日々雑談~5940~

 鎌倉時代の終わりと南北朝の時代を駆け抜けた北条時行の逃亡期、これにてお仕舞い。

 敵味方がこんがらがってとにかくわかりにくい南北朝を舞台に、史実がほぼほぼバッドエンドな北条時行を主人公とした作品を描く。企画書として出てきたら、どこの会社も尻込みするような内容なんですが、これを描き切ってみせたのはやっぱ松井優征先生の起承転結をきっちり固めて見せる計画性あってこそなんだろうなあと。気になるし面白いけど手ぇ出したら絶対大変なことになる南朝や室町幕府や信濃のその後は軽く触れるだけと、これぐらいの切り方をしないと週刊少年漫画で連載するのは難しいでしょうね。場に合わせて、正確な取捨選択をして見せる。週刊連載の最前線という過酷な環境で、これができるのは相当ですよ。
 そもそも、ネウロも暗殺教室も企画書で出てきたら「これまとまんのか?」というコンセプトの作品だったと言うか。そんな二つの作品を完走してみせたという実績が編集部や読者の信頼を生み、作品の確固たる柱となる。もう松井先生、何をやってもまとめる能力とそれに対する信頼があるので、どんな企画を立てても通るんじゃなかろうか。あまりのセンスの良さに漫画がポシャっても編集や原作者、とにかく絶対手放せない人材扱いだった銀魂の空知先生といい、2000年代序盤デビューのジャンプ作家の面々は、漫画の枠を超えた異能持ちがだいぶいる気がするぜ。

日々雑談~5775~

 逃げ上手……? 一体誰だ? と思っていたら、まさかの北条時行。歴史の教科書に一度名前は出てくるものの、それ以上掘り下げられることはない人物が主人公で、舞台となるのは鎌倉に建武の新政に室町に南北朝と馴染みのない時代。本来、ジャンプでやるのは博打じみた企画なのに、全然それを感じさせないのがまず凄まじい。とにかく北条時行の異能じみた特徴を詰め込みつつ、勝者となる男に挑んでいく構図の提示。ところで、足利さんがああなった理由、歴代天皇トップクラスの行動力を持つ、あのお方の影響としか思えないのですが。バンデットではめっちゃ濃かったけど、若君でも絶対特濃でしょ、あのお方。

 そもそも北条時行は事跡があまり残っていない人物なものの、その人生と在り方だけで、足利尊氏を苛立たせ、その足を引っ張ったのは間違いないはず。生きてるだけで厄介な存在が逃げ上手って、(尊氏にとって)最悪の取り合わせと言うしかないよなあ。いやもう、次回が楽しみでしゃあないわ。週刊でよかった!