繋げた縁ということでいいんじゃないかな」
S「そういや、リック・ジョーンズってMCUに出てないな」
F「コミックスだと、アベンジャーズ結成のきっかけにして名誉メンバー。キャプテン・アメリカに訓練を受けて一時期バッキーに。キャプテン・マーベル(マー=ベル)と分子が混ざり合ってウルトラマンにおけるハヤタのポジションにと、ヒーローに寄り添う一般人ポジションとして重要キャラなんだけどね。一応、映画インクレディブル・ハルクに名前だけは出ていたはず」
S「構想次第では、MCUの中心にいたかもな」
F「実際、そんなリック・ジョーンズの結婚式なので、式場も実に賑やかだ。ちょうどハルクも理性があって落ち着いていた時期なので、キャプテン・アメリカと共にスーツ姿でリックをエスコートしている。アベンジャーズだけでなく、シルバーサーファーやドラックスが宇宙からやって来たり、アブソービングマンやミスターハイドのようなヴィランたちも……」
S「いくらリック・ジョーンズでも人脈が広すぎませんかね!? だいたい、どうやって招待したんだよ! あと、ドラックス、やけにデカい!」
F「原因はなんでもできる快楽主義者のインポッシブルマンが招待状をバラまいたせいなんだが……コイツはホントに破茶滅茶で言及すると話が長くなるので、今回は流しておく。そんな招待客の中に、クリーやスクラルの一団がいて、その中にタロスがいた。これが、タロスの初登場シーンだな」
S「タロスに話しかけているのは、クリー人か……なんか険悪っぽいが、異名っぽいTalos the Tamedってどんな意味だ?」
F「Tamedは“飼いならされた”や“野生から家畜に戻った動物”ってニュアンスの単語だな。直訳に意訳も含め、飼いならされたタロス、家畜野郎タロス、ヘタれのタロス……と言った感じかね」
S「結婚式で他人にかけていい言葉じゃねえ!」
F「そりゃかけちゃダメよ。シルバーサーファーが一喝しなかったら、おそらく乱闘になっていたに違いねえ。今回のエピソードでのタロスの出番はここまで。この後、式は無事に終了しました。まあ、結婚式に乱入してきたメフィストがハルクにぶん殴られて逃げ出すと言った大変微笑ましい結婚式ならではのサプライズはあったけどね」
S「サプライズ! しかし、喧嘩を売ってきたのがクリー側とはいえ、招待された結婚式でトラブルを起こしそうになって、一喝されて落ち着くって、わりと迷惑な招待客なのでは……」
F「家庭板でまとめられたり、ヤフー知恵袋に相談が来るレベルの厄介さんだな」
S「あと、タロスって、頭や各部に金属片を埋め込まれてる? これだと、スクラル名物変身の時に邪魔じゃないのか?」
F「いや、実はコミックスのタロスさん、変身できねえんだわ」
S「え……?」
F「タロスは、遺伝子の欠陥で変身できない、スクラル人の変種だ。だから、金属を埋め込もうが埋め込むまいが、まったく問題ない」
S「スクラルには変身種族ってイメージがあったから、変身できないスクラル人ってのは新鮮というか、なんというか……もしかして、クリーがタロスを馬鹿にしているのも、そこが原因?」
F「いや、変身できないのが原因じゃない。なぜタロスがクリー人に馬鹿にされていたのか? いったいタロスとは何者なのか?
その謎が解け、キャラクターとしての全貌が判明するのは、結婚式が終わった後になる次のエピソード、Incredible Hulk #419での話になる。結婚式の晩、皆が穏やかに過ごすべき状況下で、自分の今の立場に悩むタロスは思い立つ。そうだ、ハルクと戦おう――」
S「命日かな?」
~後編に続く~